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流通情報

FBダイジェスト版⑪中山間地でも勝てる米作り(1)販売編

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非効率な中山間地で採算の採れる米作りが可能なのか・・・殆どの関係者は首を傾ける。確かに、大規模農家でさえ厳しいから従来の考えでは失敗する確率は高い。国の政策は大規模生産者育成に向かっているがこれを逆手に制度資金を活用し、栽培から販売まで一気通貫型の米作りが可能ではないか・・・

飛騨の農業会社A社は従来の枠組みをリセットし、白紙から効率的な米作りを始めた。

 

■販売から組み立てる

米はJAのドル箱。減反、転作も絡んで生産者が商系に出荷す事はそれ程簡単ではない。陰に陽にプレッシャーがかかり本格的に取り組むには大袈裟に言えば「村八分」を覚悟しなければならない。JA出荷は外観(粒)重視、食味は品種評価重点でそれほど価格に反映されない。ブランド米以外は「良食味」を売り物にするとJA出荷は選択外とならざるを得ない。

乾燥、脱粒、選粒など製品(玄米)にするまでの工程はJAの設備を使ってきた。自分の作業スケジュールで最適管理するためには、自前の設備が必要。コツコツ設備して、現在では1粒毎に変色米や異物を取り除く色彩選別機を含めて一気通貫で処理できる体制を整えた。自社設備でコスト削減が進み、「改善」が自由に出来る様になった。

 

注文に応じて精米し、新鮮で美味しい米が出荷できる体制が整った。次は販売先の開拓・・・吐き立ての米を食べてもらうため、回転の良い中食(弁当屋チェーン)、外食(レストラン)に狙いを絞った。彼らは食のプロ、特に米は重要食材、食味の安定した産直米は話が早い。個人販売とは異なり、数量がまとまり、価格も相場に左右されにくい。美味しい米を出荷している限り、確実にリピートが期待できる。

個人客け今後益々家庭でご飯を炊かない時代になり、消費量が減るので選択外。

FBダイジェスト版③2013/1/12 マルシェ・地ビール・直売量販店

フランス北部に生産者が出資し、運営している量販店があると聞き、早朝のTGVに乗り訪ねた。途中、アラスという世界遺産に登録された街に、大きなマルシェがあるというので途中下車。

◆アラス

アラス

パリ北駅からTGVで1時間超北上、9時過ぎ到着。緯度が高いので夜明けは遅く、空は薄暗く、地上はガスがかかっていた。視界は良くないが、それがかえって古都の幻想的な雰囲気を醸し出している。

アラスのマルシェ

(マルシェ)
街に3ヶ所あり、カラフルなテントが並んでいる。店の準備が始まり、お客さんがポツポツ増えてきた。底冷えがする・・・

アラスのマルシェの野菜、果物

野菜、果物
とても種類が多く、地場産かどうかは分からないが、北国にいるとは思えないほど、鮮度が良い。

アラスのマルシェの若手農業人

若手農業人
アラスで、クレソンを周年栽培しているというHさんは27歳。
村で最も若い農業人だという。
ここは水質が良いのでとても美味しいクレソンが出来ると自慢していた。
確かに香りが良く、独特な辛みがあって美味しかった。

アラスのマルシェのネギ

ネギ
新鮮なネギ(リーキ?)も美味しそうだった。

アラスの地ビール「Page24」

地ビール
北フランスは寒冷な気候で葡萄栽培には適さない。そのため麦を原料とするビール醸造が発達した。この地域に大小800ものビール工場があったというから凄い。 国際品評会でチャンピオンに輝いたことのある「Page24」を見学させて頂いた。

ここの自慢は高発酵熟成ビール「Page24」と白ビール。

アラスの地ビール「Page24」-1 アラスの地ビール「Page24」-2

お洒落なシニア紳士
地元の見学者と和気藹々でビールを試飲。彼らは元軍人とポリスマンの友人同士で日本の事を良くご存じだった。
さすがフランス紳士、試飲会と言えども、身なりはビシッと決めて来た。

アラスの地ビール「Page24」の試飲会
アラスの郷土料理

郷土料理
昼食はアラスの郷土料理。ここは馬鈴薯のブランド産地で他産地の約2倍。当然、美味しかった。逸品料理はチコリビール煮!チコリもビールも苦味があるので蜂蜜で抑えているのが美味しさの秘訣らしい。
牛肉はノルマンディー産と言っていたが、歯応えと味があって美味しかった。

冬の農村

冬の農村
レンタカーでリールに向かった。雪が少し舞うが積雪は無い。冬の荒涼とした畑が続く。作物は北海道とほぼ同じで、馬鈴薯、麦、ビート、野菜など・・・この品目で輪作体型を維持しているようだ。

生産者が運営する量販店

生産者が運営する量販店
最近開業した新業態の量販店。マスコミに取り上げられ注目を集め、繁盛している。生産者が運営しているため実質本意。建物や陳列棚に費用をかけていないが、生産履歴や販売処理システムは徹底的にIT化され「新鮮、安心、安全、安価」をコンセプトにしている。

ゆったりスペースの売り場

(ゆったりスペースの売り場)
カテゴリー別に区分けされ、通路も広くゆったり機敏で買い物ができる。

(新鮮で豊富な商品)
会員生産者から持ち込まれた野菜や果物は、殆ど段ボール箱やコンテナでバラ売りされている。収穫時間や輸送時間も管理されており鮮度は非常によい。ただ、荒選程度の選別が多く野菜によっては少し見栄えは劣る。料理に使うには全く問題は無い。

新鮮で豊富な商品-1
新鮮で豊富な商品-2 新鮮で豊富な商品-3

魚や肉は殆どパックされている。乳製品、卵、乾物、調味料、酒類、パン、総菜・・・あらゆる食品が並んでいる。

魚や肉は殆どパック-1 魚や肉は殆どパック-2
販売処理システム

(販売処理システム)
バラ売りは商品の近くにあるポリ袋に入れ計量器に乗せ、画面の商品にタッチすると、シールが出てくる。これを貼ってレジカウンターに持って行く。

解らなければスタッフがサポート

レジは自分でシールをセンサーに当てカード決済する。解らなければスタッフがサポートしてくれる

販売処理システム

メールアドレスを登録しておくと、買い物の明細やカテゴリー別購入金額などがサーから送信され、家計管理に役立つ。共働きの若い世代に好評という。

これからの課題 ①社会変化にどう対応する?

125日から10日間、北海道内を廻り、生産者や流通関係者と意見交換してきた。多面的、複雑な変化の中でも取り敢えず自分のポジションを確保している人、足元がぐらついて先行き不透明な人、何も考えていない人・・・様々である。しかし、多くの人達は現状も将来も厳しいと認識している。ただ、従来経験したことのない未体験ゾーンで、何を目指し、何から始めたら良いか解らないと言う。解らない時は現状維持が無難と動かない人が大多数だ。長い間、それなりに豊かで安全な生活が保障されてきたため、厳しい未来はイメージできない、考えたくない世代が主流になってきたから当然だと思う。既に現実は日本が得意としてきた産業分野の競争力が急低下している。昨年末まで円高だったこともあるが、中国、韓国、台湾など競合国の追い上げはますます厳しく、この先は予断を許さない。特に若年失業者が増え、あろう事か貧困率は先進国中、上位となり、従来の経済優等生の面影は薄れている。慢性的な財政赤字、大震災や原発事故の処理も背負って行かねばならない。この様な急激な経済、社会変化の中では現状認識と分析、流れの方向性を早急に再チェックし、組み立て直さねばならない。認識が甘いのか、逃避なのか、生活で目一杯なのか・・・事情は様々だと思うが、兎に角、対応への「気力」「腰の重さ」が気になる。

日本農業の将来を決めると言われるTPP論議がまた始まる。いずれにしても人間は生物・・・自然界の掟で最終的に弱いモノは淘汰される。「世の流れ」を的確に掴み、「茨の道」を希望と信念を持ち、上に上に向かって力強く歩みたい。日本人は優秀な民族、以前の様にみんなで努力すれば輝きを取り戻せる!

 

今日本で起きている変化で、農業にとって最大インパクトは「需要減」と「供給減」の綱引きである。

最近、流通関係者が指摘するのは「モノが動かない・・・」である。価格が安くても高くても青果物は動きが鈍いという。量販店の食品売り上げ高もパッとしない。デフレ、不景気も原因としているが、最大の懸念は「少子高齢化」による需要減。少子高齢化は構造的な問題で、当面解決策は見当たらない。供給側としては経営戦略上最も重視しなくてはならない課題だ。農産物が売れなくなったり、農家が減って作付が減少したり、無くなったりした例が増えている。

北海道南部A町は、以前から大根の大産地で、最盛期には300㌶超あった。平成5年の歴史的大暴騰を境に徐々に減り続け、昨年は1/4以下70㌶。農家の本音は採算が厳しいので他の作物に転換したいが、供選施設の償却が終わっていないためやめられないと言う。企業ならば採算が採れなければ設備売却か廃棄だがJA組織では決断が難しい。市場への相場出荷だから赤字が確定している訳ではないが、需要減で安値が定着しており、高値を期待しつつ償却のため作っている。他の産地も大同小異。

大産地が衰退する一方で、元気なのは直売場。種苗会社が色々な珍しい品種を開発し、販売に力を入れている。販売量は限られるが、形状の珍しいモノ、赤、青、黒など量販店では余り見かけない大根も売れている。辛み大根や煮物など調理の仕方に合わせた品種も支持されている。大量生産して安く売る時代から、個性化して適量販売する時代に変わってきた。

 

主要野菜の一つ南瓜も消費環境の変化で需要減が定着しつつある。黄緑野菜として人気は衰えていないが、1回に食べる量が大幅に減っている。惣菜などの加工品で食べる割合が多くなり、店頭で青果として売れる量は減少が激しい。以前の1/2カットから1/4カットになりもう1/8でも間に合うご時世だ。先日、北海道北部で南瓜を作っているHさんが「南瓜の時代もいよいよ終わりだね・・・」と電話してきた。彼は有機野菜野菜の流通業もしているが、露地野菜の荷動きが落ち異変を感じ、原因を探るため今冬は消費地に出向いて、売り場を廻っている。彼の話では南瓜は既にスライスパック売りに移行開始中。5cmくらいのスライス南瓜にそのまま衣を付けて天麩羅、フライパンで焼き物、電子レンジ加熱で簡単に食べられる。最近は果肉や果皮が固い栗系が主流になったため、家庭の包丁ではカットできないため、人気上昇中で定着しそうだと言う。重量計算すると1パック当たり51/16カット位。1/4カットの1/4となるから販売良は大激減・・・・これでは飯が食えないと自嘲していた。

南瓜に限らず、すべての野菜が同じ道を歩んでいる。

 

