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ブログ: 2011年2月

自由化でフランスはどう変わった?Dr.F農業大学院教授に聞く(3)

3. 二極化が進むフランスの農業経営スタイル

 

現在フランスに見られる農業経営には2つのタイプが見受けられます。

1つ目は近代型の生産量を重視した合理的、工業的な農業。テクノロジーの発展を基軸としたこの農業モデルは基本的にEUや世界の市場をターゲットにした生産を行っており、持続可能な農業発展などの課題に対しても技術的な解決策に委ねる傾向にあります。

基本的に生産効率は良いのですが国際的な市場価格変動に左右され出来高の良い年と悪い年の差が激しいのが難点です。近年ではこのような産業化した農業者達を基準に経営される農協が増えてきています。

 

2つ目は『百姓農業』と言われる小規模零細ながら、品質面で優れた農産物の生産を続けてきた、もしくは地域市場をターゲットとしてきた農家です。農作物の品質や食料の安全安心に対して関心が高まりつつある今日ではこのような近郊都市の消費者を対象とした流通ルート(AMAP、マルシェでの直売)を有効利用してきた生産者達の方が比較的安定した収入効率良く獲得できているという調査結果も出されています。彼らは常に消費者と直接接し、消費者の声に対して敏感に対応してきたということも強みの一つになっているようです。このような近郊農業の発展は新たな雇用機会の創出にも繋がるでしょう。

また市民農園やコミュニティガーデンの利用に対する需要の高まりや、これらを利用した地方自治体の緑地化政策の広まり等も近年の新たな動きとして注目されています。

 

一方では政府側も、AOCAOPBIO(有機農産物)やラベルルージュなど、産地や品質の高さと安全性を保障する認証マークを取得した農産物の生産や有機農家を目指す新規就農者の育成等の推奨を積極的に謳っています。しかし実際これらの動きに割り当てられた予算は需要側からみれば圧倒的に足りておりず、補助金制度等が新たに作られても政策的な制限が多く利用し辛い場合が多いです。近年では、地方自治体等が主となってこのような動きを財政的、政策的に支えているケースが増えてきているようですが、まだまだ現実はかなり厳しい状態にあるようです。

 

私は今年51歳になりましたが、子供の頃、ヴァカンスは必ず祖父母の住んでいた田舎で過ごしました。私だけでなく、フランスの都会で育った私と同年代の者の大半は子供の頃、田舎、農村に滞在してヴァカンスを楽しみました。農村の風景、食べ物や農作業の様子など、私達がそこで見たもの、経験したこと、このような五感を通した記憶がフランス人の農村好き、更には美食家な一面を支えてきたのかもしれません。『食』に対する市民(国民)の姿勢がその地域(または国)の文化形成に対して与える影響は非常に大きいです。そのような点から見ると、『百姓農業』を続ける者たちが産直や地産地消による販売システムを上手く利用してクウォリティーの高い農産物の生産を続けていくのは、非常に重要なことだと思っています。

 

(通訳・編集)服部麻子氏

 

【コメント】

国内でTPP論議が高まってきた。「賛成」、「反対」それぞれの立場から期待と不安が渦巻いている。将来の日本の生き方を決めるテーマであるから、枠組みに入るか入らないかは十分議論して決めればよい。

 

昨夜、農業生産法人の勉強会でF教授の話しを紹介した。生産者達は色々な情報が入り乱れて頭の中が混乱していたが、これで将来の方向性が少し整理できたと話していた。確かに規模や環境、歴史、国民性は異なるが、自由化先輩国フランスで起きたことは、やがて日本にも起こるだろうと言うことは理解できた様だ。

 

彼らは「日本は今の所、技術も信頼性も優れているから、積極的に高付加価値品を作って、海外に打って出よう!」と盛り上がっていた。

TPP論議を契機に、積極的な生産者が各地で雄叫びを上げれば、日本の農はまだまだ活性化する。 

 

自由化でフランスはどう変わった?Dr.F農業大学院教授に聞く(2)

2.EU共通農業政策とフランス

 

フランスでは耕地面積が国土の2/3を占めるのですが、農家経営体あたりの経営面積は作物によってかなり差異があります。平均すると3040haと言われていますが、シャンパーニュなどの良質なブドウを作る農家や家族経営の有機栽培農家では5ha 以下、穀物農家で200ha以上、羊牧業だと500ha以上の耕地を所有する経営体も少なくないです。

 

保護貿易を基本としたPAC(EU共通農業政策)加盟国の中でフランスは、最も多額の補助金を受け取ってきた国です。これまでの補助政策は生産農家の総収量ではなく耕作面積によって割当額が変わる、つまり耕地面積が広いほど沢山の補助金が直接農家へ支払われる仕組みになっていました。結果としてフランスではEUから支払われる補助金の80%が全体の僅か20%の農業経営体に支払われるという矛盾が生じていました。

