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中国河南省「農業と食」見聞録 (6)将来に向けて・・・

IMG_0602.JPGのサムネール画像(画像)世界遺産:少林寺

中国と一口に言っても広大な国土、多様な気候、多民族、世界最大14億の人口、社会主義と資本主義の同居、所得格差・・・・巨大すぎてどれが本当の中国なのか掴みつらい。今回訪ねた河南省は中国の主要民族、漢民族が殆どで、歴史的、文化的にも代表的な中国と言って良い。

中国と日本は近代~現在に至るまで日中戦争を経て数々の摩擦が続いてきた。経済的に相互互恵関係にあるとは言え、一般的に日本人が中国人に抱くイメージは厳しく、警戒感は消えない。特に競争力の弱い農業や中小企業の多い地方は、この傾向が強い。

 

ところが、この半年間に起きた事件で、事態は急変した。ハイテク産業から農業、中小企業、観光、運輸業、小売業・・・気が付けば今や中国を抜きにしては語れない、いや大袈裟に言えば、成り立たない業種が出てきた。尖閣問題以降、ハイテク産業に欠かせないレアアースの大幅輸出削減、中国人観光客が激減、どんなに努力しても、物やお客さんが来なければ経営が成り立たない。農業も中国人労働者が来てくれなければ縮小せざるを得ない生産者もいる・・・日本で生産している電子部品が無ければ中国の多くの自動車は完成しない。経済はもう国境を越え、少なくともアジア地域はEU経済圏と同様に、相互依存関係が深化、拡大しているのである。

日本とは政治体制も文化も異なる中国に、違和感を持つのは仕方がない。お互い様である。しかし、歴史的にこれ程、結びつきの深い国は他に無い。漢字文化を共有し、宗教、思想、文学、技術面でも大きな影響を受けてきた。本来は最も相互理解しやすい関係にある。貿易相手国として世界最大となり、もうお互いに切っても切れない関係となっている。今回の事件でこのことが証明された。

 

河南省の方々とお会いし、一緒に酒を飲み、食べ、語り、彼らの本質が少し理解できた。彼らは、地方都市の2030歳後半の若手だが、40年くらい前の日本人と共通した点がある。上昇社会が故、将来に希望を持ち、意欲に溢れている。努力すればリターンがある。以前描いていた社会主義のイメージはここには無い。指導的な立場にある方々も日本と比べて格段に若い。歓迎会に出席して頂いた知事さんは38歳だという。

反日デモなどの映像を見て「中国は反日的」、「危ない」と思う日本人も多いが、14億人の中にはその類の人達も確かにいる。内陸、山岳農村部では日本がどういう国なのか知らない人達も多いと思う。しかし、親日家も多く、日本人を尊敬し、日本に憧れている人も多い。特に若者達は「日本に行ってみたい」と話す。私は10回近く中国を訪ねているが、「反日」で嫌な思いをしたことは一度もない。確かに政治的場面では、それぞれ国内事情、国益を抱えているから、いつも仲良しと言うわけにいかない。中国は人権、言論の自由、格差問題、一部役人の腐敗など国民の不満が溜まりやすい。ガス抜きの目的で、外交は厳しい対応する場面が多い。これは中国に限らず、世界共通だ。

 

「賄賂社会」というイメージも抜けない。確かにその類の話しはよく耳にする。何処までが賄賂なのかは解らないが、歴史的に権力者に「貢ぎ物」を差し出し、便宜を図ってもらう図式は何処にでも存在する。日本では「心付け」「餞別」「歳暮」「中元」などお礼の習慣がある。お礼の習慣がエスカレートして、裁量権を持つ人が暗に要求する「賄賂」に変質した。日本では贈収賄事件は、次第に法規制が厳しくなり減った。民間企業では「コンプライアンス」(法令遵守)が浸透し、地位を利用した取引は影を潜めた。しかし、未だに無くならないのは人間の性であり、ある程度は仕方がない。ネット社会になり内部告発などで支配層の不正が暴かれ、アジアや中東、アフリカでは政権打倒、民主化運動が相次いでいる。中国は国際機関に加盟し「国際標準」つまり「法治社会」を目指し、次第に改革が進んでいる。悪質な贈収賄事件では極刑もある。ただ、何千年も続いてきた伝統、文化の人治社会が短期間で変わることはない。日本でも以前は「人治社会」特有の縁故入学や縁故就職が半ば公然と行われていたが、今はあまり聞かない。

 

