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ブログ: 2012年3月

これからのトレンド(6)パートナー、後継者

規模を拡大していく過程で課題になるのがパートナー作りである。稲作や畑作の様に殆どが機械化されている作物は問題は少ないが、果菜類や花卉類の様に手間がかかり、管理が収益を左右する作物は、パートナー作りがポイントとなる。、60歳を過ぎ、跡継ぎの目処が立っていない農家は実に多い。今後どうするか、判断を迫られる。水田や畑ならまだ土地を売れば気持ちの整理は付くが、大面積のハウスを持ち、設備や土作りに投資し、長年技術を磨いて、漸く安定した収益を上げられる様になった農家の思いは複雑である・・・

若くして規模拡大に成功した農業人も、パートナー作りに苦労している。今、必要なのはパート労働者よりも、会社で言えば、次世代を担う管理職、経営者候補である。

 

労働力不足は、外国人労働者(研修生)の規制緩和で何とか凌げているが、3年間という枠があり、毎年同じ人が来るとは限らないから管理を任せられる人材は育たない。

夫婦のどちらかが動けなくなったら、面積が多いと忽ちピンチに陥る。一時的には身内や近所同士で助け合うことも出来るが、年齢を重ねるに従い、プレッシャーが高まる。

 

施設の売却はスッキリするが、生活のこともあり、そうは簡単に割り切れない。農業に愛着があり、まだ働けるから出来れば自分も関わりながらパートナーを育て、バトンタッチの時期を探りたいと考える農家は多い。

パートナーを育てるにはある程度の余裕資金がないと厳しいが、現状は資金が貯められる経営状態の良い農家は限られる。

 

「資金」が足らなければ一般企業の様に法人化して出資者を募るか金融機関から借金することになるが、ここまで踏み込むと「家業」から「企業」経営の領域になる。どちらを選択するかはその人の考え方と能力による。外部資金を導入し、社員を雇用して事業を継続し、拡大する動きが盛んになれば、農業は今までと全く異なった展開となる。

 

敗戦で灰燼に帰した日本がこれだけ発展を遂げたのは、戦後の父ちゃん母ちゃんの「家業」から脱皮し、会社組織にして資金を調達し、設備投資し、従業員を雇用し、一致団結して国際競争に勝ち抜いてきたからである。

当時の零細企業経営者は最初から「売るモノ、作るモノ」があったわけではない。食うために必死になって売れるモノを開発し、販路を開き、持っている資産を差し出して資金を作った。そこは厳しい勝負の世界であり、多くの勝者と敗者が生まれた。戦いに敗れて裸一貫にになった経営者は枚挙にいとまがない。

 

今は、時代背景が異なるから、一概には言えないが、農業の状況は当時の「売れるモノが無い、作るモノが無い」「零細中小規模」「資金がない」と言うことはある意味で共通している。右往左往していても時間だけが過ぎ、問題は解決しない。座して衰退するよりも、先ずは富を生み出す「人材」と「資金」を調達できるチャレンジャーを広く発掘し、育てなければならない。残念ながら今の農家にのみ、それを期待することは無理である。

流れが少しでも出来てくれば、追従する人が出てくる可能性はある。

どん底に落とし込まれた震災地から、立業のニュースが伝わってくることは心強い。

ただ、農業の場合、農地の確保が課題だが、高齢化でいよいよ流動性が高まるタイミングにあり、強力な政策を期待したい。

 

以下、農家の実情を少し書く。プライバシーに配慮して詳しくは書かない。

 

   家族労働力がないと儲からない。

先日、ハウストマト2㌶を栽培しているKさんと農業の企業化について意見交換した。ここは販売部門はメンバーが集まり法人化しているが、栽培は個人単位の経営である。Kさんは自前労働力は彼一人、作業はパートと外国人労働者に依存している。外国人労働者は年間雇用を希望するため、トマトが終了したら菌床椎茸を栽培して年間雇用している。昨年はトマト類が高騰し、菌床椎茸も高値が続いたので、たっぷり稼いだ?・・・と聞いたら「決算してみたら思っていたほど残らなかった。昨年みたいな高値の年に、本来は貯金が出来ないと、安値の年が苦しくなる。内容を分析してみたが、ミニトマトも菌床椎茸も、人件費の割合が高いから、うちみたいに全部雇用労働で経営していたら、人件費に消えて残らないよ・・・

