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産地情報

遠州南瓜

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静岡県西部にある遠州地方は、以前から南瓜が作られていた。現在は輸入南瓜に押され、殆ど作られていない。ここは冬場に好天気、高照量に恵まれ、土壌もいいので花卉類、葉菜類、根菜類などブランド品が多い。また、東西に大消費地を控えていることも、とても有利。

 

従って、積極的に面積拡大や設備投資した農家の経営は安定している。しかし、限られた面積の農家は後継者が育たず、年齢的に限界が来ている。

ブランド品と言えども、日本社会の変化には抗せず、環境は厳しさを増している。

 

今後、耕作放棄地の増加が予想されるが、これらを集約し、ビジネスとして農業が成り立つ可能性はあるのか・・・今年から検証を始めた。

 

需要縮小社会では、設備投資するとリスクが高くなるので、撤退がしやすい露地、しかも労力配分のしやすいトンネル南瓜からスタートした。

 

Yさん夫妻は水耕葉菜類が主力だか、この分野は今後も企業参入が続くと思われ、競争力は限られる。美味しい南瓜は直売を含めて安定した需要があり、少しずつ、販路を開拓して行けば成功の可能性はある。成功する条件は「ぶっちぎり」の美味しさ!・・・。

 

FBダイジェスト版⑬中山間地でも勝てる米作り(3)結果編

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写真は927日に撮影した新開発「一発側条肥料」施用区の稲穂。1悍に何と平均160粒、最大180粒付いている。慣行区は約140粒、一見して明らかな差が分かる!

前日の台風の影響で穂の重みで上部は曲がったが、軸はしっかりしており収穫にはあまり影響はない。案内してくれた社員Kさんの話では、この辺は気温、水温共に低いので「こしひかり」で反当7俵が目標。実施した田圃は何処もこの位の粒数が付いており、しかも大粒。少なくとも1俵以上は増収確実という。近隣農家ではこの稲穂が評判になっており、最終収量が楽しみだと表情は明るかった。例年よりも大幅に収量が多く、乾燥が間に合わず、コンバインが立ち往生していると笑っていた。

FBダイジェスト版⑫中山間地でも勝てる米作り(2)栽培編

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「省力」「良食味」「高収量」「低コスト」自ら課した厳しい条件設定をどう実現するか・・・言うは易し行うは難し。気象災害も多いし、天気に恵まれなければ結果は出ない。しかし、自然の恵の範囲で、最高レベルを達成出来ればいいと割り切る。

   栽培方式

中山間地は水温、気温が低く、栽培期間や日照が限られるから、伝統的な移植(田植)しかない。直撒きは選択外。収量を上げてコスト削減を目指す、

   栽培レベル

JAS有機、特別栽培、GAPなど付加価値を付ける考え方もある。しかし販売先の求める条件は美味しくてリースナブル価格・・・これを満たせばいい。企業経営だから理想を掲げても確実に安定した品質の米が収穫できなければ無意味

。『原点』、放棄地再興から考えれば機械化、化学肥料、農薬併用で当初掲げた4項目を達成できれば十分である。化学肥料は肥効を改良して少量にとどめ、農薬は涼地なので元来散布量は少ない。状況に合わせて減農薬を図ればいい。

   品種

良食味品種「こしひかり」に統一。

   土作りと施肥

成功の鍵を握る最大ポイント。「省力」「良食味」「高収量」「低コスト」・・・・いずれも国、県、民間の研究機関が長年取り組んでいるテーマ。研究者でもない我々に更にパフォーマンスを上げる余地はあるのか・・・長年、現場で培った経験、五感を頼りに挑戦が始まった。

 

作業は代掻きまでは慣行に準じた。冷涼地の施肥は通常、元肥と側条2工程。省力化のため田植え同時側条施肥1回で完了できる肥料を開発した。異論は覚悟だが側条1発肥料が成功すれば省力化、コスト削減は一歩前進する。ただし、施肥量が多い品種は、田植え機の改造が必要。

 

「良食味」「高収量」実現は、肥効バランスとミネラルの働きが大きいと考え、ミネラルを「側条一発肥料」に組み込んだ。

 

北海道、飛騨で3年間、実証試験を行い、今季、飛騨A社で水稲全面積(約15ha)を栽培した。田圃の枚数は約200枚に及び、土壌条件は千差万別。このバラバラな条件で平均反収が何俵上げられるかが成否の分かれ目・・・「良食味」は過去の試験で実証済みで、米の納品先からこの設計で栽培する様に要請されている。

FBダイジェスト版⑪中山間地でも勝てる米作り(1)販売編

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非効率な中山間地で採算の採れる米作りが可能なのか・・・殆どの関係者は首を傾ける。確かに、大規模農家でさえ厳しいから従来の考えでは失敗する確率は高い。国の政策は大規模生産者育成に向かっているがこれを逆手に制度資金を活用し、栽培から販売まで一気通貫型の米作りが可能ではないか・・・

飛騨の農業会社A社は従来の枠組みをリセットし、白紙から効率的な米作りを始めた。

 

■販売から組み立てる

米はJAのドル箱。減反、転作も絡んで生産者が商系に出荷す事はそれ程簡単ではない。陰に陽にプレッシャーがかかり本格的に取り組むには大袈裟に言えば「村八分」を覚悟しなければならない。JA出荷は外観(粒)重視、食味は品種評価重点でそれほど価格に反映されない。ブランド米以外は「良食味」を売り物にするとJA出荷は選択外とならざるを得ない。

乾燥、脱粒、選粒など製品(玄米)にするまでの工程はJAの設備を使ってきた。自分の作業スケジュールで最適管理するためには、自前の設備が必要。コツコツ設備して、現在では1粒毎に変色米や異物を取り除く色彩選別機を含めて一気通貫で処理できる体制を整えた。自社設備でコスト削減が進み、「改善」が自由に出来る様になった。

 

注文に応じて精米し、新鮮で美味しい米が出荷できる体制が整った。次は販売先の開拓・・・吐き立ての米を食べてもらうため、回転の良い中食(弁当屋チェーン)、外食(レストラン)に狙いを絞った。彼らは食のプロ、特に米は重要食材、食味の安定した産直米は話が早い。個人販売とは異なり、数量がまとまり、価格も相場に左右されにくい。美味しい米を出荷している限り、確実にリピートが期待できる。

個人客け今後益々家庭でご飯を炊かない時代になり、消費量が減るので選択外。

FBダイジェスト版⑨ 「サヴィオレ」トマト(まとめ)

サヴィオレのトマト栽培

「サヴィオレ」訪問は農業を「地域振興」と「企業的」視点で総合的に組み立てて成功した点で、とても参考になった。産業が農業に限られる地域で色々試みられるが長続きする例は限られる。サヴィオレは多様な技術と知恵を盛り込み、地域一丸となって30年かけて基盤を築いてきた。強力なH技術長のリーダーシップと生産者の愚直な努力に深い感銘を受けた。

日本の生産者は、国、行政、組織ばかり頼るのでは無く、自分達で考え、工夫し、組み立て、リスクを取ってもチャレンジする努力を始めなければならない。国、行政、組織はそのサポート役でよい。

 

地域一体となって、「考える生産者」が育ってくれば、地域に活力が湧いてくる。それが求心力となって雇用を生み、若い人達が集まり定住する可能性も出てくる。

そんなチャレンジを四国で5月から始める。考えているだけでは何も進まない。今、求められているのは、「日本のサヴィオレ」モデル。 若い生産者はTPPなど政治に振り回されること無く、自分達の農業をどう創るか考え、チャレンジしなければならない。

FBダイジェスト版⑧ 「サヴィオレ」トマト(H技術長に聞く)

サヴィオレ トマト(H技術長に聞く)

◆何故養液栽培なのか・・・

味にこだわるフランス人が何故、ココピート養液栽培なのか?・・・
H技術長は「美味しい」や「美しい」という基準は個人差があり、絶対ではない。時代と共に変化するから品種も毎年入れ替える。年35品種栽培し、マーケットに提案している。養液栽培に統一したのは省力、大規模栽培、品質均一化、安定生産、コスト競争力など総合的に検討して得た結論。食味は最も大切な要素で、サヴィオレのトマトは「美味しい!」と胸を張る。
ランジス流通基地でもおいしいトマトはと聞くと「サヴィオレ」と答えるからフランスでは最も美味しいトマトであることは間違いない。

日本の生産者も消費者も関心のある点は「フランスのトマトは美味しいの・・・」。
H技術長も日本人がサヴィオレのトマトをどう評価するか興味があるはずだ。彼は最高ブランドを育てたカリスマ。こちらもトマト味の多様性、微妙さは心得ているつもりだから軽々しくは言えない。
率直に言えば、やはり「養液栽培」の味」は拭えない。さっぱり系・・・
日本の一般的消費者が好むコクのある味ではない。ドレッシングで自分のオリジナル味を追求するフランス人は糖度重視の日本のトマトは?。日本の消費者が求めるそ丸かじりでコクがあって美味しいニーズとは少し違う。しかし最近、日本でも薄味のトマトが主流になりつつあり好みの味を付けて食べることに慣れてきたので抵抗感は感じないかも知れない。

夏秋トマトをココピート養液栽培にチャレンジした生産者が数人いたが、糖度はともかく、食味が良くないと数年で撤退した。養液を研究して食味を改善する余地はあるが、現在は「土培地」を使う「養液土耕」が普及し、食味は大幅に改善している。

FBダイジェスト版⑦ 「サヴィオレ」トマト(概略)

FBダイジェスト版⑥の動画でポイントは理解して頂けたと思うが、補足して書く。

◆所在地プレスト市

「サヴィオレ」はフランス西部、大西洋に突き出たブルターニュ半島中部に位置するプレスト市にある。約30年前に創立、地域活性化策として国費が投入され、フランス最大のトマト産地となった。約150戸の生産者で組織され、トマトを中心にイチゴも栽培している。

日本最北端稚内市より更に緯度が高く、樺太中部あたりの緯度。暖流が北上する大西洋に面し、年間を通じて温暖。冬期でも零下3℃以下にはならない。ただし、ガスが発生しやすく、通年、曇天が多く、必ずしもトマトの適地とは考えにくい。海風を受けて夏の気温が上がりにくく、冬は暖かいのでエネルギーコストが安いメリットがある。

飛行機からプレスト市を望む

◆巨大なガラス温室

施設は採光と断熱効率を重視して、高さ5~6mもある巨大なガラス温室。1辺の長さは200m以上、1棟5?規模のハウスもあり、トマト工場の様相・・・総面積は350?超。日本ではこれだけまとまった産地はない。主力メンバーの1戸当たり栽培面積は5~7?。病害虫の侵入を防ぐため、クリーンルーム並みのセキュリティーが施されている。安全性を担保するためすべての生産者が「GーGAP」を取得している。

サヴィオレのガラス温室で サヴィオレのガラス温室
サヴィオレのココピート培地

◆ココピート培地

土は使用せず、写真の圧縮ココピートを溝にセットして潅水すると膨らんで培地になる。穴の部分に苗を定植して液肥を流して育てる(養液栽培)。培地使用後は堆肥としてリサイクルしている。

見事に肥大したトマト

◆見事な肥大

最適な環境制御により生育はとても良い。

トマトの保温設備

◆保温

低温期は温湯放熱パイプを樹の近くに通して保温する。パイプには約60℃の温湯が流れている。

トマトの環境制御

◆最適制御

広大な温室を均一な条件に保つため、各所にセンサーが配置してある。

サヴィオレのトマトの品種

◆品種

写真が一番人気のトマト。サヴィオレは多様なニーズに応えるため、サイズは大玉、中玉、三二。品種、果肉色(赤、オレンジ、黄、バイオレット、黒など)合わせて35種類を栽培している。毎年、世界中から150~200品種を取り寄せ、継続試験している。栽培条件が一定しているので品質格差が解りやすい。

◆巨大なトマトの樹

樹は高さ4m以上にもなり、上段は脚立付車で収穫する。通路に収穫車用レールが敷かれているハウスもある。

サヴィオレのトマトの樹
サヴィオレのトマトの選果

◆選果

フランスの消費者は形状、サイズは細かなことは言わないと言う認識でいたが、動画にあるように厳しくチェックして出荷している。品種や仕向先によるが個性的な形状のトマトを喜ぶ消費者もおり、無選別バラ詰めも見かける。

サヴィオレのトマトの輸送

◆輸送

出荷はコンテナもあるが、基本は段ボール箱。環境保全のため鉄道も使われているが基本はトレーラー輸送。

◆熱源はバイオマス

イタリア、スペインと言うトマト大国に挟まれて、どう競争力を高めるか徹底的に研究した。多額な設備投資を回収するには周年栽培が不可避のため、低温期に安価な熱源確保が決め手になる。結論は、熱源には環境保全も含めて「バイオマス」。
間伐材や木材廃棄物をチップに加工し、給湯ボイラーで燃焼させている。給湯温度は70℃。コンピューター制御で24時間全自動運転。

サヴィオレのトマト栽培の熱源はバイオマス-1 サヴィオレのトマト栽培の熱源はバイオマス-2
サヴィオレのトマト栽培の熱源はバイオマス-3

◆労働者

7?の温室を経営する若手農業人Sさん(27)に日常生活を聞いた。彼は金曜日午後から(土)(日)まで週2日半休み。トマトはドンドン成長するがどうするの・・・と聞いたら「全く問題ない」という。フランスは週40時間労働、スタッフのローテーションはこの範囲でキチンと組まれているから、彼がいなくても問題ないという。コントロールされた環境で生育するから、土耕に比べて生育がブレにくい様だ。

プレスト市は軍港を基盤とした軍需産業都市。第二次世界大戦や東西冷戦終結後、平和の時代になって雇用が減った。そのため、後継者、雇用労働者には困らないと話していた。休日は何をしているの・・・と聞いたら「魚釣りしかないかな・・・」と笑っていた。

サヴィオレのトマト生産者

FBダイジェスト版④ブルゴーニュの農園別荘ー2(2013/4/20)

世界最高三つ星レストランの食材サプライヤーを目指すB社長の農園構想は、壮大且つ緻密である。昨夜、話はみっちり聞いたが、今日は農園で体感;;;
朝食を済ませて、早速案内して頂き、現場を見ながら彼の目指しているモノを詳しく聞いた。

世界最高三つ星レストランの食材サプライヤーを目指すB社長と

◆シェフ目線

彼は50歳前半、名門国立パリ農業大学院で畜産を学び、畜産会社に勤めた後、ランジスに来て社長になった。経歴からみれば野菜作りのプロではない。素晴らしいのは「ユーザーは何を求めているか・・・」というビジネスの原点を心得ている点である。往々にして農家は「オレのモノは美味しい!」自負心に陥りやすい。彼は食べて頂いた評価を最も知り得る立場にあるシェフ目線で考える。

野菜を作る前にシェフ達から情報を集め、栽培コンセプトを「自然農法」と決めた。兎に角、すべて自然農法で試作し随時、シェフ達に農園に来て頂き現物を見て料理を考えて頂く・・・

◆一気通貫

シェフという指揮者を中心に「畑~厨房~テーブルまで一気通貫」の考え方だ。
畑になぜ従来の生産者が登場しないのかと言えば「高級レストランは多品種少量、しかも極上品を求められる。需給も不安定で、求められる要素の流れも速い。リスクが大きく、その割にリターンが大きいとは言えないから委託は難しい」と言う。彼は自社で自らリスクを背負って思い通りに取り組む道を選んだ様だ。

◆農園を歩いて料理を考える

厨房とシェフ達の宿泊施設

母屋の前にあるこの建物の中ではすでに、厨房とシェフ達の宿泊施設の工事が始まっていた。シェフ達に自由に農園を歩いてもらい、感じた野菜を収穫して、ここで自由に料理を考えて頂く・・・なんと素晴らしい考えだろうか。

◆需要を創る

ここで「基本」が出来たら一般にも開放したいという。彼の言葉の端々には、「本当に美味しい野菜を作り、調理を楽しんで食べてくれる消費者を育てたい」という思いが籠もる。目先では無く、着実な需要を創る「原点」からスタートしているのである。
今の日本の状況では難しいと思うが・・・

◆自然農法

フランスでは有機認証としてAB、BIOがあり、今後生産者が増えて行けば、将来的に付加価値が低下する懸念がある。そのため、農業の原点「自然農法」を基本にスタートした。化学肥料や農薬を使わないのは理解できるが、堆肥など何処までが自然農法なのかは不明。

B社長は木材(落葉樹)の間伐材をチップ化して販売している友人がおり、効率的に堆肥化する方法のアドバイスを求めた。ランジスで排出される食品加工残渣を使って発酵を早める方法を提案し、とても興味を持った。後日訪日した時に、当社の肥料を造っている工場を視察したいと言う。ただ、日本で言う自然農法とは一切何も持ち込まないというのが原則であるが・・・。

(自然林)
自然農法を維持するには生物の多様性を保つ必要がある。圃場脇には自然林が残されれ、緑肥や果樹類も植えられている。

ヌヴェール農園別荘自然林-1
ヌヴェール農園別荘自然林-2 ヌヴェール農園別荘自然林-3
ヌヴェール農園別荘溜め池

(溜め池)
地下に周囲の山々から流れ込む水脈があり、水源と水生動植物を育む池が用意されている。

ヌヴェール農園別荘鳥類を育む森林

(鳥類を育む森林)
隣接して昆虫を食べる鳥類や蝶を育む大木林もある。B社長は多様性を維持するには色々な丈の植物が必要という。理屈はともかく、良いと思うことはすべて取り入れるという。

(M農場長)
この自然農園(栽培面積約2?)を執り仕切っているのはM農場長。教師をしていただけあって、作物や土作りについてよく勉強されており、データーもきちんと整理されている。人柄もとても良い。
余談だが、ここの水道は硬水、洗髪すると髪がばさばさ。春の強風に煽られて髪はボサボサ・・・現地の人達は帽子を被っているのはそのためらしい。

