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栽培・資材情報

遠州南瓜

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静岡県西部にある遠州地方は、以前から南瓜が作られていた。現在は輸入南瓜に押され、殆ど作られていない。ここは冬場に好天気、高照量に恵まれ、土壌もいいので花卉類、葉菜類、根菜類などブランド品が多い。また、東西に大消費地を控えていることも、とても有利。

 

従って、積極的に面積拡大や設備投資した農家の経営は安定している。しかし、限られた面積の農家は後継者が育たず、年齢的に限界が来ている。

ブランド品と言えども、日本社会の変化には抗せず、環境は厳しさを増している。

 

今後、耕作放棄地の増加が予想されるが、これらを集約し、ビジネスとして農業が成り立つ可能性はあるのか・・・今年から検証を始めた。

 

需要縮小社会では、設備投資するとリスクが高くなるので、撤退がしやすい露地、しかも労力配分のしやすいトンネル南瓜からスタートした。

 

Yさん夫妻は水耕葉菜類が主力だか、この分野は今後も企業参入が続くと思われ、競争力は限られる。美味しい南瓜は直売を含めて安定した需要があり、少しずつ、販路を開拓して行けば成功の可能性はある。成功する条件は「ぶっちぎり」の美味しさ!・・・。

 

FBダイジェスト版⑬中山間地でも勝てる米作り(3)結果編

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写真は927日に撮影した新開発「一発側条肥料」施用区の稲穂。1悍に何と平均160粒、最大180粒付いている。慣行区は約140粒、一見して明らかな差が分かる!

前日の台風の影響で穂の重みで上部は曲がったが、軸はしっかりしており収穫にはあまり影響はない。案内してくれた社員Kさんの話では、この辺は気温、水温共に低いので「こしひかり」で反当7俵が目標。実施した田圃は何処もこの位の粒数が付いており、しかも大粒。少なくとも1俵以上は増収確実という。近隣農家ではこの稲穂が評判になっており、最終収量が楽しみだと表情は明るかった。例年よりも大幅に収量が多く、乾燥が間に合わず、コンバインが立ち往生していると笑っていた。

FBダイジェスト版⑫中山間地でも勝てる米作り(2)栽培編

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「省力」「良食味」「高収量」「低コスト」自ら課した厳しい条件設定をどう実現するか・・・言うは易し行うは難し。気象災害も多いし、天気に恵まれなければ結果は出ない。しかし、自然の恵の範囲で、最高レベルを達成出来ればいいと割り切る。

   栽培方式

中山間地は水温、気温が低く、栽培期間や日照が限られるから、伝統的な移植(田植)しかない。直撒きは選択外。収量を上げてコスト削減を目指す、

   栽培レベル

JAS有機、特別栽培、GAPなど付加価値を付ける考え方もある。しかし販売先の求める条件は美味しくてリースナブル価格・・・これを満たせばいい。企業経営だから理想を掲げても確実に安定した品質の米が収穫できなければ無意味

。『原点』、放棄地再興から考えれば機械化、化学肥料、農薬併用で当初掲げた4項目を達成できれば十分である。化学肥料は肥効を改良して少量にとどめ、農薬は涼地なので元来散布量は少ない。状況に合わせて減農薬を図ればいい。

   品種

良食味品種「こしひかり」に統一。

   土作りと施肥

成功の鍵を握る最大ポイント。「省力」「良食味」「高収量」「低コスト」・・・・いずれも国、県、民間の研究機関が長年取り組んでいるテーマ。研究者でもない我々に更にパフォーマンスを上げる余地はあるのか・・・長年、現場で培った経験、五感を頼りに挑戦が始まった。

 

作業は代掻きまでは慣行に準じた。冷涼地の施肥は通常、元肥と側条2工程。省力化のため田植え同時側条施肥1回で完了できる肥料を開発した。異論は覚悟だが側条1発肥料が成功すれば省力化、コスト削減は一歩前進する。ただし、施肥量が多い品種は、田植え機の改造が必要。

 

「良食味」「高収量」実現は、肥効バランスとミネラルの働きが大きいと考え、ミネラルを「側条一発肥料」に組み込んだ。

 

北海道、飛騨で3年間、実証試験を行い、今季、飛騨A社で水稲全面積(約15ha)を栽培した。田圃の枚数は約200枚に及び、土壌条件は千差万別。このバラバラな条件で平均反収が何俵上げられるかが成否の分かれ目・・・「良食味」は過去の試験で実証済みで、米の納品先からこの設計で栽培する様に要請されている。

FBダイジェスト版⑩京野菜・南国興産(株)工場視察

6月にパリの大手食材卸会社B社長が来日、京都大原の京野菜と宮崎の肥料工場にご案内した。B社長には4月のブルゴーニュ・ヌヴェール農園別荘で大変お世話になった。

今回の来日は、築地魚市場、大阪の出汁、京野菜がテーマ。食品加工残渣処理についても関心があり、スケジュールを1日延長して視察した。

◆旬菜市場

京野菜の直売場。地元消費者、料理人、観光客などで賑わう。

京野菜の直売場-1 京野菜の直売場-2

京都は勿論、パリのシェフ達にも知られている和食料理人、中東久雄氏とツーショット。

和食料理人中東久雄氏と

◆大原の生産者

中山間地にある大原には約100戸の農家があり、7戸が新規就農者。海外から研修に来ている外国人もいる。耕地は限られるので水田を転作して野菜を作っている、稲藁などを使ったマルチなど伝承的な農業が行われている。

京都大原の生産者-1 京都大原の生産者-2
京都大原の生産者たちと
京野菜料理店

◆京野菜料理店

集落に、本場の京野菜を食べさせてくれる店があり、昼食はここにご案内した。古民家を改装した店で、食事はとても美味しく、日本家屋特有の居心地良さがある。

◆柴葉漬け

昔ながらの製法の柴葉漬け

(昔ながらの製法)

柴葉漬け用紫蘇畑

(紫蘇畑)
赤紫蘇は4系統あり、この店では一番色と香りの良い品種を選抜して使っている。

◆歓迎会ディナー

市内のホテルレストランで盛り上がった。

パリの大手食材卸会社B社長歓迎会ディナー

◆南国興産(株)視察

畜産の専門家であるB社長は、畜産はもとより南国興産の食品加工残渣発酵技術に強い関心を寄せていた。

南国興産(株)視察
南国興産(株)視察(肥料原料の雑魚)

(肥料原料の雑魚)

南国興産(株)視察(動物処理残渣)

(動物処理残渣)

南国興産(株)視察(食品加工残渣の発酵槽)

(食品加工残渣の発酵槽)

(鶏糞燃焼プラント)
宮崎、鹿児島は日本有数の養鶏地帯で、毎日大量の鶏糞が発生する。鶏糞を燃焼させて肥料と電力を作っている。

南国興産(株)視察(鶏糞燃焼プラント)

FBダイジェスト版⑨ 「サヴィオレ」トマト(まとめ)

サヴィオレのトマト栽培

「サヴィオレ」訪問は農業を「地域振興」と「企業的」視点で総合的に組み立てて成功した点で、とても参考になった。産業が農業に限られる地域で色々試みられるが長続きする例は限られる。サヴィオレは多様な技術と知恵を盛り込み、地域一丸となって30年かけて基盤を築いてきた。強力なH技術長のリーダーシップと生産者の愚直な努力に深い感銘を受けた。

日本の生産者は、国、行政、組織ばかり頼るのでは無く、自分達で考え、工夫し、組み立て、リスクを取ってもチャレンジする努力を始めなければならない。国、行政、組織はそのサポート役でよい。

 

地域一体となって、「考える生産者」が育ってくれば、地域に活力が湧いてくる。それが求心力となって雇用を生み、若い人達が集まり定住する可能性も出てくる。

そんなチャレンジを四国で5月から始める。考えているだけでは何も進まない。今、求められているのは、「日本のサヴィオレ」モデル。 若い生産者はTPPなど政治に振り回されること無く、自分達の農業をどう創るか考え、チャレンジしなければならない。

FBダイジェスト版⑧ 「サヴィオレ」トマト(H技術長に聞く)

サヴィオレ トマト(H技術長に聞く)

◆何故養液栽培なのか・・・

味にこだわるフランス人が何故、ココピート養液栽培なのか?・・・
H技術長は「美味しい」や「美しい」という基準は個人差があり、絶対ではない。時代と共に変化するから品種も毎年入れ替える。年35品種栽培し、マーケットに提案している。養液栽培に統一したのは省力、大規模栽培、品質均一化、安定生産、コスト競争力など総合的に検討して得た結論。食味は最も大切な要素で、サヴィオレのトマトは「美味しい!」と胸を張る。
ランジス流通基地でもおいしいトマトはと聞くと「サヴィオレ」と答えるからフランスでは最も美味しいトマトであることは間違いない。

日本の生産者も消費者も関心のある点は「フランスのトマトは美味しいの・・・」。
H技術長も日本人がサヴィオレのトマトをどう評価するか興味があるはずだ。彼は最高ブランドを育てたカリスマ。こちらもトマト味の多様性、微妙さは心得ているつもりだから軽々しくは言えない。
率直に言えば、やはり「養液栽培」の味」は拭えない。さっぱり系・・・
日本の一般的消費者が好むコクのある味ではない。ドレッシングで自分のオリジナル味を追求するフランス人は糖度重視の日本のトマトは?。日本の消費者が求めるそ丸かじりでコクがあって美味しいニーズとは少し違う。しかし最近、日本でも薄味のトマトが主流になりつつあり好みの味を付けて食べることに慣れてきたので抵抗感は感じないかも知れない。

夏秋トマトをココピート養液栽培にチャレンジした生産者が数人いたが、糖度はともかく、食味が良くないと数年で撤退した。養液を研究して食味を改善する余地はあるが、現在は「土培地」を使う「養液土耕」が普及し、食味は大幅に改善している。

FBダイジェスト版⑦ 「サヴィオレ」トマト(概略)

FBダイジェスト版⑥の動画でポイントは理解して頂けたと思うが、補足して書く。

◆所在地プレスト市

「サヴィオレ」はフランス西部、大西洋に突き出たブルターニュ半島中部に位置するプレスト市にある。約30年前に創立、地域活性化策として国費が投入され、フランス最大のトマト産地となった。約150戸の生産者で組織され、トマトを中心にイチゴも栽培している。

日本最北端稚内市より更に緯度が高く、樺太中部あたりの緯度。暖流が北上する大西洋に面し、年間を通じて温暖。冬期でも零下3℃以下にはならない。ただし、ガスが発生しやすく、通年、曇天が多く、必ずしもトマトの適地とは考えにくい。海風を受けて夏の気温が上がりにくく、冬は暖かいのでエネルギーコストが安いメリットがある。

飛行機からプレスト市を望む

◆巨大なガラス温室

施設は採光と断熱効率を重視して、高さ5~6mもある巨大なガラス温室。1辺の長さは200m以上、1棟5?規模のハウスもあり、トマト工場の様相・・・総面積は350?超。日本ではこれだけまとまった産地はない。主力メンバーの1戸当たり栽培面積は5~7?。病害虫の侵入を防ぐため、クリーンルーム並みのセキュリティーが施されている。安全性を担保するためすべての生産者が「GーGAP」を取得している。

サヴィオレのガラス温室で サヴィオレのガラス温室
サヴィオレのココピート培地

◆ココピート培地

土は使用せず、写真の圧縮ココピートを溝にセットして潅水すると膨らんで培地になる。穴の部分に苗を定植して液肥を流して育てる(養液栽培)。培地使用後は堆肥としてリサイクルしている。

見事に肥大したトマト

◆見事な肥大

最適な環境制御により生育はとても良い。

トマトの保温設備

◆保温

低温期は温湯放熱パイプを樹の近くに通して保温する。パイプには約60℃の温湯が流れている。

トマトの環境制御

◆最適制御

広大な温室を均一な条件に保つため、各所にセンサーが配置してある。

サヴィオレのトマトの品種

◆品種

写真が一番人気のトマト。サヴィオレは多様なニーズに応えるため、サイズは大玉、中玉、三二。品種、果肉色(赤、オレンジ、黄、バイオレット、黒など)合わせて35種類を栽培している。毎年、世界中から150~200品種を取り寄せ、継続試験している。栽培条件が一定しているので品質格差が解りやすい。

