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ホーム > ブログ > フランスのオーガニック農家を訪ねて(1)ノルマンディー

フランスのオーガニック農家を訪ねて(1)ノルマンディー

フランスのオーガニック農業については、昨年、1月と5月にノルマンディー ハローウィン農場を訪ね、有機農業への考え方や取り組みについてインタビュー記事を書いた。

(下記参照)
http://www.e-yasai.com/blog/bio.html
http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

http://www.fermedubec.com/

 

今年も年初に訪問し、昨年の状況と今後の展開についてご夫婦にインタビューした。

フランスのオーガニック農家1

◆世界的に気候変動が農業に大きな影響を与えていますが、ご当地の状況は如何ですか?
『昨年は、いろいろな事が起こり、大変な年でした。今年も異常で始まり、例年より非常に気温が高く、ご覧の様に全く雪がありません。昨年同じ時期に来られた時は、雪が15cm位積もっていたでしょ。やはり、フランスも気候変動が大きくなっていますね・・・。当地に来て7年目になりますが、この時期に雪が無いのは初めてです・・・』

オーガニック農家の植物

◆植物にはどの様な影響が出ていますか?
『この株は例年ですと雪の下で静かに春を待っているのですが、もう茎が伸びてきました。これから寒波に見舞われると凍傷を起こして駄目になってしまわないか心配です』
『果樹類の中にももう芽が動き始めた樹があり、このまま温かい日が続くと心配ですね・・・』
『昨年もそうでしたが、気温や降雨量に大きな変動が起きています。殆どが露地物ですから、対応策は限られますね・・・・』
(注)その後は大寒波も見舞われた。

オーガニック農家のぼかし肥料

◆昨年お奨めしたぼかし肥料は作りましたか?
『勿論!早速作ってみましたから、見て下さい』
『材料は言われた通り、動物性として家畜の血液、植物性は葦の仲間で虫の忌避効果があると言われている植物を細かく切ってこのドラム缶に層状に詰め、発酵菌は嫌気性菌を探して仕込みました。もう2ヶ月位なりますが、状態をチェックして下さい』

◆大変良い状態に仕上がってきていますね。嫌気性菌特有の縁の下の臭いに似た香りがしていますから大丈夫です。本格的に大量に作る場合、血液は充分ありますか?
『生血液は輸送が大変なので、将来はけ血粉を使うつもりです。ぼかしを使う時の注意点を教えて下さい』

◆もうそろそろ使っても大丈夫です。施用量は1㎡当たり200㌘が目安です。あまり一度に多く施用すると生態系に影響を与える可能性がありますから、少しずつ施用した方がいいでしょう。

フランスのオーガニック農家2

◆今年の課題は?
『7年目を迎えましたが、自立の目処、つまり国の支援期間10年(2015年迄)に如何に採算ラインに乗せるかが当面の課題です』
『今年から国立パリ農業大学院のR教授とオーガニック農業を若者の雇用先として活用できないか研究を始めています。現在描いているモデルでは野菜で1㎡当たり年間30~40EURの収入を安定的に確保出来れば雇用の場として成立すると考えています』

◆具体的には?
『昨年ご覧頂いた混植、密植、円形高畝方式と、育苗苗定植で回転を良くし圃場利用率を上げるなどの成果を組み合わせれば、実現可能です。少なくとも、従来の農法より、品質価値も収量も上がりますから、総合的に目標達成は可能です』

小規模農家(家庭菜園)用播種機

『オーガニック野菜は小規模多品目栽培が前提になります。コスト削減は農作業の効率化が不可欠です。右の画像は米国のインターネットサイトで購入した小規模農家(家庭菜園)用播種機です。今迄は人手で蒔いていましたが、これを使うと10倍以上効率が上がります。狭い農地でも使い勝手が良く、非常に便利です』

草丈の低い葉物野菜の収穫機

『これはベビーリーフなど草丈の低い葉物野菜の収穫機です。下部にカッターが付いていて根を切りながら収穫し、赤い袋部分に貯まります。簡単な器具ですが、大変重宝しています』
『私達には固定観念がありませんから、現場の状況に器具を合わせたり、器具に現場の作業を合わせたり、自由自在です。毎年、一歩一歩進化して行く課程が楽しいですね・・・』

【コメント】

今回で3回目の訪問だったが、毎回、進歩している様子が頼もしい。
昨年はかなり在庫があった直売場の商品は殆ど売り切れていて、販売は好調の様だ。
フランスの若者の就職難は慢性的、日本と比較したら相当厳しい様だ。EU統合で価格競争力強化のため企業が周辺国やアジアに生産拠点を移していることが雇用環境悪化の原因だが、一方で農業の産業化つまり大規模機械化、IT化による農村の雇用吸収力が低下原因という指摘もある。確かに大規模化した一部の生産者は大きなメリットを受けたが、社会全体としてあちこちでバランスを失い、雇用不安や所得格差拡大を招いていることは確かである。4,5月に大統領選があり、自由主義経済、市場開放を掲げてきたサルコジ氏が敗れた。ユーロ危機で雇用情勢が更に厳しくなり、国としては雇用対策が緊急課題となっている。日本でも農業への雇用促進政策が打たれているが、現実はうまく機能していない・・・果たして、オーガニック農業に雇用吸収力があるのか注目したい。

一番の問題は採算性である。露地で年間反収300~400万円実現の可能性はあるのか・・・
収量については日本と比較してそれ程大差があるとは思われない。問題はパリと東京の販売格差がどの程度あるのか、早速パリ在住A子さんに調べて頂いた。
(下記は2月中旬に頂いたメールである)

先週の金曜日、(パリでも外気が零下8度まで下がった日)に近所の大手スーパー(カルフール)で調べた価格です。(単位:EUR/kg)

◆馬鈴薯(フランス産)
ディスカウント・・・・・・ 0,6 EUR(約60円)
通常品・・・・・・・・・・・・・・ 1,0 EUR(約100円)
BIO(有機栽培)・・・・・ 1,2~1,52 EUR(約120~152円)
ラット(小型芋品種)・ 3,4 EUR(約340円)

◆人参(フランス産)
ディスカウント・・・・・・ 0,6 EUR(約60円)
通常品・・・・・・・・・・・・・ 1,2 EUR(約120円)
BIO(有機栽培)・・・・ 2,2 EUR(約220円)

◆トマト(通常のサイズ)
ディスカウント(モロッコ産)・・ 1,4 EUR(約140円)
通常品(スペイン産)・・・・・・・・・ 3,2 EUR(約320円)
BIO(有機スペイン産)・・・・・・・・ 4,0 EUR(約400円)

◆茄子(スペイン産)
通常品・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3,5 EUR(約350円)

◆玉葱(スペイン産・フランス産 )
ディスカウント・・・・・・・・・・ 0,5 EUR(約50円)
通常品・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,95~2,0 EUR(約200円)
高品質品・・・・・・・・・・・・・・・ 3,9 EUR(約390円)

◆レタス(フランス産)
1.7 EUR/個(約1玉170円)

(注)
玉葱、馬鈴薯は物価が安い地域では、もっと破格の値段で売っていると思います。
ちなみに当方が住んでいる地域は物価が必ずしも安い方ではなく、それに加えて1年で最も気候の厳しい時期でしたので、価格について高い時期の一例としてご覧下さい。

この調査結果から、パリの野菜価格は東京と比較して相当に安い。従って、フランス人若者を雇用して露地栽培通年反収300~400万円実現への道のりは、残念ながら相当困難であると思われる。

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