高級メロンの産地夕張は、ギフト需要の低迷と生産者の高齢化が進み、最盛期の230戸から昨年は131戸に減少した。このまま需要低迷が続くと100戸大台割が懸念される。販売関係者に回復策を問うてみたが、気候変動で品質や出荷量のブレが大きく、日持ちの悪さは宿命的問題、ギフト宅配から抜けられない。全国的に知名度が高いので拡販の余地はあるが、長年、商権が確立しており、新規開拓は動き辛い。一部、輸出もトライしているが、数量は限定的だ。メロン自体が需要縮小トレンドに入っているから、回生は厳しい。

一方、夕張系品種で市場を通さずギフト会社直売ルートを開拓した北海道南部のT社は元気だ。リーマンショックで注文が減り、一時減反したが、昨年は注文が回復、今年から再び増反する。T社長は、毎年仕事が一段落する2月上旬から全国主要業者を訪問し、情報を集める。マーケットの微少なシグナルも見逃さず、メロン以外に多くのヒット商品を育ててきた。彼は「おいしいモノを作っていれば業者が喜んで育ててくれる。勿論、大量生産して値頃感を出さないと売れないけどね・・・」と話す。

昨年、豊作で暴落した馬鈴薯だが、彼は毎年1215㌶作っている。ギフト商品に仕上げて1月末には完売してしまったという。他に安い芋がゴロゴロしていても彼の男爵芋は格別に美味しいため、通販でリピーターが付く。通販、ネット、宅配インフラの進化などで流通環境や消費者意識が変化している。

Tさんの話を若手友人に話したら、彼は昨年農家と連携してこだわりスイートコーンを作り、IT企業と組んでネット販売した所、1本300円で飛ぶように売れたという。「美味しいモノはネット市場が正しく評価してくれる!」と販売に確信を深めている。我々が気が付かない間に社会変化が進み、市場環境が変化している。

スマホの爆発的な普及が世の中を変え始めている。ジッとしていると従来の市場が奪われる可能性がある・・・

 

 

消費減、豊作で低迷する重量野菜

 PA063692.JPGのサムネール画像北海道三大野菜と言われている南瓜、馬鈴薯、玉葱の相場が、秋早くから低迷している。人参、大根、キャベツなど他の重量秋野菜も軒並み安い。11月下旬になり漸く冷え込んできたが、今の所回復の兆しは見えない。

道南、羊蹄山麓は夏秋重量野菜の大産地だが、近年希に見る苦境に陥っている。銘産の馬鈴薯は好天に恵まれ、収量は平年作よりやや多い。但し、L玉中心で商品化率が高く出荷量は多いと予想されている。南瓜、大根、人参の収量は平年並だったが、市況は厳しい・・・

渡島で南瓜8㌶を作っているAさんは、JA10月仕切り精算が10kg当たり平均200300円程度と言っていた。富良野の南瓜生産者Tさんは、「支払いがあればまだマシ・・・採算割れでバック(徴収)の恐れもあるよ」と自嘲気味に話していた。

天災が原因で大幅減収した場合はJA共済で少しは補填されるが市況安に対応策は無い。

 

貯蔵(冬至)南瓜の産地和寒、剣淵、士別など道北各地も同様な状況で、荷動きは鈍い。在庫を抱えているJASや特別栽培品も値崩れが始まっている(流通関係者)

何故、南瓜の価格低迷が続いているのか・・・・量販店のバイヤーに聞いてみた。

「確かに豊作も原因の一つ。巷では910月が異常に暑かったため、主婦が煮炊きする野菜の購入を控えたとも言われている。しかし、リーマンショック後から販売が鈍っている。南瓜は電子レンジで加熱して食べる人が増え、暑くて煮炊きしないという説は説得力に欠ける・・・」「南瓜は黄緑野菜として人気が高いが、美味しい南瓜が少量あれば十分と言う消費者が増えている。1/4カット以下で値頃感を出して売る店が増えているから販売量が減っても仕方が無いでしょう」「大型農業法人は量販店とと契約しているから豊作の年は余剰分が市場に投げられる。それも相場が崩れる原因」と指摘する。

片田舎にある量販店3店舗に納品している業者Nさんは「南瓜は1/4カットでも多すぎると言う消費者が増えた。当社はスライスして袋入りで売っている。お年寄り世帯が増えているから、電子レンジで加熱して直ぐに食べられる野菜でないと売れなくなる・・・。安くないと売れないから原料は規格外品。野菜と言うより手間賃を売っているようなモノだね」

 

馬鈴薯は秋の平均気温が高かったため、発芽が始まり出荷停止になった生産者も出ている。品種にもよるが通常は2~3月頃までは発芽しないが、11月に発芽すると言うことは異常事態。

玉葱は全体的に作柄は良かった。相場は低迷予想が出ているが、馬鈴薯と同様に発芽が早まると、春先は高騰の可能性もある。玉葱生産者はここ数年、市況高に恵まれ収量がそこそこあった生産者は多少余裕があるが、大半の経営は厳しいという。

 

先日、流通超激戦地と言われている中京地区の高級量販店を覗いてみた。顔写真入りの特別栽培やJAS有機野菜が並んでいた。外観、品質、サイズも厳選されているが、価格はそれ程高くはない。周辺にはディスカウント量販店が多いが、最近、また大手量販店が進出したという。

消費減少トレンドの中で生き残りを賭けた流通企業の果てしなき戦いが続いている。価格競争は限界に来ており『特売』の文字もインパクトが薄れている。

今後も消費量減少が更に進む。それを前提に生産者も流通も知恵を出さねばならない。

 

(画像)本当に美味しい南瓜の需要は安定している。都内の百貨店で9月に中旬に100㌘当たり105円で売られていた。

 

 

M&Aで好調続く南九州の冷凍、業務用野菜

PB054021.JPG10月下旬に宮崎、熊本の野菜産地を歩いてきた。今春、葉タバコ(約300㌶)減反転作政策の事を書いたが、政策転換が契機となり、南九州の農業は改革が進んでいる。どう変わったかと言えば葉タバコからホウレン草を核とした冷凍野菜が急増している。転作奨励資金として反当約20万円が支給されたことも刺激になった。転作に対応して農家、農業法人の統合が急ピッチで進んでいる。冷凍施設は少なくとも数億円の資金が必要とされ、資金調達力の限られる中小生産者では取り組めない。そのため吸収合併(MA)が進んでいる。日本では先祖代々の土地に執着する国民性や法整備の遅れで経営統合、農地拡大が遅れていたが、南九州では地域にもよるが堰を切った様に一気に進行している。農地が売りや貸しに出されると資金力、経営力のある法人が一斉に手を上げるという。高齢化や経営不振に喘ぐ個人農家や法人を買収する構図が以前では考えられないほど日常化している。10数年前から大規模化政策により、各地で農業法人が立ち上がったが、当時とは経営環境はすっかり変わり、既に淘汰の時代に入った。

 

南九州で冷凍ホウレン草を栽培している法人は既に1社当たり100㌶規模に成長し、現在大手8社体制にまで統合が進んでいる。ホウレン草の他、輪作として小松菜、莢インゲン、枝豆、ブロッコリー、里芋なども増えている。冷凍ホウレン草は以前、北海道が主産地だったが、平成年代に入り安価な中国産に押され衰退した。その後、中国産野菜の残留農薬問題が発生、安全指向が高まって一部は国産に回帰した。関東地域などでも部分的に産地が増えたが、コスト高で伸び悩み、昨年の原発事故で激減した。

南九州は、大規模化でコスト削減に成功し、業務用野菜(惣菜)の需要増、安全性と品質向上、大手商社との販売連携などの追い風を受けて、現在は需要に追いつかない状態と言う。中国などの輸入が年間2万㌧以上あるが、国産品のシェアは10%程度と低く、更にコスト削減が進めばシェア奪還の余地は充分ある。

 

最近、量販店やコンビニで目立ってきたのは里芋、南瓜、サツマイモなどの少量真空パック調理済み野菜(画像参照)。冷蔵庫で一ヶ月程度の保存が可能で、電子レンジや熱湯加熱して直ぐに食べられる。個食や利便性を重視する消費者が増える中で、青果販売は苦戦を強いられており、市場出荷者はこれらの動向に注意が必要である。以前は、この手の商品はあまり美味しいとは言えなかったが、最近の商品は味にこだわっているモノが多く、商品アイテムも増えている。消費が縮小している魚も漁協と量販店が組んで、味付け調理済み商品の開発、販売に注力しているから、野菜も負けてはいられない。

 

冷凍、業務用野菜と言え「美味しくて安全な野菜」をコンセプトにし、「特別栽培」で作る業者が徐々に増えている。供給者として高品質生産は勿論、病害虫の発生や収量の安定確保を考えれば、特別栽培で作るメリットがあると言う。大規模生産になると資材調達の交渉力が強まり、有機入り配合(有機窒素比率51%超)でもかなり割安な水準になる。葉菜類は穏やか肥効の有機併用施肥をして、10月から4月上旬頃迄の低温期に栽培で病害虫の発生を抑え、特別栽培基準をクリヤーしている。

今後、安定成長が期待される業務用や一般家庭用惣菜分野の調達先は、野菜の種類によるが市場を経由しない生産者直接取引が主流になる。以前は相場が下がれば業務、加工筋が買い支えていたが、その必要性は失われつつある。不作で足らなければ暴騰、豊作で過剰になれば暴落の図式が益々頻発する恐れがある。

南九州で市場出荷をメインとした中小生産者に淘汰の荒波が押し寄せているのはデフレ経済の他、上記の複合した社会変化が絡み合って起きているためだ。

商社は業務用だけではなく、当然青果と組み合わせた販売網の構築を考えているから、動向に注意する必要がある。

 

胡瓜、ピーマンを中心とする宮崎のハウス果菜類は、冬春の異常低温と燃料高等により大きなダメージを受けた。特に栽培温度が高いピーマンは厳冬期の相場は高騰したが春になり気温が上昇しら暴落のパターンが今年も繰り返された。1袋(150㌘)10円等という捨て値もあったと生産者が嘆いていた。燃料を惜しみなく焚いてタイミング良く出荷して儲けた農家もいたが、多くはコスト高での減収という。

一躍ブランド品にのし上がった宮崎マンゴーは、燃料高と景気低迷の煽りをまともに受けて、以前の熱気は冷めた・・・・

 

熊本のハウストマトはシルバーリーフ(黄化葉巻病)の対策の仕方で収益に大きな差が出た。いち早く、抵抗性品種に切り替えた生産者は、資材高(主に燃料)の影響は受けたが、それ以上に相場高の恩恵があった。大玉トマトで反収700800万円という生産者も出た様だ。この状態が今期も続くかどうかは、天候次第(産地業者の話)

生協などと契約で食味や安全性を重視して栽培しているグループの中には、異常な市況高を見せられて困惑している。しかし、トマト以外にこれと言った作物は見当たらず、当地でも栽培面積は増えているので、天候により暴落の危険はある。相場はその時の需給関係でしかない。自分が消費者に何を提供してお金を頂くか、冷静に判断したい。

 

 

パリの食品流通基地、ランジス(2)畜産製品、魚貝類

畜産製品はチーズ、冷凍・生肉、燻製品、魚貝類、塩蔵加工品、食用油、調味料、香辛料、乾物、穀物・・世界の食文化に対応出来る食材が揃っている。
ここは職人社会、それぞれの分野に精通したプロフェショナル、カリスマが揃っている。

パリのランジス流通基地1 パリのランジス流通基地2

◆チーズ

フランス国内、イタリアを中心に、ヨーロッパ各国からこだわりのチーズが集結している。 直径40cm、厚さ20cmくらいもあるチーズが所狭しと置いてある。直径8㍉位のステンレス製器具を差し込んで内部のサンプルを抜き取り、味をチェックする。あちこちで試食させて頂いたが、コクがあり非常に美味し!