ヌヴェール農園別荘M農場長

(土質)
元々牧場で草地だった所で、場所によって土質はバラバラ・・・生育が良くないという圃場をMさんに掘ってもらった。写真の様に10数cmで根が止まり、下に伸びていない。スコップで掘ってもらったが、固い粘土層で、耕土として機能していない。

ヌヴェール農園別荘土質-1 ヌヴェール農園別荘土質-2

粘土層の厚みは不明だが、サブソイラーを入れて盤を破るか、山土を客土して表土を厚くするか・・・・いずれも大仕事。結果が直ぐに出る訳でも無いので、取り敢えず、少ない表土で作物が育つ土作りをアドバイスした。いずれにしてもこれから時間をかけて、作物がキチンと採れる土作りが必須。土質の良い圃場もあるので作物の生育状況を見ながら何処に何を植えるか、輪作を考えながら作って行かねばならない。

(野菜の種類)
今の所、約50種類を試している。何が採算に乗るかは未知数だが、農園全体として採算が採れれば上出来だろう。看板という意味合いもあり採算はあまり気にしていない。道楽では出来ないが自分の楽しみ・・・とも言っていた。
今の時期は生育の早い葉菜類、ハーブ類が中心。定石通り混植が基本。
イチゴ、トマト、ナスなどの果菜類も課題。

ヌヴェール農園野菜栽培-1 ヌヴェール農園野菜栽培-2
ヌヴェール農園野菜栽培-3 ヌヴェール農園野菜栽培-4
ヌヴェール農園別荘不織布マルチ

今の所、ハウス栽培はしていないが、不織布マルチは一部試している。

ヌヴェール農園別荘麦わらと間伐材チップ

最も苦労するのが除草。麦わらと間伐材チップをマルチして防いでいる。

(M農場長のコメント)
今年で3年目だが、収量はともかく、品質的にはいいものが収穫できていると思う。土作りはこれからだが、時間がかかることは覚悟している。先ず、パフォーマンスを上げるにはここの条件に合った品種選択が最も大切と思う。種類ももう少し増やしたいので種苗会社から資料を取り寄せて検討中です。しかし、気候の振れが大きいので3年位作らないと結論が出ませんね・・・。

FBダイジェスト版④ブルゴーニュの農園別荘ー1(2013/4/19)

1月にパリの食材研究会を主催したDERAS社のB社長からお招きを頂き、ブルゴーニュ・ヌヴェールにある農園別荘を訪ねた。
彼の会社は三つ星レストランなどに最高級の食材を納めているが、健康指向で野菜への関心が高まっている。しかし最高級クラスのお客様に提供出来る野菜は限られる。野菜は鮮度が大切なので、レストランが自家農園や契約農園を持つケースが増えている。このままでは自分達のビジネスポジションが影響を受けると感じた彼は、自社農園でシェフ達のイメージに合う野菜を作ろうと決意した。B社長は2年前にブルゴーニュに家屋付き農園を手に入れ、「自然農法」で野菜を作り始めた。
フランスの農家はあちこち訪ねたが、泊めて頂いた事は無い。数年前、バスクの友人宅に1週間滞在したことはあるが、今回は待望の農園。フランス人がどの様な生活を楽しんでいるのかも興味があった。写真が盛り沢山になるが、彼の週末ライフの一端を紹介する。

◆ヌヴェール

パリから鉄道か車で約2時間南下、以前は炭鉱で栄えた街だが衰退、今は肉牛の肥育が盛ん。ルルドの聖女「べルナデッタ」ゆかりの修道院があり、縁日には世界のキリスト教徒が巡礼に訪れる聖地。約10年前、日本人修道女Y子さんを訪ねたことがある。
ノルマンディー方面から来る北の冷気と地中海の暖気が交差する地域で、天候はあまり良くない。穀物には適さず、草地。畜産が主力で牧場が多い。

ヌヴェール-1 ヌヴェール-2
ヌヴェール農園別荘

ヌヴェール駅に迎えに来てくれたBさんの車で20分余りで農園別荘に着いた。母屋を中心に倉庫と農機具』置き場がある。

ヌヴェール農園別荘母屋

母屋は200年以上前に建てられた二階建て木造造で、大きな部屋が8室以上もある。格部屋は快適な設備に改装してある。

ヌヴェール農園別荘ゲストルーム

泊めて頂いた二階のゲストルーム。巨大なバスルーム付き、広さは50平米以上、ベッドはとても寝心地が良く、高級ホテル並み。すべて木造で居心地が良く、スチーム、暖炉設備も完璧。

ヌヴェール農園別荘部屋からの眺め

部屋からは村の家並みや自然森、池が見渡せ、ゆったりくつろげる。

ヌヴェール農園別荘調理スペース

「食」を大切にするフランス人らしくキッチンは広い。ここは調理スペース、隣に家族やゲストと食事を楽しむダイニングルームがある。

ヌヴェール農園別荘電磁加熱器

調理はすべて電磁加熱。このユニットであらゆる加熱調理ができる。

ヌヴェール農園別荘ボイル専用器具

今が旬のホワイトアスパラは、ボイル専用器具が付いており、タイマーをセットしておくと美味しく煮上がる。

ヌヴェール農園別荘スモーク好きなフランス人

スモーク好きなフランス人は、薪暖炉を利用して魚貝、肉、野菜、パン・・・何でもアルミフォイルで包んでじっくり香りを付けて焼く。

ヌヴェール農園別荘メインディシュ用白身魚

青魚はあまり食べず、白身魚が高級魚。Bさんがランジスからとても高価な白身魚をメインディシュ用に持ってきてくれた。腹と身の回りにビッシリ香草を詰めて暖炉でじっくり焼き上げる。

ヌヴェール農園別荘イベリコ豚の生ハム

ワインのお供は、三つ星レストランに納めている「イベリコ豚の生ハム」 !彼は、商談に持ち込まれる色々な生ハムを試食しているが、未だ,これを超えるモノは無いという。食べ出したら美味しくて止まらない・・・

料理はBさんと麻子さん(通訳)の競演・・・彼はプロだが、フランスでは男性も積極的に調理に参加し、センスもいい人が多い。

ヌヴェール農園別荘料理はBさんと麻子さん(通訳)の競演
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ヌヴェール農園別荘料理-3 ヌヴェール農園別荘料理-4

ファミリーとご一緒に和やかな昼食。マダムはバスク生まれで、私も1週間ほど滞在したことがあるので、生まれ故郷の話しで盛り上がった(右は農場長Mさん)

ヌヴェール農園別荘ファミリーと昼食
ヌヴェール農園別荘別格の味のチーズ

食後はBさんが厳選して出してくれたチーズ。別格の味!

ヌヴェール農園別荘デザート

デザートは籠盛りの中から好きなモノを選んで下さいという。至れり尽せり・・・好物のマンゴを頂いた。

ヌヴェール農園別荘女性村長

女性村長がご主人と訪ねてきた。マダムとツーショット。村長はやはり何となく風格があり、にこやかな顔が印象的・・・

FBダイジェスト版②2013/1/11 プロヴァン

2011年に訪ねたブルゴーニュに隣接した村で村長をしているパトリスさんと友人ラシャさんがユネスコ世界遺産「プロヴァン」に店を開いたと聞き訪ねた。
この街は中世にシャンパーニュの市場町として栄え、現在は観光の街。中世の街並みがそのまま残っている。

プロヴァンに残る中世の街並み

◆村長のレストラン

パトリス村長は街角にレストランを開いた。彼は170㌶を経営する農家。フランスの首長や自治体議員は兼業が普通。
彼は「在来種の保護」や「村の景観保存」など精力的に活動している。今日もスケジュールが混んでいた様だが、お会いする時間を作ってくれた。

パトリス村長のレストラン パトリス村長と

◆ラシャさんのチーズ屋

テレビ局ディレクターをしていたラシャさんは、退職して奥さんとお洒落なチーズ屋さんを開いた。
農家から美味しいチーズやシャンパン、ワインを仕入れて販売している。
お土産にとチーズを4種類切って頂いた。日本では高くて気軽に食べられないクラスの美味しいチーズだった。

ラシャさんのチーズ屋 ラシャさん

M&Aで好調続く南九州の冷凍、業務用野菜

PB054021.JPG10月下旬に宮崎、熊本の野菜産地を歩いてきた。今春、葉タバコ(約300㌶)減反転作政策の事を書いたが、政策転換が契機となり、南九州の農業は改革が進んでいる。どう変わったかと言えば葉タバコからホウレン草を核とした冷凍野菜が急増している。転作奨励資金として反当約20万円が支給されたことも刺激になった。転作に対応して農家、農業法人の統合が急ピッチで進んでいる。冷凍施設は少なくとも数億円の資金が必要とされ、資金調達力の限られる中小生産者では取り組めない。そのため吸収合併(MA)が進んでいる。日本では先祖代々の土地に執着する国民性や法整備の遅れで経営統合、農地拡大が遅れていたが、南九州では地域にもよるが堰を切った様に一気に進行している。農地が売りや貸しに出されると資金力、経営力のある法人が一斉に手を上げるという。高齢化や経営不振に喘ぐ個人農家や法人を買収する構図が以前では考えられないほど日常化している。10数年前から大規模化政策により、各地で農業法人が立ち上がったが、当時とは経営環境はすっかり変わり、既に淘汰の時代に入った。

 

南九州で冷凍ホウレン草を栽培している法人は既に1社当たり100㌶規模に成長し、現在大手8社体制にまで統合が進んでいる。ホウレン草の他、輪作として小松菜、莢インゲン、枝豆、ブロッコリー、里芋なども増えている。冷凍ホウレン草は以前、北海道が主産地だったが、平成年代に入り安価な中国産に押され衰退した。その後、中国産野菜の残留農薬問題が発生、安全指向が高まって一部は国産に回帰した。関東地域などでも部分的に産地が増えたが、コスト高で伸び悩み、昨年の原発事故で激減した。

南九州は、大規模化でコスト削減に成功し、業務用野菜(惣菜)の需要増、安全性と品質向上、大手商社との販売連携などの追い風を受けて、現在は需要に追いつかない状態と言う。中国などの輸入が年間2万㌧以上あるが、国産品のシェアは10%程度と低く、更にコスト削減が進めばシェア奪還の余地は充分ある。

 

最近、量販店やコンビニで目立ってきたのは里芋、南瓜、サツマイモなどの少量真空パック調理済み野菜(画像参照)。冷蔵庫で一ヶ月程度の保存が可能で、電子レンジや熱湯加熱して直ぐに食べられる。個食や利便性を重視する消費者が増える中で、青果販売は苦戦を強いられており、市場出荷者はこれらの動向に注意が必要である。以前は、この手の商品はあまり美味しいとは言えなかったが、最近の商品は味にこだわっているモノが多く、商品アイテムも増えている。消費が縮小している魚も漁協と量販店が組んで、味付け調理済み商品の開発、販売に注力しているから、野菜も負けてはいられない。

 

冷凍、業務用野菜と言え「美味しくて安全な野菜」をコンセプトにし、「特別栽培」で作る業者が徐々に増えている。供給者として高品質生産は勿論、病害虫の発生や収量の安定確保を考えれば、特別栽培で作るメリットがあると言う。大規模生産になると資材調達の交渉力が強まり、有機入り配合(有機窒素比率51%超)でもかなり割安な水準になる。葉菜類は穏やか肥効の有機併用施肥をして、10月から4月上旬頃迄の低温期に栽培で病害虫の発生を抑え、特別栽培基準をクリヤーしている。

今後、安定成長が期待される業務用や一般家庭用惣菜分野の調達先は、野菜の種類によるが市場を経由しない生産者直接取引が主流になる。以前は相場が下がれば業務、加工筋が買い支えていたが、その必要性は失われつつある。不作で足らなければ暴騰、豊作で過剰になれば暴落の図式が益々頻発する恐れがある。

南九州で市場出荷をメインとした中小生産者に淘汰の荒波が押し寄せているのはデフレ経済の他、上記の複合した社会変化が絡み合って起きているためだ。

商社は業務用だけではなく、当然青果と組み合わせた販売網の構築を考えているから、動向に注意する必要がある。

 

胡瓜、ピーマンを中心とする宮崎のハウス果菜類は、冬春の異常低温と燃料高等により大きなダメージを受けた。特に栽培温度が高いピーマンは厳冬期の相場は高騰したが春になり気温が上昇しら暴落のパターンが今年も繰り返された。1袋(150㌘)10円等という捨て値もあったと生産者が嘆いていた。燃料を惜しみなく焚いてタイミング良く出荷して儲けた農家もいたが、多くはコスト高での減収という。

一躍ブランド品にのし上がった宮崎マンゴーは、燃料高と景気低迷の煽りをまともに受けて、以前の熱気は冷めた・・・・

 

熊本のハウストマトはシルバーリーフ(黄化葉巻病)の対策の仕方で収益に大きな差が出た。いち早く、抵抗性品種に切り替えた生産者は、資材高(主に燃料)の影響は受けたが、それ以上に相場高の恩恵があった。大玉トマトで反収700800万円という生産者も出た様だ。この状態が今期も続くかどうかは、天候次第(産地業者の話)

生協などと契約で食味や安全性を重視して栽培しているグループの中には、異常な市況高を見せられて困惑している。しかし、トマト以外にこれと言った作物は見当たらず、当地でも栽培面積は増えているので、天候により暴落の危険はある。相場はその時の需給関係でしかない。自分が消費者に何を提供してお金を頂くか、冷静に判断したい。

 

 

パリの食品流通基地、ランジス(2)畜産製品、魚貝類

畜産製品はチーズ、冷凍・生肉、燻製品、魚貝類、塩蔵加工品、食用油、調味料、香辛料、乾物、穀物・・世界の食文化に対応出来る食材が揃っている。
ここは職人社会、それぞれの分野に精通したプロフェショナル、カリスマが揃っている。

パリのランジス流通基地1 パリのランジス流通基地2

◆チーズ

フランス国内、イタリアを中心に、ヨーロッパ各国からこだわりのチーズが集結している。 直径40cm、厚さ20cmくらいもあるチーズが所狭しと置いてある。直径8㍉位のステンレス製器具を差し込んで内部のサンプルを抜き取り、味をチェックする。あちこちで試食させて頂いたが、コクがあり非常に美味し!

パリのランジス流通基地のチーズ1 パリのランジス流通基地のチーズ2 パリのランジス流通基地のチーズ3 パリのランジス流通基地のチーズ4

◆肉製品

牛、豚、鶏、鳩、羊など冷蔵、冷凍、燻製、塩蔵など殆ど揃っている。

パリのランジス流通基地の肉製品1 パリのランジス流通基地の肉製品2 パリのランジス流通基地の肉製品3 パリのランジス流通基地の肉製品4

◆魚貝類

最近は、業務用も一匹より、調理が簡単な切り身の方が好評という。

パリのランジス流通基地の魚貝類1 パリのランジス流通基地の魚貝類2 パリのランジス流通基地の魚貝類3 パリのランジス流通基地の魚貝類4

◆瓶詰め、缶詰

味に煩いフランス人は缶詰は好まず、瓶詰めが圧倒的に多い。

パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰1 パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰2 パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰3 パリのランジス流通基地の瓶詰め、缶詰4

◆穀物

米はパエリヤ、ドリア、ピラフ、白飯などに使われ、麦類はパン、パスタの他主菜の付け合わせとしても使われる。米はスーパーマーケットでも売られており、フランス産ジャポニカ米は美味しくて安い。

パリのランジス流通基地の穀物1 パリのランジス流通基地の穀物2

◆調味料、香辛料

世界の調味料、香辛料が揃っている。湯浅醤油、土佐酢、きび酢、本みりん・・・本格的日本料理を作るのにも不自由することはない。

パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料1 パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料2 パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料3 パリのランジス流通基地の日本の調味料、香辛料4

パリの食品流通基地、ランジス(1)野菜編

パリを中心に、EU近隣地域を含めて約1500万人超の消費者に食材や花卉を供給しているのがランジス流通基地で、パリ市街から車で南に約30分走った所にある。ここには国内はもとより、ヨーロッパ、アフリカ、中東、南米など世界各地域から食品や花卉類が送られてくる。主力はトラック輸送だが、近くにオルリー空港があり、航空貨物輸送も整備されている。敷地面積232㌶で世界最大、毎日25000台超の車が出入りする。
多数の建物が整然と建ち並び、大小約1200社、約12000人が働き、年間150万㌧の食料品が流通している。

ここで18年間、青果物の仕入れ販売をしていたHさんに1月と4月の2回、青果物、乳製品、肉製品、魚貝類、加工食品、穀物、調味料など多種類の売り場を案内して頂いた。
膨大な数の中から選択して画像をアップする。詳細は記録できなかったので概略を記しておく。
(野菜解説)服部麻子氏

◆取引

パリのランジス流通基地

日本の市場の様に「競りによる取引は無く、すべて相対取引。出荷者(生産者)から事前に構内の仲買業者に見本と見積り価格、規格など取引条件が提示され、仲買はそれを参考に、最適な顧客と商談し、成約したら出荷者に発注する仕組み。
出荷段階で価格や取引条件が明確に決められている為、出荷者、仲買、買い人は安心して取引できる。勿論、品質などに問題が生じた場合は話し合いで解決する。天候や輸送トラブルで欠品しそうな場合は、場内業者間で融通しあう。
品薄になってくると取引価格が上昇し、過剰になれば下落する市場メカニズムは機能している。生産者は採算価格が維持出来ない場合は自主的に産地廃棄し、出荷しない。日本の様に採算割れ状態でも商品が送られてくることは殆どない。仲買は必要以上の数量は注文せず、買った物は一定の利益を乗せて売り切る。低リスクで確実に利益が確保できるから、殆どの業者は健全経営だと言う。
Hさんに「農家は儲かっていますか?・・・」と聞いたら暫く考えて「うーん・・・作っているモノや生産者の技術にもよるけど、リスクの大きい商売だから一部の人以外はあまり儲かってはいないでしょう。天災等で作物が取れない時は本当に気の毒です・・・」と答えた。

