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ブログ: 2012年6月

フランスのオーガニック農家を訪ねて(3)南仏モンペリエ

フランスのオーガニック農家といっしょに

NPOココペリを訪ねた翌日、モンペリエの大学と連携してオーガニックの産直支援研究をしているK女史(左から2人目)に案内して頂き、地元のオーガニック農家を訪ねた。K女史は陽気なラテン系マダムで4人の母親。こちらと会話しながらパソコンと向き合い別の仕事をしているスーパーウーマンだ。右側が当園オーナーマダムFさん。実直そうな人柄で質問に丁寧に答えてくれた。

オーガニック農家の圃場 オーガニック農家の鶏

◆経営面積は?
『ビニールハウス25㌃、露地で1.2㌶作っています。スタッフは自分を含めて3人ですが、忙しい時期は近所の人に応援してもらいます』

◆作っている野菜は?
『殆ど産直ですから種類が多くないとお客さんが限られてしまいます。季節ごとにキャベツ、玉葱、馬鈴薯、人参、トマト、茄子、胡瓜、ピーマン、ホウレン草、レタス・・・など、年間40~50種類作っています。八百屋さんに並んでいる物は殆ど作っていますよ』

◆全部オーガニックですか?
『そうです。化学肥料も化学農薬も使っていません。土作りは地鶏を飼って出た鶏糞を発酵させた肥料、落ち葉と近くの畜産農家から出る厩肥を切り返して発酵させた堆肥だけです』
『オーガニックで一番労力のかかるのは草取りです。全部手で取りますが夏は次から次へと生えてくるので雑草退治に追われます。プラスチックフィルムマルチは環境への配慮から使いません』

◆日本のオーガニック農家は害虫対策で苦労していますが?
K女史『ここでも色々な害虫がいます。特にアブラムシの発生が多いです。ハーブなどとの混植や輪作が基本ですが、それだけでは防ぎきれません。作物と害虫名が判れば大学の研究室で蓄積したノウハウで対応策を提供しています。天敵昆虫や植物抽出エキスがかなり有効です。自然界では完璧は無理ですが・・・それ程困る様な大発生はありません』

◆アジアではニーム(インドセンダン)が使われていますがフランスでは?
『名前は知っていますが、ここでは使われていません。地場で調達できる資材が基本ですから』

◆オーガニック(AB)認証(は難しいですか?
『申請するとお役人が来て簡単なチェックがありますが、何回も来るわけではありません。オーガニック農家は非常に少ないですから定期的にチェックするのは効率が悪く、コスト的に不可能です。登録料は年間100ユーロですから・・・。毎日、農場の近くにある直売場に消費者が買いに来ますから、むしろ彼らにチェックされていると言ってもいいでしょう。産直のオーガニックは理屈ではなく人と人との信頼関係で成り立っている面が強いです。顔の見えない不特定多数、大量生産販売とは異なります』

◆販売は?
『この辺は地中海に面した観光地で、夏には大勢のバカンス客で賑わいます。レストランや各地にある直売場で全部売り切れてしまい、毎年、品不足状態です。オーガニック農家は少なくとも半径10km以内にはありませんから、傷んでいなければ屑物でも売れてしまいます。慣行品のように取れ過ぎて捨てた経験はありません(笑い)』
『販売価格はほぼ通期同一価格で売っています。平均すれば慣行の野菜と比べて変わらないでしょう。私達の直売場に安さを求めて来店するお客さんは余りいないと思います。リピーターを増やしてロス無く売り切ることが経営的に最も大切です』

◆経営は順調ですか?
『自分で価格を付け、多品種、売り切り型ですから大型農機具や冷蔵、貯蔵施設は不要で、償却費はあまりかかりません。種子代はともかく、肥料や農薬など生産資材費も、慣行農業と比べたら格段に安いです。殆どが手間賃ですからお陰様で経営は順調です』
『これからもっと仲間を増やそうと募集を始めました。パートナー2人で当園で研修してもらい、自信がついたら自分達で独立すればいいのです。農業は一人では大変ですから、基本は二人です。男女の組み合わせは如何様でも構いません』

