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コラム

FBダイジェスト版⑩京野菜・南国興産(株)工場視察

6月にパリの大手食材卸会社B社長が来日、京都大原の京野菜と宮崎の肥料工場にご案内した。B社長には4月のブルゴーニュ・ヌヴェール農園別荘で大変お世話になった。

今回の来日は、築地魚市場、大阪の出汁、京野菜がテーマ。食品加工残渣処理についても関心があり、スケジュールを1日延長して視察した。

◆旬菜市場

京野菜の直売場。地元消費者、料理人、観光客などで賑わう。

京野菜の直売場-1 京野菜の直売場-2

京都は勿論、パリのシェフ達にも知られている和食料理人、中東久雄氏とツーショット。

和食料理人中東久雄氏と

◆大原の生産者

中山間地にある大原には約100戸の農家があり、7戸が新規就農者。海外から研修に来ている外国人もいる。耕地は限られるので水田を転作して野菜を作っている、稲藁などを使ったマルチなど伝承的な農業が行われている。

京都大原の生産者-1 京都大原の生産者-2
京都大原の生産者たちと
京野菜料理店

◆京野菜料理店

集落に、本場の京野菜を食べさせてくれる店があり、昼食はここにご案内した。古民家を改装した店で、食事はとても美味しく、日本家屋特有の居心地良さがある。

◆柴葉漬け

昔ながらの製法の柴葉漬け

(昔ながらの製法)

柴葉漬け用紫蘇畑

(紫蘇畑)
赤紫蘇は4系統あり、この店では一番色と香りの良い品種を選抜して使っている。

◆歓迎会ディナー

市内のホテルレストランで盛り上がった。

パリの大手食材卸会社B社長歓迎会ディナー

◆南国興産(株)視察

畜産の専門家であるB社長は、畜産はもとより南国興産の食品加工残渣発酵技術に強い関心を寄せていた。

南国興産(株)視察
南国興産(株)視察(肥料原料の雑魚)

(肥料原料の雑魚)

南国興産(株)視察(動物処理残渣)

(動物処理残渣)

南国興産(株)視察(食品加工残渣の発酵槽)

(食品加工残渣の発酵槽)

(鶏糞燃焼プラント)
宮崎、鹿児島は日本有数の養鶏地帯で、毎日大量の鶏糞が発生する。鶏糞を燃焼させて肥料と電力を作っている。

南国興産(株)視察(鶏糞燃焼プラント)

FBダイジェスト版⑤2013/4/21 パリのオイスターバー

「食」で欠かせないのが生牡蠣。パリのオイスターバーは有名だが最近、日本でも増えているらしい。友人A子さんが大阪から本場のオイスター・バー」を覗きに来た男性・井川大輔さんと会うというのでご一緒した。
彼は昨年、大阪で1号店を開業、現在2店舗。息子さんも巻き込んでチェーン展開を狙っている。関空から格安航空券でドバイ経由で来たばかりと言うがパリは初めて。今夜1泊してすぐに帰るという慌ただしさ・・・兎に角、パワフル!

(こじんまりした店)

パリのオイスターバー外観

(オードブル)
シンプルだがとても美味しい!店の棚に瓶、缶詰のオードブルが沢山用意されており、必要ならばそれを注文する合理的なシステム。ここは美味しい生牡蠣をいかにリーズナブル価格で提供するかがコンセプト。席は8席程度・・・

パリのオイスターバーオードブル

フランス人の好む牡蠣はこの程度のサイズ。確かにとても美味しい!

パリのオイスターバーのオイスター

彼は40歳中盤だが、エネルギーに満ち溢れている。今時、珍しい男だ。本場の牡蠣を食べながら彼の「オイスターバー」に賭ける情熱を聞いた。

パリのオイスターバーで

FBダイジェスト版④ブルゴーニュの農園別荘ー2(2013/4/20)

世界最高三つ星レストランの食材サプライヤーを目指すB社長の農園構想は、壮大且つ緻密である。昨夜、話はみっちり聞いたが、今日は農園で体感;;;
朝食を済ませて、早速案内して頂き、現場を見ながら彼の目指しているモノを詳しく聞いた。

世界最高三つ星レストランの食材サプライヤーを目指すB社長と

◆シェフ目線

彼は50歳前半、名門国立パリ農業大学院で畜産を学び、畜産会社に勤めた後、ランジスに来て社長になった。経歴からみれば野菜作りのプロではない。素晴らしいのは「ユーザーは何を求めているか・・・」というビジネスの原点を心得ている点である。往々にして農家は「オレのモノは美味しい!」自負心に陥りやすい。彼は食べて頂いた評価を最も知り得る立場にあるシェフ目線で考える。

野菜を作る前にシェフ達から情報を集め、栽培コンセプトを「自然農法」と決めた。兎に角、すべて自然農法で試作し随時、シェフ達に農園に来て頂き現物を見て料理を考えて頂く・・・

◆一気通貫

シェフという指揮者を中心に「畑~厨房~テーブルまで一気通貫」の考え方だ。
畑になぜ従来の生産者が登場しないのかと言えば「高級レストランは多品種少量、しかも極上品を求められる。需給も不安定で、求められる要素の流れも速い。リスクが大きく、その割にリターンが大きいとは言えないから委託は難しい」と言う。彼は自社で自らリスクを背負って思い通りに取り組む道を選んだ様だ。

◆農園を歩いて料理を考える

厨房とシェフ達の宿泊施設

母屋の前にあるこの建物の中ではすでに、厨房とシェフ達の宿泊施設の工事が始まっていた。シェフ達に自由に農園を歩いてもらい、感じた野菜を収穫して、ここで自由に料理を考えて頂く・・・なんと素晴らしい考えだろうか。

◆需要を創る

ここで「基本」が出来たら一般にも開放したいという。彼の言葉の端々には、「本当に美味しい野菜を作り、調理を楽しんで食べてくれる消費者を育てたい」という思いが籠もる。目先では無く、着実な需要を創る「原点」からスタートしているのである。
今の日本の状況では難しいと思うが・・・

◆自然農法

フランスでは有機認証としてAB、BIOがあり、今後生産者が増えて行けば、将来的に付加価値が低下する懸念がある。そのため、農業の原点「自然農法」を基本にスタートした。化学肥料や農薬を使わないのは理解できるが、堆肥など何処までが自然農法なのかは不明。

B社長は木材(落葉樹)の間伐材をチップ化して販売している友人がおり、効率的に堆肥化する方法のアドバイスを求めた。ランジスで排出される食品加工残渣を使って発酵を早める方法を提案し、とても興味を持った。後日訪日した時に、当社の肥料を造っている工場を視察したいと言う。ただ、日本で言う自然農法とは一切何も持ち込まないというのが原則であるが・・・。

(自然林)
自然農法を維持するには生物の多様性を保つ必要がある。圃場脇には自然林が残されれ、緑肥や果樹類も植えられている。

ヌヴェール農園別荘自然林-1
ヌヴェール農園別荘自然林-2 ヌヴェール農園別荘自然林-3
ヌヴェール農園別荘溜め池

(溜め池)
地下に周囲の山々から流れ込む水脈があり、水源と水生動植物を育む池が用意されている。

ヌヴェール農園別荘鳥類を育む森林

(鳥類を育む森林)
隣接して昆虫を食べる鳥類や蝶を育む大木林もある。B社長は多様性を維持するには色々な丈の植物が必要という。理屈はともかく、良いと思うことはすべて取り入れるという。

(M農場長)
この自然農園(栽培面積約2?)を執り仕切っているのはM農場長。教師をしていただけあって、作物や土作りについてよく勉強されており、データーもきちんと整理されている。人柄もとても良い。
余談だが、ここの水道は硬水、洗髪すると髪がばさばさ。春の強風に煽られて髪はボサボサ・・・現地の人達は帽子を被っているのはそのためらしい。

ヌヴェール農園別荘M農場長

(土質)
元々牧場で草地だった所で、場所によって土質はバラバラ・・・生育が良くないという圃場をMさんに掘ってもらった。写真の様に10数cmで根が止まり、下に伸びていない。スコップで掘ってもらったが、固い粘土層で、耕土として機能していない。

ヌヴェール農園別荘土質-1 ヌヴェール農園別荘土質-2

粘土層の厚みは不明だが、サブソイラーを入れて盤を破るか、山土を客土して表土を厚くするか・・・・いずれも大仕事。結果が直ぐに出る訳でも無いので、取り敢えず、少ない表土で作物が育つ土作りをアドバイスした。いずれにしてもこれから時間をかけて、作物がキチンと採れる土作りが必須。土質の良い圃場もあるので作物の生育状況を見ながら何処に何を植えるか、輪作を考えながら作って行かねばならない。

(野菜の種類)
今の所、約50種類を試している。何が採算に乗るかは未知数だが、農園全体として採算が採れれば上出来だろう。看板という意味合いもあり採算はあまり気にしていない。道楽では出来ないが自分の楽しみ・・・とも言っていた。
今の時期は生育の早い葉菜類、ハーブ類が中心。定石通り混植が基本。
イチゴ、トマト、ナスなどの果菜類も課題。

ヌヴェール農園野菜栽培-1 ヌヴェール農園野菜栽培-2
ヌヴェール農園野菜栽培-3 ヌヴェール農園野菜栽培-4
ヌヴェール農園別荘不織布マルチ

今の所、ハウス栽培はしていないが、不織布マルチは一部試している。

ヌヴェール農園別荘麦わらと間伐材チップ

最も苦労するのが除草。麦わらと間伐材チップをマルチして防いでいる。

(M農場長のコメント)
今年で3年目だが、収量はともかく、品質的にはいいものが収穫できていると思う。土作りはこれからだが、時間がかかることは覚悟している。先ず、パフォーマンスを上げるにはここの条件に合った品種選択が最も大切と思う。種類ももう少し増やしたいので種苗会社から資料を取り寄せて検討中です。しかし、気候の振れが大きいので3年位作らないと結論が出ませんね・・・。

FBダイジェスト版④ブルゴーニュの農園別荘ー1(2013/4/19)

1月にパリの食材研究会を主催したDERAS社のB社長からお招きを頂き、ブルゴーニュ・ヌヴェールにある農園別荘を訪ねた。
彼の会社は三つ星レストランなどに最高級の食材を納めているが、健康指向で野菜への関心が高まっている。しかし最高級クラスのお客様に提供出来る野菜は限られる。野菜は鮮度が大切なので、レストランが自家農園や契約農園を持つケースが増えている。このままでは自分達のビジネスポジションが影響を受けると感じた彼は、自社農園でシェフ達のイメージに合う野菜を作ろうと決意した。B社長は2年前にブルゴーニュに家屋付き農園を手に入れ、「自然農法」で野菜を作り始めた。
フランスの農家はあちこち訪ねたが、泊めて頂いた事は無い。数年前、バスクの友人宅に1週間滞在したことはあるが、今回は待望の農園。フランス人がどの様な生活を楽しんでいるのかも興味があった。写真が盛り沢山になるが、彼の週末ライフの一端を紹介する。

◆ヌヴェール

パリから鉄道か車で約2時間南下、以前は炭鉱で栄えた街だが衰退、今は肉牛の肥育が盛ん。ルルドの聖女「べルナデッタ」ゆかりの修道院があり、縁日には世界のキリスト教徒が巡礼に訪れる聖地。約10年前、日本人修道女Y子さんを訪ねたことがある。
ノルマンディー方面から来る北の冷気と地中海の暖気が交差する地域で、天候はあまり良くない。穀物には適さず、草地。畜産が主力で牧場が多い。

ヌヴェール-1 ヌヴェール-2
ヌヴェール農園別荘

ヌヴェール駅に迎えに来てくれたBさんの車で20分余りで農園別荘に着いた。母屋を中心に倉庫と農機具』置き場がある。

ヌヴェール農園別荘母屋

母屋は200年以上前に建てられた二階建て木造造で、大きな部屋が8室以上もある。格部屋は快適な設備に改装してある。

ヌヴェール農園別荘ゲストルーム

泊めて頂いた二階のゲストルーム。巨大なバスルーム付き、広さは50平米以上、ベッドはとても寝心地が良く、高級ホテル並み。すべて木造で居心地が良く、スチーム、暖炉設備も完璧。

ヌヴェール農園別荘部屋からの眺め

部屋からは村の家並みや自然森、池が見渡せ、ゆったりくつろげる。

ヌヴェール農園別荘調理スペース

「食」を大切にするフランス人らしくキッチンは広い。ここは調理スペース、隣に家族やゲストと食事を楽しむダイニングルームがある。

ヌヴェール農園別荘電磁加熱器

調理はすべて電磁加熱。このユニットであらゆる加熱調理ができる。

ヌヴェール農園別荘ボイル専用器具

今が旬のホワイトアスパラは、ボイル専用器具が付いており、タイマーをセットしておくと美味しく煮上がる。

ヌヴェール農園別荘スモーク好きなフランス人

スモーク好きなフランス人は、薪暖炉を利用して魚貝、肉、野菜、パン・・・何でもアルミフォイルで包んでじっくり香りを付けて焼く。

ヌヴェール農園別荘メインディシュ用白身魚

青魚はあまり食べず、白身魚が高級魚。Bさんがランジスからとても高価な白身魚をメインディシュ用に持ってきてくれた。腹と身の回りにビッシリ香草を詰めて暖炉でじっくり焼き上げる。

ヌヴェール農園別荘イベリコ豚の生ハム

ワインのお供は、三つ星レストランに納めている「イベリコ豚の生ハム」 !彼は、商談に持ち込まれる色々な生ハムを試食しているが、未だ,これを超えるモノは無いという。食べ出したら美味しくて止まらない・・・

料理はBさんと麻子さん(通訳)の競演・・・彼はプロだが、フランスでは男性も積極的に調理に参加し、センスもいい人が多い。

ヌヴェール農園別荘料理はBさんと麻子さん(通訳)の競演
ヌヴェール農園別荘料理-1 ヌヴェール農園別荘料理-2
ヌヴェール農園別荘料理-3 ヌヴェール農園別荘料理-4

ファミリーとご一緒に和やかな昼食。マダムはバスク生まれで、私も1週間ほど滞在したことがあるので、生まれ故郷の話しで盛り上がった(右は農場長Mさん)

ヌヴェール農園別荘ファミリーと昼食
ヌヴェール農園別荘別格の味のチーズ

食後はBさんが厳選して出してくれたチーズ。別格の味!

