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自由貿易への道 ③産業の傷みと農の痛み・・・

 主要産業が日本と競合する韓国は、現政権に変わって自由化促進政策が加速し、米国、アジアを始め、EU、中東、南米、豪州など世界中に自由貿易の橋頭堡を築いている。自由貿易で影響の大きい農業には手厚い振興政策を実施していることは前に書いた。隣国に中国という巨大市場と低価格農産物と向き合う事情は日本と同様であり、農民のジレンマが続いている。

 

日本製は確かに性能は優れているが、機能が多すぎて使いにくく、高価格など世界市場ニーズに応えられなくなったのが敗因と言われている。以前は国内市場で十分利益が出ていたから、世界市場に打って出なかったという面もある。国内に閉じこもっている産業は、内需減少の影響を真っ向から受けて衰退の道へ向かう。

衰退が始まると、最大の経営資源である技術者、労働者が解雇され、優秀な人材は中国や韓国企業に流出していく。長年培ってきた「ノウハウ」は、団塊世代の高齢と共に、毀損していると識者は指摘している。

 

 EU統合で相互に関税を撤廃し、その国に最も適した競争力のある産業を育て、EU一丸となってアメリカに対抗しようとした試みは、域内の産業を活性化し成功した。その陰で中小農民の一部や弱小分野の雇用が失われた事は事実である。しかし、農業は、大規模化や高付加価値化が加速し、積極的に対応した生産者は競争力を強めた。

 

 世界競争激化の中でトップブランドフランスワインも、国内に留まっている時代ではなく、海外に技術移転している。需要が急増している中国ではフランスワイナリーの技術支援を受けて作った安くて美味しいワインが人気だ。

 

 自由化で確かに農への痛みはある。しかし、記した様に何処の国の農民も痛み止めを飲みながら、改革を進め国益に協力している。このままでは産業競争力は低下し、傷みが更に深刻化する。貧困による消費減という究極の激痛が走る。税収がなければ所得保障、農業への支援策など吹き飛ぶ。

 

自由化=農の壊滅論では日本の未来は描けない。産業競争力を犠牲にして農業を守ってみても繁栄は無い。

 

11月は、ボージョレヌーボー解禁月でワイン業界は販促に躍起になる。ボージョレは昔から「あまり美味しくない・・・美味しいわけがない」と思っているので、最近は飲んでいなかった。先日、親しいソムリエがボージョレの葡萄栽培~発酵まで徹底的に見直して作った生産者のワインだからと自信ありげに注いでくれた。顔なじみの客も最初は「ボージョレはパスだね・・・」と言っていたが、試飲して品質向上に感嘆した。ボージョレは元来、美味しい産地ではないため、「新酒」という価値で売ってきたがイベント価値だけではマンネリ化し、売り上げはパッとしなくなっている。危機感を持った小規模生産者達が活路を求めてこの様なこだわりワインを作ったらしい。

 

フランスの代表的農産物ワインは、自由化でスペイン、新大陸(アメリカ、南米、オーストラリア等)の低価格ワインに押され、低品質生産者は窮地に陥った。最近の報道では、低品質品は淘汰され、高品質品への転換が進んで、再び活気を取り戻しつつあると言う。保守的でプライド高いフランス農民はEU統合という歴史的な環境変化の中で、様々な工夫を重ねながら高付加価値品への転換を急いでいる。

 

4月にEU統合とフランス農業について書いた。

 

日本の富を築いてきた電子産業は、「電子立国」というお題目を掲げながら、この10年で韓国、台湾などに追い越され、ボロ負けである。日本が得意としていた半導体、液晶パネル、テレビは世界市場シェアの大半を韓国、台湾に握られ、パソコン、白物家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)も中国の追い上げで最早、質、量とも圧倒されつつある。携帯電話に至っては完全に世界競争から脱落した。

 

 1月にフランスバスクで、日系農機具メーカーの販売店をしていたロシア系フランス人Mさんに会った。彼は、販売先のスペイン側中小規模農家の廃業や倒産が相次ぎ、見切りをつけて店を閉めた。今は奥さんと僅かな借地農園で野菜を作り、近所や朝市で売りながら生計を立てている。どの程度社会保障が充実しているかは解らないが、地域の人達に支えられて楽しく暮らしている姿が印象に残った。聞いた話では、自由化で価格競争が激化し苦境に喘いでいる農家も多い一方、石灰岩を多く含む特有の土壌を生かして味の良いワインやリンゴ、柑橘類を作る生産者、補助金で養液栽培トマトなどを作りEU各国に販路を広げて逞しく生きている生産者も多いと聞いた。彼らは伝統的に自分の持っている資源を上手に使い、オリジナルのモノを作る才能に長けている様に見える。

 

 富の源泉であるお得意「産業」が国際競争に敗れては「農業」云々以前の問題である。農業はGDP1.5%しかないから・・・とは言わないが、もう一度、真の国益とは何かを問わなければならない。

 

 日本の次世代産業と言われる環境ビジネスも、最大の市場である中国で次々と韓国に追い上げられ、敗れている実態が先日TVで放映された。日本の技術が勝っていても、コスト、販売戦略の面で遅れをとっていると言う。すべての面で意気込み、スピードで後塵を拝している。

 

 自動車産業はエコポイントと新興国需要で盛り返したが、円高で再び海外にシフトし始めており、肝心の雇用へのインパクトは弱い。海外移転で取り残された中小零細企業は、緊急経済対策などで何とか急場を凌いできたが、主要産業の仕事が減っては経営が成り立たない・・・大ピンチである。

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