オーガニック農家の直売場

(直売場)
シーズンオフのため表戸は閉まっていたが、夏は大変賑わうと言う。
ここだけではなく各地に直売場があり、配達している。

オーガニック農家の葉菜類

(葉菜類)
シーズンを通して鮮度の良い葉菜類が並び、安全性が高いので人気商品。

オーガニック農家の土付き人参

(土付き人参)
フランスでも基礎野菜の一つである人参は、土付きで貯蔵し、長期間供給している。オーガニックのため、傷みにくい。

オーガニック農家のリンゴ

(リンゴ)

オーガニック農家の地鶏タマゴ

(地鶏タマゴ)
放し飼いで美味しく、鮮度も良いので人気商品!

オーガニック農家のハーブティー

(ハーブティー)
ドライ、瓶入りハーブオイル、エッセンスなど・・・香りを楽しむフランス人には欠かせない。

オーガニック農家のジュース、ジャム、ケチャップ

(加工品)
ジュース、ジャム、ケチャップなどが並んでいる。

モンペリエ近郊を結ぶローカル線

(モンペリエ近郊を結ぶローカル線)
利便性は良いとは言えないが、お洒落なデザインの車両は鉄道ファンならずとも乗ってみたくなる。

南フランス(プロヴァンス、コートダジュール)のランチ

(ランチ)
駅前のレストランで昼食をとった。
南フランス(プロヴァンス、コートダジュール)の料理はパリなど北部と異なり、野菜、モツァレラチーズ、オリーブオイルをベースにしたイタリアンが多い。パスタの上に新鮮な野菜がたっぷり盛られ、ヘルシーでとても美味しい。

フランスの回転寿司

(回転寿司)
モンペリエ市内に「回転寿司」と日本語で書かれた行灯があり、?を感じつつ店に入った。
カウンターは日本でもお馴染みの楕円形ベルトコンベアー方式。カウンターには座らず、テーブル席に座った。メニューは日本の居酒屋ランクで、焼き魚(サンマ?)、ホウレン草の白和え、豆腐、インゲン豆、しめ鯖、蛸、マグロなどの刺身。まずまずの味であった。ワインは何処で呑んでも安くてレベルが高い。

【コメント】

南フランスは北部や東、中部の大規模農業地帯とは異なり比較的中、小規模の農地が見受けられる。ワインなども数量より個性を重視した生産者が多いと言われている。野菜畑は殆ど見かけない。
K女史はオーガニック農産物の流通支援NPOを運営しているが、フランスにはこの様な農業支援NPOが多い。K女史によれば活動資金は企業や有志の寄付金、大学の研究費で賄われているが、最近は経済停滞で資金が集まりにくくなっているという。しかし、各分野の民間NPOの専門家が積極的に支援活動を展開していることは流石、農業国フランスである。Fさんの様な自立した生産者が育てば、農業に別な価値観を持った人達が集まり、新しい農業コミュニティーが誕生するかも知れない。
フランスでも仕事のない人達が増えており、希望者は多いらしい。しかし定着するかどうかは日本と同様に微妙な問題だが、K女史の様な頼りになる人材が日本でも育つことを是非期待したい。

当地の成功キーワードは「バカンス客」の取り込みであり、日本も海外観光客を含めて考えたい。

フランスのオーガニック農家を訪ねて(2)パリ近郊

フランスのオーガニック農家

パリ中心部から30~40km離れると、もうそこには森林や広大な農地が広がり、フランスが農業国であることを実感する。近郊野菜農家を訪ねたことがないので、青果関係の仕事をしていたFさんにお願いして案内して頂いた。訪問したのはオーガニック葉菜類の宅配農場を経営している日系三世の若手農業人Gさん(30歳台)。大型蓮棟ハウス約1㌶と露地10㌶を所有している。

