

今年も世界的に色々な事件や異変が起こり、波乱に満ちた1年であった。国内では大震災、津波、原発事故、記録的大雨、日照不足、気温変動など、人間の知恵や力が及ばない自然の猛威に翻弄された。考えてみれば毎年、大なり小なりこの繰り返しである。近年、地球温暖化が気候変動の原因とする共通認識が定着したがCOP17の結末が示す様に人間のエゴ、目先の利益追求は容易に止まらない。
日米欧先進国の財政危機も、国内外の利害が複雑に絡み合って、的確な対応策は打てず、世界経済の先行きは未だ不透明である。
日本の経済が良くならなければ消費は停滞し、農業も盛り上がらない。農家も世界経済の動向に関心を持ち、グローバルな視点で未来を考えて行きたい。
11月下旬から青森(津軽)、北海道方面を歩いてきた。これらの地域は国内でも経営規模が大きく、基本的に稲作、畑作中心の農業だが、減反政策で、トマト、メロン、スイカなどの果菜類や大根、人参、長ネギなど露地野菜が増えた。現地で聞いた話しを書く。
(果菜類)
トマト、メロン、スイカなど果菜類は、春先の天候不順で生育出遅れが目立ち、一部大雨などの被害もあって切り上がりも早かった。従って通期で品薄傾向となり、例年の様に盆前の暴落場面もなく、全体的に高値で推移、総じて生産者の顔は明るかった。高騰したトマトなどは、天候異変で品質が低下した産地は市場で買い叩かれたという話しも聞いたが、今年の様な品不足の年は、品質は二の次、出荷した者勝ちの様相は否めない。
メロンはギフト需要の低迷が懸念されたが、出荷量が限定的だったため、まずまずの価格で推移した。スイカも高気温に支えられて好調だった。
この所、余り元気の無かった胡瓜やピーマン、茄子の産地も息を吹き返した。全国的な収量減と東北主力産地(福島、岩手)の出荷減で需給が締まり、堅調相場が続いた。但し、需要が伸びている訳ではないので、来年もこの状態が続くか否かは定かではない。
果菜類は管理に手間がかかり、ハウス用パイプや被覆資材が値上がりしているため、新規投資して規模拡大する生産者は余り見かけない。今後の栽培面積は現状維持か暫減傾向。高齢化で減反、廃耕する生産者もじりじり増えているが、品種改良や栽培技術の向上で、面積減分をカバーしている。出荷減は頻発している気象災害の影響が大きい。
経営規模としては、家族労働中心でトマト50㌃、メロン1.5㌶、スイカ2.5㌶、パート雇用でトマト1㌶、メロン3㌶、スイカ4㌶が目処である。一時増えた大規模企業化農業は、収量や価格変動が大きい上、収穫期間の短い北国では採算的に難しい。特に有利販売を目指すトマトは、安定した高品質が求められるため、大規模栽培すると管理が行き届かず、ロスが多発して、収益が伴わない事例が多い。
メロンは品種改良が進んで春から秋まで栽培できるが、大規模栽培すると適期管理と労働力の配分が難しい。ブランドメロン産地夕張市のKさんは4㌶のメロンを作っているが、2月頃から11月迄外国人労働者を雇用するため、メロンの後作として、ホウレン草を作り、収入を確保している。
富良野でスイカを主力に経営している農業会社T社は、パートでは微妙な管理が行き届かないと、正社員を年間雇用し、プロの農業人育成に取り組んでいる。4~5年前、スイカ15㌶に挑戦したが、まだ管理技術が伴わず、病害が大発生して一旦縮小、メロンやアスパラガス、スイートコーンなど多角化に取り組んだ。 しかし、品目を多くすると労働力が分散して効率が悪く、販売も思っていたほど簡単ではなく、忙しいばかりで収益は上がらなかった。スイカのプロが育ってきたので来年は再び15㌶に挑戦する。品質については市場から高く評価されており、特に品薄になる9月出荷を要請されており、勝負をかける。接ぎ木ロボットの導入を含めて、徹底的な省力、低コスト化を図る。スイカは作柄、需要とも天候に大きく左右されるが、夏から秋にかけての高温化が定着し、この時期はライバル産地が限られるため成功する確率は高まっている。
(南瓜)
定植遅れと日照不足、大雨などが影響して全体的に品質不良、大幅減収の地域が多い。病害も多かったため貯蔵や輸送中の腐れが目立ち、特に道北産地では苦戦した。数年前より果皮にイボ状の突起がでる病気が増えており、出荷歩留まりに影響している。ボルドー液などの散布で対応出来るという話しもあるが、元来、防除回数は1~2回が限度。今後は防除対策を再検討する必要がある。
南瓜は5~6玉中心に仕上げないと農家は収益が上がらない。今年は品種にもよるが栗系は7玉中心の産地が多い。不作の割に相場は低迷し、一部のブランド南瓜を除いて厳しい年であった。九州で抑制、貯蔵南瓜がジリジリ増えており、今後、道産、西南暖地、輸入品の棲み分けが課題となりそうだ。
量販店は11月以降の道産品は傷みが早いので、今年度は早めに見切りを付けて、輸入品にシフトしたという情報もあった。
また、今年度の小玉傾向と、店頭価格を大幅に下げるため、7・8玉サイズを主力に販売する量販店が増えているという(産地業者の話)
