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売れ筋となるか?・・・糖度7度台の良食味トマト(2)

IMG_0116.JPG通常栽培と同じ収量を確保して、高糖度良食味トマトを作るにはどの品種を使っても現状では難しい。収量減をなるべく少なくして高糖度を実現する方法があれば消費拡大につながる可能性がある。

作型にもよるが糖度8度以上を目指すフルーツトマトの総収量は通常栽培の50%程度(夏秋で56/反)が目処となる。単純計算すれば、通常栽培の生産者手取り平均単価が250/kg4kg1.000円)とすれば500/kg(同2.000円)となる。しかし、この金額で採算の採れる生産者は、直売を除けば少ない。

糖度や外観検査をすると、フルーツトマトとして秀品販売できるモノは、地域、時期、気候、管理技術により異なるが通期3040%位と推定される。光糖度センサーで8度を割り7度台に落ちると0.7掛け、6度台では0.35掛け程度の価値になる。仮に8UP1.000/kgとすれば7度台が700円、6度台が350円程度となる。6度台は通常のトマトに近いから相場により掛け率が大きく落ちる場合もある。これに物流経費が加わるから店頭価格は、かなり高価になる。従って消費量も限られる。

生産者側からみれば管理に手間がかかり、リスクが大きい割に、秀品歩留まりが良くないから思った程、収益が上がらない。秀品歩留まりが高い生産者は魅力的な作物だが、毎年安定して収益を上げるにはかなりの技術蓄積が必要となる。

フルーツトマトの道に嵌ると、上手に出来た時の満足感と秀品の高単価が頭にこびり付き、チャレンジ意欲が湧く。継続的に失敗しない限り普通のトマトに戻れなくなる。気候、圃場条件の良い土地で技術を磨いた生産者は残れるが、一般人にはリスクの高い世界である。大規模養液栽培でチャレンジしている生産者もいるが、日本の消費者の様に糖度、酸度、食味、外観、サイズ、棚持ちなど・・・要求が厳しい国では品質競争力は限定的と思われる。

フルーツトマトは気温が低く晴天が続く冬期は比較的安定生産が可能である。埼玉、群馬、栃木など北関東、静岡、愛知、三重など東?、高知など南四国、塩害を利用した熊本などに産地がある。それぞれ糖度、食味を競い、価格は高い。しかし、品質と価格のバランスが良ければ「買う」消費者が増えており、機能性食品としての追い風もあり、消費拡大が期待できる。

フルーツトマトと普通のトマトの中間、即ち、糖度7度台で収量をある程度確保して再生産価格を下げ、固定客を掴めないか・・・5年前から取り組んでいる。

 

【北海道後志の事例】

画像はベテラントマト生産者Aさんが取り組んでいる圃場である。(714日撮影)

品種は「麗夏」、4段採り2期作。単条植え、畝間は広く取っているので栽植本数は通常より20%位少ない。ご覧の様に葉は少なく、小葉、果実がビッシリ付いている。「こんな少ない葉で収量が上がるの?」と疑問を持つ生産者がいると思うが、これが理想に近い草勢である。つまり、果実に養分が転流し、葉が大きくならないから、受光効率がよい。以前訪ねた、高糖度、反収20㌧採りを実現した埼玉のSさん(冬トマト)の草勢は更にコンパクトで、大袈裟な言い方だが果実ばかりで葉は驚くほど少なかった。見学に来た人が一様に首をかしげて帰ると言っていた。

Aさんはこのハウスは大作りの農家には見せないと笑いながら、下記の話しをしてくれた。

「糖度と収量の両立を目指した結果、この草勢になった。特に夏は葉を大きくすると、水分蒸散量が多くなり、潅水しないと萎れやすい。コンパクトな葉で必要最小限度の水分を与えて正常に光合成を行わせるのがポイント。通常葉サイズで水を絞るとコントロールが難しい。初期生育の根張りを重視し、草勢も途中までは強めに作る。土台がしっかり出来たら、摘葉しながらコンパクトな草勢に仕上げて行く。定植時期のずれやその後の天候も草勢に大きく影響するので、経験を積まないと難しい。なるべく草勢が変動しない様に、土作りは「スーパーランド673」反当9袋と微生物堆肥少々だけ。たまにミネラルPKを少量入れる程度。気温が高くなると蒸散量が増すから、天井にストレートファンをハウス1棟(100坪)当たり2基取り付け昼夜、回している。室温は45℃下がる。特に昼間、土に蓄熱された熱の輻射熱の影響を少なくして夜温を下げる効果が大きい。風を送っていると昼間は、光合成が活発になり、夜は湿度による病気の発生が防げる。根が深く張っているので、前作は殆ど潅水いない」

 

この5年間の経過を書くと、当初は610日頃~7月上旬まで収穫の一回戦(促成)で糖度78度台、(9月上旬~10月上旬迄の二回戦(抑制)で12段目6度台、34段目で7度台であった。しかし、一昨年辺りから天候が狂い、昨年も今年も糖度は0.5~1度程度下回り、7度は微妙なラインになった。「通常のトマトより糖度が高いから」と買ってくれた量販店に申し訳ないので出荷を見合わせている。Aさんは「これまでは9月の暑い時期は別にして、7度台は自信があったが・・・」と首をひねる。近くの漁港に揚がる魚の時期や種類も微妙に変化してきていると言うから、温暖化の影響が忍び寄っているのだろう。

 

【北海道空知の事例】

Tさんは5年前からフルーツトマトを目指していたが、フルーツの収量が時期により大きくブレ、販売先にも迷惑をかけ、経営が安定しないので3年前から売り方を含めて7度台トマトに転向した。糖度がぶれる原因はハウスの土層にバラツキが有り水分管理が一様に行えない事にあっが、土木工事をしてまでフルーツに拘るメリットは無いと判断した。

品種は当初から良食味品種「T-93」、施肥は「バランス684」反当10袋、ミネラルPK3袋を継続している。場所による土壌水分のバラツキは対策が難しいので、なるべくバラツキの少ないハウスに移した。3年目の今年は、こつこつ売ってきた顧客から食味と価格のバランスが評価されて、想定価格でキチンと売れる様になってきた。真夏は6度台も出るが、8度台はフルーツトマト価格で売れるので平均単価は通期では影響を受けない。収穫終了後、収益性を検証するが、固定客(量販店)が付いてきた様で、将来に希望が持てる。

 

【冬トマト】

冬トマト(高糖度大玉)の取り組みは45年前から始めているが、現状では難しい。大産地は熊本県八代海沿岸だが、7度以上のトマトが出来るのは2月からの塩トマトで、通期では厳しい。地元に密着している業者が、大潮の塩害で糖度が上がるハウスを事前に探し、契約している以外、大量には出てこない。通常のハウスで高糖度を作ることは採算的に非常に厳しい。原因は、冬期で日照量が限られるため、根本的に難しい。高糖度を求める生産者は、中玉系品種を作っているが、収量は限定的で高単価になる。

 

(コメント)

販売ルートもいろいろチャレンジしているが、今の所、7度台トマトは中途半端な位置付けで、販売側はフルーツトマトか一般トマトか二者択一の感がある。消費者層が、はっきり別れている様だ。昨年、今年とトマトの相場は堅調で、味はあまり問われず、売れている。しかし、このデフレ時代にはしっかりした品質の商品を消費者が買える価格、しかも再生産価格で作らねばならない。需給関係で右往左往している関係者の体質は変わらないだろうが、全く白紙から組み立て直せば、次世代の答は見えてくる筈だ。

 

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