オーガニック農家の圃場1 オーガニック農家の圃場2 オーガニック農家の圃場3

◆作物は?
『周年、オーガニックで葉菜類を10種類近く栽培しています。8年前に父親から引き継ぎオーガニックに切り替えましたが、4年間は病害虫が多発して殆ど収穫が出来ませんでした』

◆原因は?
『ここは肥沃な土地にもかかわらず、堆肥や肥料を沢山撒きすぎていました。しかし、肥料を入れないと作物が育たないという固定観念が抜けず、失敗を繰り返してきました。どうしても無農薬にこだわりたいといろいろ試行錯誤していた時に、日本の福岡正信氏の「自然農法」を知りました。その後、自然農法の考え方に近い農法の普及活動をしている日本の組織と出会い、現在はすべて無肥料、無農薬で栽培しています』
『なかなか思うように行きませんでしたが、過去に蓄積した肥料分が無くなり、漸く病害虫の問題が解決し、作れるようになりました。耐病性品種を選んだ事も大な要素と思いますが・・・』
『この圃場は、肥料も何も入れず育て、収穫後に菌体(EM菌)を撒いただけで2年間栽培しています。これで十分育ちますし、病害虫で苦労していた頃が嘘のようです』

◆養分は何処から供給されるのですか?
『畑に残った作物の根が分解して次の養分になります。この分解養分だけで十分です。人間が欲を出して余分な事をするから病害虫に侵されるのです』

◆販売は?
『1箱15ユーロの詰め合わせボックスを作り、会員制一括前払で頂き、グループごとに配達しています』

◆経営は?
『オーガニック野菜を求める消費者が増えているので、お陰様で順調です。消費者にも環境にも貢献していると思うと、やり甲斐がありますね・・・』

小規模農家用播種機

◆課題は?
殆ど機械化が出来ていますから、収穫作業以外は大きな課題はありません。画像の播種機で種蒔きしておけば、あとは潅水するだけです。

【コメント】

今から40~30年前、この無肥料、無農薬栽培が話題になり、マスコミを巻き込んで実現、持続可能な農法か否か論争が起きた事がある。日本ではすっかり下火になったと思っていたが、何とフランスで注目されている。彼の話は常人には納得し難い面があるが、事実である。過去の腐植などの蓄積があるからこそ今は育つのか、長期間再生循環して持続可能なのか・・・全く判らない。
ただ、この様な最低限の養分で育った野菜には生命力があり、病害虫に強く、養分的にも優れているとは思う。

フランスのオーガニック農家を訪ねて(1)ノルマンディー

フランスのオーガニック農業については、昨年、1月と5月にノルマンディー ハローウィン農場を訪ね、有機農業への考え方や取り組みについてインタビュー記事を書いた。

(下記参照)
http://www.e-yasai.com/blog/bio.html
http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

http://www.fermedubec.com/

 

今年も年初に訪問し、昨年の状況と今後の展開についてご夫婦にインタビューした。

フランスのオーガニック農家1

◆世界的に気候変動が農業に大きな影響を与えていますが、ご当地の状況は如何ですか?
『昨年は、いろいろな事が起こり、大変な年でした。今年も異常で始まり、例年より非常に気温が高く、ご覧の様に全く雪がありません。昨年同じ時期に来られた時は、雪が15cm位積もっていたでしょ。やはり、フランスも気候変動が大きくなっていますね・・・。当地に来て7年目になりますが、この時期に雪が無いのは初めてです・・・』