◆巨大なトマトの樹

樹は高さ4m以上にもなり、上段は脚立付車で収穫する。通路に収穫車用レールが敷かれているハウスもある。

サヴィオレのトマトの樹
サヴィオレのトマトの選果

◆選果

フランスの消費者は形状、サイズは細かなことは言わないと言う認識でいたが、動画にあるように厳しくチェックして出荷している。品種や仕向先によるが個性的な形状のトマトを喜ぶ消費者もおり、無選別バラ詰めも見かける。

サヴィオレのトマトの輸送

◆輸送

出荷はコンテナもあるが、基本は段ボール箱。環境保全のため鉄道も使われているが基本はトレーラー輸送。

◆熱源はバイオマス

イタリア、スペインと言うトマト大国に挟まれて、どう競争力を高めるか徹底的に研究した。多額な設備投資を回収するには周年栽培が不可避のため、低温期に安価な熱源確保が決め手になる。結論は、熱源には環境保全も含めて「バイオマス」。
間伐材や木材廃棄物をチップに加工し、給湯ボイラーで燃焼させている。給湯温度は70℃。コンピューター制御で24時間全自動運転。

サヴィオレのトマト栽培の熱源はバイオマス-1 サヴィオレのトマト栽培の熱源はバイオマス-2
サヴィオレのトマト栽培の熱源はバイオマス-3

◆労働者

7?の温室を経営する若手農業人Sさん(27)に日常生活を聞いた。彼は金曜日午後から(土)(日)まで週2日半休み。トマトはドンドン成長するがどうするの・・・と聞いたら「全く問題ない」という。フランスは週40時間労働、スタッフのローテーションはこの範囲でキチンと組まれているから、彼がいなくても問題ないという。コントロールされた環境で生育するから、土耕に比べて生育がブレにくい様だ。

プレスト市は軍港を基盤とした軍需産業都市。第二次世界大戦や東西冷戦終結後、平和の時代になって雇用が減った。そのため、後継者、雇用労働者には困らないと話していた。休日は何をしているの・・・と聞いたら「魚釣りしかないかな・・・」と笑っていた。

サヴィオレのトマト生産者

夏秋果菜類定植後の管理

夏秋野菜は通常4~5月に定植する。今年も天候が安定せず、管理に苦労している農家が多い。北海道では異常低温が続いており、今朝、南部のトマト農家からの電話によれば氷が張ったという。しかし、葉さえ凍らせなければ心配は要らない。地温が上がってくれば根は活発に伸び始めるから大丈夫、焦らず時を待とう。

とは言ってもスタートが遅れると通期の収量が気にかかる。地上部の条件、つまり日照や気温が無い時の作物は地上部が動くと危険だから上にはあまり動かない。その代り、日照や気温が回復した時に備え、根に養分を蓄える。この働きを助けのは栄養分と言うよりも作物の活力を高める「酵素」がいい。条件のよい時は何もしなくても差が目立たないが、条件が悪くなった時に差が出るのが作物だ。収穫期間は限られているから、悪条件の時にダメージを如何に少なくするかが安定して収量を上げるポイントになる。

(生育遅れ時のお勧め資材)

根張り促進、低温、日照不足

●葉面散布・・・ネマコートS(パパイヤ酵素)5001000

http://www.e-yasai.com/materials/nema_s.pdf

●灌水・・・・・ハイパー酵素 反当4~5㍑

http://www.e-yasai.com/materials/kouso.pdf

 

再び有機農業を考える(8)経営改善へ道

 

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なるべく有機主体の農業に切り替えたいと考えている農家は少なくない。しかし何とか取れている間は腰が重たい。「コストがかかる・・・」「収量が心配・・・」「供選、市場出荷ではメリットが無い・・・」いろいろな指摘がある。化学合成資材中心では何処かでツケが回ってくるが、中途半端に有機を使ってもコスト対効果が見えてこない。しかし、気が付かない間に地力を失い、収量、品質低下が進み、連作障害が顕在化する例は多い。異常気象や価格低迷を受け、経営が厳しくなると消極的になり悪循環にりやすい。度々書いているが、生産者は農産物メーカーであり、なにはともあれ売れる品質、売れる価格(再生産価格)で確実に収穫することが前提になる。これを継続的に実現するために、有機主体農業の活用がある。

 

 

(改善例)

今春、北海道南部で経営改革に取り組むFさんから、「知り合いGさんがハウスホウレン草の連作障害で困っている・・・」との電話を受け、早速、現地を訪ねた。

(1)        栽培経過

Gさんはホウレン草を始めてから今年で25年、45㌃のハウスで年間44.5回転で連作を続けている。既に通算100連作を越えるハウスもある。10年数前に訪ねたことがあるが、当時はまだ順風満帆の時期で順調に取れていた。各地から視察者が相次ぎ、品質、収量共に自信満々であった。今考えればその頃がピークに近く、その後次第に生育のバラツキや土壌病(立ち枯れ、イチョウ病)がポツリ、ポツリと出始めたらしい。土作りは町営堆肥場から出る堆肥と、化成肥料を使ってきた。十数年、ずっと順調に取れてきたため、多少病気発生やや収量減があっても「天気の関係かな・・・」と余り深刻には考えなかった。たまたま農業新聞で土壌消毒で土壌病に成果を上げている産地の記事を読んみ、早速、岩手県と岐阜県の夏秋作先進産地を視察してきた。現地で素晴らしいホウレン草を見せられ、自分達も早速、土壌消毒を取り入れた。期待した通り、気になっていた立ち枯れは止まった。雑草も生えず、草取りは殆ど不要となった。しかし、毎年土壌消毒を続けて行くうちに、土と作物に異変を感じ始めた。土に弾力が無くなりサラサラ状態になり、潅水すると以前のようにスッと浸み込まず、水道が出来てしまう。乾燥しやすく、成長力が弱く、葉肉が薄く、株張りが良くない。当然、収量は落ちてきた・・・表土30cm下は耕盤層が形成され、カチカチになっている。ホウレン草を抜いてみると本来は直根がスッと長く伸びるが、耕盤層で生育が止まり、肥料濃度障害で根が褐変している。土の老化現象の始まりであり、根本的な再生策を実施しないと解決しない状況だ。しかし、気になるのはコスト対効果。しかもGさんは70歳を越えており、今後、どの位農業を続けられるか解らない・・・・

彼は「ハウスは25年間も化学肥料主体で使い続けてきたから、土にはもう栄養分が残っていない。一応、堆肥や土改材は入れていから何とかなると思いながら毎年同じパターンでタネを蒔いてきた。しかし、土壌消毒を始めて無菌化し、全く土壌の税体系が変わってしまった。

「百姓はモノが取れなくなると終わりだね・・・やり甲斐、生き甲斐も薄れてきた」と言う。

しかしこのまま終わるのは悔いが残る。自分のプライドを賭けて、以前の葉に生き生きした元気なホウレン草を作って、スッキリして幕を下ろしたい。必要なお金は用意した。簡単ではないことは承知しているが出来る限り短期間に元の土に戻してもらいたい・・・出来ますか?

 

消極的な農家が増える中でGさんの「夢よもう一度」の決断に動かされ、問診と土の状態を調査しながら対応策を考えた。投入資金、コスト対効果は問題無いが、労力、設備(農機具)などで出来る事、出来ないことがあるから近所仲間と一緒に考えることにした。

 

【結論】 短期間に成果を出すため、多種多様な養分と菌体を含む肥料を使って栽培しながら土を発酵させるため、下記の方法を実行する。

(ハウス1棟80坪当たり)

   耕盤層を部分的でも良いから破る(但し、地層による)

   土作りは省力化のため堆肥散布は入れない。

   1作目は下記資材を全面散布し土と混和し、潅水して発酵させる。

■根づくり名人・・・3袋(60kg)、

■スーパーランド(743)・・・3袋(60kg

■ミネラルPK・・・1袋(20kg) 燐酸、加里過剰圃場は不要)

(低温期にスタートする場合は、化学肥料を20kg程度併用する)

 

   1週間寝かせて播種する。

   潅水時にハイパー酵素1㍑を混合して散布し、初期生育期から発根を促す(通期3回程度)

   病害虫忌避と葉肉を厚くするため、ネマコートS1000倍液を1週間間隔で葉面散布する。

 

上記の栽培基準で4月からスタートした。

5月に入りFさんから「今までとは全く異なる草姿だが大丈夫ですかと電話してきた。葉が広がらず天を向いて生育しているという。品種にもよるが一般的に健康な個体は天を目指して生育する。日照不足、水分や養分バランスが狂うと葉が広がり垂れてくる。力強く生育している作物は更に沢山の日照を得ようと立葉となる(画像参照)

 

気候の関係で収穫が少しずれたが、1作目から従来とは見違える程の株張り、葉肉となり、収量は20%以上増えた。ただ、未だ土が完全に回復していないため、部分的に生育のバラツキが出たが、期待していた以上の品質と収量に仕上がったので初回作で資材代が出たと喜んでいた。

2作目以降はスーパーランド(743)を2袋(40kg)だけ撒き、同様に栽培した。

毎年出るダニも見当たらず、病気も気にならなくなった。ダニは根が弱いと土壌からの水分吸収力が落ち、、樹液濃度が上昇し、ダニが付きやすくなる。根張りが良くなると充分吸水出来るので付きにくくなる。土壌病も根が活性化して根酸を充分分泌していれば感染しにくいが、化学肥料主体では菌相が貧しくなり防御力が低下して感染しやすくなる。

 

結果としてGさんは1年で好循環パターンに入り、品質、収量共に回復軌道に乗った。成功の秘訣は総合的な対策を立て、手を抜かず、確実に実行した点にある。本人の希望で具体的な数字は書かないが販売金額が急上昇し、コスト対効果が大幅に改善した事は言うまでもない。

 

 

再び有機農業を考える(3)低コスト土作り

P6222657.JPGのサムネール画像

(画像)NPOの酵素堆肥作り研修会

 

日本の様に高温多湿の気象条件で有機農業を組み立てるのは机上の計算通りには進まず、困難が多い。有機を指向する消費者は美味しい、栄養素が多い、環境の為とか言うよりも、安心、安全、つまり化学肥料や農薬を使わずに育てた完全有機栽培を望む。化学肥料や農薬のすべてが人体の健康に影響するか否かは論議が分かれるが、非合成で自然界の紫外線や微生物などで、短期分解、無害化する物質であれば人体や環境に殆ど影響しないと考えられる。

 

国内で法律的に有機が担保されているのはJAS有機認証を取得した農産物に限られる。

この規格を取得するには最低3年間の有機移行期間を必要とする。しかし、実際には土と地上に自然循環が戻り、農薬を使わず栽培できる様になるには5~10年かかる。この自然循環ができても数々のトラブルが待ち受けており一筋縄では行かない。しかし、有機指向消費者の多くがJAS認証有機を求めている以上、目指す事に異論はない。但しリスクの多い「勇気農業」となる点は覚悟がいる。

先ずは化学肥料、化学農薬不使用栽培から始め、3年間「特別栽培基準農産物」として販売する。いずれにしても、この期間に徹底的に土作りをして、農薬に依存しない栽培環境を作らねばならない。JAS有機認証は費用がかかるから、3年間経過した時点で採算性を検討して判断すれば良いが、栽培履歴は詳細に記録し、保存しておくことが重要である。

 

有機栽培を成功させるポイントは言うまでもなく「土作り」であり、種々の方法がある。基本的には良質堆肥作りである。畜産糞尿を堆肥化する方法は従来から行われているが、「良質堆肥」作りとなると『言うは易し行うは難し』である。畜産自体が大規模化し、特定地域に集中、移動が進んでいるため、近隣地域で厩肥の入手は昔ほど楽ではない。飼料の輸送コスト上昇や悪臭、蝿害、糞尿処理場など環境コストが嵩み、前途は厳しさが漂う。散在する畜産農家の悪臭、蝿害などを解決し、出てくる厩肥を効率的に堆肥化できれば、有機農業の低コスト化が実現出来、身近な存在になる可能性がある。

 

先日、長野県にあるNPO主催の「うんこツアー」なるものに参加した。まさしく「うんこ」糞尿処理の現場を巡るツアーである。参加者は臭気、蝿、糞尿処理問題に悩む養鶏、養豚、牛など家畜飼育農家、その厩肥を堆肥化して使っている農家、堆肥で栽培した米や野菜、果実を販売している業者など20数人。7月の開催で100回を数え、累計参加人数は3000人を超えたと言う。

