

フランスの農業を語るにはやはりワインについて書かねばならない。
フランスワイン生産量はイタリアに次いで世界第2位で重要な輸出産業である。しかし、葡萄の栽培や販売面で大きな変化が起きている。主要産地として西北部のボルドー、東部のブルゴーニュなどが知られているが、葡萄は水捌けと日当たりの良い南段斜面で昼夜の寒暖差が大きい場所が適地とされる。ところが、地球の温暖化で南部の地中海方面は高温障害リスクが高まり、適地では無くなってきたとの指摘がある。気象学者の予測では、2050年頃には平均気温が2℃以上上昇するというから、高品質ワインを標榜するフランスにとっては大問題である。一方、販売面では新大陸(オーストラリア、ニュージーランド、南米、北米)で安価で美味しいワインが台頭し、中ランク以下の産地は競合し、厳しい。若者のビール指向でワイン離れが進み、一人当たりの消費量は右肩下がり、この50年で半減している。ダブルパンチを受けて競争力の弱い低品質産地は高品質品種への改稙や減反が進められている。
しかし、フランスはワイン王国!高級品は健在である。中でも「シャンパン」(発泡ワイン)は、フランス独自のブランド(AOC:原産地呼称統制法)で保護されている。イタリアの「スプマンテ」、ドイツの「ゼクト」、スペインの「カヴァ」なども発泡ワインであるが、知名度、ブランド力において到底、世界に及ばない。
最近、日本でも美味しいシャンパンが店頭に並ぶようになったがワインと比べれば相当高価である。以前は高嶺の花。庶民の結婚式などで乾杯に使われたシャンパンはお世辞にも美味しいとは言えず・・・今、思えば全く別物、「シャンパンもどき」だった可能性が高い。本物のシャンパンは確かに美味しい。
高級シャンパンが注目され始めたのはバブル絶頂期。銀座のクラブや高級レストランで成金紳士や芸能人が1本20万、30万、いや尾ひれが付いて50万とかいう「ドンペリ」(ドン・ペリーニヨン)が登場してからだ。殆どの日本人は「ドンペリ」???であった。今でこそテレビなどマスコミに登場する機会が多いから庶民にも知られるようになった。しかし、実際に口にした人は極少数だろう。特別なプレミアムが付は別にして、赤ワインは「ロマネコンティー」、シャンパンは「ドンペリ」が最高級品と称されている。
価格はピンキリだが地元ランスで€126、ミュンヘンで€138、パリで€170の値札が付いていた。
「ドンペリ」の里はフランス北東部シャンパーニュの中心地、ランスにある。話しのタネに世界的な銘酒を育んでいる現場を訪ねなければなるまい。
ランスは歴史的にも重要な街で、有名な「ランス・ノートルダム大聖堂」や、フランスで活躍した著名な日本人画家、藤田嗣治画伯の眠る協会(礼拝堂)がある。パリからシャンパン街道と呼ばれている高速道路で2時間弱、鉄道で45分程度で行ける。シャンパン富豪達の邸宅や三つ星レストラン、五つ星ホテルなどもあり、如何にもリッチな雰囲気が漂う。
大聖堂広場前にはシャンパン専門店があり、ビンテージ2002年の銘柄が並んでいた。蘊蓄を語られたら、好き者は財布が空になる。
1743年に創業したモエ・エ・シャンドン社が経営するシャンパン博物館。ここでシャンパンの由来や製造、発酵、熟成などの講釈が聞ける。1500エーカー(600㌶)もの葡萄畑を所有し、毎年200万ケース以上のシャンパンを出荷している。
玄関を入ると巨大な発酵タンク(展示用)が目に飛び込む。
収穫された葡萄は搾られてタンクで一次発酵させ、シロップ(砂糖)、炭酸ガスなどと共に瓶に詰められ二次発酵させる。
普通のシャンパンは色々な年の原料が混ぜられるが「ドンペリ」はビンテージ年ワインに限定して作られる。
エレベーターで40~50m降りると、連結型電気自動車が待っていて、貯蔵庫を案内してくれた。ここは石灰岩の岩盤を格子状に洞窟が掘られ、年間を通じて室温と湿度が一定に保たれている。ここで7~8年間じっくり眠りにつく。
シャンパンは白葡萄シャルドネ種、黒葡萄ピノ・ノワール種など8品種をブレンドして作る。
この会社では1500エーカー(600㌶)の葡萄畑を持つ。
ワイン用葡萄は樹が若くては良い味や香りが出ないとされる。一般的に石灰岩土壌、ミネラル分が豊富で肥沃でない土壌が適する。品種にもよるが本来の特徴は数十年生にならないと出ないと言われている。
この株は何十年生か解らないが世界最高級品を作る樹にふさわしい。貫禄がある。
シャンパンは「ドンペリ」が一番美味しいかどうかは、色々飲んでいる訳ではないから解らない。左の画像は1811年に創立されたペリエルジェ社の2002年ヴィンテージである。アネモネをモチーフとしたデザインで中身もボトルも芸術的な逸品である。このヴィンテージ年の様子を同梱冊子から引用させて頂く。人間の技よりも、自然の技であることを記している
2002年、それはコントラストのある豊かな年
「シャンパーニュ造りにおいては、その気候条件が大いに影響しています。2002年もその例に漏れてはいません。温暖な春から割合に湿度の高かった8月にかけて、この年もブドウの生育に必要なものが自然環境から与えられます。さらに9月は乾燥し、日中は太陽が照り、また、夜温は冷え込みがありました。つまりこのコントラストが、素晴らしいブドウができるために理想的な方程式なのです」
ランスに行ったら立ち寄りたいのがレオナール・フジタの礼拝堂である。藤田嗣治は1886年生まれ、パリで活躍した著名な画家。フランスに帰化し、本人の遺志により、このランス礼拝堂に埋葬されている。
シャンパン富豪が沢山住むこの街は「ドンペリ」を飲むにふさわしい三つ星レストランや高級ホテルがある。
ここは五つ星を持つホテル。宿泊するだけで最低€800(ツイン1室)は覚悟しなくてはいけない。夕食、朝食を含めたら€1200以上(約15万円)は飛ぶ。
我々にはガーデンカフェで喉を潤すのが精一杯の贅沢だ。
友人の口利きで、特別にレストランやバー、ゲストルームを見せて頂いた。仮に宿泊するチャンスがあっても私には落ち着いて時を過ごせそうにない・・・