(玉葱)
主産地空知、富良野は定植遅れと大雨の被害で大幅減収、北見、斜網地区は雹の被害が懸念されたが平年作に近いという。不作の割に相場は上がらず生産者の表情は厳しい。
JA担当者の話では「昨年は異常な高値、今年は昨年に比べると安いが、平年並みの値段です」と話していた。玉葱は納入価格がある程度決まっている加工向けが多いため、昨年の様に暴騰すると業者は赤字となる。その為加工用として、産地と数量と価格を事前に決めて、毎年、国産品を一定量供給、輸入品の突出流入を防ぐシステムが構築されている。しかし、昨年の様に極端な減収、市況暴騰があると、取り仕切っているJAに対し生産者の不満が強まり、安定集荷が難しくなるという。
加工業者は昨年の暴騰に懲りて、一部輸入品を増やした様だ。
(馬鈴薯)
昨年に引き続き不作だが、青果用は販売不振で相場は低迷している。量販店売り場では、馬鈴薯は惣菜に使う業務用が拡大している。「買い」の問い合わせは殆ど業務用で、価格の安いSサイズやB、C品。青果販売用の馬鈴薯はブランド品を別にして苦戦が続いている。
(人参、大根、牛蒡)
青果需要は長期低落トレンド。伝統的な野菜であるから、業務用に活路を見出すチャンスはあるが、単価的には厳しい。いずれにしても大規模低コスト栽培か、小規模こだわり栽培が基本となっている。
天候不順で作柄、相場とも不安定で、技術のある生産者は契約栽培の道筋を付けたい。
世界競争の中で圧倒的に不利な作物は、土地利用型、つまり大規模低コスト栽培の穀物類である。自由貿易交渉でいつもこの分野が攻められる。穀物は自国の安全保障に係わる重要作物であり、簡単に譲歩することは出来ない。さりとて、3~5倍もある内外価格差は解決不可能な水準であり、自給も米以外はままならない。
米、麦、大豆、トウモロコシ(飼料)、菜種(採油)、甘味作物(砂糖)、芋類(澱粉)・・・昔から作ってはきたが、国際競争に耐えうる穀物は見出せない。。
強いて言えば、伝統的に慣れ親しんだ食味と品質、国産という安心感がある。効率化して生産コストを削減することは当然だが、方向性は「商品価値」の向上が基本であり、内需だけではなく海外需要を含めて新規開拓に挑戦したい。穀物は単価が安く、単位面積当たりの収入が低いから、投入資金は限られる、天候要因も大きく係わるから、大きな改善は期待しにくい。しかし、生産者としては現状に甘えず、最大限の努力が求められる。
(水稲)
安定した売り先があればJAS有機や特別栽培も選択肢であるが、近年の気候変動で病害虫リスクが高まり、防除について充分検討しないと収益向上に結びつかない。但し、安全指向に変化はないから、病害虫発生の少ない地域では、検討の余地はある。当社では生産者の状況をお聞きして栽培提案を行っている。創意工夫と販売先の開拓意欲があれば取り組みは可能である。栽培も販売も最低3年以上頑張らないと先が見えてこないから拙速は禁物である。本格的に取り組むには設備投資の問題が出てくるので、先ずは栽培技術をマスターしながら売り先を開拓するのが無難である。業務用(レストラン、給食、弁当など)は食味と価格のバランスが良ければ契約価格で安定した販売が期待できる。家庭飯米用は需要減傾向が止まらないから、小口客を深追いすると手間や送料が嵩み、採算が厳しくなる。
一般的には慣行栽培でコストを抑え、品質と収量を上げたい生産者が大多数だと思う。
品種選択以外は育苗と肥培管理がポイントとなるが、今後は更に大規模化が進むから細かい管理は不可能であろう。水稲農家は同じ土地で長年作っているから、水田の特徴を把握している筈だ。今までの状況と天気予報を勘案して元肥の量を決めるのが精々である。最近は蛋白値(食味値)により販売価格が決まる場合も増えているので、窒素成分を控える傾向が強い。昔は単肥配合で田により微妙に調整していたが、今は殆どが地域汎用配合で、施用量の調整が限度だ。使う原料は大体決まっているから、平年の天候ならば食味が云々という程の差はでない。但し、原料の組み合わせ割合と天候との関係で品質に影響する場合があるから、配合内容は見極めたい。
化学肥料をベースに食味を良くし収量も確保するには副資材が使われる。大きく分けると水質改善、菌体、有機質(アミノ酸)、ミネラルなどとなる。米の食味改善に関してはいろいろ研究されているが、圃場と天候次第という面もあるので決め手はない。農家で使われている資材は炭、嫌気性菌、ぼかし肥料、骨粉、魚粕、米糠、グアノ燐酸、貝化石、粘度鉱物、にがり、海藻・・・・など多様である。どの資材もある程度以上の量を使わないと実感できる効果は期待しにくい。一般的に使える副資材は反当3.000~5.000円程度と思われる。
副資材を使わずに一発施肥で効果を上げる資材はないのか・・・こんな思いで「PK配合」を企画し試験を始めた。
