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ブログ: 2011年1月

自由貿易への道 ⑦終章

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⑥まで自由貿易に直面している日本農業の実情を断片的ではあるが書いた。

報道によれば地方議会などでTPP反対または慎重な対応を求める決議が7割に達したという。

議会は支持者を意識してその様な対応になると思うが、ある流通関係者の会合では賛成が8割を占めた。果たして農家はどう考えているのだろうか。1112月に反省会や忘年会があり、各地で本音を聞いた。

 

当然、地域や作物、社会的条件により、反応は異なるが、予想に反して「自由化は仕方がないな・・・」とあえて強く反対する意見は少なかった。今後、どの様な影響が出てくるのか計りかねている面もあるが、いずれにしても現状のままでは行き詰まるとの危機感が背景にある。

私の回りには農業を将来も積極的に続けて行きたいと考えている人達が多く、彼らは反対するよりも、むしろこれを契機に国の抜本的テコ入れ策で競争力を高めて安定経営の基盤を強化したいと考えている。国の「所得保障」に期待する人達が多い一方、財源難で将来頓挫するのではという不安感も根強い。

 

今まで、農家は国の政策や組織に頼りすぎて、グローバル化に対応できない面があるから、TPPは本当の意味でのガラガラポン、大改革のチャンスである。既に、改革を実行して成功している生産者も出ている。

ただ、気になるのは日本人の内向き指向、活力低下で、特に若い世代の保守化である。残りが少ない中高年層が「もーいいや・・」と保守化するのは仕方がないが、大改革には明治維新の坂本龍馬的なある意味で常軌を逸したチャレンジャーが求められる。

今、課題なのはそういうチャレンジャーを育てる環境である。新規就農者育成などの政策は打たれてはいるが、国民が農業に対する確固たる位置付けをキチンと持たないと、目先の政策だけで終わる危険がある。

 

20数年前、自由貿易で先行したEU、とりわけ農業のリーダー格フランスの軌跡は、更なる自由化を求められている日本農業の参考になる。

この件はあらためて書くが先ず、経済、消費動向を観察するために、今年もウィーン(オーストリー)、ミュンヘン(ドイツ)、パリ(フランス)を訪ねた。何れも古い歴史と伝統、文化を持つ国際都市である。

今回、強い印象を受けたのは、この1年で更にグローバル化、低価格化の大波が押し寄せていることである。勿論、両者は連動している。

 

(ウィーンの例)

パリと同様お洒落なカフェ文化を持つウィーンの繁華街オペラ座通りに、1年前には無かった世界的珈琲チ

繁盛していることは支持されていると言うこと、否定はしない。しかし、伝統を守ってきた店は衰退し、何処にェーン「スターバックス」が出来た。10年位前、パリの繁華街オペラ座通りに初めてスタバが登場した時は「まさか・・・」と思ったが、今では街のあちこちにある。ついに古都ウィーンにも広いスペスを持つスタバが開店し、バーゲンセールで賑わう買い物客のオアシスとして混雑していた。しかし、伝統文化と雰囲気を味わうために訪れた者が違和感を持ったのは私一人では無いだろう。ある無味乾燥な街と化しては行かないだろうか・・・と心配になる。

 

やはり中心街に低価格を武器とする世界的アパレル「H&M」など大規模店が進出し、5年前とは雰囲気が様変わりした。女帝マリア・テレジアが栄華を誇った歴史的建物は別にして、時代の香りは薄れつつある。

 

オペラの殿堂「ウィーン国立歌劇場」のメンバーも、ウィーン人、男性以外は・・・と言う暗黙の掟は百余年の歴史を経て次第に変化し、オーケストラピットでは女性コンサートマスターが登場した。2011年ニューイヤーコンサートでも話題になった。新年の公演「セビリアの理髪師」主役フィガロ(バリトン)は東洋人で絶賛を浴びていた。自他共に認めるクラッシック音楽の都はますます、グルーバルかが進んでいる。

毎年宿泊しているホテルの客は日本人が減り、この1年で中国人が急速に増えた。シェーンブルグ宮殿などの観光スポットも中国人の姿が目立つ。

 

これはヨーロッパ全域、いや世界的傾向である。この1年でアイフォンやアイポットなど携帯端末が爆発的に普及しており、情報はパソコンではなく、携帯端末で世界中に瞬時に伝わり、入手できる。パソコンが苦手だったパリの友人も年末にアイフォンを買い、旅先から画像やメールを送ってくる。翻訳ソフトで語学が苦手な人でも対応可能。カーナビも付いているからこれさえ持っていれば何処にでも動ける。

 