最初、汚水処理場に行き、糞がプカプカ浮いて流れている地下室に案内された。通常なら悪臭で息もつけずアンモニアの刺激で目も明けていられない世界である。6年前に取り替えたという水路を塞ぐ鉄板製踏み板は全く腐食していない。糞尿発酵現場は何回か見学しているが、アンモニアが鉄と反応して腐食が激しいのが普通だ。N氏の説明によれば、自然界に膨大な数が存在する土着菌を酵素で活性化しているだけで、従来の様な特別な菌体は使用していないという。

次に酪農家、養鶏家を訪ねたが臭気は軽微で、驚いた事に蝿が殆どいなかった。腐敗菌が優勢になるとアンモニアが発生して悪臭源となり蝿のような昆虫が発生する。発酵土着菌が活性化すると腐敗しないで発酵分解が進むらしい。

素晴らしいのは飲用水または飼料に投与し、家畜体内から効率的な発酵が始まり、堆肥化が早く進む点である。この酵素を使えば、品質や飼料効率向上も期待できるから飼育農家と連携して低コストで効率的に良質堆肥を作る事が可能である。

家畜投与のほか、厩肥に混合したり、土壌に散布して発酵を促進する酵素もある。

 

この酵素は、有機農業を安価に展開する目的で設立されたNPO法人活動の一環として行われている。当社もこの主旨に賛同して、普及に協力している。

下記に、概略を記すので、詳細はお問い合わせ下さい。

 

『バイオ酵素の概略』

 

土作りの基本が良質な堆肥作りにある事は誰もが知っています。しかし、いざ作るとなると数々のハードルが待ち受け、質、量共に中途半端な取り組みになってしまいます。

競争力のある農産物の安定生産を目指すには、循環型有機農業への移行が求められています。身近にある有機資源を活用し、省力、効率的に堆肥化する目的で開発されたのが「バイオ酵素」です。

 

【バイオ酵素の特長】

■アルプスの天然水をベースに、植物の葉(松、笹、梅、枇杷、イチジク、栗、桃、柿)から抽出した酵素原液に糖蜜、おから、米糠などを混合、複合発酵技術で生成した有機100%の酵素です。

■従来の微生物発酵資材と基本的に異なるのは、人工的に培養した菌体を増殖するのではなく、住み着いている土着微生物を酵素で活性化させることです。土着微生物は環境に順応しており、他から持ち込まれた微生物より圧倒的に強く優勢で、菌体同士の拮抗作用が起こりにくく、効率的に発酵、分解が進みます。

■家畜飼料に添加する方法と、一般的な土壌散布の2種類があります。

 

バイオ酵素K

家畜飼育家と連携すると最も省力、効率的に良質堆肥を作ることができます。

特に悪臭や蝿害、排泄物処理に困っている飼育家との連携は、双方のコスト対効果を高め、大きなメリットがあります。

【使用方法】

■配合飼料1㌧当たり最初の3ヶ月はバイオ酵素K400cc、以降200ccを適宜希釈して与えます。

(コスト)最初の3ヶ月円/㌧、以降200/㌧程度

■養鶏(採卵)の場合は3ヶ月迄1万羽当たり400cc/日、以降200cc/日を飲料水に添加する。

(1万羽当たり本体コスト)最初の3ヶ月458/日、以降229/日程度)

 

【包装・価格】 20㍑入り22.890円(送料・税込み)

 

バイオ酵素T

圃場で堆肥化促進を行います。

【使用方法】

■堆肥や有機肥料を散布した後、バイオ酵素T原液反当20㍑を約500に希釈して散布し、直ちにロータリーをかけ土と混和します。生育途中の場合、反当原液20㍑を500倍で潅水します。

■連作障害が見受けられる場合は反当50100㍑に「いそしおにがり」20kgを併用し潅水します。

 

【包装・価格】 20㍑入り7.875円(送料・税込み)

 

 

果菜類の夏から秋に向けての管理

今日23日(月)、九州でも梅雨明け宣言が出され、いよいよ夏本番!

のの前にここ数日、涼しい日が続き、人間も作物もホッと一息ついた格好だ。冷涼地では夜温が異常に低かったため夏秋トマトの着色が一気にスローダウンした。明日から夏の高気圧が北に張り出し、猛暑復活となり一気に着色が進むから、収量への影響は心配いらない。むしろ、これから来る過酷な高温にどう対応するかが、今後の作柄を左右する。つまり充実した花芽形成、確実着果、肥大、裂果防止、秀品率向上、病害虫回避などは、これからの根張り、肥培管理で決まる。

何をする?・・・

簡単に言えば人間の夏バテ、熱中症対策と同様に考えればよい。クーラーはともかく、扇風機(換気扇、循環ファン)、日除け(遮光ネット)、打ち水(潅水や細霧冷房)などで室温を下げる努力はしたい。

人間ならば熱中症予防に発汗作用で失われる水分と塩分を補給することが最低限、求められる。衰弱した人には点滴をするが、簡易的には点滴と同成分(水分、ナトリウムイオン、カリウムイオン、糖分、クエン酸など)を含むスポーツドリンク(ポカリスエットなど)を飲むのが効果的とされる。

作物では、光合成と葉面蒸散で消費される水分と各種養分をバランス良く含む潅水をこまめに行い補給する。この時期の樹は沢山付いた果実を肥大させながら次の花芽を作らねばならないから樹に大きな負担がかかる。樹を支えている根が弱ると、水分や養分の吸収力が落ちて、消費増の中で供給力低下の悪循環が始まる。ここを上手に乗り切らないと、安定した収量は望めなくなるから、正念場となる。

その為には、根張りの良い土作りが基本であるが、この時期に来たら悠長な事は言っておられない。こまめな水分補給と発根を促す資材、バランスの取れた養分の速効的補給が求められる。

■水分とミネラル補給

土の乾きと葉の状態、天気を見ながらこまめに潅水する。その際、下記資材を適宜混用する。

【速効性イオン化ミネラル】

元肥として与えた肥料は、乾燥したり根が弱って根酸の分泌が減ると一部の燐酸やミネラルなどがイオン化せず根からの吸収が減る。一方、窒素は高温下で硝酸化、吸収されやすくなるため、養分吸収バランスが崩れ易い。高温の影響もあり充実した花芽形成が出来ず、果実肥大や品質に大きな影響を与える。変形、尻腐れや裂果などの原因にもなりやすい。

従って疲れた人間がスポーツドリンクを飲むように速効性のイオン化しミネラル液を定期的に潅水すると草勢バランス回復に効果的である。特に、水分を控える高糖度トマトにはお奨めである。

●ミネラルバランス

http://www.e-yasai.com/materials/mineral_b.pdf

潅水に原液を反当1㍑(コスト1200円程度)混用する。

●いそしおにがり

http://www.e-yasai.com/materials/isoshio.pdf

潅水に原液を反当1~2㍑(コスト5001000円程度)混用する。

【動物性アミノ酸液肥】

高温期はバランス肥効維持が難しいので動物性発酵有機(30%)と化学肥料を組み合わせた液肥がお奨め。発根、食味など品質改善に効果が高い。

●サンフィッシュ

http://www.e-yasai.com/materials/sunfish.pdf

 

●フィッシュソリブルS

従来の液肥に反当3~4kg混用する。

http://www.e-yasai.com/materials/fish_s.pdf

 

【発根資材】

状況に応じて色々なタイプがある。

●ネマコートS

http://www.e-yasai.com/materials/nema_s.pdf

病気等で樹が弱り、緊急的に発根を促したい場合に根圏に原液を反当2㍑(4800円)を数回潅水する。以降は500倍葉面散布で良い。

本品はパパイヤ酵素を主体とし、各種アミノ酸、有機酸、ミネラルなどを含む総合的管理資材。週に11000倍で葉面散布すると健全生育の効果が高い。

●ハイパー酵素

http://www.e-yasai.com/materials/kouso.pdf

反当3~4㍑(15002000円)潅水に混合する。

●海藻元気

http://www.e-yasai.com/materials/m-cat03/mer-28.html

反当100㌘を潅水に混用する。植物生理活性物質で発根を促す。

 

 

 

エスカルゴ牧場から日本へのメッセージ

フランスのエスカルゴ農家

フランス料理と言えばフォアグラ、トリュフ、エスカルが頭に浮かぶ。エスカルゴは日本人は余り口にしないがフランス人と食事をすると、オードブルとして注文する。身の部分を加熱してニンニクとパセリのみじん切りを練り込んだバターを乗せて出てくる。フランスでは最高級のご馳走である。
友人Gさんの案内でパリ郊外にある養殖家Mさんを訪ねた。彼は以前、パリの高級ブランド店に勤めていたそうで、日本人に親しみを感じていた様だ。エスカルゴの話が始まると彼の目が輝き、講釈は留まることを知らなかった。

◆エスカルゴの家

エスカルゴの家-1
エスカルゴの家-2

◆エスカルゴは巻き貝の一種で、乾燥する環境では活動できない。雑草が生え適度に湿度が保たれている場所に、木製の餌場を置き、その上部に日光を遮るための板木を三角屋根状に乗せて、温度変化が少なく風通しの良い環境を作る。潅水は常時、欠かせないから、良質な井戸水が用意出来る場所が適する。

エスカルゴの家-3

◆飼育場から逃げ出さないように、高さ40cmくらいのブロック塀で囲み、屋根を乗せ、更に微弱な電流を流した電牧線(中央部)を張ってある。これで脱走はほぼ防げる。

エスカルゴの家-4

◆幼虫は春に専門業者から買う。食用の種類は地域により異なるが、味はやはり本場のブルゴーニュ種が美味しい。
餌は石灰、大豆、トウモロコシの粉を置き、撒水しておくと、夜に食べに来る。
エスカルゴ1kg育てるのに1.2~1.4kgの餌が必要。80%が水分だが、餌代は1000匹当たり10ユーロ(約1000円)、1匹1円程度かかる。5月に幼虫を入れて秋の出荷時に一匹当たり3.5~4円で売れる。

エスカルゴ農家の家

◆彼は退職してから一時、タクシーの運転手をしていた。三つ星レストランの送迎をしていた折、エスカルゴ料理が非常に高価である事を知り、自分も養殖してみようと、ここに2.5㌶の農場を買った。
スタート時の計算では3000㎡で13㌧の出荷を見込んでいたが、実際はたった3㌧・・・(笑い)
国内に養殖家は数百戸程度あるが、大手で3~4㌶規模、年間出荷量100㌧超。この規模を目指して5年間、試行錯誤してみたが、出荷量は期待していたほど増えなかった。今後、技術の向上を見込んでも、到底採算に乗る目処は立たないと悟った。

エスカルゴ農家の動物

◆元々生き物が好きで始めたので、ここでやめる訳にはいかない。1000㎡に縮小して、この規模で今までの経験を生かして継続できる道筋を探った。農場で馬や兎、地鶏、ハリネズミなど飼って子供達の遊び場として解放し、自宅でエスカルゴ教室を開いた。これが関係者の間で話題になり、今では行政府から教育予算を頂ける様になった(笑い)

◆最初、何故、大きな見込み違いをしたか・・・
技術の未熟さもあるが、農産物の市場開放という重要な事があまり頭に無かった。当時は輸入品の事など考えていなかった。しかし、今ではトルコ、ウクライナ、ポーランドなど周辺国から安い加工品が大量に流入し、国産品はじり貧状態。
エスカルゴは加熱して一旦、殻から外して内臓を切り取り、身の部分を塩で揉んで滑りや臭みを取り調理する。人件費の高いフランスでは原料よりも加工賃が高くつく。一般のレストランや家庭では直ぐに調理できない。しかも安価な輸入品に人気が移りつつある。ニンニク、パセリを練り込んだバターも全部セットになってオーブンで焼くだけで食べられる・・・味に差があるとは言え、国産品の地盤沈下は止めようにもない。

日本もTPPなど自由貿易推進で農産物の更なる市場開放を求められると聞いている。しかし、絶対、受け入れてはいけないよ!先進国の中小農家は市場開放されたら途上国の安い農産物に占領され生きて行けなくなる・・・。日本の皆さんにこの事を伝えて下さい。

【コメント】

Mさんのエスカルゴに対する愛情、知識、子供達に伝えようとする情熱はただ者ではない。習性、生殖、天敵などエスカルゴが厳しい生存競争の中で命をつなぐ現実を、理屈だけでなく、標本や身体を使って総合的に教える様は、達人の境地!

