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再び有機農業を考える(7)これからの方向

 (画像)有機トマト・茨城県水戸市

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 一般的に有機農業と言われている栽培は幅が広い。自然農法、オーガニック、JAS有機、特別栽培、果ては身近にある厩肥を堆肥化し、ふんだんに使って有機と名乗る生産者もいる。JAS有機が無農薬で安全性が担保されていると思う消費者は多い。しかし先に書いたように実は状況により農薬の使用が認められており、無農薬を期待していた消費者は釈然としないだろう。一方、自然農法は近隣にある稻藁など作物残渣、枯れ草、落ち葉など、植物由来有機物を循環利用する事が基本であり、域外から資材を持ち込まないのが前提である。勿論、化学農薬や肥料は使用しないから理解しやすい。日本でも以前から取り組んでいる農家もいるが、1月に訪ねたパリ郊外の葉菜類農家はこれに近い。

 

 http://www.e-yasai.com/blog/post-75.html

 自然農法は気候に恵まれ、近隣に化学農法の農地が無く、豊かな自然に囲まれていることが前提であり、日本での適地は限られる。しかし、中山間地の小規模農業には適している。表示は化学肥料、化学農薬不使用栽培で、事前に圃場の残留農薬検査をしておけば、JAS有機よりレベルは高いと言える。肥料養分は限られるから収量は余り期待できないが、抗酸化物質などの機能成分は高いと専門化は指摘している。

 

さて、各種有機(生態系循環)農業に携わっている生産者や流通関係者に現状と今後の展開を聞いて見た。JAS有機を取得した生産者は今更、錦の御旗は降ろせないから初志貫徹組が大勢だ。新規参入組も、より高い付加価値を求めるからJAS有機を目指す事に変化は無い。しかし、青果販売の全体を見渡せばJAS有機インパクトは以前より後退している。特に気候変動で安定生産がままならない生産者の経営が厳しくなっているためだ。作物によるが、人参や大根、牛蒡、馬鈴薯、里芋、サツマイモなどの根菜類は収量の変動はあるものの、地下部収穫のため病害虫痕が目立ちにくくJAS有機でも比較的作りやすく、貯蔵して安定供給がしやすいため、撤退する農家は少ない。防除が難しい葉菜や果菜類は中小規模農家が多く、減収リスクが高まっているため、多種化に動いており、面積は増える状況にはない。。

特に高温化で難敵病害虫が増えている西南暖地のJAS,、栽培は厳しくなっている。南九州で特裁パセリを周年栽培していたグループは病害(うどん粉病)が蔓延し、安定供給が困難になったため特裁に見切りをつけた。熊本ではトマトの難敵害虫シルバーリーフの防除回数が増え、特栽を諦めた生産者も出ている。通常は特栽基準で栽培し、多発の場合は特栽カウントをオーバーするが必要最小限の農薬散布で凌いで、無表示(慣行栽培)で出荷する生産者も増えている。これらの生産者の多くは「食味」を売りにしているため、売り場(消費者)の理解は得られている様だ。しかし、コストを下げるために包材を一括大量発注しストックしているため、両刀使いは在庫負担が大きく、悩みのタネという。

 

量販店などと値決め契約している生産者は、気候変動の減収リスクが高まる中で、数年来、市況が堅調なため、中小生産者を中心に契約栽培に迷いが生じている。パートなど人件費比率の高い大規模生産者は、一部は値決めをしておかないと価格低迷が長期化した場合、経営リスクが高いので安定価格の売り先確保は欠かせない。特に冬期の低温、日照不足で減収が続き、燃料代や資材費の高騰に苦しむ九州のハウス生産者の迷いが続いている。

 

特栽はいつでも慣行に戻れるがJAS有機は続けないと認証がリセットされてしまうので、転向には相当な決断がいる。しかし近頃JAS認証を諦めて特栽に切り替え、経営を立て直した生産者も出ている。多くは出荷先との話し合いで転換しており、軸足は化学肥料、農薬不使用栽培に置いているから実質的に品質、安全性レベルに大差は無い。一番大切な事は生産者と消費者の話し合い、相互理解である。複雑な流通経路では意思疎通が難しいから、なるべく必要最小限度、シンプルな流通体系を目指したい。

 

販売側の環境変化としてこの数年、農産物の表示に対する監督機関の監視が厳しくなり、店側がトラブルを恐れて「特栽」表示」に消極的になりつつある。また、認証機関の認証が無いと「特別栽培」として扱わない店が増えてきた。農薬散布回数(カウント)をラベルに明記した商品もあるが、農薬知識の乏しい一般消費者は、1回でも使用していると購入をためらう傾向が見られる。一層のこと、解りやすい「食味」で勝負するから無表示(慣行栽培)で十分と考える現場担当者も増えた。

 

有機への取り組みはJAS有機や特別栽培だけではなく、慣行栽培でも一般化している。有機(堆肥)を入れなければ安定した品質や収量が期待出来ないという認識が広まっている。必要なのは目先の計算ではなく、栽培に係わるすべての要素を含めて中期的な視点でコスト対効果の検証である。

足踏みしている既存生産者を尻目に、宅配、加工、外食など新規ルートを開拓して大規模有機農業を目指すチャレンジャーが台頭している。海外生産でJAS認証を取得する動きも活発化しそうだ。色々な意味で踊り場に来ているから、今後の動向に注目したい。

 

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