ヌヴェール農園別荘デザート

デザートは籠盛りの中から好きなモノを選んで下さいという。至れり尽せり・・・好物のマンゴを頂いた。

ヌヴェール農園別荘女性村長

女性村長がご主人と訪ねてきた。マダムとツーショット。村長はやはり何となく風格があり、にこやかな顔が印象的・・・

FBダイジェスト版③2013/1/12 マルシェ・地ビール・直売量販店

フランス北部に生産者が出資し、運営している量販店があると聞き、早朝のTGVに乗り訪ねた。途中、アラスという世界遺産に登録された街に、大きなマルシェがあるというので途中下車。

◆アラス

アラス

パリ北駅からTGVで1時間超北上、9時過ぎ到着。緯度が高いので夜明けは遅く、空は薄暗く、地上はガスがかかっていた。視界は良くないが、それがかえって古都の幻想的な雰囲気を醸し出している。

アラスのマルシェ

(マルシェ)
街に3ヶ所あり、カラフルなテントが並んでいる。店の準備が始まり、お客さんがポツポツ増えてきた。底冷えがする・・・

アラスのマルシェの野菜、果物

野菜、果物
とても種類が多く、地場産かどうかは分からないが、北国にいるとは思えないほど、鮮度が良い。

アラスのマルシェの若手農業人

若手農業人
アラスで、クレソンを周年栽培しているというHさんは27歳。
村で最も若い農業人だという。
ここは水質が良いのでとても美味しいクレソンが出来ると自慢していた。
確かに香りが良く、独特な辛みがあって美味しかった。

アラスのマルシェのネギ

ネギ
新鮮なネギ(リーキ?)も美味しそうだった。

アラスの地ビール「Page24」

地ビール
北フランスは寒冷な気候で葡萄栽培には適さない。そのため麦を原料とするビール醸造が発達した。この地域に大小800ものビール工場があったというから凄い。 国際品評会でチャンピオンに輝いたことのある「Page24」を見学させて頂いた。

ここの自慢は高発酵熟成ビール「Page24」と白ビール。

アラスの地ビール「Page24」-1 アラスの地ビール「Page24」-2

お洒落なシニア紳士
地元の見学者と和気藹々でビールを試飲。彼らは元軍人とポリスマンの友人同士で日本の事を良くご存じだった。
さすがフランス紳士、試飲会と言えども、身なりはビシッと決めて来た。

アラスの地ビール「Page24」の試飲会
アラスの郷土料理

郷土料理
昼食はアラスの郷土料理。ここは馬鈴薯のブランド産地で他産地の約2倍。当然、美味しかった。逸品料理はチコリビール煮!チコリもビールも苦味があるので蜂蜜で抑えているのが美味しさの秘訣らしい。
牛肉はノルマンディー産と言っていたが、歯応えと味があって美味しかった。

冬の農村

冬の農村
レンタカーでリールに向かった。雪が少し舞うが積雪は無い。冬の荒涼とした畑が続く。作物は北海道とほぼ同じで、馬鈴薯、麦、ビート、野菜など・・・この品目で輪作体型を維持しているようだ。

生産者が運営する量販店

生産者が運営する量販店
最近開業した新業態の量販店。マスコミに取り上げられ注目を集め、繁盛している。生産者が運営しているため実質本意。建物や陳列棚に費用をかけていないが、生産履歴や販売処理システムは徹底的にIT化され「新鮮、安心、安全、安価」をコンセプトにしている。

ゆったりスペースの売り場

(ゆったりスペースの売り場)
カテゴリー別に区分けされ、通路も広くゆったり機敏で買い物ができる。

(新鮮で豊富な商品)
会員生産者から持ち込まれた野菜や果物は、殆ど段ボール箱やコンテナでバラ売りされている。収穫時間や輸送時間も管理されており鮮度は非常によい。ただ、荒選程度の選別が多く野菜によっては少し見栄えは劣る。料理に使うには全く問題は無い。

新鮮で豊富な商品-1
新鮮で豊富な商品-2 新鮮で豊富な商品-3

魚や肉は殆どパックされている。乳製品、卵、乾物、調味料、酒類、パン、総菜・・・あらゆる食品が並んでいる。

魚や肉は殆どパック-1 魚や肉は殆どパック-2
販売処理システム

(販売処理システム)
バラ売りは商品の近くにあるポリ袋に入れ計量器に乗せ、画面の商品にタッチすると、シールが出てくる。これを貼ってレジカウンターに持って行く。

解らなければスタッフがサポート

レジは自分でシールをセンサーに当てカード決済する。解らなければスタッフがサポートしてくれる

販売処理システム

メールアドレスを登録しておくと、買い物の明細やカテゴリー別購入金額などがサーから送信され、家計管理に役立つ。共働きの若い世代に好評という。

FBダイジェスト版②2013/1/11 プロヴァン

2011年に訪ねたブルゴーニュに隣接した村で村長をしているパトリスさんと友人ラシャさんがユネスコ世界遺産「プロヴァン」に店を開いたと聞き訪ねた。
この街は中世にシャンパーニュの市場町として栄え、現在は観光の街。中世の街並みがそのまま残っている。

プロヴァンに残る中世の街並み

◆村長のレストラン

パトリス村長は街角にレストランを開いた。彼は170㌶を経営する農家。フランスの首長や自治体議員は兼業が普通。
彼は「在来種の保護」や「村の景観保存」など精力的に活動している。今日もスケジュールが混んでいた様だが、お会いする時間を作ってくれた。

パトリス村長のレストラン パトリス村長と

◆ラシャさんのチーズ屋

テレビ局ディレクターをしていたラシャさんは、退職して奥さんとお洒落なチーズ屋さんを開いた。
農家から美味しいチーズやシャンパン、ワインを仕入れて販売している。
お土産にとチーズを4種類切って頂いた。日本では高くて気軽に食べられないクラスの美味しいチーズだった。

ラシャさんのチーズ屋 ラシャさん

Facebook ダイジェスト版①1月11日(金)

平成25年1月から、当サイトブログをFacebookに移しました。FBは一定期間が経過すると過去の投稿が閲覧出来なくなるので、「食・農業関連記事」を抜粋して当サイトブログに再アップします。

◆パリ・レストラン・コンサルタント協会

夕方、パリ・レストラン・コンサルタント協会を表敬訪問。会長のNさんに協会の役割などをを聞いた。
この協会は主に個人レストランのオーナ^ー、シェフ、食材関係者、調理器具や食器、調理服、レストラン関係出版社などレストランに関わる人達が加盟している。
協会で認定した商品が店頭に並べられ、管理している。
買い取りではなく、売れたら一定の手数料を支払うシステム。生産者直売なので。三つ星レストランで使われている高級食材も安く入手出来、人気が高いという。
ただし、殆ど瓶、缶詰、ドライ製品などの貯蔵品。

パリ・レストラン・コンサルタント協会 パリ・レストラン・コンサルタント協会会長のNさん

◆食材勉強会

パリにある世界最大級食品流通基地「ランジス」については昨年、詳細をレポートした。

今夜は三つ星レストランなど高級食品卸会社「DERAS」社
http://www.ledelas.fr/ledelas.php#!Vue=defaultPage
にシェフ達約30名が参加して食材の勉強会。D社はランジス食品流通基地内で肉、魚、野菜、乳製品、穀物、調味料・・・約15.000種類の食品を扱っている最大手。広大な建物全体が冷蔵施設で、世界中から送られてきた商品が所狭しと並んでいる。
D社の強みは多様なネットワークで集めた豊富な食材と24時間対応。つまり、レストランで必要な商品は少量でもいつでもここですべてが揃う。
オルリー空港が近いので国内、EU内はもとより、世界に対応可能である。

高級食品卸会社「DERAS」社
パリの生鮮品は袋かトレイでパック

野菜は生鮮、冷凍、ピューレなど使用目的に応じてすべて揃う。生鮮品は袋かトレイでパックしてあり、鮮度保持もしっかり管理されている。

パリ食材勉強会

勉強会は皆さんがリラックスしていた。ここはまさに職人の領域、みんなが仲間の雰囲気。食用花を取り扱っているという参加者に「日本には食用の花はどんなモノがありの・・・」と聞かれた。独自の食用花は菊、穂紫蘇くらいしか思い当たらず、多くは西洋から伝えられたモノと説明した。

パリ食材勉強会でオードブルの盛り合わせ メインディシュの鴨肉のロースト

シェフ達の集まりだから食事は付きもの。写真はオードブルの盛り合わせ。厳選したという白ワインを頂いたがとても美味しかった。メインディシュは鴨肉のロースト、デザートも出て、満腹・・・兎に角、フランス人は大食漢。

夏秋果菜類定植後の管理

夏秋野菜は通常4~5月に定植する。今年も天候が安定せず、管理に苦労している農家が多い。北海道では異常低温が続いており、今朝、南部のトマト農家からの電話によれば氷が張ったという。しかし、葉さえ凍らせなければ心配は要らない。地温が上がってくれば根は活発に伸び始めるから大丈夫、焦らず時を待とう。

とは言ってもスタートが遅れると通期の収量が気にかかる。地上部の条件、つまり日照や気温が無い時の作物は地上部が動くと危険だから上にはあまり動かない。その代り、日照や気温が回復した時に備え、根に養分を蓄える。この働きを助けのは栄養分と言うよりも作物の活力を高める「酵素」がいい。条件のよい時は何もしなくても差が目立たないが、条件が悪くなった時に差が出るのが作物だ。収穫期間は限られているから、悪条件の時にダメージを如何に少なくするかが安定して収量を上げるポイントになる。

(生育遅れ時のお勧め資材)

根張り促進、低温、日照不足

●葉面散布・・・ネマコートS(パパイヤ酵素)5001000

http://www.e-yasai.com/materials/nema_s.pdf

●灌水・・・・・ハイパー酵素 反当4~5㍑

http://www.e-yasai.com/materials/kouso.pdf

 

これからの課題 ⑤販路

どんなに品質の良い農産物を作っても再生産価格以上で安定して売れる販路を確保しないと安定経営は出来ない。家族でコツコツ経営する場合は収入が落ちても、やり繰りは出来る。しかしパートを雇用し、ハウス、農機など高額な設備投資を伴う経営に移行している生産者は、計算できる販路を確保していないと博打経営になる。農産物価格は宿命的な面があるが、震災や異常気象の影響で相場は乱高下を繰り返している。品目や時期にもよるが、この数年、市況は高値傾向の感がある。昨年も想定以上に相場が高騰した時期があり、大手量販店に納入している仲卸は、値決めしていたため高額の損失を被ったという話しも多かった。近頃、惣菜、外食、給食など業務用野菜の納入業者は大規模生産者と契約して安定供給を目指している。不足すれば市場調達、過剰になれば市場売りの構図が定着し、一層、相場を不安定にしている。市場とJAはタイアップして需給の調整に努めてはいるが、所詮、天候次第、調整はうまく行かない。

 
毎年、暮れから2月にかけて、市場や量販店納入業者が産地を廻る。当然、昨年不足して高値を付けた野菜を欲しがる話になる。JAも農家も解りやすい単純明快な話だから乗りやすい。根拠は乏しいがさりとて論理的に説明できる話は無い。あるとすれば製品の販売単価が決まって、仕入れの部品単価が決まる業務用だけだ。大規模生産者は信頼できる業者の商談ならば乗るが、アバウトな業界だから納品時期や数量は双方成り行きになる。自分の都合の良い方に解釈するから思惑通りには行かない。最初からドカンと取り組むとリスクが高いから、数年かけて栽培~貯蔵を含めて安定供給の研究をしないと長続きしない。大手量販店向けは数量と価格重視、大規模生産者(農業法人)、JAなど市場出荷者のジャンルだ。成り行き出荷だから終わってみなければ損得計算は出来ない。長年、この方式で経営してきたベテラン層は相場のスリル、魔力もあり、抜けられない。しかし、子供や家族を背負う若手農業人には先行き不安が付きまとう。
 
努力して市場でブランド品になり、品質重視の買い手がついた個人出荷者の価格はブレが少ない。北海道余市町のトマト専業生産者Aさん(主に市場出荷)は、毎年平均4,400万円台を売り上げている。どんな年でも最終売り上げは±300万円位で納まると言う。暴落しても彼のトマトは味で評価する消費者が付いているから相場にあまり関係なく売れる。Aさんは相場を気にすることなく黙々と市場に出荷している。余裕を持って、管理、栽培しているから収量も安定している。正にトマトの名人である。
トマトだけではなく、他の作物も同じ事が言えるが、差別化の難しい作物や天候の影響を強く受ける露地野菜は安定価格は厳しい。
 
一般品を安定価格で販売するには事前に値決めしておくか自分で直接売る場合を除くと、難しい。量販店は特殊なケースを除いて相場で動くから安定価格は難しい。値決めが可能なのは、相場が下がっても通常の価格で買ってもらえるこだわり商品か特別割安な商品だ。
一昨年秋から試験的にチャレンジしている百貨店やこだわり小売店での対面販売は、徐々に成果が出始めてきた。通常、コンテナやトラック輸送が常識でな南瓜、馬鈴薯、人参など重量野菜も取り組み始めたが、手応えを感じている。勿論、割高になる運賃を吸収できる商品力がポイントになる。安くても並べておいただけでは必要な量しか売れない時代が来ている。積極的にお客に提案し、売り込む努力をしないと消費は下がる一方である。
携帯端末の普及が消費者行動に大きなインパクトを与え、量販店やコンビニの宅配参入も流通に変化を与え始めている。社会変化が速いから販路をもう一度再チェックしたい。

ここれからの課題④ 中小こだわり生産者の懸念材料

大規模化する南九州の農業会社については以前に書いたが、中小規模生産者が対抗できる選択肢としてこだわり高付加価値農産物がある。しかし最近、注目しておかなければならない動きがある。

「食の安全と持続可能な生産管理」」を目指すグローバル ギャップ(G- GAP)認証を取得して、世界に通用する国際安全基準農産物を作る会社(ネットワーク)が立ち上がり、販売を始めた。今の所、農家を束ねたネットワーク型が多いが、将来的には統合して一つの企業体に進化する可能性がある。日本では高付加価値農産物は安全認証と管理コスト(手間)がかかり、足踏み状態だ。課題の安定供給と値頃感の両立が実現できれば需要が拡大する可能性がある。企業化が進めば色々な能力を持った人材を集めることが可能になり、技術革新やコスト削減、販路拡大なども進めやすい。従来の枠組みに捕らわれない全く新しい農業の組み立てが期待できる。

 

先日、九州で根菜類を中心にこの取り組みを進めている会社と情報交換させて頂いた。今の所、特別栽培人参(G-GAP取得)30㌶が基盤だが、牛蒡、大根、里芋など周年出荷を目指している。人参は良食味品種を使い糖度約10度、デパートの対面販売などでも売れ行き好調という。価格は年間固定を基本としているが、農場でパック詰めしており、20kg単位で小口発送可能で小口小売店の利便性も良い。今後の展開に要注目である。

同様に宮崎の特別栽培ホウレン草も同じモデルで注目したい。今冬は度重なる寒波のため草丈の伸びが悪く、品薄の時期があった。その点。宮崎は冬でも日照時間が長く温暖なため、関東などと比べて生育が早く、安定している。堆肥だけの化学肥料不使用栽培で、良食味品種を使い食味も優れている。冷蔵庫で20日以上貯蔵してみたが、品質の低下はあまりなかった。200㌘パックJANコード入りで宅配便単位で店単位で直送可能で利便性は良い。こだわり品小ロット生産者はこれらの動向に注意したい。

 

 

これからの課題 ②コストインフレ対策

政権が変わって大胆な「デフレ脱却」政策に転換、更なる金融緩和で「円」がバラ撒かれる。リーマンショックを受けて、米国を始めEU、中国など経済主要国が景気浮揚策で金利を引き下げ、大量に自国通貨を刷った。日本は1985年以来、ずっと低金利政策が続いており、もう引き下げ余地は乏しい。しかしこれで世界中に通貨が溢れる事になり、再び投機資金が動き始めた。投資家は通貨が下がり資産が目減りするリスクを回避するため金、原油、株式、穀物、非鉄金属・・・などモノ(商品)に替える。比較的安全な資産とされる日本国債で運用していた投資家は売りに転じ、基軸通貨ドルやユーロに換金して「モノ」に替えている。この動きが加速して急激に円安が進み、1ドル70円台→93円、1ユーロ90円台→125円(2月中旬)と12ヶ月の間に約30%も円安が進んだ。輸入業者は半年分位は為替予約し、在庫もある程度持っているので即、値上げという事にはならないが、既に値上げの予告が来始めた。原油価格は1バレル85㌦台から95㌦台に上昇し、円安とのダブルパンでガソリン価格は1㍑153円台に乗せてきた。まさしく、原材料、コストインフレの幕開けである。ただ、鉄鋼など一部の商品は中国で新工場の稼働が始まり、供給過剰の懸念もあると言われている。また、世界景気が上向かなければ実需が伴わないので、一時的な上昇に終わる可能性も残る。日本は当面、長期デフレが続いてきた反動でインフレに振れる可能性が高い。

 

需要が伸びている社会では値上げは比較的通りやすいが、年金生活者が増えている所得縮小社会では食品の値上げは難しい・・・春闘で現役サラリーマンの賃金がインフレ分に見合うだけ上がれば問題は少ないが、円安で潤う一部輸出企業はともかく、国内産業は価格転嫁が厳しい。安易な値上げは結果として更に需要減に直結するリスクもある。歴史的に考えれば資金を持つ強者は儲けるチャンス到来だが、資金の乏しい弱者は、その犠牲になりかねない。6月の参議院選挙が終わると、値上げラッシュに見舞われる可能性がある。コストインフレに今から備えたい。

 

(低付加価値農産物)

化学肥料、農薬、包材、運賃・・・すべてが上昇要因。これらは販売価格に占める割合が高いから値上げが追いつかないと苦しい。特効薬はないが可能な対策から取り組もう。

■自然力を活用する。

自然循環型農業を見直し、化学肥料や農薬の依存度を下げる。従来型農業は化石燃料を原料として省力化し、規模拡大してきたが、一旦、単位面積当たりの収益性をチェックしてみたい。有機と化学資材の併用を自分なりに再検討し、小面積でも構わないから実践してみることをお奨めする。今後の消費者ニーズ、社会変化を考えれば、この方向を目指す時期に来ている。技術が進歩し、コストも下がっているから取り組みの選択肢は広がっている。

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/post-83.html

 

http://www.e-yasai.com/materials/rakuto.pdf

■安価に調達できる仕入れ方法を見直す。

生産資材の仕入れはモノの「価格」だけではなく、「情報価値」も重要。両者を総合して価格→価値判断をしたい。現在はネットで幅広く情報を入手出来るから、仕入れ先を再検討してみたい。。地方では利便性、支払い条件も重要な要素だから、自分に合う方法で選択すればいい。近頃、グループでコンテナ単位でまとめ買いする生産者が増えている。物流経費削減効果がかなり高いから、ある程度まとまった数量を購入する生産者には有効な対策である。

(参考)

http://www.e-yasai.com/materials/container_sale.pdf

■資材を有効利用しているか再チェックする。

肥料でも農薬でも不足すると収量に影響する。その年の天候によっても効果が異なるから本来は作物の状態を見ながら追肥するのが望ましい。大面積では省力面ではマイナスだが、収量増など総合的に考えればメリットがあるかも知れない。重要なのは保肥力を高めて安定肥効を維持し、気候変動などのストレスを受けても作物のダメージをなるべく少なくする事だ。ミネラルの補給も重要なポイントであり、あれこれ使わずシンプルに1資材で対応したい。

(参考)

http://www.e-yasai.com/materials/m-cat01/mer-10.html

 

http://www.e-yasai.com/materials/expert_pk.pdf

 

http://www.e-yasai.com/materials/toyama_sekkai.pdf

■収量を上げてコストを下げる。

コスト対効果の高い葉面散布剤を使う。作物の反収によって使えるコストが決まるが、農家が使いやすい散布コストは10㌃当たり1回100円台、3回散布でそれなりの効果が見える資材だ。

 

(高付加価値農産物)

一般的に販売価格に占める資材費の割合が低いので、コストインフレの影響は限定的だ。資材費をかけても品質や収量の向上に重点を置きたい。世界競争に勝利できる強い農業を目指せるのはこの分野だ。

 

これからの課題 ①社会変化にどう対応する?