今回、大統領選の真っ直中で、自由主義路線継続のサルコジ氏と中道左派路線への転換を主張するオランド氏が国論を二分して戦った。結果はオランド氏の勝利に終わった。ユーロ危機など色々な要因はあるが、EU統合で弱肉強食、格差社会が進んで、その歪みが表面化している結果と言える。特に労働力依存型中小弱者は低賃金の周辺国との競争に敗れ、生活への影響が明確化している。

今回お会いした方々の多くは、日本は安易に自由貿易、市場開放に踏み込むとフランスの轍を踏むのではと懸念していた。フランスは農業国であるから競争力の弱い農業者は確かにそういう見方になる。日本は最早、現状の農業を守っても産業競争力が弱体化し、国力が衰退したら結果的に農業も守れない。社会変化で経営難に陥った企業がリストラを断行している様に、すべてを守るのではなく取捨選択し、競争力のある部分を伸ばして再生につなげなければならない。

フランスのオーガニック農家を訪ねて(3)南仏モンペリエ

フランスのオーガニック農家といっしょに

NPOココペリを訪ねた翌日、モンペリエの大学と連携してオーガニックの産直支援研究をしているK女史(左から2人目)に案内して頂き、地元のオーガニック農家を訪ねた。K女史は陽気なラテン系マダムで4人の母親。こちらと会話しながらパソコンと向き合い別の仕事をしているスーパーウーマンだ。右側が当園オーナーマダムFさん。実直そうな人柄で質問に丁寧に答えてくれた。

オーガニック農家の圃場 オーガニック農家の鶏

◆経営面積は?
『ビニールハウス25㌃、露地で1.2㌶作っています。スタッフは自分を含めて3人ですが、忙しい時期は近所の人に応援してもらいます』

◆作っている野菜は?
『殆ど産直ですから種類が多くないとお客さんが限られてしまいます。季節ごとにキャベツ、玉葱、馬鈴薯、人参、トマト、茄子、胡瓜、ピーマン、ホウレン草、レタス・・・など、年間40~50種類作っています。八百屋さんに並んでいる物は殆ど作っていますよ』

◆全部オーガニックですか?
『そうです。化学肥料も化学農薬も使っていません。土作りは地鶏を飼って出た鶏糞を発酵させた肥料、落ち葉と近くの畜産農家から出る厩肥を切り返して発酵させた堆肥だけです』
『オーガニックで一番労力のかかるのは草取りです。全部手で取りますが夏は次から次へと生えてくるので雑草退治に追われます。プラスチックフィルムマルチは環境への配慮から使いません』

◆日本のオーガニック農家は害虫対策で苦労していますが?
K女史『ここでも色々な害虫がいます。特にアブラムシの発生が多いです。ハーブなどとの混植や輪作が基本ですが、それだけでは防ぎきれません。作物と害虫名が判れば大学の研究室で蓄積したノウハウで対応策を提供しています。天敵昆虫や植物抽出エキスがかなり有効です。自然界では完璧は無理ですが・・・それ程困る様な大発生はありません』

◆アジアではニーム(インドセンダン)が使われていますがフランスでは?
『名前は知っていますが、ここでは使われていません。地場で調達できる資材が基本ですから』

◆オーガニック(AB)認証(は難しいですか?
『申請するとお役人が来て簡単なチェックがありますが、何回も来るわけではありません。オーガニック農家は非常に少ないですから定期的にチェックするのは効率が悪く、コスト的に不可能です。登録料は年間100ユーロですから・・・。毎日、農場の近くにある直売場に消費者が買いに来ますから、むしろ彼らにチェックされていると言ってもいいでしょう。産直のオーガニックは理屈ではなく人と人との信頼関係で成り立っている面が強いです。顔の見えない不特定多数、大量生産販売とは異なります』

◆販売は?
『この辺は地中海に面した観光地で、夏には大勢のバカンス客で賑わいます。レストランや各地にある直売場で全部売り切れてしまい、毎年、品不足状態です。オーガニック農家は少なくとも半径10km以内にはありませんから、傷んでいなければ屑物でも売れてしまいます。慣行品のように取れ過ぎて捨てた経験はありません(笑い)』
『販売価格はほぼ通期同一価格で売っています。平均すれば慣行の野菜と比べて変わらないでしょう。私達の直売場に安さを求めて来店するお客さんは余りいないと思います。リピーターを増やしてロス無く売り切ることが経営的に最も大切です』

◆経営は順調ですか?
『自分で価格を付け、多品種、売り切り型ですから大型農機具や冷蔵、貯蔵施設は不要で、償却費はあまりかかりません。種子代はともかく、肥料や農薬など生産資材費も、慣行農業と比べたら格段に安いです。殆どが手間賃ですからお陰様で経営は順調です』
『これからもっと仲間を増やそうと募集を始めました。パートナー2人で当園で研修してもらい、自信がついたら自分達で独立すればいいのです。農業は一人では大変ですから、基本は二人です。男女の組み合わせは如何様でも構いません』

オーガニック農家の直売場

(直売場)
シーズンオフのため表戸は閉まっていたが、夏は大変賑わうと言う。
ここだけではなく各地に直売場があり、配達している。

オーガニック農家の葉菜類

(葉菜類)
シーズンを通して鮮度の良い葉菜類が並び、安全性が高いので人気商品。

オーガニック農家の土付き人参

(土付き人参)
フランスでも基礎野菜の一つである人参は、土付きで貯蔵し、長期間供給している。オーガニックのため、傷みにくい。

オーガニック農家のリンゴ

(リンゴ)

オーガニック農家の地鶏タマゴ

(地鶏タマゴ)
放し飼いで美味しく、鮮度も良いので人気商品!

オーガニック農家のハーブティー

(ハーブティー)
ドライ、瓶入りハーブオイル、エッセンスなど・・・香りを楽しむフランス人には欠かせない。

オーガニック農家のジュース、ジャム、ケチャップ

(加工品)
ジュース、ジャム、ケチャップなどが並んでいる。

モンペリエ近郊を結ぶローカル線

(モンペリエ近郊を結ぶローカル線)
利便性は良いとは言えないが、お洒落なデザインの車両は鉄道ファンならずとも乗ってみたくなる。

南フランス(プロヴァンス、コートダジュール)のランチ

(ランチ)
駅前のレストランで昼食をとった。
南フランス(プロヴァンス、コートダジュール)の料理はパリなど北部と異なり、野菜、モツァレラチーズ、オリーブオイルをベースにしたイタリアンが多い。パスタの上に新鮮な野菜がたっぷり盛られ、ヘルシーでとても美味しい。

フランスの回転寿司

(回転寿司)
モンペリエ市内に「回転寿司」と日本語で書かれた行灯があり、?を感じつつ店に入った。
カウンターは日本でもお馴染みの楕円形ベルトコンベアー方式。カウンターには座らず、テーブル席に座った。メニューは日本の居酒屋ランクで、焼き魚(サンマ?)、ホウレン草の白和え、豆腐、インゲン豆、しめ鯖、蛸、マグロなどの刺身。まずまずの味であった。ワインは何処で呑んでも安くてレベルが高い。

【コメント】

南フランスは北部や東、中部の大規模農業地帯とは異なり比較的中、小規模の農地が見受けられる。ワインなども数量より個性を重視した生産者が多いと言われている。野菜畑は殆ど見かけない。
K女史はオーガニック農産物の流通支援NPOを運営しているが、フランスにはこの様な農業支援NPOが多い。K女史によれば活動資金は企業や有志の寄付金、大学の研究費で賄われているが、最近は経済停滞で資金が集まりにくくなっているという。しかし、各分野の民間NPOの専門家が積極的に支援活動を展開していることは流石、農業国フランスである。Fさんの様な自立した生産者が育てば、農業に別な価値観を持った人達が集まり、新しい農業コミュニティーが誕生するかも知れない。
フランスでも仕事のない人達が増えており、希望者は多いらしい。しかし定着するかどうかは日本と同様に微妙な問題だが、K女史の様な頼りになる人材が日本でも育つことを是非期待したい。

当地の成功キーワードは「バカンス客」の取り込みであり、日本も海外観光客を含めて考えたい。

フランスのオーガニック農家を訪ねて(2)パリ近郊

フランスのオーガニック農家

パリ中心部から30~40km離れると、もうそこには森林や広大な農地が広がり、フランスが農業国であることを実感する。近郊野菜農家を訪ねたことがないので、青果関係の仕事をしていたFさんにお願いして案内して頂いた。訪問したのはオーガニック葉菜類の宅配農場を経営している日系三世の若手農業人Gさん(30歳台)。大型蓮棟ハウス約1㌶と露地10㌶を所有している。

オーガニック農家の圃場1 オーガニック農家の圃場2 オーガニック農家の圃場3

◆作物は?
『周年、オーガニックで葉菜類を10種類近く栽培しています。8年前に父親から引き継ぎオーガニックに切り替えましたが、4年間は病害虫が多発して殆ど収穫が出来ませんでした』

◆原因は?
『ここは肥沃な土地にもかかわらず、堆肥や肥料を沢山撒きすぎていました。しかし、肥料を入れないと作物が育たないという固定観念が抜けず、失敗を繰り返してきました。どうしても無農薬にこだわりたいといろいろ試行錯誤していた時に、日本の福岡正信氏の「自然農法」を知りました。その後、自然農法の考え方に近い農法の普及活動をしている日本の組織と出会い、現在はすべて無肥料、無農薬で栽培しています』
『なかなか思うように行きませんでしたが、過去に蓄積した肥料分が無くなり、漸く病害虫の問題が解決し、作れるようになりました。耐病性品種を選んだ事も大な要素と思いますが・・・』
『この圃場は、肥料も何も入れず育て、収穫後に菌体(EM菌)を撒いただけで2年間栽培しています。これで十分育ちますし、病害虫で苦労していた頃が嘘のようです』

◆養分は何処から供給されるのですか?
『畑に残った作物の根が分解して次の養分になります。この分解養分だけで十分です。人間が欲を出して余分な事をするから病害虫に侵されるのです』

◆販売は?
『1箱15ユーロの詰め合わせボックスを作り、会員制一括前払で頂き、グループごとに配達しています』

◆経営は?
『オーガニック野菜を求める消費者が増えているので、お陰様で順調です。消費者にも環境にも貢献していると思うと、やり甲斐がありますね・・・』

小規模農家用播種機

◆課題は?
殆ど機械化が出来ていますから、収穫作業以外は大きな課題はありません。画像の播種機で種蒔きしておけば、あとは潅水するだけです。

【コメント】

今から40~30年前、この無肥料、無農薬栽培が話題になり、マスコミを巻き込んで実現、持続可能な農法か否か論争が起きた事がある。日本ではすっかり下火になったと思っていたが、何とフランスで注目されている。彼の話は常人には納得し難い面があるが、事実である。過去の腐植などの蓄積があるからこそ今は育つのか、長期間再生循環して持続可能なのか・・・全く判らない。
ただ、この様な最低限の養分で育った野菜には生命力があり、病害虫に強く、養分的にも優れているとは思う。

フランスのオーガニック農家を訪ねて(1)ノルマンディー

フランスのオーガニック農業については、昨年、1月と5月にノルマンディー ハローウィン農場を訪ね、有機農業への考え方や取り組みについてインタビュー記事を書いた。

(下記参照)
http://www.e-yasai.com/blog/bio.html
http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

http://www.fermedubec.com/

 

今年も年初に訪問し、昨年の状況と今後の展開についてご夫婦にインタビューした。

フランスのオーガニック農家1

◆世界的に気候変動が農業に大きな影響を与えていますが、ご当地の状況は如何ですか?
『昨年は、いろいろな事が起こり、大変な年でした。今年も異常で始まり、例年より非常に気温が高く、ご覧の様に全く雪がありません。昨年同じ時期に来られた時は、雪が15cm位積もっていたでしょ。やはり、フランスも気候変動が大きくなっていますね・・・。当地に来て7年目になりますが、この時期に雪が無いのは初めてです・・・』