なんだかんだと理由を付けて守っている場合ではなさそうだ。自分の身の回りだけでは無く、範囲を広げてチャンスを作って行かないと状況が変化して自分を見失なう。

画像(ドイツ:バイエルン州の農村冬景色)

 

自由貿易への道 ⑥米・・・中山間地、岐阜県飛騨地方

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日本の農地は中山間地にも幅広く存在する。過疎や環境保全の話になると段々畑や棚田として登場する。

名古屋からJR東海道・高山線に乗り、岐阜から木曽川沿いに日本ラインと呼ばれる景勝地を抜け飛騨川を北上すると2時間半位で高山に着く。途中、名湯下呂温泉があり、両岸は山が迫り耕地は少ない。水田がボチボチ目に入るのは分水嶺を過ぎた高山付近からだ。飛騨の米産地は高山から日本海に注ぐ宮川が一旦少々広い流域を形成した飛騨古川(飛騨市)付近にある。

水が綺麗で夜温が適度に下がるため美味しい米が取れると言われている。川沿いの平坦地は整然と整備されている。ここ以外は山地が迫り、地形は複雑で、いわゆる段々畑、棚田の世界である。

水田10㌶を作っているKさんに飛騨米の状況を聞いた。

 

TPP

ここは農家数の減少や高齢化で、農業の存続が問われている。TPP以前の問題を抱えている。

(水田面積)

山間地を含めて全部集計すると飛騨管内で600㌶ある。小規模が多いから平均したら1戸2反以下だと思う。畑も少しあるが、今まではその程度で何とか生活してきた。

(品種と収量)

「こしひかり」が主流だが「ひとめぼれ」もある。

標高により積算気温が異なるから収量は場所による。標高500m程度までは反当8.5俵が目処、700mを超すと67.5俵位に落ちる。

(経営状態)

格差が大きすぎて何とも言えない・・・。

小規模農家は米では食べていけないから夏秋野菜(トマト、ほうれん草)に転換した。稲作農家も夏秋野菜で豊かな生活ができた時代になって、米を真剣に作らなくなった。減反、転作奨励金をもらいながら生活できたからね・・・。トマトやほうれん草が温暖化や連作障害で収量が減り、経費の高騰もあって手取金額は大幅に少なくなっている。2010年は相場が高かったが、収量は悲惨。所得保障制度になっても、小規模農家は生活の目処が立たない。高齢で農業が出来なくなっている人も増えている。

農地賃借の話があると、公民館に農家が殺到する状況。春に部落相談会を開いたら50人以上集まった。農家だけではなく、建設、サービス、工場関係者も仕事が無い・・・企業が次々撤退して行くから、雇用場所を作らないと共倒れになる。

 

自分は減反時代に逆行かも知れないが「米」で食う経営を目指している。夏秋トマトと長ネギの複合経営だが、「米」でも利益を出せる体制作りを考えている。その為、生産~販売まで総合的に組み立て直している。北海道みたいな大規模産地ならまだ楽かも知れないが、小規模中山間地で過疎化している地域での成功ノウハウも必要だ。

「米」は栽培面では天気次第の要素が大きい。自然の理に合わせて無理をしないで、安定した品質と収量を確保する技術を目指している。

試行錯誤してきたが、収益向上に一番効果があるのは、収穫後の乾燥~製品化~販売までのコスト削減。

飛騨は小規模農家が多いから、全部農協に丸投げになる。米価が高かった時代は何とか手取りがあったが、1俵1万円大台割れ時代が来て農家の手取りは急減している。減反で取り扱い数量が減っているJAの1俵当たり設備償却費や経費は当然高くなる。資材代も相当上がっているから、農家の取り分は減る一方・・・。

 

一通り自分でやってみようと思い「飛騨」ブランドを生かして直売先(個人や商社)を開拓した。

従来のままでは、設備を持っていないから一旦農協に納めて製品化(等級検査まで)し、買い戻して再販売しなければならない。手続きも面倒だし、対応も遅れ、コストも高くなる。今のマーケットに付いて行けない事が解った。

乾燥機は持っているが一番の問題は温暖化でカメムシが異常発生し食害粒を除去しなければ製品にならない。今年も大発生して農協の色選機が一時対応不能に陥った位だ。昨年、思い切って色選機を設備したので、お客様の指定納期に対応できた。今のマーケットは作る事から納品まで一気通貫で信用を頂かないと例え品質が良くても駄目・・・

 

(採算)

JAにも出荷しているが、直売が多いので平均しても販売単価は1俵14.000円超確保している。設備償却費はかかるが、農協に出すと4.0005.000円引かれるから年1.000俵近く出荷すれば1~2年で元が取れるね・・