「PK配合」は燐酸、加里、苦土、石灰、マンガン、ホウ素、硅酸などを含む鶏糞燃焼灰、パームアッシュ(ヤシガラ燃焼灰)をベースに、窒素源として尿素、硫安、燐安、混合有機質肥料などを配合している。燃焼灰は酸処理で中性に近く、水溶性とく溶性溶性を含んでいる。
代表的な配合例(保障成分)は
窒素・・・12%
燐酸・・・18%
加里・・・10%
2011年度は北海道(空知、渡島)、岐阜県(飛騨市)で予備試験を行い、生育と収量は慣行と比較して遜色が無いことを確認した。食味については準備不足で、今回は結論が出なかった。試験してくれた農家は「充実が良いのでくず米が少なく収量もあった。食味も良いのでは・・・」と話していた。来シーズンの結果に期待したい。
(小麦)
コスト対効果を現状より上げるには「ミネラルPK」と硫安の組み合わせが最も良く、十勝では実用化されている。特に燐酸吸収係数の高い圃場にお奨めしたい。
(大豆)
有機成分(ぼかし)を含むPK配合(3-24-13)を作り試験した。試験区、対照区共に播種後雨続きで発芽がばらついたため、収量比較が出来なかった。順調に発芽し生育した株の状態を見ると着莢数が多く、期待できそうだ。
穀物はコスト最優先であるから、輸入化成肥料も選択肢である。ただ輸入は1コンテナ1000袋単位になるので、もう少し小ロットでと言う要望があり300袋(海上コンテナ)または250袋(JRコンテナ)単位で取り組む。
配合割合は生産者の希望により決められる。
(画像)
PK配合試験区・・・北海道樺戸郡浦臼町内
私は都市部に住み仕事柄、農村を歩いてきた。長年、農業の繁栄と衰退の現場を見てきた。衰退は地域により原因が異なるが、率直に言えば元気のない人は、自分の考えを持たず、主張せず、動かず、貴方任せの傾向が強く、時代の波に飲み込まれたと言いたい。地理的、自然条件が不利な地域はともかく、国、行政、組織に頼り切り、自分が経営者という自覚も欠如していた。「TTP?海外から安い農産物が入ってきて大変だ~どうしよう・・・」となる。しかし、現在は淘汰が進み、先見性のある農業人は既にこれをチャンスと見て「攻め」の体制に入っている。「今まで通り、何も考えない、行動しない」消極的な人達から、国際競争に勝てる農業人に視点を移さねばならない。
軸足を成長分野に置いて、先ず世界競争に勝ち、財源を確保することから始めないと何も出来ない。「俺たちも一生懸命働くから、競争力のある分野に稼いでもらい、もし天災や暴落で赤字が出た時は助けて下さい」という農業人もいる。歯を食いしばって働き、納税しているサラリーマンの中には優遇し過ぎるとの異論もあるが、食い物を心配している様では働けない。「お互い様・・・」保険と割り切って容認しお互いに頑張ろう。
販売サポートを始めてから、いつも気になるのは消費減である。消費減は都市部から始まっているから、昨年、あれこれ調べて書いた。この2年、農産物は相対的に不作で相場は高いが需要が伸びているという話しは聞かない。多くの仲卸は高すぎてモノが動かないとあきらめ顔だ。先日、デパートで対面販売している野菜ソムリエが、「4人に3人は価格優先」と話していた。デパート客がこんな調子だから量販店客は殆どが価格次第だろう。超円高が加わって企業は更に人件費を切り詰めている。消費環境の改善はいまのところ先が見えない。
大手輸出企業は国内生産に見切りを付けて再び海外移転が活発化している。周囲のサラリーマンの中には中国や東南アジア方面に海外勤務を命じられたという話しはよく聞く。先進国の大部分は内需が衰退トレンドにあり、今後も生き残りを賭けて成長市場への参入が続く。米国は先週、韓国とのFTAを批准し、5年後に両国はほぼ完全自由貿易となる。交渉が出遅れている日本は、主戦場米国、EUで関税、物流のハンディーを背負い、競合する産業は黄信号が点灯する。韓国内では日本と同様に大きな影響を受ける分野も多い。農業団体やバックとする野党の反対運動が盛り上がっている。失業率は上がり、貧富格差は日本とは比べものにならない位、広がっている。韓国は半導体や液晶テレビで世界を制覇し、今週のニュースでは高機能携帯電話でも米国アップル社を抜いたという。日本の看板だった電子産業は世界中で影が薄れ、欧米では忘れかけている。日本のドル箱的存在である自動車産業もFTA発効を機に、韓国車の切り崩しに直面する。
国際競争力が落ちれば日本の消費は更に縮み、安価な農産物しか売れなくなる。日本の農家は世界でも上位の生活レベルにあるが、消費者が弱っては維持も危ない。
TPP、FTA、EPAなど自由貿易は自分達の将来にとって毒にも薬にもなる。慎重姿勢も否定できないが、現状を考えれば、自由貿易で副作用は解毒しつつ、起死回生の薬効を期待したい。