◆トマト

トマトはここでも人気商品!芸術の国らしく、色や外観のバリエーションは豊富。冬~春は国内産よりもスペイン産が主流で、最近の話題は黒トマト。色とりどりのトマト詰め合わせセットも人気!
水耕や土耕を使ってEU全域へ通年供給している会社もあり、売り上げを伸ばしている。

パリのランジス流通基地のトマト1 パリのランジス流通基地のトマト2 パリのランジス流通基地のトマト3 パリのランジス流通基地のトマト4 パリのランジス流通基地のトマト5 パリのランジス流通基地のトマト6 パリのランジス流通基地のトマト7 パリのランジス流通基地のトマト8 パリのランジス流通基地のトマト9 パリのランジス流通基地のトマト10 パリのランジス流通基地のトマト11 パリのランジス流通基地のトマト12

◆パースニップ(フランス語: パネ Panais)

パリのランジス流通基地のパースニップ

ピューレ、クスクス、ポトフなど、煮込み料理やスープの具として、あるいは生のまま千切り、または荒くおろしてサラダにして食べる。味に癖があるので一時は「忘れられた野菜」としてあまり見かけなくなっていた。最近、逆に「昔懐かしの野菜」として見直されるようになってきた。

◆莢インゲン インゲンマメ(フランス語:ココ・プラ Coco plat)

パリのランジス流通基地のインゲンマメ

冬期は南アフリカ、モロッコなどからの輸入が多い。輸送が不便なアフリカ内陸から運ばれ、10日間もかかる場合もあるので鮮度が良くない物もある。
しかし、インゲンのカリスマは『最近は輸送技術が進歩し、遠隔地でも着荷鮮度は非常に良くなっている』と言っていた。フランスで莢インゲンは一般的にくたくたになるまで茹でて主菜の付け合せやサラダの具として食べることが多く、鮮度は余り気にしない。

◆莢エンドウ

パリのランジス流通基地の莢エンドウ

これは近郊産地物らしく、鮮度は非常に良い。食べ方は莢インゲンとほぼ同じ。スジを取らなくても良く、調理も簡単。

◆ホワイトアスパラガス

パリのランジス流通基地のホワイトアスパラガス

グリーンもあるが、ほろ苦いホワイトアスパラはヨーロッパの伝統的旬の食材。
歯ごたえが無くなる位に茹で、オランデーズソース(バターとレモン汁を使って作ったマヨネーズの様なソース)をかけて食べることが多い。

◆レッドアンリーブ(チコリ)

パリのランジス流通基地のレッドアンリーブ(チコリ)

通常は白色だが、美しいバイオレット系赤で人気が高い。案内人Hさんは「日本でもこれから売れると思うよ」と話していた。
ベルギー産が多いが、この発色技術は見事!
荒目の千切りにし、食べる前少し酢の入った水につけておくと、変色しにくい。ハードタイプブルーチーズ、、リンゴ、クルミと混ぜて、バルサミコとオリーブオイル、マスタードをベースとして作ったドレッシングをかけて食べる。ほろ苦さが良いアクセントになって美味い。

◆唐辛子(フランス語:ピーマンオワゾー Piment oiseau)

パリのランジス流通基地の唐辛子1 パリのランジス流通基地の唐辛子2

直訳すると『小鳥唐辛子』。名前の通り小柄で、さまざまな形のものがある。なかでもこの品種はかなり辛い物らしい。アフリカなどから輸入されている。フランス本土ではほとんど栽培されておらず、販売先も殆ど移民の人達が対象。ちなみにフランス人は伝統的に唐辛子を食べる習慣があまりなく、今でもピリリとした辛さに慣れない消費者が多い。案内人曰く、この品種はなかでも、非常に辛い方らしい。アフリカ、アジア系の食料品ショップで見かける。

◆甘唐辛子

パリのランジス流通基地の甘唐辛子

辛みが少ない唐辛子。NPOココペリのカタログによれば、在来種の中に色、形状など様々な品種がある。

◆ズッキーニ

パリのランジス流通基地のズッキーニ

緑色が主流だが、黄色も比較的頻繁に見かける。レストランでは黄色い色を活かし、皿に彩を加える付け合せとして利用されることがよくある。

◆ブラウンマッシュルーム

パリのランジス流通基地のブラウンマッシュルーム

「シャンピニオン・ドゥ・パリ」という名前の通り、パリ近郊の名産品で白と茶色いものがある。最近はポーランド等で大量生産された安い輸入物が出回っている。画像はパリ近郊で昔ながらの石壁で覆った地下室で栽培されたもの。土着菌が地下室に住み着き、自然に生えてくる。茎足に土がついている方が傷みにくいため仲買人に重宝される。もちろん、パリ近郊の農家で生産された物の方が味も香りも格別に良く、高い値段がつけられている。

パリのランジス流通基地のジロール茸の一種

◆おそらくジロール茸の一種だと思われるが、はっきりは断定できない。いずれにしろ、フランス人は相当なキノコ好きだ。ランジスにもキノコを専門に扱う卸売業者もおり、品揃えはなかなかのものだった。

◆紫ブロッコリー

パリのランジス流通基地の紫ブロッコリー

最近見かける様になってきた紫色ブロッコリー。
玉状ではなく、花芽のみを束にして売っている。紫色のブロッコリーと言うと、なんとなく毒々しい感じがするが、料理に彩を添える役目をしたり、珍しい色形だったりする野菜が重宝されるフランスでは、この様な商品も売れると言う。

◆ロマネスコ

パリのランジス流通基地のロマネスコ

イタリア、ローマ近辺が発祥地とされるカリフラワーの一種で、味はブロッコリーに近いとされる。フランスでは1993年頃から流通が盛んになった。西部、ブルターニュ地方が主な生産地。ただし普通のカリフラワーやブロッコリーと比較すると、まだ一般家庭で使われる機会は少ない。レストラン等では色、形の違うブロッコリーを組み合わせて調理したものが主菜の付け合せや温野菜サラダなどに使用されているのを見かける。使いやすいように房を外した冷凍ものも出回っている。

◆ラディッシュ

パリのランジス流通基地のラディッシュ

スーパー等では年中見かけるが春の風物詩的存在。これが市場に並び始めるとフランス人は「春が来たな~」と感じる。長細いもの、丸いもの、どちらも店ではよく見かける。有塩バターか塩をつけて食べるか、サラダの中に入れて生で食べる。葉は生のままサラダに混ぜて食べることもあるが、日本の様に茹でておひたしの様にして食べることはあまりない。
右横にちらりと見えるのはミニキャベツ。フランスでは「シューブリュッセル」

◆長カブ

パリのランジス流通基地の長カブ

フランスのカブは丸くて中央部が赤紫色をしているものが主流。時々大根の様な形をしたカブも見かけるが、この様に人参並みに細い物は非常に珍しい。。多分レストラン等、プロ向けの商品と思われる。品種改良で生まれた新品種と思われるが、白い人参、パネ、アジア系のショップでみかける白大根など、どれも何となく似ているのでややこしい。ちなみにフランスでは大根は黒大根が主流。地方ではまだ白い大根を見かけることは少ない。

◆グリーンセルリー

パリのランジス流通基地のグリーンセルリー

フランスでは主に球形をした根セロリと、日本でもよく見かける枝型をしたセロリが流通している。
これはイタリアからの輸入物。

◆サラダ菜

パリのランジス流通基地のサラダ菜1

フランスではレタスの種類が結構豊富で、サラダ、サラダ・ルージュ、チコリ・フリゼ、サニーレタスに似たバタビア、小柄なスクリーンなど、それによって名前も変わるから判別がややこしい。ただし、日本みたいな結球レタスは滅多に見かけない。食感と味はどれも微妙に違うが、一般消費者は対して品種や種類に対するこだわりを持っているようには見えず、新鮮ならばOK,といった感覚の者が多いように感じる。カフェやビストロで食べるサラダには、形やボリューム、色に変化をつけるため、何種類かの異なる葉物野菜 (特にレタス類)を混ぜていることが多い。

パリのランジス流通基地のサラダ・ルージュ1

◆サラダ・ルージュ (だと思う)

パリのランジス流通基地のサラダ菜?

◆?

パリのランジス流通基地のバタビア

◆バタビア

パリのランジス流通基地のマシュ1 パリのランジス流通基地のマシュ2

◆マシュ

味はホウレンソウに似ているが、大半は生でサラダとして食べる。クセが少なく食べやすいのでフランスでは人気の高い野菜だ。ただし地場ものだと一株ずつ土や砂がついている場合が多く、洗うのが少々面倒くさい。箱にかけられているタグの真ん中には、〈化学除草剤不使用〉〈減農薬栽培〉〈熱蒸気による土壌消毒〉と書かれており、下部オレンジ色の部分には、〈風味...品質...新鮮さ...〉という文字が順に並んでいる。

◆クレソン

パリのランジス流通基地のクレソン

パリ近郊には有名なクレソンの産地があって、これも確か近郊で採れたものだったと思う。少々ピりっとして癖のある味をしているが、結構それが好きなフランス人も多い。レタスや他の葉物と混ぜてサラダにしたり、バターで炒めた玉ねぎとジャガイモなどと一緒に煮込んでからミキサーにかけ、仕上げにクリームを加えてポタージュにしたりもする

パリのランジス流通基地のキャベツ

◆フランスでもっともよく見られるキャベツのひとつ。
煮込みやスープの具材としては非常にすぐれものだが、生で食べると青臭さとエグ味があり、筋張っていて固い。お好み焼きや生食用サラダ、炒めものにはあまり向かない。

パリのランジス流通基地の葉菜類

◆?

パリのランジス流通基地のコールラビ-

◆コールラビー

パリのランジス流通基地のアンティチョーク

◆アンティチョーク

パリのランジス流通基地のイチゴ

◆イチゴ
大玉系が目立つようになってきた。

エスカルゴ牧場から日本へのメッセージ

フランスのエスカルゴ農家

フランス料理と言えばフォアグラ、トリュフ、エスカルが頭に浮かぶ。エスカルゴは日本人は余り口にしないがフランス人と食事をすると、オードブルとして注文する。身の部分を加熱してニンニクとパセリのみじん切りを練り込んだバターを乗せて出てくる。フランスでは最高級のご馳走である。
友人Gさんの案内でパリ郊外にある養殖家Mさんを訪ねた。彼は以前、パリの高級ブランド店に勤めていたそうで、日本人に親しみを感じていた様だ。エスカルゴの話が始まると彼の目が輝き、講釈は留まることを知らなかった。

◆エスカルゴの家

エスカルゴの家-1
エスカルゴの家-2

◆エスカルゴは巻き貝の一種で、乾燥する環境では活動できない。雑草が生え適度に湿度が保たれている場所に、木製の餌場を置き、その上部に日光を遮るための板木を三角屋根状に乗せて、温度変化が少なく風通しの良い環境を作る。潅水は常時、欠かせないから、良質な井戸水が用意出来る場所が適する。

エスカルゴの家-3

◆飼育場から逃げ出さないように、高さ40cmくらいのブロック塀で囲み、屋根を乗せ、更に微弱な電流を流した電牧線(中央部)を張ってある。これで脱走はほぼ防げる。

エスカルゴの家-4

◆幼虫は春に専門業者から買う。食用の種類は地域により異なるが、味はやはり本場のブルゴーニュ種が美味しい。
餌は石灰、大豆、トウモロコシの粉を置き、撒水しておくと、夜に食べに来る。
エスカルゴ1kg育てるのに1.2~1.4kgの餌が必要。80%が水分だが、餌代は1000匹当たり10ユーロ(約1000円)、1匹1円程度かかる。5月に幼虫を入れて秋の出荷時に一匹当たり3.5~4円で売れる。

エスカルゴ農家の家

◆彼は退職してから一時、タクシーの運転手をしていた。三つ星レストランの送迎をしていた折、エスカルゴ料理が非常に高価である事を知り、自分も養殖してみようと、ここに2.5㌶の農場を買った。
スタート時の計算では3000㎡で13㌧の出荷を見込んでいたが、実際はたった3㌧・・・(笑い)
国内に養殖家は数百戸程度あるが、大手で3~4㌶規模、年間出荷量100㌧超。この規模を目指して5年間、試行錯誤してみたが、出荷量は期待していたほど増えなかった。今後、技術の向上を見込んでも、到底採算に乗る目処は立たないと悟った。

エスカルゴ農家の動物

◆元々生き物が好きで始めたので、ここでやめる訳にはいかない。1000㎡に縮小して、この規模で今までの経験を生かして継続できる道筋を探った。農場で馬や兎、地鶏、ハリネズミなど飼って子供達の遊び場として解放し、自宅でエスカルゴ教室を開いた。これが関係者の間で話題になり、今では行政府から教育予算を頂ける様になった(笑い)

◆最初、何故、大きな見込み違いをしたか・・・
技術の未熟さもあるが、農産物の市場開放という重要な事があまり頭に無かった。当時は輸入品の事など考えていなかった。しかし、今ではトルコ、ウクライナ、ポーランドなど周辺国から安い加工品が大量に流入し、国産品はじり貧状態。
エスカルゴは加熱して一旦、殻から外して内臓を切り取り、身の部分を塩で揉んで滑りや臭みを取り調理する。人件費の高いフランスでは原料よりも加工賃が高くつく。一般のレストランや家庭では直ぐに調理できない。しかも安価な輸入品に人気が移りつつある。ニンニク、パセリを練り込んだバターも全部セットになってオーブンで焼くだけで食べられる・・・味に差があるとは言え、国産品の地盤沈下は止めようにもない。

日本もTPPなど自由貿易推進で農産物の更なる市場開放を求められると聞いている。しかし、絶対、受け入れてはいけないよ!先進国の中小農家は市場開放されたら途上国の安い農産物に占領され生きて行けなくなる・・・。日本の皆さんにこの事を伝えて下さい。

【コメント】

Mさんのエスカルゴに対する愛情、知識、子供達に伝えようとする情熱はただ者ではない。習性、生殖、天敵などエスカルゴが厳しい生存競争の中で命をつなぐ現実を、理屈だけでなく、標本や身体を使って総合的に教える様は、達人の境地!

今回、大統領選の真っ直中で、自由主義路線継続のサルコジ氏と中道左派路線への転換を主張するオランド氏が国論を二分して戦った。結果はオランド氏の勝利に終わった。ユーロ危機など色々な要因はあるが、EU統合で弱肉強食、格差社会が進んで、その歪みが表面化している結果と言える。特に労働力依存型中小弱者は低賃金の周辺国との競争に敗れ、生活への影響が明確化している。

今回お会いした方々の多くは、日本は安易に自由貿易、市場開放に踏み込むとフランスの轍を踏むのではと懸念していた。フランスは農業国であるから競争力の弱い農業者は確かにそういう見方になる。日本は最早、現状の農業を守っても産業競争力が弱体化し、国力が衰退したら結果的に農業も守れない。社会変化で経営難に陥った企業がリストラを断行している様に、すべてを守るのではなく取捨選択し、競争力のある部分を伸ばして再生につなげなければならない。

フランスのオーガニック農家を訪ねて(3)南仏モンペリエ

フランスのオーガニック農家といっしょに

NPOココペリを訪ねた翌日、モンペリエの大学と連携してオーガニックの産直支援研究をしているK女史(左から2人目)に案内して頂き、地元のオーガニック農家を訪ねた。K女史は陽気なラテン系マダムで4人の母親。こちらと会話しながらパソコンと向き合い別の仕事をしているスーパーウーマンだ。右側が当園オーナーマダムFさん。実直そうな人柄で質問に丁寧に答えてくれた。

オーガニック農家の圃場 オーガニック農家の鶏

◆経営面積は?
『ビニールハウス25㌃、露地で1.2㌶作っています。スタッフは自分を含めて3人ですが、忙しい時期は近所の人に応援してもらいます』

◆作っている野菜は?
『殆ど産直ですから種類が多くないとお客さんが限られてしまいます。季節ごとにキャベツ、玉葱、馬鈴薯、人参、トマト、茄子、胡瓜、ピーマン、ホウレン草、レタス・・・など、年間40~50種類作っています。八百屋さんに並んでいる物は殆ど作っていますよ』

◆全部オーガニックですか?
『そうです。化学肥料も化学農薬も使っていません。土作りは地鶏を飼って出た鶏糞を発酵させた肥料、落ち葉と近くの畜産農家から出る厩肥を切り返して発酵させた堆肥だけです』
『オーガニックで一番労力のかかるのは草取りです。全部手で取りますが夏は次から次へと生えてくるので雑草退治に追われます。プラスチックフィルムマルチは環境への配慮から使いません』

◆日本のオーガニック農家は害虫対策で苦労していますが?
K女史『ここでも色々な害虫がいます。特にアブラムシの発生が多いです。ハーブなどとの混植や輪作が基本ですが、それだけでは防ぎきれません。作物と害虫名が判れば大学の研究室で蓄積したノウハウで対応策を提供しています。天敵昆虫や植物抽出エキスがかなり有効です。自然界では完璧は無理ですが・・・それ程困る様な大発生はありません』

◆アジアではニーム(インドセンダン)が使われていますがフランスでは?
『名前は知っていますが、ここでは使われていません。地場で調達できる資材が基本ですから』

◆オーガニック(AB)認証(は難しいですか?
『申請するとお役人が来て簡単なチェックがありますが、何回も来るわけではありません。オーガニック農家は非常に少ないですから定期的にチェックするのは効率が悪く、コスト的に不可能です。登録料は年間100ユーロですから・・・。毎日、農場の近くにある直売場に消費者が買いに来ますから、むしろ彼らにチェックされていると言ってもいいでしょう。産直のオーガニックは理屈ではなく人と人との信頼関係で成り立っている面が強いです。顔の見えない不特定多数、大量生産販売とは異なります』

◆販売は?
『この辺は地中海に面した観光地で、夏には大勢のバカンス客で賑わいます。レストランや各地にある直売場で全部売り切れてしまい、毎年、品不足状態です。オーガニック農家は少なくとも半径10km以内にはありませんから、傷んでいなければ屑物でも売れてしまいます。慣行品のように取れ過ぎて捨てた経験はありません(笑い)』
『販売価格はほぼ通期同一価格で売っています。平均すれば慣行の野菜と比べて変わらないでしょう。私達の直売場に安さを求めて来店するお客さんは余りいないと思います。リピーターを増やしてロス無く売り切ることが経営的に最も大切です』

◆経営は順調ですか?
『自分で価格を付け、多品種、売り切り型ですから大型農機具や冷蔵、貯蔵施設は不要で、償却費はあまりかかりません。種子代はともかく、肥料や農薬など生産資材費も、慣行農業と比べたら格段に安いです。殆どが手間賃ですからお陰様で経営は順調です』
『これからもっと仲間を増やそうと募集を始めました。パートナー2人で当園で研修してもらい、自信がついたら自分達で独立すればいいのです。農業は一人では大変ですから、基本は二人です。男女の組み合わせは如何様でも構いません』

オーガニック農家の直売場

(直売場)
シーズンオフのため表戸は閉まっていたが、夏は大変賑わうと言う。
ここだけではなく各地に直売場があり、配達している。

オーガニック農家の葉菜類

(葉菜類)
シーズンを通して鮮度の良い葉菜類が並び、安全性が高いので人気商品。

オーガニック農家の土付き人参

(土付き人参)
フランスでも基礎野菜の一つである人参は、土付きで貯蔵し、長期間供給している。オーガニックのため、傷みにくい。

オーガニック農家のリンゴ

(リンゴ)

オーガニック農家の地鶏タマゴ

(地鶏タマゴ)
放し飼いで美味しく、鮮度も良いので人気商品!