オーガニック農家の植物

◆植物にはどの様な影響が出ていますか?
『この株は例年ですと雪の下で静かに春を待っているのですが、もう茎が伸びてきました。これから寒波に見舞われると凍傷を起こして駄目になってしまわないか心配です』
『果樹類の中にももう芽が動き始めた樹があり、このまま温かい日が続くと心配ですね・・・』
『昨年もそうでしたが、気温や降雨量に大きな変動が起きています。殆どが露地物ですから、対応策は限られますね・・・・』
(注)その後は大寒波も見舞われた。

オーガニック農家のぼかし肥料

◆昨年お奨めしたぼかし肥料は作りましたか?
『勿論!早速作ってみましたから、見て下さい』
『材料は言われた通り、動物性として家畜の血液、植物性は葦の仲間で虫の忌避効果があると言われている植物を細かく切ってこのドラム缶に層状に詰め、発酵菌は嫌気性菌を探して仕込みました。もう2ヶ月位なりますが、状態をチェックして下さい』

◆大変良い状態に仕上がってきていますね。嫌気性菌特有の縁の下の臭いに似た香りがしていますから大丈夫です。本格的に大量に作る場合、血液は充分ありますか?
『生血液は輸送が大変なので、将来はけ血粉を使うつもりです。ぼかしを使う時の注意点を教えて下さい』

◆もうそろそろ使っても大丈夫です。施用量は1㎡当たり200㌘が目安です。あまり一度に多く施用すると生態系に影響を与える可能性がありますから、少しずつ施用した方がいいでしょう。

フランスのオーガニック農家2

◆今年の課題は?
『7年目を迎えましたが、自立の目処、つまり国の支援期間10年(2015年迄)に如何に採算ラインに乗せるかが当面の課題です』
『今年から国立パリ農業大学院のR教授とオーガニック農業を若者の雇用先として活用できないか研究を始めています。現在描いているモデルでは野菜で1㎡当たり年間30~40EURの収入を安定的に確保出来れば雇用の場として成立すると考えています』

◆具体的には?
『昨年ご覧頂いた混植、密植、円形高畝方式と、育苗苗定植で回転を良くし圃場利用率を上げるなどの成果を組み合わせれば、実現可能です。少なくとも、従来の農法より、品質価値も収量も上がりますから、総合的に目標達成は可能です』

小規模農家(家庭菜園)用播種機

『オーガニック野菜は小規模多品目栽培が前提になります。コスト削減は農作業の効率化が不可欠です。右の画像は米国のインターネットサイトで購入した小規模農家(家庭菜園)用播種機です。今迄は人手で蒔いていましたが、これを使うと10倍以上効率が上がります。狭い農地でも使い勝手が良く、非常に便利です』

草丈の低い葉物野菜の収穫機

『これはベビーリーフなど草丈の低い葉物野菜の収穫機です。下部にカッターが付いていて根を切りながら収穫し、赤い袋部分に貯まります。簡単な器具ですが、大変重宝しています』
『私達には固定観念がありませんから、現場の状況に器具を合わせたり、器具に現場の作業を合わせたり、自由自在です。毎年、一歩一歩進化して行く課程が楽しいですね・・・』

【コメント】

今回で3回目の訪問だったが、毎回、進歩している様子が頼もしい。
昨年はかなり在庫があった直売場の商品は殆ど売り切れていて、販売は好調の様だ。
フランスの若者の就職難は慢性的、日本と比較したら相当厳しい様だ。EU統合で価格競争力強化のため企業が周辺国やアジアに生産拠点を移していることが雇用環境悪化の原因だが、一方で農業の産業化つまり大規模機械化、IT化による農村の雇用吸収力が低下原因という指摘もある。確かに大規模化した一部の生産者は大きなメリットを受けたが、社会全体としてあちこちでバランスを失い、雇用不安や所得格差拡大を招いていることは確かである。4,5月に大統領選があり、自由主義経済、市場開放を掲げてきたサルコジ氏が敗れた。ユーロ危機で雇用情勢が更に厳しくなり、国としては雇用対策が緊急課題となっている。日本でも農業への雇用促進政策が打たれているが、現実はうまく機能していない・・・果たして、オーガニック農業に雇用吸収力があるのか注目したい。