同じ作物を作っている仲間のNさんは家族労働が主体だから、人件費の支払いが少なく、面積が少ないけど儲かった。

自分はサラリーマンからこの道に飛び込んだ。農業を企業化して若い人達に夢を持たせようとチャレンジしてきた。しかい、人を雇用して拡大したら儲からないことを実感した・・・雇う事を前提にした農業は、相当付加価値の高い作物を作らないと採算が採れない。外国人労働者の賃金は日本人と同一になり、今後、雇用条件などハードルが高くなって行く。付加価値と技術の向上は不可欠だね・・・トマトはフルーツトマトを主体にする。

 

   地方は人材不足、視野を全国に広げるべきだ。

先日、お会いしたHさん(40歳前半)は主力作物としてメロン(3.5㌶)を作っている。7年くらい前、売り先を手間のかかる個人客から通販会社にシフトした。取引先と情報交換を重ねながら、馬鈴薯、トウキビ、アスパラガスなど、とびきり美味しい農産物を順次ギフト向けに商品化した。海産物などの取り扱いも手掛けて売り上げが急増。数年前、資本増強して有限会社から株式会社に変更した。作業現場はパート30数名を雇用、事務関係も今の所、問題は無い。取引が拡大するに従って自分だけでは処理しきれず、右腕となるパートナーが必要になってきた。地元の高校やハローワークに求人を出してはいるが選択肢が限られ、採用しても定着しない。

事業環境に恵まれ、技術力、販売力もあり、経営は安定、事業拡大の余地も充分あるが、パートナー不在で数年足踏み状態である。

 

長年地方に住んでいると、地元の情報しか無く、優秀なパートナーを広い視野で探すことが出来ない。取引にネットは活用しているが、人の事となると田舎人は敷居が高く、踏み込めないという。都会人も田舎生活には不安があり、希望者は限られる。

「住めば都」田舎には田舎の良さがある。日本の何処に行っても主要都市は航空路で結ばれ、空港からは道路や交通機関で結ばれている。今後、LCC(低料金航空会社)の路線拡充で、距離感が無くなってくることを考えれば、この様な、地方の成長企業で活躍するのも選択肢かと思う。

 

   軌道に乗ったが、次の課題・・・

ブランドメロン(12.000坪)を作るMさんは、若い若いと思っていたが、いつの間にか還暦を迎え、後継者を作ることが課題となってきた。天候に振り回されながらも技術力とブランド力で大崩れはなく、経営は順調である。4年前から外国人研修生を受け入れ、課題であって労働力は今の所問題は無い。しかし、自分の体力と気力の減退はこれから少しずつ進む。栽培面積が広いので時期になると早朝から管理に振り回される。手入れ次第で出来、不出来の差がはっきり分かれるが、ブランドメロンの魔力にとりつかれ、今の所、面積を減らすことは考えていない。

夫婦揃って元気、外国人研修生もよく働いてくれるので、当面は大丈夫だが、技術的に難しい品種で直ぐにはバトンタッチは出来ない。ぼつぼつ後継者候補に目星を付けないとね・・・と話していた。

これが、今までの中で一番難しい課題かも知れない・・・

 

   新規就農研修生を育てたが・・・

ハウス3900坪(花卉、メロン、軟白ネギなど)を作っているKさんは古希を迎えた。面倒見が良い事もあって、十数年前から新規就農研修生を受け入れ、人材を育ててきた。しかし、毎年天候災害やトラブルに見舞われ、自分の後継者を育てるタイミングを逃してきた。二所帯が生活して行くには中途半端な面積だという認識もあり、積極的に動けない。時々、アバウトな計算をしてみるが、結論は「うーん・・・難しいね」。現状はパート4~5人雇い、経費を払ったら、余り残らない。もっとも、Kさんは「人生は楽しむ」と言う哲学を持っていて、毎年、秋にはパートさんを引き連れて九州や本州方面に慰安旅行に出掛ける。「まあ、引き継いでくれる人が現れればラッキーだが、今の若い人と自分達の考えには相当差があるから、無理しない方がお互いに幸せかもね・・・」と笑って話す。後継者作りは厳しいかも知れない。

 