パリのランジス流通基地のチーズ1 パリのランジス流通基地のチーズ2 パリのランジス流通基地のチーズ3 パリのランジス流通基地のチーズ4

◆肉製品

牛、豚、鶏、鳩、羊など冷蔵、冷凍、燻製、塩蔵など殆ど揃っている。

パリのランジス流通基地の肉製品1 パリのランジス流通基地の肉製品2 パリのランジス流通基地の肉製品3 パリのランジス流通基地の肉製品4

◆魚貝類

最近は、業務用も一匹より、調理が簡単な切り身の方が好評という。

パリのランジス流通基地の魚貝類1 パリのランジス流通基地の魚貝類2 パリのランジス流通基地の魚貝類3 パリのランジス流通基地の魚貝類4

◆瓶詰め、缶詰

味に煩いフランス人は缶詰は好まず、瓶詰めが圧倒的に多い。

パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰1 パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰2 パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰3 パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰4

◆穀物

米はパエリヤ、ドリア、ピラフ、白飯などに使われ、麦類はパン、パスタの他主菜の付け合わせとしても使われる。米はスーパーマーケットでも売られており、フランス産ジャポニカ米は美味しくて安い。

パリのランジス流通基地の穀物1 パリのランジス流通基地の穀物2

◆調味料、香辛料

世界の調味料、香辛料が揃っている。湯浅醤油、土佐酢、きび酢、本みりん・・・本格的日本料理を作るのにも不自由することはない。

パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料1 パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料2 パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料3 パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料4

パリの食品流通基地、ランジス(1)野菜編

パリを中心に、EU近隣地域を含めて約1500万人超の消費者に食材や花卉を供給しているのがランジス流通基地で、パリ市街から車で南に約30分走った所にある。ここには国内はもとより、ヨーロッパ、アフリカ、中東、南米など世界各地域から食品や花卉類が送られてくる。主力はトラック輸送だが、近くにオルリー空港があり、航空貨物輸送も整備されている。敷地面積232㌶で世界最大、毎日25000台超の車が出入りする。
多数の建物が整然と建ち並び、大小約1200社、約12000人が働き、年間150万㌧の食料品が流通している。

ここで18年間、青果物の仕入れ販売をしていたHさんに1月と4月の2回、青果物、乳製品、肉製品、魚貝類、加工食品、穀物、調味料など多種類の売り場を案内して頂いた。
膨大な数の中から選択して画像をアップする。詳細は記録できなかったので概略を記しておく。
(野菜解説)服部麻子氏

◆取引

パリのランジス流通基地

日本の市場の様に「競りによる取引は無く、すべて相対取引。出荷者(生産者)から事前に構内の仲買業者に見本と見積り価格、規格など取引条件が提示され、仲買はそれを参考に、最適な顧客と商談し、成約したら出荷者に発注する仕組み。
出荷段階で価格や取引条件が明確に決められている為、出荷者、仲買、買い人は安心して取引できる。勿論、品質などに問題が生じた場合は話し合いで解決する。天候や輸送トラブルで欠品しそうな場合は、場内業者間で融通しあう。
品薄になってくると取引価格が上昇し、過剰になれば下落する市場メカニズムは機能している。生産者は採算価格が維持出来ない場合は自主的に産地廃棄し、出荷しない。日本の様に採算割れ状態でも商品が送られてくることは殆どない。仲買は必要以上の数量は注文せず、買った物は一定の利益を乗せて売り切る。低リスクで確実に利益が確保できるから、殆どの業者は健全経営だと言う。
Hさんに「農家は儲かっていますか?・・・」と聞いたら暫く考えて「うーん・・・作っているモノや生産者の技術にもよるけど、リスクの大きい商売だから一部の人以外はあまり儲かってはいないでしょう。天災等で作物が取れない時は本当に気の毒です・・・」と答えた。

◆トマト

トマトはここでも人気商品!芸術の国らしく、色や外観のバリエーションは豊富。冬~春は国内産よりもスペイン産が主流で、最近の話題は黒トマト。色とりどりのトマト詰め合わせセットも人気!
水耕や土耕を使ってEU全域へ通年供給している会社もあり、売り上げを伸ばしている。

パリのランジス流通基地のトマト1 パリのランジス流通基地のトマト2 パリのランジス流通基地のトマト3 パリのランジス流通基地のトマト4 パリのランジス流通基地のトマト5 パリのランジス流通基地のトマト6 パリのランジス流通基地のトマト7 パリのランジス流通基地のトマト8 パリのランジス流通基地のトマト9 パリのランジス流通基地のトマト10 パリのランジス流通基地のトマト11 パリのランジス流通基地のトマト12

◆パースニップ(フランス語: パネ Panais)

パリのランジス流通基地のパースニップ

ピューレ、クスクス、ポトフなど、煮込み料理やスープの具として、あるいは生のまま千切り、または荒くおろしてサラダにして食べる。味に癖があるので一時は「忘れられた野菜」としてあまり見かけなくなっていた。最近、逆に「昔懐かしの野菜」として見直されるようになってきた。

◆莢インゲン インゲンマメ(フランス語:ココ・プラ Coco plat)

パリのランジス流通基地のインゲンマメ

冬期は南アフリカ、モロッコなどからの輸入が多い。輸送が不便なアフリカ内陸から運ばれ、10日間もかかる場合もあるので鮮度が良くない物もある。
しかし、インゲンのカリスマは『最近は輸送技術が進歩し、遠隔地でも着荷鮮度は非常に良くなっている』と言っていた。フランスで莢インゲンは一般的にくたくたになるまで茹でて主菜の付け合せやサラダの具として食べることが多く、鮮度は余り気にしない。

◆莢エンドウ

パリのランジス流通基地の莢エンドウ

これは近郊産地物らしく、鮮度は非常に良い。食べ方は莢インゲンとほぼ同じ。スジを取らなくても良く、調理も簡単。

◆ホワイトアスパラガス

パリのランジス流通基地のホワイトアスパラガス

グリーンもあるが、ほろ苦いホワイトアスパラはヨーロッパの伝統的旬の食材。
歯ごたえが無くなる位に茹で、オランデーズソース(バターとレモン汁を使って作ったマヨネーズの様なソース)をかけて食べることが多い。

◆レッドアンリーブ(チコリ)

パリのランジス流通基地のレッドアンリーブ(チコリ)

通常は白色だが、美しいバイオレット系赤で人気が高い。案内人Hさんは「日本でもこれから売れると思うよ」と話していた。
ベルギー産が多いが、この発色技術は見事!
荒目の千切りにし、食べる前少し酢の入った水につけておくと、変色しにくい。ハードタイプブルーチーズ、、リンゴ、クルミと混ぜて、バルサミコとオリーブオイル、マスタードをベースとして作ったドレッシングをかけて食べる。ほろ苦さが良いアクセントになって美味い。

◆唐辛子(フランス語:ピーマンオワゾー Piment oiseau)

パリのランジス流通基地の唐辛子1 パリのランジス流通基地の唐辛子2

直訳すると『小鳥唐辛子』。名前の通り小柄で、さまざまな形のものがある。なかでもこの品種はかなり辛い物らしい。アフリカなどから輸入されている。フランス本土ではほとんど栽培されておらず、販売先も殆ど移民の人達が対象。ちなみにフランス人は伝統的に唐辛子を食べる習慣があまりなく、今でもピリリとした辛さに慣れない消費者が多い。案内人曰く、この品種はなかでも、非常に辛い方らしい。アフリカ、アジア系の食料品ショップで見かける。

◆甘唐辛子

パリのランジス流通基地の甘唐辛子

辛みが少ない唐辛子。NPOココペリのカタログによれば、在来種の中に色、形状など様々な品種がある。

◆ズッキーニ

パリのランジス流通基地のズッキーニ

緑色が主流だが、黄色も比較的頻繁に見かける。レストランでは黄色い色を活かし、皿に彩を加える付け合せとして利用されることがよくある。

◆ブラウンマッシュルーム

パリのランジス流通基地のブラウンマッシュルーム

「シャンピニオン・ドゥ・パリ」という名前の通り、パリ近郊の名産品で白と茶色いものがある。最近はポーランド等で大量生産された安い輸入物が出回っている。画像はパリ近郊で昔ながらの石壁で覆った地下室で栽培されたもの。土着菌が地下室に住み着き、自然に生えてくる。茎足に土がついている方が傷みにくいため仲買人に重宝される。もちろん、パリ近郊の農家で生産された物の方が味も香りも格別に良く、高い値段がつけられている。

パリのランジス流通基地のジロール茸の一種

◆おそらくジロール茸の一種だと思われるが、はっきりは断定できない。いずれにしろ、フランス人は相当なキノコ好きだ。ランジスにもキノコを専門に扱う卸売業者もおり、品揃えはなかなかのものだった。

◆紫ブロッコリー

パリのランジス流通基地の紫ブロッコリー

最近見かける様になってきた紫色ブロッコリー。
玉状ではなく、花芽のみを束にして売っている。紫色のブロッコリーと言うと、なんとなく毒々しい感じがするが、料理に彩を添える役目をしたり、珍しい色形だったりする野菜が重宝されるフランスでは、この様な商品も売れると言う。

◆ロマネスコ

パリのランジス流通基地のロマネスコ

イタリア、ローマ近辺が発祥地とされるカリフラワーの一種で、味はブロッコリーに近いとされる。フランスでは1993年頃から流通が盛んになった。西部、ブルターニュ地方が主な生産地。ただし普通のカリフラワーやブロッコリーと比較すると、まだ一般家庭で使われる機会は少ない。レストラン等では色、形の違うブロッコリーを組み合わせて調理したものが主菜の付け合せや温野菜サラダなどに使用されているのを見かける。使いやすいように房を外した冷凍ものも出回っている。