一番の問題は採算性である。露地で年間反収300~400万円実現の可能性はあるのか・・・
収量については日本と比較してそれ程大差があるとは思われない。問題はパリと東京の販売格差がどの程度あるのか、早速パリ在住A子さんに調べて頂いた。
(下記は2月中旬に頂いたメールである)

先週の金曜日、(パリでも外気が零下8度まで下がった日)に近所の大手スーパー(カルフール)で調べた価格です。(単位:EUR/kg)

◆馬鈴薯(フランス産)
ディスカウント・・・・・・ 0,6 EUR(約60円)
通常品・・・・・・・・・・・・・・ 1,0 EUR(約100円)
BIO(有機栽培)・・・・・ 1,2~1,52 EUR(約120~152円)
ラット(小型芋品種)・ 3,4 EUR(約340円)

◆人参(フランス産)
ディスカウント・・・・・・ 0,6 EUR(約60円)
通常品・・・・・・・・・・・・・ 1,2 EUR(約120円)
BIO(有機栽培)・・・・ 2,2 EUR(約220円)

◆トマト(通常のサイズ)
ディスカウント(モロッコ産)・・ 1,4 EUR(約140円)
通常品(スペイン産)・・・・・・・・・ 3,2 EUR(約320円)
BIO(有機スペイン産)・・・・・・・・ 4,0 EUR(約400円)

◆茄子(スペイン産)
通常品・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3,5 EUR(約350円)

◆玉葱(スペイン産・フランス産 )
ディスカウント・・・・・・・・・・ 0,5 EUR(約50円)
通常品・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,95~2,0 EUR(約200円)
高品質品・・・・・・・・・・・・・・・ 3,9 EUR(約390円)

◆レタス(フランス産)
1.7 EUR/個(約1玉170円)

(注)
玉葱、馬鈴薯は物価が安い地域では、もっと破格の値段で売っていると思います。
ちなみに当方が住んでいる地域は物価が必ずしも安い方ではなく、それに加えて1年で最も気候の厳しい時期でしたので、価格について高い時期の一例としてご覧下さい。

この調査結果から、パリの野菜価格は東京と比較して相当に安い。従って、フランス人若者を雇用して露地栽培通年反収300~400万円実現への道のりは、残念ながら相当困難であると思われる。

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (6)トマトの品種

NPO「ココペリ」 トマトの品種

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在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (5)未来に向けて

P4252175.JPG■自然循環型農業実実現のためには、在来種普及の他、どの様な事が重要ですか?・・・

『私たちはこれまでに何百何千という品種の作物を絶滅させてしまいました。フランス国立農業研究所(INRA)ではまだ沢山の在来種が保護されている様です。インドではつい最近まで、古くから伝わる非常に多彩な稲の品種が保存されていました。それらの生産現場を見ると農薬などは一切使わず、すべて自然界にある素材のみを利用した農法です。近代化した農業よりも優れた収量を上げることができていたのです。ところが、近代種と技術を利用する様になってから、病虫害が多発するようになり、収量も大幅に下がってしまいました。世界大戦後、農業の機械化が進み、巨大なトラクターやコンバインなどが生産現場に導入される様になりました。機械で作業を合理化するために、米、麦、トウモロコシ、豆類、その他穀物類は、ある一定の高さに揃えて育つ必要があります。新しい穀物品種は農業の機械化にメリットのある形質が優先されています。在来品種穀物の中には、背丈が11.5mになるものもありました。この様な在来種の穀物を食べ続けていれば、先程お話したグルテンアレルギーなどを引き起こす確率は少なかった筈です。しかしこれらは機械化に適しないという理由で次第に栽培されなくなりましたす』

 