フランスに行っても個人農家を訪ねる機会はなかなか無い。(2)で書いた日本人農家Yさんは当時パリに住んでいた知人に紹介して頂いたが、典型的なフランス人農家にお会いしてみたいと考えていた。その土地に生まれ、育ち、そして農業を続けている土着農家にである。
「どんな環境」?「どんな考え」?「どんな農業」?「どんな生活」?・・・直接会って聞いてみたい。この思いを1月に訪仏した折り、案内して頂いた留学生H/A子さんに伝えておいた。
3月上旬、A子さんから「知り合いの村長さんのお宅で『どぶろく』を造る事になったので一緒に行きましょう!村長は170㌶の農地を持ち、小麦などを作っているから、いろいろお話しが聞けると思います」。願ったり叶ったり!チャンス到来である。
5月1日(日)、車でパリを出発、広大な農地が広がるシャンパン街道を東進、昼前に村長宅に着いた。

回りは殆ど麦畑(画像上)・・・所々に菜種畑(画像左)と土が露出した圃場が見える。畝が作ってあるからホワイトアスパラ?かも知れない。
村長宅はここで代々農業を営んでいる名門。村の発展と環境問題に特別関心が深い。
作物は殆ど麦、トウモロコシ、菜種で170㌶経営している。政策的に保護されているので、生活は皆さん豊かだ。しかし、村長は「このままではいけない」と考えている。何故ならば、現状はもう機械化も収量増も限界に近い。メインの小麦は品質向上で収入増が期待できるか尋ねたら、品質価格差は余りない。天候により左右されるので難しいと答えた。収量平均は1㌶7㌧で北海道平均よりは多い。パリ近郊の地力のある土地では9~10㌧取れる所もあるという。これ以上収量を追究すると、残留硝酸窒素や病害虫多発による農薬汚染など環境リスクが高まる。遺伝子組み換え品種導入を別にすれば、現状の収量で、環境負荷は限界に近いだろう。
フランスの大型農業の将来については1月に訪ねたF教授のインタビューで指摘されておられたように、穀物農業は新興国との競争が厳しくなる。私の推測であるが、村長は村の将来像を描きつつ、大型農業一本槍から複数の道を模索し始めた様に見えた。冗談とも本気とも聞こえたが、日本から珍しい野菜のタネを持ってきて、自分の土地で作ってみないかと度々話していた。売る方はパリに知り合いのシェフが沢山いるから心配ないと・・・
流石、村長!チャレンジ精神旺盛である。当方も興味ある話である。
今、取り組んでいるのは自家製「マスタード」の製造、販売だ。2週間に1回、2.000個作って販売している。こだわりを聞いたらビネガー(酢)にあるという。自家栽培のからしの実と、村で採取した蜂蜜を発酵させて作ったビネガーを和える。奥行きのある味で、日本で販売されているマスタード(西洋からし)とは異なる。パリには老舗のマスタード専門店があり、フランス料理には重要な香辛料である。肉料理にお洒落なスプーンやミニカップに添えられて出る。
壁面にはツタが這わされ、風格のある佇まい。
フランス人は古いモノに価値を見出し、大切に保存している。村長は古い建物や景観の保存運動に、熱心に取り組んでいる。
フランス人好みの濃いローズ色の壁面は良き時代の雰囲気を漂わせる。
先代達はここでシャンパンやワインを飲みながら、充実した時間を過ごしたのだろう・・・
緯度の高いパリ周辺は冬が長く、底冷えして寒さが厳しい。
大きな薪暖炉が設えられている。
年代物の絵やグラスが並ぶ。
村長は若い頃から大のビール党らしい。ヨーロッパ中から名品を買い集め、近所の人達を相手にこのカウンターでビールバーを開いていた。
「こんな風にね・・・」とボーズ。
A子さんの提案で村長とフランス産「どぶろく」を仕込んだ。勿論、フランスには米麹は無いから、島根県出雲の酒蔵から取り寄せて送った。気温が上がると美味しい「どぶろく」が造れないので室温の安定した地下室で仕込みした。
瓶は運良く、地下室で見つけたと言う。昔、豚の塩漬けに使っていた瓶らしい。
予想以上に香り豊かで切れ味の良い「どぶろく」に仕上がった。
村長は3日位前が飲み頃だったかも・・・と言っていたが、充分に満足できる出来映えであった。
招かれた友人達が思い思いに食材を持ち寄ってパーティーの準備が始まった。男性達も参加して、お喋りを楽しみながら料理を作っていた。
今が旬のホワイトアスパラ、魚介類を使ったあっさりイタリアン系?料理、サラダなど・・・塩味が少しきついが、ハーブやスパイスの使い方は流石センスがいい!
お洒落で別荘の雰囲気!
いよいよランチパーティーが始まった。先ず、型通りシャンパンが抜かれ『乾杯!』。すぐ隣がシャンパンの産地、シャンパーニュで兎に角美味しい。
絶好の天気、楽しい雰囲気も加わってあっと言う間にボトルが空く・・・シャンパン、白、赤と続いて、宴たけなわ。
残念ながら私はフランス語が解らないが、皆さん相当なお喋り好きだ。
柔道愛好家Jさんは「フランス人はみんなお腹が出ているが、僕はこんなにスマートだ!」とシャツ脱いで肉体美を自慢していた。皆さん、気さくで愉快な人達だ。
フランスは食事が終盤に近づくとチーズが用意される。
この日もチーズの仕事をしているというMさんが十数種類のチーズを持ってきた。大変美味しいが、満腹に近く、あまり食べ慣れていないので彼らの様に沢山は食べられない。ナイフで適当な大きさに切って、ワインを楽しむのが流儀だ。
チーズの種類によってワインの味わいが微妙に変わる。
奥さんやお子さん達も一緒に来たが、別のテーブルで食事をしていた。フランス人は躾けが厳しく、子供達が電車内や食事中に大声を出したり、走ったりすると直ぐ注意される。何処に行っても静かでマナーがいい。
レディーファーストは当然徹底しているが、ついつい日本流の地がでてしまい、恥ずかしい思いをする。
子供は色白でお洒落。お人形さんのように可愛い。
