• いい野菜.comのトップページ
  • 私たちについて
  • 土の食養生
  • 作物別実例
  • 農業資材
  • 作物・生産者情報
  • 農業経営実例
月別アーカイブ
ホーム > ブログ: 2010年11月

ブログ: 2010年11月

自由貿易への道 ③産業の傷みと農の痛み・・・

 主要産業が日本と競合する韓国は、現政権に変わって自由化促進政策が加速し、米国、アジアを始め、EU、中東、南米、豪州など世界中に自由貿易の橋頭堡を築いている。自由貿易で影響の大きい農業には手厚い振興政策を実施していることは前に書いた。隣国に中国という巨大市場と低価格農産物と向き合う事情は日本と同様であり、農民のジレンマが続いている。

 

日本製は確かに性能は優れているが、機能が多すぎて使いにくく、高価格など世界市場ニーズに応えられなくなったのが敗因と言われている。以前は国内市場で十分利益が出ていたから、世界市場に打って出なかったという面もある。国内に閉じこもっている産業は、内需減少の影響を真っ向から受けて衰退の道へ向かう。

衰退が始まると、最大の経営資源である技術者、労働者が解雇され、優秀な人材は中国や韓国企業に流出していく。長年培ってきた「ノウハウ」は、団塊世代の高齢と共に、毀損していると識者は指摘している。

 

 EU統合で相互に関税を撤廃し、その国に最も適した競争力のある産業を育て、EU一丸となってアメリカに対抗しようとした試みは、域内の産業を活性化し成功した。その陰で中小農民の一部や弱小分野の雇用が失われた事は事実である。しかし、農業は、大規模化や高付加価値化が加速し、積極的に対応した生産者は競争力を強めた。

 

 世界競争激化の中でトップブランドフランスワインも、国内に留まっている時代ではなく、海外に技術移転している。需要が急増している中国ではフランスワイナリーの技術支援を受けて作った安くて美味しいワインが人気だ。

 

 自由化で確かに農への痛みはある。しかし、記した様に何処の国の農民も痛み止めを飲みながら、改革を進め国益に協力している。このままでは産業競争力は低下し、傷みが更に深刻化する。貧困による消費減という究極の激痛が走る。税収がなければ所得保障、農業への支援策など吹き飛ぶ。

 

自由化=農の壊滅論では日本の未来は描けない。産業競争力を犠牲にして農業を守ってみても繁栄は無い。

 

11月は、ボージョレヌーボー解禁月でワイン業界は販促に躍起になる。ボージョレは昔から「あまり美味しくない・・・美味しいわけがない」と思っているので、最近は飲んでいなかった。先日、親しいソムリエがボージョレの葡萄栽培~発酵まで徹底的に見直して作った生産者のワインだからと自信ありげに注いでくれた。顔なじみの客も最初は「ボージョレはパスだね・・・」と言っていたが、試飲して品質向上に感嘆した。ボージョレは元来、美味しい産地ではないため、「新酒」という価値で売ってきたがイベント価値だけではマンネリ化し、売り上げはパッとしなくなっている。危機感を持った小規模生産者達が活路を求めてこの様なこだわりワインを作ったらしい。

 

フランスの代表的農産物ワインは、自由化でスペイン、新大陸(アメリカ、南米、オーストラリア等)の低価格ワインに押され、低品質生産者は窮地に陥った。最近の報道では、低品質品は淘汰され、高品質品への転換が進んで、再び活気を取り戻しつつあると言う。保守的でプライド高いフランス農民はEU統合という歴史的な環境変化の中で、様々な工夫を重ねながら高付加価値品への転換を急いでいる。

 

4月にEU統合とフランス農業について書いた。

 

日本の富を築いてきた電子産業は、「電子立国」というお題目を掲げながら、この10年で韓国、台湾などに追い越され、ボロ負けである。日本が得意としていた半導体、液晶パネル、テレビは世界市場シェアの大半を韓国、台湾に握られ、パソコン、白物家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)も中国の追い上げで最早、質、量とも圧倒されつつある。携帯電話に至っては完全に世界競争から脱落した。

 

 1月にフランスバスクで、日系農機具メーカーの販売店をしていたロシア系フランス人Mさんに会った。彼は、販売先のスペイン側中小規模農家の廃業や倒産が相次ぎ、見切りをつけて店を閉めた。今は奥さんと僅かな借地農園で野菜を作り、近所や朝市で売りながら生計を立てている。どの程度社会保障が充実しているかは解らないが、地域の人達に支えられて楽しく暮らしている姿が印象に残った。聞いた話では、自由化で価格競争が激化し苦境に喘いでいる農家も多い一方、石灰岩を多く含む特有の土壌を生かして味の良いワインやリンゴ、柑橘類を作る生産者、補助金で養液栽培トマトなどを作りEU各国に販路を広げて逞しく生きている生産者も多いと聞いた。彼らは伝統的に自分の持っている資源を上手に使い、オリジナルのモノを作る才能に長けている様に見える。