オーガニック農家のハーブティー

(ハーブティー)
ドライ、瓶入りハーブオイル、エッセンスなど・・・香りを楽しむフランス人には欠かせない。

オーガニック農家のジュース、ジャム、ケチャップ

(加工品)
ジュース、ジャム、ケチャップなどが並んでいる。

モンペリエ近郊を結ぶローカル線

(モンペリエ近郊を結ぶローカル線)
利便性は良いとは言えないが、お洒落なデザインの車両は鉄道ファンならずとも乗ってみたくなる。

南フランス(プロヴァンス、コートダジュール)のランチ

(ランチ)
駅前のレストランで昼食をとった。
南フランス(プロヴァンス、コートダジュール)の料理はパリなど北部と異なり、野菜、モツァレラチーズ、オリーブオイルをベースにしたイタリアンが多い。パスタの上に新鮮な野菜がたっぷり盛られ、ヘルシーでとても美味しい。

フランスの回転寿司

(回転寿司)
モンペリエ市内に「回転寿司」と日本語で書かれた行灯があり、?を感じつつ店に入った。
カウンターは日本でもお馴染みの楕円形ベルトコンベアー方式。カウンターには座らず、テーブル席に座った。メニューは日本の居酒屋ランクで、焼き魚(サンマ?)、ホウレン草の白和え、豆腐、インゲン豆、しめ鯖、蛸、マグロなどの刺身。まずまずの味であった。ワインは何処で呑んでも安くてレベルが高い。

【コメント】

南フランスは北部や東、中部の大規模農業地帯とは異なり比較的中、小規模の農地が見受けられる。ワインなども数量より個性を重視した生産者が多いと言われている。野菜畑は殆ど見かけない。
K女史はオーガニック農産物の流通支援NPOを運営しているが、フランスにはこの様な農業支援NPOが多い。K女史によれば活動資金は企業や有志の寄付金、大学の研究費で賄われているが、最近は経済停滞で資金が集まりにくくなっているという。しかし、各分野の民間NPOの専門家が積極的に支援活動を展開していることは流石、農業国フランスである。Fさんの様な自立した生産者が育てば、農業に別な価値観を持った人達が集まり、新しい農業コミュニティーが誕生するかも知れない。
フランスでも仕事のない人達が増えており、希望者は多いらしい。しかし定着するかどうかは日本と同様に微妙な問題だが、K女史の様な頼りになる人材が日本でも育つことを是非期待したい。

当地の成功キーワードは「バカンス客」の取り込みであり、日本も海外観光客を含めて考えたい。

これからのトレンド(1)

今冬は久しぶりに寒い冬だった。さすがに3月に入ると日増しに日が長くなり、外は明るく、いよいよ春到来である。

しかし相変わらず明るいニュースは少なく、長年のツケがまわってきているな・・・と思わせる。日本に限らず先進国は成長先食い経済、つまり赤字経営で各国の状況は共通している。日本は戦後から朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争など次々と特需があり、最近では中国を中心としたアジア周辺国の急成長など好環境が続いてきた。しかし、リーマンショックを契機に、国家単位の金融不安が表面化し、相対的に安全と言われる通貨「円」が買われ歴史的な円高となった。構造的な少子高齢化も止まらず追い打ちをかけるように、産業競争力急低下、大震災、原発事故など終戦以来の「痛み」いや「激痛」と「不安感」を感じている国民が増えている。

地方より都会でその傾向が顕著で、従来の安定していた社会の「モノサシ」が通用しなくなっている。

 

今後のトレンドを探るため12月から各地を歩き、青森と北海道については書いた。引き続き西日本、関東周辺について書く予定でいたが、野暮用で時間が経ってしまった。

 

半年ぶりに宮崎、熊本、福岡を訪ねた。今冬は異常低温と燃料高でハウス栽培の経費が嵩み、収量も思わしくなく、農家の表情は冴えない。燃料代を気にしてハウス温度を下げた生産者は肥大や着色が進まず、高騰する相場を横目で睨みながら、ため息を漏らしていた。長年の勘を働かせて管理するテラン生産者よりも、パソコンでコスト管理をしている若手農業人に減収の傾向が強い。余裕のない生産者は燃料高と異常低温のダブルパンチでは温度を上げる攻めの管理が出来ないという。寒さと日照不足が続いてトマトの樹が弱り疫病症状などが出始め、踏んだりけったりの生産者も出ていた。トマトはテレビ番組の影響で特需もあり相場が跳ねていたが、生産者がそれほど潤っている話しは聞かれなかった。

 

その中で、高糖度ミニトマトを大規模栽培し、安定した販売先を持っている生産者(農業法人)は元気だ。一昨年、訪ねた時は作付面積4㌶と話していたが、注文数が増えているので倍増する計画と話していた。関係者の話では今の所、順調に拡大が続いている様だ。ここでは大方の販売単価が決まっているので、思い切って資材を投入する「攻め」の栽培が可能なため収量は多い。殆ど有機で栽培しているため、大規模栽培に関わらず味のブレも少ないという。

 

温度設定の高いピーマンはトマトよりも設定温度が高いから燃料高は深刻。主産地宮崎では雪が降った日が数回あったから、収量は最低と話していた。ここでも相場は高いが、前向きな話しは聞こえてこない。

熊本でカラーピーマンを栽培している農業会社のハウスを訪ねた。「今の時期は超品薄で注文が多いが収穫量が少ないので経費倒れ・・・温かくなる頃には相場が下がり、販売に苦労する。なかな儲けさせて暮れない」な~(笑い)。この数年、天候が良くないので着色が進まず、赤、オレンジ、黄色3色の収量バランスが取れないので2色セットが定着、サイズもバラバラ・・・売り場の注文通りにはいかないね」

 

鹿児島、宮崎の南九州には昨年2500㌶超の「葉たばこ」が栽培された。しかし、禁煙定着や安価な外国産に押されて2012年度の公告面積は1.291㌶(▲49.3%)に半減する。

全国合計では約4.500㌶(▲33.9)の大幅減反となる。

半減する南九州では対策に頭を痛めている。関係者の話では葉たばこは手間はかかるが安定して収益を確保出来る数少ない作物だったため、それに代わる転作は難しいという。一時勢いのあった芋焼酎ブームも一段落、不足していた原料芋の需給が緩和してきた。今更、小麦、大豆など穀物類では飯が食えない・・・行き着く先は野菜の大規模生産しかない。消費地に遠いハンディーを背負っているため、冷凍や業務用野菜になる。安定供給を旗印に低コスト大規模栽培の取り組みがが始まっている。従来も冷凍や量販店向け青果生産者がいたが、中食など業務用中心にした産地作りが広がっている。1品目1生産者あたり5060㌶規模で、土作りから物流まで徹底したコストダウンが検討されている。品目はキャベツ、ブロッコリー、ホウレン草などが中心だが、夏野菜は北海道、冬野菜は南九州のリレーで周年安定、安価供給体制が整備されて行くだろう。

勿論、安全性や高品質を競争力として、アジア諸国の富裕層向けに輸出する計画も始まっている。「災いを転じて福となす」の言葉があるが、前を向いている生産者には好機と映る。

業務用だけではなく青果用としても出荷されるから、既存の中小規模生産者には将来、脅威となる可能性もある。

 

昨日、宮崎の友人から葉タバコの転作状況について電話があり、播種期を控えていろいろ検討されてきたが、不透明な経済状況を反映して話しがまとまらず、結局、作り慣れている焼酎芋になりそうだと話していた。

農家も惣菜加工業者も、リスクは取れないから安全指向なのだろう・・・

 

2011年の総括(津軽、北海道編)

今年も世界的に色々な事件や異変が起こり、波乱に満ちた1年であった。国内では大震災、津波、原発事故、記録的大雨、日照不足、気温変動など、人間の知恵や力が及ばない自然の猛威に翻弄された。考えてみれば毎年、大なり小なりこの繰り返しである。近年、地球温暖化が気候変動の原因とする共通認識が定着したがCOP17の結末が示す様に人間のエゴ、目先の利益追求は容易に止まらない。

日米欧先進国の財政危機も、国内外の利害が複雑に絡み合って、的確な対応策は打てず、世界経済の先行きは未だ不透明である。

日本の経済が良くならなければ消費は停滞し、農業も盛り上がらない。農家も世界経済の動向に関心を持ち、グローバルな視点で未来を考えて行きたい。

 

11月下旬から青森(津軽)、北海道方面を歩いてきた。これらの地域は国内でも経営規模が大きく、基本的に稲作、畑作中心の農業だが、減反政策で、トマト、メロン、スイカなどの果菜類や大根、人参、長ネギなど露地野菜が増えた。現地で聞いた話しを書く。

 

(果菜類)

トマト、メロン、スイカなど果菜類は、春先の天候不順で生育出遅れが目立ち、一部大雨などの被害もあって切り上がりも早かった。従って通期で品薄傾向となり、例年の様に盆前の暴落場面もなく、全体的に高値で推移、総じて生産者の顔は明るかった。高騰したトマトなどは、天候異変で品質が低下した産地は市場で買い叩かれたという話しも聞いたが、今年の様な品不足の年は、品質は二の次、出荷した者勝ちの様相は否めない。

 

メロンはギフト需要の低迷が懸念されたが、出荷量が限定的だったため、まずまずの価格で推移した。スイカも高気温に支えられて好調だった。

この所、余り元気の無かった胡瓜やピーマン、茄子の産地も息を吹き返した。全国的な収量減と東北主力産地(福島、岩手)の出荷減で需給が締まり、堅調相場が続いた。但し、需要が伸びている訳ではないので、来年もこの状態が続くか否かは定かではない。

 

果菜類は管理に手間がかかり、ハウス用パイプや被覆資材が値上がりしているため、新規投資して規模拡大する生産者は余り見かけない。今後の栽培面積は現状維持か暫減傾向。高齢化で減反、廃耕する生産者もじりじり増えているが、品種改良や栽培技術の向上で、面積減分をカバーしている。出荷減は頻発している気象災害の影響が大きい。

 

経営規模としては、家族労働中心でトマト50㌃、メロン1.5㌶、スイカ2.5㌶、パート雇用でトマト1㌶、メロン3㌶、スイカ4㌶が目処である。一時増えた大規模企業化農業は、収量や価格変動が大きい上、収穫期間の短い北国では採算的に難しい。特に有利販売を目指すトマトは、安定した高品質が求められるため、大規模栽培すると管理が行き届かず、ロスが多発して、収益が伴わない事例が多い。

 

メロンは品種改良が進んで春から秋まで栽培できるが、大規模栽培すると適期管理と労働力の配分が難しい。ブランドメロン産地夕張市のKさんは4㌶のメロンを作っているが、2月頃から11月迄外国人労働者を雇用するため、メロンの後作として、ホウレン草を作り、収入を確保している。

富良野でスイカを主力に経営している農業会社T社は、パートでは微妙な管理が行き届かないと、正社員を年間雇用し、プロの農業人育成に取り組んでいる。4~5年前、スイカ15㌶に挑戦したが、まだ管理技術が伴わず、病害が大発生して一旦縮小、メロンやアスパラガス、スイートコーンなど多角化に取り組んだ。 しかし、品目を多くすると労働力が分散して効率が悪く、販売も思っていたほど簡単ではなく、忙しいばかりで収益は上がらなかった。スイカのプロが育ってきたので来年は再び15㌶に挑戦する。品質については市場から高く評価されており、特に品薄になる9月出荷を要請されており、勝負をかける。接ぎ木ロボットの導入を含めて、徹底的な省力、低コスト化を図る。スイカは作柄、需要とも天候に大きく左右されるが、夏から秋にかけての高温化が定着し、この時期はライバル産地が限られるため成功する確率は高まっている。 

 

(南瓜)

定植遅れと日照不足、大雨などが影響して全体的に品質不良、大幅減収の地域が多い。病害も多かったため貯蔵や輸送中の腐れが目立ち、特に道北産地では苦戦した。数年前より果皮にイボ状の突起がでる病気が増えており、出荷歩留まりに影響している。ボルドー液などの散布で対応出来るという話しもあるが、元来、防除回数は1~2回が限度。今後は防除対策を再検討する必要がある。

南瓜は5~6玉中心に仕上げないと農家は収益が上がらない。今年は品種にもよるが栗系は7玉中心の産地が多い。不作の割に相場は低迷し、一部のブランド南瓜を除いて厳しい年であった。九州で抑制、貯蔵南瓜がジリジリ増えており、今後、道産、西南暖地、輸入品の棲み分けが課題となりそうだ。

量販店は11月以降の道産品は傷みが早いので、今年度は早めに見切りを付けて、輸入品にシフトしたという情報もあった。

また、今年度の小玉傾向と、店頭価格を大幅に下げるため、7・8玉サイズを主力に販売する量販店が増えているという(産地業者の話)

 

(玉葱)

主産地空知、富良野は定植遅れと大雨の被害で大幅減収、北見、斜網地区は雹の被害が懸念されたが平年作に近いという。不作の割に相場は上がらず生産者の表情は厳しい。

JA担当者の話では「昨年は異常な高値、今年は昨年に比べると安いが、平年並みの値段です」と話していた。玉葱は納入価格がある程度決まっている加工向けが多いため、昨年の様に暴騰すると業者は赤字となる。その為加工用として、産地と数量と価格を事前に決めて、毎年、国産品を一定量供給、輸入品の突出流入を防ぐシステムが構築されている。しかし、昨年の様に極端な減収、市況暴騰があると、取り仕切っているJAに対し生産者の不満が強まり、安定集荷が難しくなるという。

加工業者は昨年の暴騰に懲りて、一部輸入品を増やした様だ。

 

 (馬鈴薯)

昨年に引き続き不作だが、青果用は販売不振で相場は低迷している。量販店売り場では、馬鈴薯は惣菜に使う業務用が拡大している。「買い」の問い合わせは殆ど業務用で、価格の安いSサイズやB、C品。青果販売用の馬鈴薯はブランド品を別にして苦戦が続いている。

 

(人参、大根、牛蒡)

青果需要は長期低落トレンド。伝統的な野菜であるから、業務用に活路を見出すチャンスはあるが、単価的には厳しい。いずれにしても大規模低コスト栽培か、小規模こだわり栽培が基本となっている。

天候不順で作柄、相場とも不安定で、技術のある生産者は契約栽培の道筋を付けたい。

 

水稲・小麦・大豆などの穀物肥料

世界競争の中で圧倒的に不利な作物は、土地利用型、つまり大規模低コスト栽培の穀物類である。自由貿易交渉でいつもこの分野が攻められる。穀物は自国の安全保障に係わる重要作物であり、簡単に譲歩することは出来ない。さりとて、35倍もある内外価格差は解決不可能な水準であり、自給も米以外はままならない。

米、麦、大豆、トウモロコシ(飼料)、菜種(採油)、甘味作物(砂糖)、芋類(澱粉)・・・昔から作ってはきたが、国際競争に耐えうる穀物は見出せない。。

強いて言えば、伝統的に慣れ親しんだ食味と品質、国産という安心感がある。効率化して生産コストを削減することは当然だが、方向性は「商品価値」の向上が基本であり、内需だけではなく海外需要を含めて新規開拓に挑戦したい。穀物は単価が安く、単位面積当たりの収入が低いから、投入資金は限られる、天候要因も大きく係わるから、大きな改善は期待しにくい。しかし、生産者としては現状に甘えず、最大限の努力が求められる。

 

(水稲)

安定した売り先があればJAS有機や特別栽培も選択肢であるが、近年の気候変動で病害虫リスクが高まり、防除について充分検討しないと収益向上に結びつかない。但し、安全指向に変化はないから、病害虫発生の少ない地域では、検討の余地はある。当社では生産者の状況をお聞きして栽培提案を行っている。創意工夫と販売先の開拓意欲があれば取り組みは可能である。栽培も販売も最低3年以上頑張らないと先が見えてこないから拙速は禁物である。本格的に取り組むには設備投資の問題が出てくるので、先ずは栽培技術をマスターしながら売り先を開拓するのが無難である。業務用(レストラン、給食、弁当など)は食味と価格のバランスが良ければ契約価格で安定した販売が期待できる。家庭飯米用は需要減傾向が止まらないから、小口客を深追いすると手間や送料が嵩み、採算が厳しくなる。

