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ブログ: 2010年12月

自由貿易への道 ④米・・・//秋田県大潟村の未来

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自由貿易交渉でいつも議論になるのは主食の米である。麦、トウモロコシ、大豆、甘味作物などは、国産シェアが低く、農家へのダメージは限定的である。米は全国で作られており、米価が下がると農家だけではなく、地域の関係団体、産業も大きな影響を受けるという恐怖心がある。

米は日本人の生命と文化(心)を支えてきた特別な食べ物であり、特に農家の米に対する思いは、都会人には理解し難い面がある。歴史的にも江戸時代に「米本位制」とおぼしき時代があった。

グローバル化で食べ物が多様化し、相対的価値が低下している米が、主食とする日本民族の遺伝子や文化は脈々と受け継がれている。

 

11月下旬から稲作大規模産地、秋田県大潟村、北海道、中小規模の中山間地飛騨を訪ね、農家に現状を聞いてみた。

 

秋田県大潟村は、戦後の食糧難を乗り切るため、淡水湖(八郎潟)を埋め立てて作った日本を代表する米産地である。約12.000㌶で「秋田こまち」などが栽培されている。完成間もなく政策が増産~減反に転じ、過剰米、食管法改定、輸入関税化など米を取り巻く環境が変化する節目に各方面から注目を浴びてきた。

大潟村は、長い歴史を持つ他の農村と異なり、開村以来、精々二世代目が主力で歴史が浅い。従って、農民同士のしがらみが少なく、農業政策のブレもあって国や組織への依存心が薄い。自立心が旺盛、考え方、行動も多様で、隣同士というよりも同じ価値観を持つ人達がグループを組んでいる。1戸当たり平均所有面積は15㌶で、水田単体では日本一と言える。

二代目だと言うバリバリの現役(50歳前後)3人に、稲作の現状と将来の方向について聞いてみた。

 

(ズバリ!・・・TPPは賛成か反対か)

グルーバル化の中で日本が生きて行くためには自由化は仕方ないね。反対しても状況が好転するわけではなく、これをいい機会と考えて、将来への道筋を探らなければならない。

昨年、ベトナムへ視察に行ってきた。米の品種がインディカ種(長粒米)で、味に煩い日本人には炊飯用としては競合しない。反収は日本の約半分だが、通常、年2回収穫するので年間反収では変わらない。生産コストが安いので、加工用は競合するかも知れない。

むしろ、自由貿易で「美味しい、安全な米」を旗印にして需要拡大が期待できるアジア圏富裕層の開拓をした方がチャンスがあるかも知れない。

 

(経営規模)

1戸当たり水田15㌶、1枚の面積は1.2㌶で、大型農機に対応している。減反、転作の要請はあるが、自分達は米を効率的に作る目的で入植したのであり、その為に大型機械、設備に投資をしている。今更、他の作物に転換して下さいと言われても困る・・・。米一本でとことん勝負して、どうにもならなくなったら考えるが・・・まだ、その時期ではない。

機械化が最も進んでいる当地で「米を作るな」と言われたら「何故?何処で作るの?」と問いたい。国際競争に耐えうる米産地は当地が最先端。人材、インフラも全部揃っている。

 

(経営の現状)

米一本で勝負している農家は、有機や特栽米など高付加価値化、栽培技術向上、大規模化、資材一括仕入れ、直売先の開拓など採算向上に取り組み、米価の下落に耐えてきた。減反に協力して複合経営に転換した人達もいるが、最終的に補助金があるため、中途半端。精一杯頑張って反収を上げるという「農家根性」を失ってしまった面がある。減反作物も制度自体がコロコロ変わるから、その道のプロフェショナルになれない。

米価下落で確かに以前より経営は厳しくなっているが、これは農家だけではない。需要減少と自由化に対応できるノウハウを確立しない限り将来不安が先立ち、稲作の未来は見えてこない。

今夏の異常気象で一等米の比率が低い農家は大変だが、何とか食い繫いで、チャンスを作らねばならない。

 

(収量と単価)

有機、特栽で全面積栽培しているわけではないが、平均反収は9俵が基準。昨年までは1俵平均単価13.500円位だから反当12万円超が一つの目処。しかし、この不況で付加価値米の単価が下がり、動きも鈍くなっているから不安が頭を過ぎる。

 

(採算ライン)

うーん・・・現状の機械設備を更新しないで1万円/俵が最低ライン。農機は一定の時期が来たら入れ替えないと修理費が嵩むから、更新は避けられない。従来通り設備更新すると現状ではやはり最低11.000円位は確保しないと苦しい。

米価はまだ下落することを頭に入れておかないといけないから、この冬に一段のコスト削減策を検討する。

 

(コスト削減の具体策は)

資材費は従来から極力使わない方針でいろいろ研究してきたから、以前より相当コストは下がった。肥料は通常、窒素成分7kgが標準だが、自分は半分の34kgで栽培している。無化学肥料栽培なので肥料は全量有機質。価格の高い有機質は使えないから発酵鶏糞100150kgや窒素7%台の畜産加工残渣発酵肥料を使っている。

当地は有機物が堆積した湖底に山土を入れて造成した圃場で地力があり、この程度の施肥で十分採れる。収量は慣行法と遜色はない。

究極のテーマは肥料を使わない自然循環農業。

コストに占めるウェートの高い農機償却費は面積拡大が効果的だが、いい米を作るには適期管理と収穫が不可欠。むやみに大型化するのではなく、適正規模に止める必要がある。

 

【コメント】

30数年ぶりに訪ねた大潟村の気質は世代が変わっても風化していなかった。

以前訪ねたきっかけは野菜だったが、減反で仕方なく野菜でも作ろうかというスタンスであった。その後の状況は、時折マスコミで知る程度で殆ど縁が無かった。第二次世代に替わり、多種多様な価値観を持つ人達が、国や組織の柵に縛られず、独自のオレ流農業を展開している様は、頼もしく、将来に希望が持てた。

自由化も前向きに捉え、積極的に対応しようとしている。品質競争は勿論、コスト競争でも自然循環農業という時流に合った省資源型を目指している。すぐに出来る、出来ないはともかく、方向性は正しい。

水稲の自然循環型農業の一つとして米糠で嫌気性菌群(ラクトバチルス菌など)を増殖させ散布し、鋤込んだ稻藁を土中で効率的に堆肥化、肥料養分を取り出す方法がある。ただ、養分必要量の全量は賄い切れないので安価な鶏糞(発酵有機ペレットP-432)を併用する。当地は地力があるのでこの程度の対応で良いと思うが、燐酸、加里、石灰、微量要素が不足している圃場は、ミネラルPK30kg/反併用するといい。

特に食味にこだわる場合は、2011年から発売する米専用動物発酵有機(100%)肥料「う米」5-4-4)も選択肢としてある。

 

 

 

 

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