お陰様で積極的に規模拡大している生産者には、政府の支援策が手厚いから、非常に助かっている。

 

(今後の課題)

飛騨に限らず農村は閉鎖社会だから、農家同志で組んでの改革が難しい。隣の高山は新規就農者が比較的成功しているが、土地利用型ではない。今求められているのは離農した農地の受け皿と、離農者の生活ケアだ。本来は行政の問題だが、同じ地域住民として何が出来るのかを考えてあげなければいけない。

廃耕するのではなく、我々みたいな会社が借り上げて何かを作り、所有者が出来る部分だけ管理してもらい、少しでも現金収入が入る仕組み作りだ。

米は反収が低いから小面積で分散していると採算に乗らないからサポートは限られる。仕事のない地元の土建業者などとタイアップして白ネギ等の野菜にチャレンジしている。一昨年から専任の若手社員を採用し、人材作りから始めている。2010年も一人新規採用し、育成中だ。基礎が固まるまでにはまだまだ時間がかかるね・・・

 

j自由貿易への道 ⑤米・・・北海道は良食味品種と温暖化で追い風?

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北海道は日本を代表する米産地であり、生産量は新潟県と首位を争う。

従来は冷涼地故、冷害を恐れて耐寒性品種が主流で、良食味系統の開発が遅れていた。典型的な大量生産、質より量の産地であった。一昔前になるが粘りが少なく、冷えるとボロボロする道産米で握った寿司には閉口した思い出がある。その後、道府県単位の流通が自由化され、本州の美味しい米が使われる様になり、美味しくはなったが・・・

今でも食べ慣れているボロボロする道産米方が好きだという道産子が残ってはいる。

過剰米が恒常化し、減反が強化されるに従い、良食味米の開発、普及が一気に進んだ。気候も温暖化傾向が定着し、今や道産米は数量だけではなく品質、価格面でも競争力を強めている。「きらら397」から「ほしのゆめ」「ななつぼし」「おぼろずき」「ふくりんこ」最近では「ゆめぴりか」など次々と登場し、低コストを武器に本州のブランド米を脅かしている。

 

先日、空知と後志の生産者から新品種「ゆめぴりか」を送って頂いた。ラジオ番組で「新潟こしひかり」を超えると評されていたので、早速、土鍋で炊いて試食した。炊き上がると台所に美味しいご飯の香りが充満し、食味、食感とも感動モノであった。もう一つの特長は冷や飯を電子レンジで温め直しても食味が落ちない。食通が集まる寿司屋に評価を依頼してみたが、板長から寿司米としても最高級の品質と太鼓判を押された。自店でも是非使いたいというので生産者Tさんに問い合わせてみたら「自家米程度しか・・・」と言うので訳を尋ねたら、種籾が余り手に入らないので、大規模には作れないと言う。供給が十分でないので、ネットでも簡単には入手できない。

「ご飯食い」の友人達に試食品を送ったが、一様に高い評価を頂いた。道内を歩いていて「新潟こしひかり」など本州ブランドを超える美味しい米に出会わなかったが「ゆめぴりか」は好みもあるが傑作と言っていい。ただし、土壌や気候、管理技術により食味は異なる。Tさんは有機質肥料を併用して作っているが、北海道でこれだけ美味しい米が作れるなら、アジア圏へ輸出する道も開ける。

 

北海道で米農家に聞いてみた。

■渡島支庁・水田10㌶超のSさん(30歳代)

TPP

農家の集まりがあってTPPの話が一寸出たが、本質的に理解していないから話は盛り上がらない。余り関心がないね・・・

。組織で「反対」を叫べば「そうだな・・・」と追従する程度の話。補助金や助成金の話になると盛り上がる・・・楽して儲かる話には誰でもすぐに飛び付く(笑い)

自分としては将来の日本を考えればTPPは当然の選択だと思う。何もしなかったら没落するだけ。自由化を前提に自分達で努力する余地はまだ沢山あるが、他力本願の農家が多いのは残念。

 

(1戸当たり水田面積)

バラバラだが平均5㌶位だと思う。この程度の規模では、昔の資材価格と米価ならやり方はあるが、TPPは別にしても、現状でも経営はきつい。当地はハウスとの複合経営だからまだ救われるが・・・高齢化もいよいよ限界に来ているから、早く統合を進めて1戸30㌶規模の大型化、効率化を目指さないと国際競争に勝てない。所得保障は農地の貸し剥がしを助長するから、?だね・・・

 

(品種)

