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ブログ: 2012年5月

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (4)トマト談義

20120529114721_00014.jpg ■土作りについてのお考えは?・・・

〈作物の健康は健全な土壌からが基本と考えています。

ココペリは、土壌の再生を目的としたプロジェクトにも取り組んでいます。折角、種子の保護改革に成功しても、この種を受け取って栄養を与える土壌が痩せていては健全な作物は育ちません。従って人々に土壌の健全さについて伝えていくことを大変重要視しています〉

 

■昨日、パリにある普通のスーパーマーケットを何店が視察しました。フランスも日本と同じ事が起きていますね。販売されている食料品の種類は豊富ですが、商品はどこも画一化していることを感じました。フランスでも大企業による量販店の広域チェーン展開が進み、安く大量に仕入れて競合店に競り勝つかが最重要課題となっている様です。

その流れを受けて生産者は、ハイブリッド種子、化学肥料、農薬、あるいは水耕栽培などを駆使して栽培効率を上げ、コスト削減を競っている事が商品から伝わってきました。本来の「食べ物を作る」というプライドと職人気質が後退し、競争に勝つためには何でも使わざるを得なくなっているのが現状でしょう。特に国内だけではなく、EU諸国、アフリカ、南米などからの輸入品も目立ちますから、価格競争は厳しい・・・。日本でも同じ状況が起こっていますが、幸か不幸か10数年前、輸入野菜に残留農薬が度々検出され、消費者、流通、生産者の安全性に対する意識が高まりました。しかし、日本は安全はタダ(無料)という認識が残っており、デフレ経済の影響もあり、消費者の安全性に対するコスト負担は進んでいません。フランスの状況は?・・・

〈農薬や化学肥料が使われる様になったのは、第二次世界大戦後のことです。戦争中に作られストックされていた大量の化学薬品が余っていました。そこでこれを農業に応用できないかと考えたのです。その結果、以前は肥沃だった土壌の生態系は急速にバランスを崩し、地力を失ってしまいました。ベトナム戦争の際には、自然と人間を殺傷するために、あらゆる化学物質が使われました。今日でも世界中で様々な農薬が使われています。危ないことが解っていても、一度使い始めたらなかなか止めるのが難しいです。だからこそ、消費者の教育に力を入れる必要があるのです。

例えばもし、消費者が真冬にイチゴやトマトを欲しがるのを止めたら、ハウス栽培や、水耕栽培をする必要も無くなります。エネルギー、農薬、化学肥料の無駄使いを止めることが出来ます。

特に植物にとって土は不可欠です。水耕栽培で土壌の中に根を張らないまま育つ植物には、本来持つべき生命力は宿りません。水耕栽培は、ほんの一部の人間達がお金儲けのために作り上げた知恵でしかありません。様々な分析を行った結果から判断して養分を与えれば、作物が出来ると言ってね・・・

フランス、ブルターニュ地方にあるサべオル(Savéol)社はトマトの生産と販売に関しては最大手です。冬でも水耕栽培のトマトを大量に生産、販売しています。選ぶ、食べるのは消費者の勝手ですが・・・〉

 

■私達は今朝、ランジス市場で、サべオル社のトマトが販売されている様子を見てきました。以前、この市場で18年間トマトの販売を専門に担当してきた案内人Jさんは、サべオル社のトマトは国産、且つ最高品質、水耕栽培ではなく環境にも配慮した栽培をしています。ランジス市場の中でも高価格で取引されるとの説明を受けましたが?・・・

〈とんでもない話です!

市場に勤めていた彼が言う「良いトマト」とは、つまり自分がより儲かるトマトということだったのでしょうね~。

サべオル社のトマトと、私達が作る地物トマトとは、味は全然違いますよ!〉

 

■日本では美味しさは糖度と酸味のバランス、食味、そして見かけの美しさで判断します。サイズが揃っていないと、流通に乗りにくい商品となってしまいます。フランスでも市場で見る限りでは、農作物の等級分けは行われている様ですが、では、ココペリが考える「良いトマト」とは、どの様なトマトでしょうか?・・・

〈ココペリにとって、クォリティの高いトマトとは、まず美味しいこと、外見、色、そして病気に強く、気候や土壌の違いに対して広い対応性を示すものです。私達の商品の中では、トマトの種が最もよく売れています。現在保存しているトマトの品種は650種類におよびます。その中でも品種によって、極早生、早生、晩生など収穫時期の異なる様々な品種が存在するので、これらを組み合わせることで栽培する量や時期などを調節することができます〉

 

■それらは基本的には露地栽培用ですか、ハウス栽培用ですか?・・・

〈両方あります。日本は湿度の高い国なので、病害を避けるためにも、トマトはハウス栽培が向いているのでしょう。トマトは病気に弱いですから、私たちも発酵させた西洋イラクサなどの有機物質を活用して強い苗に育つ様、しっかり世話をします〉

 

■ココペリの種を使っている人たちは、天敵昆虫などを使って害虫の発生を制御していますか?・・・

〈その様なものも使います。2種類以上の花、野菜、ハーブなどを組み合わせて植えるコンパニオンプランツといった手法も活用しています。これは昔から、百姓達の間で民間伝承されてきた非常に貴重な手法です。植物はお互いに助け合って自らを保護する方法を知っているのです。だからこそ様々な作物を混植して畑の中の生物多様性を豊富にしていく事が大事なのです。例えば、花をよく咲かせる植物を野菜の近くに植えることで、昆虫を自然に引き寄せることができ、結果として受粉の機会が増える、といった具合に・・・〉

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/post-58.html

 

■私は昨年、フランス、ボルドー地方原産のマルモンドトマトという品種を日本の農家に依頼して育ててみました。収穫は出来たのですが、サイズにかなりばらつきが出たので、残念ながら商品化には至りませんでした。これも原種のトマトですか?・・・

(参考)

http://www.e-yasai.com/blog/column/post-60.html

http://www.e-yasai.com/blog/post-62.html

〈マルモンドのトマト(正確には栽培が始まったのは1863年から)は、とてもクラッシックな品種です。味も良いことで有名です。この地方で栽培されているトマトにもいくつか違う品種があります。その中でサンピエールという品種は私達も販売しているのですが、これはよく売れます。トマトでもズッキーニでも、量販店で販売されている品種は、種類に乏しく、どこも同じものであることが多いです。それはあまり好ましいことだとは思いませんね。大学で私たちが行う講義に参加される方や見本市にいらっしゃるお客様達は、トマトだけでもこんなに沢山の品種があるのか、と驚かれます。

アマチュア生産者の中でも、かなり多様な品種のトマトを育てているトマトコレクターと呼ばれる人たちは結構いらっしゃいます。彼らのお蔭でココペリは古代種のトマトの種を守り続けることができているのです。ピーマン(唐辛子)の種子の種類も豊富なのですが、中には年間1520袋程度しか売れないものもあります。それでも継続してくことが大切だと思っているので、生産をお願いするのですが、需要が低い品種は生産者の仕事量が増えてしまうので、コストがかなり高くつきます。決して工業的な方法は使わない、手仕事の世界だからです〉

 

■フランス人は野菜の糖度に対しては日本人程、煩くないでしょうか?・・・

〈フランス人の味の好みというのは、もっと多様なのでしょうね・・・糖度に執着するというよりは、むしろ様々な味のトマトが存在することの方が大事だと思います。酸味が強いもの、とても甘いもの・・・… 胃の調子が悪い人達のために酸味を抑え気味にしたトマト、様々なものがあります。例えば黒トマトなんかはとても甘く、酸味が少ない品種です〉

 

■ランジス市場で、クマトという名前の黒いトマトを見ましたが、クマトとは?・・・

〈クマトは、スペインの栽培者スイスに本社がある世界的アグリビジネス企業「シンジェンタ(Syngenta)のために開発したもので、本来ならば存在すべきでないハイブリッド品種です〉

 

■糖度の高いトマトがあったら日本でその種を販売、または試作用に購入することはできますか?・・・

〈勿論です!どうぞ、どうぞ!