◆ラディッシュ

パリのランジス流通基地のラディッシュ

スーパー等では年中見かけるが春の風物詩的存在。これが市場に並び始めるとフランス人は「春が来たな~」と感じる。長細いもの、丸いもの、どちらも店ではよく見かける。有塩バターか塩をつけて食べるか、サラダの中に入れて生で食べる。葉は生のままサラダに混ぜて食べることもあるが、日本の様に茹でておひたしの様にして食べることはあまりない。
右横にちらりと見えるのはミニキャベツ。フランスでは「シューブリュッセル」

◆長カブ

パリのランジス流通基地の長カブ

フランスのカブは丸くて中央部が赤紫色をしているものが主流。時々大根の様な形をしたカブも見かけるが、この様に人参並みに細い物は非常に珍しい。。多分レストラン等、プロ向けの商品と思われる。品種改良で生まれた新品種と思われるが、白い人参、パネ、アジア系のショップでみかける白大根など、どれも何となく似ているのでややこしい。ちなみにフランスでは大根は黒大根が主流。地方ではまだ白い大根を見かけることは少ない。

◆グリーンセルリー

パリのランジス流通基地のグリーンセルリー

フランスでは主に球形をした根セロリと、日本でもよく見かける枝型をしたセロリが流通している。
これはイタリアからの輸入物。

◆サラダ菜

パリのランジス流通基地のサラダ菜1

フランスではレタスの種類が結構豊富で、サラダ、サラダ・ルージュ、チコリ・フリゼ、サニーレタスに似たバタビア、小柄なスクリーンなど、それによって名前も変わるから判別がややこしい。ただし、日本みたいな結球レタスは滅多に見かけない。食感と味はどれも微妙に違うが、一般消費者は対して品種や種類に対するこだわりを持っているようには見えず、新鮮ならばOK,といった感覚の者が多いように感じる。カフェやビストロで食べるサラダには、形やボリューム、色に変化をつけるため、何種類かの異なる葉物野菜 (特にレタス類)を混ぜていることが多い。

パリのランジス流通基地のサラダ・ルージュ1

◆サラダ・ルージュ (だと思う)

パリのランジス流通基地のサラダ菜?

◆?

パリのランジス流通基地のバタビア

◆バタビア

パリのランジス流通基地のマシュ1 パリのランジス流通基地のマシュ2

◆マシュ

味はホウレンソウに似ているが、大半は生でサラダとして食べる。クセが少なく食べやすいのでフランスでは人気の高い野菜だ。ただし地場ものだと一株ずつ土や砂がついている場合が多く、洗うのが少々面倒くさい。箱にかけられているタグの真ん中には、〈化学除草剤不使用〉〈減農薬栽培〉〈熱蒸気による土壌消毒〉と書かれており、下部オレンジ色の部分には、〈風味...品質...新鮮さ...〉という文字が順に並んでいる。

◆クレソン

パリのランジス流通基地のクレソン

パリ近郊には有名なクレソンの産地があって、これも確か近郊で採れたものだったと思う。少々ピりっとして癖のある味をしているが、結構それが好きなフランス人も多い。レタスや他の葉物と混ぜてサラダにしたり、バターで炒めた玉ねぎとジャガイモなどと一緒に煮込んでからミキサーにかけ、仕上げにクリームを加えてポタージュにしたりもする

パリのランジス流通基地のキャベツ

◆フランスでもっともよく見られるキャベツのひとつ。
煮込みやスープの具材としては非常にすぐれものだが、生で食べると青臭さとエグ味があり、筋張っていて固い。お好み焼きや生食用サラダ、炒めものにはあまり向かない。

パリのランジス流通基地の葉菜類

◆?

パリのランジス流通基地のコールラビ-

◆コールラビー

パリのランジス流通基地のアンティチョーク

◆アンティチョーク

パリのランジス流通基地のイチゴ

◆イチゴ
大玉系が目立つようになってきた。

夏秋野菜の見通し(消費地編)

北海道の量販関係者は、道内消費はどん底が続いているから、これ以上は落ちないだろうと自嘲気味に語る。昨年の高値から単価はそこそこで維持しているから今の所、売り上げは目標には届いていないがそれ程悪くはないようだ。夏秋野菜の道外出荷は、産地、消費地共に変動要因が大きすぎて、その時でないと見積書が書けないという。

東京の販売関係者Sさんは「放射性物質」問題が重荷で、先行きは読めない。様子を見ながら商売してゆくしかないと言う。特に関東圏の野菜産地に再び基準値以上の「放射能検出」ニュースが流れたら・・・と警戒する。

近所の量販店は年金支給日、給料日後を除けば相変わらず、活気がない。一方、駅構内で地場野菜を中心に販売している青果会社は「毎日お買い得」で繁盛している。地元産が中心だから鮮度も良い。葉物、果菜類、果実類が店に山積みになっている。小規模こだわりは、店舗、引き売り、宅配も増え、競争が激しくなってきた。「売れない」環境でどう売るか・・・あの手この手の模索が続いている。

 

自動車産業(トヨタ)回復で中京圏は以前の活気を取り戻しつつある。名古屋駅前のグルメ街はサラリーマン客で繁盛している。この一角はB級グルメ街と呼ぶ人もいるが、安くて美味しい店が多い。

量販店は相変わらず、熾烈な価格競争の実態は変わっていない。何処でこんなに安く仕入れるのかと思う野菜が特売で並ぶ。渥美、知多、岐阜、長野など周辺には産地が多い。東京、大阪で余った野菜が名古屋に集まり、処分されるという裏話もあるが市場価格は確かに安い様だ。市場買いで相場の安い時の「安売り」は理解できるが、生産者と値決め契約している競合店は厳しい。担当者の話では、トマトの様に味で差別化できる商品も売価を下げて売る。競合店がそれ以上安くても味が良いことを知っているお客様は、喜んで買ってくれるから売れ残らない。青果はロスを出さないことが鉄則と言い、この方針は曲げていない。

 

JAS有機野菜など「安全、美味しい」がコンセプトの店舗責任者は、この所の不況で「安心、安全」は神通力が後退、客足が2割落ちたと言う。通常量販店でも安全イメージの看板として有機野菜を置く店が増え、専門店は有機にプラスする別のコンセプトが求められている。プラスキーワードはこの店にしか売っていないオリジナル商品。毎回チョビチョビではなく、1回にまとめて買って頂く割安提案が売り上げを伸ばしていると言う。箱売りのフルーツトマトなどは可能性がある?

 

都内でホテルや高級レストランに野菜を卸している業者は、6月に入って4月、5月の最悪期は脱したと話す。都心の高級レストランは(金)(土)の週末は忙しいが、ウィークデーは厳しい。病み上がり、まだ本調子ではない。

 

博多で8年ぶりにお会いした業者に最近の傾向を聞いてみた。

「状況は8年前とは様変わりしています。当時はシェフ達が、美味しくて珍しい物があったら何でも紹介して下さいという時代でした。実際、高価な食材でも使ってくれました。ところが今は、経営権が外資に移ったホテルが増え、殆どが見積もりです。品質はあまり関係なく価格優先です。トマトは普通のトマトでOKという感じですね・・・。全部のホテルとは言いませんが、メニュー単価から食材単価が決まり、徹底的に詰められますから厳しいです。もっとも、最近の宿泊客は街で夕食を楽しむことが定着していますから、朝食用か結婚式や会合などの需要がメインです。ホテルと言っても提供単価が高く設定できませんからお互いに大変です。和食は見積なしで食材にこだわる料理人が多いのでまだ張り合いはあります。博多は屋台文化の街ですが、屋台が規制され家賃の安い路地裏?でイタリアンやフレンチ、スペイン料理店などが増えています。彼らはコストよりも料理人のプライドにかけて食材にこだわるから、付き合うのが楽しいですよ」

小生は博多の路地裏?レストランのファンで、九州の帰りに必ず博多に立ち寄る。前回は和食、前々回はスペイン料理。ビックリするレベルの高さと勘定の安さは食を大切にする「博多っ子」の心意気が支えている。

 

「スーパー最終戦争」 ⑧高付加価値農業の期待と課題

中流から中の下階層に移行する社会では当然、低価格品が求められる。対応できなければ海外農産物に市場を奪われる可能性がある。

一般品、高付加価値農業のどちらを選択したら良いかは生産者の「経営資源」により異なる。一般品生産の大多数JA出荷者や大規模生産者は低コスト大量物流の傘下に入り、安定した販売先確保を優先すべきである。需要減少の中で更に自由貿易で海外農産物と戦うには、先行して販路を押さえ、情報を取り入込みながら速やかに対応して行くことが不可欠である。

数量確保と安定供給力が劣る一般品個人生産者は早めに統合して農業法人、出荷組合(グループ)を組織し、生産、物流両面で効率を上げ競争力を強化しなければならない。

個性的高付加価値農業に転進する場合は、事前に栽培、販売両面から十分検討し、競争力があることを確認してから取り組まないと、途中で方針がぐらつき成功に結びつかない倍がある。

今後、日本農業が世界を相手に戦える分野は「個性的高付加価値農業」である。目先ではなく、じっくり腰を据えて多角的に検討して取り組みたい。

 

伝統野菜など「美味しい野菜」の品目開発、定義付け、規格化と販路サポートを目指しているNPO創立者A氏が昨年理事長を退任され、メールを頂いた。A氏によれば創立当初(十数年前)に販路として想定していた量販店や外食企業を取り巻く環境が激変してしまい、建前はともかく、流通側の本音が「価格最優先」に切り替わり、テーマへの関心が薄れてしまったと書いている。初期のセミナーには量販店、外食、物流関係企業が多数出席し関心の高さが窺えたが、最近ではこの分野の人達は殆ど姿を見せない。この傾向は流通業界の中でも特に「味」にこだわってきたた大手小売業Sホールディングスカリスマ経営者が「時代は価格優先に変化した」とのコメントと連動している。

「美味しい野菜」の需要拡大に期待して集まった関係者は10年の歳月を経て変質した消費環境に無力感が漂う・・・・

 

安価、大量販売を基本とする量販店や外食企業の多くが、「美味しい」よりも「安い」を優先する中で、今後、伝統野菜や高付加価値農産物分野をどう組み立て直すかが問われる。

地方都市を中心に「地産地消」の流れが起こり、朝市(マルシェ)、直売場、食のイベントなどが盛んになっている。しかし、大多数の消費者、大規模専業農家は縁が薄く、経済的インパクトは極めて限定的である。

 

消費地で「食」の崩壊が進行していることは度々取り上げられている。農水省の統計によれば一人当たりの年間野菜消費量は昭和50年の約111kgから右肩下がりで最近は93kgと約16%も減少している。高齢化が進み、食と健康の情報が満ち溢れている日本で野菜摂取の重要性は十分を認識されている筈だが、消費の実態はお寒い限りである・・・

