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ブログ: 2011年6月

フランス「農と食」(3) パリ東部穀倉地帯を訪ねて

パリ東部穀倉地帯

フランスに行っても個人農家を訪ねる機会はなかなか無い。(2)で書いた日本人農家Yさんは当時パリに住んでいた知人に紹介して頂いたが、典型的なフランス人農家にお会いしてみたいと考えていた。その土地に生まれ、育ち、そして農業を続けている土着農家にである。
「どんな環境」?「どんな考え」?「どんな農業」?「どんな生活」?・・・直接会って聞いてみたい。この思いを1月に訪仏した折り、案内して頂いた留学生H/A子さんに伝えておいた。
3月上旬、A子さんから「知り合いの村長さんのお宅で『どぶろく』を造る事になったので一緒に行きましょう!村長は170㌶の農地を持ち、小麦などを作っているから、いろいろお話しが聞けると思います」。願ったり叶ったり!チャンス到来である。
5月1日(日)、車でパリを出発、広大な農地が広がるシャンパン街道を東進、昼前に村長宅に着いた。

パリ東部穀倉地帯麦畑1 パリ東部穀倉地帯2

【大型農業】

回りは殆ど麦畑(画像上)・・・所々に菜種畑(画像左)と土が露出した圃場が見える。畝が作ってあるからホワイトアスパラ?かも知れない。
村長宅はここで代々農業を営んでいる名門。村の発展と環境問題に特別関心が深い。
作物は殆ど麦、トウモロコシ、菜種で170㌶経営している。政策的に保護されているので、生活は皆さん豊かだ。しかし、村長は「このままではいけない」と考えている。何故ならば、現状はもう機械化も収量増も限界に近い。メインの小麦は品質向上で収入増が期待できるか尋ねたら、品質価格差は余りない。天候により左右されるので難しいと答えた。収量平均は1㌶7㌧で北海道平均よりは多い。パリ近郊の地力のある土地では9~10㌧取れる所もあるという。これ以上収量を追究すると、残留硝酸窒素や病害虫多発による農薬汚染など環境リスクが高まる。遺伝子組み換え品種導入を別にすれば、現状の収量で、環境負荷は限界に近いだろう。
フランスの大型農業の将来については1月に訪ねたF教授のインタビューで指摘されておられたように、穀物農業は新興国との競争が厳しくなる。私の推測であるが、村長は村の将来像を描きつつ、大型農業一本槍から複数の道を模索し始めた様に見えた。冗談とも本気とも聞こえたが、日本から珍しい野菜のタネを持ってきて、自分の土地で作ってみないかと度々話していた。売る方はパリに知り合いのシェフが沢山いるから心配ないと・・・
流石、村長!チャレンジ精神旺盛である。当方も興味ある話である。

自家製マスタード

【マスタード】

今、取り組んでいるのは自家製「マスタード」の製造、販売だ。2週間に1回、2.000個作って販売している。こだわりを聞いたらビネガー(酢)にあるという。自家栽培のからしの実と、村で採取した蜂蜜を発酵させて作ったビネガーを和える。奥行きのある味で、日本で販売されているマスタード(西洋からし)とは異なる。パリには老舗のマスタード専門店があり、フランス料理には重要な香辛料である。肉料理にお洒落なスプーンやミニカップに添えられて出る。

住宅

【住宅】

壁面にはツタが這わされ、風格のある佇まい。

旧自宅ダイニング1

【旧自宅ダイニング】

フランス人は古いモノに価値を見出し、大切に保存している。村長は古い建物や景観の保存運動に、熱心に取り組んでいる。
フランス人好みの濃いローズ色の壁面は良き時代の雰囲気を漂わせる。
先代達はここでシャンパンやワインを飲みながら、充実した時間を過ごしたのだろう・・・

旧自宅ダイニング2

緯度の高いパリ周辺は冬が長く、底冷えして寒さが厳しい。
大きな薪暖炉が設えられている。

旧自宅ダイニング3

年代物の絵やグラスが並ぶ。

村長

【ビールバー】

村長は若い頃から大のビール党らしい。ヨーロッパ中から名品を買い集め、近所の人達を相手にこのカウンターでビールバーを開いていた。
「こんな風にね・・・」とボーズ。

どぶろく1

【どぶろく】

A子さんの提案で村長とフランス産「どぶろく」を仕込んだ。勿論、フランスには米麹は無いから、島根県出雲の酒蔵から取り寄せて送った。気温が上がると美味しい「どぶろく」が造れないので室温の安定した地下室で仕込みした。
瓶は運良く、地下室で見つけたと言う。昔、豚の塩漬けに使っていた瓶らしい。

どぶろく2

予想以上に香り豊かで切れ味の良い「どぶろく」に仕上がった。
村長は3日位前が飲み頃だったかも・・・と言っていたが、充分に満足できる出来映えであった。

キッチン

【キッチン】

招かれた友人達が思い思いに食材を持ち寄ってパーティーの準備が始まった。男性達も参加して、お喋りを楽しみながら料理を作っていた。

料理

【料理】

今が旬のホワイトアスパラ、魚介類を使ったあっさりイタリアン系?料理、サラダなど・・・塩味が少しきついが、ハーブやスパイスの使い方は流石センスがいい!

ガーデンテラス

【ガーデンテラス】

お洒落で別荘の雰囲気!

ランチパーティー

【ランチパーティー】

いよいよランチパーティーが始まった。先ず、型通りシャンパンが抜かれ『乾杯!』。すぐ隣がシャンパンの産地、シャンパーニュで兎に角美味しい。
絶好の天気、楽しい雰囲気も加わってあっと言う間にボトルが空く・・・シャンパン、白、赤と続いて、宴たけなわ。
残念ながら私はフランス語が解らないが、皆さん相当なお喋り好きだ。
柔道愛好家Jさんは「フランス人はみんなお腹が出ているが、僕はこんなにスマートだ!」とシャツ脱いで肉体美を自慢していた。皆さん、気さくで愉快な人達だ。

フランスチーズ

【チーズ】

フランスは食事が終盤に近づくとチーズが用意される。
この日もチーズの仕事をしているというMさんが十数種類のチーズを持ってきた。大変美味しいが、満腹に近く、あまり食べ慣れていないので彼らの様に沢山は食べられない。ナイフで適当な大きさに切って、ワインを楽しむのが流儀だ。
チーズの種類によってワインの味わいが微妙に変わる。

フランス人の子ども

【躾け】

奥さんやお子さん達も一緒に来たが、別のテーブルで食事をしていた。フランス人は躾けが厳しく、子供達が電車内や食事中に大声を出したり、走ったりすると直ぐ注意される。何処に行っても静かでマナーがいい。
レディーファーストは当然徹底しているが、ついつい日本流の地がでてしまい、恥ずかしい思いをする。
子供は色白でお洒落。お人形さんのように可愛い。

【コメント】

短い時間ではあったが、フランス農家の生活の一端を知ることが出来た。日本の農村と比べれば、他人の事は余り気にせず、マイペース派が多い。都会人と比べ実直で素朴なことは日本人と変わらない。ゴルフ場は沢山あるが、パチンコ屋や温泉施設など庶民の娯楽施設は見かけない。フランス人の娯楽は映画で、映画のTV番組は早朝から深夜まで非常に多い。高速道路、鉄道など交通インフラはよく整備されている。買い物、旅行などは何処にでも気軽に行けるが、自宅で気の合う仲間が集まって気ままに料理を作り飲むのが日常の楽しみ方なのだろう。昔の日本もこういう風景が見られた。今は便利になりすぎて居酒屋や焼き肉チェーンなどがあちこちに出来、「自宅で・・・」と言うのは敬遠される。高齢化や個人主義の高まりで農家の集まりが減っているが、お互いにもう少しコミュニケーションの機会を作り、刺激し合って意欲を高めたい。

フランス「農と食」(2) 三つ星レストランと日本人農家

パリにあるミシュラン「三つ星レストラン」と言えば、世界の富豪や著名人が利用する最高級レストランである。ここで使われる食材は、世界最高峰と言える。
パリ西部にあるノルマンディーは、豊かな農業地帯で、お洒落な農家の建物が点在する。霧に包まれた先には広大な穀倉地帯が広がる。この高台に世界最高峰レストランに野菜を納めている痛快な日本人農家Yさんが住んでいる。初めて訪ねたのは2004年1月。その時の様子はe-yasai.com「NEWS」で紹介したことがある。

ノルマンディー

Yさんは30数年前パリに渡り、盆栽を作って生計を立てていた。その頃は日本の絶頂期で日系企業の支店や営業所が次々と進出、盆栽がフランス人にも受け入れられて繁盛していた。ところがバブル崩壊で次々と日本人が引き揚げ、盆栽に見切りを付けた。次に取り組んだのは「おいしい日本野菜」。日本に帰国する度に種苗会社を訪ね、種子を手に入れてフランスに戻った。住宅付きで農地(約20㌃)を借り、小さなハウスを建てた。自然循環型有機農業を目指し、鶏糞堆肥を作るため地鶏を飼った(圃場画像手前)。当時約50種類もの野菜を試験し、土壌と気候に合う野菜を模索した。大根、人参、小蕪、聖護院大根、牛蒡、里芋、枝豆、トマト・・・色々なタネを蒔いて育ててみた。2004年に訪ねた時の状況を少し書く。