欧州各地でクマトは流行しはじめていますが、ハイブリット種なので自家採取は難しいです。私達の提案する古くから作られてきた在来種の種は、確かに生産性の面では劣ることもありますが、種は続けて自家採取ができます。やはり、それが一番理想的だと思いますよ・・・〉

 

■日本で是非、ココペリの提案するトマトを作ってみたいですね。今日ランジスに行って、色、形が様々な品種のトマトを詰め合わせた商品にとても関心を持ちました。是非、日本でもチャレンジしてみたいです。日本ではまだまだ、トマトの種類は少ないですから・・・沢山は売れないと思いますが、品種の多様性を消費者に説明するツールになるとは思います。

〈是非、チャレンジして下さい!日本では、作付けのローテーション(輪作)は組んでいますかしていますか?〉

 

■トマトは、基本的には連作出来ませんよね・・・昔は日本でも作付けローテーションを頻繁に変えて、様々な野菜を同一圃場で栽培していました。現在は効率を優先しなければならない為、植え付け品目は減少し続けています。その結果、害虫や病害に強い交配種の価値が高まったのです。最近は種だけでなく、苗に接ぎ木をしないと土壌病に対応出来ない例も多く、手間やコストの上昇を招いています。

ところで、貴国で自家採取に対する規制が厳しくなるのは何故でしょうか?・・・

 

〈日本にはフランスの様に種の売買や利用に関する厳しい法律や規制はないのですか?〉

 

■勿論、種苗法という法律があり、規制されています。種苗登録された種苗は、販売目的には権利者の許諾なしには増殖できません。一部の作物(馬鈴薯などウイルス感染のリスクのある物など)は規制されています。これら以外は自家採取可能です。しかし、種子は種苗会社から購入するという習慣が定着しています。輸入品種に対しては植物防疫検査が課されます。輸出元で種子消毒を施した証明書があれば大丈夫だと思います。ココペリの種はすべて有機認証機関の審査を受けた認証マーク【AB】が付いていますが、熱消毒をしているのですか?・・・

〈消毒をすることで種に悪影響が出るため、していません。オーガニック農法で管理された農場で採種していますから消毒しなくても、全く問題はありません。熱消毒は下手をしたら種子が死んでしまう可能性もあります。

繰り返して聞きますが、日本では本当に種を栽培し販売してしまっても大丈夫ですか?〉

 

■先程、お話しした様に、一部以外は大丈夫です。(種苗法参照)

以前は地方に独自の伝統品種があり、盛んに自家採取が行われていました。現在は種苗会社がそれらの品種を採取して、家庭菜園や直売場向けに販売しています。ハイブリット種子の定着で、在来種は専業家向けには殆ど売れなくなりましたから、商売的なメリットは少ないかも知れません・・・

フランスでは各農場で自家採取された種を全体利用量(播種量)の10%以上利用してはいけない、という法律があると某研究者から聞きましたが、それは本当ですか?・・・

〈はい・・・確かにEU加盟国にはそのような規制が義務付けられています。ただ、すべてに対して10%という数字が課されているわけではなく、品種や経営規模などによって変わってくると思います。規制が複雑なので、詳しくはフランスの専門機関等が出した資料で調べてください。いずれにしても一定の割当量があり、守らない者には罰金が科されることは確かだと思います。

 

■ということはほぼ強制的に、農家は種苗会社から種を購入せざるを得ない・・・ということですね?・・・

〈そうです・・・その上、フランスでは穀物などの大規模農場は、衛星から品目ごとに何をどれだけ作付しているか、監視されている状態です。ですから各々の生産者によってどれだけの種子と農薬が必要となるかは監視機関が把握しており、これらの購入と利用が強要されている状態です。規則を破っていることが判ると、洩れずに罰金が科されます〉

 

■日本も衛星からまる見えです。北海道の水稲は衛星データーによって食味が推定分類され、地区毎に買い上げ価格がランク付けされています。

罰金既定は有機栽培を行っている耕作地でも課せられますか?・・・

〈慣行農業を行っている面積と比べたら有機栽培は、ほんの微々たるものです。2011年秋、欧州連合の課金制度が改正され、自分自身が許可を申請して獲得した品種の種子に対しても特許使用料(税金のようなもの)を支払わなくてはならない制度になりました〉

 

■日本では水稲も馬鈴薯も、種籾または種芋を購入して栽培する場合が殆どです。ただし品種にもよりますが、「作れない」か」「作らない」のかと言えば、「作らない」というケースの方が多いと思います。要するに交雑の問題があって、結局買った方が結果的に安いからです。現在使われている種子の殆どは、ハイブリッド種だと言うことです。

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (3)生き残れるのか?

P4252184-2.JPG■厳しい国際競争の中で、在来種で農家は生き残れますか?・・・

 ココペリの理念は理解できます。しかし、私の認識では日本は最早、ハイブリッド種子で耐病性を付けなくては、生産効率が落ちて経営が成り立たない生産者が大半です。その点に関してはどのようにお考えですか?・・・

 

〈それは目先の経済的利益のみを優先した産業界が敷いたレールの上を走らされて生じてしまった結果です。根本的に誤っています。

小規模でも自然の理に適った方法で丁寧な仕事を続けている生産者の活動を支援していくべきです。フランスでは彼らが生態系を維持しながら生産する安全で新鮮な野菜や果物の需要が増える一途です。地産地消、産直などに対する関心も高まっており、AMAP(生産者に消費者が購入代金を前払いして、旬の有機農産物を定期的に配達してもらう活動)などのシステムも発展しつつあります。大手種苗会社、企業に勧められるがままに、種子を購入し続ける単一栽培農業は、持続可能性に欠けています。一時的には生産者の利益はあがるかもしれませんが、将来性は希薄です〉

 

 AMAPのような団体は日本で3040年前から各地に出来はじめ、現在でも活動を続けています。社会変化もあり、なかなか活動が広まっていかないのが現状です。フランスはいかがでしょうか?・・・

 〈欧州の農業政策は小規模な生産者を根絶して農業の工業化を進める方針をとっている事が問題なのです。FAOのバックアップを受けているコーデックス委員会(国際食品規格委員会)では数年前から国際食品規約の改正に取り組んでいますが、実をいうと問題の根源はその新しく改正された規約にあるのです。

コーデックス委員会のメンバーの中には世界的に有名な多国籍大企業に所属する委員が沢山いるようです。しかし、このままヨーロッパの言いなりになっていては、フランスで現在盛んになってきているAMAPに対しても国が規制をかけてくる可能性があります。AMAPが発展を続ければ、大型スーパーなどは、彼らを競争相手とみなす可能性があるからです〉

 

■しかし、そのAMAPの発展運動はすんなりといかないのでは?・・・

日本でも1970年代より、生活協同組合(COOP) などの産直提携運動が始まりました。「消費者と生産者の交流を通して、信頼と相互扶助の関係を深め、持続可能で安心安全な食物の普及を図る」という本来の目標を今日までしっかり徹底し続けている団体は一部に限られます。生協に供給してきた生産者の中には、後継者難やスーパー同士の価格競争の煽りでで納品価格が低迷、悩んでいる例も多いですが?・・・