■日本でも同じです。風で倒れにくく、コンバインで刈り取りがし易い軸太の、短桿品種に改良されてきました。

結局、欧州連合は自家採種作物を増やしたくないということですか?その理由は?・・・

『生産者や消費者のメリットと言うよりも、大企業が自分達の持っている種を効率的に販売するために政治勢力と手を組んだ結果だと思います。かって、農民が種を自家採種していた時代には、収穫した中から必要なだけ自家用に使って、余剰分を販売に回したり近所と交換し合ったりしていました。それが、これからは自分達の収穫分に対して税金を支払う様に義務着けられるというのですよ・・・。種子の交換が法的に禁止されるのです。その規約に反対するため、私たちは以前、農家の人たちと一緒に麦の種が入った袋を持参して、ストライキに参加したことがあります。しかし、その袋は種を交換し合ってはいけないと主張する人達の手でビリビリに破られてしまいました・・・』

 

■推測ですが、採種を法律の下で管理し、大きなメリットを受ける人達がいるのでしょう。法的に保護されていれば競争原理が働らきません。在来種の自家採種が増えれば、彼らの利益は縮小してしまいますね。ただ、採種は種子感染を防ぐため厳格な防除管理の下で行われなければなりませんから、ある程度の規制は必要だと思います。

日本の生産者は、種子は作るよりも買った方が便利なので購入する人が大部分です。殆どハイブリット種ですから購入するしか選択肢はありません。フランスは一生産者の使用量が桁違いに大きいでしょうから、自家採取が定着したら採種業界は死活問題でしょう・・・。

しかし、全面的に自家採種を取り締まる法律があるということは驚きです。日本にはまだその様な法律はありません。在来種が使われていた時代には穀物から野菜まで、自家採取が行われていましたし、現在でも違法ではありません。。

日本では今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加して、欧州連合の様に加盟国間で各分野のルールを統一しようという議論が活発化しています。仮にTPPに加盟した場合、アメリカや、豪州、南米の参加国から、同様のルールを要求される可能性は否定できません。しかし遺伝子組み換え作物の受け入れは絶対に拒否すべきです。種子の押しつけなど論外です。

日本ではまだまだ情報公開が不十分で、、政治の不透明さが目立ちます。つい最近、農水省から遺伝子組み換え作物と、それを販売する海外企業の国内事業参入について一般市民の意見を求める書類が、有機農業の発展運動に関わっていた大学講師の友人から送られてきました。ただし、私のところに書類が届いてのは、すでに農水省への書類提出期限が過ぎた後だったです(笑い)

『フランスでも同じですよ・・・一般市民に意見を問うていては通りそうもない法案は、国民の多数がバカンスを楽しんでいる間に審議を済ませ、さっさと通してしまいます。つまり誰も知らない、知られないう間に通してしまいます』

 

『田舎から都会への人口流出と農業者の減少は、世界に共通して見られる問題です。これは経済的、社会的な現象で、農民が減ると種子を育てる農民も減る・・・したがって種子の供給源を大規模企業に委ねざるを得なくなってきています。しかし、現代人は毎日工業生産化した生気のない食べ物を食べて生きているのです。しかもそれを、電子レンジで温めて!』

 

■そういわれると困ったなあ・・・(笑い)

便利な生活に馴染んでしまっているから、今更、やめられないでしょう。電子レンジが私達に及ぼす具体的な害というのは、目には見えないですからね。

『もちろんそうですね。携帯電話の電磁波に関しても同じことが言えます。

問題が明るみに出るのは今でなく、将来です。何年か何十年後には電磁波の出る機器を使い続けてきた人達に、どの様な影響が出るか、例えば癌になる確率が高くなるとか・・・可能性は否定できないです』

 