   農家の集まりではなく、若い社員を育てる

12㌶、野菜5㌶、ハウス2.100坪を経営する農業会社のC社長は、当初、型どおり農家を集めて法人化した。しかし、数年、取り組んでみたが、それぞれの意見が合わず、4年前、限界を感じて思い切って解散した。翌年から若手社員を1年1人ずつ育成し、今年は4人目になった。作物別に播種から収穫まで全部責任を持たせ、失敗覚悟で育てている。収穫までの全ステージを任せることでトラブルの原因が何処にあったのか自分で解析でき、毎年、成長している。年に何回か現地に出向いて彼らと酒を呑むが、一様に今までの仕事より農業は張り合いがあって楽しいという。

事情があって辞めた社員もいるが、Cさんの方針は若い社員達に支持されて、先行きが楽しみである。

 

 

 

これからのトレンド(5)中山間地の米

米の生産量は慢性的に過剰だが、このまま減反を続けていては田圃が荒れ、地域社会が崩壊するなどという指摘がある。大規模化や技術進歩で海外との品質・価格競争力は一部生産者については少し高まってはいるが、全体としては非常に厳しい。特に、高齢化で栽培維持が限界に来ている中山間地は、環境ボランティア等が再生への道を探ってはいるが、住民の減少が続く限り解決策は限られる。

 

大規模化が進めやすい地域は、離農者の農地を統合して、これからも規模拡大が進んでゆくと思われる。問題は効率化が出来ない中山間地である。農地と言うより国土環境保全という役割を担っているこれらの地域は、異常気象が多発している状況下で、対策が急がれる。中山間地農業の取り組みについてはいろいろ事例が多い。しかし、地域住民が意欲を持って取り組み継続して行けるかどうかは心許ない。

旧来の枠組みの中で組み立てられ、目先は少し変わっても、根本的な問題はあまり解決されていない例は多い。今、重要なのは従来の行政や組織主導だけではなく、外部の人材や知恵を積極的に取り入れて、マーケットを含めて総合的に組み立て直し、地域住民の意欲、活力を引き出すことにある。閉鎖的な村社会では組み替えは難しいが、誰かがチャレンジし、成功し、そのモデルを広めて行かねば、停滞したままで未来は見えてこない。

 

岐阜県飛騨の農業会社A社は典型的な中山間地農業を基盤として経営されている。7年前に白ネギの栽培を始め、紆余曲折はあったが、品質の良さが認められて面積を拡大し、今年は5㌶栽培する。しかし、これ以上拡大すると、分散している圃場の管理に手が回らず、効率が落ちるので当面、この面積が限界である。今後は拡大ではなく、品質と収量の向上に重点を置いて収益を高める。当初から有機農業に軸足を置いているが、ポイントでは化学肥料と農薬を使い、安定生産を基本としている。

 

今後の成長作物として取り組んでいるのは「米」。

効率の良くない中山間地で需要が減っている米に取り組むのは一般的には?である。しかし、状況を冷静に分析してみれば、やり方によっては大きなチャンスがある。中山間地は一般的に水質や土質が良く、昼夜の寒暖差が大きいため味の良い米が作れる。その為、高齢になっても何とか米だけは作ってきた農家が多い。だが、それもいよいよ限界に達した。これから優良農地を含めて流動化が進み、それを生かすノウハウを持った生産者はチャンスとなる。

 

社長のFさんは他業界からの中途就農、農業に固定観念を持たない。彼は技術屋出身、自分で論理的に考えたことを試行錯誤を繰り返して、完成度を高めている。彼の米作りの哲学は「おいしい米は売れる」。中山間地の不利な条件で栽培で収益を上げる事は厳しいが、彼が辿り着いた結論は栽培から販売まで「一気通貫型農業」。全部自分の納得できる組み立てをして品質、コスト競争力を高め、販路を自分で開拓する。農機具は無理をしないで飛騨の田圃に合ったタイプを用意、乾燥機、色彩選別機など品質保持に必要な設備は自前で揃えた。償却面積は20㌶超だが、今年の作付は12㌶。余力は請負でカバーする。

 

販売先は個人客では限界があるのでレストランなど業務用を開拓した。業務用飯米も品質、価格競争が厳しいが、おいしい飯米の引き合いは強い。マーケットの要求に耐え得る品質を毎年維持しているので、再生産価格以上での販売に問題はない。

 

更に競争力を強化するため、昨年から一発施肥でおいしい米を作る栽培試験を始めた。品種は「こしひかり」を使っているが、「良食味」を安定させるため化成肥料と副資材(硅酸石灰等)合わせて10㌃約1万円をかけていた。小面積の圃場では複数散布では手間がかかり、更なる面積拡大を視野に入れると、一発施肥が前提になる。