〈フランスではAMAPは始まってまだ間もないですが、しかし消費者側の需要は増えています。供給が足りていない地域もあります。若い新規就農希望者から電話等で、就農に向けた相談を受けることがよくあります。畑を始める土地がなかなか見つからず農業会議所に問い合わせたところ、「有機農業なんか始めるのはやめとけ・・・」と言われた」という者を私達は何人も見てきました。ちなみにフランス国内における有機栽培作物の普及具合は、欧州で下から数えて2番目です。

日本の状況とよく似ていますね・・・(笑い)〉

 

■AMAPを発展させて行くには?・・・

〈大事なのは消費者へのPRと教育活動です。

ココペリは動植物すべての分野における生物遺伝資源の特許を少しでも多く獲得し、独占したいと企んでいるアメリカ、中国などの諸外国や欧州連合などから圧力を受けています。それに屈せず対抗する姿勢を貫いています。幸いなことに私たちの活動は約7000人の会員と、ジャーナリストたちから厚い支援をいただくことができています〉

 

■その会員というのは主に個人ですか、それとも法人ですか?・・・

〈個人、アマチュア園芸愛好家、市町村役所、アソシエーション(NPO法人等)など様々です。例えば伝統ある王室菜園の管理を続けているベルサイユ宮殿、パリ市役所もココペリの会員登録をしています。私たちの活動は国、そして欧州の法律と照合すれば限りなく非合法に近いのです。それでもココペリの方針に同意し、私たちが保護している種子を購入してくださる公共機関が存在するのです〉

 

■「何を食べるか」「何を買うか」を最終的に選択するのは消費者です。だからこそ、ココペリの方々の持っている理念は消費者に対して積極的にPRすべきだと思います。

おこがましい言い方ですが消費者教育、つまり正しい情報を提供することが非常に大切だと思っています。全部とは言いませんが、現状の流通(量販店)はモノの価値ではなく価格だけでしか判断できない売り方になってしまいました。

農産物が持つ本来の「内容価値」を消費者に理解して頂かない限り、低コスト大量販売の大手資本には永久に対抗できないと思います。原点に戻って対面販売、つまり生産者が直接消費者と向き合って、情報を伝えるシステムを作らねばなりません。

農産物の販売支援についてココペリはどの様な活動を行っていますか?・・・

〈インターネットのサイトによる情報発信や、毎年、年間約130の各種展示会や、農業、環境、園芸やオーガニック商品などに関連したフェアへの出店が主なPR活動の手段です。また、大学へ講演に出かけて、生物多様性の重要性や、季節感のある食事の有意義さ、農薬の使用が様々な病気の要因となっていることなどを学生達に説明し、正しい食べ物の選択方法に対する理解を促すことなどもしています〉

 

■農業者、一般人ともお話にあった現状をまだよく知らない人が多い、また知る機会も少ないと思います。これからは農業や園芸、環境に興味を持っている人達にターゲットを絞った見本市だけでなく、たとえば欧州で最も大規模なことで有名なパリ国際農業見本市のように、必ずしも専門知識に長けているとは限らない一般市民が多く参加するイベントにも積極的に参加してPR活動を続けてほしいと思いますが?・・・

〈無理です!〉

 

■なぜですか。参加料が高いからですか?

〈確かに参加料が高いのも一因ですが・・・パリ国際農業見本市には出店したことがあるのですよ。当時ココペリの総代表をしていた兄、ドミニクがスタンドにいたところ、国営テレビ局の取材を受け、私たち団体ココペリの理念を正直に述べました。収録された内容がその日のニュースで放映されました。ところが翌日、農林水産大臣の代理人が私達のスタンドをわざわざ訪れて「貴方達は活動をやめて、少しおとなしくすべきだ・・・」と、私達の活動に圧力をかけたのです〉

 

 ■分かります!日本もフランス程ではありませんが農業に限らず起こり得ます。心強い協力者は?・・・

 私たちの活動を支援してくださる有名シェフが存在するのは大変心強いことです。例えばパリで三ツ星レストランを経営する売れっ子シェフのアラン・パッサール。彼はココペリと一緒に仕事をしています。フランスでは、自家用菜園(農園)や、栽培を専属で担当する者を雇用している高級レストランもあって、ココペリはそのようなレストランと一緒に仕事をしています。パリの名だた料理人達のご用達となっている野菜生産者、ジョエル・チボー氏が育てる野菜の種も、私達から購入したものだと聞いています。野菜の、味、香り、色、多様性に富んだ食材・・・それは食のプロがまさに求めるところなのです。大学教授の中にも、講演会でココペリが行っている活動の意義についてお話しをしてくださる教授もいます。彼らは、私たちが出版した種子のカタログにも寄稿してくださいました。私達が今まで活動を続けてこられたのも、様々な方々に支えられ、励まされてきたお蔭です〉

 

■ココペリの運営は?・・・

〈数々の圧力はありますが、お陰様で順調に発展しています。NPOですから利益を上げる事が目的ではありません。運営費は会員から頂く会費、種子の販売、各方面からの寄付金で賄われています。ここは少し手狭になってきたので、少し奥になりますが広い土地に移転すする計画です〉

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (2)不可欠な多様性

   P4252185.JPGのサムネール画像■品種の多様性についてのお考えは?・・・

〈畑で育てる作物の生物的多様性も大事です。同じ国で多様性に乏しい、常に同じ植物や品種を栽培しているのは残念なことです。もっと様々な種類があっても良いと私は思っています。その土地で収穫できる品種が豊富になれば、地元の人達の健康や栄養状態を改善することも可能です。幸い、私たちの地球にはまだまだ、生物の多様性が残されています。だからこそ、在来種の絶滅を避けるためにも、近代的な手法で開発された新品種に市場を支配されてしまわない様に、戦うべきなのです。

確かに近代的技術を駆使して開発された新品種は、生産性、経済面から見たら、より優れているかも知れません。しかし同じ作物を大面積栽培し続けると、作物は病気にかかりやすくなります。生産者は化学的に調合された農薬を撒き、その結果、土壌は生気を失ってしまいます。その上、遺伝子の人為的操作やハイブリッド交雑など新品種の作物は、人体に拒絶反応を示すケースも少なくありません。実際に今、小麦粉に含まれるグルテンに対するアレルギー反応を示す患者が増えているのはその一つです。一方、家庭菜園の中で育っている作物の生物多様性が豊かであればある程、作物が病気になる確率が減ることも分かっています。だからこそ、多様な在来種の保護が大切なのです〉

 

■日本は南北に長い列島国で、長い間植物の遺伝子資源が交雑する機会が少なく、土地特有の在来種が多く残されてきました。ところが最近、雑草などで外来種の侵入と異常繁殖が自然破壊を招き、非常に問題視されています。ココペリは、外来種と在来種の交雑問題はありますか?・・・

〈小規模な畑で栽培できる植物は、一年性植物である場合が大半で、それ程大きな問題にはならないと思います。ただし、花粉を飛ばして交配する植物に関しては、非常に慎重な対応を取らなくてはならないと心得ております〉

 

■日本では、天敵となる昆虫を害虫駆除対策として利用したり、受粉の省力化などにも使ったことで在来昆虫が大きなダメージを受けた例があります。

元々日本に生息していなかった葉巻病を媒介する昆虫が温暖化の影響で生息範囲が北上し、被害が拡大し問題になっています。最初の個体は輸入コンテナに付着してきたのでしょうが・・・フランスではその様な問題は?・・・

〈確かに、外来種の進出による問題はフランスでも見られますが、対策手段は無いでしょうね・・・〉

 