牛蒡栽培用塩ビ菅

【牛蒡】

ハウスを覗いて強烈な印象が残っているのはこの塩ビ菅である。1月の寒さの中で牛蒡の双葉が力強く芽吹いていた。「なんで塩ビ菅?」咄嗟には理解出来なかったが彼の説明を聞いて納得した。この地は緯度が高く、雪が少ないので土が凍結し、5月下旬にならないと土が乾かない。土質も重く、とても牛蒡を作る環境には無い。しかし、日本の野菜に牛蒡は欠かせないと考え、長い塩ビ菅に細かく砕いた土を詰め、タネを蒔いた。太さはともかく、香り豊かな美味しい牛蒡が育った。

枝豆

【枝豆】

(土)(日)を利用して自分の作った野菜を使ってレストランを開こうと目玉になる野菜を考えた。時期は夏、フランスには枝豆は無いなと思い、タネを蒔いた。しかし、生育が悪く、莢が付かない。色々調べた末、ここの土には根粒菌がいないことを知った。そこで北海道から根粒菌を取り寄せ、タネに塗して蒔いた。効果は絶大、見事な美味しい枝豆が育った。彼はレストランの人気メニューと言っていた。
秋に収穫した大豆は日本料理店の湯葉や豆腐の材料として売った。彼が作った自家製味噌も試食させて頂いた。

里芋

【里芋】

伝統的な和食(煮物)には、里芋は欠かせない。多分、フランスで作っているのはここだけだろう。

訪ねたのはスタートしてまだ3~4年経った頃と思うが、大きな試練が待ち受けていたと言う。パリの街は駐在員や日本人観光客が減り続け、売り先の日本食レストランの閉鎖が相次いだ。市場流通や宅配もトライしたが、パリの交通渋滞は仕事にならず、継続は致命的と映った。日本の様に気軽に宅配便が使える便利社会ではない。
いろいろ作って行く中で「小蕪」がシャンゼリゼ-通り裏で日本人が経営するフレンチレストランで評判になった。あちこちから注文が舞いこみ、美味しい物を作れば必ず売れると自信を持った。しかし、この時点では採算の採れる販売方法については未解決であった。

それから、7年の歳月が流れた。

ノルマンディー豊かな農業地帯

農園の回りの風景も畑の様子も殆ど変わっていなかった。ビニールハウスと鶏舎は以前より少し広くなっていたが昔のままの雰囲気だ。笑顔で迎えてくれたYさん(画像中央)は相変わらず若々しくお元気そうだ。
早速、質問してみた。

ノルマンディー日本野菜農家1 ノルマンディー日本野菜農家2 ノルマンディー日本野菜農家3 ノルマンディー日本野菜農家4 ノルマンディー日本野菜農家5 ノルマンディー日本野菜農家6 ノルマンディー日本野菜農家7
■昔と殆ど変わっていないですね?
変わらないですよ。ハウスが少し増えたけど全部で1.000㎡(1反歩)です。
■作っているモノは?
見たとおりです。色々な野菜をチョコチョコですよ。30種類位はあるね。
■作り方、考え方は?
変わらないです。鶏を飼って、鶏糞で堆肥を作り、化学肥料、農薬は使わない。有機農業で安全、美味しいがコンセプトです。
■看板商品の小蕪は?
今は看板商品ではありませんが、相変わらず評判は良いです。食べてみますか・・・
(試食した同行者から驚嘆の声!)
■凄い!何でこんなに美味しい小蕪が出来る?
私にもよく解らない。特別なことは何もしていない。日本から持ってきたこのタネが、ここの気候風土にピッタリ合っているのでしょう。固すぎず軟らかすぎず、生で食べても非常にジューシーで、上品な甘みとコクがある。冬は果肉が締まってスープで煮込んだら最高の味になる!高級レストランのあるシェフは、この味はここの小蕪しか持っていないと言い切ります。
■トマトはどうなりました?
それが・・・研究を重ねて今は「三つ星レストラン」のシェフ達に認められて8店に限定して納めています。他店からも注文が殺到していて3年待っても順番が来ませんよ・・・(笑い)。
「割り増し価格で買うから・・・」と言う店もありますが、そんなことをしたら信用を無くすので絶対しません。
■注文があるのに、何故面積を増やさないの?
いや、そんな簡単にできるトマトなら、パリの「檜舞台」には立てません。1玉1玉職人技で作るので、管理できる本数は限られます。人を雇っては採算が採れません・・・
■品種は当初と変わりませんか?
種苗会社は次から次へと色々な交配種を作ってくるが、味が良くなった例は無いね・・・(笑い)
T社の元祖「高糖度品種」を超えるモノははまだ見つからない。
■格別美味しい秘密は管理ですか?
その通りです。うちはシェフ仲間から「野菜のオートクチュール」と言われています。(オートクチュールはパリの高級仕立て服、オーダーメイド品)
トマトは調理目的によりシェフの好みが微妙に変わります。具体的に言えば熟度ですが、着果日から計算して収穫日が決まります。標準的な日数は80日、常温追熟4日です。当然、温度や日照などで変わりますから、私のアナログ的感覚で最終判断します。
■思うようにコントロール出来ますか?
出来ません・・・ですから、取引する前に最高責任者から「白紙委任状」を書いてもらいます(笑い)
■経営的には如何ですか?
驚くかも知れませんが、たった1.000㎡で贅沢をしなければ家族で充分食べて行けますよ。農業はそんなに儲かる商売ではないからコツコツ楽しみながらですよ。フランスは税金が高いから無理して儲けても残らないしね・・・(笑い)
老後は年金を積んでいるから大丈夫です。皆さんに喜んで食べて頂き、人生を楽しめれば最高です!

【コメント】

予約半年待ち、1年待ちとか言われるパリの三つ星レストランには関心はあるが一度も縁はない。こう言う場所に出入りできる客は稀な人達であり、非日常的な世界である。但し、チャンスを作れば、常人でも客としては行ける。しかし、ここに食材を納めようとするには常人では不可能である。品質の秀逸性は当然のこととして、食材を作る人にカリスマ性、オーラがなければ無理である。
Yさんのトマトにオーラがあるのは理屈、講釈ではなく、彼の盆栽師としての経験と感性が関係している。盆栽の事はよく解らないが、毎日樹と対話しつつ、折り合いを付けながら自分の描いた姿に導いて行く・・・彼のトマトは正にこの一期一会の世界で育てられている。私が知る限りでは北海道のTさんがいる。敢えて書かないが、農家哲学が共通している。
話に夢中になってトマトの画像を撮るのを忘れてしまった。
未だ50cm位で、特別な樹ではなかった。
それにしても、一度Yさんのトマトは食べてみたい!

フランス「農と食」(1) パリのマルシェ

フランスの「農と食」については日本にも参考になることが多いので度々紹介している。仕事の都合で、訪ねる時期がいつも正月明けだが、今年もTPP問題を絡めて関係者に取材し、ブログに書いた。しかし、肝心の圃場は、この時期は地中海沿岸を除いて荒涼とした冬景色で、現場の様子は見ることが出来ない。店頭の野菜は馬鈴薯や玉葱、人参など貯蔵品、地中海、アドリア海方面からの輸送品が多い。今回は、作物が生育し始めた5月の連休を挟んで、パリを起点に各地を訪ねた。

早朝、シャルルドゴール空港に到着、そのまま市内の友人宅に向かい、朝食を作って食べることにした。
先ずは買い物である。パリは朝早くからマルシェ(朝市)が開かれ、数々の食材や惣菜が並び、食べモノには不自由しない。勿論、カフェに入れば日本で言う「モーニングセット」がある。クロワッサンとトースト、オレンジジュース、紅茶か珈琲が付いて12.5ユーロ位(チップ込み1.500円)で高い。ホテルの朝食は18~20ユーロは覚悟しなければならない。紅茶は何処の店もティーパックでイマイチ。珈琲は美味しく、オレンジジュースはフレッシュ、搾りたてが多い。クロワッサンは当然美味しく、トースト付け合わせのバターやジャム(小瓶入り)も手抜きはない。

屋内マルシェ

【屋内マルシェ】

パリ市庁舎近くに大きな建物の中に入っている常設マルシェがある。付近は高級住宅街で、売られている商品レベルは高い。屋外広場にはテント張りの店も出ている。
EUは環境問題に真剣に取り組んでいるからご覧のように照明は日本と比べて薄暗い。

露天マルシェ

【露天マルシェ】

決められた曜日に歩道の両側で開かれるマルシェ。
この日は日曜日で、500m以上続く店は買い物客でごった返していた。アフリカ、中東、東欧、北欧・・・多様な文化圏の人達が暮らし、見慣れない珍しい食材も並んでいる。