昨年、開発した硅酸や石灰、ミネラルを含む燐酸、加里、苦土肥料、中和有機燃焼灰(ネオアッシュ)をベースに化学肥料を配合したPK配合(12-18-14)を一発肥料として試験した。

 

窒素施肥量は従来基準に合わせたが、根張りが良くなるためか生育が対照区より旺盛になり、結果的に出来過ぎた。しかし、収量は30kg/程度多く、食味についてはレストラン関係者から「非常に美味しい」と高い評価が出た。同様な試験を北海道でも行ったが、生育状態、収量、食味について同様な評価が出た。

試験した生産者は今年は施肥量を1015%、減らしても良さそうだと話していた。

 

資源高と円安傾向で肥料価格が再び上昇の気配を見せている。中和有機燃焼灰は国産で為替の影響は受けにくい。従来の化学肥料は国際相場や為替の影響をまともに受けるので、価格高騰リスクがある。メーカーとタイアップして販売から輸送までを見直し、安価、安定供給への道筋を付けたいと考えている。

PK配合(12-18-14)は地域限定でテスト販売する予定。詳細はお問い合わせ下さい。

 

これからのトレンド(4) 規模拡大と所得保障

日本の農業を論じる際に、最初に出てくる言葉が規模拡大、法人化(企業化)である。規模拡大と農家の安定経営については、政策的に手が打たれ、特に後継者のいる農家には手厚い政策が打たれた。しかし、品目別に見れば機械化して大規模経営が可能な水稲、畑作、畜産、重量野菜が主力である。

 

先日、十勝の生産者を回ってきた。所得保障のお蔭もあり、経営は上向いている。畑作と加工野菜120㌶を作っているNさんは今後も徐々に野菜にシフトして、収益改善を図りる。、資材価格の高騰に備えるためという。今の所、野菜は牛蒡が主力だが、要望があれば加工白菜も作る。

今年の目玉は輸出が安定している長芋。政府が平成25年度までに農産物輸出目標1兆円を掲げており、世界的な日本食ブームで有力な輸出作物と言える。輸出量の多い台湾でもJA帯広川西で1100㌧程度。各国のニーズにあった用途開拓が進めば、伸ばせる余地はありそうだ。機械化、量産が可能な作物だけに農家の期待は大きい。

Nさんは今年からスタートするが、6㌶を植え付ける。長芋は初年度、種芋と資材代が凄くかかる。「種芋代は初年度は仕方ないけど、2年目からは自家採取できる。ポールやネットはリタイヤした農家から集めるので、コストの心配はしていない。

 

ここは燐酸吸収係数が高く、燐酸が効きにくい土壌が多い。特に根菜類はこの傾向が強く、JAや商系の一般的な成分ではパフォーマンスが良くない。Nさんはその対策として8年くらい前からミネラルPKを併用して収量を上げてきた。今年はコストの安いエキスパートPK(海上コンテナ単位販売)が発売されたのでこちらに切り替える。牛蒡、小麦などにも使っている(反当30kg

 

牛蒡のC品を使って「牛蒡茶」の製造販売も始めた。作り方は簡単、スライサーで2㍉くらいの厚さにスライスして乾燥させ、ホーローまたはステンレス鍋で煎って香味を付ける。金をかけて販売すると手取りが少なくなるので宣伝もしないが。直売場や口コミでお客が増えている。薬ではないが便秘や血糖値の高い人がリピーターになるという。

 

十勝の農業法人H社は馬鈴薯(メークイン)が主力だったが、消費が低迷、牛蒡、人参、玉葱、ブロッコリー、南瓜など露地野菜を増やした。特別栽培にもチャレンジしたが、昔と異なり思うような価格で販売できなくなり、整理した。十勝の強みは大量、低コスト生産。基本に戻って、大量生産可能なキャベツに目を付け、商社と業務用野菜を契約し、収入の安定化を図っている。昨年、10㌶作り、反収9㌧を上げた。今年は増反する計画という。栽培は殆ど機械化され、青果用と異なり規格も煩くないので、十勝人の気質にあっているという。

 