■現在、日本の農家は自家採取しないで、種苗会社から購入しています。交雑種子の問題は殆どありませんが、ココペリの様に、採種農家が沢山の品種を一緒に育てると、問題が出ませんか?・・・

〈生育時期が異なる、つまり花の咲く時期が異なる品種同士を組み合わせて栽培することで交雑のリスクを回避しています。

しかし・・・問題なのは例えばメキシコは、世界で最も古いトウモロコシの栽培地で、在来種も非常に多様です。今日では残念ながら、遺伝子組み換え種子の普及が進み、数多くの在来種が存続の危機に立たされています。このような問題が今、世界中で起きているのです〉

 

■日本では一時、野菜などで品種の集中が起こり、品目によってはマーケットを独占した時代がありました。農業自体が次第に衰退し、種子需要が落ち込んで、種苗会社の買収や統合が進みました。現在は、消費者ニーズの多様化で品目も品種も豊かになっています。販売量は限定的ですが、直売場や家庭菜園向けに個性的な種が売れています。フランス、EUの実情は?・・・

〈独占を狙う国際アグリビジネス企業の圧力から世界の「お百姓さん(Paysan)」を守らにばなりません。

問題なのは、国際規模でアグリビジネスを展開する経済至上主義の大手企業が権力をふるっている事です。その中で最も代表的な大手種苗会社、M社は育種業界で主要な位置を占める世界各国の種苗会社を次々と買収して組織を拡大し、現在ではこの地球上で流通している種子全体の約90%を独占販売しています。それに対して私たち、ココペリは僅か20人で運営しているアソシエーションです。M社に対抗するココペリはまるで、鉄器にぶつかった土器のようなものです。それでも私達は、多国籍種苗企業に対抗した活動を続けていきます。

なぜなら、このままでは大手が販売している自家採取不可能な種子の普及が、その土地の環境と生活に調和した『お百姓さん型小規模農業』を地道に続けている人達が、弱肉強食の世界に苦しめられることになるからです。

ココペリの活動は、欧州だけでなく、アジア、インド、アフリカ、南アメリカなど、世界中の国々で展開しています。南米ではコスタリカ、ペルーなどでも活動しています。これらの国では現在、近代的なシステムを導入し、商品作物の単一栽培を進める大規模農場が普及しつつあります。従来型生産者が大手農場に押し潰されてしまうことを防ぐため、地域コミュニティの中で種子を地産地消し続けることができる仕組み作りのお手伝いをしています〉

(参考映像)

http://www.youtube.com/watch?v=6smqYla0U2s

 

在来種保護に取り組むNPO「ココペリ」 (1)理念と活動

P4252177.JPGのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像科学技術が進歩するほど対極にある原点が見直される。その一つが有機農業(オーガニック)である。

一口に有機農業と言っても福岡正信氏が提唱した自然農法、JAS有機、化学肥料と化学農薬不使用栽培など様々ある。

有機農業を論じる前に、種も環境破壊源になり得るという主張がある。バイオ技術は日進月歩、既に地球上には遺伝子組み換え(GMS)作物が作られ、流通している。人間の欲望は果てしなく膨らみ、止まらない。この行為が是か非かは、各界から様々な論議が行われているが、結論は当分出そうにもない。仮に遺伝的影響有りと実証されても時既に遅し、元に戻れない。安全神話が崩壊し、深刻な環境汚染を引き起こした原発事故も記憶に新しい。現時点ではGMS農産物に直接的な被害は表面化していないが、将来的リスクはゼロではない。これを機にもう一度、種について考え直す時期に来ているのかも知れない。

 

GMSやハイブリット交配種子が環境や人体に与える影響を懸念して、自然交配種子(在来種)の保護、普及活動をしているNPOが南フランスにあると、パリ在住A子さんから昨年聞いた。どの様な理念で活動し、どんな種子があるのか興味があったので4月下旬、モンペリエ市近郊にある「ココペリ」を訪ねた。パリからTGV3時間余り、ニームで在来線に乗り換えアレスに着いた。地中海岸から少し内陸に位置し、のんびりした南フランスの農村という風情であった。

応対して頂いた理事長K氏に早速、インタビューした。

(通訳・編集) 服部麻子氏

 

■ココペリの由来と理念、活動は?・・・

〈ココペリとは、アメリカインディアン伝説に登場する精霊です。背中のコブに蓄えていた種は、笛の管を通って地面に撒かれ、やがてその土地に豊穣がもたらされると伝えられています。

私達のココペリの名前もその精霊に由来するものです。20年ほど前から遺伝子組み換え、ハイブリッド(FI交配) 種子と農薬の使用を阻止するための活動を続けています。基本的には野菜や穀物類などの在来種、あるいは古くからある品種の種子を有機栽培で育て、野菜等のプロ、アマチュア生産者への利用を促し、品種の多様性を維持する活動をしています。私達が保持している品種は合計約1700種で、その数はフランス国内、ヨーロッパで最も豊富だと言われています。

世界中には何千、何万、数えきれない種類の種子が存在し、その中には絶滅が危惧されているものも多数存在します。ハイブリッドや遺伝子組み換えなどの技術を駆使して開発された品種は、毎年安定した品質の種を自家採取することが不可能です。従って栽培者は毎シーズン、種を購入し続けなくてはなりません。それにかかるコストは決して安いとは言えません。

植物の品種は本来、個体群同士が自然交配した結果生み出されたものです。人間が恣意的に植物の遺伝子を操作することは、ありえない話でした。欧州、日本に限らず、世界中の農民達は、作物の種子は自ら育て、あるいは隣人と交換して使うものでした。代々育まれてきた品種の中には、非常に古くから存在するものが沢山あります。

ところが近年、農場の大規模化を進めるフランスでは、新しい品種の植物を開発した者に特許権を与える制度を作りました。私達ココペリは今、「欧州理事会が使用認可を出した品種カタログに登録されていない在来種の種子を販売している」と厳しい批判を受けています。

しかし、私達が祖先から受け継いてきた在来種であっても、合法的利用するには欧州が管理するカタログへの登録が義務付けられるのです。しかも依頼者は一品種登録する毎に巨額な審査料を支払わなければならない、そんな法律はおかしいと思いませんか?植物は、たとえ新しい品種であっても自然界からの贈り物であることに変わりなく、決して人間の個人私有物となるべきではありません。どう考えても不条理な法律には従う必要はない、というのが私達の方針です〉

 

■具体的には?・・・

〈私達が扱う種子は用途に応じて、販売用とコレクション用のどちらかのカテゴリーに分類されています。販売用はすべて、約15人いるココペリ専属のプロフェッショナルな栽培者が本部から無料で種を受け取って、丹念に育てています。一方、コレクション用は種子の代父母栽培プロジェクトの一環として、園芸アマチュアの人たちの手で育てられます。これらは販売用にはならず、会員の間で交換されるもので、品種の保護を目的としています。代父母としてココペリからの認可を受けた会員は、各自が栽培、採種したコレクション用の種子をココペリに寄付します。これらは毎年、3㎏入り200箱分の小包に仕分けられ、種子不足に悩む世界中の貧しい人達に、NGOやアソシエーションを通して無料で送り届けられています〉

 

