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ホーム > ブログ > フランス「農と食」(4) 新緑のオーガニック農場を訪ねて

フランス「農と食」(4) 新緑のオーガニック農場を訪ねて

3月のブログで1月に訪ねたノルマンディーのオーガニック(BIO)「ハローウィン農場」について紹介した。訪ねた時期が冬で作物は無く、農場の概略を聞くにとどまった。やはり、作物の生育している時期に現場を見なくては理解出来ない。こんな思いで5月2日、再び農場を訪ねた。
新緑のノルマンディーは目を見張るほど美しい!白いマロニエ、紫色のリラの花・・・春を待ちわびていた生命が一斉に動き出した感がある。

新緑のノルマンディー2 新緑のノルマンディー1
ハローウィン農場

今回は「ハローウィン農場」のマダムに案内して頂いた。
マダムは弁護士、地方議会議員の肩書きを持つインテリ女性。日本に3年近く滞在された経験があり、日本語も少し話す。自然界の営みについて大変勉強されており、この分野にも詳しい。理論的でチャレンジ精神旺盛だ。
「この仕事は奥が深く、知れば知るほど興味が湧く」と、案内に熱がこもる。
農場は有機農業と言うより、自然農業に近いが、放任栽培ではない。観察や科学的根拠に基づいて人工的に多様な環境を作り、自然界の営みを創る。それぞれの環境に対応して生物の多様化が進み、全体の共存関係が築かれている。
農園の周辺には推定500種類以上の植物が共存しているが、食用は50種類位。作物を大面積植えると生物バランスが崩れて病害虫が増える。これを農薬ではなく、自然界のバランスの中でコントロールしている。

マダムに農場が目指している未来像について聞いてみた。

■何故オーガニックですか?

通常、食の安全や環境問題の観点からオーガニックを目指す人が多いです。私は将来、予測される人類の食糧危機に対応できる「最も効率的な農業」がオーガニックだと思います。オーガニックは単位面積当たりの収量が少ないと言うのが従来の共通認識ですが、私はその考えは間違いだと思っています。オーガニック農家をもっと増やすには、政策的な食の安全や環境保全だけでは限界があります。現在の化学農業より省資材型(低コスト)で、しかも品質や収量が上がり、農家の収益向上に結びつかなければなりません。
最大のポイントは化学資材を使わないで、自然界のあらゆる要素、土、太陽、雨、風、微生物、植物、昆虫、動物などを総合的に利用して作物の能力を最大限に引き出せば、高収量を実現できると考えています。従来の化学肥料、農薬、遺伝子組み換え種子等を使った農業は環境破壊が進んで、ボツボツ限界でしょう。循環可能な自然力を総動員して単位面積当たりの収量を現状より増やすことが私の目標です。まだスタートして5年目、試行錯誤中ですがご案内しましょう。

人工池

【人工池】

ここは元々、乾燥しやすい場所で、雨が少ないと作物が良く育ちません。乾燥地は生息できる植物や昆虫の種類や数が限られます。作物を植えると生態系が狂い思わぬ虫害に見舞われます。作物を作っても効率が良くないので、池を掘って環境改善を図りました。園内には山から注ぐ小川も流れていますが、予想通り全く異なった生物が住み始めました。水が流れている川と静止している池では微妙に異なります。ここでは藻(アオコ)が大量発生し、定期的に取り除いて乾燥させると大変いい肥料になります。また、葦類は他のハーブ類と発酵させると虫や病気除けになります。蛙やトンボも育ち、虫を食べてくれます。乾燥地に水を用意してあげただけで多様な生命が育つことを実感しました。
果樹園の傾斜地にも雨水の水道を調べて、溜池を掘りました。しかし、水が直ぐに無くなってしまい、ここはまだ成功したとは言えません。もう少し考えないと・・・(笑い)

混植1

【混植】

単位面積当たりの収量を上げるため、生育の早いモノとゆっくり生育する作物を混植しています。これは生育の早い葉菜と生育の遅いエシャロットの組み合わせです。混植のもう一つの目的は害虫対策です。

果樹園は100種類近く植えていますが、成育中の樹木の高さを考えてバラバラに植えています。この方が単位面積当たりの収穫量が多くなり、虫も付きにくくなります。

混植2

どの圃場も、畝毎に作物が異なります

混植3

両側は背丈のあるグリーンピース、中央部は大根、人参の混植です。

害虫対策

【害虫対策】

この植物はアブラムシが好んで集まり、ビッシリ付きます。アブラムシが増えるとそれを食べる天敵のテントウムシが増えます。頃合いを見てテントウムシを捕って他の作物に移します。移転作業が終わったらこの株は焼却します。あちこちに植えておけばアブラムシの被害は殆どありません。
害虫対策植物はカモミールやミントなどの混植も効果があります。葦などの発酵液も良いです。

雑草対策

【雑草対策】

畝間には亜麻の滓や落葉樹のチップを敷き詰めて、草の生育を抑えています。根の保護や乾燥防止にも効果があります。プラスチックフィルムは使いません。

円形盛り土

【究極の形?】

どうしたら単位面積当たりの収量を最大に出来るか試行錯誤した結果、この円形、盛り土に行き着きました。この形は平面より植え付け面積が増え、栽植本数が増やせます。緯度が高いので夏の日照時間が長く、太陽の位置も高いので日照が十分確保できます。作業もしやすいです。
当然、植える作物は諸条件を考えて植えますから、まだら模様になります。

ハローウィン農場

【コメント】

マダムの意気込みは凄い!
実施している事は日本でも昔から行われていた事が多く、特段、珍しいことではない。効率、コスト優先の日本の農家から見れば「?」が付く。しかしハローウィン農場が目指している「単位面積当たりの収量増」への努力は評価に値する。実現できるかどうかは別にして、国の支援から「自立」への道を探る姿勢が素晴らしい。
円形土盛り方式には新鮮みを感じた。効率追究の日本人には考え付かない。マダムに「この形はパリの街(広場を中心とした円形放射状、渦巻き型)の様に美的感覚で作ったのですか」と聞いたら、「いや、理論的に考えたらこの形しかありません!」と自信満々に語っていた。
しかし、我々にはどう考えても手作業ばかりで効率を無視した農業に見える。これで飯(パン)が食えるのだろうか・・・マダムは、固定客が増えて、週で約100個の宅配を確保しているというから、一応の目処は付いている感じだ。売店の販売も順調な様だ。1月には貯蔵野菜や加工瓶詰め品の在庫がギッシリ並んでいたが殆ど売り切れていた。ご主人は前回、「現状は厳しいです」と話していた。10年単位の仕事として捉え、今後、新植した果樹類が収入に加わってくるから経営は安定するとも語っていた。

数キロ先の山の向こうは効率を追求している大規模農業地帯。こちらは人間、環境重視のオーガニック農業・・・豊かな緑と修道院のある良好な環境に恵まれた「ハローウィン農場」は、訪れる人々の心を癒し、ここで採れた野菜や果物は明日への鋭気を養うことだろう。。
フランス人は「食」と「バカンス」にお金を使う。残念ながら日本人は「食」も「バカンス」も使わなくなってきた。いや、使えなくなってきたのかも知れない。

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