短い時間ではあったが、フランス農家の生活の一端を知ることが出来た。日本の農村と比べれば、他人の事は余り気にせず、マイペース派が多い。都会人と比べ実直で素朴なことは日本人と変わらない。ゴルフ場は沢山あるが、パチンコ屋や温泉施設など庶民の娯楽施設は見かけない。フランス人の娯楽は映画で、映画のTV番組は早朝から深夜まで非常に多い。高速道路、鉄道など交通インフラはよく整備されている。買い物、旅行などは何処にでも気軽に行けるが、自宅で気の合う仲間が集まって気ままに料理を作り飲むのが日常の楽しみ方なのだろう。昔の日本もこういう風景が見られた。今は便利になりすぎて居酒屋や焼き肉チェーンなどがあちこちに出来、「自宅で・・・」と言うのは敬遠される。高齢化や個人主義の高まりで農家の集まりが減っているが、お互いにもう少しコミュニケーションの機会を作り、刺激し合って意欲を高めたい。
フランスの「農と食」については日本にも参考になることが多いので度々紹介している。仕事の都合で、訪ねる時期がいつも正月明けだが、今年もTPP問題を絡めて関係者に取材し、ブログに書いた。しかし、肝心の圃場は、この時期は地中海沿岸を除いて荒涼とした冬景色で、現場の様子は見ることが出来ない。店頭の野菜は馬鈴薯や玉葱、人参など貯蔵品、地中海、アドリア海方面からの輸送品が多い。今回は、作物が生育し始めた5月の連休を挟んで、パリを起点に各地を訪ねた。
早朝、シャルルドゴール空港に到着、そのまま市内の友人宅に向かい、朝食を作って食べることにした。
先ずは買い物である。パリは朝早くからマルシェ(朝市)が開かれ、数々の食材や惣菜が並び、食べモノには不自由しない。勿論、カフェに入れば日本で言う「モーニングセット」がある。クロワッサンとトースト、オレンジジュース、紅茶か珈琲が付いて12.5ユーロ位(チップ込み1.500円)で高い。ホテルの朝食は18~20ユーロは覚悟しなければならない。紅茶は何処の店もティーパックでイマイチ。珈琲は美味しく、オレンジジュースはフレッシュ、搾りたてが多い。クロワッサンは当然美味しく、トースト付け合わせのバターやジャム(小瓶入り)も手抜きはない。
パリ市庁舎近くに大きな建物の中に入っている常設マルシェがある。付近は高級住宅街で、売られている商品レベルは高い。屋外広場にはテント張りの店も出ている。
EUは環境問題に真剣に取り組んでいるからご覧のように照明は日本と比べて薄暗い。
決められた曜日に歩道の両側で開かれるマルシェ。
この日は日曜日で、500m以上続く店は買い物客でごった返していた。アフリカ、中東、東欧、北欧・・・多様な文化圏の人達が暮らし、見慣れない珍しい食材も並んでいる。
食料品の他、低所得層向けの衣類や日用品も並ぶ。
世界のブランド店が連なる中心街との落差が、この国の格差社会を伝えている。
屋内マルシェ内には青果店が花屋を含めて10店くらい営業している。日常食べる野菜は、殆ど揃う。
生野菜はイタリアンというイメージが強いが、フランスでも健康指向で、サラダ野菜を沢山食べる様になった。春野菜のシーズンで品名はフランス語で解らないが、葉菜類が多種類並んでいる。販売は1株単位だ。
オリーブオイルをベースに塩、胡椒、チーズ、ハーブなどを使ってオリジナルのドレッシングを作って食べる。
調味料はそれぞれ種類が多く、作る人の腕が問われる。

名称は思い出せないが非常に美味しい。
店のマダムに聞いたら自家農園で栽培しているという。農園を見せて頂く時間が無かったので、栽培法を尋ねたら「砂栽培」でオリジナルの肥料で育てていると言う。
砂に含まれるミネラル分とアミノ酸肥料が独特の食味を実現している様だ。
赤カブ(レッドラディッシュ)は料理の彩りによく使われる。甘味があって美味しい。色も美しい。
最近の売れ筋商品「サラダ玉葱」
機能性成分が豊富で、生で簡単に食べられ、美味しいのが人気らしい。辛みは少ない。
日本には大玉はあるが小玉は?
チコリは欠かせないサラダ野菜。サンドイッチや煮込みなどにも使われる。ベルギー産が有名。
トマトは生食でも食べるが、加熱調理が主流。
中玉、ミニ系が多く、日本の様に見栄えは良くない。
そのまま食べると糖度の高いトマトを食べ慣れた日本人には?・・・加熱調理すると美味しい。
房取りトマトも多い。

色々な品種が売られている。
ピーマンもバラ売り。

マッシュルームなどキノコ類はフレンチでよく使われている食材。ブラウン(左)とホワイト(左下)の2種類があり、日本で売られているモノより大きい。
ホワイトアスパラはフランス人が好んで食べる食材で今が旬。
日本の物より太くて立派なだが、表皮は紫外線に当たって少し紫色(アントシアニン)が出ている。消費者は日本人のように外観にはあまりこだわらない。こちらではアスパラガスと言えばホワイト。
計り売りで、日本の様に束ねて売っている店は少ない。。
グリーンアスパラガスも軸太で短い。
サヤインゲンは料理の付け合わせによく使う。
グリーンピースは5月が旬で、色々な料理に使われる。
ここでは日本の様に?いた物は見当たらない。
長ネギ?
ローズマリーなどハーブ類はよく使われている。フレッシュ、乾燥、粉末にした物など種類が非常に多く、専門店がある。オーブン焼き、煮込み、ハーブティーなど用途は広い。
ニンニクは地域により多少種類が異なるが、重要な香味野菜。

エシャロット
ヨーロッパで作られている人参は殆どこのナンテス型で小型。
千切りしてサラダや湯通しして食べるが、甘みがあって食味は良い。
1個か計り売り。
今の時期は収穫の秋でを迎えた南アフリカ産が多い。
マンゴはとても美味しく、デザートとして良く食べられている。
果実類は最もグローバル化が進んでいる農産物で、嗜好の差はあるが、先進国は何処も同じ様な種類が並んでいる。
主要な果実は大量生産した工業製品と同じで世界を駆け巡る。

イチゴは糖度と酸味バランスが良く、美味しい。
デザートによく使われる人気果実。
オリーブの果実(塩、酢漬け)はフランス料理に欠かせない。
商品が未入荷で撮影できないため、マダムの笑顔で・・・
マルシェの人達はみなさん愛想が良く、仲良しだ。

豚、鶏、牛、羊などがある。生肉よりもサラミ、ソーセージ、生ハム、コンビーフなどの加工品が多い。
日本ではコンビーフと言えば缶詰だが、ここでは自家製のコンビーフ。試食させてくれたが実に美味しい!
自慢の商品らしい・・・

美味しいワインに美味しいチーズは最高!
フランス人からチーズを取り上げたら生活できない?