125日から10日間、北海道内を廻り、生産者や流通関係者と意見交換してきた。多面的、複雑な変化の中でも取り敢えず自分のポジションを確保している人、足元がぐらついて先行き不透明な人、何も考えていない人・・・様々である。しかし、多くの人達は現状も将来も厳しいと認識している。ただ、従来経験したことのない未体験ゾーンで、何を目指し、何から始めたら良いか解らないと言う。解らない時は現状維持が無難と動かない人が大多数だ。長い間、それなりに豊かで安全な生活が保障されてきたため、厳しい未来はイメージできない、考えたくない世代が主流になってきたから当然だと思う。既に現実は日本が得意としてきた産業分野の競争力が急低下している。昨年末まで円高だったこともあるが、中国、韓国、台湾など競合国の追い上げはますます厳しく、この先は予断を許さない。特に若年失業者が増え、あろう事か貧困率は先進国中、上位となり、従来の経済優等生の面影は薄れている。慢性的な財政赤字、大震災や原発事故の処理も背負って行かねばならない。この様な急激な経済、社会変化の中では現状認識と分析、流れの方向性を早急に再チェックし、組み立て直さねばならない。認識が甘いのか、逃避なのか、生活で目一杯なのか・・・事情は様々だと思うが、兎に角、対応への「気力」「腰の重さ」が気になる。

日本農業の将来を決めると言われるTPP論議がまた始まる。いずれにしても人間は生物・・・自然界の掟で最終的に弱いモノは淘汰される。「世の流れ」を的確に掴み、「茨の道」を希望と信念を持ち、上に上に向かって力強く歩みたい。日本人は優秀な民族、以前の様にみんなで努力すれば輝きを取り戻せる!

 

今日本で起きている変化で、農業にとって最大インパクトは「需要減」と「供給減」の綱引きである。

最近、流通関係者が指摘するのは「モノが動かない・・・」である。価格が安くても高くても青果物は動きが鈍いという。量販店の食品売り上げ高もパッとしない。デフレ、不景気も原因としているが、最大の懸念は「少子高齢化」による需要減。少子高齢化は構造的な問題で、当面解決策は見当たらない。供給側としては経営戦略上最も重視しなくてはならない課題だ。農産物が売れなくなったり、農家が減って作付が減少したり、無くなったりした例が増えている。

北海道南部A町は、以前から大根の大産地で、最盛期には300㌶超あった。平成5年の歴史的大暴騰を境に徐々に減り続け、昨年は1/4以下70㌶。農家の本音は採算が厳しいので他の作物に転換したいが、供選施設の償却が終わっていないためやめられないと言う。企業ならば採算が採れなければ設備売却か廃棄だがJA組織では決断が難しい。市場への相場出荷だから赤字が確定している訳ではないが、需要減で安値が定着しており、高値を期待しつつ償却のため作っている。他の産地も大同小異。

大産地が衰退する一方で、元気なのは直売場。種苗会社が色々な珍しい品種を開発し、販売に力を入れている。販売量は限られるが、形状の珍しいモノ、赤、青、黒など量販店では余り見かけない大根も売れている。辛み大根や煮物など調理の仕方に合わせた品種も支持されている。大量生産して安く売る時代から、個性化して適量販売する時代に変わってきた。

 

主要野菜の一つ南瓜も消費環境の変化で需要減が定着しつつある。黄緑野菜として人気は衰えていないが、1回に食べる量が大幅に減っている。惣菜などの加工品で食べる割合が多くなり、店頭で青果として売れる量は減少が激しい。以前の1/2カットから1/4カットになりもう1/8でも間に合うご時世だ。先日、北海道北部で南瓜を作っているHさんが「南瓜の時代もいよいよ終わりだね・・・」と電話してきた。彼は有機野菜野菜の流通業もしているが、露地野菜の荷動きが落ち異変を感じ、原因を探るため今冬は消費地に出向いて、売り場を廻っている。彼の話では南瓜は既にスライスパック売りに移行開始中。5cmくらいのスライス南瓜にそのまま衣を付けて天麩羅、フライパンで焼き物、電子レンジ加熱で簡単に食べられる。最近は果肉や果皮が固い栗系が主流になったため、家庭の包丁ではカットできないため、人気上昇中で定着しそうだと言う。重量計算すると1パック当たり51/16カット位。1/4カットの1/4となるから販売良は大激減・・・・これでは飯が食えないと自嘲していた。

南瓜に限らず、すべての野菜が同じ道を歩んでいる。

 

高級メロンの産地夕張は、ギフト需要の低迷と生産者の高齢化が進み、最盛期の230戸から昨年は131戸に減少した。このまま需要低迷が続くと100戸大台割が懸念される。販売関係者に回復策を問うてみたが、気候変動で品質や出荷量のブレが大きく、日持ちの悪さは宿命的問題、ギフト宅配から抜けられない。全国的に知名度が高いので拡販の余地はあるが、長年、商権が確立しており、新規開拓は動き辛い。一部、輸出もトライしているが、数量は限定的だ。メロン自体が需要縮小トレンドに入っているから、回生は厳しい。

一方、夕張系品種で市場を通さずギフト会社直売ルートを開拓した北海道南部のT社は元気だ。リーマンショックで注文が減り、一時減反したが、昨年は注文が回復、今年から再び増反する。T社長は、毎年仕事が一段落する2月上旬から全国主要業者を訪問し、情報を集める。マーケットの微少なシグナルも見逃さず、メロン以外に多くのヒット商品を育ててきた。彼は「おいしいモノを作っていれば業者が喜んで育ててくれる。勿論、大量生産して値頃感を出さないと売れないけどね・・・」と話す。

昨年、豊作で暴落した馬鈴薯だが、彼は毎年1215㌶作っている。ギフト商品に仕上げて1月末には完売してしまったという。他に安い芋がゴロゴロしていても彼の男爵芋は格別に美味しいため、通販でリピーターが付く。通販、ネット、宅配インフラの進化などで流通環境や消費者意識が変化している。

Tさんの話を若手友人に話したら、彼は昨年農家と連携してこだわりスイートコーンを作り、IT企業と組んでネット販売した所、1本300円で飛ぶように売れたという。「美味しいモノはネット市場が正しく評価してくれる!」と販売に確信を深めている。我々が気が付かない間に社会変化が進み、市場環境が変化している。

スマホの爆発的な普及が世の中を変え始めている。ジッとしていると従来の市場が奪われる可能性がある・・・

 

 

(2013)作物別 資材の使い方ポイント

 

今年もそろそろ春の準備が始まった。昨年はハウスはともかく、露地野菜は全般的に厳しい結果に終わった。「何を作ったらよいのか・・・」農家の迷いは尽きないが、自然の恵みで農業をしている以上、何を作っても当たり外れは付きものでいくら考えても結論は出てこない。あるとすれば、消費者が「美味しい!また食べたい」と感じて頂けるモノを作ればいい。「美味しい農産物」を作ることが基本中の基本である。残念ながらこの基本が、育種や栽培法の段階から耐病性や収量性など生産者の利益中心に傾き、消費を冷やしている面がある。需要縮小時代に入り、「食べ物の価値・魅力」を高め、お金を使って頂ける様に努力しなければならない。そのようなコンセプトで栽培している生産者の経営は比較的安定している。

 

「おいしい農産物」を作るポイントは、言うまでもなく「品種」「土作り」「管理」である!

 

果菜類

■土作り(反当)

多種多様な養分と菌体を含んだ基本2資材で簡単土作り、施肥!

★根づくり名人・・・基準10袋(抑制等短期栽培は減量可)

★スーパーランド673または743・・・6~10

原則として、堆肥、他の資材は不要。特別不足している成分はミネラルP2~3袋併用する。

 

■葉面散布

「★ネマコートS(多機能総合管理資材)

育苗時から収穫終了前まで約1週間毎に1000倍液を葉面散布します。

酵素の力で植物生理を活性化し、強力な発根、花芽充実、開花、着果、肥大、成熟などが順調に進みます。日照不足、病害虫発生などストレスがかかった場合は500倍で散布します。

通期定期散布は、安定生産資材として高い評価を頂いております。コストは1000倍希釈液1㍑当たり2.6円位で、農薬に混合可能です。

毎年トラブルが発生しやすい方は、是非、お試し下さい。

 

★タマノビール

メロン、スイカ、胡瓜、茄子、ピーマン、イチゴなどの果実肥大に500倍液で葉面散布します。

特に、日照不足時の肥大サポートにおすすめします。葉菜類にも公的です。

 

アマミアップ[AM55

メロン、スイカ、イチゴ、トマトなどの糖度改善サポートに使われているイオン化カルシウム資材。

 

■追肥潅水

★フィッシュソリブルS

窒素6%の動物性有機。

★いそしおにがり

苦土、石灰、加里、その他微量要素を含む潅水資材

 

 

露地野菜

■土作り(反当)

★畑のおかず(464)

品質向上と地力維持に反当5袋基準に散布し、化学肥料を併用します。

★ミネラルPK・エキスパートPK

硫安や尿素などの窒素単肥と組み合わせて、高品質、低コスト栽培が可能です。

 

■葉面散布

★海藻元気

人参など除草剤に1000倍で混用(ダメージ軽減)

 

水稲・麦ほか穀物類

★ミネラルPK・エキスパートPK

反当2~3袋を施用します。品質や収量の改善が期待できます。

 

詳細はお問い合わせください。

 

消費減、豊作で低迷する重量野菜

 PA063692.JPGのサムネール画像北海道三大野菜と言われている南瓜、馬鈴薯、玉葱の相場が、秋早くから低迷している。人参、大根、キャベツなど他の重量秋野菜も軒並み安い。11月下旬になり漸く冷え込んできたが、今の所回復の兆しは見えない。

道南、羊蹄山麓は夏秋重量野菜の大産地だが、近年希に見る苦境に陥っている。銘産の馬鈴薯は好天に恵まれ、収量は平年作よりやや多い。但し、L玉中心で商品化率が高く出荷量は多いと予想されている。南瓜、大根、人参の収量は平年並だったが、市況は厳しい・・・

渡島で南瓜8㌶を作っているAさんは、JA10月仕切り精算が10kg当たり平均200300円程度と言っていた。富良野の南瓜生産者Tさんは、「支払いがあればまだマシ・・・採算割れでバック(徴収)の恐れもあるよ」と自嘲気味に話していた。

天災が原因で大幅減収した場合はJA共済で少しは補填されるが市況安に対応策は無い。

 

貯蔵(冬至)南瓜の産地和寒、剣淵、士別など道北各地も同様な状況で、荷動きは鈍い。在庫を抱えているJASや特別栽培品も値崩れが始まっている(流通関係者)

何故、南瓜の価格低迷が続いているのか・・・・量販店のバイヤーに聞いてみた。

「確かに豊作も原因の一つ。巷では910月が異常に暑かったため、主婦が煮炊きする野菜の購入を控えたとも言われている。しかし、リーマンショック後から販売が鈍っている。南瓜は電子レンジで加熱して食べる人が増え、暑くて煮炊きしないという説は説得力に欠ける・・・」「南瓜は黄緑野菜として人気が高いが、美味しい南瓜が少量あれば十分と言う消費者が増えている。1/4カット以下で値頃感を出して売る店が増えているから販売量が減っても仕方が無いでしょう」「大型農業法人は量販店とと契約しているから豊作の年は余剰分が市場に投げられる。それも相場が崩れる原因」と指摘する。

片田舎にある量販店3店舗に納品している業者Nさんは「南瓜は1/4カットでも多すぎると言う消費者が増えた。当社はスライスして袋入りで売っている。お年寄り世帯が増えているから、電子レンジで加熱して直ぐに食べられる野菜でないと売れなくなる・・・。安くないと売れないから原料は規格外品。野菜と言うより手間賃を売っているようなモノだね」

 

馬鈴薯は秋の平均気温が高かったため、発芽が始まり出荷停止になった生産者も出ている。品種にもよるが通常は2~3月頃までは発芽しないが、11月に発芽すると言うことは異常事態。

玉葱は全体的に作柄は良かった。相場は低迷予想が出ているが、馬鈴薯と同様に発芽が早まると、春先は高騰の可能性もある。玉葱生産者はここ数年、市況高に恵まれ収量がそこそこあった生産者は多少余裕があるが、大半の経営は厳しいという。

 

先日、流通超激戦地と言われている中京地区の高級量販店を覗いてみた。顔写真入りの特別栽培やJAS有機野菜が並んでいた。外観、品質、サイズも厳選されているが、価格はそれ程高くはない。周辺にはディスカウント量販店が多いが、最近、また大手量販店が進出したという。

消費減少トレンドの中で生き残りを賭けた流通企業の果てしなき戦いが続いている。価格競争は限界に来ており『特売』の文字もインパクトが薄れている。

今後も消費量減少が更に進む。それを前提に生産者も流通も知恵を出さねばならない。

 

(画像)本当に美味しい南瓜の需要は安定している。都内の百貨店で9月に中旬に100㌘当たり105円で売られていた。

 

 

再び有機農業を考える(8)経営改善へ道

 

P8062825.JPG

なるべく有機主体の農業に切り替えたいと考えている農家は少なくない。しかし何とか取れている間は腰が重たい。「コストがかかる・・・」「収量が心配・・・」「供選、市場出荷ではメリットが無い・・・」いろいろな指摘がある。化学合成資材中心では何処かでツケが回ってくるが、中途半端に有機を使ってもコスト対効果が見えてこない。しかし、気が付かない間に地力を失い、収量、品質低下が進み、連作障害が顕在化する例は多い。異常気象や価格低迷を受け、経営が厳しくなると消極的になり悪循環にりやすい。度々書いているが、生産者は農産物メーカーであり、なにはともあれ売れる品質、売れる価格(再生産価格)で確実に収穫することが前提になる。これを継続的に実現するために、有機主体農業の活用がある。

 

 

(改善例)

