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自由化でフランスはどう変わった?Dr.F農業大学院教授に聞く(1)

  自由貿易圏構想TPPが動き出すと日本農業はどの様に変化して行くのか・・・ヒントを探るため、1月13日、パリにある農業大学院留学生H/A子さんのご協力を頂いて、農業社会学がご専門のDr.F教授を訪ねた。

 

1.戦後から始まる『緑の改革』

 

戦前、戦中におけるフランスでは農村では大半のものが家族経営の小規模農家を営んでおりました。農民達は貧しく、技術面の開発も遅く、中世からほとんど変わっていないような生活を営んでいる地域もあるほどでした。

 

戦争中の食糧難に悩まされたフランスでは、1950年頃から例えばボルドーならばぶどう、パリ近郊地域は穀物、ブルターニュ地方は畜産、といった具合に地方ごとに生産する農作物を専科、小品目多量生産型の農業推進を目的とした『緑の改革』を国策として進めていきました。日本とは違って平地が多く農地整備のしやすいフランスでは、品種改良や機械の開発等の後押しを受けてこの政策は、非常に大成功を収めました。結果として農民達の生活は戦前と比べて雲泥の差と言えるほど近代化し、EUの農業大国と謳われるほどの発展を遂げたのですが、農業者人口そのものは1950年代では国民の約1/3 を占めていたのに対し、現在では総人口の4%にまで落ち込んでいます。国民総生産における農業生産額の割合も1940年には25%を占めていたのが、近年では食品業界を除くと2%、含めると4%程度に至るか否かというレベルにまで減少してしまいました。

 

その理由としては、農業生産効率が伸びすぎたこと、農業労働者の手で行われていたこと作業が機械で賄われるようになったこと、採算性が合わなくなった小規模な農家は規模拡大を試みる他の農家に吸収され、農業経営体、農地の統合が進んだことなどがまず言えるでしょう。政府が進める農業システムの近代化政策を、フランスでは『妻と夫とで』という家族経営型の農家が、主流となって受け入れてきたことも一因として挙げられます。一世代前までは « Paysan(ペイザン)=百姓 »であった彼らが家族単位の小さな会社を立ち上げ、夫と妻が主となり農作業から会計まで、膨大な仕事をこなさねばなりません。結果として嫁達は会計等のデスクワークに専念する時間が長くなり夫と共に働く時間も減り、農村地域では嫁不足のみではなく離婚の増加も深刻な社会問題として挙げられるようになりました。

 

またその一方では農業の兼業化も大幅に進みました。具体的に数字を挙げて説明しましょう。統計によればフランスには現在、約50万戸の農業世帯が存在します。内訳を見ると家計における農業収入が50%を上回る農家が約28万世帯あるいのですが、そのうち約10万世帯は兼業農家。そして残りの22万世帯は農業収入が総収入の50%未満以下である兼業農家です。

 

近代化を進めた豪農についても1つ例を挙げてみます。当方は通常パリに住んでいるのですが、田舎が好きなのでフランス北西部、ノルマンディー地方で450haの農場を経営する一家の敷地内に家を借りています。この農家は地域内でもかなり大規模な方です。経営面積は1960年からほぼ変わりなく、かつては25人の労働者を雇って小麦、ビートの栽培、牛の飼育等を行っていましたが、現在では従業員は3人にまで減りました。作付面積の割合は小麦…40%、大麦…15%、ジャガイモ(種イモ用)15%、飼料用のマメ科植物…10%、亜麻…10%、手のかかる牛の飼育は撤退しました。

トラクターの活力は60年代と比較して3倍になり、一度に作業できる横の長さは6mだから36mにまで拡大しました。かつて25人いた従業員の中には機械修理を専門に担当する者がいたのですが、今日では機械が巨大かつハイテクになりすぎて専門業者でないと修理が困難なため、機械工は雇わなくなりました。

 

ちなみに経済的にゆとりのできた、この大規模農家の子供たちはみな高学歴を収め、家業は継がず都会へ働きに出てしまいました。よって後継ぎのいなくなった農場では農場主が従業員を雇って経営しています。フランスにおいて、このような農場は大多数を占める訳ではないのですが、近頃増えつつあるのも事実です。農場の近代化、産業化、資本主義化は水質汚染などの環境問題や、大規模な食品会社が強いる味や品質の規格化、標準化による地域文化の消滅などの被害を地域住民にもたらす傾向にあります。農業をおこなう本来の目的は単に私たちの腹を満たすための食料を生産するだけでなく、生物多様性や地域環境の保護、文化の伝承など多様な機能を果たす可能性を持つことにあるのではないでしょうか?

  m kawai  9.jpgのサムネール画像  

 

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