オーガニック農家の植物

◆植物にはどの様な影響が出ていますか?
『この株は例年ですと雪の下で静かに春を待っているのですが、もう茎が伸びてきました。これから寒波に見舞われると凍傷を起こして駄目になってしまわないか心配です』
『果樹類の中にももう芽が動き始めた樹があり、このまま温かい日が続くと心配ですね・・・』
『昨年もそうでしたが、気温や降雨量に大きな変動が起きています。殆どが露地物ですから、対応策は限られますね・・・・』
(注)その後は大寒波も見舞われた。

オーガニック農家のぼかし肥料

◆昨年お奨めしたぼかし肥料は作りましたか?
『勿論!早速作ってみましたから、見て下さい』
『材料は言われた通り、動物性として家畜の血液、植物性は葦の仲間で虫の忌避効果があると言われている植物を細かく切ってこのドラム缶に層状に詰め、発酵菌は嫌気性菌を探して仕込みました。もう2ヶ月位なりますが、状態をチェックして下さい』

◆大変良い状態に仕上がってきていますね。嫌気性菌特有の縁の下の臭いに似た香りがしていますから大丈夫です。本格的に大量に作る場合、血液は充分ありますか?
『生血液は輸送が大変なので、将来はけ血粉を使うつもりです。ぼかしを使う時の注意点を教えて下さい』

◆もうそろそろ使っても大丈夫です。施用量は1㎡当たり200㌘が目安です。あまり一度に多く施用すると生態系に影響を与える可能性がありますから、少しずつ施用した方がいいでしょう。

フランスのオーガニック農家2

◆今年の課題は?
『7年目を迎えましたが、自立の目処、つまり国の支援期間10年(2015年迄)に如何に採算ラインに乗せるかが当面の課題です』
『今年から国立パリ農業大学院のR教授とオーガニック農業を若者の雇用先として活用できないか研究を始めています。現在描いているモデルでは野菜で1㎡当たり年間30~40EURの収入を安定的に確保出来れば雇用の場として成立すると考えています』

◆具体的には?
『昨年ご覧頂いた混植、密植、円形高畝方式と、育苗苗定植で回転を良くし圃場利用率を上げるなどの成果を組み合わせれば、実現可能です。少なくとも、従来の農法より、品質価値も収量も上がりますから、総合的に目標達成は可能です』

小規模農家(家庭菜園)用播種機

『オーガニック野菜は小規模多品目栽培が前提になります。コスト削減は農作業の効率化が不可欠です。右の画像は米国のインターネットサイトで購入した小規模農家(家庭菜園)用播種機です。今迄は人手で蒔いていましたが、これを使うと10倍以上効率が上がります。狭い農地でも使い勝手が良く、非常に便利です』

草丈の低い葉物野菜の収穫機

『これはベビーリーフなど草丈の低い葉物野菜の収穫機です。下部にカッターが付いていて根を切りながら収穫し、赤い袋部分に貯まります。簡単な器具ですが、大変重宝しています』
『私達には固定観念がありませんから、現場の状況に器具を合わせたり、器具に現場の作業を合わせたり、自由自在です。毎年、一歩一歩進化して行く課程が楽しいですね・・・』

【コメント】

今回で3回目の訪問だったが、毎回、進歩している様子が頼もしい。
昨年はかなり在庫があった直売場の商品は殆ど売り切れていて、販売は好調の様だ。
フランスの若者の就職難は慢性的、日本と比較したら相当厳しい様だ。EU統合で価格競争力強化のため企業が周辺国やアジアに生産拠点を移していることが雇用環境悪化の原因だが、一方で農業の産業化つまり大規模機械化、IT化による農村の雇用吸収力が低下原因という指摘もある。確かに大規模化した一部の生産者は大きなメリットを受けたが、社会全体としてあちこちでバランスを失い、雇用不安や所得格差拡大を招いていることは確かである。4,5月に大統領選があり、自由主義経済、市場開放を掲げてきたサルコジ氏が敗れた。ユーロ危機で雇用情勢が更に厳しくなり、国としては雇用対策が緊急課題となっている。日本でも農業への雇用促進政策が打たれているが、現実はうまく機能していない・・・果たして、オーガニック農業に雇用吸収力があるのか注目したい。

一番の問題は採算性である。露地で年間反収300~400万円実現の可能性はあるのか・・・
収量については日本と比較してそれ程大差があるとは思われない。問題はパリと東京の販売格差がどの程度あるのか、早速パリ在住A子さんに調べて頂いた。
(下記は2月中旬に頂いたメールである)

先週の金曜日、(パリでも外気が零下8度まで下がった日)に近所の大手スーパー(カルフール)で調べた価格です。(単位:EUR/kg)

◆馬鈴薯(フランス産)
ディスカウント・・・・・・ 0,6 EUR(約60円)
通常品・・・・・・・・・・・・・・ 1,0 EUR(約100円)
BIO(有機栽培)・・・・・ 1,2~1,52 EUR(約120~152円)
ラット(小型芋品種)・ 3,4 EUR(約340円)

◆人参(フランス産)
ディスカウント・・・・・・ 0,6 EUR(約60円)
通常品・・・・・・・・・・・・・ 1,2 EUR(約120円)
BIO(有機栽培)・・・・ 2,2 EUR(約220円)

◆トマト(通常のサイズ)
ディスカウント(モロッコ産)・・ 1,4 EUR(約140円)
通常品(スペイン産)・・・・・・・・・ 3,2 EUR(約320円)
BIO(有機スペイン産)・・・・・・・・ 4,0 EUR(約400円)

◆茄子(スペイン産)
通常品・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3,5 EUR(約350円)

◆玉葱(スペイン産・フランス産 )
ディスカウント・・・・・・・・・・ 0,5 EUR(約50円)
通常品・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,95~2,0 EUR(約200円)
高品質品・・・・・・・・・・・・・・・ 3,9 EUR(約390円)

◆レタス(フランス産)
1.7 EUR/個(約1玉170円)

(注)
玉葱、馬鈴薯は物価が安い地域では、もっと破格の値段で売っていると思います。
ちなみに当方が住んでいる地域は物価が必ずしも安い方ではなく、それに加えて1年で最も気候の厳しい時期でしたので、価格について高い時期の一例としてご覧下さい。

この調査結果から、パリの野菜価格は東京と比較して相当に安い。従って、フランス人若者を雇用して露地栽培通年反収300~400万円実現への道のりは、残念ながら相当困難であると思われる。

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (6)トマトの品種

NPO「ココペリ」 トマトの品種

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在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (5)未来に向けて

P4252175.JPG■自然循環型農業実実現のためには、在来種普及の他、どの様な事が重要ですか?・・・

『私たちはこれまでに何百何千という品種の作物を絶滅させてしまいました。フランス国立農業研究所(INRA)ではまだ沢山の在来種が保護されている様です。インドではつい最近まで、古くから伝わる非常に多彩な稲の品種が保存されていました。それらの生産現場を見ると農薬などは一切使わず、すべて自然界にある素材のみを利用した農法です。近代化した農業よりも優れた収量を上げることができていたのです。ところが、近代種と技術を利用する様になってから、病虫害が多発するようになり、収量も大幅に下がってしまいました。世界大戦後、農業の機械化が進み、巨大なトラクターやコンバインなどが生産現場に導入される様になりました。機械で作業を合理化するために、米、麦、トウモロコシ、豆類、その他穀物類は、ある一定の高さに揃えて育つ必要があります。新しい穀物品種は農業の機械化にメリットのある形質が優先されています。在来品種穀物の中には、背丈が11.5mになるものもありました。この様な在来種の穀物を食べ続けていれば、先程お話したグルテンアレルギーなどを引き起こす確率は少なかった筈です。しかしこれらは機械化に適しないという理由で次第に栽培されなくなりましたす』

 

■日本でも同じです。風で倒れにくく、コンバインで刈り取りがし易い軸太の、短桿品種に改良されてきました。

結局、欧州連合は自家採種作物を増やしたくないということですか?その理由は?・・・

『生産者や消費者のメリットと言うよりも、大企業が自分達の持っている種を効率的に販売するために政治勢力と手を組んだ結果だと思います。かって、農民が種を自家採種していた時代には、収穫した中から必要なだけ自家用に使って、余剰分を販売に回したり近所と交換し合ったりしていました。それが、これからは自分達の収穫分に対して税金を支払う様に義務着けられるというのですよ・・・。種子の交換が法的に禁止されるのです。その規約に反対するため、私たちは以前、農家の人たちと一緒に麦の種が入った袋を持参して、ストライキに参加したことがあります。しかし、その袋は種を交換し合ってはいけないと主張する人達の手でビリビリに破られてしまいました・・・』

 

■推測ですが、採種を法律の下で管理し、大きなメリットを受ける人達がいるのでしょう。法的に保護されていれば競争原理が働らきません。在来種の自家採種が増えれば、彼らの利益は縮小してしまいますね。ただ、採種は種子感染を防ぐため厳格な防除管理の下で行われなければなりませんから、ある程度の規制は必要だと思います。

日本の生産者は、種子は作るよりも買った方が便利なので購入する人が大部分です。殆どハイブリット種ですから購入するしか選択肢はありません。フランスは一生産者の使用量が桁違いに大きいでしょうから、自家採取が定着したら採種業界は死活問題でしょう・・・。

しかし、全面的に自家採種を取り締まる法律があるということは驚きです。日本にはまだその様な法律はありません。在来種が使われていた時代には穀物から野菜まで、自家採取が行われていましたし、現在でも違法ではありません。。

日本では今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加して、欧州連合の様に加盟国間で各分野のルールを統一しようという議論が活発化しています。仮にTPPに加盟した場合、アメリカや、豪州、南米の参加国から、同様のルールを要求される可能性は否定できません。しかし遺伝子組み換え作物の受け入れは絶対に拒否すべきです。種子の押しつけなど論外です。

日本ではまだまだ情報公開が不十分で、、政治の不透明さが目立ちます。つい最近、農水省から遺伝子組み換え作物と、それを販売する海外企業の国内事業参入について一般市民の意見を求める書類が、有機農業の発展運動に関わっていた大学講師の友人から送られてきました。ただし、私のところに書類が届いてのは、すでに農水省への書類提出期限が過ぎた後だったです(笑い)

『フランスでも同じですよ・・・一般市民に意見を問うていては通りそうもない法案は、国民の多数がバカンスを楽しんでいる間に審議を済ませ、さっさと通してしまいます。つまり誰も知らない、知られないう間に通してしまいます』

 

『田舎から都会への人口流出と農業者の減少は、世界に共通して見られる問題です。これは経済的、社会的な現象で、農民が減ると種子を育てる農民も減る・・・したがって種子の供給源を大規模企業に委ねざるを得なくなってきています。しかし、現代人は毎日工業生産化した生気のない食べ物を食べて生きているのです。しかもそれを、電子レンジで温めて!』

 

■そういわれると困ったなあ・・・(笑い)

便利な生活に馴染んでしまっているから、今更、やめられないでしょう。電子レンジが私達に及ぼす具体的な害というのは、目には見えないですからね。

『もちろんそうですね。携帯電話の電磁波に関しても同じことが言えます。

問題が明るみに出るのは今でなく、将来です。何年か何十年後には電磁波の出る機器を使い続けてきた人達に、どの様な影響が出るか、例えば癌になる確率が高くなるとか・・・可能性は否定できないです』

 

『日本では昨年、原子力発電所の事故がありました。放射能の拡散も見逃せない問題です。福島原発で事故が起こったすぐ後から、ココペリではブログを通して日本の原発事故を取り巻く近況を頻繁に更新して伝えてきました。情報源は個人、原発関係の団体等です。事故当時、原発事故の状況に敏感だったフランス国内報道機関の動きが下火になった後も、私達、特に私の兄が中心となってブログの更新を根気よく続けました。しかし、周囲からの圧力と事態のあまりの悲惨さに落ち込んでしまい、もうこれ以上続けると病気になると思い、結局、昨年7月にブログは中止しました。放射能に関する詳細、且つ正しい情報を見つけるのが難しい状況が続いていたので、ブログを中止した後、多くの方々から「助かりました。ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。言い換えてみれば、事故の真実を隠す情報機関が、それだけ多かったということです。

放射能汚染は実際、日本だけの問題ではありません。放射能雲は2025日間で地球をぐるりと一周します。雨が降れば、空気中にあった放射能も土壌まで降りてきます。こうして世界中が汚染の被害を蒙ったのです。特に土壌汚染の被害は、単に数年ではなく、何十、何百という年月を通して、汚染が続くことになるでしょう。土は、撒かれた種を育む。そしてその土が育てあげた種から育った食べ物が私たちの糧となるのです。そう考えると人間に被害が及ぶのは当然の話だと思います。

フランスは全世界で最も原子力発電技術に長け、且つその開発にも力を入れている国の一つです。一方で日本も原子力の発展にはこれまで非常に力を入れてきました。それに関連した産業も多く、そこから逃れられない人達からの圧力があったわけです』

 

■ところで、ココペリは日本の種子会社、あるいは種子保護に関わるアソシエーションとの交流はありますか?