家庭で調理する時間がない、面倒だからと取り敢えず外食、簡易食、惣菜、弁当、野菜ジュース、サプリメント・・・に需要が移っている。

利便性重視社会は最早、止められない。「美味しい野菜」「簡単に食べられる」二つセットの切り口で考えないと消費者はついてこない。。「美味しいモノを作れば・・・」と関係者が考えている程、現実は甘くはないだろう。

量販店のコストカットで商品説明の出来る店員は殆ど見かけられなくなってから久しい。価格最優先になっている環境では「美味しい野菜」の提案は難しい。料理番組やネットなど情報源はあるが、本当に美味しい野菜料理の材料入手手段は限られる。

究極はやはり「人間の伝達力」である。一時「野菜のソムリエ」が話題になったが、活躍場所は今の所少ない。今年は異常気象で価格が高いが、平年価格では販促に人件費(マネキン)をかけたら採算が採れない。しかし、敢えてマネキン販売に踏み込み、「美味しくて、簡単調理のミニ青梗菜」で新規顧客を開拓した取引先がある。

 

ミニ青梗菜は特別目新しい野菜ではない。店頭に置いても目的客以外は買い物カゴに入れない。当然、売り上げは固定化し伸びない。この商品のポイントは「簡単調理!美味しい黄緑野菜」。マネキンが店頭で約30秒熱湯ボイルし、試食させる。「手軽さ、美味しさ、黄緑野菜=健康」イメージが受けて新規顧客を掘り起こしている。客層は若年~お年寄りまで幅広いという。

1店舗の試験販売から始めたが、野菜の売り上げが低迷する中で着実な販売増が社内のネットワーク(パソコン)上で注目され、当初関心を示さなかった店からも次々とマネキンの派遣要請があり、リピーター顧客が育っている。

当初、美味しいから絶対売れると読んでいたが実際は苦戦、試行錯誤の連続で、この方法に辿り着くまで約4年の歳月が流れた。気が付けば昔、ブランド南瓜を育てたモデルに戻っただけのこと・・・この商品は周年で販売しているから、マネキン代は一時的なコスト「高くはない・・・」と言う。

一例を書いたが、従来のコストカット思考では何処まで行っても価格競争だけ。ツケは流通から生産者、業界全体に回り、利が残らず活気を失う。

「安い」だけでは世界競争には勝てないから生産~流通関係者の連携した知恵が試されている。

 

産地については別途書く。

 

「スーパー最終戦争」 ⑦農の再生は消費者と生産者の意識改革から始まる。

⑥まで今後の農業経営を考える上での一助として消費地で起きていることを書いた。今回書いていて感じたことは日本の農業問題は生産地よりも消費地に大きな社会変化が起きているにも拘わらず、政策が後手に回っている現実だ。低所得者が増えうる中「質的に豊かな食生活」を政策として目指さないと利便性と低価格に支配され、固有の食文化とそれを支える農業は崩壊する。

 

古い話で恐縮だが40数年前、初めて渡米した時に見た光景は、朝からファーストフード店で珈琲やコーラを片手にハンバーガー、ホットドック、フライドチキンなどを食べ、ソフトクリームやアイスクリームをペロリと平らげ、ファミレスでは分厚いステーキ、ハンバーグ、巨大なエビや蟹、山盛りのサラダなどを事なげもなく食べ尽くすアメリカ人の姿であった。その頃日本は、ご飯に味噌汁、沢庵、焼き魚、卵料理などを主婦が台所で作り、家族が顔を合わせて朝食を取っていた。デザートといえばミカンやリンゴ、柿などを食べていた。いつの間にか食べ物は洋風化し、ファーストフード社会になった。都心や郊外の駅前、構内には大手外食企業が運営するハンバーガー、フライドチキン、サンドイッチ、パスタ、牛丼、ラーメン、うどん、蕎麦、弁当、おむすび、カレー、夜は居酒屋・・・考えられる食べ物は殆ど用意されている。こんなにファーストフード産業の発達した国は世界でも日本しか無いだろう。

費者の意識改革

 

便利、安価と引き替えに日本の家庭は食卓に求心力を失い、家族の団欒、絆が希薄になってしまった。近頃頻発している自暴自棄事件、高齢者行方不明事件など、以前の日本では希であった。この現象は急激に起こっているのではなく、社会変化によって親子、夫婦、隣人、友人などの絆が弱まり、人間としての存在感が薄れて起きている。

先日テレビで直木賞女流作家K氏がフランスバスクの食と旅番組の中で、家族や友人であることを象徴する言葉は顔を合わせたら先ず「お腹が空いていないか・・・」と尋ねることだと話していた。相手を思いやる最高の言葉は「食」であると言う。

子供の頃、母は訪問客があると先ず食事していくことを勧めた。飯を炊き、あり合わせの漬け物や野菜、卵料理など質素ながら「自家製の食」でもてなした。飽食と言われ久しいが、何時の時代も人間を結びつける原点は生きることに欠かせない「食」であり、国家間でも最高の儀式は最後の「晩餐会」と決まっている。「食」を粗末にした家庭や国家は滅びる。

最近、いろいろな人達が「農」を論じるが、その前に自分達の「食」を考えてから「農」を論じてもらいたい。

 

国民一人一人が「食」の大切さを認識すれば、巨大資本つまり「世界最安値」農産物の支配はある程度食い止められる。日本は貿易立国を前提としなければ衰退する。農産物の市場開放は好むと好まないとに拘わらず必須だ。既に韓国などと比べて「農」の足枷で自由貿易の対応が出遅れ、今後の産業競争力の低下が懸念されている。

 

生産者の意識改革

韓国はEU間でFTA(多国間自由貿易協定)締結が決まり、段階的に関税が撤廃され自由貿易時代に入る。韓国は日本や中国に対抗するため、産業も農業も競争力のあるモノに特化、集中投資して、弱いモノは捨てた。農業は労働生産性の高い施設園芸に莫大な予算を投入し、一部の農産物は過剰生産に陥ったが、ノウハウや機材、資材産業は今や日本を凌ぐ。ただ、積極的に市場開放したため、外資が国内企業を制圧した面もあるが、成長する中国を始めアジア圏の市場を開拓し、既に日本より優位に立っている。勿論、彼らが国内で目指しているモノは徹底した工業化農業、低コスト、大量生産方式である。競争力のある農業を育てれば、そのノウハウを持って成長する新興国に進出できる。日本の生産者が視察に行って、規模の大きさや熱気に驚くのは、韓国に世界標準のダイナニズムが起きているからである。

秋本番、韓国ではキムチを漬け込むシーズンを迎えた。今夏の異常高温で白菜の生育が悪く、中国から緊急輸入したが、中国産白菜では伝統の韓国キムチが出来ず、困っているというニュースがあった。中国製のパック入り漬け物を安いからと言って食べていた国は情けない・・・もっとも韓国でも中国製のキムチもどきが出回っているようだが。

 

狭い国土の殆どがゼロメートル以下のオランダは世界に冠たる通商国家、農業大国だ。チューリップ、バラ、ガーベラなど花卉類やパプリカ、トマトなど施設園芸が盛んで、EU域内はもとより世界中に輸出されている。花卉類は世界流通の中心地の一つと言われ巨大な市場がある。お馴染みのパプリカは日本に相当量輸出されていたが、最近は輸送のハンディーもありい韓国にシェアを奪われた。

何処の国の生産者も熾烈な競争が続いている。

 

「スーパー最終戦争」 ⑥「小規模こだわり食品店」の胎動

私が暮らす街は安価なモノは沢山あるが、美味しい食材を手に入れるのは苦労する。八百屋、魚屋、肉屋などの専門店は安値競争に負けてほとんど姿を消した。都心か中核都市にある高級量販店かデパ地下へ行かねばならない。しかし、車では混むし、駐車で苦労する。電車で行けば荷物が重いから中高年には、足が重い。一時、味や新鮮さを売りにした野菜直売場が増えたが、スーパー、JA直売場などが次々に参入、安値競争に巻き込まれ、農家の高齢化も進んで農家の直売場は姿を消した。

 

最近、美味しいモノを売る店として注目しているのは、比較的若い世代が立ち上げている「小規模こだわり食品店」だ。残留農薬騒ぎで「自然食品店」などと称する「安全性」を売りにした店が増えたが、今度は「ブランド、伝統の味、本物の味」など「美味しさ」を売りとした店が客の支持を集めている。

 

彼らはネットや宅配便を駆使して全国の銘産品、こだわり食品を仕入れ、地元の農家とも組んで「地産野菜」を販売している。キーワードは「国産→美味いモノ限定→1箱単位仕入れ→1個バラ売り→欠品あり」である。肉は冷凍品だが、黒豚、地鶏など、産地、生産者に拘り冷凍でも美味く、いつでも安心して食べられる。ハム、ソーセージ、卵、牛乳、チーズ、バター、魚肉製品、豆腐、醤油、塩、油・・・地ビールや地酒、地方の昔懐かしいお菓子など気ままに置いている。食に凝る輩には思わずニンマリする商品に出会うこともある。少数客が対象だから商品は常時あるわけではない。電話予約しておけば、閉店してから配達してくれる。高齢者や勤めに出ている客には利便性が良く好評だ。日持ちがしない商品は、注文がまとまってから仕入れて販売するのでロスは少ない。本当に美味しいモノを食べたい客は我が儘を言わず入荷するまで待つ。

 

野菜や果実類は化学肥料、化学農薬不使用栽培または特別栽培。一般的に見栄えは良くないが味は確かである。費用のかかるJAS認証は取得していないが、生産者と店の信頼関係ででお客は充分納得できる。現在市販されている葡萄(巨峰など)は殆どがホルモン処理した種なしであるが、ここで売られているモノは味にこだわって昔風?濃厚味の種付き葡萄である。今や種付きは市場で敬遠され出荷が少なく、探すのに苦労する。こだわり生産者の直売、ネット販売、生協共同購入などでしか入手できない。ネットでは量を買う必要があるが、ここでは少量計り売りが可能、一房単位で買える。リンゴや梨は1個売り。価格は多少高いが、デパ地下に買いに行くよりは安い。

 

ヨーロッパの都市は量販店もあるが、デパ地下の様な専門店が入っている建物の中にこだわり品がある。地方では朝市や老舗食料品店があり、それぞれ独自の食文化を守っている。小規模な店が多いが自慢の品が並んでいる。店主や店員の商品知識が豊富で、食材の講釈、調理法などを教えてくれるので、買う意欲も湧く。

日本も価格競争だけではなく、この様な「食を楽しむ」インフラ、「こだわり食品店」がもっと復活すると、生産者も作り甲斐があり、購買意欲も湧く。

 