重要なのは成熟期に入った日本で、新規を含めてどの産業に重点を置いて「財政」を立て直し、増大する社会保障などの出費に備えるかである。戦後の産業発展で国や企業、国民の資産は確かに増えたが、バブル崩壊で縮小してしまった。年金、医療、雇用保険などの積立金、埋蔵金も減少しており、一部の企業年金、健康保険組合は破綻して政府管掌保険に編入されている。収支バランスを取るため、毎年大量の国債を発行し、低金利で国内販売し約90%が日本国民、企業が持っている。しかし、国内の預貯金残高は減少に転じており、あと数年で買い付け余力が無くなるという。その後は海外の投資家に引き受けてもらうしかないが、高金利になると金額が大きいので、借金は雪だるま式に増えて行くと専門化は警告している。
直近で深刻なのは雇用が縮小していることである。雇用されても正社員ではなく契約社員が多く、収入は限られ、公的年金、社会保険の納付額は大幅に低下する。契約社員の約9割が年収200万円以下という。生活保護世帯204万に急増、年金支給年齢68歳に引き上げ、増税の検討着手など、国の財政危機は目前に迫っている。この様な社会到来で、農家が作った農産物がまともな価格で売れる保障は何処にも無い・・・・
この難局を乗り切るには先ず、ライバルが増えている従来型産業から未来型ハイテクに変えなければならない。人口減で内需では成長できないから、従来型はこれから成長する国々の需要を掘り起こし、取り込まねばならない。そのためには相互互恵の自由貿易で海外に出て行くしかない。しかし、農業の海外進出には食の安全保障を懸念して反対論が根強い。
今こそ大局観を持って小異を捨て大同につく英断が求められる。国際競争力が弱いと言われる農業だが、技術先進国であり、農業生産金額も世界5位の農業大国である。農民が自信を持ち、グローバルな視点で知恵を搾れば再生の芽は充分ある。例えば今まで多額の農業予算を使って育てた技術を国内だけではなく、海外の必要としている地域に提供し、収入源に育てる。技術を海外で生かすことは工業製品では常識である。相手国の経済発展に役立ち、日本製品の新規需要の掘り起こしにも役立つ。以前にも書いたが既に「日本食ビジネス」の海外展開が着々進んでいる。食関連企業はグローバル化を図らなければ、成熟した日本では成長出来ない。今後も投資は続くと思うから連携のチャンスはある。一筋縄ではいかないが、チャレンジ出来る人材の養成から始めなければならない。
「今の百姓にそんな事は出来ないよ・・・」という言葉をよく耳にするが、日本が発展できたのは「不可能を可能にした」先人達の情熱と、血の滲む努力があった。もう、ここまで来たら農業人は「甘え」「ぬるま湯」体質を捨て、今まで培った技術をフルに生かして国際競争に挑まなければならない。
先日、世界的指揮者小沢征爾氏が記者会見で「日本の若者はもっと積極的に海外に目を向け、出て行くべきだ。内向きは良くない」と危惧の念を述べた。一時、日本の若手音楽家の国際舞台での活躍は目覚ましかった。最近は中国や韓国など新興勢力に押され気味であることを懸念して述べたのだろう。
農業界は自分達の既得権を守るため様々な規制をかけ、新規参入をコントロールしてきた。そのツケが今、廻ってきたと言える。高齢化、過疎化、人材、労働力不足にやっと気が付いて政策が打たれつつあるが、対応の遅れは否めない。外国人労働者に来てもらうだけではなく、自ら相手国に乗り込むくらいの若手農業人を育てなければならない。
政権が交代して約2ヶ月、相変わらず課題は山積みである。宿題ばかり増えるが、「財源」や複雑な利害が絡むので、処理が進まない。「どうする、どうする」と言っている間に次の宿題が出る。政治、行政の現場は頑張ってはいるが、調整が遅れ、改善しない状況に国民の苛立ちは募る。戦後長く続いた繁栄は既に峠を越え、将来不安で国民も企業もますます守りに入り、活気が出てこない。米国、EU等先進国も同様で、破竹の勢いを誇った新興国も先進国需要後退では減速である。リーマンショックは大規模な財政出動で少し持ち直したが、今度はそのツケがまわり、米国の巨大な財政赤字、EU内のデフォルト懸念が表面化し、先行きは予断を許さない。世界はリンクしているから、米国、EU、中国、日本などの主要国が連携して手を打たないと景気は回復しない。
最近、経済至上主義による格差社会の弊害が指摘され「幸福度指数」なるモノが登場、今までの価値観、生き方を見直そうという気運が一部に出ている。鎖国論とは言わないが自給自足の「内向き論」もある。生き方は各人の自由だから否定しないが、経済規模世界第三位の日本は消極的な道は歩めない。豊かな消費生活に浸り切り、巨額の債務を抱えた国が「内向き」を選択するとしたら、世界経済はパニックになるだろう。確かに身の回りには急激な社会変化に対応できず、精神的にも経済的にも困難な生活を強いられている人達が増えている。その原因の多くは、グルーバル化と過度の自由競争にある。職や人間の絆を失ってしまった人達が増えたのは否定できない。しかし、ここで弱気になり、負け犬になるわけにはいかない。自分達が作った借金は歯を食いしばって返済し、末代に残してはいけない。経済パニックを起こして、世界の何の罪もない人達に迷惑をかけてはいけない。みんなで奮起して頑張り、再生の道を歩まねばならない。特に若い世代には檄を飛ばしたい!