■在来種を気候風土の全く異なる地域で栽培することはココペリの理念と矛盾しないですか?・・・

〈植物は自分が育つ気候風土に適応しようとしますから矛盾しません。それは一見、複雑な問題ですけどね・・・

南フランスで発見された在来種の野菜が、植物自らが持つ環境適応能力を発揮して北フランスでも非常によく育つ様になるといった事例はよく見受けられます。ワイン栽培の理論と一緒で、野菜も地質や気候の特徴、テロワール(風土)から影響を受けて育ちます。例えばこの地方で黒い実をつけるトマトを北フランスで育てた場合、若干実の色が変ってくる可能性があるのは、ごく自然な現象です。この活動を続けている中で、海岸線に近いフランス南西部に位置するジロンド地方の在来種である人参が標高1000mを超える山間地でも立派に育つと判明したことがあります。同じ品種の人参が特徴の異なる土地と気候に対する適応能力を持っていたのです〉

 

■日本では優れた形質の野菜を作るため交配ではなく、母根選抜といって、品質の良い個体を選抜して種子採取を繰り返す方法があります。ココペリでも行っていますか?・・・

〈はい。

毎年、約1700種類の種子を栽培していますが、15人もの生産者に依頼しているのは、できるだけ多くの品種を栽培できる様にするためです。気候や天災、病気等などで収穫量が極端に減ってしまうのを避ける意味もあります。1人の生産者に約50種類の唐辛子(ピーマン)の種を育てていただいた折にも、ネットなどを利用して各々の品種を完全に隔離した状態で栽培してもらっています〉

 

 

競争力高まるトルコの農業(2) 食について

イスタンブールに4泊したが1月と4月は雨期で毎日雨が続いた。
残念ながらお目当ての農産物や屋台が並ぶバザール(市場))は見ることが出来なかった。ガイド本に華々しく載っていたバザールは、近代的なヨーロッパ風アーケード街に整備され、イメージしていたシシカバブーの臭いが漂うイスラム風情とは大きく異なっていた。アーケード店内はヨーロッパ製品も多く、本来のトルコが少し薄い様に感じた。
ガイドのTさんに聞いたら、ここはヨーロッパの南端、ヨーロッパ系の人達が多いからね・・・・と答えた。しかし、色彩や模様を見れば確かにイスラムの国トルコである。

イスタンブールアーケード街

イスラム教徒が多いが政教分離が進んでいて、お祈りの時間になると、何処からとも無く屋外スピーカーからコーランが流れてくる程度で、テレビで見るようにひざまずいてお祈りする姿は見かけない。服装などもイスラムの衣装をまとった人は稀である。。アーケード街は服飾、宝飾貴金属、土産物店が並び、食関係の店は周辺地域に移動したという。

イスタンブールのテント張りのお店の野菜

Tさんは、この雨続きでは露店は出てこないでしょうと言っていた。テント張りの店を覗いてみたが、人参、玉葱、馬鈴薯、南瓜、リンゴなどの果実が並んでいる程度で、特別興味を引く農産物は見当たらなかった。

【トルコ料理レストラン】

古来から東西文化の接点として発展してきたイスタンブールは、豊かな食文化があると聞いていたので早速、レストランを訪ねた。

トルコ料理レストラン店内

◆この店は世界遺産モスク近くにあり、眼下に湾が見渡せる見晴らしの良いレストランである。

場所柄、観光客の利用が多いと言う。

トルコ料理オードブル

◆オードブル

茄子、南瓜、インゲン豆、トマト、玉葱、胡瓜、ホウレン草など主に野菜を使った料理が15種類位あり、好みの料理を選ぶ。

オードブルは通常、肉や魚貝、乳製品など動物質が多いが、こんなに野菜料理が多い店は珍しい。

トルコ料理オードブル盛り付け

◆指定した料理を取り皿に盛り付けてくれる。

味付けはオリーブオイル、トマト、塩、香辛料がベース。刺激的な辛みや香りは少なく、上品で美味しい。

トルコ料理オードブルで使っていた茄子

◆茄子料理が絶品だったので、どんな種類の茄子を使っているのか尋ねたら、調理場から現物を持ってきてくれた。

日本の長茄子とほぼ同じ形だが、茄子の風味、甘みがあり、格別、美味しく感じた。

トルコ料理サラダ1 トルコ料理サラダ2

◆サラダに使われている葉菜類は葉肉が厚く、しっかりした味わいがある。

地中海、エーゲ海沿岸で作られている野菜は、潮風と輝く太陽を浴びて育つので特別、美味しいという。

トルコ料理魚貝類1

◆魚貝類

ワゴンに乗せて運ばれた魚を見て注文する。

地中海やエーゲ海で獲れた新鮮な魚介類は種類が豊富で見るからに美味しそうだ!

写真の魚は今が旬だというので、切り身にしてオーブンで焼いてもらうことにした。

トルコ料理魚貝類2

◆網目を付けて焼き上げた白身魚。

トルコ料理魚貝類3

◆イカのオリーブオイル揚げもカリッと揚がって美味しい!

トルコ料理魚貝類4

◆海老のオーブン焼きも味わい深い・・・

レモンは布にくるんであり、絞りやすい。

トルコ料理ビーフステーキ

◆ビーフステーキ

脂肪分が少なく、さっぱりした味わい。

鶏肉のメニューはあるが、羊は日常的に食べているためか少ない。豚肉は勿論無い。

トルコ料理デザート1 トルコ料理デザート2

◆デザート

ナッツ類、果実類、ドライフルーツ、イチゴ、蜂蜜などデザートの材料に事欠かない。

種類が豊富で甘党は顔がほころぶ。甘味は蜂蜜を使った物が多いので好き嫌いの評価は分かれる。

トルコ紅茶(チャイ)

◆トルコ紅茶(チャイ)

日常的に飲まれているチャイは、透明な茶褐色の紅茶。美しい色を楽しむために陶磁器ではなく、ガラスかクリスタル製のカップが使われる。

茶葉は温暖な黒海沿岸地方で約400年前から栽培されており、生活に欠かせない飲み物だ。

【和食レストラン】

イスタンブール和食レストラン

◆宿泊したホテルに「京都」という和食レストランがあった。店内は広くゆったりしていて、寿司カウンターも用意されている。

トルコ人のスタッフは和服姿で、日本の雰囲気はそれなりに感じさせ、落ち着いて食事ができた。

メニューは「にぎり寿司定食」「ちらし寿司定食」「天麩羅定食」などの他、うどん類もある。

単品では枝豆、冷や奴、ホウレン草の白和え、刺身、天麩羅など日本の和食屋と変わらない。ただし、食材に限りがあり、現地人の好みに合わせているため、味はそれなりである。日本酒は勿論置いている。

来店客に日本人は見かけず、旅行者や現地人と思われ、結構、繁盛していたから日本食の人気ぶりが窺えた。

【コメント】

海が近いので魚介類が豊富で、「日本の食」と大きな違いはない。調味料も現在では日本で入手出来るモノが殆どで、味付けも特に違和感は感じない。まさしくグローバル化

競争力高まるトルコの農業(1)

P1081424.JPGのサムネール画像ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中東文化が混在しているトルコは、一度は訪ねたい国の一つである。

1月にイスタンブールを訪ねる機会があり、現地ガイドTさんから最近の農業事情についてインタビューした。

トルコは日本の約2倍の国土を持ち、世界有数の農産物輸出国である。特に近年、伸長が目立ち50億㌦(2010年)を超えた。人口増加と経済発展で国内消費が伸び輸入も急増している。軍事的にはNATO(北大西洋条約機構)に加盟しているが、EUには加わっていない。GDP(国内総生産)7.344億㌦、世界18位、G20(先進20ヶ国)に入る大国である。数々の部族や王侯が盛衰を繰り返し、オスマン帝国時代には周辺地域に強大な勢力を誇り、ユネスコ世界文化遺産が各地にある。江戸時代から日本と友好関係にあり親日的、訪れる日本人観光客も多い

■何故、EUに加盟していない?