若い人の引き売りが駅前などでチラホラ見受けられる。春に川崎市にある若手Mさん(32歳)が経営する「八百屋」を訪ねた。生ゴミのリサイクルボランティアで農家との付き合いが始まり、農業の最大の問題は作ることよりも売ること、つまり収入が不安定であることを知った。収穫した野菜を軽トラックに積み、団地、マンションなどで2年間引き売りして、販売のコツを覚えた。2年前、顧客の紹介でマンション1階に店舗を借り開業した。基本は地元農家から直接仕入れ販売するいわゆる「地産地消」。順調に顧客が増え、種類も色々な要望が多くなり、一部は市場で仕入れている。冷蔵庫は持たず、日持ちのしないモノはその日に売り切る。農家の収穫量が多く売れ残りそうな時は、登録客に電話して協力を依頼する。

それも限度があるので売れ残り野菜を調理して、小規模レストラン、惣菜売り場も併設する準備を進めていた。地元の旬の食材を使い、個性的料理を提供する店が出来たら注目されそうだ。

「八百屋」の経営は順調で、1日の来店客は平均80人、家族を養うのには困らない収入という。農家は運賃、段ボール箱、市場手数料がかからないので、喜んでいるという。

 

「スーパー最終戦争」 ⑤欧米勢の目論見と日本社会の現実

日本に低所得者層が増えると巨大資本の大量生産、低価格商品が競争力を増す。品質、外観、サービスに煩い日本の消費者が低価格品にシフトせざるを得ない現実は彼らにはチャンスと映る。

ただ、欧米勢と言っても資本の話で、商品を作るのは「世界最安値」地域」、必ずしも自国とは限らない。売る場所に国境はなく、投資先、利益を求めて資金が世界を駆け巡る。。日本の小売業大手セブン・アイHは中国を中心にアジア圏に進出し、既に1万5.000店を展開している。8月の国内量販店売上高は、猛暑の追い風を受けても下げ止まらず、失業率が高止まりする欧米同様、新興国、アジアに成長を求めざるを得ない

欧米から見れば、日本は消費が下降線を辿っているとはいえ世界に冠たる消費大国。展開次第ではまだまだ利益を稼ぐ余地があると映る。円高で、彼らに心地よい追い風が吹いている。

 

消費地の現実

世界の小売業が日本に進出していることは、地方に住む農家は実感に乏しい。他人事と思えるかも知れない。東京都下に住む私でさえ頭では理解できても、自分の生活にどう関わってくるかはピンとこない。

しかし、よく周りを見れば変化は着々と起きている。近所にある西友は看板をウォルマート(米国)に書き換える日も近い。280円弁当など得意とする低価格路線が好調で不振が続いた業績はこの不況で上向きに転じ、業界の注目を集めている。以前の西友は「完熟屋」「食の幸」ブランドなど、野菜を含めて魅力的な食材が並んでいた。しかし、郊外住宅地として発展したこの街は、年金生活者や所得減で住宅ローンが重荷のサラリーマン世帯が増え、こだわり商品が次第に姿を消した。野菜など生鮮売り場は縮小され、惣菜や加工品が増えたのは言うまでもない。年中無休、食品売り場24時間営業、つまり365日昼夜を問わず休まない店と化した。「余分なモノ?は置かず、回転の良い安価な売れ筋商品に絞る」企業として当然だが、業績向上最優先が支配する・・・

 

聞いた話では客の多くはその日の予算内で計算しながら買い物カゴに入れレジに並ぶ。店内滞在時間15分程度の早業だ。客の楽しみはお買い得商品を見付けることくらいか?・・・

 

 

 

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言う諺がある。過去の経験をしっかり見つめ、目先に流されることなく、将来に向けて何が大切かじっくり考え行動したい。それが将来起こるかも知れない経済や食糧危機に対する最大の防御だ。

 

 

多国籍食品

大手量販店で販売している一部の商品は、ネットで栽培履歴、トレサビリティーが確認できるが、アクセスする人は1%未満、公開している事に意味があると大手量販バイヤーから聞いた。

忙しい時代に利便性に優れた加工調理品が伸びているが、一体、原材料が何処で作られているのか調べてみた。冷凍加工調理品「エビドリア」の材料原産地表示(下記)を見て一瞬「エー!」と目を疑った。

 

僅か200㌘程度の食品にこれだけ多国籍食材が使われている現実は、自動車や家電など工業製品と同じである。低コスト追求で「世界最安値」地域から部品を調達し、大量生産する構図が食品にも常態化している。我々が意識しない、気が付かない間に企業の「世界最安値」戦略に組み込まれている。主食の米に限らずあらゆる食材の足元がこういう形で浸蝕されているのだ。

これは一部の格安外食レストランチェーンにも共通する。

 

世界の巨大小売業が参戦する「スーパー最終戦争」で日本の社会に何が残るのであろうか・・・

中国、タイ、ブルガリア、マケドニア、ハンガリー、カナダ、オーストラリア、マレーシア、ブラジル、パプアニューギニア、フィリピン、ニュージーランドなど海外12ヶ国の原材料が使われている。日本産は濃縮乳、食塩、発酵調味料、ナチュラルチーズ、玉葱と表示されている。

秋たけなわ、「食のイベント」が各地で盛んなのは心強い。日本の食文化」を一つ一つ子供達に伝える努力が「日本の食と農」を守る。政治や学校教育だけに任せるのではなく、先ずは日常の食生活から見直そう。立派な政策、教育論を展開しても、土台が腐っていては何の足しにもならない。

戦後、GHQ(米国占領軍)主導で食生活改善運動が実施され、輸入農畜産物が急増し、日本人の体格は格段に向上した。安い農産物を輸入したお蔭で農村の労働力を工業製品生産に振り向け、日本が得た経済的利益は大きかった。反面、洋食化が行き過ぎ、高カロリー食が原因で肥満や成人病が増え、国内農業が衰退したデメリットも指摘されている。初期はアメリカ農産物だったが、現在は世界中の農産物が国内に溢れる。一方、巨大穀物メジャーに操られ、数年前には日本は手も足も出ない穀物暴騰を経験した。

先日、神奈川県三浦半島にある公立中学校の先生から「食育」など現場の様子をお聞きした。しかし、食育などを語るには程遠い現実があるように思えた。彼の話では子供より親、特に母親の「子供溺愛」にどう対応するかが一番の課題と指摘した。以前からそう言う話は聞いてはいたが私の想定を超えていた。両親が離婚している生徒は約3人に1人、経済的にも精神的にもかなり不安定な教育環境である。全国でも離婚率上位の北海道でこの話をしたら「農家は1/3。サラリーマンは1/2に近い」と指摘された。数値的な裏付けはないが、多くの離婚世帯の生活、教育環境は相当厳しいと推測される。こういう人達は「世界最安値」食材を好むと好まないとに関わらず選択するしかない。

以前は量販店でも買い物が結構楽しかった。旬の魚菜が並び、種類も多く、店であれこれ会話しながら商品を選らんだ。子供達もその中で自然と食への関心を培った。学校で「食育」の時間などなかったが、教わらなくても生活の中で身に付けた。しかし、今の子供や親達にはその様な時間的ゆとりは無い。利便性、経済性、合理性だけの無味乾燥な環境になってしまった。人間として大切な「ゆとり」をいつの間にか失った。

商品棚には高品質や個性を語るポップなどは殆ど無い。大量生産された食品が主力となり、整然と並べられている。ビールなどの飲料はどこがどう違うのか判断に困るほど種類が多い。買い物目線が価格重視なのでお買い得を強調するポップ以外は不要だ。高品質、個性的商品を求める客はここには来ない。

「スーパー最終戦争」 ④独自色で健闘する中小量販店

大手量販店は、中小を呑み込んで統合、更に拡大路線を走る。

しかし、最終的に世界の巨人と対峙しなければならない。自分自身も世界の潮流に巻き込まれ、呑み込まれるかも知れない。

自由資本主義経済を標榜する日本で生きるには、弱肉強食のルールは仕方がない。戦うか軍門に下るか二者択一だ。その中でオーナー経営を続け、独自の戦いをしている元気な量販店がある。

 

  昔ながらの八百屋方式

先日、関西を基盤とし、大阪を1ブロックとした量販店(十数店舗)仕入れ担当者を訪ねてみた。

殆どの量販店が合理化最優先、本部で大量一括安価仕入れを目指すが、それとは一線を画す地元密着型量販店だ。昔、何処かにあったスーパーを思い起こし、不思議な新鮮味を感じた。

 

(最近のお客様の変化は・・・)

来店者数には大きな変化はないが、品質と価格に対する目は厳しくなっている。

(どう対応しているか・・・)

当店は本部から調達するモノもあるが、大部分はその日の状況に合わせて市場で仕入れる。大手量販店は産地から週決めでまとめ仕入れし、センターから各店舗に配送するが、自分は八百屋の原点、地元客の顔を見て商売している。当たり前の話だが、安い時は沢山仕入れて山盛りにして割安で売る。高い時は小口に分けて買いやすい価格で売る。勿論、天候や気温、曜日、イベントなど毎日変化する要素を織り込んで仕入れる。売り場にアクセントが付けられるのでお客さんも来店する楽しみがあると思う。週決めで産直契約すると商品も販売の仕方も弾力性が無くなるから、毎日、市場とお客さんの顔を見ながら品揃えする。だから日によっては「ごめんなさい」(欠品)もある。

(今、一番売りたい野菜は・・・)

普通の野菜は売れる数量分だけ市場で仕入れた方がリスク(ロス)が少なく、現状ではメリットがある。今夏の様に供給が不安定になると揃えるのに苦労するが、それが自分の仕事だから・・・。

レギュラー品はとにかく価格優先。如何に安く仕入れて安く売るかだ。しかし、最近、流れが少し変わってきた。

「沢山は要らないが美味しいモノを少し欲しい。高くてもいいよ・・・」という消費者が増えてきた。健康に役立つ成分が多い機能性野菜も売れている。皆さん、テレビなどを見て勉強しているから、揃えておかないとね・・・(笑い)

人気があるのは美味しいトマト。簡単に食べられて機能性成分が多く、保存もきくから、今の消費者にピッタリ。美味しければ多少高くても買ってくれる。

市場では安定しておいしいトマトを仕入れられないから、宅配便で供給してもらえれば定番商品で売りたいね。基本的にこの地域は庶民の街だから、市場にあるモノで十分間に合う。

無理をしないで仕入れたモノを確実に売り切って採算を取るのが大切だと思う。

 

  極上品を安く売るスーパー

3年前、知人の紹介で訪ねた愛知県東部にあるスーパー(6店舗)は何の変哲もない地方都市スーパーだが、店で売っているモノは正に一流品ばかり!・・・。スーパーと言うより本部長が自ら語る様に市場の雰囲気だ。平日の開店30分前に店に着いたが、既に入り口には50人位の行列が出来ていた。「特売でもあるの?・・・」と聞いたら毎日長い列が出来ると言うのだ。消費不況の中で、開店前に長蛇の列とは珍しい光景である。

 