 

 富の源泉であるお得意「産業」が国際競争に敗れては「農業」云々以前の問題である。農業はGDP1.5%しかないから・・・とは言わないが、もう一度、真の国益とは何かを問わなければならない。

 

 日本の次世代産業と言われる環境ビジネスも、最大の市場である中国で次々と韓国に追い上げられ、敗れている実態が先日TVで放映された。日本の技術が勝っていても、コスト、販売戦略の面で遅れをとっていると言う。すべての面で意気込み、スピードで後塵を拝している。

 

 自動車産業はエコポイントと新興国需要で盛り返したが、円高で再び海外にシフトし始めており、肝心の雇用へのインパクトは弱い。海外移転で取り残された中小零細企業は、緊急経済対策などで何とか急場を凌いできたが、主要産業の仕事が減っては経営が成り立たない・・・大ピンチである。

自由貿易への道 ②互恵関係と農業改革

貿易自由化交渉で難航するのはいつも農業問題である。農業以外の産業は防衛など特殊な分野は別にして企業買収、経営統合が進んでほぼ自由化されている。農業は国土を基盤とし、利害関係者が多数に及び、国の安全保障の問題もあるから、何処の国もなかなかまとまらない。

共通しているのは、農民は「安価な農畜産物流入懸念」であり、国民は「食糧の安全保障懸念」である。

 

自本は新興国や途上国に原発、高速鉄道網などのインフラ整備やハイテク製品を売りたい。優秀な人材を医療、介護分野に受け入れて、高齢化社会に備えたい。農民は勤勉で安価な労働力を確保したいなどと目論む。新興国、途上国は天然資源、農畜水産物の開発輸出で外貨を稼ぎ、インフラ整備等に当てたい。工場を誘致し、海外に労働者を派遣して雇用機会を増やしたいなどを目論む。相互に話し合い互恵関係を築けば、経済的、社会的メリットは大きい。

しかし、日本の農民は安価な輸入農産物とまともには戦えないと考えているから、棲み分ける知恵と決断が要る。

 

EU統合で関係国は農業問題で百家争鳴に陥った。時間はかかったが、先進国は農家への「所得保障方式」を拡充することで国民の合意に成功した。日本でも今年から一部の作物でこの制度がスタートし、支払いが始まった。「バラ撒き」論も根強いが先ずは実施して、農民と耕地の疲弊を食い止めたい。徐々に中身を改善して行けばよい。

国民に5兆円超の多大な負担を強いることになるから、農家は従来にも増して生産性を向上させ、自立への努力が求められる。

 

先日、北海道の生産者に所得保障の概略を聞いてみた。作物によって異なるが、単に作付け面積で一律に支給されるのではなく、先ずは基礎反収の支払いが保証される。ただし、基礎反収は従来の補助金や助成金などの積み上げ方式より少なくなる。基礎反収を超えた分は加算して支給されるから、努力する生産者は従来方式より意欲が沸くという。「足切り」つまり、ビート(甜菜糖)の様に一定収量に達したら超過分に対する国の負担分は支払わないと言うことはない。従来の制度より生産性向上への刺激効果はありそうだ。

 

今後、気候変動を含めて世界で何が起こるか予想できない。「腹が減っては戦は出来ぬ」との諺がある。目先を考えるのではなく十年先、二十年、五十年先の国土保全(環境)と食糧確保を考慮して、一歩一歩再整備して行くことが活力を生む。長年の予算投入でインフラはほぼ整っている。今度はそれを将来に向けてどう生かすかを検討しなければならない。

課題は将来の展望を描ける人材の育成と、それを担う人達へのバトンタッチである。農民の2/365歳以上という現実では、最早、既存組織と農民だけで将来の構図を描いてみても、時代遅れとなる危惧がある。

 

日本人、特に農村は「妬み文化」が残っている。組織を出たり新規就農して成功すると足を引っ張ったり、風当たりが強くなるのは珍しくない。もう、のその様な事を言っている場合ではない。新しい発想と価値観を持った人達と組んで、世界競争に耐え、攻勢に転じなければならない。

自由化で衰退しているだけではなく、保守的な体質で対応が遅れて衰退している面もあることも心したい。

 

農業分野は生産から流通まで従来組織の利害が複雑に絡み合い、固定化して活力を生まない面がある。改革には相当なエネルギーがいる。色々な企業やNPO、個人が連携して多角的に知恵を集めれば再編から漏れた中小生産者も含めてサポートできる。