牛乳、山羊、水牛乳など各産地から集まった100種類位のチーズが並ぶ。

フランスパン、ドライフルーツやチーズパン、クロワッサン、パイ、タルトなど流石にパン文化の国だ。
10数年前からフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリアなどEU各都市のマルシェ(朝市)を訪ねてきた。イタリアやスペインなどの地方都市はともかく、主要都市で売られ日常的に食べられている農産物はグローバル化、共通化が進んでいる。日本でも既に海外の農産物がブランド品を含めて多数上陸し、手軽に買える。日本ほど多様な食文化を持つ国は世界でも珍しいかも知れない。
今回は市民が気軽に日常の買い物をするマルシェを訪ねたが、パリには高級スーパーが沢山あり、また「ベルサイユ宮殿」近くにある旧貴族が暮らす街には、格別高級な食材が揃う市場があり、この記事は以前に少し書いた。
次回はこの格別高級な食材を作り、売る店を訪ねてみたい。
中国人はどの地域に行ってもよく飲み、よく食べ、食事を大切にしている。
一口に中華料理と言っても、地域により独自の料理がある。分類の仕方は色々あるが。日本では、西は四川、北は北京、東は上海、南は広東料理と分類するのが解りやすい。河南省は歴史上、都が置かれた都市が多い。中でも鄭州は東西南北に通じる交通の要衝であった。四川、北京、山東、上海(浙江省)など周辺地域からの往来が盛んで、多様な食文化が融合して、独自の河南料理が生まれた。
内陸のため、魚は地元産(黄河水系)川魚が多く新鮮。丸ごと油で揚げた料理はご馳走品。頭部を招待客に向けて出し、みんなで小皿に取って食べる。魚の名前は馴染みが無いので覚えていないが、蛙料理もあった。ウナギ料理は好んで食べられている。
豚肉が多く、羊、山羊、鳩、鶏、最近は高価な牛肉も比較的気軽に食べられている。冷凍品が少ないので臭みがなく、おいしい。
夕食会に招待して頂いたR社長の兄上が、洛陽最高の山羊肉を買って来てくれた。沖縄の山羊汁を想像して「やばい!」と思ったが、全く臭みがなく、非常に美味しく、あっと言う間にテーブルから消えた。。山羊は種類が多いらしく、新疆ウイグル自治区の草原にいる羊に近い種類だと言う。
世界遺産「少林寺」のある街に山羊鍋に麺を入れて食べる名物料理がある。恐る恐る食べ始めたが、美味しくて軽く食べ切った。肉や具野菜が新鮮で、麺も美味しい。スープにコクがあり、辛かったが山羊の臭みは全く感じられない。
何処に行っても出てくるのが大豆料理。湯葉料理は種類が多く、河南料理の代表的なメニュー。日本の湯葉より少しキメが荒い感じがするが、豆の品質が良いのでどこで食べてもハズレは無い。湯葉巻や揚げ物が多い。
豆腐は麻婆豆腐をはじめ、料理の種類が多い。豆腐自体が固く、内容が濃くて美味しい。
野菜料理は豊富にある。葉菜類は青梗菜をはじめ、香菜、ほうれん草など各種青菜類、ニラ、白菜、レタス、もやし、長ネギ・・・種類が多い。果菜類は胡瓜、トマト、茄子、ピーマン、パプリカ、南瓜・・・日本とあまり変わらない。今は鹿児島周辺でしか食べられない「ヘチマ料理」は目を引く。加熱調理が中心の中国だが、生野菜も随分、食べられるようになってきた。日系企業のコンビニやレストランチェーン、居酒屋などの進出、訪日観光客の増加などが、中国食文化のグローバル化を後押ししている様だ。
米と小麦だが、トウモロコシや雑穀も併用して食べている。米は白飯より炒飯や粥で食べるが、何処で食べても美味しい。ホテルの朝食は数種類以上の粥が用意されており、稗や粟など雑穀を混ぜて炊いた粥が美味しい。雑穀は量販店でも多種類売られており、健康維持に好んで食べられている。同じホテルに7泊し、朝食に雑穀粥を食べていたが、髪の毛に艶が出て、少し黒くなってきた。帰国後、家人が気付き、鏡を見てビックリした。通訳のCさんにどの様な食材が使われていたのかホテルに問い合わせてもらった。特別な材料は使っていないという回答であったが、毎日食べていた河南料理自体に血行をよくする薬膳的な食材が使われていたのかも知れない。
中国では髪の毛は「血余」と呼び、全身を巡って最後に余った血液が髪の毛に使われると考えられている。育毛剤でも効果が出てくるのは少なくとも3週間くらいかかると思うが、僅か1週間で目に見える効果があったのは注目に値する。
日本でも「長命食」など雑穀類や昆布を組み合わせた健康維持食品が売られている。「長命食」については自分で実験したが、黒髪効果は素晴らしい。
薬膳的な調味食材を用い、多くの料理は画像の様に茶褐色系が多く、日本の中華料理のイメージとは異なる。説明不能だが河南料理独特の風味がある。唐辛子を多用した辛い料理も多いが、北京料理のように油っぽさはない。中華料理と言っても馴染みの薄い味付けだが、私には違和感はなかった。
中国の宴席は「乾杯」の繰り返しで、アルコールに弱い日本人が閉口したという話しは多い。実際に中国人は底抜けの酒好きである。最初から「酒は医者から止められている・・・」とはっきり宣言しないと大変なことになる。しかし、ここは中国。遠来の客は「友人」として盛大にもてなすことが伝統。多少無理をしても、これに応えないわけにはいかない。
河南省で飲まれている酒は、主に「白酒」でアルコール分は40度を超す。これをグラスに注いで「乾杯」して飲み干すのが礼儀。現在は半分くらい残しても良いルールになったと言うがそれにしても度々の乾杯は恐ろしい。スタートはビールで誤魔化していたが、段々盛り上がってくると相手に合わせて勝負に出なければ本当の友人になれない?・・・。白酒よりアルコール分の低い「紹興酒」(18度位)で勘弁してもらおうと聞いたら、ここではあまり飲まれていないらしく用意が無いという。しかし、いつの間にか瓶入りの紹興酒がどっさり用意され、30cmもある大きなドンブリ鉢に、ぬる燗を付けてテーブルに置かれた。酒飲みゲームの始まりである。
先ず、勝負する二人がグラスに並々酒を注ぎ、互いに見せ合う。「中国式ジャンケン」(出すと同時に二人の合計数を言い、当てた方が勝ち)があちこちで始まった。本来は負けた方はグラスを飲み干さねばなければならないが今夜は半分ルール。
途中で日本ではどんな遊びがあるのかと聞かれ、高知の「はしけん」を紹介した。後半は日本ルールで大いに盛り上がった。小生は15回戦までと区切って遊んだが、10勝5敗で切り抜けた。
日本もバブル景気華やかな頃、「○○盛り」や「△△△酒」など今思えばえげつないお座敷遊びが流行った。中国にも伝搬したらしいが、間もなく当局に禁止されたという。兎に角、中国人のエネルギーが盛り場にも溢れている。
宴会好きの中国には、会議や結婚式で大勢の招待客に対応できる巨大なレストランがある。
この庭園レストランは、鉄パイプ構造、太陽光線の通る屋根で覆われ、建物内で植物が育つ環境に設計されている。
建物全体が巨大な植物園と言って良い。