身内や友人、知人、お隣さんを大切にする「義理、人情」は、日本人の美徳でもあったが、次第に希薄になってきた。明治以来、西洋から民主主義、議会政治を学び、更に敗戦後、個人主義、男女平等、公平。バブル崩壊後は情報開示、透明性など「法治社会」に移行してきた。既にほぼ世界標準に到達した日本人が義理、人情の影が残る「人治社会」に違和感を持つのは不思議では無い。中国は改革解放を始めてまだ30年位である。急激な経済発展で、各所に歪みが起きていることは確かだが、日本と同様に試行錯誤しながら世界標準になって行くだろう。そう捉えれば、いちいち目くじら立てて批判することはない。隣人として相互理解を深めて行く事が大切である。

 

彼らと政治の話しもした。国民の大多数は、政治体制に不満を持ちながらも、経済的に豊かになったことを実感していると言う。経済的に失敗したと言われる毛沢東時代より遙かに豊かになった改革、解放路線が支持されているのは当然である。米国基準で言えば、言論や政治システムに問題があると指摘されるが中国の実情から考えれば、米国基準だけでは安定した国運営が出来ないことも確かだ。政治への不満は何時の時代にも、何処の国にもある。地球上20数%の人間が住む国を一つの政府がコントロールするのは、有史以来初めてである。

他国のことを批判するのは簡単だが、少子高齢化、国民生活の質低下、財政悪化、競争力低下、政治不信、打つ手が限られる日本の将来をもっと真剣に考えたい。

中国とはじっくり本質を見極めながら、相互に補完し、発展できる関係を作らねばならない。

 

震災前までは日本からアジア向けに高品質農産物を輸出し、国内農業を元気にする道筋を立てていた。しかし、原発事故でその筋書きは崩れた。原発事故は当分終息する見込みは無い。

従来通り内需に頼れば、デフレトレンドを睨みながら、下降社会への道を歩まねばならない。震災復興費の発生で農家所得保障の先行きは怪しい。子供手当も国民の反対論が根強く、子育て世帯の家計は厳しい。増え続ける高齢者が頼みの綱としている年金は、支給額が減少傾向で、先行きは心細い。

もうここまで来たら、農業もアジア圏の成長に相乗りする以外になさそうだ。アジア圏で、最も速効的、インパクトのある国はやはり中国である。今回レポートした様に、世界経済ショックを乗り越えて成長が続いている。バブルと言われ続けながらまだまだ、消費(内需)の懐は深い。主力のモノ作りは世界経済の影響を受けやすいが、人件費が上がっているとは言え、既に将来は南アジアに生産移転を睨み、したたかに先手を打っている。活力、競争力は健在である。

 

問題は、足元の日本だ。

高度成長、バブル期を経験し、GDP世界2位という過去の栄光と驕りから抜け出せない。得意だった産業は敗退が続いている。異論は多いだろうが農業も他の産業と同様に、グローバル化を進め、需要の伸びるアジア圏に将来の成長を見いだす時期に来ている。

日本がリーダーシップを取って、資金、優秀な技術と人材を投入し、アジア圏で農業再構築を図らねばならない。既に中国を始め、アジア圏には日系量販店やコンビニ、外食関連企業が続々進出し、販売インフラは拡大している。農業資材、機材関連企業も既に進出している。残るは農業人(ソフト)の進出である。

 

農業を海外で展開するには、どの様な問題があるかは現地で走りながら検証し、解決して行かねばならない。日本の産業競争力が落ちたのは、「内籠もり」(島国根性)、「腰の重い体質」が原因と指摘されている。世界競争では先ず、機先を制し、すべての条件を探り組み立てることが重要である。リタイヤした中高年層にはマネイジメントを含めて優秀な人材が多く、出番はある。若人もアジアで活躍できるようになりたい。

今秋から、今回訪ねた河南省、同様の条件下にある遼寧省などの企業と連携し、イチゴやミニトマトの高品質栽培実証試験に取り組む。これらの地域は土壌、気候、水利に恵まれ、経済発展で高品質品の消費が増える。日本企業の滞在者が増えており、日本文化への関心も高まるだろう。具体策はこれから詰めるが、中国国内、香港、台湾などが販売ターゲット。決して簡単ではないが、将来の方向性として今から取り組まなければならない。

 

国内農業は、トレンドとして農家戸数も需要も減る。流通の統合が進み、更にコストダウンが求められる。安易、過剰な投資を避け、現行モデルの改善とフットワーク軽さで収益向上を図りたい。組織に入り、力を合わせて安定供給で勝負するか、自らオリジナルの農業を切り開いて世に問うか・・・二者択一である。

 

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