今春、北海道南部で経営改革に取り組むFさんから、「知り合いGさんがハウスホウレン草の連作障害で困っている・・・」との電話を受け、早速、現地を訪ねた。

(1)        栽培経過

Gさんはホウレン草を始めてから今年で25年、45㌃のハウスで年間44.5回転で連作を続けている。既に通算100連作を越えるハウスもある。10年数前に訪ねたことがあるが、当時はまだ順風満帆の時期で順調に取れていた。各地から視察者が相次ぎ、品質、収量共に自信満々であった。今考えればその頃がピークに近く、その後次第に生育のバラツキや土壌病(立ち枯れ、イチョウ病)がポツリ、ポツリと出始めたらしい。土作りは町営堆肥場から出る堆肥と、化成肥料を使ってきた。十数年、ずっと順調に取れてきたため、多少病気発生やや収量減があっても「天気の関係かな・・・」と余り深刻には考えなかった。たまたま農業新聞で土壌消毒で土壌病に成果を上げている産地の記事を読んみ、早速、岩手県と岐阜県の夏秋作先進産地を視察してきた。現地で素晴らしいホウレン草を見せられ、自分達も早速、土壌消毒を取り入れた。期待した通り、気になっていた立ち枯れは止まった。雑草も生えず、草取りは殆ど不要となった。しかし、毎年土壌消毒を続けて行くうちに、土と作物に異変を感じ始めた。土に弾力が無くなりサラサラ状態になり、潅水すると以前のようにスッと浸み込まず、水道が出来てしまう。乾燥しやすく、成長力が弱く、葉肉が薄く、株張りが良くない。当然、収量は落ちてきた・・・表土30cm下は耕盤層が形成され、カチカチになっている。ホウレン草を抜いてみると本来は直根がスッと長く伸びるが、耕盤層で生育が止まり、肥料濃度障害で根が褐変している。土の老化現象の始まりであり、根本的な再生策を実施しないと解決しない状況だ。しかし、気になるのはコスト対効果。しかもGさんは70歳を越えており、今後、どの位農業を続けられるか解らない・・・・

彼は「ハウスは25年間も化学肥料主体で使い続けてきたから、土にはもう栄養分が残っていない。一応、堆肥や土改材は入れていから何とかなると思いながら毎年同じパターンでタネを蒔いてきた。しかし、土壌消毒を始めて無菌化し、全く土壌の税体系が変わってしまった。

「百姓はモノが取れなくなると終わりだね・・・やり甲斐、生き甲斐も薄れてきた」と言う。

しかしこのまま終わるのは悔いが残る。自分のプライドを賭けて、以前の葉に生き生きした元気なホウレン草を作って、スッキリして幕を下ろしたい。必要なお金は用意した。簡単ではないことは承知しているが出来る限り短期間に元の土に戻してもらいたい・・・出来ますか?

 

消極的な農家が増える中でGさんの「夢よもう一度」の決断に動かされ、問診と土の状態を調査しながら対応策を考えた。投入資金、コスト対効果は問題無いが、労力、設備(農機具)などで出来る事、出来ないことがあるから近所仲間と一緒に考えることにした。

 

【結論】 短期間に成果を出すため、多種多様な養分と菌体を含む肥料を使って栽培しながら土を発酵させるため、下記の方法を実行する。

(ハウス1棟80坪当たり)

   耕盤層を部分的でも良いから破る(但し、地層による)

   土作りは省力化のため堆肥散布は入れない。

   1作目は下記資材を全面散布し土と混和し、潅水して発酵させる。

■根づくり名人・・・3袋(60kg)、

■スーパーランド(743)・・・3袋(60kg

■ミネラルPK・・・1袋(20kg) 燐酸、加里過剰圃場は不要)

(低温期にスタートする場合は、化学肥料を20kg程度併用する)

 

   1週間寝かせて播種する。

   潅水時にハイパー酵素1㍑を混合して散布し、初期生育期から発根を促す(通期3回程度)

   病害虫忌避と葉肉を厚くするため、ネマコートS1000倍液を1週間間隔で葉面散布する。

 

上記の栽培基準で4月からスタートした。

5月に入りFさんから「今までとは全く異なる草姿だが大丈夫ですかと電話してきた。葉が広がらず天を向いて生育しているという。品種にもよるが一般的に健康な個体は天を目指して生育する。日照不足、水分や養分バランスが狂うと葉が広がり垂れてくる。力強く生育している作物は更に沢山の日照を得ようと立葉となる(画像参照)

 

気候の関係で収穫が少しずれたが、1作目から従来とは見違える程の株張り、葉肉となり、収量は20%以上増えた。ただ、未だ土が完全に回復していないため、部分的に生育のバラツキが出たが、期待していた以上の品質と収量に仕上がったので初回作で資材代が出たと喜んでいた。

2作目以降はスーパーランド(743)を2袋(40kg)だけ撒き、同様に栽培した。

毎年出るダニも見当たらず、病気も気にならなくなった。ダニは根が弱いと土壌からの水分吸収力が落ち、、樹液濃度が上昇し、ダニが付きやすくなる。根張りが良くなると充分吸水出来るので付きにくくなる。土壌病も根が活性化して根酸を充分分泌していれば感染しにくいが、化学肥料主体では菌相が貧しくなり防御力が低下して感染しやすくなる。

 

結果としてGさんは1年で好循環パターンに入り、品質、収量共に回復軌道に乗った。成功の秘訣は総合的な対策を立て、手を抜かず、確実に実行した点にある。本人の希望で具体的な数字は書かないが販売金額が急上昇し、コスト対効果が大幅に改善した事は言うまでもない。

 

 

再び有機農業を考える(7)これからの方向

 (画像)有機トマト・茨城県水戸市

P6132607.JPG

 一般的に有機農業と言われている栽培は幅が広い。自然農法、オーガニック、JAS有機、特別栽培、果ては身近にある厩肥を堆肥化し、ふんだんに使って有機と名乗る生産者もいる。JAS有機が無農薬で安全性が担保されていると思う消費者は多い。しかし先に書いたように実は状況により農薬の使用が認められており、無農薬を期待していた消費者は釈然としないだろう。一方、自然農法は近隣にある稻藁など作物残渣、枯れ草、落ち葉など、植物由来有機物を循環利用する事が基本であり、域外から資材を持ち込まないのが前提である。勿論、化学農薬や肥料は使用しないから理解しやすい。日本でも以前から取り組んでいる農家もいるが、1月に訪ねたパリ郊外の葉菜類農家はこれに近い。

 

 http://www.e-yasai.com/blog/post-75.html

 自然農法は気候に恵まれ、近隣に化学農法の農地が無く、豊かな自然に囲まれていることが前提であり、日本での適地は限られる。しかし、中山間地の小規模農業には適している。表示は化学肥料、化学農薬不使用栽培で、事前に圃場の残留農薬検査をしておけば、JAS有機よりレベルは高いと言える。肥料養分は限られるから収量は余り期待できないが、抗酸化物質などの機能成分は高いと専門化は指摘している。

 

さて、各種有機(生態系循環)農業に携わっている生産者や流通関係者に現状と今後の展開を聞いて見た。JAS有機を取得した生産者は今更、錦の御旗は降ろせないから初志貫徹組が大勢だ。新規参入組も、より高い付加価値を求めるからJAS有機を目指す事に変化は無い。しかし、青果販売の全体を見渡せばJAS有機インパクトは以前より後退している。特に気候変動で安定生産がままならない生産者の経営が厳しくなっているためだ。作物によるが、人参や大根、牛蒡、馬鈴薯、里芋、サツマイモなどの根菜類は収量の変動はあるものの、地下部収穫のため病害虫痕が目立ちにくくJAS有機でも比較的作りやすく、貯蔵して安定供給がしやすいため、撤退する農家は少ない。防除が難しい葉菜や果菜類は中小規模農家が多く、減収リスクが高まっているため、多種化に動いており、面積は増える状況にはない。。

特に高温化で難敵病害虫が増えている西南暖地のJAS,、栽培は厳しくなっている。南九州で特裁パセリを周年栽培していたグループは病害(うどん粉病)が蔓延し、安定供給が困難になったため特裁に見切りをつけた。熊本ではトマトの難敵害虫シルバーリーフの防除回数が増え、特栽を諦めた生産者も出ている。通常は特栽基準で栽培し、多発の場合は特栽カウントをオーバーするが必要最小限の農薬散布で凌いで、無表示(慣行栽培)で出荷する生産者も増えている。これらの生産者の多くは「食味」を売りにしているため、売り場(消費者)の理解は得られている様だ。しかし、コストを下げるために包材を一括大量発注しストックしているため、両刀使いは在庫負担が大きく、悩みのタネという。

 

量販店などと値決め契約している生産者は、気候変動の減収リスクが高まる中で、数年来、市況が堅調なため、中小生産者を中心に契約栽培に迷いが生じている。パートなど人件費比率の高い大規模生産者は、一部は値決めをしておかないと価格低迷が長期化した場合、経営リスクが高いので安定価格の売り先確保は欠かせない。特に冬期の低温、日照不足で減収が続き、燃料代や資材費の高騰に苦しむ九州のハウス生産者の迷いが続いている。

 

特栽はいつでも慣行に戻れるがJAS有機は続けないと認証がリセットされてしまうので、転向には相当な決断がいる。しかし近頃JAS認証を諦めて特栽に切り替え、経営を立て直した生産者も出ている。多くは出荷先との話し合いで転換しており、軸足は化学肥料、農薬不使用栽培に置いているから実質的に品質、安全性レベルに大差は無い。一番大切な事は生産者と消費者の話し合い、相互理解である。複雑な流通経路では意思疎通が難しいから、なるべく必要最小限度、シンプルな流通体系を目指したい。

 

販売側の環境変化としてこの数年、農産物の表示に対する監督機関の監視が厳しくなり、店側がトラブルを恐れて「特栽」表示」に消極的になりつつある。また、認証機関の認証が無いと「特別栽培」として扱わない店が増えてきた。農薬散布回数(カウント)をラベルに明記した商品もあるが、農薬知識の乏しい一般消費者は、1回でも使用していると購入をためらう傾向が見られる。一層のこと、解りやすい「食味」で勝負するから無表示(慣行栽培)で十分と考える現場担当者も増えた。

 

有機への取り組みはJAS有機や特別栽培だけではなく、慣行栽培でも一般化している。有機(堆肥)を入れなければ安定した品質や収量が期待出来ないという認識が広まっている。必要なのは目先の計算ではなく、栽培に係わるすべての要素を含めて中期的な視点でコスト対効果の検証である。

足踏みしている既存生産者を尻目に、宅配、加工、外食など新規ルートを開拓して大規模有機農業を目指すチャレンジャーが台頭している。海外生産でJAS認証を取得する動きも活発化しそうだ。色々な意味で踊り場に来ているから、今後の動向に注目したい。

 

再び有機農業を考える(6)病害虫防除

 

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(画像)JAS有機認証ミニトマト

一般的に有機農業を旗印にしていても、栽培の実態は「有機もどき」も多い。

国産農産物で公的に有機と名乗れる物はJAS有機認証に限られる。認証を得ていない農産物は有機で栽培しても「特別栽培」(化学肥料、化学農薬不使用表示)となる。

JAS有機栽培で最も難しいのは病害虫の防除であり、、対応方法は極めて限られる。防除資材の認定判断基準についてガイド本には以下の様に書いてある。

 

2.1. ほ場又は栽培場における有害動植物の防除目的で使用される資材(農薬(別表 2))の適合性判断基準

耕種的防除(※1)、物理的防除(※2)、生物的防除(※3)又はこれらを適切に組み合わせた方法のみにより有害動植物の防除を行うこと。ただし、農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合であって、耕種的防除、物理的防除、生物的防除又はこれらを適切に組み合わせた方法のみによってはほ場における有害動植物を効果的に防除することができない場合にあっては、別表2の農薬(組換えDNA技術を用いて製造されたものを除く。以下同じ。)に限り使用することができる

 

※1:作目及び品種の選定、作付け時期の調整、その他農作物の栽培管理の一環として通常行われる作業を有害動植物の発生を抑制することを意図して計画的に実施することにより、有害動植物の防除を行うことをいう。

※2:光、熱、音等を利用する方法、古紙に由来するマルチ(製造工程において化学的に合成された物質が添加されていないものに限る。)若しくはプラスチックマルチ(使用後に取り除くものに限る。)を使用する方法又は人力若しくは機械的な方法により有害動植物の防除を行うことをいう。

※3:病害の原因となる微生物の増殖を抑制する微生物、有害動植物を捕食する動物若しくは有害動植物が忌避する植物若しくは有害動植物の発生を抑制する効果を有する植物の導入又はその生育に適するような環境の整備により有害動植物の防除を行うことをいう。

以下、2.1.2及び2.1.3については、やむを得ない場合に使用する、防除資材についての評価基準として記載する。

 

詳細は省略する。病虫害が発生してしまったら、対応出来る資材は殆どないから、事前に耕種的方法での策が重要である。

 

JAS認証に詳しい農薬技術者Sさんからのメール。

『現実、JAS基準に基づく栽培をされておられる生産者の方々からの防除のご相談を受けても適切な対応ができない状況です』

『非常事態に特例的に登録農薬が使用できるとしても、そのときは既に遅く、散布タイミングを逃がしており、効果は期待できないと考えています。ニームオイルや漢方薬草エキス」も一切認証されませんから作物によってはJASはお手上げです・・・当地特産の玉葱は農薬散布回数が非常に多い(慣行25カウント程度)のでJAS有機の需要が高いですが、異常気象が定着してしまい、無理です。化学物質を含まないニームオイルや植物エキスの使用が可能な特裁レベルでないと経営的にリスクが高すぎます』

 

JAS認証農産物の栽培指導を行っているMさんの話。

『当地北海道北部にあり大豆、人参、玉葱、馬鈴薯、南瓜、アスパラ、トマトなどJAS有機認証で栽培している農家は少なくはない。元来、稲作中心の農家が多く、野菜の産地ではないので、冷涼な気候もあって病害虫の発生は何とかクリアーしてきた。しかし、温暖化でトラブルが多くなってきた。耕種的方法で対応不可な時に申請すれば使える農薬もあるが、病害虫拡大に合間に合わず、あまり意味がない。販売されている化学物質を含まない植物エキスはJAS認証されていないから、土作りによる自然農法を目指すしかないね。2年前から自分自身も1.5㌶の圃場で、化学肥料、農薬不使用栽培を始めたが、今の所、採算は採れていない・・・。JAS農家の中には、「病害虫が発生したら諦める」と達観している人もいる。資材に頼るのではなく、本来の自然の営みの中での収穫を目指す、いわゆる自然農法の考え方・・・私もその方向(笑い)』

 

■北海道中央部で約30年間、有機農業を続けているKさんの話。

『当地は中山間地の高台にあり、まとまった圃場は少なく、色々な野菜が作られている。風通しが良く、夏は平地より気温が2~3℃位、低い。若い頃は南瓜など露地野菜を作っていたが、価格が不安定なので思い切ってハイスを建て、ミニトマトの無化学肥料、無農薬栽培を始め、JAS認証を取得した。今も変わり者扱いだが、お陰様でハウス面積は3000坪になり、売り先に苦労したことはない。しかし、異常気象の多発で作柄は安定しているとは言えない。基本的に防除法は無いに等しいから土作りしかない。始めた頃は失敗ばかりで嘲笑されたが、最近は病害虫はあまり出ない。発生しない努力が大切だが、ひどくなったら早めに諦める(笑い)。諦めると言っても生活があるから、引き抜いたら直ぐに水菜を蒔く。収穫したらまた蒔くので結構な収入になる。勿論、、有機栽培だから引き合いは強い。自分が30年かけて学んだ事は、コツコツ土作りに励み、自然に逆らはないこと。この考えで子供を育て、後継者も出来た。曲がりなりにもここまでこれたのは、30年という時間と、この地の恵まれた自然環境のお蔭だと思う。苦労が多いから他人にはあまり勧められないね・・・(笑い)』

 

再び有機農業を考える(5)究極の省力、高品質を狙う!