内部は広い通路を挟んで、すべて観葉植物で仕切られた個室になっている。
個室のテーブルには花が飾られ、専用トイレが付いている。他室の客と顔を合わすことなく、ゆっくり食事が楽しめる。部屋数はざっと100室位はある。
厨房は客室から50m位離れた巨大専用棟が2棟ある。画像は厨房と客室を結ぶ廊下でここを通って客室に運ばれる。
厨房で作られた料理は、冷めないよう直ちに配膳車に載せられ、スケート靴を履いたスタッフによって、フルスピードで客室に運ばれる。
「サービス」が劣る」と言われていた中国だが、すでにここまで進化している。
但し、このサービスは日本人には馴染まないエンターテイメント=米国流だと思うが・・・
中国には珈琲はあるが日本人のように日常的には飲まない。伝統的にお茶文化で、お喋りしたり、静かに一服する場所として中国茶館がある。
個室が主流で、料金は高いがゆっくり静けさと中国茶が楽しめる。
中国国内、台湾の厳選された銘茶が揃っていて、専任スタッフが伝統作法に則って、入れてくれる。
お腹が空いたら別階で、軽い河南料理が楽しめる。こういう場所でのんびり時を過ごすのも悪くはない・・・
古都にはよき文化を楽しむ場所がある。
本場の味と言うよりも中国人の味覚に合うようにアレンジしてある。中国人は食にこだわるので、チャイナ風イタリアンも結構いける。
都市開発が進んで庶民の買い物市場が閉鎖され、日常の買い物は量販店に移っている。店内は撮影禁止だから画像は無い。
住宅街近くにある台湾資本の量販店を覗いて見た。ハンバーガーなどファーストフード店がテナントに入っているのは日本と変わらない。売り場の規模と商品の種類、量の豊富さは、様変わりしている。バラ売りが多く、高級品から低価格品まで幅広い品揃えをしている。遠くの産地から運ばれてくる野菜も多く、日本と同様に旬が薄れてきた。価格は十年前と比べて随分高くなってきた。じわじわインフレが進行していることが窺える。
中国人がよく通う足マッサージも、80元=1.200円になり、10年で2倍近くになっている。
農業が上昇トレンドを続ける中、それを支える資材業界も活気がある。日本も成長期には、各地で農業資材や農機具展示会が盛んに開かれていたが、近頃は、めっきり数が減った。
たまたま、鄭州市内で定期的に開かれている肥料展示会があるというので出掛けてみた。
広大なイベント会場には屋内、野外を含めて数百社のブースがあり、見学者で大変な賑わいであった。
ざっと見た所、化成複合か発酵鶏糞入り有機化成が多い。日本企業と製造や販売提携している会社もあり、売り込みは熱を帯びていた。
会場では爆竹が鳴らされ、ブラスバンドが派手にドンチャン、ドンチャン。次から次へと民族衣装をまとったモデルさん達が登場し、各社のプラカードを持って練り歩いていた。
中国は派手なイベント大好き民族。展示会=お祭といった雰囲気で、「国の勢い」を象徴していた。
郊外には大通りを挟んで農業資材専門店が立ち並ぶ地区がある。ここに来れば農業に必要な資材や情報が手に入る。
日本は殆ど総合店化しているが、ここは肥料、農薬(葉面散布材を含む)、種苗、ハウス資材等専門店化している。
複合肥料を中心に多種類の肥料が積まれている。売れ筋は化成複合肥料(15-15-15)。
単肥は尿素、硫安、硝安、過石、硫酸加里など日本でもお馴染みの肥料が売られている。参考に尿素の店頭販売価格を聞いたが、50kg入りで1.500円(30円/kg)
ハウス用では有機20%の有機化成(15-15-10)が売れ筋という。
店頭価格は40kg入り約1.800円(45円/kg)
日本基準で考えると上記保証成分で有機質20%は難しい。有機表示基準が異なると思うので内容について聞いてみたが明確な回答は得られなかった。農民は今の所、このクラスで満足しているのだろう。
農薬、潅水、葉面散布材など固形肥料以外の資材を販売している。
葉面散布材の種類は多く、次から次へと新製品が登場、商品寿命は短いようだ。
農民は目に見える効果が確認出来れば使い続けるが、良く解らない場合はクレームが付く場合があると言う。効果が出るかどうかは色々な条件が絡むので気軽に奨められないという。
義理人情社会だから、クレームが付けば将来の取引を考えて、説明に納得が得られない時は返品、返金に応じるのが商習慣という。
一般農民は基本的な土作りよりも、楽でコストの安い「魔法?の葉面散布剤」を求めているのは日本とあまり変わらない。
画像は葉面散布材の売れ筋商品。
国内、海外を問わず、この分野への参入はにぎやかだ。目を引いたのはEU(特にドイツ)製品。合弁企業が現地の状況に合わせてきめ細かく対応している。
ハウス栽培では殆どが背負い式の手動噴霧器で、15㍑タンクに対応した原液を小分け包装している。いわゆる「バカチョン式」で濃度など計算しなくても誰でも散布できる。
この店は家族経営で、昔の日本の種屋さんと同じ雰囲気。タネ以外の商品は置いていない。
信用第一の商売にふさわしい、いかにも人柄の良さそうなご夫婦が、丁寧に対応してくれた。
この店の売れ筋商品は胡瓜とサヤインゲン。
大産地で、播種シーズンになると莫大な数量が動くという。
河南省農業局の話しでは現在36万棟、0.2㌶平均で7.6万㌶(メロン、スイカを除く)の農業用ハウスがある。主に胡瓜、トマト類、ピーマン、青梗菜、イチゴ、花卉などが作られている。当地のハウスは10㌃あたり平均625.000円の設備費がかかる。国の支援策が手厚いため、急速に増えた。
沿海部の都市化によって農地が失われ、それを補う目的と、穀物中心の低所得農業から高付加価値農業への転換を目指して、ハウス栽培が盛んになった。バラバラに多種類の作物を作らず、日本の指定産地事業の様に特定品目大産地政策が進んでいる。
この地域は大規模な農業会社が多数立ち上がり、大きな変化を遂げている。その早さは、日本と比較すれ在来線と新幹線ほどの違いがある。農業会社を5社訪ねたが、いずれも周囲が麦畑で、従来の穀物農業からの転換であることが窺える。
ハウスは単棟、連棟各種有る。標準的な面積は単棟1ムー(0.66反)で、何十棟も立ち並ぶ姿は壮観である。ハウス所有面積は1社あたり1.5~2.0㌶という。
育苗ハウスを除いて殆ど無加温。春先は夜間の冷え込みが厳しいので、保温対策は随所に工夫が見られる。
気温が下がる前に稻藁で編んだコモで屋根を覆い保温、朝方巻き上げる。大変手間がかかるので、最近は簡易巻き上げ機が普及し始めた。
コモの保温効果は大きく、3℃も違いがでると言う。
耐用年数は2年くらいで、使用後は堆肥になる。プラスチック保温シートもあるが、価格が高いのであまり普及していない。
ハウスの北側は保温と畜熱のため、ブロックや煉瓦、土壁で作られ更に外側は分厚く土盛りしてある。
天井部と南面だけがビニールフィルムで覆われており、入り口も煉瓦やブロック壁で作られ、熱が逃げないように狭いトンネルから出入りする。保温には万全を期している。