野菜は殆どが地元生産者を厳選して契約で作っている。品種の選定から作り方まで話し合って、お客様に喜んで食べて頂ける野菜を作る。鮮度が重要なスイートコーンなどは朝方、産地まで担当者が取りに行き、アイスボックスに氷詰め(氷温)して店まで運ぶ懲り様だ。同業他社バイヤーの話では、ここで売られている野菜は日本を代表する高級スーパーに負けないと言い切る。

 

帰りに店内を見せて頂いたが、まさしく市場の様相だ。商品はコンテナに入れられ、余分な包装は一切省いてある。一般スーパーは棚に立体的に商品を並べるが、ここでは何処からでも商品を見渡せる様に土間近くの低い位置に置いている。昼過ぎの時間帯だったが店内は既にごった返しており、活気に溢れていた。お客も多いが、店員が多いのに驚く。本部長の話では徹底した対面販売なので、通常スーパーの倍以上配置しており、商品知識が豊富なベテラン揃いという。コストカットに逆行する風景だが、単位面積当たりの売上高は、通常量販の56倍というから納得である。

主要野菜は生産者直接仕入れ、業界の常識より低い掛け率で売るから、他店より相当割安だという。建物や宣伝費、包材費は最小限に抑え、「美味しいモノをより安く」が徹底している。

生鮮品は野菜、果実だけではなく肉、乳製品、海産物など殆ど揃えているが、ドライ商(加工品)は少なめである。

外観は立派でも中身は月並みの店が多くなる中、久々に中身の濃い店を見せて頂いた。

 

  実質本位で躍進するスーパー

今年の始め、知人の要請で札幌市内にある高品質・低価格をコンセプトとするスーパーで、「野菜の硝酸含有」について話をさせて頂いた。この店は駅構内などの空きスパースを利用して生鮮小規模スーパーからスタート、現在、10数店舗を展開している注目の繁盛店である。徹底的に実質本位を貫き、品質は良いが外観、形状に難がある規格外品を生産者や漁港から調達し、市価より相当安い価格で販売している。魚や肉はパックされているが、一般野菜や果実は段ボール箱のまま並べ、1個または1袋単位で売られている。

ただの「安物店」と思い勝ちだが、Y社長は中身に拘り、美味しいモノしか店に出さない。JAS認証野菜も置いているので「売れるの?」と聞いたら「最近、美味しいだけでは駄目、安全性に関心を持つお客が増えている。JAS野菜は正直言って回転が良くないから、店の看板として置いている。利益が出なくても赤字を出さなければOKかな・・・」と話していた。「安全性」をチェックしたいお客が増えているので、各店長を中心に時々、勉強会を開いている。商品の品質、価格だけではなく積極的にお客と対話する姿勢が売り上げを伸ばす秘訣と話していた。

コストカットや売り上げノルマに追われ、疲れている社員が多い中で、勉強会後の懇親会でも意気軒昂、大いに盛り上がっていた。

 

 

「スーパー最終戦争」 ③量販、生産者の対応は・・・

欧米勢を迎え撃つ国内勢は加工品分野ではOEM(相手先ブランド)でメーカーに直接商品を発注し、卸など中間業者を省いて店頭価格を引き下げてきた。しかし、採算低下でOEM生産を中止したメーカーや卸などの巻き返しが激しく、価格差が縮小、OEM見直しが始まっている。いずれにしても欧米勢が持ち込む「世界最安値」の圧力は続く。

 

量販や商社は農産物の自社生産に乗り出す?・・・

最近、量販店や外食、業務用(給食や総菜野菜)のユーザーが、自社または提携農場と組んで、自社生産に乗り出すとの報道が流れている。株価サプライズの面もあり、すべてが真剣に取り組んでいるとは思えないが、既に実績を上げている企業もある。食材の安定調達は企業の命運に関わるから将来の農の姿を考えれば、選択肢として当然考えられる。商社などサプライヤーも、間接的な形で自社生産に動いている。現状は意図する調達価格と実際の生産価格との溝は埋まっていない。新方式のインフラ開発などを含めて低コスト生産に目処が付けば、単価の高い果菜類などは資金を投入する可能性はある。しかし、農産物生産は他に比べてハイリスク、ローリターンで資本効率が良くない。競争激化に苦しむ小売業が積極的に取り組むとは考えにくい。

 

貯蔵の出来る馬鈴薯、玉葱などは系統はともかく、資本力のある商社が産地業者を買収、統合し、大量に集荷して冷蔵貯蔵している。規格別に青果、加工に分けて採算向上を図り、安定供給体制を確立、優位に立っている。加工玉葱は相場によっては安価な輸入品と併用してコストを引き下げが可能だから大手は有利である。

残留農薬問題が出た時、「国産玉葱でなければ・・・」と加工業者が一斉に買い漁った。しかし、価格差が余りにも大きく、製品(ハンバーグなど)に価格転嫁できる状況でもなく、国産品シフトは12年で終息した。ただ、この事件を契機に、国産品使用にこだわって差別化を図っている企業もあるが、極少数派だ。青果販売が減少して業務用、加工用のシェイは拡大傾向にある。加工品は最終製品の競争が激しいため、この分野への国産品拡販は暴落した時以外は難しい。馬鈴薯は土付きは輸入禁止になっているので取り敢えず安泰である。

 

ジュース用人参なども契約栽培されているが、以前程の需要は無い。おでん用、刺身のツマ、おろし用大根などは、単価が上がっていない。魅力はないが、裏作に作るモノが無いから仕方なく作っている。大規模生産者が多いが、作らないとその時期の安定収入が見込めず、経営が成り立たないと言う。

漬物用は中国からの輸入にブレーキがかかっているので、数量は減ったが安定している。

 

産直は、異常気象、相場の乱高下で難しい局面に立たされている。

産直は消費が旺盛で総じて作柄、相場が安定していた時代は、双方にメリットがあった。しかし、生産者は異常気象多発で減収が相次ぎ、相場が高騰する中、従来の取り決め条件変更機運が出ている。一方、買い方は、相場が下がると競争激化で特売してでも数量を捌かねばならず値下げ要請をせざるを得ない。従って品目によっては、見直しが議論になる。結局、双方とも市場価格連動、レンジ設定の方向に向かって行かざるを得ない。しかし、当然思惑は逆方向で、異常気象が続くことを前提に考えると値決めは難しい決断となる。双方の知恵、信頼関係が試される。

今の消費者は過剰になった時、価格を下げても生鮮品は必要数量以上に買わない。全量はともかく、ある程度、価格ヘッジ(値決め)して売り場を確保しておくことが必要と思う。高値が出ると「損した!」と思い勝ちだが、逆に安値になった時に「損しない」方法も考えて起きたい。

 

個性的、高付加価値農産物は?

相場に左右されない経営を目指して、オリジナル商品や「安心・安全」指向に沿った差別化農産物が増えた。しかし、明確な安全性の証明や品質格差がない限り、ブランド産地は別にして相場より有利に販売することが厳しくなっている。JAS有機野菜は量販店でも扱う様になり、慣行栽培との価格差も縮小している。売り場では看板商品的な意味合いが強く、固定客数は伸び悩み、販売量も頭打ち傾向が見える。ただ、通販や有機野菜をコンセプトトとしたレストラン(業務用)の需要は底堅い(専門仲卸の話)

売り上げ重視経営で、手間がかかり販売ロスの出るニッチ商品は大手量販店では縮小傾向にある。一般的に調達側は大量、安価、確実調達を最優先し、レギュラー品の供給に勝るJAや大規模生産法人の出番が拡大している。

所得格差拡大社会に入って、生産者は明確な高付加価値を更に追求するか、大量・安価・安定供給に軸足を置くか二者択一を迫られている。

 

 

「スーパー最終戦争」 ②変わる消費者

時代と共に消費者世代が変わり、買い物の仕方、中身、考え方も変わる。

核家族、単身、個食化で購入単位が小口化し、消費者の利便性は向上した。しかしが、供給側のコストは上昇している。収入減で生活が厳しくなり、兎に角安く買いたい・・・子育て中の若手主婦は教育費などに将来不安を抱え1円でも安く買い、貯金に回したい・・・こんな思いの主婦達が仲間を集めて「まとめ買い」する光景が見られる。私の住む街から20km位離れた所に開業した大型激安ショッピングセンターは(土)(日)には交通渋滞が起こる程、人気を集めている。入会金は4000円、決済はクレジットカードだから取り敢えず現金が無くても買い物が出来る。ただ、販売単位がアメリカ的に大きいから、日本人には少し腰が引ける面もある。

そこで、生協の「共同購入」をモデルに隣人、友人、知人等と組み、車に同乗して店に乗り込む。購入は段ボール箱単位、食肉、魚などはブロック単位で「まとめ買い」し、持ち帰って山分けする。この世代はネット、メール、携帯などITを駆使して情報や仲間を集めることはお手の物だ。年金暮らしの中高年層も多い様だ。

十数年前、注目された会員制大型激安量販店は、あまり話題にならなくなったが、不況の波に乗ってまた復活してきた。

 

従来型量販店は、近隣ライバル店のチラシをチェックするだけでなく、IT主婦達のニーズを取り込んで提案する必要に迫られる。既にネットスーパー、コンビニが立ち上がり、パソコン、携帯端末で注文すれば夕方までに配達してもらえる地域も出ている。IT化はネット通販だけではなく、在来型小売業にも変化を迫る。

 

欧米勢との価格戦争は当面、ドライ製品(瓶、缶、箱、袋物)加工品が中心と思われるが、商売に聖域はない。当然生鮮農産物も俎上に上る。既に輸入生鮮農産物は多種にわたり、一部の国を除いて違和感は薄い。

彼らにはM&Aというツールがあり、国内農業関連企業を買収すれば生産直売も可能である。インフラ、人材、技術などの獲得は、今の状況下では比較的容易と思われる。各地で立ち上がっている農業法人を買収または経営支援、資金提供して育てる手もある。

 

投資家が農業に進出することを良とするか否とするかは論議が分かれる。しかし、現実は就農者が減少し、耕作放棄地が急増している事実を見れば、企業経営可能な農地に、民間の力(頭脳と資金)を注入して、生産~販売まで効率的に行う農システムが選択肢としてある。現状は旧態依然とした柵の中で、それぞれの思惑で多数の組織、人間が介在し、非効率、高コストな供給を続けている様に見える。従来の日本型では活力ある農業は望むべくも無いだろう。先日、経済団体の長が「農業には長年、莫大な国家予算が注ぎ込まれて来た。しかし、いつまで経っても競争力がつかない。やり方に問題がある」とコメントしていた。然りである。

 

10年前、中国福建省の山奥でブロッコリーなど野菜の大規模栽培をしている公司の農場を訪ねた事がある。彼らは香港で上場し資金を集め、売り場(スーパー)を整備し、米、果樹、野菜、畜産製品、キノコなどを周年供給できる自社農場を作り、全国展開の準備を始めていた。畜産で出る畜糞や処理残渣を原料にする有機肥料会社まで設立していた。所謂、一気通貫型経営で、大変興味深かった。その後、訪ねていないが、株式資料を見ると、株価は上昇トレンドで業績は伸びている様だ。

