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ホーム > ブログ > フランス「農と食」(3) パリ東部穀倉地帯を訪ねて

フランス「農と食」(3) パリ東部穀倉地帯を訪ねて

パリ東部穀倉地帯

フランスに行っても個人農家を訪ねる機会はなかなか無い。(2)で書いた日本人農家Yさんは当時パリに住んでいた知人に紹介して頂いたが、典型的なフランス人農家にお会いしてみたいと考えていた。その土地に生まれ、育ち、そして農業を続けている土着農家にである。
「どんな環境」?「どんな考え」?「どんな農業」?「どんな生活」?・・・直接会って聞いてみたい。この思いを1月に訪仏した折り、案内して頂いた留学生H/A子さんに伝えておいた。
3月上旬、A子さんから「知り合いの村長さんのお宅で『どぶろく』を造る事になったので一緒に行きましょう!村長は170㌶の農地を持ち、小麦などを作っているから、いろいろお話しが聞けると思います」。願ったり叶ったり!チャンス到来である。
5月1日(日)、車でパリを出発、広大な農地が広がるシャンパン街道を東進、昼前に村長宅に着いた。

パリ東部穀倉地帯麦畑1 パリ東部穀倉地帯2

【大型農業】

回りは殆ど麦畑(画像上)・・・所々に菜種畑(画像左)と土が露出した圃場が見える。畝が作ってあるからホワイトアスパラ?かも知れない。
村長宅はここで代々農業を営んでいる名門。村の発展と環境問題に特別関心が深い。
作物は殆ど麦、トウモロコシ、菜種で170㌶経営している。政策的に保護されているので、生活は皆さん豊かだ。しかし、村長は「このままではいけない」と考えている。何故ならば、現状はもう機械化も収量増も限界に近い。メインの小麦は品質向上で収入増が期待できるか尋ねたら、品質価格差は余りない。天候により左右されるので難しいと答えた。収量平均は1㌶7㌧で北海道平均よりは多い。パリ近郊の地力のある土地では9~10㌧取れる所もあるという。これ以上収量を追究すると、残留硝酸窒素や病害虫多発による農薬汚染など環境リスクが高まる。遺伝子組み換え品種導入を別にすれば、現状の収量で、環境負荷は限界に近いだろう。
フランスの大型農業の将来については1月に訪ねたF教授のインタビューで指摘されておられたように、穀物農業は新興国との競争が厳しくなる。私の推測であるが、村長は村の将来像を描きつつ、大型農業一本槍から複数の道を模索し始めた様に見えた。冗談とも本気とも聞こえたが、日本から珍しい野菜のタネを持ってきて、自分の土地で作ってみないかと度々話していた。売る方はパリに知り合いのシェフが沢山いるから心配ないと・・・
流石、村長!チャレンジ精神旺盛である。当方も興味ある話である。

自家製マスタード

【マスタード】

今、取り組んでいるのは自家製「マスタード」の製造、販売だ。2週間に1回、2.000個作って販売している。こだわりを聞いたらビネガー(酢)にあるという。自家栽培のからしの実と、村で採取した蜂蜜を発酵させて作ったビネガーを和える。奥行きのある味で、日本で販売されているマスタード(西洋からし)とは異なる。パリには老舗のマスタード専門店があり、フランス料理には重要な香辛料である。肉料理にお洒落なスプーンやミニカップに添えられて出る。

住宅

【住宅】

壁面にはツタが這わされ、風格のある佇まい。

旧自宅ダイニング1

【旧自宅ダイニング】

フランス人は古いモノに価値を見出し、大切に保存している。村長は古い建物や景観の保存運動に、熱心に取り組んでいる。
フランス人好みの濃いローズ色の壁面は良き時代の雰囲気を漂わせる。
先代達はここでシャンパンやワインを飲みながら、充実した時間を過ごしたのだろう・・・

