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これからのトレンド(9)社会変化と売り方②

小ロット品を売るには、近所の直売場が一番良いが、数量は限られる。

大消費地である程度の数をまとめて売るには、それなりの仕組み作りが必要である。草創期の生協は小規模生産者の受け皿として機能していた。時代と共に生協も統合、大型化し、品質、安全性確保のための栽培規制や履歴の記帳、地域によっては講習会の出席が義務付けられている。納品も品物が無いでは済まされなくなった生協も多い。高齢化した小規模農家が、厳しくなる一方の管理に付いて行くのは限界がある。若手を育成してサポート出来る体制が望まれるが、今となっては手遅れの感は否めない。

 

小ロット生産者は、大量生産されている野菜では競争力が無いから選択肢は限定される。

品種を含めて一般には出回っていない美味しい、珍しい野菜を作るしかない。JASは認証が難しく管理が面倒、特別栽培はもうインパクトが薄い。化学肥料、化学農薬不使用か大幅減レベルを目指したい。地域の気候風土に合う農産物は昔、地元のタネ屋や雑貨屋で売っていた地種(伝統品種)が良い。地種は一般的に揃いや収量、外観、耐病性、作り易さには難点があるが、長年慣れ親しんだ独特の風味や食感を持っている。その地域にしか育たない品種もあるから面白い。品種にだけではなく、気候風土に合った作物を作ることこそ、「地域価値」であり、競争力の源泉でもある。

EUの原産地名称保護制度(AOP)やフランスのAOC制度(原産地名称統制)の様な厳格な制度はともかく、地域の伝統的なブランドが守られる制度がもっと周知徹底すれば地域農業に光が当たる。生産販売効率、コストだけで競争するのではなく、地域の個性を引き出し、消費者に提案して食文化を豊かにしなくては小規模農業は更に先細りである。

 

バブルの頃はマネキンを置いた対面販売が盛んだった。

現在は精々ポップを置く程度、これもインパクトが無くなって減少している。野菜の単価が安いから、宣伝費にコストをかけてもメリットが無いから、デパート物産展の生産者派遣くらいでしか見かけない。10年前に「野菜ソムリエ協会」という資格認証協会が設立され、野菜の消費拡大に乗り出した。しかし、残念ながら野菜の価格低迷が続き、コストカットが常態化して出番が減ってしまった。

昨年秋、デパートで野菜ソムリエを置いて対面販売にチャレンジしているA社と出会い、野菜ソムリエN子さんから情報を集めながら、今後の小規模生産者のサポートの方向性を探っている。

 

先ず、デパートの野菜売り場に来店するお客の意識調査だが、約75%が常に価格を意識し、商品価値優先で買うお客は25%程度しかいないという。富裕層が集まるデパートでこの状態だから、通常の量販店は殆どが価格優先となる。もっとも、テストしている3店舗は鉄道拠点駅直結デパートで、客層は大衆化傾向、平面化が進んでいる。

特に大阪駅周辺の再開発、流通再編で、富裕層を中心としてきた老舗デパートは風向きが変わっている。

 

11月初旬、伝統品種「熊本松橋蓮根」から販売を始めた。この地方独自の「松橋種」という品種だが、もちもち感があり、非常に美味しい。数年前、関東の量販店に提案してみたことがある。お会いしたカリスマ部長はこの品種をよくご存じだったが、「残念ながら売れるようになるには時間がかかる」「この蓮根は確かに味は良いが、外皮が黒ずんでいて白肌に慣れている関東のお客の買い物カゴには入らない」「一度買ったお客がリピーターになれば売れると思うけど、先ずは価格の安いC品を特売品でで置いて様子を見るしかないね・・・量販店も価格競争が厳しいから、先ずは安いモノを置きたいと言うのが本音だけど(笑い)」

蓮根は関東圏は茨城県産の洗い蓮根が主流、皮が黒ずんでいると消費者に敬遠される。その対策として、以前に漂白剤脱色が横行し、問題になった。現在は品種改良され、美肌の茨城産が市場を席巻している。ただ、昔ながらの糸を引くモチモチ感のある在来蓮根を食べて育った世代には物足りない。消費者は商品が寡占化し選択肢が無いので、その味に慣らされ、それが本来の蓮根の味になってしまった。ちなみに中京、味に煩い関西方面は泥付きで食味の良い在来品種が売られている。

 