道南農試で育成した良食味米「ふくりんこ」がここの気候に合っている。2/3は「ふくりんこ」を植えているが残りは「きらら397」。ノンアレルギー米として一定の需要があり、収量も取れるのでブレンドや加工用としての需要もある。

 

(収量)

一般的に良食味米は収量が落ちる。当地では通常7俵台・・・しかし、収量が落ちては多少加算金があっても作る側のメリットが少ない。自分は「ふくりんこ」で従来品種以上の収量を目標にしている。色々試しているが今の所、ミネラルPK20kgを幼穂形成期10日くらい前に追肥するのが一番コストパフォーマンスが高い。2010年産で平均反収8.2俵あったから来年は全面積に使う。粒の付き方や充実具合を観察していると施用時期や施用量が解ってくると思うから、もう少し研究すれば平均反収9.5俵前後は見えてくる。ここは「やませ」が吹く年があるから言い切れないが、育苗から手抜かり無く進めれば可能性はある。当地の名人は2010年産平均8.5俵、蛋白値6.6

 

■渡島支庁・水田30㌶超Mさん(50歳台)

TPP

賛成はしないが仕方ないね・・・殆ど米一本で食っているから、自由化されても耐えうる策は打ってきた。ただ、米価が何処まで下がるかは色々な要因が絡むので予測はできない。世界に流れに遅れない様に頑張るしかない。

 

(対策)

農機具を効率的に償却する適正規模30㌶を少し超えて作っている。資材の一部は卸業者から直接仕入れ、農機具は自分で整備可能な部分はメーカーから部品を取り寄せ、暇な時期に交換している。ただ、古くなり過ぎるとシーズン中のトラブルが恐いから限度はある。トラックはこまめに整備して使っているから、メータが3回りもしている。稲作農家はこの位シビアでないと・・・(笑い)

生協や学校給食向け特栽米も作っている。飯米需要はまだ減るから、以前から商社と多収穫米(加工用)を試作している。取り敢えず12俵が目標で、米価下落を補えればと思っている。

 

■上川支庁・水田10Nさん

TPP

みんな反対だと言っている。それ以前の話だが、政策がコロコロ替わり、理解できない人が殆どだ。行政、JAの担当者に聞いてもよく解らない点もある。まあ、暮れになって農協が組勘(組合勘定)決算して「ああ、そうですか」と印鑑押して終わる。高齢者が増えているから、殆ど農協任せ「おんぶにだっこ」。難しいことを言っても仕方ない。

 

(経営面積)

上川支庁でも地区により異なるが、道北で平均8㌶位、大手は25㌶超の人もいる。畑作で30㌶位かな。

 

(品種)

塩狩峠(旭川市北方)を境に北は気温が低いから、「きらら397」が主流。「ななつぼし」「ほしのゆめ」も多少ある。飯米の過剰で商社が加工米「大地の星」を契約栽培した。峠より南は良食味米「ゆめぴりか」が主流、「ななつぼし」「あやひめ」などもある。旭川周辺は道内でも有数の米産地で食味も高く評価されている。

 

(経営状態)

品種と場所によるが、平均反収7.58俵台。秋の仮払い9.000/俵、暮れに1.000円追加払いがあったが組勘の精算(穴埋め)が終わると1.000円バックという話だから、9.000円。最終、どんな計算になるのかは数年かけて売り切ってみないと誰も解らない。商系はきららを9.000円で買ったが、実勢価格は所得保障分を引いて6.500円位だから赤字になるとぼやいていた。

加工米「大地の星」は商社が春に10.500円で契約した。12俵位取れるので農家は喜んでいたが、契約数量しか引き取らず、余った分はきららと同じ扱いい。多分、来年はきららと同じ単価になるだろう。

まあ、1万円どころか9.000円割れの時代が来てしまったから経営は四苦八苦・・・深く考えたくないというのが農家の心情かな。

 

(今後の展望)

借金があって転業も廃業も出来ないから、ひたすらコス削減トしかない。昭和20年代迄あった乾田直播きに再チャレンジしてみようという動きがある。当時でも33.5俵取っていたから、温暖化と技術の進歩で加工米なら56俵超は取れるだろう。田植機の移植部分を取り外して簡単な播種機を取り付ければいい。これから益々田圃が余ってくるから精密なことを考えるより、粗放で大面積カバーする方向だと思う。ただ、平坦地で1枚の面積が大きい所でないと無理だけどね。中途半端な面積では所得保障しても、経費に食われて経営できなくなる。国の財政状況では先行きは危ういな・・・

逆に時流に合った努力をしている人は経営が良くなる可能性はあるが、全員は残れない・・・

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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