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在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (4)トマト談義

20120529114721_00014.jpg ■土作りについてのお考えは?・・・

〈作物の健康は健全な土壌からが基本と考えています。

ココペリは、土壌の再生を目的としたプロジェクトにも取り組んでいます。折角、種子の保護改革に成功しても、この種を受け取って栄養を与える土壌が痩せていては健全な作物は育ちません。従って人々に土壌の健全さについて伝えていくことを大変重要視しています〉

 

■昨日、パリにある普通のスーパーマーケットを何店が視察しました。フランスも日本と同じ事が起きていますね。販売されている食料品の種類は豊富ですが、商品はどこも画一化していることを感じました。フランスでも大企業による量販店の広域チェーン展開が進み、安く大量に仕入れて競合店に競り勝つかが最重要課題となっている様です。

その流れを受けて生産者は、ハイブリッド種子、化学肥料、農薬、あるいは水耕栽培などを駆使して栽培効率を上げ、コスト削減を競っている事が商品から伝わってきました。本来の「食べ物を作る」というプライドと職人気質が後退し、競争に勝つためには何でも使わざるを得なくなっているのが現状でしょう。特に国内だけではなく、EU諸国、アフリカ、南米などからの輸入品も目立ちますから、価格競争は厳しい・・・。日本でも同じ状況が起こっていますが、幸か不幸か10数年前、輸入野菜に残留農薬が度々検出され、消費者、流通、生産者の安全性に対する意識が高まりました。しかし、日本は安全はタダ(無料)という認識が残っており、デフレ経済の影響もあり、消費者の安全性に対するコスト負担は進んでいません。フランスの状況は?・・・

〈農薬や化学肥料が使われる様になったのは、第二次世界大戦後のことです。戦争中に作られストックされていた大量の化学薬品が余っていました。そこでこれを農業に応用できないかと考えたのです。その結果、以前は肥沃だった土壌の生態系は急速にバランスを崩し、地力を失ってしまいました。ベトナム戦争の際には、自然と人間を殺傷するために、あらゆる化学物質が使われました。今日でも世界中で様々な農薬が使われています。危ないことが解っていても、一度使い始めたらなかなか止めるのが難しいです。だからこそ、消費者の教育に力を入れる必要があるのです。

例えばもし、消費者が真冬にイチゴやトマトを欲しがるのを止めたら、ハウス栽培や、水耕栽培をする必要も無くなります。エネルギー、農薬、化学肥料の無駄使いを止めることが出来ます。

特に植物にとって土は不可欠です。水耕栽培で土壌の中に根を張らないまま育つ植物には、本来持つべき生命力は宿りません。水耕栽培は、ほんの一部の人間達がお金儲けのために作り上げた知恵でしかありません。様々な分析を行った結果から判断して養分を与えれば、作物が出来ると言ってね・・・

フランス、ブルターニュ地方にあるサべオル(Savéol)社はトマトの生産と販売に関しては最大手です。冬でも水耕栽培のトマトを大量に生産、販売しています。選ぶ、食べるのは消費者の勝手ですが・・・〉

 

■私達は今朝、ランジス市場で、サべオル社のトマトが販売されている様子を見てきました。以前、この市場で18年間トマトの販売を専門に担当してきた案内人Jさんは、サべオル社のトマトは国産、且つ最高品質、水耕栽培ではなく環境にも配慮した栽培をしています。ランジス市場の中でも高価格で取引されるとの説明を受けましたが?・・・

〈とんでもない話です!

市場に勤めていた彼が言う「良いトマト」とは、つまり自分がより儲かるトマトということだったのでしょうね~。

サべオル社のトマトと、私達が作る地物トマトとは、味は全然違いますよ!〉

 

■日本では美味しさは糖度と酸味のバランス、食味、そして見かけの美しさで判断します。サイズが揃っていないと、流通に乗りにくい商品となってしまいます。フランスでも市場で見る限りでは、農作物の等級分けは行われている様ですが、では、ココペリが考える「良いトマト」とは、どの様なトマトでしょうか?・・・