以前、日本企業の快進撃によって欧米では自動車や電機産業が大打撃を受けた。仕事を失った労働者が、あちこちで反日デモを繰り返し、日本車やテレビを焼き討ちした事件も起こった。しかし、日米欧政府は自由主義経済を基本とし、摩擦はあったが極端な政策を控え、ITやバイオ、宇宙など最先端産業を育て、危機脱出に成功した。自動車界の雄であったGMは、保守的な労働組合を擁していたため自己改革が遅れ、時代の波に飲み込まれ破綻した。デトロイトの街に大量の失業者が溢れたニュースはまだ頭から消えてはいない。自動車に限らず世界中のすべての業界が凌ぎを削り競争している。我が国も自由主義を標榜して発展してきたからには、今後もこの原則は変えられない。
再びTPP論議が高まっている。TPPについては農家の関心が強く、昨年夏から各方面に取材し、ブログで紹介してきた。TPP参加交渉はいよいよ来月、APEC開催迄に、結論を出さねばならない。与党内の一部は「中小企業や農林水産業への影響が大き過ぎる!」と交渉参加に反対している。専門家の中には、米国のTPP参加要請は来年秋の大統領選対策で、日本には殆ど利益は無いと言い切る人もいる。内容が少しずつ明らかになってきたが、米国の狙いは農産物解放要求にあることは論を待たない。日本のメリットは工業製品の関税撤廃であるが、為替操作(円高)で帳消しされる可能性もあると指摘する。米国農業は輸出増加で活気付き、大量の失業者が雇用の受け皿となり、一石二鳥のシナリオが描かれていると指摘する。確かに中国も韓国も参加しないから米国の農産物輸出先は日本に向けられる。これでは韓国が選択した二国間FTAでも良いのではと疑問を呈する。
いずれにしても、TPPだけが問題ではない。各国の経済活性化のためすべての分野に自由競争原理を取り入れてお互いに経済成長を目指そうという流れである。FTA、ATPも自由競争原理は変わらない。
果菜類の多くは秋になると、割れやすくなる。いわば次世代に命をつなぐ生理現象で、種子が入っている果実を自分で割って地表に落とす。夏秋トマトは彼岸を過ぎる頃、割れが目立つ様になり、減収の原因となる。品種改良が進んで以前より少なくなってきたが、美味しい品種にこだわる農家は簡単には乗り変えられない。
特にミニトマトは、輸送途中も割れが発生しやすく、クレームが付き易い。品種格差はあるが、一般的に割れにくい品種は果皮が固い傾向があり、皮が口の中に残って食感が劣る。割れが多くては商売にならないから、色々な方法が提唱されている。
安直な方法は、サクランボなどに使われている割れ防止剤。ミニトマトにも登録があり、安心して使える。土壌潅水と葉面散布両用だが、割れ発生時期から大凡1週間位前から毎週1回継続散布する。発生してから慌てて散布しても効果は出にくいから、必ず継続的に散布する。コストは多少かかるが、収穫歩留まりが上がれば安い。いずれにしても割れの発生原因をキチンと把握して、対応することが肝要である。
【裂果発生原因と基本対策】
① 水分や肥料分を急激に吸収すると割れる。
秋になったら液肥や潅水は一度に多く施用しないで控えめにする。秋雨などが続いて過湿状態になると割れやすくなるから、外から湿気が入らない様に心掛ける。
② 日中と夜間の温度差が大きいと割れやすくなるから、日中は換気を十分にし、夕方は早めに閉めて夜間温度を保つ。
③ 秋に草勢が落ちると種族保存本能が働いて、果実が割れやすくなる。根張りが良く、草勢バランスの良い元気な樹は割れが少ない。長段収穫で秋まで安定した収量を上げるためには、やはり安定した土作りで草勢バランスを健全に維持する事が基本となる。
北海道後志の農業会社Y社の話しでは、今年も周辺では割れが多発しているが、自社の出荷実績を見ると土作り、施肥の仕方で発生割合に大きな差が出て、メンバー達の話題になっているという。
同社は割れに強く、作りやすいアイコを栽培している。初期は草勢が強く、大玉傾向になりやすく、糖度も上がりにくい。作り方によって果皮が固く口に残り、渋みを感じて食味が落ちる事が弱点とされている。中盤を過ぎると糖度も上がりやすく、収量があるので、急速に普及した。割れに強いと言っても、秋になり一歩間違うと、歩留まりが急降下する事もある。初期から終盤まで品質と収量を安定化する目的で、2年前に100%有機「バランス684」と「根づくり名人」の2点組み合わせに切り替えた。糖度は常時9度以上あり、果皮も気にならず食味が高く評価されて売れ行き好調である。割れの軽減は全く想定していなかったが、根張りが良く、水分や養分がバランス良く吸収されると樹が老化しにくく、果実が無理なく肥大して割れが少なくなる様だ。
割れを抑えて秋収穫にピークを持って行きたい生産者は、定植時期を遅らせて抑制型で作る。しかし、収穫期間が短く、収量は限定的となる。