一般的には慣行栽培でコストを抑え、品質と収量を上げたい生産者が大多数だと思う。

品種選択以外は育苗と肥培管理がポイントとなるが、今後は更に大規模化が進むから細かい管理は不可能であろう。水稲農家は同じ土地で長年作っているから、水田の特徴を把握している筈だ。今までの状況と天気予報を勘案して元肥の量を決めるのが精々である。最近は蛋白値(食味値)により販売価格が決まる場合も増えているので、窒素成分を控える傾向が強い。昔は単肥配合で田により微妙に調整していたが、今は殆どが地域汎用配合で、施用量の調整が限度だ。使う原料は大体決まっているから、平年の天候ならば食味が云々という程の差はでない。但し、原料の組み合わせ割合と天候との関係で品質に影響する場合があるから、配合内容は見極めたい。

 

化学肥料をベースに食味を良くし収量も確保するには副資材が使われる。大きく分けると水質改善、菌体、有機質(アミノ酸)、ミネラルなどとなる。米の食味改善に関してはいろいろ研究されているが、圃場と天候次第という面もあるので決め手はない。農家で使われている資材は炭、嫌気性菌、ぼかし肥料、骨粉、魚粕、米糠、グアノ燐酸、貝化石、粘度鉱物、にがり、海藻・・・・など多様である。どの資材もある程度以上の量を使わないと実感できる効果は期待しにくい。一般的に使える副資材は反当3.0005.000円程度と思われる。

 

副資材を使わずに一発施肥で効果を上げる資材はないのか・・・こんな思いで「PK配合」を企画し試験を始めた。

PK配合」は燐酸、加里、苦土、石灰、マンガン、ホウ素、硅酸などを含む鶏糞燃焼灰、パームアッシュ(ヤシガラ燃焼灰)をベースに、窒素源として尿素、硫安、燐安、混合有機質肥料などを配合している。燃焼灰は酸処理で中性に近く、水溶性とく溶性溶性を含んでいる。

代表的な配合例(保障成分)は

窒素・・・12%

燐酸・・・18%

加里・・・10%

 

2011年度は北海道(空知、渡島)、岐阜県(飛騨市)で予備試験を行い、生育と収量は慣行と比較して遜色が無いことを確認した。食味については準備不足で、今回は結論が出なかった。試験してくれた農家は「充実が良いのでくず米が少なく収量もあった。食味も良いのでは・・・」と話していた。来シーズンの結果に期待したい。

 

(小麦)

コスト対効果を現状より上げるには「ミネラルPK」と硫安の組み合わせが最も良く、十勝では実用化されている。特に燐酸吸収係数の高い圃場にお奨めしたい。

 

(大豆)

有機成分(ぼかし)を含むPK配合(3-24-13)を作り試験した。試験区、対照区共に播種後雨続きで発芽がばらついたため、収量比較が出来なかった。順調に発芽し生育した株の状態を見ると着莢数が多く、期待できそうだ。

 

穀物はコスト最優先であるから、輸入化成肥料も選択肢である。ただ輸入は1コンテナ1000袋単位になるので、もう少し小ロットでと言う要望があり300袋(海上コンテナ)または250袋(JRコンテナ)単位で取り組む。

配合割合は生産者の希望により決められる。

(画像)

PK配合試験区・・・北海道樺戸郡浦臼町内

 

 

TPP論議、再び始まる(2)

重要なのは成熟期に入った日本で、新規を含めてどの産業に重点を置いて「財政」を立て直し、増大する社会保障などの出費に備えるかである。戦後の産業発展で国や企業、国民の資産は確かに増えたが、バブル崩壊で縮小してしまった。年金、医療、雇用保険などの積立金、埋蔵金も減少しており、一部の企業年金、健康保険組合は破綻して政府管掌保険に編入されている。収支バランスを取るため、毎年大量の国債を発行し、低金利で国内販売し約90%が日本国民、企業が持っている。しかし、国内の預貯金残高は減少に転じており、あと数年で買い付け余力が無くなるという。その後は海外の投資家に引き受けてもらうしかないが、高金利になると金額が大きいので、借金は雪だるま式に増えて行くと専門化は警告している。

 

直近で深刻なのは雇用が縮小していることである。雇用されても正社員ではなく契約社員が多く、収入は限られ、公的年金、社会保険の納付額は大幅に低下する。契約社員の約9割が年収200万円以下という。生活保護世帯204万に急増、年金支給年齢68歳に引き上げ、増税の検討着手など、国の財政危機は目前に迫っている。この様な社会到来で、農家が作った農産物がまともな価格で売れる保障は何処にも無い・・・・

 

この難局を乗り切るには先ず、ライバルが増えている従来型産業から未来型ハイテクに変えなければならない。人口減で内需では成長できないから、従来型はこれから成長する国々の需要を掘り起こし、取り込まねばならない。そのためには相互互恵の自由貿易で海外に出て行くしかない。しかし、農業の海外進出には食の安全保障を懸念して反対論が根強い。

 

今こそ大局観を持って小異を捨て大同につく英断が求められる。国際競争力が弱いと言われる農業だが、技術先進国であり、農業生産金額も世界5位の農業大国である。農民が自信を持ち、グローバルな視点で知恵を搾れば再生の芽は充分ある。例えば今まで多額の農業予算を使って育てた技術を国内だけではなく、海外の必要としている地域に提供し、収入源に育てる。技術を海外で生かすことは工業製品では常識である。相手国の経済発展に役立ち、日本製品の新規需要の掘り起こしにも役立つ。以前にも書いたが既に「日本食ビジネス」の海外展開が着々進んでいる。食関連企業はグローバル化を図らなければ、成熟した日本では成長出来ない。今後も投資は続くと思うから連携のチャンスはある。一筋縄ではいかないが、チャレンジ出来る人材の養成から始めなければならない。

 

「今の百姓にそんな事は出来ないよ・・・」という言葉をよく耳にするが、日本が発展できたのは「不可能を可能にした」先人達の情熱と、血の滲む努力があった。もう、ここまで来たら農業人は「甘え」「ぬるま湯」体質を捨て、今まで培った技術をフルに生かして国際競争に挑まなければならない。

先日、世界的指揮者小沢征爾氏が記者会見で「日本の若者はもっと積極的に海外に目を向け、出て行くべきだ。内向きは良くない」と危惧の念を述べた。一時、日本の若手音楽家の国際舞台での活躍は目覚ましかった。最近は中国や韓国など新興勢力に押され気味であることを懸念して述べたのだろう。

 

農業界は自分達の既得権を守るため様々な規制をかけ、新規参入をコントロールしてきた。そのツケが今、廻ってきたと言える。高齢化、過疎化、人材、労働力不足にやっと気が付いて政策が打たれつつあるが、対応の遅れは否めない。外国人労働者に来てもらうだけではなく、自ら相手国に乗り込むくらいの若手農業人を育てなければならない。

 

トマトの裂果防止

IMG_0113.JPG果菜類の多くは秋になると、割れやすくなる。いわば次世代に命をつなぐ生理現象で、種子が入っている果実を自分で割って地表に落とす。夏秋トマトは彼岸を過ぎる頃、割れが目立つ様になり、減収の原因となる。品種改良が進んで以前より少なくなってきたが、美味しい品種にこだわる農家は簡単には乗り変えられない。

特にミニトマトは、輸送途中も割れが発生しやすく、クレームが付き易い。品種格差はあるが、一般的に割れにくい品種は果皮が固い傾向があり、皮が口の中に残って食感が劣る。割れが多くては商売にならないから、色々な方法が提唱されている。

 

安直な方法は、サクランボなどに使われている割れ防止剤。ミニトマトにも登録があり、安心して使える。土壌潅水と葉面散布両用だが、割れ発生時期から大凡1週間位前から毎週1回継続散布する。発生してから慌てて散布しても効果は出にくいから、必ず継続的に散布する。コストは多少かかるが、収穫歩留まりが上がれば安い。いずれにしても割れの発生原因をキチンと把握して、対応することが肝要である。

 

【裂果発生原因と基本対策】

   水分や肥料分を急激に吸収すると割れる。

秋になったら液肥や潅水は一度に多く施用しないで控えめにする。秋雨などが続いて過湿状態になると割れやすくなるから、外から湿気が入らない様に心掛ける。

   日中と夜間の温度差が大きいと割れやすくなるから、日中は換気を十分にし、夕方は早めに閉めて夜間温度を保つ。

   秋に草勢が落ちると種族保存本能が働いて、果実が割れやすくなる。根張りが良く、草勢バランスの良い元気な樹は割れが少ない。長段収穫で秋まで安定した収量を上げるためには、やはり安定した土作りで草勢バランスを健全に維持する事が基本となる。

北海道後志の農業会社Y社の話しでは、今年も周辺では割れが多発しているが、自社の出荷実績を見ると土作り、施肥の仕方で発生割合に大きな差が出て、メンバー達の話題になっているという。

同社は割れに強く、作りやすいアイコを栽培している。初期は草勢が強く、大玉傾向になりやすく、糖度も上がりにくい。作り方によって果皮が固く口に残り、渋みを感じて食味が落ちる事が弱点とされている。中盤を過ぎると糖度も上がりやすく、収量があるので、急速に普及した。割れに強いと言っても、秋になり一歩間違うと、歩留まりが急降下する事もある。初期から終盤まで品質と収量を安定化する目的で、2年前に100%有機「バランス684」と「根づくり名人」の2点組み合わせに切り替えた。糖度は常時9度以上あり、果皮も気にならず食味が高く評価されて売れ行き好調である。割れの軽減は全く想定していなかったが、根張りが良く、水分や養分がバランス良く吸収されると樹が老化しにくく、果実が無理なく肥大して割れが少なくなる様だ。

割れを抑えて秋収穫にピークを持って行きたい生産者は、定植時期を遅らせて抑制型で作る。しかし、収穫期間が短く、収量は限定的となる。

長期収型では、夏休みで需要が減り、相場安となる7月末頃から花房や老化した葉を整理し、水をたっぷり与え一旦樹を休ませ、新たに脇芽を吹かせて仕立て直す方法がある。前半で疲れた樹や根を1月くらい養生しスタミナを回復させる。需要期に入る9月に再生した樹で、高糖度、玉肥大を狙い、病気や割れを防ごうとする考え方である。数年前から実践している空知のNさんは「今年は8月も価格が良かったから採算的にどちらが有利かは言えない。しかし、真夏の暑いハウスで収穫するよりも涼しくなってからの方が楽して頑張れる。割れは確かに少なくなく、作業効率が上がると話していた。

 

生理現象であるから、色々な要因が係わってくるから完璧は期待できないが、基本をキチンと整えることで、減収リスクはかなり軽減できる。上記は、大玉トマトにも共通する。

 

売れ筋となるか?・・・糖度7度台の良食味トマト(3)

IMG_0072.JPG時期にもよるが、量販店で販売されている一般的なトマトは56度、ちょっとこだわっている商品で6.5度程度、高級店で7度台か8度以上のフルーツトマトが一般的である。大玉で、通期7度台を維持し、収量減をなるべく少なくするには、かなり高度な技術が必要である。相場次第のレギュラー品から、再生産価格維持、安定経営への道筋を付けるには、消費者の糖度要求が切り上がっているから、技術向上が求められる。

 

大玉の作り方は各人各様である。レギュラー品では、品種改良が進んで普通に作ればあまり糖度格差は出ない。しかし、高糖度トマトでは、同じ条件のハウスで同じ管理をしても糖度は相当バラつく。交配種と言えどもストレスを与えると、樹による糖度バラツキが大きくなる。全体のレベルを嵩上げして7度台をクリアーするにはどの様な点に注意したら良いか高糖度生産者や指導者に意見を聞いてみた。

 

(品種)

ストレスを与えて糖度を上げる栽培では、市販高糖度品種ならば、管理技術のウェートが高いため品種優劣は付け難いという意見が多い。むしろ、品種の特性を徹底的に勉強して、その能力を引き出す事が大切と言う。糖度以外に酸度や食味、肉質、果形、サイズ、日持ち、耐病性、収量なども重要な要素であるが、消費者に価値を認めてもらうには、(糖度+酸度+食味)=美味しい事が最優先である。

高糖度、良食味、収量性を同時実現するために試みられているのが、大玉系と中玉系の交配であるが、地域ブランド産地は点在するが、今の所、決め手になる品種は見当たらない。

その中で、D社が家庭菜園用として苗販売している「ぜいたくトマト」(画像)は、作り慣れれば将来性がある。出荷用としてはまだ僅かの実績しかない様だが、黄化葉巻病感染リスクの低い地域では普及の可能性がある。北海道では直売場を中心に徐々に増えている。青果販売用として大規模に取り組んでいるのは後志のF社(1㌶超)だけだ。同社は数年前から試作を始めたが、今年は引き合いが急増し、数量対応ができていない。管理の経験不足で、まだ収量=採算性に課題が多い。通常の品種と比較して、耐病性などは特別問題は無い。水分が不足すると尻腐れがでる点は従来品種と同様であるから、水は余り絞れない。苗代が高価なので、黄化葉巻病(シルバーリーフ)多発地帯は経営リスクが高い。育苗時から徹底防除が必須である(後述)

関東以西では抵抗性品種への切り替えが進んでおり、従来の良食味品種は減少傾向にあり、防除をクリアー出来れば大きなチャンスがある。

 

(栽培環境)

定石通り、日当たり、風通し、水捌けの良い、雨水等が染み込まないハウスに限定する。泥炭地や肥沃な土壌は避け、堆厩肥、植物系資材も避ける。C/N比を整えるには、米糠(反当2000kg)を収穫後に入れる。

シルバーリーフ多発地帯は、夏期にハウスを密閉して、徹底防除する。

ハウス天井部分に循環ファンを設置して上部空気を循環し、冬期は省エネルギー、夏期は異常高温を抑制する。着果や糖度安定上昇、病気の抑制などの対策として是非お奨め。

高糖度栽培は植物体の生育限界近くで栽培することになるから、事前に栽培中のトラブルをチェックして抜かりなく対策を打っておくことが必須。通常の栽培と異なり、一旦トラブルと立て直しが難しい

 

(土作り)

 一般的には初期生育の旺盛な品種は施肥量を控える。定植初期から発根が活発になる様に、動物アミノ酸を主体とした有機100%肥料(例えばバランス684やエキスパート684)を施用する。窒素分は肉骨粉、乾血、魚粉、蒸製骨粉などすべて動物性有機で構成し、穏やかな肥効に徹する。化成窒素や植物由来有機、堆厩肥は使わない。トマトの糖度を上げるには石灰と硅酸が重要な働きをすると言われているので「根づくり名人」などを併用する。色々入れたくなるが、多く入れるとバランスを崩す原因となるので土壌分析で不足な要素のみに止める。

 

(管理)

■育苗

ミネラルバランスなどを潅水して、軸太、発根に徹する。育苗初期には十分水を与え、中盤以降徐々に控えて行く。スタートの育苗で失敗すると、後に響くから手を抜かない様に管理する。

 

■定植

土地条件にもよるが、一般的には平畝にマルチして定植する。点滴潅水は生育ムラが起きやすいので不可。

 

■草勢管理

長段取りは品種や栽培環境にもよるが、定植後から潅水を控えて草勢を抑え気味にし、根張りを良くすると言うのが一般的な考え方である。しかし、この方法では高糖度、高収量の両立が難しいと指摘するベテラン指導者(肥料販売店)Tさんがいる。

「まさか・・・」と思いつつ、彼の経験と持論を聞いてみた。理に適っている面もあるので記しておく。要約すれば、植物生理から考えると草勢を作る栄養成長期に養分や水分を制限すると、根と葉がバランス良く発達しないため、収穫期に入るとスタミナ切れになる。この状態では本来持っている種の能力が十分発揮出来ず、糖度も収量も限定的となるという。草勢=根張りが最高になる23段目収穫までは十分に潅水して草勢を作り、糖度上昇期の水切りストレスに備えるべきと主張する。

もっとも、最近の高糖度品種の中には、水分の絞りに耐える様に初期から根張り、草勢を強くした品種が出ている。いずれにしても成長最盛期の2段目収穫までは高糖度を狙わず、栄養成長が一段落する3段目頃から水を絞って生殖成長に傾けて行く。この時期になると、水を絞ってもガッチリ根が張っているから肥効は落ちない。肥大急減速は勿論、着果不良や尻腐れの発生リスクも抑えられる。

但し、初期から水管理=草勢管理を失敗しないためには、土作りの項で書いた緩効性動物性有機肥料を施用し、堆厩肥、植物由来有機の使用は控える事がポイントと指摘している。

追肥は元肥と同じ(バランス684かエキスパート684の穴肥または潅水近くのマルチ下バラ撒きで良い。

草勢管理は品種や栽培環境により大きく異なるため、3年間位観察して自分なりの流儀を確立することが大切である。最初から草勢を抑えて作り、小玉、芯止まり、生理障害の発生などで収量がイマイチの生産者は、Tさんの考え方は参考になるかも知れない。

 

■防除

最も頭を悩ますのは、シルバーリーフ、オンシツコナジラミ対策である。防虫ネットが一般的であるが、防除の仕方にもポイントがある。愛媛県のあるグループは、農薬の耐性回避のためA.B2種類の農薬を用意し、A剤→B剤→植物エキス(ソフトパオ1500倍)のローテーションを組んで成功している。重要なのは展着剤で、マクピカを混用すると効き目が高いという。地域により、それずれの防除基準があるから参考にされたい。

 

 

 

 

 

 

 

売れ筋となるか?・・・糖度7度台の良食味トマト(2)

IMG_0116.JPG通常栽培と同じ収量を確保して、高糖度良食味トマトを作るにはどの品種を使っても現状では難しい。収量減をなるべく少なくして高糖度を実現する方法があれば消費拡大につながる可能性がある。

作型にもよるが糖度8度以上を目指すフルーツトマトの総収量は通常栽培の50%程度(夏秋で56/反)が目処となる。単純計算すれば、通常栽培の生産者手取り平均単価が250/kg4kg1.000円)とすれば500/kg(同2.000円)となる。しかし、この金額で採算の採れる生産者は、直売を除けば少ない。

糖度や外観検査をすると、フルーツトマトとして秀品販売できるモノは、地域、時期、気候、管理技術により異なるが通期3040%位と推定される。光糖度センサーで8度を割り7度台に落ちると0.7掛け、6度台では0.35掛け程度の価値になる。仮に8UP1.000/kgとすれば7度台が700円、6度台が350円程度となる。6度台は通常のトマトに近いから相場により掛け率が大きく落ちる場合もある。これに物流経費が加わるから店頭価格は、かなり高価になる。従って消費量も限られる。

