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ブログ: 2011年7月

草勢を立て直して、後半戦に備える。

IMG_0064.JPG今年も春先から天候が安定せず、低温、高温、干魃、大雨など大きなブレが発生し、作物の生育は狂いっぱなしである。出遅れを取り戻せるのか・・・毎日天気を気にしながら農家の気は休まらない。従来の経験で管理しても、思うようにならないのが昨今の天気である。しかし、もうお盆も間近である。

気候変動の大きい年こそ土作りの差が出ることは当然として、それにプラスして管理技術の良否が収益を大きく左右する。市場出荷の場合は、みんなが収量を落とした時こそ大きく儲けられる。天候には勝てないと諦めていては、チャンスを見過ごす。折角蒔いた種だから最大限の努力をして、人並み以上の収穫に漕ぎ着けたい。大雨や異常高温の対策は限られるが、ハウス作物では、タイミング良く適切な管理をすれば、見違えるほどの効果が上がる。「災い転じて福となす」である。

 

農家が間違いやすいのは、天候がブレて生育が弱い時に、焦って追肥をやり過ぎる事である。人間で言えば体調の良くない時に、無理に沢山飯を食べさせることと似ている。作物に強いストレスがかかると、成長点は勢いを失い、トマトなどは芯止まりを起こす。細根も果実に養分を取られて痩せる。こう言う状態では充実した花芽形成が出来ず、着果不良を起こし、大きな果実にならない。

 

成育中にストレスを受けた場合は、速効性の(発酵アミノ酸+炭水化物)の併用潅水が確実に効果を発揮する。

いわゆる弱った時の「卵酒」である。良質なタンパク質(アミノ酸)と速効性の炭水化物(アルコール)の組み合わせが、体調を整える。体調が回復してから飯(肥料)の事を考えればよい。

 

ニラを栽培しているAさんから、今年も低温、曇天続きで葉肉薄く、葉幅も狭く、株張りが貧弱で心配だと電話が掛かってきた。ニラの品質と収量は株張り、根作りで決まるから、大幅収益増を目指している彼は、今からこんな状況では、どう対応して良いか解らないという。

通常、草勢が弱いとここで化成肥料の追肥をしてしまう。しかし、確かに葉は伸びるが葉肉は相変わらず薄く、葉幅の狭い状況は改善されない。窒素が効いて葉は力なくダラリと広がり、画像の様な立ち葉にはならない。葉面の水分蒸散が激しく、株は疲れる。病害虫にも弱くなる。

この段階で必要なのは、先ず光合成を活発にし、その生成物を根の伸長に振り向け、水分と栄養分をバランス良く吸収できる体勢を作る事である。

具体的には「タマノビール」反当6kgを1週間隔で2回程度潅水する。この処理だけで収穫量は大幅に増え、品質も見違える程、向上した。Aさんは1ハウス80坪で650kg、仲間のBさんは800kgと驚異的な収量を上げた。

天候や圃場にもよるので、グループで繰り返してテストしているが、今までにない好成績が認められている。興味のある方は使ってみる価値はある。

トマトや胡瓜、ピーマンなどの果菜類も天候ストレスを受けた場合は、この方法で草勢回復させる事をお奨めする。タマノビール反当6kg+ミネラルバランス2kgを潅水する。

草勢を回復させ樹をバランス良く保って収量を上げる事が次の意欲につながる。

 

フランス「農と食」(5) 「ドンペリの里」ランスを訪ねて

「ドンペリの里」ランス

フランスの農業を語るにはやはりワインについて書かねばならない。
フランスワイン生産量はイタリアに次いで世界第2位で重要な輸出産業である。しかし、葡萄の栽培や販売面で大きな変化が起きている。主要産地として西北部のボルドー、東部のブルゴーニュなどが知られているが、葡萄は水捌けと日当たりの良い南段斜面で昼夜の寒暖差が大きい場所が適地とされる。ところが、地球の温暖化で南部の地中海方面は高温障害リスクが高まり、適地では無くなってきたとの指摘がある。気象学者の予測では、2050年頃には平均気温が2℃以上上昇するというから、高品質ワインを標榜するフランスにとっては大問題である。一方、販売面では新大陸(オーストラリア、ニュージーランド、南米、北米)で安価で美味しいワインが台頭し、中ランク以下の産地は競合し、厳しい。若者のビール指向でワイン離れが進み、一人当たりの消費量は右肩下がり、この50年で半減している。ダブルパンチを受けて競争力の弱い低品質産地は高品質品種への改稙や減反が進められている。