『日本では昨年、原子力発電所の事故がありました。放射能の拡散も見逃せない問題です。福島原発で事故が起こったすぐ後から、ココペリではブログを通して日本の原発事故を取り巻く近況を頻繁に更新して伝えてきました。情報源は個人、原発関係の団体等です。事故当時、原発事故の状況に敏感だったフランス国内報道機関の動きが下火になった後も、私達、特に私の兄が中心となってブログの更新を根気よく続けました。しかし、周囲からの圧力と事態のあまりの悲惨さに落ち込んでしまい、もうこれ以上続けると病気になると思い、結局、昨年7月にブログは中止しました。放射能に関する詳細、且つ正しい情報を見つけるのが難しい状況が続いていたので、ブログを中止した後、多くの方々から「助かりました。ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。言い換えてみれば、事故の真実を隠す情報機関が、それだけ多かったということです。

放射能汚染は実際、日本だけの問題ではありません。放射能雲は2025日間で地球をぐるりと一周します。雨が降れば、空気中にあった放射能も土壌まで降りてきます。こうして世界中が汚染の被害を蒙ったのです。特に土壌汚染の被害は、単に数年ではなく、何十、何百という年月を通して、汚染が続くことになるでしょう。土は、撒かれた種を育む。そしてその土が育てあげた種から育った食べ物が私たちの糧となるのです。そう考えると人間に被害が及ぶのは当然の話だと思います。

フランスは全世界で最も原子力発電技術に長け、且つその開発にも力を入れている国の一つです。一方で日本も原子力の発展にはこれまで非常に力を入れてきました。それに関連した産業も多く、そこから逃れられない人達からの圧力があったわけです』

 

■ところで、ココペリは日本の種子会社、あるいは種子保護に関わるアソシエーションとの交流はありますか?

『今のところ、コンタクトを取ったことは全くありません。自然農法を確立した福岡正信氏の名はフランスでも知られていて、私自身も興味を持っているのですが・・・彼の実績は素晴らしいと思っています。

京都には古い伝統的な種子のストックをしている会社があります。それが「種屋」の財産なのです。

INRA (フランス国立農業研究所)の様な研究機関は、ココペリが在来種の種子をストックしているのはありがたいことだ、と思っているようです。なぜかというと、私たちの持っている品種を購入したうえで、ハイブリッド種を新たに作り出す、という仕事をするからです。私達から見れば、本当に馬鹿げた話です。

ハイブリッド種や突然変異から生まれた種というのは、言い方は悪いですが、いわゆる人間でいう心身障害者のみを選択して養育するのと同じことだ、とある日本人の人から言われたことがあります。それでは、体に良い訳けはありませんとと・・・

私達はその様な状態の品種をベッキーユ(松葉杖)と呼んでいます。かって、自然界には私達が必要とするものはすべて揃っていました。自然は私たちに必要なものはすべて与えてくれていました。だから私たちは、食の安全、安心、消費者ニーズという言葉のもとに、次々と新しい品種を作り出してゆく現在の姿に疑問を持っているのです。

日本でもNPO法人などがあると思うので探してみます。

ココペリはこの在来種子の保護とその自由な活用の権利保護という問題に対してこれまで真剣に取り組んできたため、フランスだけでなく欧州、そして世界中に名が知れるようになってきています。農民達が大規模多国籍企業に依存したり、その結果借金に追われ続けたりすることなく、各自が独立した形で生産活動を続けられる姿を目指すため、最近では 国内のみでなく海外諸国でも、ココペリの種子生産ネットワークを築きはじめています。

今日の経済市場主義に翻弄され続ければ、金融危機のシステムと同様に、生産者の借金は膨らむばかりです。先に申しました様に、1930年以降、初めて改正されたFAOの定める国際食品規格(Codex Alimentarius)の影響は、1ヶ国のみではなく、世界中の国に影響を及ぼすものです。だからこそ反対運動を世界中に広めていく価値があるのです。

 

■長時間、大変有益なお話し有り難うございました。私たちも日本でココペリの活動をお手伝いできる事がありましたら是非、お力になりたいと思っています。

 

(終)

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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