生産者側からみれば管理に手間がかかり、リスクが大きい割に、秀品歩留まりが良くないから思った程、収益が上がらない。秀品歩留まりが高い生産者は魅力的な作物だが、毎年安定して収益を上げるにはかなりの技術蓄積が必要となる。

フルーツトマトの道に嵌ると、上手に出来た時の満足感と秀品の高単価が頭にこびり付き、チャレンジ意欲が湧く。継続的に失敗しない限り普通のトマトに戻れなくなる。気候、圃場条件の良い土地で技術を磨いた生産者は残れるが、一般人にはリスクの高い世界である。大規模養液栽培でチャレンジしている生産者もいるが、日本の消費者の様に糖度、酸度、食味、外観、サイズ、棚持ちなど・・・要求が厳しい国では品質競争力は限定的と思われる。

フルーツトマトは気温が低く晴天が続く冬期は比較的安定生産が可能である。埼玉、群馬、栃木など北関東、静岡、愛知、三重など東?、高知など南四国、塩害を利用した熊本などに産地がある。それぞれ糖度、食味を競い、価格は高い。しかし、品質と価格のバランスが良ければ「買う」消費者が増えており、機能性食品としての追い風もあり、消費拡大が期待できる。

フルーツトマトと普通のトマトの中間、即ち、糖度7度台で収量をある程度確保して再生産価格を下げ、固定客を掴めないか・・・5年前から取り組んでいる。

 

【北海道後志の事例】

画像はベテラントマト生産者Aさんが取り組んでいる圃場である。(714日撮影)

品種は「麗夏」、4段採り2期作。単条植え、畝間は広く取っているので栽植本数は通常より20%位少ない。ご覧の様に葉は少なく、小葉、果実がビッシリ付いている。「こんな少ない葉で収量が上がるの?」と疑問を持つ生産者がいると思うが、これが理想に近い草勢である。つまり、果実に養分が転流し、葉が大きくならないから、受光効率がよい。以前訪ねた、高糖度、反収20㌧採りを実現した埼玉のSさん(冬トマト)の草勢は更にコンパクトで、大袈裟な言い方だが果実ばかりで葉は驚くほど少なかった。見学に来た人が一様に首をかしげて帰ると言っていた。

Aさんはこのハウスは大作りの農家には見せないと笑いながら、下記の話しをしてくれた。

「糖度と収量の両立を目指した結果、この草勢になった。特に夏は葉を大きくすると、水分蒸散量が多くなり、潅水しないと萎れやすい。コンパクトな葉で必要最小限度の水分を与えて正常に光合成を行わせるのがポイント。通常葉サイズで水を絞るとコントロールが難しい。初期生育の根張りを重視し、草勢も途中までは強めに作る。土台がしっかり出来たら、摘葉しながらコンパクトな草勢に仕上げて行く。定植時期のずれやその後の天候も草勢に大きく影響するので、経験を積まないと難しい。なるべく草勢が変動しない様に、土作りは「スーパーランド673」反当9袋と微生物堆肥少々だけ。たまにミネラルPKを少量入れる程度。気温が高くなると蒸散量が増すから、天井にストレートファンをハウス1棟(100坪)当たり2基取り付け昼夜、回している。室温は45℃下がる。特に昼間、土に蓄熱された熱の輻射熱の影響を少なくして夜温を下げる効果が大きい。風を送っていると昼間は、光合成が活発になり、夜は湿度による病気の発生が防げる。根が深く張っているので、前作は殆ど潅水いない」

 

この5年間の経過を書くと、当初は610日頃~7月上旬まで収穫の一回戦(促成)で糖度78度台、(9月上旬~10月上旬迄の二回戦(抑制)で12段目6度台、34段目で7度台であった。しかし、一昨年辺りから天候が狂い、昨年も今年も糖度は0.5~1度程度下回り、7度は微妙なラインになった。「通常のトマトより糖度が高いから」と買ってくれた量販店に申し訳ないので出荷を見合わせている。Aさんは「これまでは9月の暑い時期は別にして、7度台は自信があったが・・・」と首をひねる。近くの漁港に揚がる魚の時期や種類も微妙に変化してきていると言うから、温暖化の影響が忍び寄っているのだろう。

 

【北海道空知の事例】

Tさんは5年前からフルーツトマトを目指していたが、フルーツの収量が時期により大きくブレ、販売先にも迷惑をかけ、経営が安定しないので3年前から売り方を含めて7度台トマトに転向した。糖度がぶれる原因はハウスの土層にバラツキが有り水分管理が一様に行えない事にあっが、土木工事をしてまでフルーツに拘るメリットは無いと判断した。

品種は当初から良食味品種「T-93」、施肥は「バランス684」反当10袋、ミネラルPK3袋を継続している。場所による土壌水分のバラツキは対策が難しいので、なるべくバラツキの少ないハウスに移した。3年目の今年は、こつこつ売ってきた顧客から食味と価格のバランスが評価されて、想定価格でキチンと売れる様になってきた。真夏は6度台も出るが、8度台はフルーツトマト価格で売れるので平均単価は通期では影響を受けない。収穫終了後、収益性を検証するが、固定客(量販店)が付いてきた様で、将来に希望が持てる。

 

【冬トマト】

冬トマト(高糖度大玉)の取り組みは45年前から始めているが、現状では難しい。大産地は熊本県八代海沿岸だが、7度以上のトマトが出来るのは2月からの塩トマトで、通期では厳しい。地元に密着している業者が、大潮の塩害で糖度が上がるハウスを事前に探し、契約している以外、大量には出てこない。通常のハウスで高糖度を作ることは採算的に非常に厳しい。原因は、冬期で日照量が限られるため、根本的に難しい。高糖度を求める生産者は、中玉系品種を作っているが、収量は限定的で高単価になる。

 

(コメント)

販売ルートもいろいろチャレンジしているが、今の所、7度台トマトは中途半端な位置付けで、販売側はフルーツトマトか一般トマトか二者択一の感がある。消費者層が、はっきり別れている様だ。昨年、今年とトマトの相場は堅調で、味はあまり問われず、売れている。しかし、このデフレ時代にはしっかりした品質の商品を消費者が買える価格、しかも再生産価格で作らねばならない。需給関係で右往左往している関係者の体質は変わらないだろうが、全く白紙から組み立て直せば、次世代の答は見えてくる筈だ。

 

売れ筋となるか?・・・糖度7度台の良食味トマト(1)

IMG_0110.JPGのサムネール画像トマトの記事ばかり書いて恐縮だが、量販店バイヤーが最も関心を示すのは「美味しリーズナブル価格のトマトである。消費者の舌が肥えて、次第にハードルが切り上がっている。一方、価格に見合う価値があれば売れるという時代背景もある。今夏の様に品薄の年は糖度が低くても売るのには苦労しない。しかし、平年作であれば需給関係が狂うと買い叩かれる。特に最近出た黄化葉巻病抵抗性品種は食味が落ちるモノが多いと言われている。

おいしい大玉トマトの目安とされる糖度は、従来、6.5度位だったが、近頃は7度台にハードルが上がりつつある。このレベルを安定して保つには、品種選択、栽培環境、土作り、管理技術が伴わないと難しい。温暖化傾向が定着し、ゲリラ豪雨などが多発する環境では、栽培地はかなり限定される。日照があり、水捌けが良く、昼夜の寒暖差の大きい産地となれば、冬春はともかく、夏秋では冷涼な海風の吹く日本海、太平洋沿岸(北海道)か内陸の高冷地になる。水切りや塩分ストレスを与えて糖度を上げる方法もあるが、既に一般的に行われており、収量などを加味するとそれ程大きなメリットは期待できない。異常気象で天候の振れが大きい近頃は、水切りなどによる尻腐れの多発など減収リスクが高い。

 

糖度8度以上のフルーツトマトは、確かに1000/kg以上の単価になり魅力的だが、管理に手間が掛かり、収量が限定的となる。土耕は当然として、遮根、養液土耕、樽、バック、塩水など色々試されているが、面積拡大には採算性などハードルが高い。

 

北海道西部にある農業会社F社は、昨年までフルーツトマトの大規模生産を目指し、試行錯誤してきた。いろいろ試してきたが尻腐れとの戦いに決着が付かず、「7度台良食味トマトの量産」に方針を切り替えた。美味しさは糖度だけでは決まらないが、最低7度台無いと競争力は劣る。味にコクを出すため酸味の強い品種を採用し、肥料は菌体入り100%動物有機「バランス684」を反当200kg施用している。昨年の試験結果から、従来の「麗夏」「りんか」を縮小し、一気に勝負に出た。苗代(接ぎ木)だけで反当50万円近くかかるが、7人でリスク分散して1.4㌶超植え付けた。A社長は、「普通の農家はこんな高い苗代かけて冒険しない。チョコチョコ作って様子を見ながら増やすと思う・・・。そこが狙い目!誰も怖くて出来ないから、チャンスがある。今の販売はある程度の数量を持っていないと認知インパクトに欠ける。欲しい時に出荷してあげないと、いつの間にか注文が消える。農家が「良さそうだな・・・」と気が付いて出荷量が多くなれば価格が下がり、先駆者の魅力が無くなる。ある年数がきたらそれより進歩した商品を出さないと収益は向上しない・・・」と話している。彼は新品種や新方式に飛び付き、リスクを取っても自分で試し、常に上昇指向だ!

このトマトの栽培指針はは「潅水は通常通りで糖度7度以上」。尻腐れを出したら負け」・・・従来の常識では無理である。収穫始め6月下旬に試食品を送ってもらったが平均糖度8.7度、最低8度、最高10.2度。7月中旬に訪ねて検査、平均7.5度、最低7.2度。8月に入っても最低7度は切っていないという。涼しくなる8月下旬から再び糖度は8度台上がる。

着果数は房あたり5果程度、果重は100120㌘程度で1パック当たりの売れ筋価格が組みやすい。最も引き合いが強い玉サイズは32玉以下で、一般品の約2倍、1000/kgの高値で取引されている。今年はおいしいトマトが少ないので想定以上の高単価で売れているが、育種元の話しでは収量は従来品種と比べて2030%少ないが、市場価値は50%高を想定していると言う。収穫が終了しないと収益性は解らないが、品質が高く評価され、売りやすいサイズも将来に期待が持てる。西南暖地とのリレーで年間供給への検討も始めている。

 

夏秋トマト、盆前は高値に湧く!

IMG_0133ニセコリンカ.JPG今年も夏秋トマト相場が高値で始まり、北海道や岐阜高冷地など主要産地は元気が良い。特に促成で初期に加温した生産者は日照不足でも、そこそこの収量を上げており顔は明るい。スタートが遅れた生産者は着色が進まず、高値を横目に困惑している。

ミニトマトは例年なら、夏休みに入ると給食需要が落ち込み、7月下旬からお盆にかけて暴落する。今年は1箱(3kg)東京で3.000円近くの高値に張り付いており、お盆を控えていても暴落の気配は今の所無い。原因はいろいろ言われているが、需要が特段拡大している様子もないから、単なる供給減だろう。

九州(熊本、宮崎)が台風や大雨の被害で早めに切り上がり、日照不足で夏秋産地北海道の立ち上がりが大幅に遅れたことが主因と思われる。震災を受けた南東北の出荷減も考えられるが、全国的に果菜類の結果は良くない。

7月末、浜松市内の集まりで、直売場売りや家庭菜園のトマト、茄子が全く成らないと話題になった。露地栽培や家庭菜園は、7月中旬~8月中旬頃まで収穫最盛期。供給過剰で相場の下押し要因となる。今年はこれらの兼業やアマチュア的生産者の収量が減った事も供給減の一つとして考えられる。集まりの中に唯一の専業農家Tさんがやお立ち上がり「こういう年でも、収量を上げるのがプロの腕さ!」と胸を張っていた。

収穫が遅れていた分がこれから一気に出荷され、盆を挟んで市場に集中、その後は成り疲れで急減、急騰という昨年同様のパターンが予想される。

 

先日、飛騨に行ってきたが、JAでは出荷量の半分を再生産価格と思われる4kg1.250円(売り立)で先物契約し、生産者の安定経営を目指している様だ。品種は従来のエイトから堅玉で収量の上がる409等が徐々に増えている(地元生産者の話)

8画像)北海道ニセコ町リンカトマトの選果

 

 

フランス「農と食」(5) 「ドンペリの里」ランスを訪ねて

「ドンペリの里」ランス

フランスの農業を語るにはやはりワインについて書かねばならない。
フランスワイン生産量はイタリアに次いで世界第2位で重要な輸出産業である。しかし、葡萄の栽培や販売面で大きな変化が起きている。主要産地として西北部のボルドー、東部のブルゴーニュなどが知られているが、葡萄は水捌けと日当たりの良い南段斜面で昼夜の寒暖差が大きい場所が適地とされる。ところが、地球の温暖化で南部の地中海方面は高温障害リスクが高まり、適地では無くなってきたとの指摘がある。気象学者の予測では、2050年頃には平均気温が2℃以上上昇するというから、高品質ワインを標榜するフランスにとっては大問題である。一方、販売面では新大陸(オーストラリア、ニュージーランド、南米、北米)で安価で美味しいワインが台頭し、中ランク以下の産地は競合し、厳しい。若者のビール指向でワイン離れが進み、一人当たりの消費量は右肩下がり、この50年で半減している。ダブルパンチを受けて競争力の弱い低品質産地は高品質品種への改稙や減反が進められている。

しかし、フランスはワイン王国!高級品は健在である。中でも「シャンパン」(発泡ワイン)は、フランス独自のブランド(AOC:原産地呼称統制法)で保護されている。イタリアの「スプマンテ」、ドイツの「ゼクト」、スペインの「カヴァ」なども発泡ワインであるが、知名度、ブランド力において到底、世界に及ばない。
最近、日本でも美味しいシャンパンが店頭に並ぶようになったがワインと比べれば相当高価である。以前は高嶺の花。庶民の結婚式などで乾杯に使われたシャンパンはお世辞にも美味しいとは言えず・・・今、思えば全く別物、「シャンパンもどき」だった可能性が高い。本物のシャンパンは確かに美味しい。

ドン・ペリーニヨン

高級シャンパンが注目され始めたのはバブル絶頂期。銀座のクラブや高級レストランで成金紳士や芸能人が1本20万、30万、いや尾ひれが付いて50万とかいう「ドンペリ」(ドン・ペリーニヨン)が登場してからだ。殆どの日本人は「ドンペリ」???であった。今でこそテレビなどマスコミに登場する機会が多いから庶民にも知られるようになった。しかし、実際に口にした人は極少数だろう。特別なプレミアムが付は別にして、赤ワインは「ロマネコンティー」、シャンパンは「ドンペリ」が最高級品と称されている。
価格はピンキリだが地元ランスで€126、ミュンヘンで€138、パリで€170の値札が付いていた。

【ランス】

ランス・ノートルダム大聖堂

「ドンペリ」の里はフランス北東部シャンパーニュの中心地、ランスにある。話しのタネに世界的な銘酒を育んでいる現場を訪ねなければなるまい。
ランスは歴史的にも重要な街で、有名な「ランス・ノートルダム大聖堂」や、フランスで活躍した著名な日本人画家、藤田嗣治画伯の眠る協会(礼拝堂)がある。パリからシャンパン街道と呼ばれている高速道路で2時間弱、鉄道で45分程度で行ける。シャンパン富豪達の邸宅や三つ星レストラン、五つ星ホテルなどもあり、如何にもリッチな雰囲気が漂う。
大聖堂広場前にはシャンパン専門店があり、ビンテージ2002年の銘柄が並んでいた。蘊蓄を語られたら、好き者は財布が空になる。

シャンパン博物館

【シャンパン博物館】

1743年に創業したモエ・エ・シャンドン社が経営するシャンパン博物館。ここでシャンパンの由来や製造、発酵、熟成などの講釈が聞ける。1500エーカー(600㌶)もの葡萄畑を所有し、毎年200万ケース以上のシャンパンを出荷している。

発酵タンク

【発酵タンク】

玄関を入ると巨大な発酵タンク(展示用)が目に飛び込む。
収穫された葡萄は搾られてタンクで一次発酵させ、シロップ(砂糖)、炭酸ガスなどと共に瓶に詰められ二次発酵させる。
普通のシャンパンは色々な年の原料が混ぜられるが「ドンペリ」はビンテージ年ワインに限定して作られる。

熟成地下室

【熟成地下室】

エレベーターで40~50m降りると、連結型電気自動車が待っていて、貯蔵庫を案内してくれた。ここは石灰岩の岩盤を格子状に洞窟が掘られ、年間を通じて室温と湿度が一定に保たれている。ここで7~8年間じっくり眠りにつく。

葡萄畑

【葡萄畑】

シャンパンは白葡萄シャルドネ種、黒葡萄ピノ・ノワール種など8品種をブレンドして作る。

この会社では1500エーカー(600㌶)の葡萄畑を持つ。

円熟の香りと味は円熟した樹から・・・

【円熟の香りと味は円熟した樹から・・・】

ワイン用葡萄は樹が若くては良い味や香りが出ないとされる。一般的に石灰岩土壌、ミネラル分が豊富で肥沃でない土壌が適する。品種にもよるが本来の特徴は数十年生にならないと出ないと言われている。
この株は何十年生か解らないが世界最高級品を作る樹にふさわしい。貫禄がある。

キュヴェベルエポック

【キュヴェベルエポック】

シャンパンは「ドンペリ」が一番美味しいかどうかは、色々飲んでいる訳ではないから解らない。左の画像は1811年に創立されたペリエルジェ社の2002年ヴィンテージである。アネモネをモチーフとしたデザインで中身もボトルも芸術的な逸品である。このヴィンテージ年の様子を同梱冊子から引用させて頂く。人間の技よりも、自然の技であることを記している