しかし、フランスはワイン王国!高級品は健在である。中でも「シャンパン」(発泡ワイン)は、フランス独自のブランド(AOC:原産地呼称統制法)で保護されている。イタリアの「スプマンテ」、ドイツの「ゼクト」、スペインの「カヴァ」なども発泡ワインであるが、知名度、ブランド力において到底、世界に及ばない。
最近、日本でも美味しいシャンパンが店頭に並ぶようになったがワインと比べれば相当高価である。以前は高嶺の花。庶民の結婚式などで乾杯に使われたシャンパンはお世辞にも美味しいとは言えず・・・今、思えば全く別物、「シャンパンもどき」だった可能性が高い。本物のシャンパンは確かに美味しい。

ドン・ペリーニヨン

高級シャンパンが注目され始めたのはバブル絶頂期。銀座のクラブや高級レストランで成金紳士や芸能人が1本20万、30万、いや尾ひれが付いて50万とかいう「ドンペリ」(ドン・ペリーニヨン)が登場してからだ。殆どの日本人は「ドンペリ」???であった。今でこそテレビなどマスコミに登場する機会が多いから庶民にも知られるようになった。しかし、実際に口にした人は極少数だろう。特別なプレミアムが付は別にして、赤ワインは「ロマネコンティー」、シャンパンは「ドンペリ」が最高級品と称されている。
価格はピンキリだが地元ランスで€126、ミュンヘンで€138、パリで€170の値札が付いていた。

【ランス】

ランス・ノートルダム大聖堂

「ドンペリ」の里はフランス北東部シャンパーニュの中心地、ランスにある。話しのタネに世界的な銘酒を育んでいる現場を訪ねなければなるまい。
ランスは歴史的にも重要な街で、有名な「ランス・ノートルダム大聖堂」や、フランスで活躍した著名な日本人画家、藤田嗣治画伯の眠る協会(礼拝堂)がある。パリからシャンパン街道と呼ばれている高速道路で2時間弱、鉄道で45分程度で行ける。シャンパン富豪達の邸宅や三つ星レストラン、五つ星ホテルなどもあり、如何にもリッチな雰囲気が漂う。
大聖堂広場前にはシャンパン専門店があり、ビンテージ2002年の銘柄が並んでいた。蘊蓄を語られたら、好き者は財布が空になる。

シャンパン博物館

【シャンパン博物館】

1743年に創業したモエ・エ・シャンドン社が経営するシャンパン博物館。ここでシャンパンの由来や製造、発酵、熟成などの講釈が聞ける。1500エーカー(600㌶)もの葡萄畑を所有し、毎年200万ケース以上のシャンパンを出荷している。

発酵タンク

【発酵タンク】

玄関を入ると巨大な発酵タンク(展示用)が目に飛び込む。
収穫された葡萄は搾られてタンクで一次発酵させ、シロップ(砂糖)、炭酸ガスなどと共に瓶に詰められ二次発酵させる。
普通のシャンパンは色々な年の原料が混ぜられるが「ドンペリ」はビンテージ年ワインに限定して作られる。

熟成地下室

【熟成地下室】

エレベーターで40~50m降りると、連結型電気自動車が待っていて、貯蔵庫を案内してくれた。ここは石灰岩の岩盤を格子状に洞窟が掘られ、年間を通じて室温と湿度が一定に保たれている。ここで7~8年間じっくり眠りにつく。

葡萄畑

【葡萄畑】

シャンパンは白葡萄シャルドネ種、黒葡萄ピノ・ノワール種など8品種をブレンドして作る。

この会社では1500エーカー(600㌶)の葡萄畑を持つ。

円熟の香りと味は円熟した樹から・・・

【円熟の香りと味は円熟した樹から・・・】

ワイン用葡萄は樹が若くては良い味や香りが出ないとされる。一般的に石灰岩土壌、ミネラル分が豊富で肥沃でない土壌が適する。品種にもよるが本来の特徴は数十年生にならないと出ないと言われている。
この株は何十年生か解らないが世界最高級品を作る樹にふさわしい。貫禄がある。

キュヴェベルエポック

【キュヴェベルエポック】

シャンパンは「ドンペリ」が一番美味しいかどうかは、色々飲んでいる訳ではないから解らない。左の画像は1811年に創立されたペリエルジェ社の2002年ヴィンテージである。アネモネをモチーフとしたデザインで中身もボトルも芸術的な逸品である。このヴィンテージ年の様子を同梱冊子から引用させて頂く。人間の技よりも、自然の技であることを記している