「食味」はいいが外観や調理法に理解がないために売れない野菜は多い。この類の野菜は食べ方の提案と試食、つまり人間力で需要を開拓しなければ売れない。商売から考えたら面倒な売り方は邪道。安くても売り易いモノを沢山撃った方が儲かる。みんながそう考えるから売り場は単純化し、価格競争だけが残る。一人勝ちになっても業界周辺は活気を失い衰退する。日本に活気がないのはその現象が続いているからである。それぞれの価値を発掘し、世に問う仕組みを作って全体の活力を高めなければならない。そう言う意味で、対面販売は重要でsる。

試食がポイントであるから、野菜ソムリエN子さんにサンプルを送り、試食品レシピを研究してもらった。キーワードは「簡単調理」「素材を生かす」「ヘルシー」

彼女の提案はスライス(簡単)→オリーブオイル炒め(ヘルシー)→シンプル味付け塩、胡椒(飲み物を選ばない)と決まった。

結果は大成功!

素材の美味しさがそのまま生かされ、ワインでもビールでも日本酒でも多様な飲み物に合う手軽なおつまみとして大好評!3月の収穫終了まで各店で定番商品となった。毎日対面販売するのは効率が良くないので週に2回程度とした。定期的に店頭に立てば、リピーターが徐々に増えて行く。店頭に立った日と立たない日では約2倍の売り上げ差がでるから野菜ソムリエ(人間力)の効果は大きい。来シーズンは徐々に店舗数を増やす方針。

 

2弾は美味しいサツマイモを売ってみたいと相談され、種子島「安納芋」にチャレンジしてみた。スィーツ原料(JAS)として契約栽培している友人Tさんが、青果用で売り先があったら・・・との話しを思い出し、早速始めた。

関東には茨城、千葉、埼玉にブランド産地があり、徳島には「鳴門金時」鹿児島には大塚、出水市長島など美味しいサツマイモの産地は多い。「安納芋」は種子島原産の地品種の改良種だが、上品な甘みと食味がネット上で大ブレイクし、高値で売られている。当地の事情に詳しいYさんに聞いたら品質は玉石混合、ブームになって全体の評価を下げているという。収穫してから1ヶ月以上室で熟成させないと本来の甘みと風味が乗らない。Tさんは必ず糖度検査をして出荷するので、商品の品質は自信があるという。ただ、基準に達しないと出荷しないから欠品は覚悟して下さいと言われた。当然である。

「安納芋」も順調にリピートが増えたが、今年は不作でトライアル数量のため注文数に応じきれなかった。次年度はこだわり品専門店にチャレンジする。キチンとした品質と供給体制が整えば定番商品として仕上がる。

 

第3弾は宮崎産里芋「白芽大吉」を仕掛けてみた。しかし、里芋そのものが売れなくなっているので動きが鈍く、需要期の年末で打ち切った。皮むきが面倒で調理法も限られるのでお客の関心は薄く、対面販売の価値はなさそうだ。

 

葉物は3月から北海道産ニラを仕掛けてみた。食べ比べて見れば解るが、単体試食では特長が打ち出しにくい。デパートでは余り売れない野菜らしい。

味が解りやすいのはトマト、南瓜、サツマイモなど糖度で美味しさを感じる野菜だが、今冬は不作のため見送った。5月連休明けからトマトにトライする。

 

取り敢えず1年間、チャレンジしてみる予定だが、モノが豊富な時代の中で売り上げを伸ばしてゆくには、相当なインパクトを持っていないと苦しい。インパクトのあるモノは少ないが、あれば多少余分にお金を出しても食べてみたいお客はいる。対面販売でパフォーマンスの出る野菜は限られる。単体での採算は厳しいが、お客が期待感を持って来店し、買い物を楽しんで頂ければ総合的なメリットは大きい。

 

課題はインパクトのある商品作りと配送コスト削減である。

海外から魅力的な品種が入ってきているから、新商品開発は以前よりしやすくなった。国内でも種苗会社やNPO「野菜と文化のフォーラム」などが地道に伝統品種の普及に動いており、今後の展開が期待される。販売については従来のデパートや量販店の他、小規模店への直送ルートを整備したい。

いずれにしても新しいお客を創る事が重要であり、対面販売は欠かせない。

 

都心の再開発が進んで、六本木、丸の内、恵比寿・・・など高級飲食店が一つの街に集まる傾向が定着している。

1店で使う量は多くはないが、品質の良い食材のニーズは高い。これに目を付けて高品質食材を小分けして配達するサービスが受けに入っている(友人Sさんの話)。業務用は欠品に厳しいから、市場品と組み合わせているという。小規模生産者でも売り先を丁寧に開拓すれば、安定経営は可能かも知れない。要はお客に信頼される取り組みである。

 

 

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