2002年、それはコントラストのある豊かな年
「シャンパーニュ造りにおいては、その気候条件が大いに影響しています。2002年もその例に漏れてはいません。温暖な春から割合に湿度の高かった8月にかけて、この年もブドウの生育に必要なものが自然環境から与えられます。さらに9月は乾燥し、日中は太陽が照り、また、夜温は冷え込みがありました。つまりこのコントラストが、素晴らしいブドウができるために理想的な方程式なのです」

藤田嗣治画伯のフジタ礼拝堂

【藤田嗣治画伯のフジタ礼拝堂】

ランスに行ったら立ち寄りたいのがレオナール・フジタの礼拝堂である。藤田嗣治は1886年生まれ、パリで活躍した著名な画家。フランスに帰化し、本人の遺志により、このランス礼拝堂に埋葬されている。

五つ星ホテル

【五つ星ホテル】

シャンパン富豪が沢山住むこの街は「ドンペリ」を飲むにふさわしい三つ星レストランや高級ホテルがある。
ここは五つ星を持つホテル。宿泊するだけで最低€800(ツイン1室)は覚悟しなくてはいけない。夕食、朝食を含めたら€1200以上(約15万円)は飛ぶ。
我々にはガーデンカフェで喉を潤すのが精一杯の贅沢だ。
友人の口利きで、特別にレストランやバー、ゲストルームを見せて頂いた。仮に宿泊するチャンスがあっても私には落ち着いて時を過ごせそうにない・・・

フランス「農と食」(4) 新緑のオーガニック農場を訪ねて

3月のブログで1月に訪ねたノルマンディーのオーガニック(BIO)「ハローウィン農場」について紹介した。訪ねた時期が冬で作物は無く、農場の概略を聞くにとどまった。やはり、作物の生育している時期に現場を見なくては理解出来ない。こんな思いで5月2日、再び農場を訪ねた。
新緑のノルマンディーは目を見張るほど美しい!白いマロニエ、紫色のリラの花・・・春を待ちわびていた生命が一斉に動き出した感がある。

新緑のノルマンディー2 新緑のノルマンディー1
ハローウィン農場

今回は「ハローウィン農場」のマダムに案内して頂いた。
マダムは弁護士、地方議会議員の肩書きを持つインテリ女性。日本に3年近く滞在された経験があり、日本語も少し話す。自然界の営みについて大変勉強されており、この分野にも詳しい。理論的でチャレンジ精神旺盛だ。
「この仕事は奥が深く、知れば知るほど興味が湧く」と、案内に熱がこもる。
農場は有機農業と言うより、自然農業に近いが、放任栽培ではない。観察や科学的根拠に基づいて人工的に多様な環境を作り、自然界の営みを創る。それぞれの環境に対応して生物の多様化が進み、全体の共存関係が築かれている。
農園の周辺には推定500種類以上の植物が共存しているが、食用は50種類位。作物を大面積植えると生物バランスが崩れて病害虫が増える。これを農薬ではなく、自然界のバランスの中でコントロールしている。

マダムに農場が目指している未来像について聞いてみた。

■何故オーガニックですか?

通常、食の安全や環境問題の観点からオーガニックを目指す人が多いです。私は将来、予測される人類の食糧危機に対応できる「最も効率的な農業」がオーガニックだと思います。オーガニックは単位面積当たりの収量が少ないと言うのが従来の共通認識ですが、私はその考えは間違いだと思っています。オーガニック農家をもっと増やすには、政策的な食の安全や環境保全だけでは限界があります。現在の化学農業より省資材型(低コスト)で、しかも品質や収量が上がり、農家の収益向上に結びつかなければなりません。
最大のポイントは化学資材を使わないで、自然界のあらゆる要素、土、太陽、雨、風、微生物、植物、昆虫、動物などを総合的に利用して作物の能力を最大限に引き出せば、高収量を実現できると考えています。従来の化学肥料、農薬、遺伝子組み換え種子等を使った農業は環境破壊が進んで、ボツボツ限界でしょう。循環可能な自然力を総動員して単位面積当たりの収量を現状より増やすことが私の目標です。まだスタートして5年目、試行錯誤中ですがご案内しましょう。

人工池

【人工池】

ここは元々、乾燥しやすい場所で、雨が少ないと作物が良く育ちません。乾燥地は生息できる植物や昆虫の種類や数が限られます。作物を植えると生態系が狂い思わぬ虫害に見舞われます。作物を作っても効率が良くないので、池を掘って環境改善を図りました。園内には山から注ぐ小川も流れていますが、予想通り全く異なった生物が住み始めました。水が流れている川と静止している池では微妙に異なります。ここでは藻(アオコ)が大量発生し、定期的に取り除いて乾燥させると大変いい肥料になります。また、葦類は他のハーブ類と発酵させると虫や病気除けになります。蛙やトンボも育ち、虫を食べてくれます。乾燥地に水を用意してあげただけで多様な生命が育つことを実感しました。
果樹園の傾斜地にも雨水の水道を調べて、溜池を掘りました。しかし、水が直ぐに無くなってしまい、ここはまだ成功したとは言えません。もう少し考えないと・・・(笑い)

混植1

【混植】

単位面積当たりの収量を上げるため、生育の早いモノとゆっくり生育する作物を混植しています。これは生育の早い葉菜と生育の遅いエシャロットの組み合わせです。混植のもう一つの目的は害虫対策です。

果樹園は100種類近く植えていますが、成育中の樹木の高さを考えてバラバラに植えています。この方が単位面積当たりの収穫量が多くなり、虫も付きにくくなります。

混植2

どの圃場も、畝毎に作物が異なります

混植3

両側は背丈のあるグリーンピース、中央部は大根、人参の混植です。

害虫対策

【害虫対策】

この植物はアブラムシが好んで集まり、ビッシリ付きます。アブラムシが増えるとそれを食べる天敵のテントウムシが増えます。頃合いを見てテントウムシを捕って他の作物に移します。移転作業が終わったらこの株は焼却します。あちこちに植えておけばアブラムシの被害は殆どありません。
害虫対策植物はカモミールやミントなどの混植も効果があります。葦などの発酵液も良いです。

雑草対策

【雑草対策】

畝間には亜麻の滓や落葉樹のチップを敷き詰めて、草の生育を抑えています。根の保護や乾燥防止にも効果があります。プラスチックフィルムは使いません。

円形盛り土

【究極の形?】

どうしたら単位面積当たりの収量を最大に出来るか試行錯誤した結果、この円形、盛り土に行き着きました。この形は平面より植え付け面積が増え、栽植本数が増やせます。緯度が高いので夏の日照時間が長く、太陽の位置も高いので日照が十分確保できます。作業もしやすいです。
当然、植える作物は諸条件を考えて植えますから、まだら模様になります。

ハローウィン農場

【コメント】

マダムの意気込みは凄い!
実施している事は日本でも昔から行われていた事が多く、特段、珍しいことではない。効率、コスト優先の日本の農家から見れば「?」が付く。しかしハローウィン農場が目指している「単位面積当たりの収量増」への努力は評価に値する。実現できるかどうかは別にして、国の支援から「自立」への道を探る姿勢が素晴らしい。
円形土盛り方式には新鮮みを感じた。効率追究の日本人には考え付かない。マダムに「この形はパリの街(広場を中心とした円形放射状、渦巻き型)の様に美的感覚で作ったのですか」と聞いたら、「いや、理論的に考えたらこの形しかありません!」と自信満々に語っていた。
しかし、我々にはどう考えても手作業ばかりで効率を無視した農業に見える。これで飯(パン)が食えるのだろうか・・・マダムは、固定客が増えて、週で約100個の宅配を確保しているというから、一応の目処は付いている感じだ。売店の販売も順調な様だ。1月には貯蔵野菜や加工瓶詰め品の在庫がギッシリ並んでいたが殆ど売り切れていた。ご主人は前回、「現状は厳しいです」と話していた。10年単位の仕事として捉え、今後、新植した果樹類が収入に加わってくるから経営は安定するとも語っていた。

数キロ先の山の向こうは効率を追求している大規模農業地帯。こちらは人間、環境重視のオーガニック農業・・・豊かな緑と修道院のある良好な環境に恵まれた「ハローウィン農場」は、訪れる人々の心を癒し、ここで採れた野菜や果物は明日への鋭気を養うことだろう。。
フランス人は「食」と「バカンス」にお金を使う。残念ながら日本人は「食」も「バカンス」も使わなくなってきた。いや、使えなくなってきたのかも知れない。

フランス「農と食」(2) 三つ星レストランと日本人農家

パリにあるミシュラン「三つ星レストラン」と言えば、世界の富豪や著名人が利用する最高級レストランである。ここで使われる食材は、世界最高峰と言える。
パリ西部にあるノルマンディーは、豊かな農業地帯で、お洒落な農家の建物が点在する。霧に包まれた先には広大な穀倉地帯が広がる。この高台に世界最高峰レストランに野菜を納めている痛快な日本人農家Yさんが住んでいる。初めて訪ねたのは2004年1月。その時の様子はe-yasai.com「NEWS」で紹介したことがある。

ノルマンディー

Yさんは30数年前パリに渡り、盆栽を作って生計を立てていた。その頃は日本の絶頂期で日系企業の支店や営業所が次々と進出、盆栽がフランス人にも受け入れられて繁盛していた。ところがバブル崩壊で次々と日本人が引き揚げ、盆栽に見切りを付けた。次に取り組んだのは「おいしい日本野菜」。日本に帰国する度に種苗会社を訪ね、種子を手に入れてフランスに戻った。住宅付きで農地(約20㌃)を借り、小さなハウスを建てた。自然循環型有機農業を目指し、鶏糞堆肥を作るため地鶏を飼った(圃場画像手前)。当時約50種類もの野菜を試験し、土壌と気候に合う野菜を模索した。大根、人参、小蕪、聖護院大根、牛蒡、里芋、枝豆、トマト・・・色々なタネを蒔いて育ててみた。2004年に訪ねた時の状況を少し書く。

牛蒡栽培用塩ビ菅

【牛蒡】

ハウスを覗いて強烈な印象が残っているのはこの塩ビ菅である。1月の寒さの中で牛蒡の双葉が力強く芽吹いていた。「なんで塩ビ菅?」咄嗟には理解出来なかったが彼の説明を聞いて納得した。この地は緯度が高く、雪が少ないので土が凍結し、5月下旬にならないと土が乾かない。土質も重く、とても牛蒡を作る環境には無い。しかし、日本の野菜に牛蒡は欠かせないと考え、長い塩ビ菅に細かく砕いた土を詰め、タネを蒔いた。太さはともかく、香り豊かな美味しい牛蒡が育った。

枝豆

【枝豆】

(土)(日)を利用して自分の作った野菜を使ってレストランを開こうと目玉になる野菜を考えた。時期は夏、フランスには枝豆は無いなと思い、タネを蒔いた。しかし、生育が悪く、莢が付かない。色々調べた末、ここの土には根粒菌がいないことを知った。そこで北海道から根粒菌を取り寄せ、タネに塗して蒔いた。効果は絶大、見事な美味しい枝豆が育った。彼はレストランの人気メニューと言っていた。
秋に収穫した大豆は日本料理店の湯葉や豆腐の材料として売った。彼が作った自家製味噌も試食させて頂いた。

里芋

【里芋】

伝統的な和食(煮物)には、里芋は欠かせない。多分、フランスで作っているのはここだけだろう。

訪ねたのはスタートしてまだ3~4年経った頃と思うが、大きな試練が待ち受けていたと言う。パリの街は駐在員や日本人観光客が減り続け、売り先の日本食レストランの閉鎖が相次いだ。市場流通や宅配もトライしたが、パリの交通渋滞は仕事にならず、継続は致命的と映った。日本の様に気軽に宅配便が使える便利社会ではない。
いろいろ作って行く中で「小蕪」がシャンゼリゼ-通り裏で日本人が経営するフレンチレストランで評判になった。あちこちから注文が舞いこみ、美味しい物を作れば必ず売れると自信を持った。しかし、この時点では採算の採れる販売方法については未解決であった。

それから、7年の歳月が流れた。

ノルマンディー豊かな農業地帯

農園の回りの風景も畑の様子も殆ど変わっていなかった。ビニールハウスと鶏舎は以前より少し広くなっていたが昔のままの雰囲気だ。笑顔で迎えてくれたYさん(画像中央)は相変わらず若々しくお元気そうだ。
早速、質問してみた。

ノルマンディー日本野菜農家1 ノルマンディー日本野菜農家2 ノルマンディー日本野菜農家3 ノルマンディー日本野菜農家4 ノルマンディー日本野菜農家5 ノルマンディー日本野菜農家6 ノルマンディー日本野菜農家7
■昔と殆ど変わっていないですね?
変わらないですよ。ハウスが少し増えたけど全部で1.000㎡(1反歩)です。
■作っているモノは?
見たとおりです。色々な野菜をチョコチョコですよ。30種類位はあるね。
■作り方、考え方は?
変わらないです。鶏を飼って、鶏糞で堆肥を作り、化学肥料、農薬は使わない。有機農業で安全、美味しいがコンセプトです。
■看板商品の小蕪は?
今は看板商品ではありませんが、相変わらず評判は良いです。食べてみますか・・・
(試食した同行者から驚嘆の声!)
■凄い!何でこんなに美味しい小蕪が出来る?
私にもよく解らない。特別なことは何もしていない。日本から持ってきたこのタネが、ここの気候風土にピッタリ合っているのでしょう。固すぎず軟らかすぎず、生で食べても非常にジューシーで、上品な甘みとコクがある。冬は果肉が締まってスープで煮込んだら最高の味になる!高級レストランのあるシェフは、この味はここの小蕪しか持っていないと言い切ります。
■トマトはどうなりました?
それが・・・研究を重ねて今は「三つ星レストラン」のシェフ達に認められて8店に限定して納めています。他店からも注文が殺到していて3年待っても順番が来ませんよ・・・(笑い)。
「割り増し価格で買うから・・・」と言う店もありますが、そんなことをしたら信用を無くすので絶対しません。
■注文があるのに、何故面積を増やさないの?
いや、そんな簡単にできるトマトなら、パリの「檜舞台」には立てません。1玉1玉職人技で作るので、管理できる本数は限られます。人を雇っては採算が採れません・・・
■品種は当初と変わりませんか?
種苗会社は次から次へと色々な交配種を作ってくるが、味が良くなった例は無いね・・・(笑い)
T社の元祖「高糖度品種」を超えるモノははまだ見つからない。
■格別美味しい秘密は管理ですか?
その通りです。うちはシェフ仲間から「野菜のオートクチュール」と言われています。(オートクチュールはパリの高級仕立て服、オーダーメイド品)
トマトは調理目的によりシェフの好みが微妙に変わります。具体的に言えば熟度ですが、着果日から計算して収穫日が決まります。標準的な日数は80日、常温追熟4日です。当然、温度や日照などで変わりますから、私のアナログ的感覚で最終判断します。
■思うようにコントロール出来ますか?
出来ません・・・ですから、取引する前に最高責任者から「白紙委任状」を書いてもらいます(笑い)
■経営的には如何ですか?
驚くかも知れませんが、たった1.000㎡で贅沢をしなければ家族で充分食べて行けますよ。農業はそんなに儲かる商売ではないからコツコツ楽しみながらですよ。フランスは税金が高いから無理して儲けても残らないしね・・・(笑い)
老後は年金を積んでいるから大丈夫です。皆さんに喜んで食べて頂き、人生を楽しめれば最高です!

【コメント】

予約半年待ち、1年待ちとか言われるパリの三つ星レストランには関心はあるが一度も縁はない。こう言う場所に出入りできる客は稀な人達であり、非日常的な世界である。但し、チャンスを作れば、常人でも客としては行ける。しかし、ここに食材を納めようとするには常人では不可能である。品質の秀逸性は当然のこととして、食材を作る人にカリスマ性、オーラがなければ無理である。
Yさんのトマトにオーラがあるのは理屈、講釈ではなく、彼の盆栽師としての経験と感性が関係している。盆栽の事はよく解らないが、毎日樹と対話しつつ、折り合いを付けながら自分の描いた姿に導いて行く・・・彼のトマトは正にこの一期一会の世界で育てられている。私が知る限りでは北海道のTさんがいる。敢えて書かないが、農家哲学が共通している。
話に夢中になってトマトの画像を撮るのを忘れてしまった。
未だ50cm位で、特別な樹ではなかった。
それにしても、一度Yさんのトマトは食べてみたい!