所得保障についてベテラン農家に意見を聞いたら、「農家が堕落するだけ・・・」と斬り捨てた。「息子達は大金が入ったので、集まると機械の更新の話しをしているたしい・・・」「もっと将来に備えて、暇な冬場に国内や海外の農業を見てくるとか・・・経営の勉強をするとか・・・金の使い道は色々ある筈だ」

上記の様な話しはあちこちで聞いた。勿論、補償金をもらって助かっている人も多いと思うが、親父さん達の心の中は「何か間違っている・・・」という認識が読み取れた。

 

海外から見れば圧倒的に競争力の低い穀物は、好むと好まざるとに関わらず、縮小への道を歩まねばならないだろう。農家の生活を保障するために所得保障は世界ルールとして認められているが、産業や国民の活力が衰退して行く中で、莫大な補償金を支払い続けるのは大きなリスクである。補償金により農業が活性化すれば問題は杞憂に終わるが、今回、歩いた感じでは、残念ながら期待している効果は限定的と思わざるを得ない。

今の日本に必要なのは次世代を切り開くアイディアと人材の育成である。政府が農業現場にお金を出せば農業が栄えると考え実行したのはもう過去の遺物である。世界的な気候変動、資源枯渇、経済摩擦などグローバルな要素を折りコンで農業を再検討できる人材の育成にもっと資金を振り向けるべきである。

予算が豊富だった頃は少しはその様な政策が行われた覚えもあるが、日本人の縄張り、閉鎖社会では芽吹くことは無かった。

 

しかし、これからは今まで支えてきた世代が良くも悪くも急減して行く。残念ながら次世代を担う強いリーダーが不足している。これは生産現場だけではなく、すべてである。組織も人間も萎縮し目先だけで考える。

豊かになった日本の社会がそうさせていると思うが「安心、安全」第一。リスクをとるチャレンジ精神の大幅欠場である。上場企業を目指す学生が2/3を越える時代、それぞれの考えは解らないが「安心、安全」なのであろう。

中国、韓国など急成長しる新興国に対侍してゆくためには「安心、安全」などという消極的な考えでは国も個人も明るい未来はない。

これからのトレンド(3) 地銀の農業支援活発化

最近、地方銀行が地場産業や商店街の衰退で得意先の取引が縮小し、多額の金融資産を持つ都市近郊農家や先進的農業法人に食指を動かし始めている。先週、地銀の営業推進グループ、農業支援チーム担当者とお会いした。

従来、農家の金融取引はJAと日本郵貯が強く、銀行が攻め入る余地は限られていた。農家はJA組合員という立場もさることながら、地域の人間関係、「しがらみ」などのほか、担保となる農地の流動性が低く、貸し付けは殆どJAの掌中にあった。

しかい、農家の世代交代が進み、JAの大型合併で、連帯感、人間関係の強みが後退し、「おらが農協」の意識が薄れてきた。個性化をコンセプトとする栽培が増え、従来の市場流通ではなく生協、量販店、業務用業者などと取引を持つ銀行の強みもクローズアップされている。規模拡大が進むと、安定経営を目指す後継者や新規就農者が増え、地域によってはJAの求心力に陰りがでてきた。

 

お会いした地銀は、業界では堅実経営として知られ、バブル期でも目先の収益に躍らされず、銀行の本分を守り続けてきた。今回の農業支援プロジェクトも目先の収益追究ではなく、中長期的な視野で農業部門を成長させようという取り組みの様だ。他の地銀も動きが活発化しているが、今の所、農家の動きは限定的。JA以外のパートナーの選択肢が出てきたことは、歓迎したい。

 

具体的にどういう取り組みが出来るかは未知数だが、お互いに新規でしがらみを持たないので、全く新しい絵が画けるることは素晴らしい。

 

これからのトレンド(2) 直売場

品目にもよるが野菜がこの所、高騰傾向にあるのは天候の影がも大きいが、都市近郊からの出荷量が減り続けていることにも注目したい。手元にデータは持ち合わせていないが、都市近郊で耕作放棄地や休耕地が目立ってきたのは最近の事ではなく、自治体でも長年頭を痛めてきた問題である。私自身も若い頃、生まれ故郷の地方都市を出て東京に住み着いた一人で、先祖代々の農地は休耕地となっている。もう、故郷に戻って百姓でもやるか・・・という状況でもない。

 

高齢化や手間不足で面積を縮小し、JAや市場に出荷していた人達が、手取りが確実な庭先や直売場販売へ切り替えブームになった。鮮度の良さや顔の見える安心感、量販店にはない対面販売などの良さが受けて、直売場が全国的に広まった。