『今のところ、コンタクトを取ったことは全くありません。自然農法を確立した福岡正信氏の名はフランスでも知られていて、私自身も興味を持っているのですが・・・彼の実績は素晴らしいと思っています。

京都には古い伝統的な種子のストックをしている会社があります。それが「種屋」の財産なのです。

INRA (フランス国立農業研究所)の様な研究機関は、ココペリが在来種の種子をストックしているのはありがたいことだ、と思っているようです。なぜかというと、私たちの持っている品種を購入したうえで、ハイブリッド種を新たに作り出す、という仕事をするからです。私達から見れば、本当に馬鹿げた話です。

ハイブリッド種や突然変異から生まれた種というのは、言い方は悪いですが、いわゆる人間でいう心身障害者のみを選択して養育するのと同じことだ、とある日本人の人から言われたことがあります。それでは、体に良い訳けはありませんとと・・・

私達はその様な状態の品種をベッキーユ(松葉杖)と呼んでいます。かって、自然界には私達が必要とするものはすべて揃っていました。自然は私たちに必要なものはすべて与えてくれていました。だから私たちは、食の安全、安心、消費者ニーズという言葉のもとに、次々と新しい品種を作り出してゆく現在の姿に疑問を持っているのです。

日本でもNPO法人などがあると思うので探してみます。

ココペリはこの在来種子の保護とその自由な活用の権利保護という問題に対してこれまで真剣に取り組んできたため、フランスだけでなく欧州、そして世界中に名が知れるようになってきています。農民達が大規模多国籍企業に依存したり、その結果借金に追われ続けたりすることなく、各自が独立した形で生産活動を続けられる姿を目指すため、最近では 国内のみでなく海外諸国でも、ココペリの種子生産ネットワークを築きはじめています。

今日の経済市場主義に翻弄され続ければ、金融危機のシステムと同様に、生産者の借金は膨らむばかりです。先に申しました様に、1930年以降、初めて改正されたFAOの定める国際食品規格(Codex Alimentarius)の影響は、1ヶ国のみではなく、世界中の国に影響を及ぼすものです。だからこそ反対運動を世界中に広めていく価値があるのです。

 

■長時間、大変有益なお話し有り難うございました。私たちも日本でココペリの活動をお手伝いできる事がありましたら是非、お力になりたいと思っています。

 

(終)

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (4)トマト談義

20120529114721_00014.jpg ■土作りについてのお考えは?・・・

〈作物の健康は健全な土壌からが基本と考えています。

ココペリは、土壌の再生を目的としたプロジェクトにも取り組んでいます。折角、種子の保護改革に成功しても、この種を受け取って栄養を与える土壌が痩せていては健全な作物は育ちません。従って人々に土壌の健全さについて伝えていくことを大変重要視しています〉

 

■昨日、パリにある普通のスーパーマーケットを何店が視察しました。フランスも日本と同じ事が起きていますね。販売されている食料品の種類は豊富ですが、商品はどこも画一化していることを感じました。フランスでも大企業による量販店の広域チェーン展開が進み、安く大量に仕入れて競合店に競り勝つかが最重要課題となっている様です。

その流れを受けて生産者は、ハイブリッド種子、化学肥料、農薬、あるいは水耕栽培などを駆使して栽培効率を上げ、コスト削減を競っている事が商品から伝わってきました。本来の「食べ物を作る」というプライドと職人気質が後退し、競争に勝つためには何でも使わざるを得なくなっているのが現状でしょう。特に国内だけではなく、EU諸国、アフリカ、南米などからの輸入品も目立ちますから、価格競争は厳しい・・・。日本でも同じ状況が起こっていますが、幸か不幸か10数年前、輸入野菜に残留農薬が度々検出され、消費者、流通、生産者の安全性に対する意識が高まりました。しかし、日本は安全はタダ(無料)という認識が残っており、デフレ経済の影響もあり、消費者の安全性に対するコスト負担は進んでいません。フランスの状況は?・・・

〈農薬や化学肥料が使われる様になったのは、第二次世界大戦後のことです。戦争中に作られストックされていた大量の化学薬品が余っていました。そこでこれを農業に応用できないかと考えたのです。その結果、以前は肥沃だった土壌の生態系は急速にバランスを崩し、地力を失ってしまいました。ベトナム戦争の際には、自然と人間を殺傷するために、あらゆる化学物質が使われました。今日でも世界中で様々な農薬が使われています。危ないことが解っていても、一度使い始めたらなかなか止めるのが難しいです。だからこそ、消費者の教育に力を入れる必要があるのです。

例えばもし、消費者が真冬にイチゴやトマトを欲しがるのを止めたら、ハウス栽培や、水耕栽培をする必要も無くなります。エネルギー、農薬、化学肥料の無駄使いを止めることが出来ます。

特に植物にとって土は不可欠です。水耕栽培で土壌の中に根を張らないまま育つ植物には、本来持つべき生命力は宿りません。水耕栽培は、ほんの一部の人間達がお金儲けのために作り上げた知恵でしかありません。様々な分析を行った結果から判断して養分を与えれば、作物が出来ると言ってね・・・

フランス、ブルターニュ地方にあるサべオル(Savéol)社はトマトの生産と販売に関しては最大手です。冬でも水耕栽培のトマトを大量に生産、販売しています。選ぶ、食べるのは消費者の勝手ですが・・・〉

 

■私達は今朝、ランジス市場で、サべオル社のトマトが販売されている様子を見てきました。以前、この市場で18年間トマトの販売を専門に担当してきた案内人Jさんは、サべオル社のトマトは国産、且つ最高品質、水耕栽培ではなく環境にも配慮した栽培をしています。ランジス市場の中でも高価格で取引されるとの説明を受けましたが?・・・

〈とんでもない話です!

市場に勤めていた彼が言う「良いトマト」とは、つまり自分がより儲かるトマトということだったのでしょうね~。

サべオル社のトマトと、私達が作る地物トマトとは、味は全然違いますよ!〉

 

■日本では美味しさは糖度と酸味のバランス、食味、そして見かけの美しさで判断します。サイズが揃っていないと、流通に乗りにくい商品となってしまいます。フランスでも市場で見る限りでは、農作物の等級分けは行われている様ですが、では、ココペリが考える「良いトマト」とは、どの様なトマトでしょうか?・・・

〈ココペリにとって、クォリティの高いトマトとは、まず美味しいこと、外見、色、そして病気に強く、気候や土壌の違いに対して広い対応性を示すものです。私達の商品の中では、トマトの種が最もよく売れています。現在保存しているトマトの品種は650種類におよびます。その中でも品種によって、極早生、早生、晩生など収穫時期の異なる様々な品種が存在するので、これらを組み合わせることで栽培する量や時期などを調節することができます〉

 

■それらは基本的には露地栽培用ですか、ハウス栽培用ですか?・・・

〈両方あります。日本は湿度の高い国なので、病害を避けるためにも、トマトはハウス栽培が向いているのでしょう。トマトは病気に弱いですから、私たちも発酵させた西洋イラクサなどの有機物質を活用して強い苗に育つ様、しっかり世話をします〉

 

■ココペリの種を使っている人たちは、天敵昆虫などを使って害虫の発生を制御していますか?・・・

〈その様なものも使います。2種類以上の花、野菜、ハーブなどを組み合わせて植えるコンパニオンプランツといった手法も活用しています。これは昔から、百姓達の間で民間伝承されてきた非常に貴重な手法です。植物はお互いに助け合って自らを保護する方法を知っているのです。だからこそ様々な作物を混植して畑の中の生物多様性を豊富にしていく事が大事なのです。例えば、花をよく咲かせる植物を野菜の近くに植えることで、昆虫を自然に引き寄せることができ、結果として受粉の機会が増える、といった具合に・・・〉

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

 

■私は昨年、フランス、ボルドー地方原産のマルモンドトマトという品種を日本の農家に依頼して育ててみました。収穫は出来たのですが、サイズにかなりばらつきが出たので、残念ながら商品化には至りませんでした。これも原種のトマトですか?・・・

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/column/post-60.html

http://www.e-yasai.com/blog/post-62.html

〈マルモンドのトマト(正確には栽培が始まったのは1863年から)は、とてもクラッシックな品種です。味も良いことで有名です。この地方で栽培されているトマトにもいくつか違う品種があります。その中でサンピエールという品種は私達も販売しているのですが、これはよく売れます。トマトでもズッキーニでも、量販店で販売されている品種は、種類に乏しく、どこも同じものであることが多いです。それはあまり好ましいことだとは思いませんね。大学で私たちが行う講義に参加される方や見本市にいらっしゃるお客様達は、トマトだけでもこんなに沢山の品種があるのか、と驚かれます。

アマチュア生産者の中でも、かなり多様な品種のトマトを育てているトマトコレクターと呼ばれる人たちは結構いらっしゃいます。彼らのお蔭でココペリは古代種のトマトの種を守り続けることができているのです。ピーマン(唐辛子)の種子の種類も豊富なのですが、中には年間1520袋程度しか売れないものもあります。それでも継続してくことが大切だと思っているので、生産をお願いするのですが、需要が低い品種は生産者の仕事量が増えてしまうので、コストがかなり高くつきます。決して工業的な方法は使わない、手仕事の世界だからです〉

 

■フランス人は野菜の糖度に対しては日本人程、煩くないでしょうか?・・・

〈フランス人の味の好みというのは、もっと多様なのでしょうね・・・糖度に執着するというよりは、むしろ様々な味のトマトが存在することの方が大事だと思います。酸味が強いもの、とても甘いもの・・・… 胃の調子が悪い人達のために酸味を抑え気味にしたトマト、様々なものがあります。例えば黒トマトなんかはとても甘く、酸味が少ない品種です〉

 

■ランジス市場で、クマトという名前の黒いトマトを見ましたが、クマトとは?・・・

〈クマトは、スペインの栽培者スイスに本社がある世界的アグリビジネス企業「シンジェンタ(Syngenta)のために開発したもので、本来ならば存在すべきでないハイブリッド品種です〉

 

■糖度の高いトマトがあったら日本でその種を販売、または試作用に購入することはできますか?・・・

〈勿論です!どうぞ、どうぞ!

