

フランスの農業が二極化していることは、Dr。F教授のインタビューでも指摘されていた。大規模生産者のイメージはほぼ描けたが、中山間地農業についてはワインや畜産品情報はあるが、生産者の実態はあまり知られていない。数年前からアルザス(東部)やバスク(西部)など中山間地を訪ねているが、意欲的に高付加価値農業に取り組んでいる生産者には巡り会えなかった。
1月中旬、農業大学院留学生H/A子さんの取り計らいで、パリの西方車で2時間弱の距離にあるノルマンディー地方の有有機(BIO)農家
Ferme biologique du Bec Hellouin
Charles HERVE-GRUYERさんを訪ねた。
■果樹類・・・約14㌶に100種類余の苗木を植えている。
■野菜など・・・約2㌶の農地で葉菜、果菜、根菜類など多種類を栽培している。
自然循環生態系の中で作っているので生物の多様化が保たれ、虫害問題は殆どありません。
ただ、夏になると大西洋の湿気が上がってくるので、カビ類の病気が発生しやすくなります。
究極は自然農法を目指していますので、日本の故福岡正信氏や岡田茂吉氏などの考え方に関心があります。
国の支援がありますが、やはり農業は換金するまで時間がかかりますので大変です。自立するには一歩一歩の積み重ねが必要です。
以下、画像で紹介する(2011/1/13撮影)
周囲を小高い山で囲まれ、緑豊かな盆地の中にある。
緯度は北海道より高いが、冬でもそれ程寒くはない。1月というのに雪は無く、周囲は青々していた。
洒落たデザインの古い建物が昔の面影を伝えている。
人は殆ど歩いておらず、ひっそりしている。
殆どの屋根が麦藁葺きで苔むしている。冬、温かく夏は涼しいエコ住宅だ。この国では古いモノほど価値があるとされ、新しい建物は見当たらない。
華やかなパリと比べたら別世界である。
木質天然素材が多用されているためか、非常に居心地が良い。
昼間は忙しいので、お言葉に甘えて昼食をご馳走になりながら、お話しを伺った。
(ご夫妻の手作りメニュー)
■パン
天然酵母発酵、薪釜で焼き上げた自家製パン。表面の一部が黒く焦げていたが、ほのかに薪煙の香りがし、味、食感共にしっかりしていて美味しかった。
自慢の手作りジャムも美味に華を添えた。
■サラダ
BIOリーフミックス野菜にチーズ、香辛料入り自家製ドレッシング添え。メリハリのある味が素晴らしい。
■レンズ豆の煮込み
レンズ豆をワインやトマトなどとじっくり煮込んだコクのある逸品!
■赤ワイン
嬉しいことにこの国では昼食でもワインは付きもの。BIO自家製で非常に口当たりがよく、注がれるままにグビグビ・・・後は自分で好きなだけ飲んで下さいとボトルを手元に持ってきてくれた。フランス人は酒に関して特別気が利く(笑い)
農場内には山から清流が流れ込み、多様な生物を育んでいる。BIOの原点はここにある。
絵になる風景だ。
エコにこだわって、燃料は薪も使っている。
回りには豊かな森林があり、間伐材が豊富に出るのだろう。
園内の一部は柵を張って、地鶏や動物を放し飼いしている。贅沢な空間である。
畜力を使っていた時代の色々な農機具が保存されている。これは脱粒機?石車を馬か牛に引かせていたのだろうか・・古き時代がしのばれる。
子供達に何気なく見せて、農の歴史を学ばせている。
古い建物の内部を改装していた。恵まれた自然環境の中で「食と農」「自然」の大切さを親子で学ぶ場所を作っていた。
外から覗かせて頂いたがテーブルや椅子も天然木でお洒落。妥協を許さないC/Hさんの心意気が窺える。
生育期間の長い野菜は大型連棟ハウスで育苗してから定植する。
1月というのに、もう新芽が芽吹いていた。
1アールくらいに土手で区切られている。ここは効率化とは無縁の世界。
色々な野菜が仲良く育つ場所である。
南瓜、馬鈴薯、玉葱、エシャロット、蕪、人参、ニンニクなどが売られている。冬なので葉物類は少ない。
ジャム類、ビネガー類、蜂蜜などの加工品も多い。
秋には果実、木の実などが勢揃いし、賑わう。

(注)Ferme biologique du Bec Hellouinの詳細については下記URLを参照して下さい。
http://www.fermedubec.com/laFerme.htm
フランス語なので、日本語翻訳サイトhttp://www.excite.co.jp/world/を使うと便利です。
日本の有機農業は勇気農業と言われ、色々な意味でリスクが高い。新規就農者の中には理想に燃えて「有機」に走る人も多いが、経営的に成功している農家は限られる。先週、北海道のベテラン(20数年継続)JAS有機農家Sさんを訪ねたが、近年の異常気象で経営は厳しいと話していた。
厳しくとも、自分の信念や有機栽培という心地よい金看板を外すことが出来ず、頑張っている人も多い。
C/Hさんの農場を訪ねて感じたことは、周辺環境そのものが有機つまり自然で、人工的な手を加えて農業をしていない点である。小川は流れるままに曲がり、1枚の畑は小面積で形は統一されていない。昔、そのままに、人間と畜力で自然と向き合ってきた資産がそこにはある。ここが日本ならば多分、先ず小川をまっすぐに直しコンクリートで固め、耕地整理して農道を作り機械化を進め、農薬を多用して効率化を図っていたであろう。今頃は、自然という資産を使い果たし、化学物質の消耗戦農業になっていたのだろう。
同じノルマンディーでも山の向こうは広大な農地、産業化農業の代表的地域である。二極化が同居している。
C/Hさんの有機農業は、恵まれた自然環境だからこそ成り立つ。誰でも出来る訳ではないが、その取り組み方は徹底している。直売場は当然として、将来の顧客、リピーターを育てる努力は素晴らしい。
5歳の可愛いお嬢さんがいるが、子供からお年寄りまで「農」「食」「遊び」をテーマに、動物まで飼って「楽しさ」を提供していることには感服した。「BIO」という価値だけではなく「人間力」「感性」の価値を感じた。
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