 

以前、いわゆる「農協解体論」が盛んな時期があった。政策で農家の統合、法人化が進み、農協から自立する生産者が増えた。量販店の物流合理化で安定大量物流が求められている。数々の設備と人材、資金を持つ農協は、再編から漏れた生産者を取りまとめる上で重要な役割を担う。効率化に取り組み、本来の組合員目線であれば、解体論は当たらなと思う。系統下部組織ではなく、外部から優秀な人材を入れて、種々の地域資源を生かした抜本的改革も求められる。

 

自由貿易への道 ①再成長への足掛かり

APEC横浜開催を機に、自由貿易への関心が高まっている。

私が農業関係の仕事をしている事を知っている回りの人達は「自由化されたら大変だね・・・」と気遣ってくれる。「いや、このまま行ったらもっと大変な事になる」と言うと「えっ!自由化賛成なの?」と怪訝な顔をする。「自由化=農業の崩壊」という公式が刷り込まれている様だ。農業単体で考えれば確かにそう言う場面も想定されるが、もう何十年も前から言われてきたことである。今回が崩壊のダメ押しになるのか、再生のスタートになるのか考えてみたい。

 

日本は自由貿易を前提に、終戦後の混乱から奇跡の経済成長を遂げ、先進各国を抜いてアメリカに次ぐ経済大国になった。当初「安かろう、悪かろう」と陰口を叩かれながら、勤勉で豊富な労働力、伝統技術、手先の器用さなどを生かして忽ち世界市場を席巻した。輸出超過が恒常化し、米国、豪州などから市場開放要求が強まり、19861995年のウルグアイ・ラウンドで貿易上の障壁を無くし、多角的貿易推進が協議された。日本は「米」「柑橘」「畜産物」など農産物のの自由化はは農業団体の反対が強く、関税化とミニマムアクセス(最低輸入機会)を受け入れて、一旦、決着した。その後、関税、為替、投資機会、知的所有権などルール取り決め交渉で各国とも国内事情を抱え、紆余曲折を経ながら今日に至っている。先進各国は既に内需が成熟し、リーマンショックが尾を引いて失業率が高止まりするなど経済成長に苦悩している。解決策として相互に関税を撤廃または引き下げ、新興国、途上国需要を取り込んで経済成長を図ろうと目論んでいる。FTAEPATPPなど二国間あるいは多国間で枠組みを作り、得意な分野を生かし合って需要、雇用の創出を図ろうとしている。

 

今、日本で起こっている経済苦境の原因は、インフラはほぼ完成し、国内でモノを作っても過剰、輸出しようとすれば高コスト、関税障壁、円高も加わって価格競争力は無い、八方塞がりである。企業は生き延びるため、数々の人件費抑制策を行い、消費者にお金が廻らず、消費が冷え込む悪循環に陥っている。

消費者にお金が廻らないと少子高齢化、人口減もあるから、農産物需要は先細りである。

国も自治体も財政は危機的状況、年金、医療保険財政も将来展望は非常に厳しい。経済成長していた時代に何回も経験した不況とは、全く原因も質も異なる。

 

もう、ここまで来たら、腹をくくって従来の国の在り方、仕組みを根本的に組み直す必要がある。その期待を担って政権交代した筈だが、不慣れさと長期間続いた政・官・企業・国民の「天下太平体質」で簡単には変えられない。

しかし、今回の新興国の台頭と自由貿易のうねりは、モデルチェンジする最大のチャンスと捉えなければならない。特に農業は色々な論議はあるが、このまま内向きで「村社会」を続けていても衰退するだけだろう。

利権と組織温存に走る従来型官僚や彼らと連携する守旧勢力に屈し、お茶を濁す程度の改革であれば、熾烈な国際競争から脱落し、疲弊の道しかない。

もっとも、国が一度破綻して地獄を見ないと根本的な再生は無理という見方もある。今、国益は何かと言うことを国民が冷静に判断し行動すれば、再成長は未だ間に合う。踏ん張りどころである。

 

「スーパー最終戦争」 ⑧高付加価値農業の期待と課題

中流から中の下階層に移行する社会では当然、低価格品が求められる。対応できなければ海外農産物に市場を奪われる可能性がある。

一般品、高付加価値農業のどちらを選択したら良いかは生産者の「経営資源」により異なる。一般品生産の大多数JA出荷者や大規模生産者は低コスト大量物流の傘下に入り、安定した販売先確保を優先すべきである。需要減少の中で更に自由貿易で海外農産物と戦うには、先行して販路を押さえ、情報を取り入込みながら速やかに対応して行くことが不可欠である。

