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美食と農業大国・フランス(3) 日本の進む道

 

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フランス中部の穀倉地帯(画像参照)や西北部ボルドーの葡萄畑を眺めても、規模が違い過ぎて日本の参考になる点は限られる。学びたいのは彼らの「食に対するこだわり」と「作り手のプライド」である。特に大規模集約化から外れ、伝統的な食文化を脈々と受け継いでいる、小村や山間地域にそれがある。

 

大規模大量生産の穀物や甘味作物は日本がどんなに頑張っても国際競争には勝てない。日本一の穀倉地帯十勝でさえ経営面積は1/5程度、価格競争力はない。小麦の国際相場は1俵(60kg1000円台、大豆は2000円台。小麦の収量は平均すれば良くても反当10俵、大豆は5俵と言われている。同じ土俵で相撲を取ると生産者は反収1万円台で戦わなければならない・・・

小麦の政府売り渡し価格は1俵3.900円位で例え全額生産者に支払っても反収3,9万円。輸入関税分に種々の名目で下駄を履かせ、何とか辻褄を合わせている。下駄がないと十勝でさえ経営できない。ちなみに平成19年度の農水省統計によれば、北海道小麦の生産経費は反当約6.2万円、1俵生産原価は7.300円かかっている。大豆も主食の米も事情は大同小異だ。

 

この現実から日本の穀物農業が如何に脆弱かあらためて理解できる。米国、豪州などの農業大国も国の補助金がなければ成り立たないとよく言われる。しかし、それらの国には資金を注ぎ込んでも国際競争に勝てる生産インフラがある。日本は残念ながら基本的に穀物では国際競争に参加できない。自由競争を前提とする企業ならば撤退しかない状況だ。

しかし、「食糧」となれば撤退も縮小も国の存亡に係わる。世界も日本も取り巻く環境が大きく変化している中で「自給率向上」錦の御旗を振りかざすだけでなく、冷静に将来像を描き、メリハリのある長期戦略を立てることが求められる。

 

EU統合は加盟国間協議で、競争力のある分野に企業を含めて統合し、地域分担で生産性を向上させ、米国一極支配に対抗した。いろいろ課題はあるが停滞していた経済が活力を取り戻し、リーマンショックまでは順調に成長してきた。ドイツやフランスなど主要国だけでなく、スペインや中欧、東欧周辺国に経済成長をもたらし、雇用を生み、需要が拡大、成長を享受した。

通貨、物流、人の往来に国境が取り払われ、高速道路、空港もEU間はフリーパスとなった。日本からの入出国手続きはEU圏内であれば1回で済む。細かい点はともかく、経済的には一つの国である。

 

今後はアジア経済圏統合が現実となるだろう。日本は貿易立国に拘わらず、常に農業問題が足枷となって自由貿易を躊躇し、国益を損なった面がある。莫大な農業予算を注ぎ込んで農業を守ってきたが、結果はご覧の通り衰退である。国力の源泉であった得意な分野も競争力低下が激しい。産業面で日本と競合している韓国は積極的にFTA(自由貿易協定)を結び、年10%もの成長率を達成した。既に日本を抜き去った産業もある。ヨーロッパ緒都市の看板や雑誌広告はアジア圏ではサムスン、現代など韓国企業が目立つのである。

 

農業をこれ以上保護しても最早、国の長期的メリットは無い。国力が落ちれば農も衰退する。

農民の高齢化と就農人口減少の現実を考えれば、競争力のある作物の選択と集中が必要である。競争力のない穀物は工夫しながらコツコツと生産性向上の道筋を作ればいい。無理しなくても既存インフラで生産性を少し上げれば需要減トレンドの中で自給率向上か、悪くても維持は可能であろう。ダム、干拓、農地造成、構造改善など農業インフラに使っていた予算を必要最小限度に減らし、将来性があり、競争力のある分野に投資すべきである。

最早、「自給率向上」にこだわって競争力のない低付加価値農業をしていたのでは競争力のある農業人は育たない。少数精鋭で急成長している国々をターゲットに高付加価値農業を考え、豊かな農を描かねばならない。

 