通貨はトルコリラですが、店によってはユーロもOKです。EU加盟は検討中と言えますが、一説によればヨーロッパのキリスト教に対し、トルコはイスラム教という宗教的異質感が障害と言われています。トルコ側の事情としては、豊富な若年労働者が高賃金のEU圏に流出し、農業や伝統産業(トルコ絨毯など)が打撃を受ける懸念があるからと言われています。一時はトルコからドイツなどにに移民した時代がありましたが・・・

元来、遊牧民が多く、大家族主義で子育て環境に恵まれ、出生率が高い反面、肉食民族で平均寿命は日本より10歳低く、労働者の平均年齢が若い。日本と全く逆ですね・・・。安価で豊富な労働力に目を付けた欧州や日系自動車メーカーが相次いで進出し、売り上げ規模としては既に農業生産額を抜いてトップです。EUに金融危機が襲ってユーロが急落し、国民の多くは加盟しなくて良かったと思っています。将来の事は解りませんが・・・EU諸国に比べればまだ、産業競争力が弱いので時期尚早と言う慎重な意見も多いです。

 

■人口は・・・

7300万人。土着遊牧民、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア系などの混血です。首都はアンカラですが、最大の都市はイスタンブールで約1130万人が住んでいます。湾を挟んで西がヨーロッパ系、東がアジア、中東、アフリカ系が住んでいます。朝夕は両岸を行き来する車で渋滞し、混雑は東京に負けません。

農林水産人口は約1450万人で日本169万人に比べて8.6倍。人口比率にすると20%、日本が2.1%ですから10倍の人達が農林水産業で生活しています。、GDP(国民総生産)に占める割合はトルコ8.4%、(日本は1.4%)ですから、農業は主要産業です。

農民1人当たりの年間農業収入は2002年に1000㌦でしたが、2010年には3565㌦と3.5倍に伸びています。

 

■作物は・・・

国土の約40%が耕土で、小麦、大麦、豆類、菜種、甜菜、果樹、野菜、切り花・・・。畜産は家禽、乳牛、肉牛です。イスラム社会ですから豚は飼育されていません。

世界生産量第1位の農産物が3品目あります。ヘーゼルナッツ、アプリコット、チェーリーです。

その他キュウリ、イチゴ、スイカが各2位、リンゴ、唐辛子が各3位、トマト、ホウレン草、玉葱、オリーブが各4位、マンダリン系オレンジ、桃、葡萄、レモンライム、梨が各6位など多種類の作物が世界上位を占めています。この他、干しイチジク、メロン、蜂蜜、タバスコ、などもあります。ワインも作られており美味しいですよ。

魚の豊富な地中海、エーゲ海に面し、漁業も盛んです。

 

イスタンブールは東西南北に通じる十字路と言われ、古くから物流、補給拠点として栄えてきました。周囲に多様な農産物が作られ集まるようになり、農業が発展しました。

しかし、東西南北に通じていることは軍事的には四方から侵略を受けやすいと言うこともあります。1924年国家の独立に際し、戦いの歴史から学んだ食糧の安全保障が最重要課題と考え、嗜好品を除いて完全自給体制を築いてきました。

近年、経済発展に伴い人口が急増し、更に年間3000万人と言われる観光客が加わり、食糧需要が飛躍的に高まりました。輸送事情も改善されて自給自足地域が減り、農村の生活も豊かになり食需要が増えています。

 

農業生産額が伸びた以上に国内消費が伸びたため、食糧の輸入額が輸出額を上回り、輸入超過になってきました。自給する為の耕地はありますが、農民がより豊かな生活を求めて農村を離れ、イスタンブールなどの大都市部に人口が流入しています。農村の人口が減り、残った農民は付加価値の高い農産物を効率よく作った結果、1人当たりの所得が2002年から8年間で3.5倍にも伸びたのです。これは、日本の高度成長期にもみられた現象と同じです。・・・

 

統計で見れば加工食品を除く農産物の輸出額は 2002年の17億㌦から2010年には50 億㌦と8年で約3倍に急伸しています。

葡萄、リンゴ、マンダリン系オレンジ、イチゴなど付加価値の高い果実類、牛乳、鶏肉、牛肉など畜産品の生産量が伸びています。一方、主要穀物の小麦は2005年に2150万㌧でしたが2-2009年には2060万㌧、大麦は930から730万㌧と大幅に減少しています。国民生活が豊になると、果実類や畜産品の消費が伸び、農民も所得の高い作物にシフトしていることを示しています。

 

広大な耕地を持つトルコでも、周辺国に安い農産物があれば、輸入するという構図になってきました。自動車産業などが更に発展すればEU加盟に関わらず、相互に関税を縮小または撤廃して完全自由貿易になるでしょう。

【輸入農産物金額ベース・ベスト5】

   綿花・・・・・・100.3(億㌦)

   小麦・・・・・・・90.2

   ひまわり油・・46.8

   大豆・・・・・・・42.9

   葉たばこ・・・29.0

2009FAO統計)

 

■野菜はどの辺で作られていますか・・・

馬鈴薯や玉葱の多くは機械化大規模農場で作られています。人手のかかる果菜類や葉菜類は冬でも温暖なエーゲ海に面した地域で作られています。種類は様々有り、日本と同じくらい沢山ありますね。

近頃、トルコでも安全性に関心が高まり、オーガニック栽培が増えています。ドイツやフランスなどEUを始め、周辺国の富裕層を中心に輸出が伸びています。手間のかかるオーガニックは、人件費の安いトルコに有望で、今後も増えて行くでしょう。

■課題は・・・

いろいろありますが、一番心配なのは気候変動です。

今年は1月に入っても雪が全く無く、この様な年は初めてで、異常です。通常、この時期には圃場に積雪があり、春に融けて地下土壌に蓄えられます。降雪が少ないと水不足になり、干魃害が懸念されます。異常高温や低温、大雨や干魃など天候の振れが目立っています・・・

農民の貧富格差解消も課題です。

オスマン帝国以来の大地主制度が色濃く残り、小作人だった小規模農家が細々農業を続けている地域が沢山あります。大地主は農地を買収して規模を拡大し、機械化して更にコストを削減し競争力を高めています。その煽りで小規模農家は価格競争について行けず離農し、仕事を求めて大都会に流入しています。国も色々な保障政策を打ってきましたが、財政が破綻状態なので頼りになりません・・・

結局、資金力のある大地主が大規模な農業会社になり、小作人だった小規模農家はサラリーマンとして雇われる事になります。内容は異なりますが形態としては帝国時代に逆戻りした感じです(笑い)

大規模化、企業化で国際競争力が高まり、トルコ農業は益々発展するでしょう。

(画像)イスタンブール市内)

 

 

これからのトレンド(10)社会変化と売り方 ③番外編

ダイヤ魚画像1.JPGどの業界も大資本が参入すると、底引き網を引いた漁場の様に、お客)をごっそり持って行かれる。資金力の限られる中小零細は、大手が参入できない分野や売り方を考えなければならない。

 

国内農業は完全自由化に移行すれば、安価な農産物が流入し、国内農業が更に衰退するという議論がある。しかし、国内で生産する農産物については農地の売買規制に守られて、他産業の様に国内外資本が参入する可能性は低い。参入してもハイリスク、ローリターンの実情では、投資メリットは無いだろう。外国人や企業が農業に参入?・・・というニュースも流れるが、農業で収益を上げる目的よりも自社原料の調達や別な思惑がある例が多い。自由経済下では何が起こるか予測できないが、流れが速いから常に社会変化に注意したい。