旧自宅ダイニング2

緯度の高いパリ周辺は冬が長く、底冷えして寒さが厳しい。
大きな薪暖炉が設えられている。

旧自宅ダイニング3

年代物の絵やグラスが並ぶ。

村長

【ビールバー】

村長は若い頃から大のビール党らしい。ヨーロッパ中から名品を買い集め、近所の人達を相手にこのカウンターでビールバーを開いていた。
「こんな風にね・・・」とボーズ。

どぶろく1

【どぶろく】

A子さんの提案で村長とフランス産「どぶろく」を仕込んだ。勿論、フランスには米麹は無いから、島根県出雲の酒蔵から取り寄せて送った。気温が上がると美味しい「どぶろく」が造れないので室温の安定した地下室で仕込みした。
瓶は運良く、地下室で見つけたと言う。昔、豚の塩漬けに使っていた瓶らしい。

どぶろく2

予想以上に香り豊かで切れ味の良い「どぶろく」に仕上がった。
村長は3日位前が飲み頃だったかも・・・と言っていたが、充分に満足できる出来映えであった。

キッチン

【キッチン】

招かれた友人達が思い思いに食材を持ち寄ってパーティーの準備が始まった。男性達も参加して、お喋りを楽しみながら料理を作っていた。

料理

【料理】

今が旬のホワイトアスパラ、魚介類を使ったあっさりイタリアン系?料理、サラダなど・・・塩味が少しきついが、ハーブやスパイスの使い方は流石センスがいい!

ガーデンテラス

【ガーデンテラス】

お洒落で別荘の雰囲気!

ランチパーティー

【ランチパーティー】

いよいよランチパーティーが始まった。先ず、型通りシャンパンが抜かれ『乾杯!』。すぐ隣がシャンパンの産地、シャンパーニュで兎に角美味しい。
絶好の天気、楽しい雰囲気も加わってあっと言う間にボトルが空く・・・シャンパン、白、赤と続いて、宴たけなわ。
残念ながら私はフランス語が解らないが、皆さん相当なお喋り好きだ。
柔道愛好家Jさんは「フランス人はみんなお腹が出ているが、僕はこんなにスマートだ!」とシャツ脱いで肉体美を自慢していた。皆さん、気さくで愉快な人達だ。

フランスチーズ

【チーズ】

フランスは食事が終盤に近づくとチーズが用意される。
この日もチーズの仕事をしているというMさんが十数種類のチーズを持ってきた。大変美味しいが、満腹に近く、あまり食べ慣れていないので彼らの様に沢山は食べられない。ナイフで適当な大きさに切って、ワインを楽しむのが流儀だ。
チーズの種類によってワインの味わいが微妙に変わる。

フランス人の子ども

【躾け】

奥さんやお子さん達も一緒に来たが、別のテーブルで食事をしていた。フランス人は躾けが厳しく、子供達が電車内や食事中に大声を出したり、走ったりすると直ぐ注意される。何処に行っても静かでマナーがいい。
レディーファーストは当然徹底しているが、ついつい日本流の地がでてしまい、恥ずかしい思いをする。
子供は色白でお洒落。お人形さんのように可愛い。

【コメント】

短い時間ではあったが、フランス農家の生活の一端を知ることが出来た。日本の農村と比べれば、他人の事は余り気にせず、マイペース派が多い。都会人と比べ実直で素朴なことは日本人と変わらない。ゴルフ場は沢山あるが、パチンコ屋や温泉施設など庶民の娯楽施設は見かけない。フランス人の娯楽は映画で、映画のTV番組は早朝から深夜まで非常に多い。高速道路、鉄道など交通インフラはよく整備されている。買い物、旅行などは何処にでも気軽に行けるが、自宅で気の合う仲間が集まって気ままに料理を作り飲むのが日常の楽しみ方なのだろう。昔の日本もこういう風景が見られた。今は便利になりすぎて居酒屋や焼き肉チェーンなどがあちこちに出来、「自宅で・・・」と言うのは敬遠される。高齢化や個人主義の高まりで農家の集まりが減っているが、お互いにもう少しコミュニケーションの機会を作り、刺激し合って意欲を高めたい。

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