低所得層向けの衣類や日用品

食料品の他、低所得層向けの衣類や日用品も並ぶ。
世界のブランド店が連なる中心街との落差が、この国の格差社会を伝えている。

青果店

【青果店】

屋内マルシェ内には青果店が花屋を含めて10店くらい営業している。日常食べる野菜は、殆ど揃う。

生野菜

生野菜はイタリアンというイメージが強いが、フランスでも健康指向で、サラダ野菜を沢山食べる様になった。春野菜のシーズンで品名はフランス語で解らないが、葉菜類が多種類並んでいる。販売は1株単位だ。
オリーブオイルをベースに塩、胡椒、チーズ、ハーブなどを使ってオリジナルのドレッシングを作って食べる。
調味料はそれぞれ種類が多く、作る人の腕が問われる。

葉菜類1 葉菜類2 葉菜類3 葉菜類4 葉菜類5 葉菜類6

名称は思い出せないが非常に美味しい。
店のマダムに聞いたら自家農園で栽培しているという。農園を見せて頂く時間が無かったので、栽培法を尋ねたら「砂栽培」でオリジナルの肥料で育てていると言う。
砂に含まれるミネラル分とアミノ酸肥料が独特の食味を実現している様だ。

レッドラディッシュ

赤カブ(レッドラディッシュ)は料理の彩りによく使われる。甘味があって美味しい。色も美しい。

サラダ玉葱

最近の売れ筋商品「サラダ玉葱」
機能性成分が豊富で、生で簡単に食べられ、美味しいのが人気らしい。辛みは少ない。
日本には大玉はあるが小玉は?

チコリ

チコリは欠かせないサラダ野菜。サンドイッチや煮込みなどにも使われる。ベルギー産が有名。

トマト1

トマトは生食でも食べるが、加熱調理が主流。
中玉、ミニ系が多く、日本の様に見栄えは良くない。
そのまま食べると糖度の高いトマトを食べ慣れた日本人には?・・・加熱調理すると美味しい。

トマト2

房取りトマトも多い。

トマト3 トマト4

色々な品種が売られている。

ピーマン

ピーマンもバラ売り。

ブラウンマッシュルーム ホワイトマッシュルーム

マッシュルームなどキノコ類はフレンチでよく使われている食材。ブラウン(左)とホワイト(左下)の2種類があり、日本で売られているモノより大きい。

ホワイトアスパラ

ホワイトアスパラはフランス人が好んで食べる食材で今が旬。
日本の物より太くて立派なだが、表皮は紫外線に当たって少し紫色(アントシアニン)が出ている。消費者は日本人のように外観にはあまりこだわらない。こちらではアスパラガスと言えばホワイト。
計り売りで、日本の様に束ねて売っている店は少ない。。

グリーンアスパラガス

グリーンアスパラガスも軸太で短い。

サヤインゲン

サヤインゲンは料理の付け合わせによく使う。

グリーンピース

グリーンピースは5月が旬で、色々な料理に使われる。
ここでは日本の様に?いた物は見当たらない。

長ネギ?

長ネギ?

ローズマリーなどハーブ類

ローズマリーなどハーブ類はよく使われている。フレッシュ、乾燥、粉末にした物など種類が非常に多く、専門店がある。オーブン焼き、煮込み、ハーブティーなど用途は広い。

ニンニク

ニンニクは地域により多少種類が異なるが、重要な香味野菜。

じゃがいも
エシャロット

エシャロット

人参

ヨーロッパで作られている人参は殆どこのナンテス型で小型。
千切りしてサラダや湯通しして食べるが、甘みがあって食味は良い。

果実店

【果実店】

1個か計り売り。
今の時期は収穫の秋でを迎えた南アフリカ産が多い。
マンゴはとても美味しく、デザートとして良く食べられている。

果実類は最もグローバル化が進んでいる農産物で、嗜好の差はあるが、先進国は何処も同じ様な種類が並んでいる。
主要な果実は大量生産した工業製品と同じで世界を駆け巡る。

果実1 果実2 果実4 果実5 果実6 果実7 果実8 果実9
イチゴ

イチゴは糖度と酸味バランスが良く、美味しい。
デザートによく使われる人気果実。

オリーブの果実

オリーブの果実(塩、酢漬け)はフランス料理に欠かせない。

花屋

【花屋】

商品が未入荷で撮影できないため、マダムの笑顔で・・・
マルシェの人達はみなさん愛想が良く、仲良しだ。

肉店1 肉店2

【肉店】

豚、鶏、牛、羊などがある。生肉よりもサラミ、ソーセージ、生ハム、コンビーフなどの加工品が多い。
日本ではコンビーフと言えば缶詰だが、ここでは自家製のコンビーフ。試食させてくれたが実に美味しい!
自慢の商品らしい・・・

チーズ店1 チーズ店2

【チーズ店】

美味しいワインに美味しいチーズは最高!
フランス人からチーズを取り上げたら生活できない?
牛乳、山羊、水牛乳など各産地から集まった100種類位のチーズが並ぶ。

パン店1 パン店2 パン店3

【パン店】

フランスパン、ドライフルーツやチーズパン、クロワッサン、パイ、タルトなど流石にパン文化の国だ。

10数年前からフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリアなどEU各都市のマルシェ(朝市)を訪ねてきた。イタリアやスペインなどの地方都市はともかく、主要都市で売られ日常的に食べられている農産物はグローバル化、共通化が進んでいる。日本でも既に海外の農産物がブランド品を含めて多数上陸し、手軽に買える。日本ほど多様な食文化を持つ国は世界でも珍しいかも知れない。
今回は市民が気軽に日常の買い物をするマルシェを訪ねたが、パリには高級スーパーが沢山あり、また「ベルサイユ宮殿」近くにある旧貴族が暮らす街には、格別高級な食材が揃う市場があり、この記事は以前に少し書いた。
次回はこの格別高級な食材を作り、売る店を訪ねてみたい。

夏秋野菜の見通し(消費地編)

北海道の量販関係者は、道内消費はどん底が続いているから、これ以上は落ちないだろうと自嘲気味に語る。昨年の高値から単価はそこそこで維持しているから今の所、売り上げは目標には届いていないがそれ程悪くはないようだ。夏秋野菜の道外出荷は、産地、消費地共に変動要因が大きすぎて、その時でないと見積書が書けないという。

東京の販売関係者Sさんは「放射性物質」問題が重荷で、先行きは読めない。様子を見ながら商売してゆくしかないと言う。特に関東圏の野菜産地に再び基準値以上の「放射能検出」ニュースが流れたら・・・と警戒する。

近所の量販店は年金支給日、給料日後を除けば相変わらず、活気がない。一方、駅構内で地場野菜を中心に販売している青果会社は「毎日お買い得」で繁盛している。地元産が中心だから鮮度も良い。葉物、果菜類、果実類が店に山積みになっている。小規模こだわりは、店舗、引き売り、宅配も増え、競争が激しくなってきた。「売れない」環境でどう売るか・・・あの手この手の模索が続いている。

 

自動車産業(トヨタ)回復で中京圏は以前の活気を取り戻しつつある。名古屋駅前のグルメ街はサラリーマン客で繁盛している。この一角はB級グルメ街と呼ぶ人もいるが、安くて美味しい店が多い。

量販店は相変わらず、熾烈な価格競争の実態は変わっていない。何処でこんなに安く仕入れるのかと思う野菜が特売で並ぶ。渥美、知多、岐阜、長野など周辺には産地が多い。東京、大阪で余った野菜が名古屋に集まり、処分されるという裏話もあるが市場価格は確かに安い様だ。市場買いで相場の安い時の「安売り」は理解できるが、生産者と値決め契約している競合店は厳しい。担当者の話では、トマトの様に味で差別化できる商品も売価を下げて売る。競合店がそれ以上安くても味が良いことを知っているお客様は、喜んで買ってくれるから売れ残らない。青果はロスを出さないことが鉄則と言い、この方針は曲げていない。

 

JAS有機野菜など「安全、美味しい」がコンセプトの店舗責任者は、この所の不況で「安心、安全」は神通力が後退、客足が2割落ちたと言う。通常量販店でも安全イメージの看板として有機野菜を置く店が増え、専門店は有機にプラスする別のコンセプトが求められている。プラスキーワードはこの店にしか売っていないオリジナル商品。毎回チョビチョビではなく、1回にまとめて買って頂く割安提案が売り上げを伸ばしていると言う。箱売りのフルーツトマトなどは可能性がある?