長期収型では、夏休みで需要が減り、相場安となる7月末頃から花房や老化した葉を整理し、水をたっぷり与え一旦樹を休ませ、新たに脇芽を吹かせて仕立て直す方法がある。前半で疲れた樹や根を1月くらい養生しスタミナを回復させる。需要期に入る9月に再生した樹で、高糖度、玉肥大を狙い、病気や割れを防ごうとする考え方である。数年前から実践している空知のNさんは「今年は8月も価格が良かったから採算的にどちらが有利かは言えない。しかし、真夏の暑いハウスで収穫するよりも涼しくなってからの方が楽して頑張れる。割れは確かに少なくなく、作業効率が上がると話していた。
生理現象であるから、色々な要因が係わってくるから完璧は期待できないが、基本をキチンと整えることで、減収リスクはかなり軽減できる。上記は、大玉トマトにも共通する。
6月24日のブログで書いた日本人農家Yさんこと山下朝史さんが、雑誌「家庭画報」9月号に三つ星レストラン「トゥール・ジャルダン」の野菜を支えるパートナーとして紹介されている。
フランスの食文化は昨年、ユネスコ無形文化遺産に登録された。中でもこの「トゥール・ジャルダン」は1582年に創業し、数々の歴史を創ってきた最高級レストランである。フランス最高職人の称号を持つR氏(39歳)が昨年シェフに就任し、伝統的重厚なフランス料理に「ヤマシタの日本野菜」を取り入れて、創作料理を提供している。そのきっかけはやはり、とびきり美味しい「ヤマシタの蕪」だった様だ。フランスもヘルシー志向が強まっており、日本野菜の活躍が期待される。
詳しくは「家庭画報」9月号でご覧頂きたい。「ヤマシタの日本野菜」を使った芸術的な「ブーケサラダ」の写真が全画面で紹介されている。
9月も中旬に入り、各地で収穫が本格的に始まった。今年も気象災害でハウスはともかく、露地作中心の農家は表情が固い。減収を小幅に食い止め、相場高で収益を上げた人達もいる。しかし限度を超えた風害や水害など物理的被害は防ぎようが無かった。天災で作物が取れないと、気分が滅入り、消極的思考に陥りやすい。しかし、農業は元々天の恵みで成り立っている。天災は宿命と割り切り、収穫が終わったら頭を切り換えて来年の恵みに期待しよう。どうにもならないことをくよくよ考えていては、人生の浪費である。農業は時期を待てば必ず次の恵み、チャンスが巡ってくる有り難い生業である。
毎年秋になると、収量が上がっている農家から電話がかかってくる。特に回りより作柄が良いと、近所には話し辛い人もいて、私の様に情報を共有している者に喜びを伝えてくる。何が嬉しいかと言えば、作物が取れたことは勿論だが、自分が信念を持って取り組んできたことが正しかったという満足感である。1年や2年では「たまたま、マグレ・・・」とも言えるが、昨今の天候不順の中で連勝が続くと確信に変わってくる。
北海道渡島でトンネル栗南瓜(6㌶)を作っているBさんは、春先からの天候不順にも拘わらず、生育は少し遅れたが着果、肥大が順調に進み、5,6玉が2/3以上。糖度20度近くになり、今年も売り先から高い評価を受けている。出荷量は8月で7000箱を超えた。約10年前に取り組んだが、周辺の農家は鶏糞と化成肥料の施肥が殆どだった。「たかが南瓜にそんなに良い肥料を使って元が取れるの・・・?」という周囲の声を受け流し、格別おいしい南瓜を作ろうと、覚悟を決めた。堆肥もすべてやめ、スーパーランド(743)、ミネラルPKだけで作り続けている。周辺では今年も作柄が思わしくなく、困っているが「俺の南瓜は今年も調子がいい・・・」と、折りに付け電話をかけてくる。最近、美味しさがマスコミに取り上げられ、自宅前にある直売場の大繁盛を見て、今まで冷ややかだった人達が認める様になり、秘訣を聞きに来る様になった。
葉菜類、トマト、米の3品目で昨年、売り上げ目標6.000万円超を達成したCさんは、今年も快調。先週の電話では、7月末集計で昨年比+300万円超、8月もトマトの増収と市況高で月+350万円超と話していた。土作りは11年前に、堆肥を入れずにスーパーランドと根づくり名人のシンプル設計に統一した。次第に収量が上がるようになり、この数年続いている天候不順で、その真価を実感している。売り上げが絶好調なので「税務署が遊びに来るんだって・・・」と笑っていた。
先週、甲信地区の米農家から電話がかかってきた。春に米の収量と品質を上げたいと相談を頂いた方であった。状況を色々お聞きして、貴農場では肥料よりも「ホッとマック」が一番、コスト対効果が高いと思いますと伝えた。彼はアドバイス通り試して見た様だ。刈り取りを控えて、格段の着粒の良さに嬉しくなり電話してきた様だ。この頃になれば稲姿を見れば、大凡の収量は予想が付く。
しかし、土作りや管理に一生懸命努力しても、天災や生育トラブルで、結果の出ないことも多い。八ヶ岳山麓(長野、山梨県)は夏秋レタスと白菜の大産地であるが、この数年の異常高温、大雨の被害で意気が上がらない。気候変動で栽培環境が変化し、昔の様に高品質の夏秋野菜を安定して作る事が難しくなってきた可能性がある。北海道も同様であり、春先の低温、日照不足、大雨などで、玉葱、人参、馬鈴薯、南瓜などの代表的露地野菜は2年続きで大きな被害が出ている。