需要があると睨んだ行政やJA等も施設の拡充に動き、近頃は道の駅、物産館、観光施設などを巻き込んで、地場需要から観光客相手の需要に視点が移っている。乱立気味で既に過渡競争に入っている地区もある。

以前、書いたが、私の住む東京近郊では、地場消費者を対象とした個人農家の直売場が乱立したが、量販店や低価格新興小売店に敗れ、、高齢化も原因して激減した。お客のニーズも次第に変化し、余程安いか魅力ある商品を置かないと、先細りと思われる。。

消費者の購買力は経済状況により大きく変化しており、いつも注目していなければならない。

 

11月に、直売場がブームになる以前の20年位前、20軒近くの農家が街道脇に店を広げ、大繁盛していた京都洛西を訪ねてみた。訪ねた時間が昼前ということもあったが、その光景は20年前とは様変わりしていた。店は残っているが周りの雰囲気は以前のような活気が感じられない・・・案内して頂いたYさんの話しでは、この周辺は高度成長期に郊外住宅地として発展し、人口が急増した。しかし、その頃がピークで次第に住民の高齢化が進み、消費が落ち、スーパーや商店街の閉店が相次いだ。、交通機関(バス)も次第に不便になって買い物難民が増え、陸の孤島化が進んているという。移動スーパーが来るが、あまり商売にはならないらしい様だ。こう言う状況ならば直売場の出番と思うが、最早、歩くのが精一杯、大根やキャベツを持ち帰って調理できる人は限られてくる。私自身も駅前のスーパーで重い野菜や果物を買って帰るのはためらう。老いも若きも同じ傾向で、重量野菜や果物は生協、ネット販売等の宅配やコンビニの少量パックにフトして行く。

大袈裟に言えばもう、野菜というモノよりも、利便性に対価を支払う社会に差し掛かっているのかも知れない。

 

地場消費よりも観光客を含めて都市部から車で訪れる直売場が、繁盛している。

車で来る客は、一度に沢山の野菜を買う傾向があり、説明するとついつい手を出して買って行くという。

北海道洞爺湖で直売場組合を経営しているSさんの話。

「ここは冬はスキー客以外はあまり通らないが、春~晩秋までは観光客が寄ってくれる。結構、売り上げがあり繁盛している。だが、農家が持ち込んでくる野菜は、季節が同じで他の直売場で売られているモノと競合するから、如何に魅力的な商品を並べて集客を図るかが問われる。おいしく安全というコンセプトは何処でも謳っているから、お題目ではなく、実際の中身が問われる。自分は常に20品目を作っていて管理は大変だが、「先日のトマトは本当においしかった!」など反応が聞けるのでやり甲斐はある」

 

メンバーが持ち込んでくる野菜は馬鈴薯、南瓜、玉葱、長いも、長ネギ、白菜、キャベツなど何処にでも売っている野菜になりなってしまい、飽きられるので、自分が目新らしい野菜を開発している。

雪中冷蔵庫を持っているので、晩秋に入れておくと年にもよるが5月の連休くらいまで出荷可能。ナガイモ、キャベツ、リーキなどは甘みが強くなり、大好評という。栽培レベルは特別栽培が基準。

自分で作った野菜だけで家族を養う事の出来る生産者は限られる。他地区の生産者とネットワークを組んで周年で多種類の農産物を並べている直売場も見受けられる。試行錯誤しながら直売場の企業化が進む可能性があるかと問うと、否定的な返事が多い。

数量を増やしても、人件費の割合が高いから、利益は上げにくいという。

 

これからのトレンド(1)

今冬は久しぶりに寒い冬だった。さすがに3月に入ると日増しに日が長くなり、外は明るく、いよいよ春到来である。

しかし相変わらず明るいニュースは少なく、長年のツケがまわってきているな・・・と思わせる。日本に限らず先進国は成長先食い経済、つまり赤字経営で各国の状況は共通している。日本は戦後から朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争など次々と特需があり、最近では中国を中心としたアジア周辺国の急成長など好環境が続いてきた。しかし、リーマンショックを契機に、国家単位の金融不安が表面化し、相対的に安全と言われる通貨「円」が買われ歴史的な円高となった。構造的な少子高齢化も止まらず追い打ちをかけるように、産業競争力急低下、大震災、原発事故など終戦以来の「痛み」いや「激痛」と「不安感」を感じている国民が増えている。