 

都内でホテルや高級レストランに野菜を卸している業者は、6月に入って4月、5月の最悪期は脱したと話す。都心の高級レストランは(金)(土)の週末は忙しいが、ウィークデーは厳しい。病み上がり、まだ本調子ではない。

 

博多で8年ぶりにお会いした業者に最近の傾向を聞いてみた。

「状況は8年前とは様変わりしています。当時はシェフ達が、美味しくて珍しい物があったら何でも紹介して下さいという時代でした。実際、高価な食材でも使ってくれました。ところが今は、経営権が外資に移ったホテルが増え、殆どが見積もりです。品質はあまり関係なく価格優先です。トマトは普通のトマトでOKという感じですね・・・。全部のホテルとは言いませんが、メニュー単価から食材単価が決まり、徹底的に詰められますから厳しいです。もっとも、最近の宿泊客は街で夕食を楽しむことが定着していますから、朝食用か結婚式や会合などの需要がメインです。ホテルと言っても提供単価が高く設定できませんからお互いに大変です。和食は見積なしで食材にこだわる料理人が多いのでまだ張り合いはあります。博多は屋台文化の街ですが、屋台が規制され家賃の安い路地裏?でイタリアンやフレンチ、スペイン料理店などが増えています。彼らはコストよりも料理人のプライドにかけて食材にこだわるから、付き合うのが楽しいですよ」

小生は博多の路地裏?レストランのファンで、九州の帰りに必ず博多に立ち寄る。前回は和食、前々回はスペイン料理。ビックリするレベルの高さと勘定の安さは食を大切にする「博多っ子」の心意気が支えている。

 

夏秋野菜の見通し(産地編)

来週はもう夏至である。

ハウス夏秋果菜産地は収穫が始まる。春先の低温、日照不足で生育が遅れ、原発事故による東北産地の供給減観測で、北海道や本州高冷地産地は、被災地農家の心情を思いながらも期待感は強い。原発事故の影響は未だ見通しが立たず、放射性物質の汚染拡大によっては供給不安定を予測する向きもある。一方、販売関係者は産地状況と、野菜全体の消費減を睨みながら今夏は全く見通しがつかないと頭を抱える。

5月下旬から北海道~九州産地と消費地を歩いてきたので、現地で聞いた話を書く。

 

(トマト)

北海道は昨年の希に見る異常高温とゲリラ豪雨で収量は散々な結果であった。高温のため、着果数が少なく、糖度も乗らず、お盆を過ぎた頃、急に草勢が落ちて2030%減収した産地も多い。特に長期多段収穫の産地は大幅減収となった。その中で太平洋、日本海沿岸の抑制産地は、収量減も限定的で、後半の高値で潤った。ミニトマトでは反収500600万円の産地も出た。

 

2011年作の夏秋トマト作付け面積は、災害地周辺県は把握できないが、全般的に大きな変化はない。生産者の高齢化や労働力減少で限界に来ている産地が多い。異常気象多発でお金が取れず、全国的に増反意欲は無い。

栽培と販売環境変化で大玉トマトは品種の変化が起きている。安定出荷、収量重視か糖度、食味重視か・・・産地の品種選択は二極化している。ブランド産地、北海道平取町(供選)は「桃太郎」「ハウス桃太郎」「桃太郎エイト」最近では葉カビ抵抗性の「ギフト」が増えた。桃太郎系は変わらない。長沼など空知も「CFファイト」「ファイト」で変化はない。JA担当者は桃太郎系統が作り慣れているし、食味的に他の品種には変えられないと言う。変化が出ているのは平取を除いた太平洋、日本海沿岸の抑主力制産地。むかわ町は今年は安定して収量の取れる「りんか」が8割を占め、函館周辺、知内町も「りんか」が増えている。ただ、地熱利用で周年栽培の森町は、促成CFファイト、抑制は「れいよう」が適しているという。日本海側の余市は「麗夏」、仁木では「マイロック」など個選グループがある。作り慣れた「桃太郎系」の生産者も健在で、「麗夏」に変えてみたが「桃太郎系」と管理が異なるので作り辛いと元に戻した農家もいる。「麗夏」を作っている出荷組合は、土作りで草勢をキチンと管理し、少し色目を付けて出荷すれば高糖度、良食味で収量、歩留まりが格段に良いと話す。固い品種なので量販店にも歓迎されていると胸を張る。奈井江を中心に高糖度フルーツトマトを作るグループは「T-93」が主力。仁木、ニセコでは昨年から「贅沢」に取り組み、今年は2㌶植え付けた。名前の珍しさもあって引き合いは強いという。青森県(日本海側)では従来の「エイト」から約半分が「ギフト」に変わった。出荷先のリクエストと作り慣れている「桃太郎系」は変わらない。

関東高冷地(供選)は伝統的に「ハウス桃太郎」「エイト」の産地が多いが、量販店のオリジナル商品として「昔味トマト」や関東を拠点とする中堅種苗会社の品種も作られている。出荷量日本一を誇る岐阜県飛騨、高山(供選)の「エイト」は未だ健在である。一部地域では黄化葉巻対策品種が試作されていろ。当地は冷涼が特長であったが、近年、高温化が進み、従来の「エイト」では安定生産が厳しくなってきたと指摘する人もいる。黄化葉巻感染リスクが高まっておりも品種の転換期に差し掛かっている。将来的には食味を犠牲にしても安定生産が可能な「もえか」「りんか」系も選択肢としている生産者もいる。

各地で「りんか」系トマトが増えている背景には、夏の高温期でも比較的作りやすく、秀品率、収量が高い点にある。品種評価は消費者、流通、生産者みら三者の視点で決まるが、それぞれ大きな変化が起きている。

消費者は「食味優先」か「価格優先」の二極化だが、一般的には収入減で「価格優先」傾向が強まっている。この傾向に連動して流通も「価格と安定供給優先」が進み、生産者もそれに対応して、「組織化か大規模化で収量優先」が進む。

「食味」の基準も購買層世代の交代で、中高年と若年世代では「糖度」「酸度」「食感」(肉質)「うま味」(アミノ酸)「機能性成分」など価値観の捉え方が変わってきた。味が薄くてもサラダドレッシングをかけて食べるから安ければ構わないと言う消費者も増えている。料理が苦手だからゼリー質の多い柔らかいトマトは敬遠する主婦層も増えた。反対に子供の頃、かぶりついて食べたトマトの味が脳裏に残る中高年層は、固くて味の薄いトマトは?と言う。

味に煩い売り場を持つ伝統的ブランド産地は従来の「食べ慣れた食味」にこだわり、新興産地は作り易く日持ちの良い品種で収量を上げ、安定収益を目指す。中小個選産地は品種の他、土作りや水切りなど栽培管理を工夫して「高糖度、良食味」で高付加価値を追究し、独自の販路を開拓している。

ミニトマトでは、ブランド産地仁木は「キャロルセブン」を軸に「キャロルテン」「アイコ」、余市は「アイコ」「トマトベリー」、空知、富良野は「ちか」「008」「アイコ」、静内は「キャロルテン」が主軸。高温化対策として抑制は「054」を試験している。・・・異常高温下でも品質、収量共に他品種より安定していてのが「アイコ」。今年は他の品種から乗り換えた生産者が増えた。

34年前から独自の形状と高糖度で注目されていた「トマトベリー」は、通期で安定した糖度維持が難しい。飛び付いた生産者の多くが脱落した。契約や直売など小面積生産者は健在。余市のHさんは草勢管理と摘果で通期で糖度12度を保ち、今年もハウス4棟(約1反歩)栽培している。手間はかかるがキチンと管理すればこのミニトマト一番糖度が乗り美味しいという。

 

(メロン、スイカ)

ギフト需要中心の北海道メロンは、震災ショック懸念で、今の所盛り上がりを欠いている。指標となる夕張メロンの初競りご祝儀価格が昨年の2玉入り150万円から100万円にガウンした。スタートは順調だったが、日照不足で花芽形成が不良の時期があり、現在は小玉傾向という。相場は例年並みで、生産者はホッとしている。主要産地の作付面積は微減と推定されている。スイカメロンは、需要が縮小傾向で、面積が拡大する要素は無い。大幅に縮小する気配も今の所見当たらない。夕張メロン大手生産者Kさんは、品質の良いメロンが出せればまだまだ将来は明るいと意気込んでいる。青森県日本海側産地も大きな変化はない。

 

(露地野菜)

昨年は希に見る不作で価格は異常に高かったが、作付面積は増える状況には無い。中小生産者が現状維持か面積縮小に向かい、大規模生産者が増反の傾向が続いてきたが、天候リスク増大で潮目に来ている。十勝の大規模生産者は所得保障の恩恵を受け、野菜を作るチャンスが来ている。従来の馬鈴薯、小麦、ビート、豆類の畑作4品を軸に、スイートコーン、キャベツ、大根、人参、南瓜、ブロッコリー、牛蒡、長いも、長ネギなど大規模化している。

南瓜は栗系品種への転換が進んで来たが、今年から変化の兆しが出ている。数年続いている異常気象で着果性に劣る栗系品種が大幅に収量を落とし、敬遠され始めた。最低でも反収2トンが計算できる「えびす」が見直されている。収量の上がる「えびす」が低価格指向の消費者、量販店ニーズにマッチしている様だ。

玉葱、馬鈴薯は植え付けが大幅に遅れた。出始めは高値が予想されたが、6月に入って気温が上がり、生育遅れを取り戻している。貯蔵産地はまだこれからで、見通しは立たない。種芋不足で面積減が囁かれていたが、これからの天候次第だ。玉葱の作付けは大幅な変化は無い。

 

昨年の品不足と震災の影響を受けて、市場や業者、量販店関係者が例年になく産地回りし、数量確保に動いている。業務用や冷凍野菜、缶茶葉生産などで安定経営基盤を築いた九州の農業法人A社は、露地野菜を増やし、注文増に備えている。大規模生産者はタネや肥料、農薬などの資材費が中小生産者と比べて安く、出荷ロットも大きいので業務用向けも対応可能で、安値リスクに強い。