 

技術革新や社会変化で新規資本が参入し、深刻なダメージを受けた業界は数多い。その一つに寿司屋がある。

バブル全盛期の頃、当市(東京都東村山市)寿司商業組合に37店が加盟していた。現在残っているのは僅か7店(80%減)しかない。

原因は色々あるが、最も影響が大きかったのは回転寿司である。握りのロボット化でチェーン展開が容易になり、食材の大量安価仕入れが可能になった。寿司屋とは全く異なるビジネスモデルが誕生した。ファミレス、ハンバーガー、牛丼、ラーメン、軽食、珈琲-・・・あらゆる飲食業がチェーン化、株式上場し、資金を集めて更に成長した。一方、職人の手に頼っていた寿司屋は出遅れた。主食材である魚の安価、安定仕入れが難しく、繊細な日本人の味覚や食感のこだわりもあり、精々、暖簾分け程度のチェーン化しか進まなかった。

 

1990年代に寿司ロボットが普及し始めて様相は一変した。現在は回転寿司、宅配寿司、コンビニ、スーパー、デパートにまで寿司と名の付く商品がひしめき合っている。ある地方都市の老舗経営者は「うちは回転寿司とはネタが違う・・・味の分かる客はいずれ戻るさ」とタカをくくっていた。しかし、周辺に回転寿司が進出し、客が急減。値下げなどで対抗したが及ばず、次々閉店に追い込まれていった。鮮度勝負の商売は回転が止まると加速度的に客足が落ち、立て直しが難しい。私も寿司が好きで出張先で食べ歩いたが、凋落の早さは全国に共通していた。

 

技術革新、経営革新によって寿司単価が下がり、従来型寿司屋のビジネスモデルが通用しなくなってしまった。握り方やネタの講釈が通じる客が次第に減る中で、職人対握りロボットの勝敗は決まったも同然である。日本の自動車産業が一時、世界を席巻したのは、ロボット化による人件費削減、部品在庫を持たない合理的経営(カンバン方式)と言われている。寿司屋業界にも同じ革新が起こったのである。

 

単価が下がり、誰でも気軽に寿司を食べられる時代になって、マーケットは飛躍的に拡大した。その流れを受けて食材仕入れ等のコスト削減が加速した。まぐろ、鯛、ハマチ、カンパチなどの養殖や冷凍技術が格段に進歩し、調達先は海外に広がった。今まで寿司ネタに使わなかった魚や食材が登場し、アイディアを競う時代になった。

 

ロボット技術は日進月歩で、例えば海苔巻きロボットは、専用の長尺海苔ロールをセットすれば高速でロスなく巻き寿司が出来る。無洗米をそのまま自動炊飯器で炊き、調合された酢と合わせてシャリを作り、ロボットで成形、ネタを乗せ完成。ネタを切る職人1人いれば、特別な技術は不要、パートで充分という。シャリ米は基本食材だが、コストを念頭に、旨み、粘りなど各産地米の個性を生かしたブレンド技術が収益を支えているという話しもある。

ノウハウの蓄積とロボットの進化で握り加減も職人技に近づいている。数年前、パリのホテルラウンジでオードブルに握り寿司が出た。日本から送られた冷凍ロボット寿司を解凍したものだが、結構美味しかった。先週訪ねたパリ市内には寿司屋(和食屋)が増え、スーパーでは冷凍寿司が売られている。南フランスのモンペリエ市の飲食街に回転寿司があり、フランス人がベルトコンベアーの前に座り、寿司を楽しんでいた。技術革新や社会変化でモノや文化の伝搬速度は我々の認識を超えている・・・

 

回転寿司や宅配寿司に客を奪われた従来型寿司屋は生き残りをかけて様々な取り組みをしている。

寿司は日本人に馴染みが深く、中でも職人が握る寿司は贅沢なご馳走である。ロボットが限りなく進化しても握り寿司はモノと言うよりも文化であり、寿司屋が絶えることは無い。回転寿司は気軽に食べに行く大衆レストラン、寿司屋は多面的なサービスを提供する贅沢な空間」に変化している。客はカウンターに座り、職人がプライドを賭けて仕入れた旬の魚を目前に並べ、部位や調理法、ワサビの好みなど細かな注文に応じ、最高の味を演出する。手の届く範囲、約6人がサービスの限度と言われる対面販売である。天然魚は季節や天候によって価格が大きく変動するから、時価が普通だった。価格を聞くのは野暮、一般的にはお客と店の信頼関係で成り立っていた。

低成長経済が定着し、こだわりを持つ客が減り、価格優先客が増えている。寿司屋は手作りが基本、量産して価格を下げることはできない。モノやサービスの価値が分かる客に的を絞り込むことが大切。これは大量生産出来ない小規模農業にも共通している。

 

東京都東村山市にある「ダイヤ寿司」は創業40数年、カウンター6席、椅子6席、2階に会席用12席のこじんまりした店である。新青梅街道に面し、周囲に飲食店が立ち並んでいる訳でもなく、駅から乗降客が流れてくる立地でもない。まさしく「味」で勝負である。席数が少ないため景気の良かった頃は予約しないと座れなかった。周辺は住宅が多く、出前も繁盛していた。

ところが、2000年代に入り、周辺に回転寿司や宅配寿司が進出し、度重なる金融ショックによる景気後退、住民の高齢化など外部環境の変化も加わり、頻繁に通っていた常連客がポツリポツリと姿を消し、出前も減った。同業者が減り、一部は流れてくること期待したが、現実は甘くは無かった。客全体が雪崩が起きた様に新しいビジネスモデル、回転寿司や宅配寿司、他の安価な外食に向かってしまった。

しかし、こだわり客も残っているからここでこだわりを捨てるとお客は益々減り、長年築いてきた信用(財産)は回復困難になる。

店のスタッフはベテラン店長と二代目若手経営者Kさん、パート1人。この3人で如何に顧客満足度を高めリピーターを増やし、売り上げを伸ばすかの取り組みが始まった。

 

1.  価格の明示

以前の寿司屋は価格を表示しない店が大半だったが、客席から見やすい位置に表示した。これでお客は安心して注文できる。本日のおすすめ料理もメニューを作り、価格の透明化を図った。商売として当然だが、寿司屋は長年の習慣で勘定の透明化が遅れていた。

2.  ランチ

寿司屋のランチは一般化しているが、夜の売り上げ減をカバーするために始めた店が多い。夜の価格とのバランス、地域事情、内容など価格付けが難しい。

ちらし、炙り鉄火丼、穴子丼などもあるが、人気は握り寿司セット(税込み1.000円)。

■野菜サラダ

 新鮮な旬の野菜5種類をミックス、オリジナル和風味噌味仕立て。包丁手切りで美味しい。

■味噌椀

 魚のアラや海老の頭を天日干しにした出汁を地味噌仕立。群馬産野菜のけんちん汁の時もある。

■お新香

 胡瓜、カブ、茄子、ハヤトウリ(秋限定)など自家製糠漬け。

■握り寿司

 マグロ、鯛、鮃、スズキなど白身、海老、小鰭(こはだ)しめ鯖など青魚、穴子、いくら、卵焼き、芽ネギ・・・店長お任せで合計7貫。 鉄火巻き、カッパ巻き各1巻の豪華版。

■デザート

 珈琲付き

 

