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ブログ: 2010年10月

「スーパー最終戦争」 ⑦農の再生は消費者と生産者の意識改革から始まる。

⑥まで今後の農業経営を考える上での一助として消費地で起きていることを書いた。今回書いていて感じたことは日本の農業問題は生産地よりも消費地に大きな社会変化が起きているにも拘わらず、政策が後手に回っている現実だ。低所得者が増えうる中「質的に豊かな食生活」を政策として目指さないと利便性と低価格に支配され、固有の食文化とそれを支える農業は崩壊する。

 

古い話で恐縮だが40数年前、初めて渡米した時に見た光景は、朝からファーストフード店で珈琲やコーラを片手にハンバーガー、ホットドック、フライドチキンなどを食べ、ソフトクリームやアイスクリームをペロリと平らげ、ファミレスでは分厚いステーキ、ハンバーグ、巨大なエビや蟹、山盛りのサラダなどを事なげもなく食べ尽くすアメリカ人の姿であった。その頃日本は、ご飯に味噌汁、沢庵、焼き魚、卵料理などを主婦が台所で作り、家族が顔を合わせて朝食を取っていた。デザートといえばミカンやリンゴ、柿などを食べていた。いつの間にか食べ物は洋風化し、ファーストフード社会になった。都心や郊外の駅前、構内には大手外食企業が運営するハンバーガー、フライドチキン、サンドイッチ、パスタ、牛丼、ラーメン、うどん、蕎麦、弁当、おむすび、カレー、夜は居酒屋・・・考えられる食べ物は殆ど用意されている。こんなにファーストフード産業の発達した国は世界でも日本しか無いだろう。

費者の意識改革

 

便利、安価と引き替えに日本の家庭は食卓に求心力を失い、家族の団欒、絆が希薄になってしまった。近頃頻発している自暴自棄事件、高齢者行方不明事件など、以前の日本では希であった。この現象は急激に起こっているのではなく、社会変化によって親子、夫婦、隣人、友人などの絆が弱まり、人間としての存在感が薄れて起きている。

先日テレビで直木賞女流作家K氏がフランスバスクの食と旅番組の中で、家族や友人であることを象徴する言葉は顔を合わせたら先ず「お腹が空いていないか・・・」と尋ねることだと話していた。相手を思いやる最高の言葉は「食」であると言う。

子供の頃、母は訪問客があると先ず食事していくことを勧めた。飯を炊き、あり合わせの漬け物や野菜、卵料理など質素ながら「自家製の食」でもてなした。飽食と言われ久しいが、何時の時代も人間を結びつける原点は生きることに欠かせない「食」であり、国家間でも最高の儀式は最後の「晩餐会」と決まっている。「食」を粗末にした家庭や国家は滅びる。

最近、いろいろな人達が「農」を論じるが、その前に自分達の「食」を考えてから「農」を論じてもらいたい。

 

国民一人一人が「食」の大切さを認識すれば、巨大資本つまり「世界最安値」農産物の支配はある程度食い止められる。日本は貿易立国を前提としなければ衰退する。農産物の市場開放は好むと好まないとに拘わらず必須だ。既に韓国などと比べて「農」の足枷で自由貿易の対応が出遅れ、今後の産業競争力の低下が懸念されている。

 

生産者の意識改革

韓国はEU間でFTA(多国間自由貿易協定)締結が決まり、段階的に関税が撤廃され自由貿易時代に入る。韓国は日本や中国に対抗するため、産業も農業も競争力のあるモノに特化、集中投資して、弱いモノは捨てた。農業は労働生産性の高い施設園芸に莫大な予算を投入し、一部の農産物は過剰生産に陥ったが、ノウハウや機材、資材産業は今や日本を凌ぐ。ただ、積極的に市場開放したため、外資が国内企業を制圧した面もあるが、成長する中国を始めアジア圏の市場を開拓し、既に日本より優位に立っている。勿論、彼らが国内で目指しているモノは徹底した工業化農業、低コスト、大量生産方式である。競争力のある農業を育てれば、そのノウハウを持って成長する新興国に進出できる。日本の生産者が視察に行って、規模の大きさや熱気に驚くのは、韓国に世界標準のダイナニズムが起きているからである。

秋本番、韓国ではキムチを漬け込むシーズンを迎えた。今夏の異常高温で白菜の生育が悪く、中国から緊急輸入したが、中国産白菜では伝統の韓国キムチが出来ず、困っているというニュースがあった。中国製のパック入り漬け物を安いからと言って食べていた国は情けない・・・もっとも韓国でも中国製のキムチもどきが出回っているようだが。

 

狭い国土の殆どがゼロメートル以下のオランダは世界に冠たる通商国家、農業大国だ。チューリップ、バラ、ガーベラなど花卉類やパプリカ、トマトなど施設園芸が盛んで、EU域内はもとより世界中に輸出されている。花卉類は世界流通の中心地の一つと言われ巨大な市場がある。お馴染みのパプリカは日本に相当量輸出されていたが、最近は輸送のハンディーもありい韓国にシェアを奪われた。