 

 

中国河南省「農業と食」見聞録 (6)将来に向けて・・・

IMG_0602.JPGのサムネール画像(画像)世界遺産:少林寺

中国と一口に言っても広大な国土、多様な気候、多民族、世界最大14億の人口、社会主義と資本主義の同居、所得格差・・・・巨大すぎてどれが本当の中国なのか掴みつらい。今回訪ねた河南省は中国の主要民族、漢民族が殆どで、歴史的、文化的にも代表的な中国と言って良い。

中国と日本は近代~現在に至るまで日中戦争を経て数々の摩擦が続いてきた。経済的に相互互恵関係にあるとは言え、一般的に日本人が中国人に抱くイメージは厳しく、警戒感は消えない。特に競争力の弱い農業や中小企業の多い地方は、この傾向が強い。

 

ところが、この半年間に起きた事件で、事態は急変した。ハイテク産業から農業、中小企業、観光、運輸業、小売業・・・気が付けば今や中国を抜きにしては語れない、いや大袈裟に言えば、成り立たない業種が出てきた。尖閣問題以降、ハイテク産業に欠かせないレアアースの大幅輸出削減、中国人観光客が激減、どんなに努力しても、物やお客さんが来なければ経営が成り立たない。農業も中国人労働者が来てくれなければ縮小せざるを得ない生産者もいる・・・日本で生産している電子部品が無ければ中国の多くの自動車は完成しない。経済はもう国境を越え、少なくともアジア地域はEU経済圏と同様に、相互依存関係が深化、拡大しているのである。

日本とは政治体制も文化も異なる中国に、違和感を持つのは仕方がない。お互い様である。しかし、歴史的にこれ程、結びつきの深い国は他に無い。漢字文化を共有し、宗教、思想、文学、技術面でも大きな影響を受けてきた。本来は最も相互理解しやすい関係にある。貿易相手国として世界最大となり、もうお互いに切っても切れない関係となっている。今回の事件でこのことが証明された。

 

河南省の方々とお会いし、一緒に酒を飲み、食べ、語り、彼らの本質が少し理解できた。彼らは、地方都市の2030歳後半の若手だが、40年くらい前の日本人と共通した点がある。上昇社会が故、将来に希望を持ち、意欲に溢れている。努力すればリターンがある。以前描いていた社会主義のイメージはここには無い。指導的な立場にある方々も日本と比べて格段に若い。歓迎会に出席して頂いた知事さんは38歳だという。

反日デモなどの映像を見て「中国は反日的」、「危ない」と思う日本人も多いが、14億人の中にはその類の人達も確かにいる。内陸、山岳農村部では日本がどういう国なのか知らない人達も多いと思う。しかし、親日家も多く、日本人を尊敬し、日本に憧れている人も多い。特に若者達は「日本に行ってみたい」と話す。私は10回近く中国を訪ねているが、「反日」で嫌な思いをしたことは一度もない。確かに政治的場面では、それぞれ国内事情、国益を抱えているから、いつも仲良しと言うわけにいかない。中国は人権、言論の自由、格差問題、一部役人の腐敗など国民の不満が溜まりやすい。ガス抜きの目的で、外交は厳しい対応する場面が多い。これは中国に限らず、世界共通だ。

 

「賄賂社会」というイメージも抜けない。確かにその類の話しはよく耳にする。何処までが賄賂なのかは解らないが、歴史的に権力者に「貢ぎ物」を差し出し、便宜を図ってもらう図式は何処にでも存在する。日本では「心付け」「餞別」「歳暮」「中元」などお礼の習慣がある。お礼の習慣がエスカレートして、裁量権を持つ人が暗に要求する「賄賂」に変質した。日本では贈収賄事件は、次第に法規制が厳しくなり減った。民間企業では「コンプライアンス」(法令遵守)が浸透し、地位を利用した取引は影を潜めた。しかし、未だに無くならないのは人間の性であり、ある程度は仕方がない。ネット社会になり内部告発などで支配層の不正が暴かれ、アジアや中東、アフリカでは政権打倒、民主化運動が相次いでいる。中国は国際機関に加盟し「国際標準」つまり「法治社会」を目指し、次第に改革が進んでいる。悪質な贈収賄事件では極刑もある。ただ、何千年も続いてきた伝統、文化の人治社会が短期間で変わることはない。日本でも以前は「人治社会」特有の縁故入学や縁故就職が半ば公然と行われていたが、今はあまり聞かない。

 

身内や友人、知人、お隣さんを大切にする「義理、人情」は、日本人の美徳でもあったが、次第に希薄になってきた。明治以来、西洋から民主主義、議会政治を学び、更に敗戦後、個人主義、男女平等、公平。バブル崩壊後は情報開示、透明性など「法治社会」に移行してきた。既にほぼ世界標準に到達した日本人が義理、人情の影が残る「人治社会」に違和感を持つのは不思議では無い。中国は改革解放を始めてまだ30年位である。急激な経済発展で、各所に歪みが起きていることは確かだが、日本と同様に試行錯誤しながら世界標準になって行くだろう。そう捉えれば、いちいち目くじら立てて批判することはない。隣人として相互理解を深めて行く事が大切である。

 

彼らと政治の話しもした。国民の大多数は、政治体制に不満を持ちながらも、経済的に豊かになったことを実感していると言う。経済的に失敗したと言われる毛沢東時代より遙かに豊かになった改革、解放路線が支持されているのは当然である。米国基準で言えば、言論や政治システムに問題があると指摘されるが中国の実情から考えれば、米国基準だけでは安定した国運営が出来ないことも確かだ。政治への不満は何時の時代にも、何処の国にもある。地球上20数%の人間が住む国を一つの政府がコントロールするのは、有史以来初めてである。

他国のことを批判するのは簡単だが、少子高齢化、国民生活の質低下、財政悪化、競争力低下、政治不信、打つ手が限られる日本の将来をもっと真剣に考えたい。

中国とはじっくり本質を見極めながら、相互に補完し、発展できる関係を作らねばならない。

 

震災前までは日本からアジア向けに高品質農産物を輸出し、国内農業を元気にする道筋を立てていた。しかし、原発事故でその筋書きは崩れた。原発事故は当分終息する見込みは無い。

従来通り内需に頼れば、デフレトレンドを睨みながら、下降社会への道を歩まねばならない。震災復興費の発生で農家所得保障の先行きは怪しい。子供手当も国民の反対論が根強く、子育て世帯の家計は厳しい。増え続ける高齢者が頼みの綱としている年金は、支給額が減少傾向で、先行きは心細い。

もうここまで来たら、農業もアジア圏の成長に相乗りする以外になさそうだ。アジア圏で、最も速効的、インパクトのある国はやはり中国である。今回レポートした様に、世界経済ショックを乗り越えて成長が続いている。バブルと言われ続けながらまだまだ、消費(内需)の懐は深い。主力のモノ作りは世界経済の影響を受けやすいが、人件費が上がっているとは言え、既に将来は南アジアに生産移転を睨み、したたかに先手を打っている。活力、競争力は健在である。

 

問題は、足元の日本だ。

高度成長、バブル期を経験し、GDP世界2位という過去の栄光と驕りから抜け出せない。得意だった産業は敗退が続いている。異論は多いだろうが農業も他の産業と同様に、グローバル化を進め、需要の伸びるアジア圏に将来の成長を見いだす時期に来ている。

日本がリーダーシップを取って、資金、優秀な技術と人材を投入し、アジア圏で農業再構築を図らねばならない。既に中国を始め、アジア圏には日系量販店やコンビニ、外食関連企業が続々進出し、販売インフラは拡大している。農業資材、機材関連企業も既に進出している。残るは農業人(ソフト)の進出である。

 

農業を海外で展開するには、どの様な問題があるかは現地で走りながら検証し、解決して行かねばならない。日本の産業競争力が落ちたのは、「内籠もり」(島国根性)、「腰の重い体質」が原因と指摘されている。世界競争では先ず、機先を制し、すべての条件を探り組み立てることが重要である。リタイヤした中高年層にはマネイジメントを含めて優秀な人材が多く、出番はある。若人もアジアで活躍できるようになりたい。

今秋から、今回訪ねた河南省、同様の条件下にある遼寧省などの企業と連携し、イチゴやミニトマトの高品質栽培実証試験に取り組む。これらの地域は土壌、気候、水利に恵まれ、経済発展で高品質品の消費が増える。日本企業の滞在者が増えており、日本文化への関心も高まるだろう。具体策はこれから詰めるが、中国国内、香港、台湾などが販売ターゲット。決して簡単ではないが、将来の方向性として今から取り組まなければならない。

 

国内農業は、トレンドとして農家戸数も需要も減る。流通の統合が進み、更にコストダウンが求められる。安易、過剰な投資を避け、現行モデルの改善とフットワーク軽さで収益向上を図りたい。組織に入り、力を合わせて安定供給で勝負するか、自らオリジナルの農業を切り開いて世に問うか・・・二者択一である。