この方式は河南省が発祥地だと言うが、山東省や浙江省など沿海部で早く普及してしまったと農業局F氏は苦笑していた。
広大な農地と豊かな労働力がある中国だから可能な省エネル策だが、これを見る度に日本ももっと省エネの工夫をすべきと思う。
各棟の出入り口毎に物置兼作業小屋が付いていて、昼食や休憩場所など多目的に使われている。日本とは異なり、住宅と遠く離れた場所に建てられているからだ。
鉄材が高価なためパイプは細く肉薄。強度を補うため内部は竹製の補強材で組み上げられている。
現状はまだ鉄材よりも竹や手間賃の方が安い。
天井は竹竿などで解放でき、十分な換気が可能である。
必要に応じて圃場に太陽光線や雨水が当てられるのは好都合。
潅水はハウス脇に掘った井戸から汲み上げる。
この会社は人手があるのですべて手作業の様だ。
2月定植で6月頃まで胡瓜を作り、抑制トマトに植え替える。連作を避けるため、このパターンは維持している。胡瓜は天津胡瓜で、非常においしい。
中国で言う「無公害野菜」つまり日本の特別栽培に似た取り組みをしている。肥料は鶏糞堆肥と化成肥料の組み合わせ。農薬は殆ど使わない。
通常、反当換算で鶏糞堆肥20~30㎡、N-P-K化成成分量で10kg程度を元肥として使う。鶏糞堆肥は1㎡300円程度で手に入る。追肥は通期で20回位、葉面散布を行う。
収量は時期により異なるが、無加温のこのハウス(約50㌃)で2日に1回収穫で2000~2500kg/回程度という(反当換算400~500kg)
何処で聞いても病害虫は少ないという。日照量が多く、空気が乾燥している、連作を避け、施肥量が少ない、人手があるので日常的に病害虫予防目的の葉面散布(種類は多い)を行っているなどが理由として考えられる。
出荷時間になると農民達が軽トラックや荷車付きバイクに積んで集まってくる。
立派な出荷場が整備されている会社もあるが、この会社は露天で行っていた。降雨が少ないので、問題はない様だ。
段ボール箱が高価なので、日本の様に包装にコストをかけない。荒選してポリ袋に入れ、段ボール箱に満杯詰めし、ポリバンドで縛ってトラックに乗せ出荷する。
この会社はマカオの業者と契約しているようだ。季節により多少価格は変動するが、経営が成り立つ価格で取引されている。
余分なコストをかけない点は徹底している。
ハウスの一角に計量機があり、担当者が伝票を切っていた。日本の出荷組合のような雰囲気であるが、設備は質素である。
ここで日々の技術相談、情報交換が行われる。
トマトは中国でも人気が高く、消費が多い。大玉、ミニトマトが多く、ミニトマトはデザートとしても使われている。イタリア系の品種が多く、果肉は固い。一般的に日本の様に糖度は高くない。
■ハウス2.0㌶を経営しているH社長の話
①病害虫は・・・
胡瓜は気温の低い春~初夏に作るので、特別問題は無い。トマトはウィルス(黄化葉巻病)が発生して困っている。昨年は半分くらいが感染して、収量が激減した。ネットや捕虫テープで対応しているが効果は薄いね。これから収穫シーズンに入るが、心配だね・・・
②土壌病は・・・
今の所、心配ない。
③経営上の問題点は・・・
規模を拡大したら、以前のように儲からないね・・・(笑い)
販売価格は契約で安定しているが、資材費や人件費が上がっている。特に深刻なのは人件費の高騰。面積が多いので作業員を沢山雇用している。市内の建設ブームで人が集まらない。3年前は1日50元(750円)で来てくれたが、今は70元でも来ない。一般の建設労働者は100元以上が相場だから、うちもその位出さないと来ないね・・・。100元(1.500円)も払っていたら採算が採れないよ。
④対策は・・・
中国はインフレで毎年、資材費や人件費が上がって行くが、食べ物はスライドして上がらない。仕方ないから一般企業のように、合理化して生産性を上げるしかない。
肥料や葉面散布材などに投資して、確実に収益が上がる技術が欲しい。トマトでこんな病気が出ていては儲からないよね・・・(苦笑)
⑤他の作物は・・・
セルリ、長ネギ、青梗菜、ほうれん草などを作っている。セルリ、長ネギは移植。葉物はタネをバラ撒きして、大きくなった株を間引き収穫する。手間仕事で人件費に食われるから、大規模には出来ない。
人気商品で栽培意欲は強い。日本品種のような大玉、高糖度品種はまだ普及していない。現在栽培されている品種は、輸送や日持ちに重点を置いた四季成り系の固い品種が多い。
知人に依頼して大連(遼寧省)の市場に入荷しているイチゴを調べてもらった。最近、中国産品種でも日本種と交配したと思われる高品質大玉イチゴが出始めているという。(品種名は未確認)。
中国も所得が向上し、食の洋風化が進んでいるので、イチゴの需要は伸びそうだ。
現状は味も見栄えもまだ日本には及ばない。
まとまった産地はない。
ポピュラーな野菜で色々な種類が作られている。
中国人は花好きで、観葉植物を含めて、全国的に栽培されている。タイやベトナム方面からの輸入も多い。特にバラや胡蝶蘭に人気がある。
ここの会社では試作程度の規模。
ナツメは河南省特産の果実で、ブランド品である。
通常、天日乾燥し、そのままドライフルーツとして食べる。
薬効成分があると言われ、薬膳料理や粥、菓子などにも使われている。
樹木は木工製品に使われている。
ナツメは少し長い丸果形で、独特の風味があり、甘酸っぱい味がする。
今回訪問した河南省は黄河中流域にあり、黄河文明(約4.000年前)発祥の地で、中国最大の省人口約1億人を擁する。省都鄭州市は人口約340万人、近代的なオフィスビルや住宅群が林立する。製造工場は少ないが、伝統的な農業と最先端IIT産業が同居する。
都市部では日本の高度成長期に起きた現象が随所に見られる。農村部からの人口流入で住宅不足は深刻、高層住宅建設ラッシュが続いている。急速な車社会移行で、朝夕の交通渋滞は慢性的。緩和のため地下鉄整備が急ピッチで進んでいる。車を持てない庶民の足はバイクだが、大気汚染を防ぐため殆ど電動式で、日本より普及が進んでいる。
年間を通じて晴天が多いが、上空は青空でも周囲は画像の様にどんよりスモッグがかかっている。特に春先は黄砂の影響が加わり視界は終日悪い。
鄭州空港に降り立った時、「こんな空気の汚れた所によく住んでいるな~」と思った。思い起こせば数十年前の日本も、都心や工業地帯では珍しい光景ではなかった。昨年まで日本に留学していた通訳Cさんは、「日本のきれいな空気が懐しい・・・」と話していた。中国が本気で環境問題に取り組む理由の一つに、この大気汚染にある。
河南省は黄河が運んだ肥沃な土壌で、麦、トウモロコシ、大豆など畑作(4.80万㌶)の他、稲作が大規模に行われている。