何処の国の生産者も熾烈な競争が続いている。

 

「スーパー最終戦争」 ⑥「小規模こだわり食品店」の胎動

私が暮らす街は安価なモノは沢山あるが、美味しい食材を手に入れるのは苦労する。八百屋、魚屋、肉屋などの専門店は安値競争に負けてほとんど姿を消した。都心か中核都市にある高級量販店かデパ地下へ行かねばならない。しかし、車では混むし、駐車で苦労する。電車で行けば荷物が重いから中高年には、足が重い。一時、味や新鮮さを売りにした野菜直売場が増えたが、スーパー、JA直売場などが次々に参入、安値競争に巻き込まれ、農家の高齢化も進んで農家の直売場は姿を消した。

 

最近、美味しいモノを売る店として注目しているのは、比較的若い世代が立ち上げている「小規模こだわり食品店」だ。残留農薬騒ぎで「自然食品店」などと称する「安全性」を売りにした店が増えたが、今度は「ブランド、伝統の味、本物の味」など「美味しさ」を売りとした店が客の支持を集めている。

 

彼らはネットや宅配便を駆使して全国の銘産品、こだわり食品を仕入れ、地元の農家とも組んで「地産野菜」を販売している。キーワードは「国産→美味いモノ限定→1箱単位仕入れ→1個バラ売り→欠品あり」である。肉は冷凍品だが、黒豚、地鶏など、産地、生産者に拘り冷凍でも美味く、いつでも安心して食べられる。ハム、ソーセージ、卵、牛乳、チーズ、バター、魚肉製品、豆腐、醤油、塩、油・・・地ビールや地酒、地方の昔懐かしいお菓子など気ままに置いている。食に凝る輩には思わずニンマリする商品に出会うこともある。少数客が対象だから商品は常時あるわけではない。電話予約しておけば、閉店してから配達してくれる。高齢者や勤めに出ている客には利便性が良く好評だ。日持ちがしない商品は、注文がまとまってから仕入れて販売するのでロスは少ない。本当に美味しいモノを食べたい客は我が儘を言わず入荷するまで待つ。

 

野菜や果実類は化学肥料、化学農薬不使用栽培または特別栽培。一般的に見栄えは良くないが味は確かである。費用のかかるJAS認証は取得していないが、生産者と店の信頼関係ででお客は充分納得できる。現在市販されている葡萄(巨峰など)は殆どがホルモン処理した種なしであるが、ここで売られているモノは味にこだわって昔風?濃厚味の種付き葡萄である。今や種付きは市場で敬遠され出荷が少なく、探すのに苦労する。こだわり生産者の直売、ネット販売、生協共同購入などでしか入手できない。ネットでは量を買う必要があるが、ここでは少量計り売りが可能、一房単位で買える。リンゴや梨は1個売り。価格は多少高いが、デパ地下に買いに行くよりは安い。

 

ヨーロッパの都市は量販店もあるが、デパ地下の様な専門店が入っている建物の中にこだわり品がある。地方では朝市や老舗食料品店があり、それぞれ独自の食文化を守っている。小規模な店が多いが自慢の品が並んでいる。店主や店員の商品知識が豊富で、食材の講釈、調理法などを教えてくれるので、買う意欲も湧く。

日本も価格競争だけではなく、この様な「食を楽しむ」インフラ、「こだわり食品店」がもっと復活すると、生産者も作り甲斐があり、購買意欲も湧く。

 

若い人の引き売りが駅前などでチラホラ見受けられる。春に川崎市にある若手Mさん(32歳)が経営する「八百屋」を訪ねた。生ゴミのリサイクルボランティアで農家との付き合いが始まり、農業の最大の問題は作ることよりも売ること、つまり収入が不安定であることを知った。収穫した野菜を軽トラックに積み、団地、マンションなどで2年間引き売りして、販売のコツを覚えた。2年前、顧客の紹介でマンション1階に店舗を借り開業した。基本は地元農家から直接仕入れ販売するいわゆる「地産地消」。順調に顧客が増え、種類も色々な要望が多くなり、一部は市場で仕入れている。冷蔵庫は持たず、日持ちのしないモノはその日に売り切る。農家の収穫量が多く売れ残りそうな時は、登録客に電話して協力を依頼する。

それも限度があるので売れ残り野菜を調理して、小規模レストラン、惣菜売り場も併設する準備を進めていた。地元の旬の食材を使い、個性的料理を提供する店が出来たら注目されそうだ。

「八百屋」の経営は順調で、1日の来店客は平均80人、家族を養うのには困らない収入という。農家は運賃、段ボール箱、市場手数料がかからないので、喜んでいるという。

 

「スーパー最終戦争」 ⑤欧米勢の目論見と日本社会の現実

日本に低所得者層が増えると巨大資本の大量生産、低価格商品が競争力を増す。品質、外観、サービスに煩い日本の消費者が低価格品にシフトせざるを得ない現実は彼らにはチャンスと映る。