 

中国河南省「農業と食」見聞録(5) 豊かな食文化

中国人はどの地域に行ってもよく飲み、よく食べ、食事を大切にしている。
一口に中華料理と言っても、地域により独自の料理がある。分類の仕方は色々あるが。日本では、西は四川、北は北京、東は上海、南は広東料理と分類するのが解りやすい。河南省は歴史上、都が置かれた都市が多い。中でも鄭州は東西南北に通じる交通の要衝であった。四川、北京、山東、上海(浙江省)など周辺地域からの往来が盛んで、多様な食文化が融合して、独自の河南料理が生まれた。

河南料理

【魚料理】

内陸のため、魚は地元産(黄河水系)川魚が多く新鮮。丸ごと油で揚げた料理はご馳走品。頭部を招待客に向けて出し、みんなで小皿に取って食べる。魚の名前は馴染みが無いので覚えていないが、蛙料理もあった。ウナギ料理は好んで食べられている。

 

【肉料理】

豚肉が多く、羊、山羊、鳩、鶏、最近は高価な牛肉も比較的気軽に食べられている。冷凍品が少ないので臭みがなく、おいしい。
夕食会に招待して頂いたR社長の兄上が、洛陽最高の山羊肉を買って来てくれた。沖縄の山羊汁を想像して「やばい!」と思ったが、全く臭みがなく、非常に美味しく、あっと言う間にテーブルから消えた。。山羊は種類が多いらしく、新疆ウイグル自治区の草原にいる羊に近い種類だと言う。
世界遺産「少林寺」のある街に山羊鍋に麺を入れて食べる名物料理がある。恐る恐る食べ始めたが、美味しくて軽く食べ切った。肉や具野菜が新鮮で、麺も美味しい。スープにコクがあり、辛かったが山羊の臭みは全く感じられない。

【大豆料理】

何処に行っても出てくるのが大豆料理。湯葉料理は種類が多く、河南料理の代表的なメニュー。日本の湯葉より少しキメが荒い感じがするが、豆の品質が良いのでどこで食べてもハズレは無い。湯葉巻や揚げ物が多い。
豆腐は麻婆豆腐をはじめ、料理の種類が多い。豆腐自体が固く、内容が濃くて美味しい。

【野菜料理】

野菜料理は豊富にある。葉菜類は青梗菜をはじめ、香菜、ほうれん草など各種青菜類、ニラ、白菜、レタス、もやし、長ネギ・・・種類が多い。果菜類は胡瓜、トマト、茄子、ピーマン、パプリカ、南瓜・・・日本とあまり変わらない。今は鹿児島周辺でしか食べられない「ヘチマ料理」は目を引く。加熱調理が中心の中国だが、生野菜も随分、食べられるようになってきた。日系企業のコンビニやレストランチェーン、居酒屋などの進出、訪日観光客の増加などが、中国食文化のグローバル化を後押ししている様だ。

【主食】

米と小麦だが、トウモロコシや雑穀も併用して食べている。米は白飯より炒飯や粥で食べるが、何処で食べても美味しい。ホテルの朝食は数種類以上の粥が用意されており、稗や粟など雑穀を混ぜて炊いた粥が美味しい。雑穀は量販店でも多種類売られており、健康維持に好んで食べられている。同じホテルに7泊し、朝食に雑穀粥を食べていたが、髪の毛に艶が出て、少し黒くなってきた。帰国後、家人が気付き、鏡を見てビックリした。通訳のCさんにどの様な食材が使われていたのかホテルに問い合わせてもらった。特別な材料は使っていないという回答であったが、毎日食べていた河南料理自体に血行をよくする薬膳的な食材が使われていたのかも知れない。
中国では髪の毛は「血余」と呼び、全身を巡って最後に余った血液が髪の毛に使われると考えられている。育毛剤でも効果が出てくるのは少なくとも3週間くらいかかると思うが、僅か1週間で目に見える効果があったのは注目に値する。
日本でも「長命食」など雑穀類や昆布を組み合わせた健康維持食品が売られている。「長命食」については自分で実験したが、黒髪効果は素晴らしい。

【味付け】

薬膳的な調味食材を用い、多くの料理は画像の様に茶褐色系が多く、日本の中華料理のイメージとは異なる。説明不能だが河南料理独特の風味がある。唐辛子を多用した辛い料理も多いが、北京料理のように油っぽさはない。中華料理と言っても馴染みの薄い味付けだが、私には違和感はなかった。

【酒】

中国の宴席は「乾杯」の繰り返しで、アルコールに弱い日本人が閉口したという話しは多い。実際に中国人は底抜けの酒好きである。最初から「酒は医者から止められている・・・」とはっきり宣言しないと大変なことになる。しかし、ここは中国。遠来の客は「友人」として盛大にもてなすことが伝統。多少無理をしても、これに応えないわけにはいかない。
河南省で飲まれている酒は、主に「白酒」でアルコール分は40度を超す。これをグラスに注いで「乾杯」して飲み干すのが礼儀。現在は半分くらい残しても良いルールになったと言うがそれにしても度々の乾杯は恐ろしい。スタートはビールで誤魔化していたが、段々盛り上がってくると相手に合わせて勝負に出なければ本当の友人になれない?・・・。白酒よりアルコール分の低い「紹興酒」(18度位)で勘弁してもらおうと聞いたら、ここではあまり飲まれていないらしく用意が無いという。しかし、いつの間にか瓶入りの紹興酒がどっさり用意され、30cmもある大きなドンブリ鉢に、ぬる燗を付けてテーブルに置かれた。酒飲みゲームの始まりである。
先ず、勝負する二人がグラスに並々酒を注ぎ、互いに見せ合う。「中国式ジャンケン」(出すと同時に二人の合計数を言い、当てた方が勝ち)があちこちで始まった。本来は負けた方はグラスを飲み干さねばなければならないが今夜は半分ルール。
途中で日本ではどんな遊びがあるのかと聞かれ、高知の「はしけん」を紹介した。後半は日本ルールで大いに盛り上がった。小生は15回戦までと区切って遊んだが、10勝5敗で切り抜けた。
日本もバブル景気華やかな頃、「○○盛り」や「△△△酒」など今思えばえげつないお座敷遊びが流行った。中国にも伝搬したらしいが、間もなく当局に禁止されたという。兎に角、中国人のエネルギーが盛り場にも溢れている。

巨大レストラン

【巨大レストラン】

宴会好きの中国には、会議や結婚式で大勢の招待客に対応できる巨大なレストランがある。
この庭園レストランは、鉄パイプ構造、太陽光線の通る屋根で覆われ、建物内で植物が育つ環境に設計されている。
建物全体が巨大な植物園と言って良い。

巨大レストラン広い通路

内部は広い通路を挟んで、すべて観葉植物で仕切られた個室になっている。

巨大レストラン個室

個室のテーブルには花が飾られ、専用トイレが付いている。他室の客と顔を合わすことなく、ゆっくり食事が楽しめる。部屋数はざっと100室位はある。

巨大レストラン厨房と客室を結ぶ廊下

厨房は客室から50m位離れた巨大専用棟が2棟ある。画像は厨房と客室を結ぶ廊下でここを通って客室に運ばれる。

巨大レストラン,スケート靴を履いたスタッフ

厨房で作られた料理は、冷めないよう直ちに配膳車に載せられ、スケート靴を履いたスタッフによって、フルスピードで客室に運ばれる。
「サービス」が劣る」と言われていた中国だが、すでにここまで進化している。
但し、このサービスは日本人には馴染まないエンターテイメント=米国流だと思うが・・・

中国茶館

【中国茶館】

中国には珈琲はあるが日本人のように日常的には飲まない。伝統的にお茶文化で、お喋りしたり、静かに一服する場所として中国茶館がある。
個室が主流で、料金は高いがゆっくり静けさと中国茶が楽しめる。

中国茶館専任スタッフ

中国国内、台湾の厳選された銘茶が揃っていて、専任スタッフが伝統作法に則って、入れてくれる。
お腹が空いたら別階で、軽い河南料理が楽しめる。こういう場所でのんびり時を過ごすのも悪くはない・・・
古都にはよき文化を楽しむ場所がある。

【イタリアンレストラン】

本場の味と言うよりも中国人の味覚に合うようにアレンジしてある。中国人は食にこだわるので、チャイナ風イタリアンも結構いける。

【量販店】

都市開発が進んで庶民の買い物市場が閉鎖され、日常の買い物は量販店に移っている。店内は撮影禁止だから画像は無い。
住宅街近くにある台湾資本の量販店を覗いて見た。ハンバーガーなどファーストフード店がテナントに入っているのは日本と変わらない。売り場の規模と商品の種類、量の豊富さは、様変わりしている。バラ売りが多く、高級品から低価格品まで幅広い品揃えをしている。遠くの産地から運ばれてくる野菜も多く、日本と同様に旬が薄れてきた。価格は十年前と比べて随分高くなってきた。じわじわインフレが進行していることが窺える。
中国人がよく通う足マッサージも、80元=1.200円になり、10年で2倍近くになっている。