肥沃なため施肥量は少なく、小麦を例にとると窒素成分量で反当換算3~4kg程度と言う。ただし、収穫後、トウモロコシを蒔いて輪作し、土壌管理は万全だ。反収は450~600kgと言うから日本と大差ない。日照量があり、内陸で寒暖差が大きいため品質は中国でも上位にランクされている。
レストランで出てくる蒸しパン、麺類、小麦粉を使った料理など味があっておいしい。
至る所に広大な農地が広がり、風害を避けるため道路脇に防風林が整備されている。5月末~6月に小麦を収穫し、後作にトウモロコシを蒔く。
米も河南省では重要な作物。黄河を挟んで鄭州の対岸側にブランド米産地がある。時期的に圃場は見られなかった。東北部の黒竜江省等ではジャポニカ米が栽培され、一部は業務米として日本にも輸出されている。
冷涼な気候のため、農薬散布量が少なく、食味が高い評価を受けている。「日本の米と食べ比べて下さい」とR社長が空港まで米を届けてくれた。帰国後、早速、炊いて試食してみた。粒形は短粒で日本の米に近いがインディカ米の血筋が混じるためか独特の香りがある。白飯のまま食べると違和感がある。食味は良いので食べ慣れれば美味しい。炒飯や粥にすれば、粘りが少ないので日本米で作るより美味しい。
足裏マッサージで出会ったスタッフの実家が、市内の稲作専業農家で、経営面積等を聞いたら約2㌶と答えた。
黄河は総延長5464km、世界第4位の大河で、その流域は豊かな農業を支えている。上流、中流域の黄土地帯から流れ込む大量の土砂が堆積し、画像の鄭州大橋付近は地上20数m上を流れている。いわゆる天井川で、両岸を結ぶ大橋は10kmの長さがある。
近くに歴史上重要な「花園口公園」がある。案内してくれたCさんから日中戦争当地に起きた事件話しを聞いた。
1938年、日本軍の進撃を食い止めるため当時の国民党政府が堤防を爆破し、その後の大雨で大洪水が起こった。十数万人が犠牲になり、広大な田畑が水没、生活の糧を失った農民は大変苦しんだ。その後も、大雨でしばしば洪水に見舞われたが1947年、修復が完了し、上流に大規模な三門峽ダムが完成、して洪水の心配はなくなった。一方、経済発展で下流域では農・工業用水の需要が急増し、水不足が起こる様になった。当地は井戸を掘れば豊富な地下水が湧き出るので、水不足の心配は殆ど無い。
上流域は主に黄土と石灰岩でカルシウム分が多く、土質、水質はアルカリ性である。
残留農薬野菜や餃子、粉ミルク事件などトラブルが多発した中国産食品に対する関心は薄れつつある。しかし、中国産と表示されていると消費者は身構え、不信感は消えていない。中国ではこの事件を契機に更に消費者の安全性に対する関心が高まり、富裕層を中心に日本産を選択する動きが出ていた。このチャンスを逃がすまいと食や農業関連業界は成長が期待できる東アジア圏へ販路開拓に乗り出した。ところが、東日本大震災に端を発した原発事故で、事態は一変してしまった。中国農産物が経験した止め様にもない風評被害が日本の農産物に襲いかかった。工業製品まで「日本製は危険」として、放射能検査を要求される事態が続いている。
原子炉事故は、炉心溶融という最悪の事態に達し、まだ事故の全容把握と解決策の見通しが立たず、今後も尾を引くことが懸念される。
需要が縮小する国内農産物の成長戦略が「高品質、高安全性」とすれば、この事故を契機に再検討が迫られる。とりわけ需給面で大きなインパクトを与える巨大市場、中国の動向は要注目であり、実情把握が欠かせない。
3月下旬、中国河南省の農業資材会社から招請を受け、現地を訪ねた。
初めて訪中した1996年頃は、安価な農産物への関心が高まり、業務用を中心に開発輸入が盛んになっていた。当時、中国政府は外貨獲得と農民の所得向上を図るため積極的に輸出拡大政策を打ち、対日輸出も急増していた。この頃から日本農業への影響が懸念され始めた。しかし、輸入量が急増する過程で、中国側の生産管理体制整備が追いつかず、安全性に関するトラブルが続発、「餃子」「粉ミルク」事件で信用失墜はピークに達した。中国産食品は一気に市場を失い、国産回帰が始まった。しかし、国内農業は労働力不足、生産性向上の課題は未解決で、「農業研修制度」という名の外国人労働者受け入れが加速、農業法人化、新規企業参入促進政策が打たれた。
現状は未完成ながら所得保障など経営安定化政策が始まり、各地に農業会社が立ち上がり、集約化、大規模化が進んでいる。一方、資材高騰、消費減少、異常気象多発など不安要因も顕在化、微妙なバランスの中で経営が成り立っている。
フランスの農業が二極化していることは、Dr。F教授のインタビューでも指摘されていた。大規模生産者のイメージはほぼ描けたが、中山間地農業についてはワインや畜産品情報はあるが、生産者の実態はあまり知られていない。数年前からアルザス(東部)やバスク(西部)など中山間地を訪ねているが、意欲的に高付加価値農業に取り組んでいる生産者には巡り会えなかった。
1月中旬、農業大学院留学生H/A子さんの取り計らいで、パリの西方車で2時間弱の距離にあるノルマンディー地方の有有機(BIO)農家
Ferme biologique du Bec Hellouin
Charles HERVE-GRUYERさんを訪ねた。
■果樹類・・・約14㌶に100種類余の苗木を植えている。
■野菜など・・・約2㌶の農地で葉菜、果菜、根菜類など多種類を栽培している。
自然循環生態系の中で作っているので生物の多様化が保たれ、虫害問題は殆どありません。
ただ、夏になると大西洋の湿気が上がってくるので、カビ類の病気が発生しやすくなります。
究極は自然農法を目指していますので、日本の故福岡正信氏や岡田茂吉氏などの考え方に関心があります。
国の支援がありますが、やはり農業は換金するまで時間がかかりますので大変です。自立するには一歩一歩の積み重ねが必要です。
以下、画像で紹介する(2011/1/13撮影)
周囲を小高い山で囲まれ、緑豊かな盆地の中にある。
緯度は北海道より高いが、冬でもそれ程寒くはない。1月というのに雪は無く、周囲は青々していた。
洒落たデザインの古い建物が昔の面影を伝えている。
人は殆ど歩いておらず、ひっそりしている。
殆どの屋根が麦藁葺きで苔むしている。冬、温かく夏は涼しいエコ住宅だ。この国では古いモノほど価値があるとされ、新しい建物は見当たらない。
華やかなパリと比べたら別世界である。
木質天然素材が多用されているためか、非常に居心地が良い。
昼間は忙しいので、お言葉に甘えて昼食をご馳走になりながら、お話しを伺った。
(ご夫妻の手作りメニュー)
■パン
天然酵母発酵、薪釜で焼き上げた自家製パン。表面の一部が黒く焦げていたが、ほのかに薪煙の香りがし、味、食感共にしっかりしていて美味しかった。
自慢の手作りジャムも美味に華を添えた。
■サラダ
BIOリーフミックス野菜にチーズ、香辛料入り自家製ドレッシング添え。メリハリのある味が素晴らしい。
■レンズ豆の煮込み
レンズ豆をワインやトマトなどとじっくり煮込んだコクのある逸品!