 

P9093100.JPG(画像)ペレット堆肥

 

有機栽培の基本となる堆肥を酵素を使って作る方法を前稿で述べた。JAS認証大規模栽培を目指す生産者は是非、参考にして頂きたい。海外でも有機農業は畜産との一体化で進んでいる。既に家畜を飼育していたり、堆肥発酵設備を持っている生産者は直ぐに取り組める。

 

しかし、これからスタートする生産者は厩肥の入手、手間、設備、場所(建屋)など投資が必要になる。特に中山間地などで圃場が分散している場合には慣れていない堆肥の運搬や散布の手間が重しとなる。色々なコストを計算すればペレット化した発酵堆肥を購入することも選択肢だ。

リサイクル法が施行されて、食品加工残渣や生ゴミ、家畜屎尿などの有機資源を堆肥化する取り組みが官民挙げて盛んになった。しかし、食品加工残渣を原料とした堆肥については食品添加物などが混入する可能性があるとしてJAS認証基準が強化され、認証されないケースが増えている。但し、ビール、大豆、珈琲、果実搾り滓など原料から製造工程まで化学物質が混入しない、閉鎖系工場で作られた堆肥は認証されている。実情の多くは各所から集められた種々の残渣原料を混合して発酵させる場合が多いから、認証されないケースも多い。これは食品の品質低下防止のため「エトキ」という酸化防止剤の使用が一般化しているためと言う。人糞など汚水処理場からでる屎尿堆肥も家庭のトイレで洗浄剤として化学薬品を使うケースが日常化しているため認証されない。家畜屎尿堆肥は多くの場合、認証飼料を与え、閉鎖系施設で飼育、排泄物を発酵、加工するので認証されやすい。

 

市販堆肥は内容も品質も玉石混合であるから、JAS認証を受ける場合は、十分原料や製造工程を確認する必要がある。実際問題として一般肥料に使われている魚粕、肉骨粉、骨粉、油粕などの中には加工段階で化学物質が使われている可能性もあり、JAS認証を取得した肥料を使わねばならない。。

堆肥は大量に入れないと効果が薄いと考える生産者もいるが、多すぎても少なすぎても問題がある。適量なレベルは日常的に微生物、小動物、作物への養分供給が順調に継続し、バランスの取れた食物連鎖が築かれれば良い。未熟堆肥が多すぎるとミミズなどの小動物が大発生し、それを餌にしてモグラが増え、更にそれを求めて動物が増え、畑地としての生物バランスが崩れる。

堆肥を大量に作り、あるいは買い、散布するのはコスト的にも労力的にも大変である。なるべく無駄なくシンプルに有機農業を実現出来ないかと取り組んでいるのが下記のJAS認証適合資材である。

 

少量の堆肥施用で高パフォーマンスを得るには、植物由来の高炭素原料、動物由来の高タンパク、高ミネラル原料を発酵させるのが良い。厳格なAS有機認証基準をクリヤーするため、工場の原料製造段階から一般品とは別工程としている。これらの化学的な処理を一切行っていない残渣原料を配合、発酵堆肥化したのが下記、ぼかし堆肥である。

 

JAS畑のおかず(353)

JAS有機認証用に開発した高蛋白、ミネラル含有堆肥。作物の健全生育に必要な多種多様な養分と菌体をバランス良く含んでいます。一般堆肥のように大量に施用する必要はなく、手間をかけずに短期間でパワフルな土作りをしたい方にお勧めです。品質、食味の向上にも高い評価を頂いております!

■分類

特殊肥料

■分析値

窒素  3%  燐酸  5%  加里  3

■使用原料

畜産加工残渣(豚、鶏の濃縮血液、内臓屑、羽毛屑、

植物加工残渣(珈琲抽出滓、ジュース搾り滓)、鶏糞、鶏糞燃焼灰

■形状・包装

ペレット加工または粉状・20kgポリ袋または1000kgフレコン

■反当施用量

300500kg

圃場の状況により施用量を増減して下さい。作物と施用量により、本品のみでも栽培できます。連用により、地力がついたら施用量は減らしても構いません。

 

 

エキスパート有機(684)

JAS畑のおかず(353)と併用すると果菜類、果樹類などに好適です。

http://www.e-yasai.com/materials/expert684.pdf

ナチュラルゼロ(843)

JAS畑のおかず(353)と併用すると葉菜類の元肥や各種追肥などに好適です。

http://www.e-yasai.com/materials/natural_0.pdf

 

省力化して低コストで競争力のある有機農業を実現するためには、気候風土を含めて多角的な検討が必要です。お気軽にご相談下さい。 

再び有機農業を考える(4)酵素堆肥の作り方

 

P6222652.JPG

(3)で記した家畜に酵素を飲用させる方法は省力的だが、近隣に家畜がいることが前提になる。本格的に有機農業に取り組むには家畜を飼育してその排泄物で農産物を育てるのがベストである。小規模なら可能だが、ある程度の規模で飼育するとなると人手もかかり。予期せぬトラブルも覚悟しなくてはならない。次善の策として直ぐに使える完熟に近い堆肥を購入するか、未熟堆肥(厩肥)を購入して再発酵させる。下記に厩肥の効率的再発酵で良質な酵素堆肥を作る方法を紹介する。

 

(注意)JAS認証有機を取得す場合は堆肥原料に化学物資が含まれていないことを十分確認するる

 

 

   仕込み

 

●堆肥原料は牛フン・鶏フン・豚フン・キノコ廃床・野菜クズ等地域の有機素材を利用する。

(酸化・腐敗の無い状態ですぐに仕込む)

●水分調整(55~60%)をする。

●固化した部分をほぐし、形状の適粒化を施す。

バイオ酵素Tを1?当り12?を適量に希釈して全体に噴霧する。

 (腐敗の状況により散布量を調整)
●可能であれば7日~10日エアレーションを実施する。

 

 

②1回目切り返し(710日後)

 

●堆肥コンディション(アンモニア臭気等)の確認をする。
●バイオ酵素Tの50~100倍希釈水の噴霧
●エアレーションの停止

 

 

③2回目切り返し(1530日後)

 

●堆肥コンディション(アンモニア臭気等)の確認をする。
●バイオ酵素Tの50~100倍希釈水の噴霧

 

 

④3回目以降切り返し

 

●堆肥コンディションの確認を実施しながら様子で切り返しを実施
●およそ2~3ヶ月で完成

 

 

 

 

 

 

再び有機農業を考える(2)潮目が変わった!

日本ではオーガニックに対する考えや取り組みは様々だが、最近、ワイン、チーズ、珈琲、ドライフルーツ、香辛料・・・など様々なオーガニック加工食品が輸入され定着が進んでいる。しかし、国産オーガニック生鮮野菜では生産、販売とも元気があるとは言い難い。原因は供給面では気候変動で安定生産が難しくなり、販売面では低価格指向が定着し、有機は高いという意識が定着しているためだ

大手有機農産物宅配関係者の話では、販売のネット化で徐々に中小が整理され、寡占化の傾向が進み、強者同士の競合が激化、独自の安定供給産地の確保に迫られている。

オーガニック先進国米国では安全性や内容表示に関する規制が強化され、規格をクリヤー、維持するために多額の費用がかかり、小規模生産、流通では採算を取るのが難しくなっている。しかも大手量販店ではGAP(農業生産工程管理認証)を取得していない生産者の農産物は、事故が発生すると訴訟リスクが伴うため敬遠される。日本の一部量販店でもGAP取得を奨励しているから流れは米国と変わらない。

つまり、オーガニックにしろGAPにしろ、規模拡大してコスト削減を図らないと生き残れない状況が静かに進んでいる。日本のオーガニックは殆ど小規模から出発し、輪作や換金の都合もあり多品目栽培が多い。流通を含めてコスト高は解消できず、市場も限定的で拡大は難しい状況だ。但し、高級レストランや特定売り場を対象にしている農園は現状維持で良いだろう。

オーガニック売り場の統合、寡占化が進むと大きな変化が起こる可能性がある。資本力のある企業が収穫物を値決め一括買い付けが多くなると、生産者は作ることに専念でき、技術を磨き、規模拡大、コスト削減が期待できる。買い上げた企業は自社の人材、技術、インフラ、販売網を生かして生鮮から加工品まで低コストで消費者に提供する。ニーズにあった商品開発も可能である。国の助成金を利用して生産者が独自に加工品を作ろうという流れがあるが、残念ながら企業と密接に連携している一部を除いて人材力や経済変動に対応出来る資金力には限りがあり、困難が伴うだろう。

モノにもよるが生産者は加工などリスクのある設備投資をしないで、安定生産、低コスト生産の技術を磨けば良い。現在、慣行栽培ではその流れが出来つつあるが、何処にでもある農産物では、所詮、相場に流され、安定収益は期待できない。オーガニックでは加工という分野を含めて考えれば、全く別の展開が可能になり、マーケットは拡大する。

先日、夕張メロンの生産者を訪ねた折り、聞いた話しを紹介する。

「今年は天気に恵まれ大玉傾向で大豊作。相場は下がったが、今まで買いたくても買えなかった地方の消費者を開拓し、大変喜ばれた。通常、大玉は安いが納得の行く価格で売り切ったから農家は喜んでいる。自分は過去最高!(笑い)」「今までしがらみの中で限られた販売をしてきたが、消費者が買える価格に設定すればこんなに裾野を広がるとは思ってもいなかった。得意な大玉を安心して作れるから、来年も楽しみだよ・・・」

 

再び有機農業を考える(1)

I■mg_0074.jpg今更、有機農業を否定する人はいないと思うが、日本の実情はあまり活気がない。

722日(日)の日経新聞に「稼ぐ農業、中国で改革」と題した特集が出ていた。上海市浦東国際空港近くに3年間の歳月と約32億円の資金を投じ、有機栽培農場約100㌶を整備、2009年から営業を始めた企業の例が紹介されていた。近隣に住む富裕層を対象に季節ごとに約30種類の有機野菜を宅配している。上海市以外にも顧客が広がり、現在、1万件を超え、同様のビジネスが北京市などにも進出が予定されているという。有機野菜100㌶・・・日本的感覚では?が付くが、中国の現状から考えれば生産も需要も現実の話しである。

中国の有機農業については、10数年前に福建省、浙江省、雲南省などの農業公司、昨年4月には黄河中流域河南省鄭州市の記事を書いた。中国の有機農産物基準は日本と若干異なり「無公害野菜」「緑色野菜などと呼ばれている。一般的に有機を看板にした農業公司で作られているものは無公害野菜と呼ばれる化学肥料や農薬の使用をなるべく控えて栽培した農産物が多い。鄭州市周辺では有機肥料として鶏糞を使用し、有機窒素成分率で概ね30%位と言っていた。化学肥料は元肥も追肥(液肥)も価格の安い尿素を主体に使用していた。日照量が多いので硝酸塩の残留、食味の低下は少ない。防除は防虫ネット、植物由来の葉面散布材を使い、高日照で乾燥期が長いため、日本より農薬の使用量は少ない。[中国の野菜は農薬まみれで危ない」という風評が付きまとうが、毒性が強く残効性が長い農薬が使われていたことは確かだ。しかし、次々と立ち上がっている上記の様な新世代経営者が率いる農業公司は、旧来のイメージを払拭し、畜産、農業、バイオマスを組み合わせて完全リサイクル型有機農業が基本である。無公害野菜ではなく「緑色野菜」と呼ばれる日本で言う有機野菜である。但し「緑色野菜」にもAとかAAの格付けがあり、基準はっきりしている様だが、現場で農薬の話になると歯切れが良くない。一般農民は農薬使用の歴史が浅く、知識が不足している事もある。しかし新世代経営者は知識レベルが高く、残留農薬検査もしているから、安全性は以前より高まっていると言える。

■画像・・・ハウスも露地も防虫ネットが普及、殺虫剤の使用は少ない(福建省で撮影)

 

日本でも一時期、同様な畜産、農業、リサイクルを一体化した有機農業が各地で立ち上がったが、残念ながら数は限定的。単純に言えば従来型の畜産も農業も現状では利益が上げにくく、まして有機となれば除草などの管理に人件費が嵩み、病害虫リスクも高いので採算的に厳しい。長年続しているデフレ経済が農産物価格を抑え、収益性の低い農業の動きを鈍くしている。大規模化できる地域は限られ、大規模化しても手作業が多く人件費削減は限られ経営が難しい。中小が統合してもメリットが出しにくい。

現在成功しているのは、地道に直売客を育ててきた生産者である。マスメディアに乗った商品や産地は一時的、短命である。

先日、ある講演会の懇親会で安全で特別美味しい牛乳やヨーグルトを生産販売している北海道の酪農家(250頭飼育)Tさんにお会いした。口コミやマスコミで有名になりデパート、通販、生協、量販店・・・などから注文が殺到したが、お断りしているという。理由は食べ物はどんなに美味しくても飽きが来るから、従来の固定客を大切にし、食べたい時に食べたい量だけ買って頂くのが長続きの秘訣だと話していた。こんなに売れるからと設備投資をした時がピークになると笑っていた。

彼は、飲料水に酵素を添加し、糞尿は殆ど無臭、バイオマスでメタンガスを採取し、堆肥は草地に使う完全リサイクル型の酪農を実践している。

 

6月に3回にわたってフランスのオーガニック(有機)農家の訪問記事を書いた。共通しているのは自分達で販路を開拓していることである。顧客作りは地域に合わせて様々だが、特にノルマンディーのハローウィン農場は立派なホームページを作り、パリ商圏で幅広い客層作りに努力している。

http://www.fermedubec.com/

 

しかし、フランスは宅配インフラ構築が遅れており、地域外からの流入が少なく、地産地消型が育て易い。

中国はネット販売が急成長しており、宅配便の整備も着々と進んでいる。富裕層を中心に利便性と安心、安全の担保された有機農業ビジネスが更に勢いを増すかも知れない。

 

日本政府が農産物輸出1兆円のお題目を唱えている間に、ライバル達はサッサと追い抜いて進化している。。政策資金は出ているが、相変わらず規制や紐付きが多く、明確な事業理念を持ったチャレンジャーも育ちにくい・・・

日本は長い間、安全は当たり前、」タダ・・・という認識が続いてきた。有機農業に消費者は賛同するが、それに見合う対価を払う必要がある。普通に販売されている商品でも比較的安全性は高いから、それで十分という消費者が多い事も確かである。しかし、原発事故が教えているように、目先は安いが将来コストを考えると高くつくと言うのが現在の化学農業かもしれない。

 

 

果菜類の夏から秋に向けての管理

今日23日(月)、九州でも梅雨明け宣言が出され、いよいよ夏本番!