〈ココペリにとって、クォリティの高いトマトとは、まず美味しいこと、外見、色、そして病気に強く、気候や土壌の違いに対して広い対応性を示すものです。私達の商品の中では、トマトの種が最もよく売れています。現在保存しているトマトの品種は650種類におよびます。その中でも品種によって、極早生、早生、晩生など収穫時期の異なる様々な品種が存在するので、これらを組み合わせることで栽培する量や時期などを調節することができます〉

 

■それらは基本的には露地栽培用ですか、ハウス栽培用ですか?・・・

〈両方あります。日本は湿度の高い国なので、病害を避けるためにも、トマトはハウス栽培が向いているのでしょう。トマトは病気に弱いですから、私たちも発酵させた西洋イラクサなどの有機物質を活用して強い苗に育つ様、しっかり世話をします〉

 

■ココペリの種を使っている人たちは、天敵昆虫などを使って害虫の発生を制御していますか?・・・

〈その様なものも使います。2種類以上の花、野菜、ハーブなどを組み合わせて植えるコンパニオンプランツといった手法も活用しています。これは昔から、百姓達の間で民間伝承されてきた非常に貴重な手法です。植物はお互いに助け合って自らを保護する方法を知っているのです。だからこそ様々な作物を混植して畑の中の生物多様性を豊富にしていく事が大事なのです。例えば、花をよく咲かせる植物を野菜の近くに植えることで、昆虫を自然に引き寄せることができ、結果として受粉の機会が増える、といった具合に・・・〉

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

 

■私は昨年、フランス、ボルドー地方原産のマルモンドトマトという品種を日本の農家に依頼して育ててみました。収穫は出来たのですが、サイズにかなりばらつきが出たので、残念ながら商品化には至りませんでした。これも原種のトマトですか?・・・

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/column/post-60.html

http://www.e-yasai.com/blog/post-62.html

〈マルモンドのトマト(正確には栽培が始まったのは1863年から)は、とてもクラッシックな品種です。味も良いことで有名です。この地方で栽培されているトマトにもいくつか違う品種があります。その中でサンピエールという品種は私達も販売しているのですが、これはよく売れます。トマトでもズッキーニでも、量販店で販売されている品種は、種類に乏しく、どこも同じものであることが多いです。それはあまり好ましいことだとは思いませんね。大学で私たちが行う講義に参加される方や見本市にいらっしゃるお客様達は、トマトだけでもこんなに沢山の品種があるのか、と驚かれます。

アマチュア生産者の中でも、かなり多様な品種のトマトを育てているトマトコレクターと呼ばれる人たちは結構いらっしゃいます。彼らのお蔭でココペリは古代種のトマトの種を守り続けることができているのです。ピーマン(唐辛子)の種子の種類も豊富なのですが、中には年間1520袋程度しか売れないものもあります。それでも継続してくことが大切だと思っているので、生産をお願いするのですが、需要が低い品種は生産者の仕事量が増えてしまうので、コストがかなり高くつきます。決して工業的な方法は使わない、手仕事の世界だからです〉

 

■フランス人は野菜の糖度に対しては日本人程、煩くないでしょうか?・・・

〈フランス人の味の好みというのは、もっと多様なのでしょうね・・・糖度に執着するというよりは、むしろ様々な味のトマトが存在することの方が大事だと思います。酸味が強いもの、とても甘いもの・・・… 胃の調子が悪い人達のために酸味を抑え気味にしたトマト、様々なものがあります。例えば黒トマトなんかはとても甘く、酸味が少ない品種です〉

 

■ランジス市場で、クマトという名前の黒いトマトを見ましたが、クマトとは?・・・

〈クマトは、スペインの栽培者スイスに本社がある世界的アグリビジネス企業「シンジェンタ(Syngenta)のために開発したもので、本来ならば存在すべきでないハイブリッド品種です〉

 

■糖度の高いトマトがあったら日本でその種を販売、または試作用に購入することはできますか?・・・

〈勿論です!どうぞ、どうぞ!