地方より都会でその傾向が顕著で、従来の安定していた社会の「モノサシ」が通用しなくなっている。

 

今後のトレンドを探るため12月から各地を歩き、青森と北海道については書いた。引き続き西日本、関東周辺について書く予定でいたが、野暮用で時間が経ってしまった。

 

半年ぶりに宮崎、熊本、福岡を訪ねた。今冬は異常低温と燃料高でハウス栽培の経費が嵩み、収量も思わしくなく、農家の表情は冴えない。燃料代を気にしてハウス温度を下げた生産者は肥大や着色が進まず、高騰する相場を横目で睨みながら、ため息を漏らしていた。長年の勘を働かせて管理するテラン生産者よりも、パソコンでコスト管理をしている若手農業人に減収の傾向が強い。余裕のない生産者は燃料高と異常低温のダブルパンチでは温度を上げる攻めの管理が出来ないという。寒さと日照不足が続いてトマトの樹が弱り疫病症状などが出始め、踏んだりけったりの生産者も出ていた。トマトはテレビ番組の影響で特需もあり相場が跳ねていたが、生産者がそれほど潤っている話しは聞かれなかった。

 

その中で、高糖度ミニトマトを大規模栽培し、安定した販売先を持っている生産者(農業法人)は元気だ。一昨年、訪ねた時は作付面積4㌶と話していたが、注文数が増えているので倍増する計画と話していた。関係者の話では今の所、順調に拡大が続いている様だ。ここでは大方の販売単価が決まっているので、思い切って資材を投入する「攻め」の栽培が可能なため収量は多い。殆ど有機で栽培しているため、大規模栽培に関わらず味のブレも少ないという。

 

温度設定の高いピーマンはトマトよりも設定温度が高いから燃料高は深刻。主産地宮崎では雪が降った日が数回あったから、収量は最低と話していた。ここでも相場は高いが、前向きな話しは聞こえてこない。

熊本でカラーピーマンを栽培している農業会社のハウスを訪ねた。「今の時期は超品薄で注文が多いが収穫量が少ないので経費倒れ・・・温かくなる頃には相場が下がり、販売に苦労する。なかな儲けさせて暮れない」な~(笑い)。この数年、天候が良くないので着色が進まず、赤、オレンジ、黄色3色の収量バランスが取れないので2色セットが定着、サイズもバラバラ・・・売り場の注文通りにはいかないね」

 

鹿児島、宮崎の南九州には昨年2500㌶超の「葉たばこ」が栽培された。しかし、禁煙定着や安価な外国産に押されて2012年度の公告面積は1.291㌶(▲49.3%)に半減する。

全国合計では約4.500㌶(▲33.9)の大幅減反となる。

半減する南九州では対策に頭を痛めている。関係者の話では葉たばこは手間はかかるが安定して収益を確保出来る数少ない作物だったため、それに代わる転作は難しいという。一時勢いのあった芋焼酎ブームも一段落、不足していた原料芋の需給が緩和してきた。今更、小麦、大豆など穀物類では飯が食えない・・・行き着く先は野菜の大規模生産しかない。消費地に遠いハンディーを背負っているため、冷凍や業務用野菜になる。安定供給を旗印に低コスト大規模栽培の取り組みがが始まっている。従来も冷凍や量販店向け青果生産者がいたが、中食など業務用中心にした産地作りが広がっている。1品目1生産者あたり5060㌶規模で、土作りから物流まで徹底したコストダウンが検討されている。品目はキャベツ、ブロッコリー、ホウレン草などが中心だが、夏野菜は北海道、冬野菜は南九州のリレーで周年安定、安価供給体制が整備されて行くだろう。

勿論、安全性や高品質を競争力として、アジア諸国の富裕層向けに輸出する計画も始まっている。「災いを転じて福となす」の言葉があるが、前を向いている生産者には好機と映る。

業務用だけではなく青果用としても出荷されるから、既存の中小規模生産者には将来、脅威となる可能性もある。

 

昨日、宮崎の友人から葉タバコの転作状況について電話があり、播種期を控えていろいろ検討されてきたが、不透明な経済状況を反映して話しがまとまらず、結局、作り慣れている焼酎芋になりそうだと話していた。

農家も惣菜加工業者も、リスクは取れないから安全指向なのだろう・・・

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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