気候変動の根本的な対策は無理だが、被害の軽減は作物や品種の再検討と圃場の整備で可能である。
収穫が終わったら、来年に備えて土を休ませねばならない。しかし、予定していた収入が得られないと、裏作でカバーしたくなる。この場合は「畑のおかず」を反当10袋くらい入れて、地力の低下を防ぎながら作る。裏作だから取り敢えず取れれば良いと化成肥料だけで作ると、表作の生育に影響が出やすくなる。土は正直である。
緑肥を蒔く期間があれば、数年に1回位蒔くと、水捌けや根張りが良くなり、種類を選べば線虫害も軽減可能だ。
また、土壌病が発生した圃場は、連作を避けなければならない。軽度の場合は微生物資材で対応可能なケースもある。止む得ず化学農薬でリセット(土壌消毒)する場合は、リセット後、微生物資材や「畑のおかず」などぼかし肥料を投入して、多様な微生物を増やすことが必須である。無菌状態にしておくと、再度、病原菌がはびこる。
微生物資材として、カルスNCR、ラクトバチルス菌(いずれも嫌気性菌主体)をお奨めする。
http://www.e-yasai.com/materials/ncr.pdf
http://www.e-yasai.com/materials/rakuto.pdf
但し、多発している土壌では、一旦、リセットしないと効果は期待できない。
いずれにしても土壌病発生リスクがある圃場は地力が低下している可能性があるから、畑のおかず」や嫌気性菌を使って基本的な土作りをお奨めする。
果菜類のハウス土壌病の場合は病名によっては、接木が基本となる。詳細は種苗会社に相談するとよい。
経営が厳しい中で、的確な資材を選択するのは迷う。特に前年に病気が出たり、収量が上がらなかったり、相場が安かったりすると、余計に決断が鈍る。農業はある意味では博打であるが、原因を冷静に分析して秋~春までに的確な対応策を打てば収益は改善する。収穫物、茎や蔓、株元、根部(残渣)には生育履歴が記録されているから、良く観察して、来年の課題を整理しておきたい。春になると記憶が薄れ「まあ、いいか」と同じ事を繰り返す人が多い・・・
8月2日にマルマンディー青トマトを紹介したが、前回収穫品は本来の特長が出ていなかった。再度、試作者Tさんに樹を仕立て直してもらい、水を控えて栽培してもらった。果形は120㌘程度の小玉となったが玉揃いは良い。
肝心の食味だが、そのまま食べても美味しくない。調理法により特長が出るので、プロの調理師に渡してメニューを考えてもらった。薄切りスライスして食べると食感が良いことは解るが、実際に自分でスライスしてみると、包丁の切れ味が良くないのでパリパリ感が出ない。手元にある付け合わせ食材、調味料も限られるから、ここはプロの出番である。依頼したのは寿司屋の二代目、イタリアンなども手掛ける創作料理大好き人間。新鮮な魚貝を使った海鮮サラダ、カルパッチョは定番として、自作の燻製、寿司飯ドリア、地元産ソースを使ったお稲荷さんなどユニークなメニューが常連客の舌を捉えている。
彼が最初に作ってきたのは定石通りモツァレラチーズ添え。ポイントは鋭利な包丁で薄くスライスし、味付けはオリーブオイル(カルフォルニア産)、塩、胡椒でシンプルに仕上げた。モツァレラチーズとの相性は抜群で、青トマトのシャキシャキ感と上品な酸味と香りはマルマンディー特有なモノだ。味付けがオリーブオイルに塩、胡椒と言うのもさっぱり感があって、お客さん達に大好評であった。もっとも、画像の様にちょっとした小鉢、少量なのがいい。
普通のサラダに添えても良いが、生ハム青トマトサンドイッチは個性が出て良いと言う。
ここは寿司屋だから、本命は和風・・・「糠漬け」だ!果肉が厚くしっかりしていて、ゼリーが少ないので漬け物に合う。試作に用意したトマトは、お客様のリクエストで直ぐに無くなってしまった。
上品な酸味とほのかな甘み、歯応えを楽しむトマトだが、鋭利な包丁を持っていないと本来のシャキシャキ感が楽しめないので、レストラン等の業務用として期待できる。
時期にもよるが、量販店で販売されている一般的なトマトは5~6度、ちょっとこだわっている商品で6.5度程度、高級店で7度台か8度以上のフルーツトマトが一般的である。大玉で、通期7度台を維持し、収量減をなるべく少なくするには、かなり高度な技術が必要である。相場次第のレギュラー品から、再生産価格維持、安定経営への道筋を付けるには、消費者の糖度要求が切り上がっているから、技術向上が求められる。
大玉の作り方は各人各様である。レギュラー品では、品種改良が進んで普通に作ればあまり糖度格差は出ない。しかし、高糖度トマトでは、同じ条件のハウスで同じ管理をしても糖度は相当バラつく。交配種と言えどもストレスを与えると、樹による糖度バラツキが大きくなる。全体のレベルを嵩上げして7度台をクリアーするにはどの様な点に注意したら良いか高糖度生産者や指導者に意見を聞いてみた。
(品種)