 

統合後、順調に発展し続けてきたEU圏の経済は、リーマンショックを節目に成長が鈍化し、新たな成長先(貿易相手国)を求めなければ持続的成長できない状態に陥ってしまいました。フランスの得意産業は原子力発電、航空機、高速鉄道、上下水道などのインフラ事業ですが、この分野の成長先はいわゆる新興国(ブラジル、ロシア、インド、中国など)で、基本的には農業国です。インフラ製品を売り込めば当然自由貿易を要求され、大規模生産者は新興国の安価な農産物と戦わなければなりません。

 

そのような背景に後押しを受けて、EUでは2005年からPAC(EU共通農業政策)の大幅な改革が始まりました。まずはかつて価格保障型であった補助金の支給制度を所得保障型のシステムに変更。補助金も単に耕作中の農地面積に基づいて定額を支給という訳ではなく、農業の手法に関して環境に配慮しているかということも要件に加わるようになりました。これによってパリ周辺農村に多く見られる穀物農家など、これまでPACによる補助金の恩恵によって多いに潤ってきた農家たちは今、新たな経営方針を見直すべく岐路に立たされています。

 

 

自由化でフランスはどう変わった?Dr.F農業大学院教授に聞く(1)

  自由貿易圏構想TPPが動き出すと日本農業はどの様に変化して行くのか・・・ヒントを探るため、1月13日、パリにある農業大学院留学生H/A子さんのご協力を頂いて、農業社会学がご専門のDr.F教授を訪ねた。

 

1.戦後から始まる『緑の改革』

 

戦前、戦中におけるフランスでは農村では大半のものが家族経営の小規模農家を営んでおりました。農民達は貧しく、技術面の開発も遅く、中世からほとんど変わっていないような生活を営んでいる地域もあるほどでした。

 

戦争中の食糧難に悩まされたフランスでは、1950年頃から例えばボルドーならばぶどう、パリ近郊地域は穀物、ブルターニュ地方は畜産、といった具合に地方ごとに生産する農作物を専科、小品目多量生産型の農業推進を目的とした『緑の改革』を国策として進めていきました。日本とは違って平地が多く農地整備のしやすいフランスでは、品種改良や機械の開発等の後押しを受けてこの政策は、非常に大成功を収めました。結果として農民達の生活は戦前と比べて雲泥の差と言えるほど近代化し、EUの農業大国と謳われるほどの発展を遂げたのですが、農業者人口そのものは1950年代では国民の約1/3 を占めていたのに対し、現在では総人口の4%にまで落ち込んでいます。国民総生産における農業生産額の割合も1940年には25%を占めていたのが、近年では食品業界を除くと2%、含めると4%程度に至るか否かというレベルにまで減少してしまいました。

 

その理由としては、農業生産効率が伸びすぎたこと、農業労働者の手で行われていたこと作業が機械で賄われるようになったこと、採算性が合わなくなった小規模な農家は規模拡大を試みる他の農家に吸収され、農業経営体、農地の統合が進んだことなどがまず言えるでしょう。政府が進める農業システムの近代化政策を、フランスでは『妻と夫とで』という家族経営型の農家が、主流となって受け入れてきたことも一因として挙げられます。一世代前までは « Paysan(ペイザン)=百姓 »であった彼らが家族単位の小さな会社を立ち上げ、夫と妻が主となり農作業から会計まで、膨大な仕事をこなさねばなりません。結果として嫁達は会計等のデスクワークに専念する時間が長くなり夫と共に働く時間も減り、農村地域では嫁不足のみではなく離婚の増加も深刻な社会問題として挙げられるようになりました。

 

またその一方では農業の兼業化も大幅に進みました。具体的に数字を挙げて説明しましょう。統計によればフランスには現在、約50万戸の農業世帯が存在します。内訳を見ると家計における農業収入が50%を上回る農家が約28万世帯あるいのですが、そのうち約10万世帯は兼業農家。そして残りの22万世帯は農業収入が総収入の50%未満以下である兼業農家です。

 

近代化を進めた豪農についても1つ例を挙げてみます。当方は通常パリに住んでいるのですが、田舎が好きなのでフランス北西部、ノルマンディー地方で450haの農場を経営する一家の敷地内に家を借りています。この農家は地域内でもかなり大規模な方です。経営面積は1960年からほぼ変わりなく、かつては25人の労働者を雇って小麦、ビートの栽培、牛の飼育等を行っていましたが、現在では従業員は3人にまで減りました。作付面積の割合は小麦…40%、大麦…15%、ジャガイモ(種イモ用)15%、飼料用のマメ科植物…10%、亜麻…10%、手のかかる牛の飼育は撤退しました。