数量確保と安定供給力が劣る一般品個人生産者は早めに統合して農業法人、出荷組合(グループ)を組織し、生産、物流両面で効率を上げ競争力を強化しなければならない。

個性的高付加価値農業に転進する場合は、事前に栽培、販売両面から十分検討し、競争力があることを確認してから取り組まないと、途中で方針がぐらつき成功に結びつかない倍がある。

今後、日本農業が世界を相手に戦える分野は「個性的高付加価値農業」である。目先ではなく、じっくり腰を据えて多角的に検討して取り組みたい。

 

伝統野菜など「美味しい野菜」の品目開発、定義付け、規格化と販路サポートを目指しているNPO創立者A氏が昨年理事長を退任され、メールを頂いた。A氏によれば創立当初(十数年前)に販路として想定していた量販店や外食企業を取り巻く環境が激変してしまい、建前はともかく、流通側の本音が「価格最優先」に切り替わり、テーマへの関心が薄れてしまったと書いている。初期のセミナーには量販店、外食、物流関係企業が多数出席し関心の高さが窺えたが、最近ではこの分野の人達は殆ど姿を見せない。この傾向は流通業界の中でも特に「味」にこだわってきたた大手小売業Sホールディングスカリスマ経営者が「時代は価格優先に変化した」とのコメントと連動している。

「美味しい野菜」の需要拡大に期待して集まった関係者は10年の歳月を経て変質した消費環境に無力感が漂う・・・・

 

安価、大量販売を基本とする量販店や外食企業の多くが、「美味しい」よりも「安い」を優先する中で、今後、伝統野菜や高付加価値農産物分野をどう組み立て直すかが問われる。

地方都市を中心に「地産地消」の流れが起こり、朝市(マルシェ)、直売場、食のイベントなどが盛んになっている。しかし、大多数の消費者、大規模専業農家は縁が薄く、経済的インパクトは極めて限定的である。

 

消費地で「食」の崩壊が進行していることは度々取り上げられている。農水省の統計によれば一人当たりの年間野菜消費量は昭和50年の約111kgから右肩下がりで最近は93kgと約16%も減少している。高齢化が進み、食と健康の情報が満ち溢れている日本で野菜摂取の重要性は十分を認識されている筈だが、消費の実態はお寒い限りである・・・

家庭で調理する時間がない、面倒だからと取り敢えず外食、簡易食、惣菜、弁当、野菜ジュース、サプリメント・・・に需要が移っている。

利便性重視社会は最早、止められない。「美味しい野菜」「簡単に食べられる」二つセットの切り口で考えないと消費者はついてこない。。「美味しいモノを作れば・・・」と関係者が考えている程、現実は甘くはないだろう。

量販店のコストカットで商品説明の出来る店員は殆ど見かけられなくなってから久しい。価格最優先になっている環境では「美味しい野菜」の提案は難しい。料理番組やネットなど情報源はあるが、本当に美味しい野菜料理の材料入手手段は限られる。

究極はやはり「人間の伝達力」である。一時「野菜のソムリエ」が話題になったが、活躍場所は今の所少ない。今年は異常気象で価格が高いが、平年価格では販促に人件費(マネキン)をかけたら採算が採れない。しかし、敢えてマネキン販売に踏み込み、「美味しくて、簡単調理のミニ青梗菜」で新規顧客を開拓した取引先がある。

 

ミニ青梗菜は特別目新しい野菜ではない。店頭に置いても目的客以外は買い物カゴに入れない。当然、売り上げは固定化し伸びない。この商品のポイントは「簡単調理!美味しい黄緑野菜」。マネキンが店頭で約30秒熱湯ボイルし、試食させる。「手軽さ、美味しさ、黄緑野菜=健康」イメージが受けて新規顧客を掘り起こしている。客層は若年~お年寄りまで幅広いという。

1店舗の試験販売から始めたが、野菜の売り上げが低迷する中で着実な販売増が社内のネットワーク(パソコン)上で注目され、当初関心を示さなかった店からも次々とマネキンの派遣要請があり、リピーター顧客が育っている。

当初、美味しいから絶対売れると読んでいたが実際は苦戦、試行錯誤の連続で、この方法に辿り着くまで約4年の歳月が流れた。気が付けば昔、ブランド南瓜を育てたモデルに戻っただけのこと・・・この商品は周年で販売しているから、マネキン代は一時的なコスト「高くはない・・・」と言う。

一例を書いたが、従来のコストカット思考では何処まで行っても価格競争だけ。ツケは流通から生産者、業界全体に回り、利が残らず活気を失う。

「安い」だけでは世界競争には勝てないから生産~流通関係者の連携した知恵が試されている。

 

産地については別途書く。

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
メール相談はこちらからどうぞ!|農産物の栽培・生産方法から流通、販売に至るまであなたの真剣なご相談歓迎します。