のの前にここ数日、涼しい日が続き、人間も作物もホッと一息ついた格好だ。冷涼地では夜温が異常に低かったため夏秋トマトの着色が一気にスローダウンした。明日から夏の高気圧が北に張り出し、猛暑復活となり一気に着色が進むから、収量への影響は心配いらない。むしろ、これから来る過酷な高温にどう対応するかが、今後の作柄を左右する。つまり充実した花芽形成、確実着果、肥大、裂果防止、秀品率向上、病害虫回避などは、これからの根張り、肥培管理で決まる。

何をする?・・・

簡単に言えば人間の夏バテ、熱中症対策と同様に考えればよい。クーラーはともかく、扇風機(換気扇、循環ファン)、日除け(遮光ネット)、打ち水(潅水や細霧冷房)などで室温を下げる努力はしたい。

人間ならば熱中症予防に発汗作用で失われる水分と塩分を補給することが最低限、求められる。衰弱した人には点滴をするが、簡易的には点滴と同成分(水分、ナトリウムイオン、カリウムイオン、糖分、クエン酸など)を含むスポーツドリンク(ポカリスエットなど)を飲むのが効果的とされる。

作物では、光合成と葉面蒸散で消費される水分と各種養分をバランス良く含む潅水をこまめに行い補給する。この時期の樹は沢山付いた果実を肥大させながら次の花芽を作らねばならないから樹に大きな負担がかかる。樹を支えている根が弱ると、水分や養分の吸収力が落ちて、消費増の中で供給力低下の悪循環が始まる。ここを上手に乗り切らないと、安定した収量は望めなくなるから、正念場となる。

その為には、根張りの良い土作りが基本であるが、この時期に来たら悠長な事は言っておられない。こまめな水分補給と発根を促す資材、バランスの取れた養分の速効的補給が求められる。

■水分とミネラル補給

土の乾きと葉の状態、天気を見ながらこまめに潅水する。その際、下記資材を適宜混用する。

【速効性イオン化ミネラル】

元肥として与えた肥料は、乾燥したり根が弱って根酸の分泌が減ると一部の燐酸やミネラルなどがイオン化せず根からの吸収が減る。一方、窒素は高温下で硝酸化、吸収されやすくなるため、養分吸収バランスが崩れ易い。高温の影響もあり充実した花芽形成が出来ず、果実肥大や品質に大きな影響を与える。変形、尻腐れや裂果などの原因にもなりやすい。

従って疲れた人間がスポーツドリンクを飲むように速効性のイオン化しミネラル液を定期的に潅水すると草勢バランス回復に効果的である。特に、水分を控える高糖度トマトにはお奨めである。

●ミネラルバランス

http://www.e-yasai.com/materials/mineral_b.pdf

潅水に原液を反当1㍑(コスト1200円程度)混用する。

●いそしおにがり

http://www.e-yasai.com/materials/isoshio.pdf

潅水に原液を反当1~2㍑(コスト5001000円程度)混用する。

【動物性アミノ酸液肥】

高温期はバランス肥効維持が難しいので動物性発酵有機(30%)と化学肥料を組み合わせた液肥がお奨め。発根、食味など品質改善に効果が高い。

●サンフィッシュ

http://www.e-yasai.com/materials/sunfish.pdf

 

●フィッシュソリブルS

従来の液肥に反当3~4kg混用する。

http://www.e-yasai.com/materials/fish_s.pdf

 

【発根資材】

状況に応じて色々なタイプがある。

●ネマコートS

http://www.e-yasai.com/materials/nema_s.pdf

病気等で樹が弱り、緊急的に発根を促したい場合に根圏に原液を反当2㍑(4800円)を数回潅水する。以降は500倍葉面散布で良い。

本品はパパイヤ酵素を主体とし、各種アミノ酸、有機酸、ミネラルなどを含む総合的管理資材。週に11000倍で葉面散布すると健全生育の効果が高い。

●ハイパー酵素

http://www.e-yasai.com/materials/kouso.pdf

反当3~4㍑(15002000円)潅水に混合する。

●海藻元気

http://www.e-yasai.com/materials/m-cat03/mer-28.html

反当100㌘を潅水に混用する。植物生理活性物質で発根を促す。

 

 

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (6)トマトの品種

NPO「ココペリ」 トマトの品種

        20120529114721_00013.jpg               20120529114721_00011.jpg 20120527173311_00012.jpg 20120527173311_00014.jpg 20120529114721_00015.jpg 20120529114721_00016.jpg  

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (5)未来に向けて

P4252175.JPG■自然循環型農業実実現のためには、在来種普及の他、どの様な事が重要ですか?・・・

『私たちはこれまでに何百何千という品種の作物を絶滅させてしまいました。フランス国立農業研究所(INRA)ではまだ沢山の在来種が保護されている様です。インドではつい最近まで、古くから伝わる非常に多彩な稲の品種が保存されていました。それらの生産現場を見ると農薬などは一切使わず、すべて自然界にある素材のみを利用した農法です。近代化した農業よりも優れた収量を上げることができていたのです。ところが、近代種と技術を利用する様になってから、病虫害が多発するようになり、収量も大幅に下がってしまいました。世界大戦後、農業の機械化が進み、巨大なトラクターやコンバインなどが生産現場に導入される様になりました。機械で作業を合理化するために、米、麦、トウモロコシ、豆類、その他穀物類は、ある一定の高さに揃えて育つ必要があります。新しい穀物品種は農業の機械化にメリットのある形質が優先されています。在来品種穀物の中には、背丈が11.5mになるものもありました。この様な在来種の穀物を食べ続けていれば、先程お話したグルテンアレルギーなどを引き起こす確率は少なかった筈です。しかしこれらは機械化に適しないという理由で次第に栽培されなくなりましたす』

 

■日本でも同じです。風で倒れにくく、コンバインで刈り取りがし易い軸太の、短桿品種に改良されてきました。

結局、欧州連合は自家採種作物を増やしたくないということですか?その理由は?・・・

『生産者や消費者のメリットと言うよりも、大企業が自分達の持っている種を効率的に販売するために政治勢力と手を組んだ結果だと思います。かって、農民が種を自家採種していた時代には、収穫した中から必要なだけ自家用に使って、余剰分を販売に回したり近所と交換し合ったりしていました。それが、これからは自分達の収穫分に対して税金を支払う様に義務着けられるというのですよ・・・。種子の交換が法的に禁止されるのです。その規約に反対するため、私たちは以前、農家の人たちと一緒に麦の種が入った袋を持参して、ストライキに参加したことがあります。しかし、その袋は種を交換し合ってはいけないと主張する人達の手でビリビリに破られてしまいました・・・』

 

■推測ですが、採種を法律の下で管理し、大きなメリットを受ける人達がいるのでしょう。法的に保護されていれば競争原理が働らきません。在来種の自家採種が増えれば、彼らの利益は縮小してしまいますね。ただ、採種は種子感染を防ぐため厳格な防除管理の下で行われなければなりませんから、ある程度の規制は必要だと思います。

日本の生産者は、種子は作るよりも買った方が便利なので購入する人が大部分です。殆どハイブリット種ですから購入するしか選択肢はありません。フランスは一生産者の使用量が桁違いに大きいでしょうから、自家採取が定着したら採種業界は死活問題でしょう・・・。

しかし、全面的に自家採種を取り締まる法律があるということは驚きです。日本にはまだその様な法律はありません。在来種が使われていた時代には穀物から野菜まで、自家採取が行われていましたし、現在でも違法ではありません。。

日本では今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加して、欧州連合の様に加盟国間で各分野のルールを統一しようという議論が活発化しています。仮にTPPに加盟した場合、アメリカや、豪州、南米の参加国から、同様のルールを要求される可能性は否定できません。しかし遺伝子組み換え作物の受け入れは絶対に拒否すべきです。種子の押しつけなど論外です。

日本ではまだまだ情報公開が不十分で、、政治の不透明さが目立ちます。つい最近、農水省から遺伝子組み換え作物と、それを販売する海外企業の国内事業参入について一般市民の意見を求める書類が、有機農業の発展運動に関わっていた大学講師の友人から送られてきました。ただし、私のところに書類が届いてのは、すでに農水省への書類提出期限が過ぎた後だったです(笑い)

『フランスでも同じですよ・・・一般市民に意見を問うていては通りそうもない法案は、国民の多数がバカンスを楽しんでいる間に審議を済ませ、さっさと通してしまいます。つまり誰も知らない、知られないう間に通してしまいます』

 

『田舎から都会への人口流出と農業者の減少は、世界に共通して見られる問題です。これは経済的、社会的な現象で、農民が減ると種子を育てる農民も減る・・・したがって種子の供給源を大規模企業に委ねざるを得なくなってきています。しかし、現代人は毎日工業生産化した生気のない食べ物を食べて生きているのです。しかもそれを、電子レンジで温めて!』

 

■そういわれると困ったなあ・・・(笑い)

便利な生活に馴染んでしまっているから、今更、やめられないでしょう。電子レンジが私達に及ぼす具体的な害というのは、目には見えないですからね。

『もちろんそうですね。携帯電話の電磁波に関しても同じことが言えます。

問題が明るみに出るのは今でなく、将来です。何年か何十年後には電磁波の出る機器を使い続けてきた人達に、どの様な影響が出るか、例えば癌になる確率が高くなるとか・・・可能性は否定できないです』

 

『日本では昨年、原子力発電所の事故がありました。放射能の拡散も見逃せない問題です。福島原発で事故が起こったすぐ後から、ココペリではブログを通して日本の原発事故を取り巻く近況を頻繁に更新して伝えてきました。情報源は個人、原発関係の団体等です。事故当時、原発事故の状況に敏感だったフランス国内報道機関の動きが下火になった後も、私達、特に私の兄が中心となってブログの更新を根気よく続けました。しかし、周囲からの圧力と事態のあまりの悲惨さに落ち込んでしまい、もうこれ以上続けると病気になると思い、結局、昨年7月にブログは中止しました。放射能に関する詳細、且つ正しい情報を見つけるのが難しい状況が続いていたので、ブログを中止した後、多くの方々から「助かりました。ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。言い換えてみれば、事故の真実を隠す情報機関が、それだけ多かったということです。

放射能汚染は実際、日本だけの問題ではありません。放射能雲は2025日間で地球をぐるりと一周します。雨が降れば、空気中にあった放射能も土壌まで降りてきます。こうして世界中が汚染の被害を蒙ったのです。特に土壌汚染の被害は、単に数年ではなく、何十、何百という年月を通して、汚染が続くことになるでしょう。土は、撒かれた種を育む。そしてその土が育てあげた種から育った食べ物が私たちの糧となるのです。そう考えると人間に被害が及ぶのは当然の話だと思います。

フランスは全世界で最も原子力発電技術に長け、且つその開発にも力を入れている国の一つです。一方で日本も原子力の発展にはこれまで非常に力を入れてきました。それに関連した産業も多く、そこから逃れられない人達からの圧力があったわけです』

 

■ところで、ココペリは日本の種子会社、あるいは種子保護に関わるアソシエーションとの交流はありますか?

『今のところ、コンタクトを取ったことは全くありません。自然農法を確立した福岡正信氏の名はフランスでも知られていて、私自身も興味を持っているのですが・・・彼の実績は素晴らしいと思っています。

京都には古い伝統的な種子のストックをしている会社があります。それが「種屋」の財産なのです。

INRA (フランス国立農業研究所)の様な研究機関は、ココペリが在来種の種子をストックしているのはありがたいことだ、と思っているようです。なぜかというと、私たちの持っている品種を購入したうえで、ハイブリッド種を新たに作り出す、という仕事をするからです。私達から見れば、本当に馬鹿げた話です。

ハイブリッド種や突然変異から生まれた種というのは、言い方は悪いですが、いわゆる人間でいう心身障害者のみを選択して養育するのと同じことだ、とある日本人の人から言われたことがあります。それでは、体に良い訳けはありませんとと・・・

私達はその様な状態の品種をベッキーユ(松葉杖)と呼んでいます。かって、自然界には私達が必要とするものはすべて揃っていました。自然は私たちに必要なものはすべて与えてくれていました。だから私たちは、食の安全、安心、消費者ニーズという言葉のもとに、次々と新しい品種を作り出してゆく現在の姿に疑問を持っているのです。

日本でもNPO法人などがあると思うので探してみます。

ココペリはこの在来種子の保護とその自由な活用の権利保護という問題に対してこれまで真剣に取り組んできたため、フランスだけでなく欧州、そして世界中に名が知れるようになってきています。農民達が大規模多国籍企業に依存したり、その結果借金に追われ続けたりすることなく、各自が独立した形で生産活動を続けられる姿を目指すため、最近では 国内のみでなく海外諸国でも、ココペリの種子生産ネットワークを築きはじめています。

今日の経済市場主義に翻弄され続ければ、金融危機のシステムと同様に、生産者の借金は膨らむばかりです。先に申しました様に、1930年以降、初めて改正されたFAOの定める国際食品規格(Codex Alimentarius)の影響は、1ヶ国のみではなく、世界中の国に影響を及ぼすものです。だからこそ反対運動を世界中に広めていく価値があるのです。

 

■長時間、大変有益なお話し有り難うございました。私たちも日本でココペリの活動をお手伝いできる事がありましたら是非、お力になりたいと思っています。

 

(終)

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (4)トマト談義

20120529114721_00014.jpg ■土作りについてのお考えは?・・・

〈作物の健康は健全な土壌からが基本と考えています。

ココペリは、土壌の再生を目的としたプロジェクトにも取り組んでいます。折角、種子の保護改革に成功しても、この種を受け取って栄養を与える土壌が痩せていては健全な作物は育ちません。従って人々に土壌の健全さについて伝えていくことを大変重要視しています〉

 

■昨日、パリにある普通のスーパーマーケットを何店が視察しました。フランスも日本と同じ事が起きていますね。販売されている食料品の種類は豊富ですが、商品はどこも画一化していることを感じました。フランスでも大企業による量販店の広域チェーン展開が進み、安く大量に仕入れて競合店に競り勝つかが最重要課題となっている様です。

その流れを受けて生産者は、ハイブリッド種子、化学肥料、農薬、あるいは水耕栽培などを駆使して栽培効率を上げ、コスト削減を競っている事が商品から伝わってきました。本来の「食べ物を作る」というプライドと職人気質が後退し、競争に勝つためには何でも使わざるを得なくなっているのが現状でしょう。特に国内だけではなく、EU諸国、アフリカ、南米などからの輸入品も目立ちますから、価格競争は厳しい・・・。日本でも同じ状況が起こっていますが、幸か不幸か10数年前、輸入野菜に残留農薬が度々検出され、消費者、流通、生産者の安全性に対する意識が高まりました。しかし、日本は安全はタダ(無料)という認識が残っており、デフレ経済の影響もあり、消費者の安全性に対するコスト負担は進んでいません。フランスの状況は?・・・

〈農薬や化学肥料が使われる様になったのは、第二次世界大戦後のことです。戦争中に作られストックされていた大量の化学薬品が余っていました。そこでこれを農業に応用できないかと考えたのです。その結果、以前は肥沃だった土壌の生態系は急速にバランスを崩し、地力を失ってしまいました。ベトナム戦争の際には、自然と人間を殺傷するために、あらゆる化学物質が使われました。今日でも世界中で様々な農薬が使われています。危ないことが解っていても、一度使い始めたらなかなか止めるのが難しいです。だからこそ、消費者の教育に力を入れる必要があるのです。

例えばもし、消費者が真冬にイチゴやトマトを欲しがるのを止めたら、ハウス栽培や、水耕栽培をする必要も無くなります。エネルギー、農薬、化学肥料の無駄使いを止めることが出来ます。

特に植物にとって土は不可欠です。水耕栽培で土壌の中に根を張らないまま育つ植物には、本来持つべき生命力は宿りません。水耕栽培は、ほんの一部の人間達がお金儲けのために作り上げた知恵でしかありません。様々な分析を行った結果から判断して養分を与えれば、作物が出来ると言ってね・・・

フランス、ブルターニュ地方にあるサべオル(Savéol)社はトマトの生産と販売に関しては最大手です。冬でも水耕栽培のトマトを大量に生産、販売しています。選ぶ、食べるのは消費者の勝手ですが・・・〉

 

■私達は今朝、ランジス市場で、サべオル社のトマトが販売されている様子を見てきました。以前、この市場で18年間トマトの販売を専門に担当してきた案内人Jさんは、サべオル社のトマトは国産、且つ最高品質、水耕栽培ではなく環境にも配慮した栽培をしています。ランジス市場の中でも高価格で取引されるとの説明を受けましたが?・・・

〈とんでもない話です!