日本にも一気通貫型を目指した企業があるが、色々な規制や柵から抜けきれず、断念した。期待できるのは柵のない新規チャレンジャーである。少し景気が良くなると、農業ビジネスチャレンジャーが立ち上がるが、多くは栽培、販売両面で行き詰まり、資金が続かなくなって断念するケースが多い。

 

短期的利益を追求する外人投資家が、魅力の少ない日本の農に投資することは考えにくい。それよりも、成長が期待できる新興国に投資し、従来通り日本に持ち込むことを選択するだろう。

 

「スーパー最終戦争」 ①欧米勢日本上陸

長期化するデフレと円高を背景に、世界の巨大小売業が続々上陸。価格戦争は最終戦へ突入・・・

 

8月の日経ビジネスお盆特集で「スーパー最終戦争」と題して、日本の小売業勢力図が大きく塗り変わると書いている。農産物の大半は量販店を経由して売られているから、その動向に無関心ではいられない。

記事の冒頭に、この10年間で激変した北海道内量販店の興亡が生々しく書かれている。日本の小売業2強、イオンとイトーヨーカ堂が後退し、地場資本のアークス(前年対比+6.6%)とコープさっぽろ(同+2.3%)が、売上高1、2位を占めた。地場2社は、札幌周辺や地方で消費不況に苦しむ中小量販店を買収、統合し、巨大化路線を走る。一方、国内2強は不採算店となった店舗のリストラを急ぎ、収益改善を図っている。この好守の差が売上高に表れている様だ。札幌の高級量販店だった札幌東急ストアー(20数店舗)が昨年10月末、アークスに売却され、長年親しまれた東急の文字がスーパーから消えた。

 

道内4強の戦いは、これからが本番。西友を傘下に収める世界一の巨艦ウォルマートの本格参入で更に激闘が予想される。消費縮小の中で何処かが脱落、飲み込まれて再編が進む。

これは北海道に限った事ではない。今まで余り目立たなかった欧米勢は首都圏を中心に上陸、拡大体勢を整えている。10年前、仏国のカルフール(世界第2位)が首都圏に開店し話題になった。しかし販売手法が消費者の支持を得られず、撤退した。但し、カルフールは中国を始め他のアジア圏では絶好調である。

「日本の消費者は品質、サービス(包装、レジ待ち時間など)に厳しい」「まとめ買いは余りしない」「日本人は特殊な消費者。欧米流販売法は通用しない」・・・というのが当時の通説であった。

 

時は流れ、それから6年余・・・

気が付けば、小売業世界売上高上位10社中4社、つまり米国・ウォルマート(世界第1位/日本国内372店舗)を始め、独・メトロ(同3/6店舗)、英国・テスコ(同4/149店舗)、米国・コストコ(同8/9店舗)が上陸、日本勢・セブンアイ(14位)、イオン(17位)などの顧客獲得を虎視眈々と狙う。

日本の量販店売上高は1979年の約17兆円から下降、2009年には約13兆円、25%近く減少した。2008年にリーマンショック(世界同時不況)が起こり、消費減は更に鮮明になった。以前の総中流社会から中の下、更に米国並の貧困率を記録し、貧富格差拡大に向かっている。景気が後退すると食料品が削られ、低価格指向が強まる。

品質や安全性に煩い日本の消費者も収入減には勝てず、リーマンショックを機に価格重視に傾き、激安を武器とする欧米勢に強力な順風が吹き始めた。欧米勢は巨大な資本力をバックに「世界最安値」の調達先で商品を作り、日本の直営店で大量販売する。その価格破壊力について、記事で詳しく述べている。輸入品のみならず消費が縮む国産定番品も生き残りを賭けるメーカーは形振り構わず彼らの戦列に加わっている。大量生産によるコストダウンと流通コスト削減、省けるモノはすべて省く超低価格路線は、日本の既存勢力に大きなプレッシャーをかけている。

 

 

大繁盛!福岡の超大型直売場

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全国的に野菜の直売場が増え、首都圏周辺では量販店の売り上げに多少影響しているという話もある。早くから店内に産直野菜コーナーを設け、生産者の取り込みを図って、成功している量販店もある。高速道路の土、日割引や消費者の安全、節約指向も追い風になって個人をはじめJA、道の駅、その他自治体が運営する施設など、直売場人気は衰えていない。旅行社とタイアップして観光バスのコースに組み込み、ツアー客を丸ごと取り込んで成功している直売場もある。

先日、日本で最大級と言われている平成19年春に開業した福岡県糸島市にある直売場『伊都菜彩』を訪ねてみた。糸島市は福岡市の西にあり、2010年に前原市と周辺町村が合併して誕生した人口約10万人の街である。農業では柑橘、イチゴ、花卉類(菊、洋蘭など)糸島牛の産地として知られている。当地に九州大学が移転し、福岡市に隣接する好立地もあって学園、ベッドタウン両面で開発が進み、人口が増えた。

訪ねた日は連休前の土曜日夕方、既に来場者のピークは過ぎていたため、広大な駐車場は空いていた。案内してくれたYさんの話では(土)(日)15時頃までは駐車場所確保に苦労する程、混雑するという。建物正面左側は花木鉢物や洋蘭など園芸品売り場になっており、家族や友達と飲み物や軽食を楽しめるスペースが用意されている。中央から右側にかけて地元産野菜、果物、肉類、魚、生花など所狭しと並べられ、売り場面積は1.270㎡もある。

野菜や果実は量販店と同じようにパックして売られているが、通常は市場に出せない規格外品が多いという。しかし、今年は野菜が不作で高いので並ぶ数量が限られ、早目に売り切れてしまう。

魚売り場では2ヶ所ある漁港から朝方揚がった新鮮な魚貝類が並べられ、食欲をそそる。希望に応じて20人近くいる漁協のスタッフが刺身や切り身に下してくれるから、丸ごと一匹買っても安心という。鮮度が良くて安いから福岡方面から買い付けに来る飲食店関係者も多いという。肉類も糸島牛の産地だけに割安。

地元産生鮮品、加工品、総菜に限定しているため、消費者から鮮度、安心感、割安感が評価され、支持されている。販売、金銭管理はJAが行っており、生産者は手間がかからず、経営改善に役立っていることは確かだ。

全国的に直売場は近隣の住民は勿論、ゴルフ場や観光地帰りの客、リタイヤした中高年層がドライブ方々美味しくて安価な野菜の買い出しに来ていることは間違いない。満足度の高い店には固定客が付き、米、野菜、漬け物、自家製味噌まで、まとめ買いして帰る人もいるという。乱立気味だが、対面販売等の工夫次第でこの分野はまだまだ伸びる可能性がある。

野菜高騰下の大手量販店「安売り」に違和感

大型連休に入ってやっと天候が回復してきた。長期間の日照不足で根が弱っているから生育は急速には回復出来ず、相場は高値が続いている。424日の日経新聞夕刊はトップで「野菜高騰 売れ筋変化」と報じた。生鮮野菜が高いため冷凍野菜や野菜ジュースが人気と書いている。一方で、大手量販店が一斉に特売に走り出したと書いている。数日前のラジオ番組でこの種のニュースが流され、早速ブログに書いてアップした。夕方のニュースで各局の内容が微妙に異なり事実確認のため一旦、削除したので書き直す。

さて、書きたかったことは、天候により収穫量が減少し、高値相場が続くと必ずこの手の「高騰下の特売商法」が登場する。私も消費者の一員、自由競争だから安売りは否定しない。しかし、生産者の心中は複雑である。

天候不順の年は、余分な手間や資材費をかけて一生懸命管理しても大幅減収は避けられない。当然、出荷量が減り相場(平均単価)は平年より44%も高いと報道されている。日照不足と気温が乱高下すると、生育遅れのみならず病気や生理障害が発生しやすくなる。一昔前ならば農薬をこまめに散布して被害を最小限に抑えることが出来た。しかし、今は安全性第一、農薬の種類、散布濃度、時期、カウント(回数)が厳格に決められ、栽培管理履歴をキチンと記入するよう義務付けられている。防除基準を守ると病気が発生して収穫減になる場合もあるから農薬にカウントされない葉面散布材(活力材)などで対応する。農薬散布回数が慣行比の半分以下に制限されている特別栽培は尚更、発病リスクが伴う。

熊本でミニトマトを特別栽培している生産者グループは、年明けからの天候不順を何とか凌いできたが、先々週から一部の生産者に葉カビ病が多発した。本来ならば6月中旬まで収穫する予定だったが見切りを付け、泣く泣く切り倒した。大幅な減収が続いていた上にこの事態で万事休すである。彼らは量販店や生協と値決め契約しているので、収量減は自分の責任、仕方ないと割り切れる。市場が暴落しても同じ単価で買ってもらえるからである。

相場次第の大多数市場出荷者は、収量減を価格上昇で補う。しかし今年の様な大減収でまともに出荷できる商品が激減した場合は高値でも全く追いつかない。長期で収穫する果菜類(トマト、胡瓜、ピーマンなど)は病気が出て暫く収穫出来ない事態となれば深刻である。

例え少量しか取れなくても今の様な高値があれば、生産者は本能的にやる気が起こり、頑張れる。だから農業を続けられる。

しかしである・・・

リスクにまみれて黙々と働いている農家の感情を逆撫でするのが、高騰時に登場する大手量販店の「特売」いや「安売り」である。サプライズは「生活者の味方」。実態は自ら傷つかない弱者(業者、生産者)押しつけにはなっていないだろうか。「高すぎて売れないから特売」と言うが、市場のメカニズムから言えば高いと感じ需要が減れば相場は自然と下がる。何もマーケットを支配している大手量販店が、品不足で騒いでいる時に、ここぞとばかりいい顔をして「安売り」するのは如何なものであろうか。安売りする方は例え野菜で利益が取れなくても客寄せすれば他の商品が売れるからダメージは少ない。問題が生じるのはそれしかない商売道具の数量不足で汲々としている業者、生産者である。

契約産地云々と言うが、どういうメカニズムで「不足時の安売り」が罷り通るのかの詳細は解らない。勿論、日本を代表する立派な企業であり、種々の事情を考慮してのイベントとは思いたいが、中小を含めて全体に与える影響は大きい。苦境に喘ぐ農家に希望を与え、育てようと努力している者として大きな違和感を感じる。

天候が回復して潤沢に出回る頃には、相場急落の恐怖が待っている。消費減時代に沢山取れたからと言って「安売り」かけても必要量以上は売れないことは証明済みだ。

自給率向上などと立派なお題目を唱えるよりも、農業人が納得して頑張れる心遣いの方が先である。

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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