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経営実例19-長野県川上村[レタス、白菜、ホウレン草]
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経営実例19-長野県川上村[レタス、白菜、ホウレン草]

長野県川上村Sさん

長野県川上村 Sさん

レタス、白菜、ホウレン草

「俺流の農業」へ転向

 長野県川上村は八ヶ岳連峰の東側にあり、夏秋レタス発祥地として知られ、名実共に日本一の産地である。約1650㌶ある畑は初夏になるとレタス、白菜で埋め尽くされる。今でこそ首都圏に真夏でも高速道路やフェリーを使って東北や北海道からレタスが届くが、以前は独占的地位を築いていた。いわゆるレタス御殿があちこちに建ち、八桁(1000万円)農業の草分けとなった。

 Sさんと出会ったのは1998年頃、会社に電話があり「今の農業は夢がない。将来、息子に自信を持って継げと言えない・・・」などと話した。日本有数の優良農業地帯で何が起きているのか・・・翌週、20数年ぶりに現地を訪ねた。
 彼の圃場は川上村の中でも最も標高の高い場所にあり気温が低く、村内3農協の中でも特に品質が優れ、夏秋レタスでは本当の日本一と言える。
 彼の話は隆盛を誇った当時の様子とは異なっていた。連作障害で作柄が不安定になり、販売環境の変化もあって農家の経営は厳しくなっていた。他地域と比較して後継者が多いとはいえ高齢化や労働力不足などは無縁ではなかった。ただ、先輩達が築き上げた高品質、ブランド力は健在で現在も他産地を圧倒している。浮き沈みはあるものの、組織の意向に沿って、粛々と作っていれば、平均的な生活は十分可能で、特別な問題は無い様に思われた。

 彼が指摘したことは「今までは確かに良かった。手厚い支援策もあり、数年単位で見れば単価も不満は無く、経営も順調、生活には困らない。普通に考えれば何ら問題は無い。しかし、世の中の流れ、価値観が変わってきたので、このまま安泰でいられるのかどうかは不透明。従来の規格、外観重視だけではもう産地の成長は見込めないし、作り甲斐もない。産地間競争が激化しブランドを守るため外観検査が更に厳しくなり、葉が少し歪んでいたらB品に落とされる。消費者が本当にそれを望んでいるなら納得出来るが、今後は外観優先ではなく『美味しくて安全な野菜』つまり中味だと思う。自分が目指している農業と出荷先が求めている方向が乖離し、迷いが出てきた。このことについてどう思いますか・・・」

 一言で言えば彼は組織の方針ではなく『俺流の農業』を貫きたかったのである。

 当時、Fさんは35歳であった。若い頃、人生の師と仰いだ大手企業創業者T氏から、「人間は大体35歳で基礎が固まる。現状に疑問を感じて大きな転換機となるのはこの頃だ。それまでに学び培ったことを礎に、新たな挑戦が出来るか否かで己の人生が決まる」と常々教えられていた。彼にこのT氏の話をし、「貴方は、まさにその時が来ている」と告げた。「このまま流れに任せて人生を使うことも選択肢だ。しかし、自分に熱いものが込み上げているのであれば、機は熟している。困難は多くとも勝負に打って出るチャンスだ。今の状況と貴方の性格、実力から推測すれば、現状維持を選択したら将来、悔いが残る・・・仮に失敗してもまだ、若いから再チャレンジのチャンスは十分あるよ」と話した。しかし、展開によっては安泰な一家の命運を左右しかねない。その後も時間を作って通い、ご両親や奥さんにも色々な例や状況をお話し、結論は家族で話し合って決めるよう奨めた。

 安易に組織を離れて失敗する例は多々ある。特に天候に左右され、収量や相場変動が激しいレタスや白菜は危険だ。直ぐに組織を離れず、2年の準備期間をとって更に安定栽培技術と商品を磨いた。その間に、販売先の開拓を進めたが、価格変動、安定供給、輸送面など難題が山積した。試行錯誤するうちに丸抱えでバックアップして頂ける大手販売先と出会い、仲間1人と組んで完全に組織を離れた。
 2008年、5人で株式会社を設立、冷蔵庫などの設備を充実し、現在は大手量販店、百貨店系量販店の看板産地として活躍している。

 2010年の作付けは7戸でレタス10㌶、白菜5㌶、ホウレン草5㌶などで社員4名、外国人労働者4人で賄う。
 土作りはシンプル。春にスーパーランド(673)15袋2作分を全面散布、鍬込み、畝立て全面マルチして定植する。春植え収穫後、そのまま株中間に秋取り苗を手植えする。以前は秋取りの生育が不揃いで生育管理に苦労したが、スーパーランド2作分一発施肥を始めてから生育が揃い葉色も安定して作りやすくなった。

 戦略商品に育ったホウレン草はハウスで育苗し、レタスと同様の栽培で全面マルチ、株間10cmで手植えする。ゆっくり育て、たっぷり太陽光線を当てるので硝酸値は300ppm程度。安全性に厳格なEUは3.000ppmが基準値だから1/10程度の低さである。食味、品質が高く評価されて引き合いが多く面積を増やしているが、病害虫の発生を防ぐため、同じ圃場では年1作しか作らない。
 彼の真骨頂「トコトン食味と安全にこだわる」姿がここにある。

 「俺流の農業」を追究し、理解して頂ける売り先に恵まれて、経営は順調である。しかし、昨年以降、売り場のデフレ圧力はここにもジワジワ押し寄せている。品質や安全性をこれ以上上げてももうメリットが出ない。消費者に更に喜んで買って頂ける価格を実現するには、産地で最終商品に仕上げ、中間コスト削減を検討している。即ち、ラッピングやカット、袋詰めして店に着いたら直ぐに棚に並べられる最終商品作りである。
 販売促進策として、以前行っていたマネキンを使った店頭販売も復活させる。「新鮮、良食味、安全野菜」を人間力で直接消費者にアピール、売り込む。

 他人に頼らず、自分で考え、自分で行動する『俺流の農業』は次々と夢を実現させている。

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