ストレスを与えて糖度を上げる栽培では、市販高糖度品種ならば、管理技術のウェートが高いため品種優劣は付け難いという意見が多い。むしろ、品種の特性を徹底的に勉強して、その能力を引き出す事が大切と言う。糖度以外に酸度や食味、肉質、果形、サイズ、日持ち、耐病性、収量なども重要な要素であるが、消費者に価値を認めてもらうには、(糖度+酸度+食味)=美味しい事が最優先である。
高糖度、良食味、収量性を同時実現するために試みられているのが、大玉系と中玉系の交配であるが、地域ブランド産地は点在するが、今の所、決め手になる品種は見当たらない。
その中で、D社が家庭菜園用として苗販売している「ぜいたくトマト」(画像)は、作り慣れれば将来性がある。出荷用としてはまだ僅かの実績しかない様だが、黄化葉巻病感染リスクの低い地域では普及の可能性がある。北海道では直売場を中心に徐々に増えている。青果販売用として大規模に取り組んでいるのは後志のF社(1㌶超)だけだ。同社は数年前から試作を始めたが、今年は引き合いが急増し、数量対応ができていない。管理の経験不足で、まだ収量=採算性に課題が多い。通常の品種と比較して、耐病性などは特別問題は無い。水分が不足すると尻腐れがでる点は従来品種と同様であるから、水は余り絞れない。苗代が高価なので、黄化葉巻病(シルバーリーフ)多発地帯は経営リスクが高い。育苗時から徹底防除が必須である(後述)
関東以西では抵抗性品種への切り替えが進んでおり、従来の良食味品種は減少傾向にあり、防除をクリアー出来れば大きなチャンスがある。
(栽培環境)
定石通り、日当たり、風通し、水捌けの良い、雨水等が染み込まないハウスに限定する。泥炭地や肥沃な土壌は避け、堆厩肥、植物系資材も避ける。C/N比を整えるには、米糠(反当2000kg)を収穫後に入れる。
シルバーリーフ多発地帯は、夏期にハウスを密閉して、徹底防除する。
ハウス天井部分に循環ファンを設置して上部空気を循環し、冬期は省エネルギー、夏期は異常高温を抑制する。着果や糖度安定上昇、病気の抑制などの対策として是非お奨め。
高糖度栽培は植物体の生育限界近くで栽培することになるから、事前に栽培中のトラブルをチェックして抜かりなく対策を打っておくことが必須。通常の栽培と異なり、一旦トラブルと立て直しが難しい
(土作り)
(管理)
■育苗
ミネラルバランスなどを潅水して、軸太、発根に徹する。育苗初期には十分水を与え、中盤以降徐々に控えて行く。スタートの育苗で失敗すると、後に響くから手を抜かない様に管理する。
■定植
土地条件にもよるが、一般的には平畝にマルチして定植する。点滴潅水は生育ムラが起きやすいので不可。
■草勢管理
長段取りは品種や栽培環境にもよるが、定植後から潅水を控えて草勢を抑え気味にし、根張りを良くすると言うのが一般的な考え方である。しかし、この方法では高糖度、高収量の両立が難しいと指摘するベテラン指導者(肥料販売店)Tさんがいる。
「まさか・・・」と思いつつ、彼の経験と持論を聞いてみた。理に適っている面もあるので記しておく。要約すれば、植物生理から考えると草勢を作る栄養成長期に養分や水分を制限すると、根と葉がバランス良く発達しないため、収穫期に入るとスタミナ切れになる。この状態では本来持っている種の能力が十分発揮出来ず、糖度も収量も限定的となるという。草勢=根張りが最高になる2~3段目収穫までは十分に潅水して草勢を作り、糖度上昇期の水切りストレスに備えるべきと主張する。
もっとも、最近の高糖度品種の中には、水分の絞りに耐える様に初期から根張り、草勢を強くした品種が出ている。いずれにしても成長最盛期の2段目収穫までは高糖度を狙わず、栄養成長が一段落する3段目頃から水を絞って生殖成長に傾けて行く。この時期になると、水を絞ってもガッチリ根が張っているから肥効は落ちない。肥大急減速は勿論、着果不良や尻腐れの発生リスクも抑えられる。
但し、初期から水管理=草勢管理を失敗しないためには、土作りの項で書いた緩効性動物性有機肥料を施用し、堆厩肥、植物由来有機の使用は控える事がポイントと指摘している。
追肥は元肥と同じ(バランス684かエキスパート684の穴肥または潅水近くのマルチ下バラ撒きで良い。
草勢管理は品種や栽培環境により大きく異なるため、3年間位観察して自分なりの流儀を確立することが大切である。最初から草勢を抑えて作り、小玉、芯止まり、生理障害の発生などで収量がイマイチの生産者は、Tさんの考え方は参考になるかも知れない。
■防除
最も頭を悩ますのは、シルバーリーフ、オンシツコナジラミ対策である。防虫ネットが一般的であるが、防除の仕方にもポイントがある。愛媛県のあるグループは、農薬の耐性回避のためA.B2種類の農薬を用意し、A剤→B剤→植物エキス(ソフトパオ1500倍)のローテーションを組んで成功している。重要なのは展着剤で、マクピカを混用すると効き目が高いという。地域により、それずれの防除基準があるから参考にされたい。