価格が安いランチは往々にして手抜きが多いが、味噌椀や野菜サラダにも職人魂が込められ評価は高い。土地柄、昼食1000円はきついが、ネットを見て来店する客も増えている。収益は?だが、夜の客寄せにつながっている様だ。持ち帰り巻き寿司や稲荷寿司もチャレンジしたが、1パック300円が限度。評判は良かったが忙しいだけで利益は上がらず中断。この分野はスーパーやコンビニの得意領域。味で頑張っても差別化が難しい。

 

3.  販促活動

顧客獲得のため、商店街(商工会)、食材メーカーなどとのイベント、スタンプ、マイ箸袋割引などきめ細かな販促活動をしている。日常的な人間関係が大切、努力は欠かせない。

 

4.  日本酒にこだわり、集客力向上

寿司を美味しく食べて頂くには美味しい日本酒が欠かせない。

金融ショック以降、客層に大きな変化が出た。不動産、土建、建築、商店主など主力だった接待関係の客が減り、最近はこだわりを求めて来店する個人客が増えている。コンピューター(IT)関係者が多く、地元だけではなく遠方の客もおり、ネットから情報を得て来店している。キーワード「おいしい日本酒」は戦力になる。

二代目Kさんは日本酒利き酒師、根っからの呑兵衛。各地の酒蔵から限定酒を手に入れ、リーズナブル価格で提供している。メジャーな酒も揃えてはいるが、「売り」はそこらでは呑めない「レアモノ」! お試し小グラス(100㍉㍑)から飲め、いろいろな種類が楽しめる。

 

蔵元の若旦那衆(後継者)が勉強のため試作した酒もある。仕込量が少ないから、運が良ければ呑める。採算無視で米を磨き、手間をかけて醸造している酒が多く、、杜氏の心意気が香りや旨みに伝わってくる。

私は発泡活性酒(にごり酒系)のファンで、開栓ガス抜きに30分もかかる元気モノに出会うこともある。地元酒蔵「金婚」の活性酒「あや」(季節限定)はお気に入りで勝手に「東村山のドンペリ」と呼んで愛飲している。生ビールは「上撰」、瓶は「ハートランド」、焼酎も各種用意され、「百年の孤独」もある。近頃、寿司屋でワインを置く店が増えているが、寿司に合うカルフォルニアワインを得意としている。

これだけ書けば呑兵衛達が集まってくるのも理解して頂けるだろう。中途半端なランクではなくオリジナルのこだわりレアモノを厳選し、値頃感のある価格で提供している。

「うちの店は寿司屋ではなく飲み屋になってしまった・・・」と店長は笑う。

 

5.  客層の変化で伝統の江戸前+創作料理

接待客が減り、身銭を切って本当に美味しい酒や料理を楽しみにくる個人、夫婦、家族連れが増え、以前の男性客中心から女性客が増えている。

女性客は健康指向で栄養バランス、特に野菜を気にする。イタリアンの定着で寿司一辺倒では女性客の支持を得られい。本来の寿司屋には野菜と言えば干瓢、胡瓜、端モノくらいしかない。メニューも精々海鮮サラダが一般的だ。しかし、水気が多い生野菜は寿司に合わない。和食で出てくる野菜は煮物、煮浸し、酢の物、和え物、天麩羅など火を通している。海鮮サラダは定番化しているからこの店にも勿論あるが、野菜料理のお奨めにタジン鍋がある。いわゆる野菜の蒸し煮。海老とギンヒカリ(群馬ブランドの鱒)が出汁として入る。水や調味料は一切使わず、土鍋で野菜(キャベツ、白菜、茸類、ズッキーニ、ネギ等)の水分を飛ばし本来の旨みを凝縮する。これをポン酢かお好みでオリーブオイル、塩、胡椒で頂く。刺身を使う寿司は温野菜が合う。生姜、お新香、端モノをつつけば野菜は十分取れ、栄耀バランス満点となる。

 

若い人向けにはカルフォルニアロール、アボガド巻き、牛刺、馬刺し握りなどがある。ただ、肉類の刺身は焼き肉店の食中毒事件以来、自粛している。

伝統の刺身がイタメシブームでカルパッチョになり、寿司飯を使ったソースドリアが登場し、お客の変化に合わせて二代目Kさんの創作料理が続々誕生している。お客の評価はかなり高い。

 

6.  究極の決め手はやはり魚!

時流に合わせてメニューの目先を変えても、お客は魚の質に回帰する。。

寿司屋はシャリと魚で勝負するのが本流である。この店の立地は郊外住宅地、庶民の街であるから自ずと単価に限界がある。都心の高級寿司屋の様に高価な食材は仕入れられない。

寿司屋のカンバン商品はマグロ。これを外すと評価が厳しくなる。ベテラン店長の吟味は厳しいが、自信を持って買い付けても、天然魚だから微妙なバラツキがでるという。だから、たまに?の時もある。他店では味わえない絶品の時もあるからマグロを食べるならこの店と決めている。マグロは本当に難しい・・・

鯛、鮃、鰤、カンパチ、鰯、イカ、蛸、穴子、しめ鯖、ウニ、赤貝、タイラガイ・・・旬の魚が並ぶ。特筆すべきは江戸前の流れを継ぐ調理品。タレ付き穴子、煮イカ、茹で蛸、コハダ、鯖などの締めモノ、鯛、鮃、鱸(スズキ)など昆布締め・・・納得の味が揃っている。

鰹食いには米屋に特注して取り寄せた稲藁で燻したタタキ!  いずれも職人の妥協を許さない逸品である。

 

魚は築地で仕入れたブランド品。調理にこだわりがあるとは言え、お金さえ払えば他の店で食べられる。

更に磨きをかけるため、二代目Kさんが探し当てた究極の魚は漁師直送品。新潟県村上市で底引き網漁船の漁師と懇意になり、網にかかった魚の画像を船上からスマートホンで送信してくれる。魚種は海底魚、クロソイ、クロムツ、コチ類、カサゴ、ホウボウ、メバル、アイナメ・・・など、庶民の口には滅多に入らない高級魚だ。これを発泡スチロール箱に入れ帰港したらクール宅配便で送ってくれる。市場も仲卸も経由しない漁場からの一気通貫。早朝網にかかった魚は翌日のネタに間に合う。活魚のいけす輸送を別にすればこれ以上の鮮度、贅沢は無い。締めて1日程度寝かせた方が味が乗る魚もあるから、最高の食べ頃となる。

送られてきた画像を見ながら魚種、形などにより料理を考え、「本日のおすすめ料理」としてメニューを作る。鮮度がいいため基本は刺身だが、魚によっては鍋、煮付け、焼き魚、昆布締め、酢味噌、なめろうなど最適な料理を決める。魚に精通している店長は、皮や肝などの部位を余すところ無く旨味を引き出し、お客を堪能させてくれる。

 

こう書くと随分高いだろうな・・・と思うかも知れない。

しかし、ここは庶民の街、いろいろ工夫してリーズナブル価格に抑えている。寿司は1貫単位で注文でき、料理も1品税込み840円が標準。このランクの店では口に出来ないおいしいお酒と魚が揃い、コストパフォーマンスは良い。ネットで本日のおすすめ料理を掲示しているので呑兵衛や食いしん坊の常連客が通ってくる。

魚は海が荒れると漁が出来ない。網を入れても獲れない事もある。残念ながらいつも旨い魚との出会いがあるとは限らない・・・

(ダイヤ寿司ホームページ)

http://homepage2.nifty.com/daiyazusi/

 

【結論】

ついつい長く書いてしまったが、小規模農家でも自分の持っている経営資源と知恵を生かせば、楽しい農業が出来る可能性はある。政策に大きく左右されやすい大規模農業を羨むことは全くない。自分のオリジナルを磨く事を心掛けたい。

 

 

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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