■赤ワイン
嬉しいことにこの国では昼食でもワインは付きもの。BIO自家製で非常に口当たりがよく、注がれるままにグビグビ・・・後は自分で好きなだけ飲んで下さいとボトルを手元に持ってきてくれた。フランス人は酒に関して特別気が利く(笑い)
農場内には山から清流が流れ込み、多様な生物を育んでいる。BIOの原点はここにある。
絵になる風景だ。
エコにこだわって、燃料は薪も使っている。
回りには豊かな森林があり、間伐材が豊富に出るのだろう。
園内の一部は柵を張って、地鶏や動物を放し飼いしている。贅沢な空間である。
畜力を使っていた時代の色々な農機具が保存されている。これは脱粒機?石車を馬か牛に引かせていたのだろうか・・古き時代がしのばれる。
子供達に何気なく見せて、農の歴史を学ばせている。
古い建物の内部を改装していた。恵まれた自然環境の中で「食と農」「自然」の大切さを親子で学ぶ場所を作っていた。
外から覗かせて頂いたがテーブルや椅子も天然木でお洒落。妥協を許さないC/Hさんの心意気が窺える。
生育期間の長い野菜は大型連棟ハウスで育苗してから定植する。
1月というのに、もう新芽が芽吹いていた。
1アールくらいに土手で区切られている。ここは効率化とは無縁の世界。
色々な野菜が仲良く育つ場所である。
南瓜、馬鈴薯、玉葱、エシャロット、蕪、人参、ニンニクなどが売られている。冬なので葉物類は少ない。
ジャム類、ビネガー類、蜂蜜などの加工品も多い。
秋には果実、木の実などが勢揃いし、賑わう。

(注)Ferme biologique du Bec Hellouinの詳細については下記URLを参照して下さい。
http://www.fermedubec.com/laFerme.htm
フランス語なので、日本語翻訳サイトhttp://www.excite.co.jp/world/を使うと便利です。
日本の有機農業は勇気農業と言われ、色々な意味でリスクが高い。新規就農者の中には理想に燃えて「有機」に走る人も多いが、経営的に成功している農家は限られる。先週、北海道のベテラン(20数年継続)JAS有機農家Sさんを訪ねたが、近年の異常気象で経営は厳しいと話していた。
厳しくとも、自分の信念や有機栽培という心地よい金看板を外すことが出来ず、頑張っている人も多い。
C/Hさんの農場を訪ねて感じたことは、周辺環境そのものが有機つまり自然で、人工的な手を加えて農業をしていない点である。小川は流れるままに曲がり、1枚の畑は小面積で形は統一されていない。昔、そのままに、人間と畜力で自然と向き合ってきた資産がそこにはある。ここが日本ならば多分、先ず小川をまっすぐに直しコンクリートで固め、耕地整理して農道を作り機械化を進め、農薬を多用して効率化を図っていたであろう。今頃は、自然という資産を使い果たし、化学物質の消耗戦農業になっていたのだろう。
同じノルマンディーでも山の向こうは広大な農地、産業化農業の代表的地域である。二極化が同居している。
C/Hさんの有機農業は、恵まれた自然環境だからこそ成り立つ。誰でも出来る訳ではないが、その取り組み方は徹底している。直売場は当然として、将来の顧客、リピーターを育てる努力は素晴らしい。
5歳の可愛いお嬢さんがいるが、子供からお年寄りまで「農」「食」「遊び」をテーマに、動物まで飼って「楽しさ」を提供していることには感服した。「BIO」という価値だけではなく「人間力」「感性」の価値を感じた。
ウィーンを首都とするオーストリーは東西冷戦終結後、中、東欧諸国のEU加盟が増え、経済圏が東側に拡大し、地理的に中心地に近くなった。総人口836万人(世界88位)ながら、一人当たりのGDPは世界10位で高い。音楽や観光の他、EU加盟によって、自動車産業などが盛んになり、国民の暮らしは豊かである。農林業戸数は19万戸と言われ、畑地と草地が半々で1戸当たりの平均耕作面積は19㌶、EU内では比較的小規模である。畑地作物は主食穀物と飼料穀物が殆どを占め、地形上、大規模化は限界があるため環境保全型高付加価値農業を育成している。冬は北海道と同じくらい寒いので、農業は出来ない。
オーストリー・リンツ付近の農村(1月6日撮影)
オーストリーの首都ウィーンはパリから飛行機で2時間の距離にある。過去にハプスブルグ帝国の中心地として栄え、人口168万人を擁する大都市である。歴史的にドイツ(バイエルン王国)の影響を受け、国民の大半はドイツ系、公用語はドイツ語である。ドイツ、フランス、イタリア、スロベニア、ハンガリー、スロバキア、チェコなどに囲まれ、食文化は多民族の影響を受けて多様である。
「食」を知るため、中心街オペラ座から歩いて行ける朝市を訪ねた。朝市と言っても午後まで開いており、店は100店舗位ある。野菜、果物、肉、魚、ドライ製品、パン、デザート、惣菜、調味料、紅茶・・・など食料品は豊富で、価格も安い。
以下、画像で紹介する。
種類は非常に豊富で日本で売られている野菜とそれ程変わらない。1個単位か計り売りで、環境政策の徹底で、ゴミの元であるパック品は見かけない。
冬期は天候が悪く、気温が零度以下、土が凍る時期もあるため、野菜栽培は出来ない。生鮮野菜は温暖な地中海沿岸国(イタリア、南フランス、スペインなど)から運ばれてくるが、鮮度は良い。
許可を頂いて並べてある野菜を手当たり次第カメラに収めた。
果実は、柑橘、リンゴ類が多く、キューイ、メロン、マンゴーなどトロピカルフルーツなど日本で売られているモノと殆ど変わらない。濃厚な味を好み、ドライフルーツにしてデザートやパンなどに用いる。ナッツ類も多い。
朝市にはレストランと言うより「食堂」という言葉が似合う。お腹が空いたら国際色豊かな食堂街で手軽に食事が出来る。
ドイツ料理はもとより、日本の寿司、タイ、イタリアン、中華・・・などの店が並んでいる。日本人を見ると「こんにちは」と愛想の良い言葉が飛んでくる。
日本食(寿司屋)
タイ料理・・・スタッフは中国人で商売熱心。ヌードル入りタイ風スープは絶品!
市場で売られている商品と食堂街を見ると、古都ウィーンでもグローバル化が進んでいることを実感する。