欧州各地でクマトは流行しはじめていますが、ハイブリット種なので自家採取は難しいです。私達の提案する古くから作られてきた在来種の種は、確かに生産性の面では劣ることもありますが、種は続けて自家採取ができます。やはり、それが一番理想的だと思いますよ・・・〉

 

■日本で是非、ココペリの提案するトマトを作ってみたいですね。今日ランジスに行って、色、形が様々な品種のトマトを詰め合わせた商品にとても関心を持ちました。是非、日本でもチャレンジしてみたいです。日本ではまだまだ、トマトの種類は少ないですから・・・沢山は売れないと思いますが、品種の多様性を消費者に説明するツールになるとは思います。

〈是非、チャレンジして下さい!日本では、作付けのローテーション(輪作)は組んでいますかしていますか?〉

 

■トマトは、基本的には連作出来ませんよね・・・昔は日本でも作付けローテーションを頻繁に変えて、様々な野菜を同一圃場で栽培していました。現在は効率を優先しなければならない為、植え付け品目は減少し続けています。その結果、害虫や病害に強い交配種の価値が高まったのです。最近は種だけでなく、苗に接ぎ木をしないと土壌病に対応出来ない例も多く、手間やコストの上昇を招いています。

ところで、貴国で自家採取に対する規制が厳しくなるのは何故でしょうか?・・・

 

〈日本にはフランスの様に種の売買や利用に関する厳しい法律や規制はないのですか?〉

 

■勿論、種苗法という法律があり、規制されています。種苗登録された種苗は、販売目的には権利者の許諾なしには増殖できません。一部の作物(馬鈴薯などウイルス感染のリスクのある物など)は規制されています。これら以外は自家採取可能です。しかし、種子は種苗会社から購入するという習慣が定着しています。輸入品種に対しては植物防疫検査が課されます。輸出元で種子消毒を施した証明書があれば大丈夫だと思います。ココペリの種はすべて有機認証機関の審査を受けた認証マーク【AB】が付いていますが、熱消毒をしているのですか?・・・

〈消毒をすることで種に悪影響が出るため、していません。オーガニック農法で管理された農場で採種していますから消毒しなくても、全く問題はありません。熱消毒は下手をしたら種子が死んでしまう可能性もあります。

繰り返して聞きますが、日本では本当に種を栽培し販売してしまっても大丈夫ですか?〉

 

■先程、お話しした様に、一部以外は大丈夫です。(種苗法参照)

以前は地方に独自の伝統品種があり、盛んに自家採取が行われていました。現在は種苗会社がそれらの品種を採取して、家庭菜園や直売場向けに販売しています。ハイブリット種子の定着で、在来種は専業家向けには殆ど売れなくなりましたから、商売的なメリットは少ないかも知れません・・・

フランスでは各農場で自家採取された種を全体利用量(播種量)の10%以上利用してはいけない、という法律があると某研究者から聞きましたが、それは本当ですか?・・・

〈はい・・・確かにEU加盟国にはそのような規制が義務付けられています。ただ、すべてに対して10%という数字が課されているわけではなく、品種や経営規模などによって変わってくると思います。規制が複雑なので、詳しくはフランスの専門機関等が出した資料で調べてください。いずれにしても一定の割当量があり、守らない者には罰金が科されることは確かだと思います。

 

■ということはほぼ強制的に、農家は種苗会社から種を購入せざるを得ない・・・ということですね?・・・

〈そうです・・・その上、フランスでは穀物などの大規模農場は、衛星から品目ごとに何をどれだけ作付しているか、監視されている状態です。ですから各々の生産者によってどれだけの種子と農薬が必要となるかは監視機関が把握しており、これらの購入と利用が強要されている状態です。規則を破っていることが判ると、洩れずに罰金が科されます〉

 

■日本も衛星からまる見えです。北海道の水稲は衛星データーによって食味が推定分類され、地区毎に買い上げ価格がランク付けされています。

罰金既定は有機栽培を行っている耕作地でも課せられますか?・・・

〈慣行農業を行っている面積と比べたら有機栽培は、ほんの微々たるものです。2011年秋、欧州連合の課金制度が改正され、自分自身が許可を申請して獲得した品種の種子に対しても特許使用料(税金のようなもの)を支払わなくてはならない制度になりました〉

 

■日本では水稲も馬鈴薯も、種籾または種芋を購入して栽培する場合が殆どです。ただし品種にもよりますが、「作れない」か」「作らない」のかと言えば、「作らない」というケースの方が多いと思います。要するに交雑の問題があって、結局買った方が結果的に安いからです。現在使われている種子の殆どは、ハイブリッド種だと言うことです。

 

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