2002年、それはコントラストのある豊かな年
「シャンパーニュ造りにおいては、その気候条件が大いに影響しています。2002年もその例に漏れてはいません。温暖な春から割合に湿度の高かった8月にかけて、この年もブドウの生育に必要なものが自然環境から与えられます。さらに9月は乾燥し、日中は太陽が照り、また、夜温は冷え込みがありました。つまりこのコントラストが、素晴らしいブドウができるために理想的な方程式なのです」

藤田嗣治画伯のフジタ礼拝堂

【藤田嗣治画伯のフジタ礼拝堂】

ランスに行ったら立ち寄りたいのがレオナール・フジタの礼拝堂である。藤田嗣治は1886年生まれ、パリで活躍した著名な画家。フランスに帰化し、本人の遺志により、このランス礼拝堂に埋葬されている。

五つ星ホテル

【五つ星ホテル】

シャンパン富豪が沢山住むこの街は「ドンペリ」を飲むにふさわしい三つ星レストランや高級ホテルがある。
ここは五つ星を持つホテル。宿泊するだけで最低€800(ツイン1室)は覚悟しなくてはいけない。夕食、朝食を含めたら€1200以上(約15万円)は飛ぶ。
我々にはガーデンカフェで喉を潤すのが精一杯の贅沢だ。
友人の口利きで、特別にレストランやバー、ゲストルームを見せて頂いた。仮に宿泊するチャンスがあっても私には落ち着いて時を過ごせそうにない・・・

フランス「農と食」(4) 新緑のオーガニック農場を訪ねて

3月のブログで1月に訪ねたノルマンディーのオーガニック(BIO)「ハローウィン農場」について紹介した。訪ねた時期が冬で作物は無く、農場の概略を聞くにとどまった。やはり、作物の生育している時期に現場を見なくては理解出来ない。こんな思いで5月2日、再び農場を訪ねた。
新緑のノルマンディーは目を見張るほど美しい!白いマロニエ、紫色のリラの花・・・春を待ちわびていた生命が一斉に動き出した感がある。

新緑のノルマンディー2 新緑のノルマンディー1
ハローウィン農場

今回は「ハローウィン農場」のマダムに案内して頂いた。
マダムは弁護士、地方議会議員の肩書きを持つインテリ女性。日本に3年近く滞在された経験があり、日本語も少し話す。自然界の営みについて大変勉強されており、この分野にも詳しい。理論的でチャレンジ精神旺盛だ。
「この仕事は奥が深く、知れば知るほど興味が湧く」と、案内に熱がこもる。
農場は有機農業と言うより、自然農業に近いが、放任栽培ではない。観察や科学的根拠に基づいて人工的に多様な環境を作り、自然界の営みを創る。それぞれの環境に対応して生物の多様化が進み、全体の共存関係が築かれている。
農園の周辺には推定500種類以上の植物が共存しているが、食用は50種類位。作物を大面積植えると生物バランスが崩れて病害虫が増える。これを農薬ではなく、自然界のバランスの中でコントロールしている。

マダムに農場が目指している未来像について聞いてみた。

■何故オーガニックですか?

通常、食の安全や環境問題の観点からオーガニックを目指す人が多いです。私は将来、予測される人類の食糧危機に対応できる「最も効率的な農業」がオーガニックだと思います。オーガニックは単位面積当たりの収量が少ないと言うのが従来の共通認識ですが、私はその考えは間違いだと思っています。オーガニック農家をもっと増やすには、政策的な食の安全や環境保全だけでは限界があります。現在の化学農業より省資材型(低コスト)で、しかも品質や収量が上がり、農家の収益向上に結びつかなければなりません。
最大のポイントは化学資材を使わないで、自然界のあらゆる要素、土、太陽、雨、風、微生物、植物、昆虫、動物などを総合的に利用して作物の能力を最大限に引き出せば、高収量を実現できると考えています。従来の化学肥料、農薬、遺伝子組み換え種子等を使った農業は環境破壊が進んで、ボツボツ限界でしょう。循環可能な自然力を総動員して単位面積当たりの収量を現状より増やすことが私の目標です。まだスタートして5年目、試行錯誤中ですがご案内しましょう。