中国河南省「農業と食」見聞録(4)  活気ある農関連業界

農業資材展示会1

【展示会】

農業が上昇トレンドを続ける中、それを支える資材業界も活気がある。日本も成長期には、各地で農業資材や農機具展示会が盛んに開かれていたが、近頃は、めっきり数が減った。
たまたま、鄭州市内で定期的に開かれている肥料展示会があるというので出掛けてみた。
広大なイベント会場には屋内、野外を含めて数百社のブースがあり、見学者で大変な賑わいであった。
ざっと見た所、化成複合か発酵鶏糞入り有機化成が多い。日本企業と製造や販売提携している会社もあり、売り込みは熱を帯びていた。

農業資材展示会2

会場では爆竹が鳴らされ、ブラスバンドが派手にドンチャン、ドンチャン。次から次へと民族衣装をまとったモデルさん達が登場し、各社のプラカードを持って練り歩いていた。
中国は派手なイベント大好き民族。展示会=お祭といった雰囲気で、「国の勢い」を象徴していた。

農業資材街

【農業資材街】

郊外には大通りを挟んで農業資材専門店が立ち並ぶ地区がある。ここに来れば農業に必要な資材や情報が手に入る。
日本は殆ど総合店化しているが、ここは肥料、農薬(葉面散布材を含む)、種苗、ハウス資材等専門店化している。

肥料店

【肥料店】

複合肥料を中心に多種類の肥料が積まれている。売れ筋は化成複合肥料(15-15-15)。
単肥は尿素、硫安、硝安、過石、硫酸加里など日本でもお馴染みの肥料が売られている。参考に尿素の店頭販売価格を聞いたが、50kg入りで1.500円(30円/kg)

有機20%の有機化成肥料

ハウス用では有機20%の有機化成(15-15-10)が売れ筋という。
店頭価格は40kg入り約1.800円(45円/kg)
日本基準で考えると上記保証成分で有機質20%は難しい。有機表示基準が異なると思うので内容について聞いてみたが明確な回答は得られなかった。農民は今の所、このクラスで満足しているのだろう。

農薬店

【農薬店】

農薬、潅水、葉面散布材など固形肥料以外の資材を販売している。
葉面散布材の種類は多く、次から次へと新製品が登場、商品寿命は短いようだ。
農民は目に見える効果が確認出来れば使い続けるが、良く解らない場合はクレームが付く場合があると言う。効果が出るかどうかは色々な条件が絡むので気軽に奨められないという。
義理人情社会だから、クレームが付けば将来の取引を考えて、説明に納得が得られない時は返品、返金に応じるのが商習慣という。
一般農民は基本的な土作りよりも、楽でコストの安い「魔法?の葉面散布剤」を求めているのは日本とあまり変わらない。

葉面散布材

画像は葉面散布材の売れ筋商品。
国内、海外を問わず、この分野への参入はにぎやかだ。目を引いたのはEU(特にドイツ)製品。合弁企業が現地の状況に合わせてきめ細かく対応している。
ハウス栽培では殆どが背負い式の手動噴霧器で、15㍑タンクに対応した原液を小分け包装している。いわゆる「バカチョン式」で濃度など計算しなくても誰でも散布できる。

種苗店

【種苗店】

この店は家族経営で、昔の日本の種屋さんと同じ雰囲気。タネ以外の商品は置いていない。
信用第一の商売にふさわしい、いかにも人柄の良さそうなご夫婦が、丁寧に対応してくれた。

種苗店胡瓜

この店の売れ筋商品は胡瓜とサヤインゲン。
大産地で、播種シーズンになると莫大な数量が動くという。

中国河南省「農業と食」見聞録(3) 大規模化進むハウス園芸

河南省農業局の話しでは現在36万棟、0.2㌶平均で7.6万㌶(メロン、スイカを除く)の農業用ハウスがある。主に胡瓜、トマト類、ピーマン、青梗菜、イチゴ、花卉などが作られている。当地のハウスは10㌃あたり平均625.000円の設備費がかかる。国の支援策が手厚いため、急速に増えた。
沿海部の都市化によって農地が失われ、それを補う目的と、穀物中心の低所得農業から高付加価値農業への転換を目指して、ハウス栽培が盛んになった。バラバラに多種類の作物を作らず、日本の指定産地事業の様に特定品目大産地政策が進んでいる。
この地域は大規模な農業会社が多数立ち上がり、大きな変化を遂げている。その早さは、日本と比較すれ在来線と新幹線ほどの違いがある。農業会社を5社訪ねたが、いずれも周囲が麦畑で、従来の穀物農業からの転換であることが窺える。

ハウス

ハウスは単棟、連棟各種有る。標準的な面積は単棟1ムー(0.66反)で、何十棟も立ち並ぶ姿は壮観である。ハウス所有面積は1社あたり1.5~2.0㌶という。
育苗ハウスを除いて殆ど無加温。春先は夜間の冷え込みが厳しいので、保温対策は随所に工夫が見られる。
気温が下がる前に稻藁で編んだコモで屋根を覆い保温、朝方巻き上げる。大変手間がかかるので、最近は簡易巻き上げ機が普及し始めた。
コモの保温効果は大きく、3℃も違いがでると言う。
耐用年数は2年くらいで、使用後は堆肥になる。プラスチック保温シートもあるが、価格が高いのであまり普及していない。

ブロックや煉瓦、土壁

ハウスの北側は保温と畜熱のため、ブロックや煉瓦、土壁で作られ更に外側は分厚く土盛りしてある。
天井部と南面だけがビニールフィルムで覆われており、入り口も煉瓦やブロック壁で作られ、熱が逃げないように狭いトンネルから出入りする。保温には万全を期している。
この方式は河南省が発祥地だと言うが、山東省や浙江省など沿海部で早く普及してしまったと農業局F氏は苦笑していた。
広大な農地と豊かな労働力がある中国だから可能な省エネル策だが、これを見る度に日本ももっと省エネの工夫をすべきと思う。

物置兼作業小屋

各棟の出入り口毎に物置兼作業小屋が付いていて、昼食や休憩場所など多目的に使われている。日本とは異なり、住宅と遠く離れた場所に建てられているからだ。

竹製の補強材

鉄材が高価なためパイプは細く肉薄。強度を補うため内部は竹製の補強材で組み上げられている。
現状はまだ鉄材よりも竹や手間賃の方が安い。

ハウス天井

天井は竹竿などで解放でき、十分な換気が可能である。
必要に応じて圃場に太陽光線や雨水が当てられるのは好都合。

井戸

潅水はハウス脇に掘った井戸から汲み上げる。
この会社は人手があるのですべて手作業の様だ。

農場責任者Aさん

【農場責任者Aさんの話】

2月定植で6月頃まで胡瓜を作り、抑制トマトに植え替える。連作を避けるため、このパターンは維持している。胡瓜は天津胡瓜で、非常においしい。
中国で言う「無公害野菜」つまり日本の特別栽培に似た取り組みをしている。肥料は鶏糞堆肥と化成肥料の組み合わせ。農薬は殆ど使わない。
通常、反当換算で鶏糞堆肥20~30㎡、N-P-K化成成分量で10kg程度を元肥として使う。鶏糞堆肥は1㎡300円程度で手に入る。追肥は通期で20回位、葉面散布を行う。
収量は時期により異なるが、無加温のこのハウス(約50㌃)で2日に1回収穫で2000~2500kg/回程度という(反当換算400~500kg)
何処で聞いても病害虫は少ないという。日照量が多く、空気が乾燥している、連作を避け、施肥量が少ない、人手があるので日常的に病害虫予防目的の葉面散布(種類は多い)を行っているなどが理由として考えられる。

出荷時間

出荷時間になると農民達が軽トラックや荷車付きバイクに積んで集まってくる。
立派な出荷場が整備されている会社もあるが、この会社は露天で行っていた。降雨が少ないので、問題はない様だ。

段ボール箱が高価

段ボール箱が高価なので、日本の様に包装にコストをかけない。荒選してポリ袋に入れ、段ボール箱に満杯詰めし、ポリバンドで縛ってトラックに乗せ出荷する。
この会社はマカオの業者と契約しているようだ。季節により多少価格は変動するが、経営が成り立つ価格で取引されている。
余分なコストをかけない点は徹底している。

ハウスの一角に計量機

ハウスの一角に計量機があり、担当者が伝票を切っていた。日本の出荷組合のような雰囲気であるが、設備は質素である。
ここで日々の技術相談、情報交換が行われる。

トマト

【トマト】

トマトは中国でも人気が高く、消費が多い。大玉、ミニトマトが多く、ミニトマトはデザートとしても使われている。イタリア系の品種が多く、果肉は固い。一般的に日本の様に糖度は高くない。

■ハウス2.0㌶を経営しているH社長の話
①病害虫は・・・
胡瓜は気温の低い春~初夏に作るので、特別問題は無い。トマトはウィルス(黄化葉巻病)が発生して困っている。昨年は半分くらいが感染して、収量が激減した。ネットや捕虫テープで対応しているが効果は薄いね。これから収穫シーズンに入るが、心配だね・・・
②土壌病は・・・
今の所、心配ない。