トラクターの活力は60年代と比較して3倍になり、一度に作業できる横の長さは6mだから36mにまで拡大しました。かつて25人いた従業員の中には機械修理を専門に担当する者がいたのですが、今日では機械が巨大かつハイテクになりすぎて専門業者でないと修理が困難なため、機械工は雇わなくなりました。

 

ちなみに経済的にゆとりのできた、この大規模農家の子供たちはみな高学歴を収め、家業は継がず都会へ働きに出てしまいました。よって後継ぎのいなくなった農場では農場主が従業員を雇って経営しています。フランスにおいて、このような農場は大多数を占める訳ではないのですが、近頃増えつつあるのも事実です。農場の近代化、産業化、資本主義化は水質汚染などの環境問題や、大規模な食品会社が強いる味や品質の規格化、標準化による地域文化の消滅などの被害を地域住民にもたらす傾向にあります。農業をおこなう本来の目的は単に私たちの腹を満たすための食料を生産するだけでなく、生物多様性や地域環境の保護、文化の伝承など多様な機能を果たす可能性を持つことにあるのではないでしょうか?

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ウィーンの朝市

ウィーンを首都とするオーストリーは東西冷戦終結後、中、東欧諸国のEU加盟が増え、経済圏が東側に拡大し、地理的に中心地に近くなった。総人口836万人(世界88位)ながら、一人当たりのGDPは世界10位で高い。音楽や観光の他、EU加盟によって、自動車産業などが盛んになり、国民の暮らしは豊かである。農林業戸数は19万戸と言われ、畑地と草地が半々で1戸当たりの平均耕作面積は19㌶、EU内では比較的小規模である。畑地作物は主食穀物と飼料穀物が殆どを占め、地形上、大規模化は限界があるため環境保全型高付加価値農業を育成している。冬は北海道と同じくらい寒いので、農業は出来ない。

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オーストリー・リンツ付近の農村(1月6日撮影)

オーストリーの首都ウィーンはパリから飛行機で2時間の距離にある。過去にハプスブルグ帝国の中心地として栄え、人口168万人を擁する大都市である。歴史的にドイツ(バイエルン王国)の影響を受け、国民の大半はドイツ系、公用語はドイツ語である。ドイツ、フランス、イタリア、スロベニア、ハンガリー、スロバキア、チェコなどに囲まれ、食文化は多民族の影響を受けて多様である。

「食」を知るため、中心街オペラ座から歩いて行ける朝市を訪ねた。朝市と言っても午後まで開いており、店は100店舗位ある。野菜、果物、肉、魚、ドライ製品、パン、デザート、惣菜、調味料、紅茶・・・など食料品は豊富で、価格も安い。
以下、画像で紹介する。

通路を挟んで両側に店が並び、軒先に雨除けテントが張られている。冬は底冷えして寒いが、客はみんな防寒服を着ているので寒さは意に介さない様だ。

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【野菜】

種類は非常に豊富で日本で売られている野菜とそれ程変わらない。1個単位か計り売りで、環境政策の徹底で、ゴミの元であるパック品は見かけない。
冬期は天候が悪く、気温が零度以下、土が凍る時期もあるため、野菜栽培は出来ない。生鮮野菜は温暖な地中海沿岸国(イタリア、南フランス、スペインなど)から運ばれてくるが、鮮度は良い。
許可を頂いて並べてある野菜を手当たり次第カメラに収めた。

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【果実、ナッツ類】

果実は、柑橘、リンゴ類が多く、キューイ、メロン、マンゴーなどトロピカルフルーツなど日本で売られているモノと殆ど変わらない。濃厚な味を好み、ドライフルーツにしてデザートやパンなどに用いる。ナッツ類も多い。

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【飲料】

ワイン、ビール、珈琲、紅茶など格別高級なモノを除いて殆ど揃う。日本に珍しいビネガー(酢)の専門店があり、果実酢を中心に数十種類がタンクで用意されている。注文に応じて、計り売りしてくれる。

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【食堂】

朝市にはレストランと言うより「食堂」という言葉が似合う。お腹が空いたら国際色豊かな食堂街で手軽に食事が出来る。
ドイツ料理はもとより、日本の寿司、タイ、イタリアン、中華・・・などの店が並んでいる。日本人を見ると「こんにちは」と愛想の良い言葉が飛んでくる。

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日本食(寿司屋)

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タイ料理・・・スタッフは中国人で商売熱心。ヌードル入りタイ風スープは絶品!

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市場で売られている商品と食堂街を見ると、古都ウィーンでもグローバル化が進んでいることを実感する。

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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