欧州各地でクマトは流行しはじめていますが、ハイブリット種なので自家採取は難しいです。私達の提案する古くから作られてきた在来種の種は、確かに生産性の面では劣ることもありますが、種は続けて自家採取ができます。やはり、それが一番理想的だと思いますよ・・・〉

 

■日本で是非、ココペリの提案するトマトを作ってみたいですね。今日ランジスに行って、色、形が様々な品種のトマトを詰め合わせた商品にとても関心を持ちました。是非、日本でもチャレンジしてみたいです。日本ではまだまだ、トマトの種類は少ないですから・・・沢山は売れないと思いますが、品種の多様性を消費者に説明するツールになるとは思います。

〈是非、チャレンジして下さい!日本では、作付けのローテーション(輪作)は組んでいますかしていますか?〉

 

■トマトは、基本的には連作出来ませんよね・・・昔は日本でも作付けローテーションを頻繁に変えて、様々な野菜を同一圃場で栽培していました。現在は効率を優先しなければならない為、植え付け品目は減少し続けています。その結果、害虫や病害に強い交配種の価値が高まったのです。最近は種だけでなく、苗に接ぎ木をしないと土壌病に対応出来ない例も多く、手間やコストの上昇を招いています。

ところで、貴国で自家採取に対する規制が厳しくなるのは何故でしょうか?・・・

 

〈日本にはフランスの様に種の売買や利用に関する厳しい法律や規制はないのですか?〉

 

■勿論、種苗法という法律があり、規制されています。種苗登録された種苗は、販売目的には権利者の許諾なしには増殖できません。一部の作物(馬鈴薯などウイルス感染のリスクのある物など)は規制されています。これら以外は自家採取可能です。しかし、種子は種苗会社から購入するという習慣が定着しています。輸入品種に対しては植物防疫検査が課されます。輸出元で種子消毒を施した証明書があれば大丈夫だと思います。ココペリの種はすべて有機認証機関の審査を受けた認証マーク【AB】が付いていますが、熱消毒をしているのですか?・・・

〈消毒をすることで種に悪影響が出るため、していません。オーガニック農法で管理された農場で採種していますから消毒しなくても、全く問題はありません。熱消毒は下手をしたら種子が死んでしまう可能性もあります。

繰り返して聞きますが、日本では本当に種を栽培し販売してしまっても大丈夫ですか?〉

 

■先程、お話しした様に、一部以外は大丈夫です。(種苗法参照)

以前は地方に独自の伝統品種があり、盛んに自家採取が行われていました。現在は種苗会社がそれらの品種を採取して、家庭菜園や直売場向けに販売しています。ハイブリット種子の定着で、在来種は専業家向けには殆ど売れなくなりましたから、商売的なメリットは少ないかも知れません・・・

フランスでは各農場で自家採取された種を全体利用量(播種量)の10%以上利用してはいけない、という法律があると某研究者から聞きましたが、それは本当ですか?・・・

〈はい・・・確かにEU加盟国にはそのような規制が義務付けられています。ただ、すべてに対して10%という数字が課されているわけではなく、品種や経営規模などによって変わってくると思います。規制が複雑なので、詳しくはフランスの専門機関等が出した資料で調べてください。いずれにしても一定の割当量があり、守らない者には罰金が科されることは確かだと思います。

 

■ということはほぼ強制的に、農家は種苗会社から種を購入せざるを得ない・・・ということですね?・・・

〈そうです・・・その上、フランスでは穀物などの大規模農場は、衛星から品目ごとに何をどれだけ作付しているか、監視されている状態です。ですから各々の生産者によってどれだけの種子と農薬が必要となるかは監視機関が把握しており、これらの購入と利用が強要されている状態です。規則を破っていることが判ると、洩れずに罰金が科されます〉

 

■日本も衛星からまる見えです。北海道の水稲は衛星データーによって食味が推定分類され、地区毎に買い上げ価格がランク付けされています。

罰金既定は有機栽培を行っている耕作地でも課せられますか?・・・

〈慣行農業を行っている面積と比べたら有機栽培は、ほんの微々たるものです。2011年秋、欧州連合の課金制度が改正され、自分自身が許可を申請して獲得した品種の種子に対しても特許使用料(税金のようなもの)を支払わなくてはならない制度になりました〉

 

■日本では水稲も馬鈴薯も、種籾または種芋を購入して栽培する場合が殆どです。ただし品種にもよりますが、「作れない」か」「作らない」のかと言えば、「作らない」というケースの方が多いと思います。要するに交雑の問題があって、結局買った方が結果的に安いからです。現在使われている種子の殆どは、ハイブリッド種だと言うことです。

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (3)生き残れるのか?

P4252184-2.JPG■厳しい国際競争の中で、在来種で農家は生き残れますか?・・・

 ココペリの理念は理解できます。しかし、私の認識では日本は最早、ハイブリッド種子で耐病性を付けなくては、生産効率が落ちて経営が成り立たない生産者が大半です。その点に関してはどのようにお考えですか?・・・

 

〈それは目先の経済的利益のみを優先した産業界が敷いたレールの上を走らされて生じてしまった結果です。根本的に誤っています。

小規模でも自然の理に適った方法で丁寧な仕事を続けている生産者の活動を支援していくべきです。フランスでは彼らが生態系を維持しながら生産する安全で新鮮な野菜や果物の需要が増える一途です。地産地消、産直などに対する関心も高まっており、AMAP(生産者に消費者が購入代金を前払いして、旬の有機農産物を定期的に配達してもらう活動)などのシステムも発展しつつあります。大手種苗会社、企業に勧められるがままに、種子を購入し続ける単一栽培農業は、持続可能性に欠けています。一時的には生産者の利益はあがるかもしれませんが、将来性は希薄です〉

 

 AMAPのような団体は日本で3040年前から各地に出来はじめ、現在でも活動を続けています。社会変化もあり、なかなか活動が広まっていかないのが現状です。フランスはいかがでしょうか?・・・

 〈欧州の農業政策は小規模な生産者を根絶して農業の工業化を進める方針をとっている事が問題なのです。FAOのバックアップを受けているコーデックス委員会(国際食品規格委員会)では数年前から国際食品規約の改正に取り組んでいますが、実をいうと問題の根源はその新しく改正された規約にあるのです。

コーデックス委員会のメンバーの中には世界的に有名な多国籍大企業に所属する委員が沢山いるようです。しかし、このままヨーロッパの言いなりになっていては、フランスで現在盛んになってきているAMAPに対しても国が規制をかけてくる可能性があります。AMAPが発展を続ければ、大型スーパーなどは、彼らを競争相手とみなす可能性があるからです〉

 

■しかし、そのAMAPの発展運動はすんなりといかないのでは?・・・

日本でも1970年代より、生活協同組合(COOP) などの産直提携運動が始まりました。「消費者と生産者の交流を通して、信頼と相互扶助の関係を深め、持続可能で安心安全な食物の普及を図る」という本来の目標を今日までしっかり徹底し続けている団体は一部に限られます。生協に供給してきた生産者の中には、後継者難やスーパー同士の価格競争の煽りでで納品価格が低迷、悩んでいる例も多いですが?・・・

〈フランスではAMAPは始まってまだ間もないですが、しかし消費者側の需要は増えています。供給が足りていない地域もあります。若い新規就農希望者から電話等で、就農に向けた相談を受けることがよくあります。畑を始める土地がなかなか見つからず農業会議所に問い合わせたところ、「有機農業なんか始めるのはやめとけ・・・」と言われた」という者を私達は何人も見てきました。ちなみにフランス国内における有機栽培作物の普及具合は、欧州で下から数えて2番目です。

日本の状況とよく似ていますね・・・(笑い)〉

 

■AMAPを発展させて行くには?・・・

〈大事なのは消費者へのPRと教育活動です。

ココペリは動植物すべての分野における生物遺伝資源の特許を少しでも多く獲得し、独占したいと企んでいるアメリカ、中国などの諸外国や欧州連合などから圧力を受けています。それに屈せず対抗する姿勢を貫いています。幸いなことに私たちの活動は約7000人の会員と、ジャーナリストたちから厚い支援をいただくことができています〉

 

■その会員というのは主に個人ですか、それとも法人ですか?・・・

〈個人、アマチュア園芸愛好家、市町村役所、アソシエーション(NPO法人等)など様々です。例えば伝統ある王室菜園の管理を続けているベルサイユ宮殿、パリ市役所もココペリの会員登録をしています。私たちの活動は国、そして欧州の法律と照合すれば限りなく非合法に近いのです。それでもココペリの方針に同意し、私たちが保護している種子を購入してくださる公共機関が存在するのです〉

 

■「何を食べるか」「何を買うか」を最終的に選択するのは消費者です。だからこそ、ココペリの方々の持っている理念は消費者に対して積極的にPRすべきだと思います。

おこがましい言い方ですが消費者教育、つまり正しい情報を提供することが非常に大切だと思っています。全部とは言いませんが、現状の流通(量販店)はモノの価値ではなく価格だけでしか判断できない売り方になってしまいました。

農産物が持つ本来の「内容価値」を消費者に理解して頂かない限り、低コスト大量販売の大手資本には永久に対抗できないと思います。原点に戻って対面販売、つまり生産者が直接消費者と向き合って、情報を伝えるシステムを作らねばなりません。

農産物の販売支援についてココペリはどの様な活動を行っていますか?・・・

〈インターネットのサイトによる情報発信や、毎年、年間約130の各種展示会や、農業、環境、園芸やオーガニック商品などに関連したフェアへの出店が主なPR活動の手段です。また、大学へ講演に出かけて、生物多様性の重要性や、季節感のある食事の有意義さ、農薬の使用が様々な病気の要因となっていることなどを学生達に説明し、正しい食べ物の選択方法に対する理解を促すことなどもしています〉

 

■農業者、一般人ともお話にあった現状をまだよく知らない人が多い、また知る機会も少ないと思います。これからは農業や園芸、環境に興味を持っている人達にターゲットを絞った見本市だけでなく、たとえば欧州で最も大規模なことで有名なパリ国際農業見本市のように、必ずしも専門知識に長けているとは限らない一般市民が多く参加するイベントにも積極的に参加してPR活動を続けてほしいと思いますが?・・・

〈無理です!〉

 

■なぜですか。参加料が高いからですか?

〈確かに参加料が高いのも一因ですが・・・パリ国際農業見本市には出店したことがあるのですよ。当時ココペリの総代表をしていた兄、ドミニクがスタンドにいたところ、国営テレビ局の取材を受け、私たち団体ココペリの理念を正直に述べました。収録された内容がその日のニュースで放映されました。ところが翌日、農林水産大臣の代理人が私達のスタンドをわざわざ訪れて「貴方達は活動をやめて、少しおとなしくすべきだ・・・」と、私達の活動に圧力をかけたのです〉

 

 ■分かります!日本もフランス程ではありませんが農業に限らず起こり得ます。心強い協力者は?・・・

 私たちの活動を支援してくださる有名シェフが存在するのは大変心強いことです。例えばパリで三ツ星レストランを経営する売れっ子シェフのアラン・パッサール。彼はココペリと一緒に仕事をしています。フランスでは、自家用菜園(農園)や、栽培を専属で担当する者を雇用している高級レストランもあって、ココペリはそのようなレストランと一緒に仕事をしています。パリの名だた料理人達のご用達となっている野菜生産者、ジョエル・チボー氏が育てる野菜の種も、私達から購入したものだと聞いています。野菜の、味、香り、色、多様性に富んだ食材・・・それは食のプロがまさに求めるところなのです。大学教授の中にも、講演会でココペリが行っている活動の意義についてお話しをしてくださる教授もいます。彼らは、私たちが出版した種子のカタログにも寄稿してくださいました。私達が今まで活動を続けてこられたのも、様々な方々に支えられ、励まされてきたお蔭です〉

 

■ココペリの運営は?・・・

〈数々の圧力はありますが、お陰様で順調に発展しています。NPOですから利益を上げる事が目的ではありません。運営費は会員から頂く会費、種子の販売、各方面からの寄付金で賄われています。ここは少し手狭になってきたので、少し奥になりますが広い土地に移転すする計画です〉

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (2)不可欠な多様性

   P4252185.JPGのサムネール画像■品種の多様性についてのお考えは?・・・

〈畑で育てる作物の生物的多様性も大事です。同じ国で多様性に乏しい、常に同じ植物や品種を栽培しているのは残念なことです。もっと様々な種類があっても良いと私は思っています。その土地で収穫できる品種が豊富になれば、地元の人達の健康や栄養状態を改善することも可能です。幸い、私たちの地球にはまだまだ、生物の多様性が残されています。だからこそ、在来種の絶滅を避けるためにも、近代的な手法で開発された新品種に市場を支配されてしまわない様に、戦うべきなのです。

確かに近代的技術を駆使して開発された新品種は、生産性、経済面から見たら、より優れているかも知れません。しかし同じ作物を大面積栽培し続けると、作物は病気にかかりやすくなります。生産者は化学的に調合された農薬を撒き、その結果、土壌は生気を失ってしまいます。その上、遺伝子の人為的操作やハイブリッド交雑など新品種の作物は、人体に拒絶反応を示すケースも少なくありません。実際に今、小麦粉に含まれるグルテンに対するアレルギー反応を示す患者が増えているのはその一つです。一方、家庭菜園の中で育っている作物の生物多様性が豊かであればある程、作物が病気になる確率が減ることも分かっています。だからこそ、多様な在来種の保護が大切なのです〉

 

■日本は南北に長い列島国で、長い間植物の遺伝子資源が交雑する機会が少なく、土地特有の在来種が多く残されてきました。ところが最近、雑草などで外来種の侵入と異常繁殖が自然破壊を招き、非常に問題視されています。ココペリは、外来種と在来種の交雑問題はありますか?・・・

〈小規模な畑で栽培できる植物は、一年性植物である場合が大半で、それ程大きな問題にはならないと思います。ただし、花粉を飛ばして交配する植物に関しては、非常に慎重な対応を取らなくてはならないと心得ております〉

 