③経営上の問題点は・・・
規模を拡大したら、以前のように儲からないね・・・(笑い)
販売価格は契約で安定しているが、資材費や人件費が上がっている。特に深刻なのは人件費の高騰。面積が多いので作業員を沢山雇用している。市内の建設ブームで人が集まらない。3年前は1日50元(750円)で来てくれたが、今は70元でも来ない。一般の建設労働者は100元以上が相場だから、うちもその位出さないと来ないね・・・。100元(1.500円)も払っていたら採算が採れないよ。
④対策は・・・
中国はインフレで毎年、資材費や人件費が上がって行くが、食べ物はスライドして上がらない。仕方ないから一般企業のように、合理化して生産性を上げるしかない。
肥料や葉面散布材などに投資して、確実に収益が上がる技術が欲しい。トマトでこんな病気が出ていては儲からないよね・・・(苦笑)
⑤他の作物は・・・
セルリ、長ネギ、青梗菜、ほうれん草などを作っている。セルリ、長ネギは移植。葉物はタネをバラ撒きして、大きくなった株を間引き収穫する。手間仕事で人件費に食われるから、大規模には出来ない。

イチゴ畑

【イチゴ】

人気商品で栽培意欲は強い。日本品種のような大玉、高糖度品種はまだ普及していない。現在栽培されている品種は、輸送や日持ちに重点を置いた四季成り系の固い品種が多い。
知人に依頼して大連(遼寧省)の市場に入荷しているイチゴを調べてもらった。最近、中国産品種でも日本種と交配したと思われる高品質大玉イチゴが出始めているという。(品種名は未確認)。
中国も所得が向上し、食の洋風化が進んでいるので、イチゴの需要は伸びそうだ。

イチゴ

現状は味も見栄えもまだ日本には及ばない。

ズッキーニ畑

【ズッキーニ】

まとまった産地はない。

ピーマン畑

【ピーマン】

ポピュラーな野菜で色々な種類が作られている。

花卉類

【花卉類】

中国人は花好きで、観葉植物を含めて、全国的に栽培されている。タイやベトナム方面からの輸入も多い。特にバラや胡蝶蘭に人気がある。
ここの会社では試作程度の規模。

ナツメドライフルーツ

【果樹類】

ナツメは河南省特産の果実で、ブランド品である。
通常、天日乾燥し、そのままドライフルーツとして食べる。
薬効成分があると言われ、薬膳料理や粥、菓子などにも使われている。
樹木は木工製品に使われている。

ナツメドライフルーツ

ナツメは少し長い丸果形で、独特の風味があり、甘酸っぱい味がする。

中国河南省「農業と食」見聞録(2) 穀物

今回訪問した河南省は黄河中流域にあり、黄河文明(約4.000年前)発祥の地で、中国最大の省人口約1億人を擁する。省都鄭州市は人口約340万人、近代的なオフィスビルや住宅群が林立する。製造工場は少ないが、伝統的な農業と最先端IIT産業が同居する。

鄭州市内

【鄭州市内】

都市部では日本の高度成長期に起きた現象が随所に見られる。農村部からの人口流入で住宅不足は深刻、高層住宅建設ラッシュが続いている。急速な車社会移行で、朝夕の交通渋滞は慢性的。緩和のため地下鉄整備が急ピッチで進んでいる。車を持てない庶民の足はバイクだが、大気汚染を防ぐため殆ど電動式で、日本より普及が進んでいる。
年間を通じて晴天が多いが、上空は青空でも周囲は画像の様にどんよりスモッグがかかっている。特に春先は黄砂の影響が加わり視界は終日悪い。
鄭州空港に降り立った時、「こんな空気の汚れた所によく住んでいるな~」と思った。思い起こせば数十年前の日本も、都心や工業地帯では珍しい光景ではなかった。昨年まで日本に留学していた通訳Cさんは、「日本のきれいな空気が懐しい・・・」と話していた。中国が本気で環境問題に取り組む理由の一つに、この大気汚染にある。

穀倉地帯

【穀倉地帯】

河南省は黄河が運んだ肥沃な土壌で、麦、トウモロコシ、大豆など畑作(4.80万㌶)の他、稲作が大規模に行われている。
肥沃なため施肥量は少なく、小麦を例にとると窒素成分量で反当換算3~4kg程度と言う。ただし、収穫後、トウモロコシを蒔いて輪作し、土壌管理は万全だ。反収は450~600kgと言うから日本と大差ない。日照量があり、内陸で寒暖差が大きいため品質は中国でも上位にランクされている。
レストランで出てくる蒸しパン、麺類、小麦粉を使った料理など味があっておいしい。
至る所に広大な農地が広がり、風害を避けるため道路脇に防風林が整備されている。5月末~6月に小麦を収穫し、後作にトウモロコシを蒔く。

稲作

【稲作】

米も河南省では重要な作物。黄河を挟んで鄭州の対岸側にブランド米産地がある。時期的に圃場は見られなかった。東北部の黒竜江省等ではジャポニカ米が栽培され、一部は業務米として日本にも輸出されている。
冷涼な気候のため、農薬散布量が少なく、食味が高い評価を受けている。「日本の米と食べ比べて下さい」とR社長が空港まで米を届けてくれた。帰国後、早速、炊いて試食してみた。粒形は短粒で日本の米に近いがインディカ米の血筋が混じるためか独特の香りがある。白飯のまま食べると違和感がある。食味は良いので食べ慣れれば美味しい。炒飯や粥にすれば、粘りが少ないので日本米で作るより美味しい。
足裏マッサージで出会ったスタッフの実家が、市内の稲作専業農家で、経営面積等を聞いたら約2㌶と答えた。

黄河の恵み

【黄河の恵み】

黄河は総延長5464km、世界第4位の大河で、その流域は豊かな農業を支えている。上流、中流域の黄土地帯から流れ込む大量の土砂が堆積し、画像の鄭州大橋付近は地上20数m上を流れている。いわゆる天井川で、両岸を結ぶ大橋は10kmの長さがある。

花園口公園

近くに歴史上重要な「花園口公園」がある。案内してくれたCさんから日中戦争当地に起きた事件話しを聞いた。
1938年、日本軍の進撃を食い止めるため当時の国民党政府が堤防を爆破し、その後の大雨で大洪水が起こった。十数万人が犠牲になり、広大な田畑が水没、生活の糧を失った農民は大変苦しんだ。その後も、大雨でしばしば洪水に見舞われたが1947年、修復が完了し、上流に大規模な三門峽ダムが完成、して洪水の心配はなくなった。一方、経済発展で下流域では農・工業用水の需要が急増し、水不足が起こる様になった。当地は井戸を掘れば豊富な地下水が湧き出るので、水不足の心配は殆ど無い。
上流域は主に黄土と石灰岩でカルシウム分が多く、土質、水質はアルカリ性である。

中国河南省「農業と食」見聞録(1) まえがき

残留農薬野菜や餃子、粉ミルク事件などトラブルが多発した中国産食品に対する関心は薄れつつある。しかし、中国産と表示されていると消費者は身構え、不信感は消えていない。中国ではこの事件を契機に更に消費者の安全性に対する関心が高まり、富裕層を中心に日本産を選択する動きが出ていた。このチャンスを逃がすまいと食や農業関連業界は成長が期待できる東アジア圏へ販路開拓に乗り出した。ところが、東日本大震災に端を発した原発事故で、事態は一変してしまった。中国農産物が経験した止め様にもない風評被害が日本の農産物に襲いかかった。工業製品まで「日本製は危険」として、放射能検査を要求される事態が続いている。
原子炉事故は、炉心溶融という最悪の事態に達し、まだ事故の全容把握と解決策の見通しが立たず、今後も尾を引くことが懸念される。

需要が縮小する国内農産物の成長戦略が「高品質、高安全性」とすれば、この事故を契機に再検討が迫られる。とりわけ需給面で大きなインパクトを与える巨大市場、中国の動向は要注目であり、実情把握が欠かせない。
3月下旬、中国河南省の農業資材会社から招請を受け、現地を訪ねた。
初めて訪中した1996年頃は、安価な農産物への関心が高まり、業務用を中心に開発輸入が盛んになっていた。当時、中国政府は外貨獲得と農民の所得向上を図るため積極的に輸出拡大政策を打ち、対日輸出も急増していた。この頃から日本農業への影響が懸念され始めた。しかし、輸入量が急増する過程で、中国側の生産管理体制整備が追いつかず、安全性に関するトラブルが続発、「餃子」「粉ミルク」事件で信用失墜はピークに達した。中国産食品は一気に市場を失い、国産回帰が始まった。しかし、国内農業は労働力不足、生産性向上の課題は未解決で、「農業研修制度」という名の外国人労働者受け入れが加速、農業法人化、新規企業参入促進政策が打たれた。
現状は未完成ながら所得保障など経営安定化政策が始まり、各地に農業会社が立ち上がり、集約化、大規模化が進んでいる。一方、資材高騰、消費減少、異常気象多発など不安要因も顕在化、微妙なバランスの中で経営が成り立っている。

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