フランス「農と食」(1) パリのマルシェ

フランスの「農と食」については日本にも参考になることが多いので度々紹介している。仕事の都合で、訪ねる時期がいつも正月明けだが、今年もTPP問題を絡めて関係者に取材し、ブログに書いた。しかし、肝心の圃場は、この時期は地中海沿岸を除いて荒涼とした冬景色で、現場の様子は見ることが出来ない。店頭の野菜は馬鈴薯や玉葱、人参など貯蔵品、地中海、アドリア海方面からの輸送品が多い。今回は、作物が生育し始めた5月の連休を挟んで、パリを起点に各地を訪ねた。

早朝、シャルルドゴール空港に到着、そのまま市内の友人宅に向かい、朝食を作って食べることにした。
先ずは買い物である。パリは朝早くからマルシェ(朝市)が開かれ、数々の食材や惣菜が並び、食べモノには不自由しない。勿論、カフェに入れば日本で言う「モーニングセット」がある。クロワッサンとトースト、オレンジジュース、紅茶か珈琲が付いて12.5ユーロ位(チップ込み1.500円)で高い。ホテルの朝食は18~20ユーロは覚悟しなければならない。紅茶は何処の店もティーパックでイマイチ。珈琲は美味しく、オレンジジュースはフレッシュ、搾りたてが多い。クロワッサンは当然美味しく、トースト付け合わせのバターやジャム(小瓶入り)も手抜きはない。

屋内マルシェ

【屋内マルシェ】

パリ市庁舎近くに大きな建物の中に入っている常設マルシェがある。付近は高級住宅街で、売られている商品レベルは高い。屋外広場にはテント張りの店も出ている。
EUは環境問題に真剣に取り組んでいるからご覧のように照明は日本と比べて薄暗い。

露天マルシェ

【露天マルシェ】

決められた曜日に歩道の両側で開かれるマルシェ。
この日は日曜日で、500m以上続く店は買い物客でごった返していた。アフリカ、中東、東欧、北欧・・・多様な文化圏の人達が暮らし、見慣れない珍しい食材も並んでいる。

低所得層向けの衣類や日用品

食料品の他、低所得層向けの衣類や日用品も並ぶ。
世界のブランド店が連なる中心街との落差が、この国の格差社会を伝えている。

青果店

【青果店】

屋内マルシェ内には青果店が花屋を含めて10店くらい営業している。日常食べる野菜は、殆ど揃う。

生野菜

生野菜はイタリアンというイメージが強いが、フランスでも健康指向で、サラダ野菜を沢山食べる様になった。春野菜のシーズンで品名はフランス語で解らないが、葉菜類が多種類並んでいる。販売は1株単位だ。
オリーブオイルをベースに塩、胡椒、チーズ、ハーブなどを使ってオリジナルのドレッシングを作って食べる。
調味料はそれぞれ種類が多く、作る人の腕が問われる。

葉菜類1 葉菜類2 葉菜類3 葉菜類4 葉菜類5 葉菜類6

名称は思い出せないが非常に美味しい。
店のマダムに聞いたら自家農園で栽培しているという。農園を見せて頂く時間が無かったので、栽培法を尋ねたら「砂栽培」でオリジナルの肥料で育てていると言う。
砂に含まれるミネラル分とアミノ酸肥料が独特の食味を実現している様だ。

レッドラディッシュ

赤カブ(レッドラディッシュ)は料理の彩りによく使われる。甘味があって美味しい。色も美しい。

サラダ玉葱

最近の売れ筋商品「サラダ玉葱」
機能性成分が豊富で、生で簡単に食べられ、美味しいのが人気らしい。辛みは少ない。
日本には大玉はあるが小玉は?

チコリ

チコリは欠かせないサラダ野菜。サンドイッチや煮込みなどにも使われる。ベルギー産が有名。

トマト1

トマトは生食でも食べるが、加熱調理が主流。
中玉、ミニ系が多く、日本の様に見栄えは良くない。
そのまま食べると糖度の高いトマトを食べ慣れた日本人には?・・・加熱調理すると美味しい。

トマト2

房取りトマトも多い。

トマト3 トマト4

色々な品種が売られている。

ピーマン

ピーマンもバラ売り。

ブラウンマッシュルーム ホワイトマッシュルーム

マッシュルームなどキノコ類はフレンチでよく使われている食材。ブラウン(左)とホワイト(左下)の2種類があり、日本で売られているモノより大きい。

ホワイトアスパラ

ホワイトアスパラはフランス人が好んで食べる食材で今が旬。
日本の物より太くて立派なだが、表皮は紫外線に当たって少し紫色(アントシアニン)が出ている。消費者は日本人のように外観にはあまりこだわらない。こちらではアスパラガスと言えばホワイト。
計り売りで、日本の様に束ねて売っている店は少ない。。

グリーンアスパラガス

グリーンアスパラガスも軸太で短い。

サヤインゲン

サヤインゲンは料理の付け合わせによく使う。

グリーンピース

グリーンピースは5月が旬で、色々な料理に使われる。
ここでは日本の様に?いた物は見当たらない。

長ネギ?

長ネギ?

ローズマリーなどハーブ類

ローズマリーなどハーブ類はよく使われている。フレッシュ、乾燥、粉末にした物など種類が非常に多く、専門店がある。オーブン焼き、煮込み、ハーブティーなど用途は広い。

ニンニク

ニンニクは地域により多少種類が異なるが、重要な香味野菜。

じゃがいも
エシャロット

エシャロット

人参

ヨーロッパで作られている人参は殆どこのナンテス型で小型。
千切りしてサラダや湯通しして食べるが、甘みがあって食味は良い。

果実店

【果実店】

1個か計り売り。
今の時期は収穫の秋でを迎えた南アフリカ産が多い。
マンゴはとても美味しく、デザートとして良く食べられている。

果実類は最もグローバル化が進んでいる農産物で、嗜好の差はあるが、先進国は何処も同じ様な種類が並んでいる。
主要な果実は大量生産した工業製品と同じで世界を駆け巡る。

果実1 果実2 果実4 果実5 果実6 果実7 果実8 果実9
イチゴ

イチゴは糖度と酸味バランスが良く、美味しい。
デザートによく使われる人気果実。

オリーブの果実

オリーブの果実(塩、酢漬け)はフランス料理に欠かせない。

花屋

【花屋】

商品が未入荷で撮影できないため、マダムの笑顔で・・・
マルシェの人達はみなさん愛想が良く、仲良しだ。

肉店1 肉店2

【肉店】

豚、鶏、牛、羊などがある。生肉よりもサラミ、ソーセージ、生ハム、コンビーフなどの加工品が多い。
日本ではコンビーフと言えば缶詰だが、ここでは自家製のコンビーフ。試食させてくれたが実に美味しい!
自慢の商品らしい・・・

チーズ店1 チーズ店2

【チーズ店】

美味しいワインに美味しいチーズは最高!
フランス人からチーズを取り上げたら生活できない?
牛乳、山羊、水牛乳など各産地から集まった100種類位のチーズが並ぶ。

パン店1 パン店2 パン店3

【パン店】

フランスパン、ドライフルーツやチーズパン、クロワッサン、パイ、タルトなど流石にパン文化の国だ。

10数年前からフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリアなどEU各都市のマルシェ(朝市)を訪ねてきた。イタリアやスペインなどの地方都市はともかく、主要都市で売られ日常的に食べられている農産物はグローバル化、共通化が進んでいる。日本でも既に海外の農産物がブランド品を含めて多数上陸し、手軽に買える。日本ほど多様な食文化を持つ国は世界でも珍しいかも知れない。
今回は市民が気軽に日常の買い物をするマルシェを訪ねたが、パリには高級スーパーが沢山あり、また「ベルサイユ宮殿」近くにある旧貴族が暮らす街には、格別高級な食材が揃う市場があり、この記事は以前に少し書いた。
次回はこの格別高級な食材を作り、売る店を訪ねてみたい。

夏秋野菜の見通し(産地編)

来週はもう夏至である。

ハウス夏秋果菜産地は収穫が始まる。春先の低温、日照不足で生育が遅れ、原発事故による東北産地の供給減観測で、北海道や本州高冷地産地は、被災地農家の心情を思いながらも期待感は強い。原発事故の影響は未だ見通しが立たず、放射性物質の汚染拡大によっては供給不安定を予測する向きもある。一方、販売関係者は産地状況と、野菜全体の消費減を睨みながら今夏は全く見通しがつかないと頭を抱える。

5月下旬から北海道~九州産地と消費地を歩いてきたので、現地で聞いた話を書く。

 

(トマト)

北海道は昨年の希に見る異常高温とゲリラ豪雨で収量は散々な結果であった。高温のため、着果数が少なく、糖度も乗らず、お盆を過ぎた頃、急に草勢が落ちて2030%減収した産地も多い。特に長期多段収穫の産地は大幅減収となった。その中で太平洋、日本海沿岸の抑制産地は、収量減も限定的で、後半の高値で潤った。ミニトマトでは反収500600万円の産地も出た。

 

2011年作の夏秋トマト作付け面積は、災害地周辺県は把握できないが、全般的に大きな変化はない。生産者の高齢化や労働力減少で限界に来ている産地が多い。異常気象多発でお金が取れず、全国的に増反意欲は無い。

栽培と販売環境変化で大玉トマトは品種の変化が起きている。安定出荷、収量重視か糖度、食味重視か・・・産地の品種選択は二極化している。ブランド産地、北海道平取町(供選)は「桃太郎」「ハウス桃太郎」「桃太郎エイト」最近では葉カビ抵抗性の「ギフト」が増えた。桃太郎系は変わらない。長沼など空知も「CFファイト」「ファイト」で変化はない。JA担当者は桃太郎系統が作り慣れているし、食味的に他の品種には変えられないと言う。変化が出ているのは平取を除いた太平洋、日本海沿岸の抑主力制産地。むかわ町は今年は安定して収量の取れる「りんか」が8割を占め、函館周辺、知内町も「りんか」が増えている。ただ、地熱利用で周年栽培の森町は、促成CFファイト、抑制は「れいよう」が適しているという。日本海側の余市は「麗夏」、仁木では「マイロック」など個選グループがある。作り慣れた「桃太郎系」の生産者も健在で、「麗夏」に変えてみたが「桃太郎系」と管理が異なるので作り辛いと元に戻した農家もいる。「麗夏」を作っている出荷組合は、土作りで草勢をキチンと管理し、少し色目を付けて出荷すれば高糖度、良食味で収量、歩留まりが格段に良いと話す。固い品種なので量販店にも歓迎されていると胸を張る。奈井江を中心に高糖度フルーツトマトを作るグループは「T-93」が主力。仁木、ニセコでは昨年から「贅沢」に取り組み、今年は2㌶植え付けた。名前の珍しさもあって引き合いは強いという。青森県(日本海側)では従来の「エイト」から約半分が「ギフト」に変わった。出荷先のリクエストと作り慣れている「桃太郎系」は変わらない。

関東高冷地(供選)は伝統的に「ハウス桃太郎」「エイト」の産地が多いが、量販店のオリジナル商品として「昔味トマト」や関東を拠点とする中堅種苗会社の品種も作られている。出荷量日本一を誇る岐阜県飛騨、高山(供選)の「エイト」は未だ健在である。一部地域では黄化葉巻対策品種が試作されていろ。当地は冷涼が特長であったが、近年、高温化が進み、従来の「エイト」では安定生産が厳しくなってきたと指摘する人もいる。黄化葉巻感染リスクが高まっておりも品種の転換期に差し掛かっている。将来的には食味を犠牲にしても安定生産が可能な「もえか」「りんか」系も選択肢としている生産者もいる。

各地で「りんか」系トマトが増えている背景には、夏の高温期でも比較的作りやすく、秀品率、収量が高い点にある。品種評価は消費者、流通、生産者みら三者の視点で決まるが、それぞれ大きな変化が起きている。

消費者は「食味優先」か「価格優先」の二極化だが、一般的には収入減で「価格優先」傾向が強まっている。この傾向に連動して流通も「価格と安定供給優先」が進み、生産者もそれに対応して、「組織化か大規模化で収量優先」が進む。

「食味」の基準も購買層世代の交代で、中高年と若年世代では「糖度」「酸度」「食感」(肉質)「うま味」(アミノ酸)「機能性成分」など価値観の捉え方が変わってきた。味が薄くてもサラダドレッシングをかけて食べるから安ければ構わないと言う消費者も増えている。料理が苦手だからゼリー質の多い柔らかいトマトは敬遠する主婦層も増えた。反対に子供の頃、かぶりついて食べたトマトの味が脳裏に残る中高年層は、固くて味の薄いトマトは?と言う。

味に煩い売り場を持つ伝統的ブランド産地は従来の「食べ慣れた食味」にこだわり、新興産地は作り易く日持ちの良い品種で収量を上げ、安定収益を目指す。中小個選産地は品種の他、土作りや水切りなど栽培管理を工夫して「高糖度、良食味」で高付加価値を追究し、独自の販路を開拓している。

ミニトマトでは、ブランド産地仁木は「キャロルセブン」を軸に「キャロルテン」「アイコ」、余市は「アイコ」「トマトベリー」、空知、富良野は「ちか」「008」「アイコ」、静内は「キャロルテン」が主軸。高温化対策として抑制は「054」を試験している。・・・異常高温下でも品質、収量共に他品種より安定していてのが「アイコ」。今年は他の品種から乗り換えた生産者が増えた。

34年前から独自の形状と高糖度で注目されていた「トマトベリー」は、通期で安定した糖度維持が難しい。飛び付いた生産者の多くが脱落した。契約や直売など小面積生産者は健在。余市のHさんは草勢管理と摘果で通期で糖度12度を保ち、今年もハウス4棟(約1反歩)栽培している。手間はかかるがキチンと管理すればこのミニトマト一番糖度が乗り美味しいという。

 

(メロン、スイカ)

ギフト需要中心の北海道メロンは、震災ショック懸念で、今の所盛り上がりを欠いている。指標となる夕張メロンの初競りご祝儀価格が昨年の2玉入り150万円から100万円にガウンした。スタートは順調だったが、日照不足で花芽形成が不良の時期があり、現在は小玉傾向という。相場は例年並みで、生産者はホッとしている。主要産地の作付面積は微減と推定されている。スイカメロンは、需要が縮小傾向で、面積が拡大する要素は無い。大幅に縮小する気配も今の所見当たらない。夕張メロン大手生産者Kさんは、品質の良いメロンが出せればまだまだ将来は明るいと意気込んでいる。青森県日本海側産地も大きな変化はない。

 

(露地野菜)

昨年は希に見る不作で価格は異常に高かったが、作付面積は増える状況には無い。中小生産者が現状維持か面積縮小に向かい、大規模生産者が増反の傾向が続いてきたが、天候リスク増大で潮目に来ている。十勝の大規模生産者は所得保障の恩恵を受け、野菜を作るチャンスが来ている。従来の馬鈴薯、小麦、ビート、豆類の畑作4品を軸に、スイートコーン、キャベツ、大根、人参、南瓜、ブロッコリー、牛蒡、長いも、長ネギなど大規模化している。

南瓜は栗系品種への転換が進んで来たが、今年から変化の兆しが出ている。数年続いている異常気象で着果性に劣る栗系品種が大幅に収量を落とし、敬遠され始めた。最低でも反収2トンが計算できる「えびす」が見直されている。収量の上がる「えびす」が低価格指向の消費者、量販店ニーズにマッチしている様だ。

玉葱、馬鈴薯は植え付けが大幅に遅れた。出始めは高値が予想されたが、6月に入って気温が上がり、生育遅れを取り戻している。貯蔵産地はまだこれからで、見通しは立たない。種芋不足で面積減が囁かれていたが、これからの天候次第だ。玉葱の作付けは大幅な変化は無い。

 

昨年の品不足と震災の影響を受けて、市場や業者、量販店関係者が例年になく産地回りし、数量確保に動いている。業務用や冷凍野菜、缶茶葉生産などで安定経営基盤を築いた九州の農業法人A社は、露地野菜を増やし、注文増に備えている。大規模生産者はタネや肥料、農薬などの資材費が中小生産者と比べて安く、出荷ロットも大きいので業務用向けも対応可能で、安値リスクに強い。

 

 

中国河南省「農業と食」見聞録(4)  活気ある農関連業界

農業資材展示会1

【展示会】

農業が上昇トレンドを続ける中、それを支える資材業界も活気がある。日本も成長期には、各地で農業資材や農機具展示会が盛んに開かれていたが、近頃は、めっきり数が減った。
たまたま、鄭州市内で定期的に開かれている肥料展示会があるというので出掛けてみた。
広大なイベント会場には屋内、野外を含めて数百社のブースがあり、見学者で大変な賑わいであった。
ざっと見た所、化成複合か発酵鶏糞入り有機化成が多い。日本企業と製造や販売提携している会社もあり、売り込みは熱を帯びていた。

農業資材展示会2

会場では爆竹が鳴らされ、ブラスバンドが派手にドンチャン、ドンチャン。次から次へと民族衣装をまとったモデルさん達が登場し、各社のプラカードを持って練り歩いていた。
中国は派手なイベント大好き民族。展示会=お祭といった雰囲気で、「国の勢い」を象徴していた。

農業資材街

【農業資材街】

郊外には大通りを挟んで農業資材専門店が立ち並ぶ地区がある。ここに来れば農業に必要な資材や情報が手に入る。
日本は殆ど総合店化しているが、ここは肥料、農薬(葉面散布材を含む)、種苗、ハウス資材等専門店化している。

肥料店

【肥料店】

複合肥料を中心に多種類の肥料が積まれている。売れ筋は化成複合肥料(15-15-15)。
単肥は尿素、硫安、硝安、過石、硫酸加里など日本でもお馴染みの肥料が売られている。参考に尿素の店頭販売価格を聞いたが、50kg入りで1.500円(30円/kg)

有機20%の有機化成肥料

ハウス用では有機20%の有機化成(15-15-10)が売れ筋という。
店頭価格は40kg入り約1.800円(45円/kg)
日本基準で考えると上記保証成分で有機質20%は難しい。有機表示基準が異なると思うので内容について聞いてみたが明確な回答は得られなかった。農民は今の所、このクラスで満足しているのだろう。

農薬店

【農薬店】

農薬、潅水、葉面散布材など固形肥料以外の資材を販売している。
葉面散布材の種類は多く、次から次へと新製品が登場、商品寿命は短いようだ。
農民は目に見える効果が確認出来れば使い続けるが、良く解らない場合はクレームが付く場合があると言う。効果が出るかどうかは色々な条件が絡むので気軽に奨められないという。
義理人情社会だから、クレームが付けば将来の取引を考えて、説明に納得が得られない時は返品、返金に応じるのが商習慣という。
一般農民は基本的な土作りよりも、楽でコストの安い「魔法?の葉面散布剤」を求めているのは日本とあまり変わらない。

葉面散布材

画像は葉面散布材の売れ筋商品。
国内、海外を問わず、この分野への参入はにぎやかだ。目を引いたのはEU(特にドイツ)製品。合弁企業が現地の状況に合わせてきめ細かく対応している。
ハウス栽培では殆どが背負い式の手動噴霧器で、15㍑タンクに対応した原液を小分け包装している。いわゆる「バカチョン式」で濃度など計算しなくても誰でも散布できる。

種苗店

【種苗店】

この店は家族経営で、昔の日本の種屋さんと同じ雰囲気。タネ以外の商品は置いていない。
信用第一の商売にふさわしい、いかにも人柄の良さそうなご夫婦が、丁寧に対応してくれた。

種苗店胡瓜

この店の売れ筋商品は胡瓜とサヤインゲン。
大産地で、播種シーズンになると莫大な数量が動くという。

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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