

海外に旅すると必ず立ち寄るのが市場(マルシェ)である。ヨーロッパの都市には、常設か毎週曜日が決められて開かれる市場がある。滞在したサン・ジャンにもスペイン側サン・セバスチャンにもマルシェがあり、早速、買い出しに出掛けた。
卸売り市場ではなく、一般市民が自由に買い物が出来る日本の朝市と同じで、新鮮で安価なので人気がある。街の中心地に19世紀に建てられた風格ある建物の中に常設売り場があり、広場周辺にはテント張りの店が並んでいる。常設市場には生ハムやソーセージなど肉製品、チーズなど乳製品、スパイスなど調味料、ワインなど飲料、オリーブ、ジャム、ドライフルーツ、蜂蜜・・・バスクの美食を支える食材が並んでいる。周辺から集まってくる農民や漁民達が思い思いに商品を並べて売っている。
冬期のため地場で収穫できる野菜は限られ、温暖な地中海側から運ばれてきた野菜やフルーツもある。パリやニースの朝市に並んでいるモノと比べれば商品数は少なく、見栄えは劣る。しかし、夏のリゾートシーズン(6~9月)になると街は旅行客で溢れ、身動きできないくらい賑わうと言うから、その頃には商品数も揃い、旬の食材が勢揃いする。
(ピマン)
「バスクの食」を語るには、先ず、フランス産唯一の香辛料「ピマン・デスペレット」の事を書かねばならない。バスクの山中にエスペレットという小さな村があり、ここで収穫された赤唐辛子を「ピマン・デスペレット」と呼ぶ。2000年に原産地呼称統制法(AOC)に認定され、ここにしかない唯一無二の特産品となった。1650年コロンブスと共にアメリカ大陸から戻ったバスク人によって伝えられ、バスクの気候風土の中で何百年にもわたって改良、馴化したオリジナル農産物だ。所謂、赤唐辛子だが、日本の鷹の爪などと比べて強い辛みが無く、程よい甘みと香りがあり、料理は勿論、ケーキなどデザートにも使われる。収穫されたピマンは1個ずつ丁寧に成り軸に糸を通し、窓辺、壁など家の周りに吊して乾燥させる。その様はエスペレット村の秋の風物詩となっている。乾燥したピマンは粗めの粉状に粉砕またはペースト状に加工し、瓶詰めにして売られている。今やパリの星付きレストラン調理人注目の食材となり、バスク料理には欠かせないスパイスとなっている。
日本で言うピーマン、パプリカ、獅子唐の類は多く、好んで食べられている。
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