市場に勤めていた彼が言う「良いトマト」とは、つまり自分がより儲かるトマトということだったのでしょうね~。

サべオル社のトマトと、私達が作る地物トマトとは、味は全然違いますよ!〉

 

■日本では美味しさは糖度と酸味のバランス、食味、そして見かけの美しさで判断します。サイズが揃っていないと、流通に乗りにくい商品となってしまいます。フランスでも市場で見る限りでは、農作物の等級分けは行われている様ですが、では、ココペリが考える「良いトマト」とは、どの様なトマトでしょうか?・・・

〈ココペリにとって、クォリティの高いトマトとは、まず美味しいこと、外見、色、そして病気に強く、気候や土壌の違いに対して広い対応性を示すものです。私達の商品の中では、トマトの種が最もよく売れています。現在保存しているトマトの品種は650種類におよびます。その中でも品種によって、極早生、早生、晩生など収穫時期の異なる様々な品種が存在するので、これらを組み合わせることで栽培する量や時期などを調節することができます〉

 

■それらは基本的には露地栽培用ですか、ハウス栽培用ですか?・・・

〈両方あります。日本は湿度の高い国なので、病害を避けるためにも、トマトはハウス栽培が向いているのでしょう。トマトは病気に弱いですから、私たちも発酵させた西洋イラクサなどの有機物質を活用して強い苗に育つ様、しっかり世話をします〉

 

■ココペリの種を使っている人たちは、天敵昆虫などを使って害虫の発生を制御していますか?・・・

〈その様なものも使います。2種類以上の花、野菜、ハーブなどを組み合わせて植えるコンパニオンプランツといった手法も活用しています。これは昔から、百姓達の間で民間伝承されてきた非常に貴重な手法です。植物はお互いに助け合って自らを保護する方法を知っているのです。だからこそ様々な作物を混植して畑の中の生物多様性を豊富にしていく事が大事なのです。例えば、花をよく咲かせる植物を野菜の近くに植えることで、昆虫を自然に引き寄せることができ、結果として受粉の機会が増える、といった具合に・・・〉

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

 

■私は昨年、フランス、ボルドー地方原産のマルモンドトマトという品種を日本の農家に依頼して育ててみました。収穫は出来たのですが、サイズにかなりばらつきが出たので、残念ながら商品化には至りませんでした。これも原種のトマトですか?・・・

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/column/post-60.html

http://www.e-yasai.com/blog/post-62.html

〈マルモンドのトマト(正確には栽培が始まったのは1863年から)は、とてもクラッシックな品種です。味も良いことで有名です。この地方で栽培されているトマトにもいくつか違う品種があります。その中でサンピエールという品種は私達も販売しているのですが、これはよく売れます。トマトでもズッキーニでも、量販店で販売されている品種は、種類に乏しく、どこも同じものであることが多いです。それはあまり好ましいことだとは思いませんね。大学で私たちが行う講義に参加される方や見本市にいらっしゃるお客様達は、トマトだけでもこんなに沢山の品種があるのか、と驚かれます。

アマチュア生産者の中でも、かなり多様な品種のトマトを育てているトマトコレクターと呼ばれる人たちは結構いらっしゃいます。彼らのお蔭でココペリは古代種のトマトの種を守り続けることができているのです。ピーマン(唐辛子)の種子の種類も豊富なのですが、中には年間1520袋程度しか売れないものもあります。それでも継続してくことが大切だと思っているので、生産をお願いするのですが、需要が低い品種は生産者の仕事量が増えてしまうので、コストがかなり高くつきます。決して工業的な方法は使わない、手仕事の世界だからです〉

 

■フランス人は野菜の糖度に対しては日本人程、煩くないでしょうか?・・・

〈フランス人の味の好みというのは、もっと多様なのでしょうね・・・糖度に執着するというよりは、むしろ様々な味のトマトが存在することの方が大事だと思います。酸味が強いもの、とても甘いもの・・・… 胃の調子が悪い人達のために酸味を抑え気味にしたトマト、様々なものがあります。例えば黒トマトなんかはとても甘く、酸味が少ない品種です〉

 

■ランジス市場で、クマトという名前の黒いトマトを見ましたが、クマトとは?・・・

〈クマトは、スペインの栽培者スイスに本社がある世界的アグリビジネス企業「シンジェンタ(Syngenta)のために開発したもので、本来ならば存在すべきでないハイブリッド品種です〉

 

■糖度の高いトマトがあったら日本でその種を販売、または試作用に購入することはできますか?・・・

〈勿論です!どうぞ、どうぞ!

欧州各地でクマトは流行しはじめていますが、ハイブリット種なので自家採取は難しいです。私達の提案する古くから作られてきた在来種の種は、確かに生産性の面では劣ることもありますが、種は続けて自家採取ができます。やはり、それが一番理想的だと思いますよ・・・〉

 

■日本で是非、ココペリの提案するトマトを作ってみたいですね。今日ランジスに行って、色、形が様々な品種のトマトを詰め合わせた商品にとても関心を持ちました。是非、日本でもチャレンジしてみたいです。日本ではまだまだ、トマトの種類は少ないですから・・・沢山は売れないと思いますが、品種の多様性を消費者に説明するツールになるとは思います。

〈是非、チャレンジして下さい!日本では、作付けのローテーション(輪作)は組んでいますかしていますか?〉

 

■トマトは、基本的には連作出来ませんよね・・・昔は日本でも作付けローテーションを頻繁に変えて、様々な野菜を同一圃場で栽培していました。現在は効率を優先しなければならない為、植え付け品目は減少し続けています。その結果、害虫や病害に強い交配種の価値が高まったのです。最近は種だけでなく、苗に接ぎ木をしないと土壌病に対応出来ない例も多く、手間やコストの上昇を招いています。

ところで、貴国で自家採取に対する規制が厳しくなるのは何故でしょうか?・・・

 

〈日本にはフランスの様に種の売買や利用に関する厳しい法律や規制はないのですか?〉

 

■勿論、種苗法という法律があり、規制されています。種苗登録された種苗は、販売目的には権利者の許諾なしには増殖できません。一部の作物(馬鈴薯などウイルス感染のリスクのある物など)は規制されています。これら以外は自家採取可能です。しかし、種子は種苗会社から購入するという習慣が定着しています。輸入品種に対しては植物防疫検査が課されます。輸出元で種子消毒を施した証明書があれば大丈夫だと思います。ココペリの種はすべて有機認証機関の審査を受けた認証マーク【AB】が付いていますが、熱消毒をしているのですか?・・・

〈消毒をすることで種に悪影響が出るため、していません。オーガニック農法で管理された農場で採種していますから消毒しなくても、全く問題はありません。熱消毒は下手をしたら種子が死んでしまう可能性もあります。

繰り返して聞きますが、日本では本当に種を栽培し販売してしまっても大丈夫ですか?〉

 

■先程、お話しした様に、一部以外は大丈夫です。(種苗法参照)

以前は地方に独自の伝統品種があり、盛んに自家採取が行われていました。現在は種苗会社がそれらの品種を採取して、家庭菜園や直売場向けに販売しています。ハイブリット種子の定着で、在来種は専業家向けには殆ど売れなくなりましたから、商売的なメリットは少ないかも知れません・・・

フランスでは各農場で自家採取された種を全体利用量(播種量)の10%以上利用してはいけない、という法律があると某研究者から聞きましたが、それは本当ですか?・・・

〈はい・・・確かにEU加盟国にはそのような規制が義務付けられています。ただ、すべてに対して10%という数字が課されているわけではなく、品種や経営規模などによって変わってくると思います。規制が複雑なので、詳しくはフランスの専門機関等が出した資料で調べてください。いずれにしても一定の割当量があり、守らない者には罰金が科されることは確かだと思います。

 

■ということはほぼ強制的に、農家は種苗会社から種を購入せざるを得ない・・・ということですね?・・・

〈そうです・・・その上、フランスでは穀物などの大規模農場は、衛星から品目ごとに何をどれだけ作付しているか、監視されている状態です。ですから各々の生産者によってどれだけの種子と農薬が必要となるかは監視機関が把握しており、これらの購入と利用が強要されている状態です。規則を破っていることが判ると、洩れずに罰金が科されます〉

 

■日本も衛星からまる見えです。北海道の水稲は衛星データーによって食味が推定分類され、地区毎に買い上げ価格がランク付けされています。

罰金既定は有機栽培を行っている耕作地でも課せられますか?・・・

〈慣行農業を行っている面積と比べたら有機栽培は、ほんの微々たるものです。2011年秋、欧州連合の課金制度が改正され、自分自身が許可を申請して獲得した品種の種子に対しても特許使用料(税金のようなもの)を支払わなくてはならない制度になりました〉

 

■日本では水稲も馬鈴薯も、種籾または種芋を購入して栽培する場合が殆どです。ただし品種にもよりますが、「作れない」か」「作らない」のかと言えば、「作らない」というケースの方が多いと思います。要するに交雑の問題があって、結局買った方が結果的に安いからです。現在使われている種子の殆どは、ハイブリッド種だと言うことです。

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (3)生き残れるのか?

P4252184-2.JPG■厳しい国際競争の中で、在来種で農家は生き残れますか?・・・

 ココペリの理念は理解できます。しかし、私の認識では日本は最早、ハイブリッド種子で耐病性を付けなくては、生産効率が落ちて経営が成り立たない生産者が大半です。その点に関してはどのようにお考えですか?・・・

 

〈それは目先の経済的利益のみを優先した産業界が敷いたレールの上を走らされて生じてしまった結果です。根本的に誤っています。

小規模でも自然の理に適った方法で丁寧な仕事を続けている生産者の活動を支援していくべきです。フランスでは彼らが生態系を維持しながら生産する安全で新鮮な野菜や果物の需要が増える一途です。地産地消、産直などに対する関心も高まっており、AMAP(生産者に消費者が購入代金を前払いして、旬の有機農産物を定期的に配達してもらう活動)などのシステムも発展しつつあります。大手種苗会社、企業に勧められるがままに、種子を購入し続ける単一栽培農業は、持続可能性に欠けています。一時的には生産者の利益はあがるかもしれませんが、将来性は希薄です〉

 

 AMAPのような団体は日本で3040年前から各地に出来はじめ、現在でも活動を続けています。社会変化もあり、なかなか活動が広まっていかないのが現状です。フランスはいかがでしょうか?・・・

 〈欧州の農業政策は小規模な生産者を根絶して農業の工業化を進める方針をとっている事が問題なのです。FAOのバックアップを受けているコーデックス委員会(国際食品規格委員会)では数年前から国際食品規約の改正に取り組んでいますが、実をいうと問題の根源はその新しく改正された規約にあるのです。

コーデックス委員会のメンバーの中には世界的に有名な多国籍大企業に所属する委員が沢山いるようです。しかし、このままヨーロッパの言いなりになっていては、フランスで現在盛んになってきているAMAPに対しても国が規制をかけてくる可能性があります。AMAPが発展を続ければ、大型スーパーなどは、彼らを競争相手とみなす可能性があるからです〉

 

■しかし、そのAMAPの発展運動はすんなりといかないのでは?・・・

日本でも1970年代より、生活協同組合(COOP) などの産直提携運動が始まりました。「消費者と生産者の交流を通して、信頼と相互扶助の関係を深め、持続可能で安心安全な食物の普及を図る」という本来の目標を今日までしっかり徹底し続けている団体は一部に限られます。生協に供給してきた生産者の中には、後継者難やスーパー同士の価格競争の煽りでで納品価格が低迷、悩んでいる例も多いですが?・・・

〈フランスではAMAPは始まってまだ間もないですが、しかし消費者側の需要は増えています。供給が足りていない地域もあります。若い新規就農希望者から電話等で、就農に向けた相談を受けることがよくあります。畑を始める土地がなかなか見つからず農業会議所に問い合わせたところ、「有機農業なんか始めるのはやめとけ・・・」と言われた」という者を私達は何人も見てきました。ちなみにフランス国内における有機栽培作物の普及具合は、欧州で下から数えて2番目です。

日本の状況とよく似ていますね・・・(笑い)〉

 

■AMAPを発展させて行くには?・・・

〈大事なのは消費者へのPRと教育活動です。

ココペリは動植物すべての分野における生物遺伝資源の特許を少しでも多く獲得し、独占したいと企んでいるアメリカ、中国などの諸外国や欧州連合などから圧力を受けています。それに屈せず対抗する姿勢を貫いています。幸いなことに私たちの活動は約7000人の会員と、ジャーナリストたちから厚い支援をいただくことができています〉

 

■その会員というのは主に個人ですか、それとも法人ですか?・・・

〈個人、アマチュア園芸愛好家、市町村役所、アソシエーション(NPO法人等)など様々です。例えば伝統ある王室菜園の管理を続けているベルサイユ宮殿、パリ市役所もココペリの会員登録をしています。私たちの活動は国、そして欧州の法律と照合すれば限りなく非合法に近いのです。それでもココペリの方針に同意し、私たちが保護している種子を購入してくださる公共機関が存在するのです〉

 

■「何を食べるか」「何を買うか」を最終的に選択するのは消費者です。だからこそ、ココペリの方々の持っている理念は消費者に対して積極的にPRすべきだと思います。

おこがましい言い方ですが消費者教育、つまり正しい情報を提供することが非常に大切だと思っています。全部とは言いませんが、現状の流通(量販店)はモノの価値ではなく価格だけでしか判断できない売り方になってしまいました。

農産物が持つ本来の「内容価値」を消費者に理解して頂かない限り、低コスト大量販売の大手資本には永久に対抗できないと思います。原点に戻って対面販売、つまり生産者が直接消費者と向き合って、情報を伝えるシステムを作らねばなりません。

農産物の販売支援についてココペリはどの様な活動を行っていますか?・・・

〈インターネットのサイトによる情報発信や、毎年、年間約130の各種展示会や、農業、環境、園芸やオーガニック商品などに関連したフェアへの出店が主なPR活動の手段です。また、大学へ講演に出かけて、生物多様性の重要性や、季節感のある食事の有意義さ、農薬の使用が様々な病気の要因となっていることなどを学生達に説明し、正しい食べ物の選択方法に対する理解を促すことなどもしています〉

 

■農業者、一般人ともお話にあった現状をまだよく知らない人が多い、また知る機会も少ないと思います。これからは農業や園芸、環境に興味を持っている人達にターゲットを絞った見本市だけでなく、たとえば欧州で最も大規模なことで有名なパリ国際農業見本市のように、必ずしも専門知識に長けているとは限らない一般市民が多く参加するイベントにも積極的に参加してPR活動を続けてほしいと思いますが?・・・

〈無理です!〉

 

■なぜですか。参加料が高いからですか?

〈確かに参加料が高いのも一因ですが・・・パリ国際農業見本市には出店したことがあるのですよ。当時ココペリの総代表をしていた兄、ドミニクがスタンドにいたところ、国営テレビ局の取材を受け、私たち団体ココペリの理念を正直に述べました。収録された内容がその日のニュースで放映されました。ところが翌日、農林水産大臣の代理人が私達のスタンドをわざわざ訪れて「貴方達は活動をやめて、少しおとなしくすべきだ・・・」と、私達の活動に圧力をかけたのです〉

 

 ■分かります!日本もフランス程ではありませんが農業に限らず起こり得ます。心強い協力者は?・・・

 私たちの活動を支援してくださる有名シェフが存在するのは大変心強いことです。例えばパリで三ツ星レストランを経営する売れっ子シェフのアラン・パッサール。彼はココペリと一緒に仕事をしています。フランスでは、自家用菜園(農園)や、栽培を専属で担当する者を雇用している高級レストランもあって、ココペリはそのようなレストランと一緒に仕事をしています。パリの名だた料理人達のご用達となっている野菜生産者、ジョエル・チボー氏が育てる野菜の種も、私達から購入したものだと聞いています。野菜の、味、香り、色、多様性に富んだ食材・・・それは食のプロがまさに求めるところなのです。大学教授の中にも、講演会でココペリが行っている活動の意義についてお話しをしてくださる教授もいます。彼らは、私たちが出版した種子のカタログにも寄稿してくださいました。私達が今まで活動を続けてこられたのも、様々な方々に支えられ、励まされてきたお蔭です〉

 

■ココペリの運営は?・・・

〈数々の圧力はありますが、お陰様で順調に発展しています。NPOですから利益を上げる事が目的ではありません。運営費は会員から頂く会費、種子の販売、各方面からの寄付金で賄われています。ここは少し手狭になってきたので、少し奥になりますが広い土地に移転すする計画です〉

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (2)不可欠な多様性

   P4252185.JPGのサムネール画像■品種の多様性についてのお考えは?・・・

〈畑で育てる作物の生物的多様性も大事です。同じ国で多様性に乏しい、常に同じ植物や品種を栽培しているのは残念なことです。もっと様々な種類があっても良いと私は思っています。その土地で収穫できる品種が豊富になれば、地元の人達の健康や栄養状態を改善することも可能です。幸い、私たちの地球にはまだまだ、生物の多様性が残されています。だからこそ、在来種の絶滅を避けるためにも、近代的な手法で開発された新品種に市場を支配されてしまわない様に、戦うべきなのです。

確かに近代的技術を駆使して開発された新品種は、生産性、経済面から見たら、より優れているかも知れません。しかし同じ作物を大面積栽培し続けると、作物は病気にかかりやすくなります。生産者は化学的に調合された農薬を撒き、その結果、土壌は生気を失ってしまいます。その上、遺伝子の人為的操作やハイブリッド交雑など新品種の作物は、人体に拒絶反応を示すケースも少なくありません。実際に今、小麦粉に含まれるグルテンに対するアレルギー反応を示す患者が増えているのはその一つです。一方、家庭菜園の中で育っている作物の生物多様性が豊かであればある程、作物が病気になる確率が減ることも分かっています。だからこそ、多様な在来種の保護が大切なのです〉

