• いい野菜.comのトップページ
  • 私たちについて
  • 土の食養生
  • 作物別実例
  • 農業資材
  • 作物・生産者情報
  • 農業経営実例
ブログ
ホーム > ブログ > エスカルゴ牧場から日本へのメッセージ

エスカルゴ牧場から日本へのメッセージ

フランスのエスカルゴ農家

フランス料理と言えばフォアグラ、トリュフ、エスカルが頭に浮かぶ。エスカルゴは日本人は余り口にしないがフランス人と食事をすると、オードブルとして注文する。身の部分を加熱してニンニクとパセリのみじん切りを練り込んだバターを乗せて出てくる。フランスでは最高級のご馳走である。
友人Gさんの案内でパリ郊外にある養殖家Mさんを訪ねた。彼は以前、パリの高級ブランド店に勤めていたそうで、日本人に親しみを感じていた様だ。エスカルゴの話が始まると彼の目が輝き、講釈は留まることを知らなかった。

◆エスカルゴの家

エスカルゴの家-1
エスカルゴの家-2

◆エスカルゴは巻き貝の一種で、乾燥する環境では活動できない。雑草が生え適度に湿度が保たれている場所に、木製の餌場を置き、その上部に日光を遮るための板木を三角屋根状に乗せて、温度変化が少なく風通しの良い環境を作る。潅水は常時、欠かせないから、良質な井戸水が用意出来る場所が適する。

エスカルゴの家-3

◆飼育場から逃げ出さないように、高さ40cmくらいのブロック塀で囲み、屋根を乗せ、更に微弱な電流を流した電牧線(中央部)を張ってある。これで脱走はほぼ防げる。

エスカルゴの家-4

◆幼虫は春に専門業者から買う。食用の種類は地域により異なるが、味はやはり本場のブルゴーニュ種が美味しい。
餌は石灰、大豆、トウモロコシの粉を置き、撒水しておくと、夜に食べに来る。
エスカルゴ1kg育てるのに1.2~1.4kgの餌が必要。80%が水分だが、餌代は1000匹当たり10ユーロ(約1000円)、1匹1円程度かかる。5月に幼虫を入れて秋の出荷時に一匹当たり3.5~4円で売れる。

エスカルゴ農家の家

◆彼は退職してから一時、タクシーの運転手をしていた。三つ星レストランの送迎をしていた折、エスカルゴ料理が非常に高価である事を知り、自分も養殖してみようと、ここに2.5㌶の農場を買った。
スタート時の計算では3000㎡で13㌧の出荷を見込んでいたが、実際はたった3㌧・・・(笑い)
国内に養殖家は数百戸程度あるが、大手で3~4㌶規模、年間出荷量100㌧超。この規模を目指して5年間、試行錯誤してみたが、出荷量は期待していたほど増えなかった。今後、技術の向上を見込んでも、到底採算に乗る目処は立たないと悟った。

エスカルゴ農家の動物

◆元々生き物が好きで始めたので、ここでやめる訳にはいかない。1000㎡に縮小して、この規模で今までの経験を生かして継続できる道筋を探った。農場で馬や兎、地鶏、ハリネズミなど飼って子供達の遊び場として解放し、自宅でエスカルゴ教室を開いた。これが関係者の間で話題になり、今では行政府から教育予算を頂ける様になった(笑い)

◆最初、何故、大きな見込み違いをしたか・・・
技術の未熟さもあるが、農産物の市場開放という重要な事があまり頭に無かった。当時は輸入品の事など考えていなかった。しかし、今ではトルコ、ウクライナ、ポーランドなど周辺国から安い加工品が大量に流入し、国産品はじり貧状態。
エスカルゴは加熱して一旦、殻から外して内臓を切り取り、身の部分を塩で揉んで滑りや臭みを取り調理する。人件費の高いフランスでは原料よりも加工賃が高くつく。一般のレストランや家庭では直ぐに調理できない。しかも安価な輸入品に人気が移りつつある。ニンニク、パセリを練り込んだバターも全部セットになってオーブンで焼くだけで食べられる・・・味に差があるとは言え、国産品の地盤沈下は止めようにもない。

日本もTPPなど自由貿易推進で農産物の更なる市場開放を求められると聞いている。しかし、絶対、受け入れてはいけないよ!先進国の中小農家は市場開放されたら途上国の安い農産物に占領され生きて行けなくなる・・・。日本の皆さんにこの事を伝えて下さい。

【コメント】

Mさんのエスカルゴに対する愛情、知識、子供達に伝えようとする情熱はただ者ではない。習性、生殖、天敵などエスカルゴが厳しい生存競争の中で命をつなぐ現実を、理屈だけでなく、標本や身体を使って総合的に教える様は、達人の境地!

今回、大統領選の真っ直中で、自由主義路線継続のサルコジ氏と中道左派路線への転換を主張するオランド氏が国論を二分して戦った。結果はオランド氏の勝利に終わった。ユーロ危機など色々な要因はあるが、EU統合で弱肉強食、格差社会が進んで、その歪みが表面化している結果と言える。特に労働力依存型中小弱者は低賃金の周辺国との競争に敗れ、生活への影響が明確化している。

今回お会いした方々の多くは、日本は安易に自由貿易、市場開放に踏み込むとフランスの轍を踏むのではと懸念していた。フランスは農業国であるから競争力の弱い農業者は確かにそういう見方になる。日本は最早、現状の農業を守っても産業競争力が弱体化し、国力が衰退したら結果的に農業も守れない。社会変化で経営難に陥った企業がリストラを断行している様に、すべてを守るのではなく取捨選択し、競争力のある部分を伸ばして再生につなげなければならない。

◆コメントする





サイト管理者|日本マックランド株式会社
メール相談はこちらからどうぞ!|農産物の栽培・生産方法から流通、販売に至るまであなたの真剣なご相談歓迎します。