■日本では、天敵となる昆虫を害虫駆除対策として利用したり、受粉の省力化などにも使ったことで在来昆虫が大きなダメージを受けた例があります。

元々日本に生息していなかった葉巻病を媒介する昆虫が温暖化の影響で生息範囲が北上し、被害が拡大し問題になっています。最初の個体は輸入コンテナに付着してきたのでしょうが・・・フランスではその様な問題は?・・・

〈確かに、外来種の進出による問題はフランスでも見られますが、対策手段は無いでしょうね・・・〉

 

■現在、日本の農家は自家採取しないで、種苗会社から購入しています。交雑種子の問題は殆どありませんが、ココペリの様に、採種農家が沢山の品種を一緒に育てると、問題が出ませんか?・・・

〈生育時期が異なる、つまり花の咲く時期が異なる品種同士を組み合わせて栽培することで交雑のリスクを回避しています。

しかし・・・問題なのは例えばメキシコは、世界で最も古いトウモロコシの栽培地で、在来種も非常に多様です。今日では残念ながら、遺伝子組み換え種子の普及が進み、数多くの在来種が存続の危機に立たされています。このような問題が今、世界中で起きているのです〉

 

■日本では一時、野菜などで品種の集中が起こり、品目によってはマーケットを独占した時代がありました。農業自体が次第に衰退し、種子需要が落ち込んで、種苗会社の買収や統合が進みました。現在は、消費者ニーズの多様化で品目も品種も豊かになっています。販売量は限定的ですが、直売場や家庭菜園向けに個性的な種が売れています。フランス、EUの実情は?・・・

〈独占を狙う国際アグリビジネス企業の圧力から世界の「お百姓さん(Paysan)」を守らにばなりません。

問題なのは、国際規模でアグリビジネスを展開する経済至上主義の大手企業が権力をふるっている事です。その中で最も代表的な大手種苗会社、M社は育種業界で主要な位置を占める世界各国の種苗会社を次々と買収して組織を拡大し、現在ではこの地球上で流通している種子全体の約90%を独占販売しています。それに対して私たち、ココペリは僅か20人で運営しているアソシエーションです。M社に対抗するココペリはまるで、鉄器にぶつかった土器のようなものです。それでも私達は、多国籍種苗企業に対抗した活動を続けていきます。

なぜなら、このままでは大手が販売している自家採取不可能な種子の普及が、その土地の環境と生活に調和した『お百姓さん型小規模農業』を地道に続けている人達が、弱肉強食の世界に苦しめられることになるからです。

ココペリの活動は、欧州だけでなく、アジア、インド、アフリカ、南アメリカなど、世界中の国々で展開しています。南米ではコスタリカ、ペルーなどでも活動しています。これらの国では現在、近代的なシステムを導入し、商品作物の単一栽培を進める大規模農場が普及しつつあります。従来型生産者が大手農場に押し潰されてしまうことを防ぐため、地域コミュニティの中で種子を地産地消し続けることができる仕組み作りのお手伝いをしています〉

(参考映像)

http://www.youtube.com/watch?v=6smqYla0U2s

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (1)理念と活動

P4252177.JPGのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像科学技術が進歩するほど対極にある原点が見直される。その一つが有機農業(オーガニック)である。

一口に有機農業と言っても福岡正信氏が提唱した自然農法、JAS有機、化学肥料と化学農薬不使用栽培など様々ある。

有機農業を論じる前に、種も環境破壊源になり得るという主張がある。バイオ技術は日進月歩、既に地球上には遺伝子組み換え(GMS)作物が作られ、流通している。人間の欲望は果てしなく膨らみ、止まらない。この行為が是か非かは、各界から様々な論議が行われているが、結論は当分出そうにもない。仮に遺伝的影響有りと実証されても時既に遅し、元に戻れない。安全神話が崩壊し、深刻な環境汚染を引き起こした原発事故も記憶に新しい。現時点ではGMS農産物に直接的な被害は表面化していないが、将来的リスクはゼロではない。これを機にもう一度、種について考え直す時期に来ているのかも知れない。

 

GMSやハイブリット交配種子が環境や人体に与える影響を懸念して、自然交配種子(在来種)の保護、普及活動をしているNPOが南フランスにあると、パリ在住A子さんから昨年聞いた。どの様な理念で活動し、どんな種子があるのか興味があったので4月下旬、モンペリエ市近郊にある「ココペリ」を訪ねた。パリからTGV3時間余り、ニームで在来線に乗り換えアレスに着いた。地中海岸から少し内陸に位置し、のんびりした南フランスの農村という風情であった。

応対して頂いた理事長K氏に早速、インタビューした。

(通訳・編集) 服部麻子氏

 

■ココペリの由来と理念、活動は?・・・

〈ココペリとは、アメリカインディアン伝説に登場する精霊です。背中のコブに蓄えていた種は、笛の管を通って地面に撒かれ、やがてその土地に豊穣がもたらされると伝えられています。

私達のココペリの名前もその精霊に由来するものです。20年ほど前から遺伝子組み換え、ハイブリッド(FI交配) 種子と農薬の使用を阻止するための活動を続けています。基本的には野菜や穀物類などの在来種、あるいは古くからある品種の種子を有機栽培で育て、野菜等のプロ、アマチュア生産者への利用を促し、品種の多様性を維持する活動をしています。私達が保持している品種は合計約1700種で、その数はフランス国内、ヨーロッパで最も豊富だと言われています。

世界中には何千、何万、数えきれない種類の種子が存在し、その中には絶滅が危惧されているものも多数存在します。ハイブリッドや遺伝子組み換えなどの技術を駆使して開発された品種は、毎年安定した品質の種を自家採取することが不可能です。従って栽培者は毎シーズン、種を購入し続けなくてはなりません。それにかかるコストは決して安いとは言えません。

植物の品種は本来、個体群同士が自然交配した結果生み出されたものです。人間が恣意的に植物の遺伝子を操作することは、ありえない話でした。欧州、日本に限らず、世界中の農民達は、作物の種子は自ら育て、あるいは隣人と交換して使うものでした。代々育まれてきた品種の中には、非常に古くから存在するものが沢山あります。

ところが近年、農場の大規模化を進めるフランスでは、新しい品種の植物を開発した者に特許権を与える制度を作りました。私達ココペリは今、「欧州理事会が使用認可を出した品種カタログに登録されていない在来種の種子を販売している」と厳しい批判を受けています。

しかし、私達が祖先から受け継いてきた在来種であっても、合法的利用するには欧州が管理するカタログへの登録が義務付けられるのです。しかも依頼者は一品種登録する毎に巨額な審査料を支払わなければならない、そんな法律はおかしいと思いませんか?植物は、たとえ新しい品種であっても自然界からの贈り物であることに変わりなく、決して人間の個人私有物となるべきではありません。どう考えても不条理な法律には従う必要はない、というのが私達の方針です〉

 

■具体的には?・・・

〈私達が扱う種子は用途に応じて、販売用とコレクション用のどちらかのカテゴリーに分類されています。販売用はすべて、約15人いるココペリ専属のプロフェッショナルな栽培者が本部から無料で種を受け取って、丹念に育てています。一方、コレクション用は種子の代父母栽培プロジェクトの一環として、園芸アマチュアの人たちの手で育てられます。これらは販売用にはならず、会員の間で交換されるもので、品種の保護を目的としています。代父母としてココペリからの認可を受けた会員は、各自が栽培、採種したコレクション用の種子をココペリに寄付します。これらは毎年、3㎏入り200箱分の小包に仕分けられ、種子不足に悩む世界中の貧しい人達に、NGOやアソシエーションを通して無料で送り届けられています〉

 

■在来種を気候風土の全く異なる地域で栽培することはココペリの理念と矛盾しないですか?・・・

〈植物は自分が育つ気候風土に適応しようとしますから矛盾しません。それは一見、複雑な問題ですけどね・・・

南フランスで発見された在来種の野菜が、植物自らが持つ環境適応能力を発揮して北フランスでも非常によく育つ様になるといった事例はよく見受けられます。ワイン栽培の理論と一緒で、野菜も地質や気候の特徴、テロワール(風土)から影響を受けて育ちます。例えばこの地方で黒い実をつけるトマトを北フランスで育てた場合、若干実の色が変ってくる可能性があるのは、ごく自然な現象です。この活動を続けている中で、海岸線に近いフランス南西部に位置するジロンド地方の在来種である人参が標高1000mを超える山間地でも立派に育つと判明したことがあります。同じ品種の人参が特徴の異なる土地と気候に対する適応能力を持っていたのです〉

 

■日本では優れた形質の野菜を作るため交配ではなく、母根選抜といって、品質の良い個体を選抜して種子採取を繰り返す方法があります。ココペリでも行っていますか?・・・

〈はい。

毎年、約1700種類の種子を栽培していますが、15人もの生産者に依頼しているのは、できるだけ多くの品種を栽培できる様にするためです。気候や天災、病気等などで収穫量が極端に減ってしまうのを避ける意味もあります。1人の生産者に約50種類の唐辛子(ピーマン)の種を育てていただいた折にも、ネットなどを利用して各々の品種を完全に隔離した状態で栽培してもらっています〉

 

 

草勢を立て直して、後半戦に備える。

IMG_0064.JPG今年も春先から天候が安定せず、低温、高温、干魃、大雨など大きなブレが発生し、作物の生育は狂いっぱなしである。出遅れを取り戻せるのか・・・毎日天気を気にしながら農家の気は休まらない。従来の経験で管理しても、思うようにならないのが昨今の天気である。しかし、もうお盆も間近である。

気候変動の大きい年こそ土作りの差が出ることは当然として、それにプラスして管理技術の良否が収益を大きく左右する。市場出荷の場合は、みんなが収量を落とした時こそ大きく儲けられる。天候には勝てないと諦めていては、チャンスを見過ごす。折角蒔いた種だから最大限の努力をして、人並み以上の収穫に漕ぎ着けたい。大雨や異常高温の対策は限られるが、ハウス作物では、タイミング良く適切な管理をすれば、見違えるほどの効果が上がる。「災い転じて福となす」である。

 

農家が間違いやすいのは、天候がブレて生育が弱い時に、焦って追肥をやり過ぎる事である。人間で言えば体調の良くない時に、無理に沢山飯を食べさせることと似ている。作物に強いストレスがかかると、成長点は勢いを失い、トマトなどは芯止まりを起こす。細根も果実に養分を取られて痩せる。こう言う状態では充実した花芽形成が出来ず、着果不良を起こし、大きな果実にならない。

 

成育中にストレスを受けた場合は、速効性の(発酵アミノ酸+炭水化物)の併用潅水が確実に効果を発揮する。

いわゆる弱った時の「卵酒」である。良質なタンパク質(アミノ酸)と速効性の炭水化物(アルコール)の組み合わせが、体調を整える。体調が回復してから飯(肥料)の事を考えればよい。

 

ニラを栽培しているAさんから、今年も低温、曇天続きで葉肉薄く、葉幅も狭く、株張りが貧弱で心配だと電話が掛かってきた。ニラの品質と収量は株張り、根作りで決まるから、大幅収益増を目指している彼は、今からこんな状況では、どう対応して良いか解らないという。

通常、草勢が弱いとここで化成肥料の追肥をしてしまう。しかし、確かに葉は伸びるが葉肉は相変わらず薄く、葉幅の狭い状況は改善されない。窒素が効いて葉は力なくダラリと広がり、画像の様な立ち葉にはならない。葉面の水分蒸散が激しく、株は疲れる。病害虫にも弱くなる。

この段階で必要なのは、先ず光合成を活発にし、その生成物を根の伸長に振り向け、水分と栄養分をバランス良く吸収できる体勢を作る事である。

具体的には「タマノビール」反当6kgを1週間隔で2回程度潅水する。この処理だけで収穫量は大幅に増え、品質も見違える程、向上した。Aさんは1ハウス80坪で650kg、仲間のBさんは800kgと驚異的な収量を上げた。

天候や圃場にもよるので、グループで繰り返してテストしているが、今までにない好成績が認められている。興味のある方は使ってみる価値はある。

トマトや胡瓜、ピーマンなどの果菜類も天候ストレスを受けた場合は、この方法で草勢回復させる事をお奨めする。タマノビール反当6kg+ミネラルバランス2kgを潅水する。

草勢を回復させ樹をバランス良く保って収量を上げる事が次の意欲につながる。

 

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