繰り返すが従来型の地域活性化と称して多額のインフラ予算を投じても「採算の合う作物がない・・・」のが現実である。広大な優良農地で耕作している生産者でさえ資材高騰の転嫁が難しく、経営が厳しくなっている。新興国需要増は一過性のものではなく、原油が上がり、化学肥料や他の資材もまた高騰する。このことを折り込んで将来を考えねばならない。今こそ、先を見据えて資材多投型・低付加価値農業から、多角的高付加価値を組み合わせた農業への転換が急がれる。

 

地域活性化=自給率向上=企業参入などの言葉は耳障りと格好が良い。しかし、現実は甘くない。

場当たり的補助金に飛びつき、公共事業削減で仕事の減った建設業者が農業に参入した。私の知る限りでは成功している例は少ない。長年培った技術と経験があってこそ競争力のある農産物が作れる。先ず、土壌や気候の特性を把握し、病害虫、価格変動、採算性など様々なリスクを乗り超えられる強靱な農業人を育てなければ未来は無い。いろいろな例をみているが「農業は難しい。その割に儲からない・・・」撤退者達が一様に口にする言葉である。

既存農家と同じ土俵で作ってみても、新しい技がなければ期待した利益は上げられない。パイが縮小している社会では共倒れの危険さえある。

 

普天間代替基地で話題になっている徳之島に十数年前に冬メロンを作ろうと訪ねたことがある。あちこちに放棄された新品同様の豪華な耐風ハウスがあり、これを借りて作ろうという目論見であった。その時既に徳之島は65歳以上が6割を超える全国有数の高齢化社会に入っていた。地元の方と意見交換したが、結果は農作業が出来る人は限られ、見通しが立たないので、即、断念した。

農地をはじめ設備過剰はこれから全国で加速する。費用をかけずに既存設備を有効利用することが)容易になる。問題は時代に対応できる強靱な農業人の育成にある。この方面に思い切って予算を注ぎ込めば、次の一手が見えてくる。このハードルがクリアー出来なければ、農業再生は絵に描いた餅だろう。

モノではなく先ず人作りが鉄則である。

 

将来の日本農業を考える時、自給率向上、つまり効率優先大規模農業ばかりに目を奪われていては道を誤る。

日本が生き残る道はアジア経済圏統合を前提とした戦略であり、それぞれの地域が得意な分野を受け持つ。既に企業はその方向に動いている。FTA(自由貿易協定)交渉の足枷だった農業は、従来の固定観念を捨て、新時代の枠組みを作れば宝の山となる。地域分担してそれぞれの気候風土に合った農業を住民みんなで考え、発信すればいい。「自活」である。

 

日本が「中の下」社会に移行する中で、中国、韓国、台湾、ベトナム、インドネシア・・・アジア経済圏では日本の高度成長期に起きた「中堅所得層急増現象」が期待できる。

台湾、中国では既に日本に勝る高額所得層が生まれ、高品質、安全な「日本製ブーム」が起き、海外旅行ブームも起きている。国交省も漸く、羽田のハブ空港推進に舵を切り、離着陸回数が増える。韓国や中国に奪われた海運もハブ港湾を整備し直す。沈滞していた国際交通、物流インフラは格段に改善されるだろう。

近頃、北海道~九州に至るまで駅構内案内板は英語、ハングル、簡体漢字(中国語)で表示され、都下にある我が町の駅案内板も先週、ハングル文字が併記された。

これらの身の回りの動きを見れば、もう日本ではなく、少なくとも「アジア」という枠組みを念頭に今後の展開を組み立て直す必要がある。

 

今後の日本の資源は最先端技術は当然として、「美しい四季」世界に誇る「和の文化」「安全な社会」であり「感動の美」「感動の食」「感動のおもてなし」の提案であろう。これらの資源は大規模、効率化から外れた地方に眠っている。「我々の農業」に何が出来るかを広い視野でもう一度、考えよう。

 

ヨーロッパ人は自分たちの文化を大切にする一方、国境を取り払って互いに生かしあい交流して、広角視野で人生を楽しんでいる。

高度情報化社会は「守り」「受け」ではなく情報発信「攻め」である。

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