人工池

【人工池】

ここは元々、乾燥しやすい場所で、雨が少ないと作物が良く育ちません。乾燥地は生息できる植物や昆虫の種類や数が限られます。作物を植えると生態系が狂い思わぬ虫害に見舞われます。作物を作っても効率が良くないので、池を掘って環境改善を図りました。園内には山から注ぐ小川も流れていますが、予想通り全く異なった生物が住み始めました。水が流れている川と静止している池では微妙に異なります。ここでは藻(アオコ)が大量発生し、定期的に取り除いて乾燥させると大変いい肥料になります。また、葦類は他のハーブ類と発酵させると虫や病気除けになります。蛙やトンボも育ち、虫を食べてくれます。乾燥地に水を用意してあげただけで多様な生命が育つことを実感しました。
果樹園の傾斜地にも雨水の水道を調べて、溜池を掘りました。しかし、水が直ぐに無くなってしまい、ここはまだ成功したとは言えません。もう少し考えないと・・・(笑い)

混植1

【混植】

単位面積当たりの収量を上げるため、生育の早いモノとゆっくり生育する作物を混植しています。これは生育の早い葉菜と生育の遅いエシャロットの組み合わせです。混植のもう一つの目的は害虫対策です。

果樹園は100種類近く植えていますが、成育中の樹木の高さを考えてバラバラに植えています。この方が単位面積当たりの収穫量が多くなり、虫も付きにくくなります。

混植2

どの圃場も、畝毎に作物が異なります

混植3

両側は背丈のあるグリーンピース、中央部は大根、人参の混植です。

害虫対策

【害虫対策】

この植物はアブラムシが好んで集まり、ビッシリ付きます。アブラムシが増えるとそれを食べる天敵のテントウムシが増えます。頃合いを見てテントウムシを捕って他の作物に移します。移転作業が終わったらこの株は焼却します。あちこちに植えておけばアブラムシの被害は殆どありません。
害虫対策植物はカモミールやミントなどの混植も効果があります。葦などの発酵液も良いです。

雑草対策

【雑草対策】

畝間には亜麻の滓や落葉樹のチップを敷き詰めて、草の生育を抑えています。根の保護や乾燥防止にも効果があります。プラスチックフィルムは使いません。

円形盛り土

【究極の形?】

どうしたら単位面積当たりの収量を最大に出来るか試行錯誤した結果、この円形、盛り土に行き着きました。この形は平面より植え付け面積が増え、栽植本数が増やせます。緯度が高いので夏の日照時間が長く、太陽の位置も高いので日照が十分確保できます。作業もしやすいです。
当然、植える作物は諸条件を考えて植えますから、まだら模様になります。

ハローウィン農場

【コメント】

マダムの意気込みは凄い!
実施している事は日本でも昔から行われていた事が多く、特段、珍しいことではない。効率、コスト優先の日本の農家から見れば「?」が付く。しかしハローウィン農場が目指している「単位面積当たりの収量増」への努力は評価に値する。実現できるかどうかは別にして、国の支援から「自立」への道を探る姿勢が素晴らしい。
円形土盛り方式には新鮮みを感じた。効率追究の日本人には考え付かない。マダムに「この形はパリの街(広場を中心とした円形放射状、渦巻き型)の様に美的感覚で作ったのですか」と聞いたら、「いや、理論的に考えたらこの形しかありません!」と自信満々に語っていた。
しかし、我々にはどう考えても手作業ばかりで効率を無視した農業に見える。これで飯(パン)が食えるのだろうか・・・マダムは、固定客が増えて、週で約100個の宅配を確保しているというから、一応の目処は付いている感じだ。売店の販売も順調な様だ。1月には貯蔵野菜や加工瓶詰め品の在庫がギッシリ並んでいたが殆ど売り切れていた。ご主人は前回、「現状は厳しいです」と話していた。10年単位の仕事として捉え、今後、新植した果樹類が収入に加わってくるから経営は安定するとも語っていた。

数キロ先の山の向こうは効率を追求している大規模農業地帯。こちらは人間、環境重視のオーガニック農業・・・豊かな緑と修道院のある良好な環境に恵まれた「ハローウィン農場」は、訪れる人々の心を癒し、ここで採れた野菜や果物は明日への鋭気を養うことだろう。。
フランス人は「食」と「バカンス」にお金を使う。残念ながら日本人は「食」も「バカンス」も使わなくなってきた。いや、使えなくなってきたのかも知れない。

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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