 

■日本は南北に長い列島国で、長い間植物の遺伝子資源が交雑する機会が少なく、土地特有の在来種が多く残されてきました。ところが最近、雑草などで外来種の侵入と異常繁殖が自然破壊を招き、非常に問題視されています。ココペリは、外来種と在来種の交雑問題はありますか?・・・

〈小規模な畑で栽培できる植物は、一年性植物である場合が大半で、それ程大きな問題にはならないと思います。ただし、花粉を飛ばして交配する植物に関しては、非常に慎重な対応を取らなくてはならないと心得ております〉

 

■日本では、天敵となる昆虫を害虫駆除対策として利用したり、受粉の省力化などにも使ったことで在来昆虫が大きなダメージを受けた例があります。

元々日本に生息していなかった葉巻病を媒介する昆虫が温暖化の影響で生息範囲が北上し、被害が拡大し問題になっています。最初の個体は輸入コンテナに付着してきたのでしょうが・・・フランスではその様な問題は?・・・

〈確かに、外来種の進出による問題はフランスでも見られますが、対策手段は無いでしょうね・・・〉

 

■現在、日本の農家は自家採取しないで、種苗会社から購入しています。交雑種子の問題は殆どありませんが、ココペリの様に、採種農家が沢山の品種を一緒に育てると、問題が出ませんか?・・・

〈生育時期が異なる、つまり花の咲く時期が異なる品種同士を組み合わせて栽培することで交雑のリスクを回避しています。

しかし・・・問題なのは例えばメキシコは、世界で最も古いトウモロコシの栽培地で、在来種も非常に多様です。今日では残念ながら、遺伝子組み換え種子の普及が進み、数多くの在来種が存続の危機に立たされています。このような問題が今、世界中で起きているのです〉

 

■日本では一時、野菜などで品種の集中が起こり、品目によってはマーケットを独占した時代がありました。農業自体が次第に衰退し、種子需要が落ち込んで、種苗会社の買収や統合が進みました。現在は、消費者ニーズの多様化で品目も品種も豊かになっています。販売量は限定的ですが、直売場や家庭菜園向けに個性的な種が売れています。フランス、EUの実情は?・・・

〈独占を狙う国際アグリビジネス企業の圧力から世界の「お百姓さん(Paysan)」を守らにばなりません。

問題なのは、国際規模でアグリビジネスを展開する経済至上主義の大手企業が権力をふるっている事です。その中で最も代表的な大手種苗会社、M社は育種業界で主要な位置を占める世界各国の種苗会社を次々と買収して組織を拡大し、現在ではこの地球上で流通している種子全体の約90%を独占販売しています。それに対して私たち、ココペリは僅か20人で運営しているアソシエーションです。M社に対抗するココペリはまるで、鉄器にぶつかった土器のようなものです。それでも私達は、多国籍種苗企業に対抗した活動を続けていきます。

なぜなら、このままでは大手が販売している自家採取不可能な種子の普及が、その土地の環境と生活に調和した『お百姓さん型小規模農業』を地道に続けている人達が、弱肉強食の世界に苦しめられることになるからです。

ココペリの活動は、欧州だけでなく、アジア、インド、アフリカ、南アメリカなど、世界中の国々で展開しています。南米ではコスタリカ、ペルーなどでも活動しています。これらの国では現在、近代的なシステムを導入し、商品作物の単一栽培を進める大規模農場が普及しつつあります。従来型生産者が大手農場に押し潰されてしまうことを防ぐため、地域コミュニティの中で種子を地産地消し続けることができる仕組み作りのお手伝いをしています〉

(参考映像)

http://www.youtube.com/watch?v=6smqYla0U2s

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (1)理念と活動

P4252177.JPGのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像科学技術が進歩するほど対極にある原点が見直される。その一つが有機農業(オーガニック)である。

一口に有機農業と言っても福岡正信氏が提唱した自然農法、JAS有機、化学肥料と化学農薬不使用栽培など様々ある。

有機農業を論じる前に、種も環境破壊源になり得るという主張がある。バイオ技術は日進月歩、既に地球上には遺伝子組み換え(GMS)作物が作られ、流通している。人間の欲望は果てしなく膨らみ、止まらない。この行為が是か非かは、各界から様々な論議が行われているが、結論は当分出そうにもない。仮に遺伝的影響有りと実証されても時既に遅し、元に戻れない。安全神話が崩壊し、深刻な環境汚染を引き起こした原発事故も記憶に新しい。現時点ではGMS農産物に直接的な被害は表面化していないが、将来的リスクはゼロではない。これを機にもう一度、種について考え直す時期に来ているのかも知れない。

 

GMSやハイブリット交配種子が環境や人体に与える影響を懸念して、自然交配種子(在来種)の保護、普及活動をしているNPOが南フランスにあると、パリ在住A子さんから昨年聞いた。どの様な理念で活動し、どんな種子があるのか興味があったので4月下旬、モンペリエ市近郊にある「ココペリ」を訪ねた。パリからTGV3時間余り、ニームで在来線に乗り換えアレスに着いた。地中海岸から少し内陸に位置し、のんびりした南フランスの農村という風情であった。

応対して頂いた理事長K氏に早速、インタビューした。

(通訳・編集) 服部麻子氏

 

■ココペリの由来と理念、活動は?・・・

〈ココペリとは、アメリカインディアン伝説に登場する精霊です。背中のコブに蓄えていた種は、笛の管を通って地面に撒かれ、やがてその土地に豊穣がもたらされると伝えられています。

私達のココペリの名前もその精霊に由来するものです。20年ほど前から遺伝子組み換え、ハイブリッド(FI交配) 種子と農薬の使用を阻止するための活動を続けています。基本的には野菜や穀物類などの在来種、あるいは古くからある品種の種子を有機栽培で育て、野菜等のプロ、アマチュア生産者への利用を促し、品種の多様性を維持する活動をしています。私達が保持している品種は合計約1700種で、その数はフランス国内、ヨーロッパで最も豊富だと言われています。

世界中には何千、何万、数えきれない種類の種子が存在し、その中には絶滅が危惧されているものも多数存在します。ハイブリッドや遺伝子組み換えなどの技術を駆使して開発された品種は、毎年安定した品質の種を自家採取することが不可能です。従って栽培者は毎シーズン、種を購入し続けなくてはなりません。それにかかるコストは決して安いとは言えません。

植物の品種は本来、個体群同士が自然交配した結果生み出されたものです。人間が恣意的に植物の遺伝子を操作することは、ありえない話でした。欧州、日本に限らず、世界中の農民達は、作物の種子は自ら育て、あるいは隣人と交換して使うものでした。代々育まれてきた品種の中には、非常に古くから存在するものが沢山あります。

ところが近年、農場の大規模化を進めるフランスでは、新しい品種の植物を開発した者に特許権を与える制度を作りました。私達ココペリは今、「欧州理事会が使用認可を出した品種カタログに登録されていない在来種の種子を販売している」と厳しい批判を受けています。

しかし、私達が祖先から受け継いてきた在来種であっても、合法的利用するには欧州が管理するカタログへの登録が義務付けられるのです。しかも依頼者は一品種登録する毎に巨額な審査料を支払わなければならない、そんな法律はおかしいと思いませんか?植物は、たとえ新しい品種であっても自然界からの贈り物であることに変わりなく、決して人間の個人私有物となるべきではありません。どう考えても不条理な法律には従う必要はない、というのが私達の方針です〉

 

■具体的には?・・・

〈私達が扱う種子は用途に応じて、販売用とコレクション用のどちらかのカテゴリーに分類されています。販売用はすべて、約15人いるココペリ専属のプロフェッショナルな栽培者が本部から無料で種を受け取って、丹念に育てています。一方、コレクション用は種子の代父母栽培プロジェクトの一環として、園芸アマチュアの人たちの手で育てられます。これらは販売用にはならず、会員の間で交換されるもので、品種の保護を目的としています。代父母としてココペリからの認可を受けた会員は、各自が栽培、採種したコレクション用の種子をココペリに寄付します。これらは毎年、3㎏入り200箱分の小包に仕分けられ、種子不足に悩む世界中の貧しい人達に、NGOやアソシエーションを通して無料で送り届けられています〉

 

■在来種を気候風土の全く異なる地域で栽培することはココペリの理念と矛盾しないですか?・・・

〈植物は自分が育つ気候風土に適応しようとしますから矛盾しません。それは一見、複雑な問題ですけどね・・・

南フランスで発見された在来種の野菜が、植物自らが持つ環境適応能力を発揮して北フランスでも非常によく育つ様になるといった事例はよく見受けられます。ワイン栽培の理論と一緒で、野菜も地質や気候の特徴、テロワール(風土)から影響を受けて育ちます。例えばこの地方で黒い実をつけるトマトを北フランスで育てた場合、若干実の色が変ってくる可能性があるのは、ごく自然な現象です。この活動を続けている中で、海岸線に近いフランス南西部に位置するジロンド地方の在来種である人参が標高1000mを超える山間地でも立派に育つと判明したことがあります。同じ品種の人参が特徴の異なる土地と気候に対する適応能力を持っていたのです〉

 

■日本では優れた形質の野菜を作るため交配ではなく、母根選抜といって、品質の良い個体を選抜して種子採取を繰り返す方法があります。ココペリでも行っていますか?・・・

〈はい。

毎年、約1700種類の種子を栽培していますが、15人もの生産者に依頼しているのは、できるだけ多くの品種を栽培できる様にするためです。気候や天災、病気等などで収穫量が極端に減ってしまうのを避ける意味もあります。1人の生産者に約50種類の唐辛子(ピーマン)の種を育てていただいた折にも、ネットなどを利用して各々の品種を完全に隔離した状態で栽培してもらっています〉

 

 

競争力高まるトルコの農業(2) 食について

イスタンブールに4泊したが1月と4月は雨期で毎日雨が続いた。
残念ながらお目当ての農産物や屋台が並ぶバザール(市場))は見ることが出来なかった。ガイド本に華々しく載っていたバザールは、近代的なヨーロッパ風アーケード街に整備され、イメージしていたシシカバブーの臭いが漂うイスラム風情とは大きく異なっていた。アーケード店内はヨーロッパ製品も多く、本来のトルコが少し薄い様に感じた。
ガイドのTさんに聞いたら、ここはヨーロッパの南端、ヨーロッパ系の人達が多いからね・・・・と答えた。しかし、色彩や模様を見れば確かにイスラムの国トルコである。

イスタンブールアーケード街

イスラム教徒が多いが政教分離が進んでいて、お祈りの時間になると、何処からとも無く屋外スピーカーからコーランが流れてくる程度で、テレビで見るようにひざまずいてお祈りする姿は見かけない。服装などもイスラムの衣装をまとった人は稀である。。アーケード街は服飾、宝飾貴金属、土産物店が並び、食関係の店は周辺地域に移動したという。

イスタンブールのテント張りのお店の野菜

Tさんは、この雨続きでは露店は出てこないでしょうと言っていた。テント張りの店を覗いてみたが、人参、玉葱、馬鈴薯、南瓜、リンゴなどの果実が並んでいる程度で、特別興味を引く農産物は見当たらなかった。

【トルコ料理レストラン】

古来から東西文化の接点として発展してきたイスタンブールは、豊かな食文化があると聞いていたので早速、レストランを訪ねた。

トルコ料理レストラン店内

◆この店は世界遺産モスク近くにあり、眼下に湾が見渡せる見晴らしの良いレストランである。

場所柄、観光客の利用が多いと言う。

トルコ料理オードブル

◆オードブル

茄子、南瓜、インゲン豆、トマト、玉葱、胡瓜、ホウレン草など主に野菜を使った料理が15種類位あり、好みの料理を選ぶ。

オードブルは通常、肉や魚貝、乳製品など動物質が多いが、こんなに野菜料理が多い店は珍しい。

トルコ料理オードブル盛り付け

◆指定した料理を取り皿に盛り付けてくれる。

味付けはオリーブオイル、トマト、塩、香辛料がベース。刺激的な辛みや香りは少なく、上品で美味しい。

トルコ料理オードブルで使っていた茄子

◆茄子料理が絶品だったので、どんな種類の茄子を使っているのか尋ねたら、調理場から現物を持ってきてくれた。

日本の長茄子とほぼ同じ形だが、茄子の風味、甘みがあり、格別、美味しく感じた。

トルコ料理サラダ1 トルコ料理サラダ2

◆サラダに使われている葉菜類は葉肉が厚く、しっかりした味わいがある。

地中海、エーゲ海沿岸で作られている野菜は、潮風と輝く太陽を浴びて育つので特別、美味しいという。

トルコ料理魚貝類1

◆魚貝類

ワゴンに乗せて運ばれた魚を見て注文する。

地中海やエーゲ海で獲れた新鮮な魚介類は種類が豊富で見るからに美味しそうだ!

写真の魚は今が旬だというので、切り身にしてオーブンで焼いてもらうことにした。

トルコ料理魚貝類2

◆網目を付けて焼き上げた白身魚。

トルコ料理魚貝類3

◆イカのオリーブオイル揚げもカリッと揚がって美味しい!

トルコ料理魚貝類4

◆海老のオーブン焼きも味わい深い・・・

レモンは布にくるんであり、絞りやすい。

トルコ料理ビーフステーキ

◆ビーフステーキ

脂肪分が少なく、さっぱりした味わい。

鶏肉のメニューはあるが、羊は日常的に食べているためか少ない。豚肉は勿論無い。

トルコ料理デザート1 トルコ料理デザート2

◆デザート

ナッツ類、果実類、ドライフルーツ、イチゴ、蜂蜜などデザートの材料に事欠かない。

種類が豊富で甘党は顔がほころぶ。甘味は蜂蜜を使った物が多いので好き嫌いの評価は分かれる。

トルコ紅茶(チャイ)

◆トルコ紅茶(チャイ)

日常的に飲まれているチャイは、透明な茶褐色の紅茶。美しい色を楽しむために陶磁器ではなく、ガラスかクリスタル製のカップが使われる。

茶葉は温暖な黒海沿岸地方で約400年前から栽培されており、生活に欠かせない飲み物だ。

【和食レストラン】

イスタンブール和食レストラン

◆宿泊したホテルに「京都」という和食レストランがあった。店内は広くゆったりしていて、寿司カウンターも用意されている。

トルコ人のスタッフは和服姿で、日本の雰囲気はそれなりに感じさせ、落ち着いて食事ができた。

メニューは「にぎり寿司定食」「ちらし寿司定食」「天麩羅定食」などの他、うどん類もある。

単品では枝豆、冷や奴、ホウレン草の白和え、刺身、天麩羅など日本の和食屋と変わらない。ただし、食材に限りがあり、現地人の好みに合わせているため、味はそれなりである。日本酒は勿論置いている。

来店客に日本人は見かけず、旅行者や現地人と思われ、結構、繁盛していたから日本食の人気ぶりが窺えた。

【コメント】

海が近いので魚介類が豊富で、「日本の食」と大きな違いはない。調味料も現在では日本で入手出来るモノが殆どで、味付けも特に違和感は感じない。まさしくグローバル化

フランス「農と食」(2) 三つ星レストランと日本人農家(続編)

IMGP0644.JPG624日のブログで書いた日本人農家Yさんこと山下朝史さんが、雑誌「家庭画報」9月号に三つ星レストラン「トゥール・ジャルダン」の野菜を支えるパートナーとして紹介されている。

フランスの食文化は昨年、ユネスコ無形文化遺産に登録された。中でもこの「トゥール・ジャルダン」は1582年に創業し、数々の歴史を創ってきた最高級レストランである。フランス最高職人の称号を持つR氏(39歳)が昨年シェフに就任し、伝統的重厚なフランス料理に「ヤマシタの日本野菜」を取り入れて、創作料理を提供している。そのきっかけはやはり、とびきり美味しい「ヤマシタの蕪」だった様だ。フランスもヘルシー志向が強まっており、日本野菜の活躍が期待される。

詳しくは「家庭画報」9月号でご覧頂きたい。「ヤマシタの日本野菜」を使った芸術的な「ブーケサラダ」の写真が全画面で紹介されている。

 

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