ただ、欧米勢と言っても資本の話で、商品を作るのは「世界最安値」地域」、必ずしも自国とは限らない。売る場所に国境はなく、投資先、利益を求めて資金が世界を駆け巡る。。日本の小売業大手セブン・アイHは中国を中心にアジア圏に進出し、既に1万5.000店を展開している。8月の国内量販店売上高は、猛暑の追い風を受けても下げ止まらず、失業率が高止まりする欧米同様、新興国、アジアに成長を求めざるを得ない

欧米から見れば、日本は消費が下降線を辿っているとはいえ世界に冠たる消費大国。展開次第ではまだまだ利益を稼ぐ余地があると映る。円高で、彼らに心地よい追い風が吹いている。

 

消費地の現実

世界の小売業が日本に進出していることは、地方に住む農家は実感に乏しい。他人事と思えるかも知れない。東京都下に住む私でさえ頭では理解できても、自分の生活にどう関わってくるかはピンとこない。

しかし、よく周りを見れば変化は着々と起きている。近所にある西友は看板をウォルマート(米国)に書き換える日も近い。280円弁当など得意とする低価格路線が好調で不振が続いた業績はこの不況で上向きに転じ、業界の注目を集めている。以前の西友は「完熟屋」「食の幸」ブランドなど、野菜を含めて魅力的な食材が並んでいた。しかし、郊外住宅地として発展したこの街は、年金生活者や所得減で住宅ローンが重荷のサラリーマン世帯が増え、こだわり商品が次第に姿を消した。野菜など生鮮売り場は縮小され、惣菜や加工品が増えたのは言うまでもない。年中無休、食品売り場24時間営業、つまり365日昼夜を問わず休まない店と化した。「余分なモノ?は置かず、回転の良い安価な売れ筋商品に絞る」企業として当然だが、業績向上最優先が支配する・・・

 

聞いた話では客の多くはその日の予算内で計算しながら買い物カゴに入れレジに並ぶ。店内滞在時間15分程度の早業だ。客の楽しみはお買い得商品を見付けることくらいか?・・・

 

 

 

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言う諺がある。過去の経験をしっかり見つめ、目先に流されることなく、将来に向けて何が大切かじっくり考え行動したい。それが将来起こるかも知れない経済や食糧危機に対する最大の防御だ。

 

 

多国籍食品

大手量販店で販売している一部の商品は、ネットで栽培履歴、トレサビリティーが確認できるが、アクセスする人は1%未満、公開している事に意味があると大手量販バイヤーから聞いた。

忙しい時代に利便性に優れた加工調理品が伸びているが、一体、原材料が何処で作られているのか調べてみた。冷凍加工調理品「エビドリア」の材料原産地表示(下記)を見て一瞬「エー!」と目を疑った。

 

僅か200㌘程度の食品にこれだけ多国籍食材が使われている現実は、自動車や家電など工業製品と同じである。低コスト追求で「世界最安値」地域から部品を調達し、大量生産する構図が食品にも常態化している。我々が意識しない、気が付かない間に企業の「世界最安値」戦略に組み込まれている。主食の米に限らずあらゆる食材の足元がこういう形で浸蝕されているのだ。

これは一部の格安外食レストランチェーンにも共通する。

 

世界の巨大小売業が参戦する「スーパー最終戦争」で日本の社会に何が残るのであろうか・・・

中国、タイ、ブルガリア、マケドニア、ハンガリー、カナダ、オーストラリア、マレーシア、ブラジル、パプアニューギニア、フィリピン、ニュージーランドなど海外12ヶ国の原材料が使われている。日本産は濃縮乳、食塩、発酵調味料、ナチュラルチーズ、玉葱と表示されている。

秋たけなわ、「食のイベント」が各地で盛んなのは心強い。日本の食文化」を一つ一つ子供達に伝える努力が「日本の食と農」を守る。政治や学校教育だけに任せるのではなく、先ずは日常の食生活から見直そう。立派な政策、教育論を展開しても、土台が腐っていては何の足しにもならない。

戦後、GHQ(米国占領軍)主導で食生活改善運動が実施され、輸入農畜産物が急増し、日本人の体格は格段に向上した。安い農産物を輸入したお蔭で農村の労働力を工業製品生産に振り向け、日本が得た経済的利益は大きかった。反面、洋食化が行き過ぎ、高カロリー食が原因で肥満や成人病が増え、国内農業が衰退したデメリットも指摘されている。初期はアメリカ農産物だったが、現在は世界中の農産物が国内に溢れる。一方、巨大穀物メジャーに操られ、数年前には日本は手も足も出ない穀物暴騰を経験した。

先日、神奈川県三浦半島にある公立中学校の先生から「食育」など現場の様子をお聞きした。しかし、食育などを語るには程遠い現実があるように思えた。彼の話では子供より親、特に母親の「子供溺愛」にどう対応するかが一番の課題と指摘した。以前からそう言う話は聞いてはいたが私の想定を超えていた。両親が離婚している生徒は約3人に1人、経済的にも精神的にもかなり不安定な教育環境である。全国でも離婚率上位の北海道でこの話をしたら「農家は1/3。サラリーマンは1/2に近い」と指摘された。数値的な裏付けはないが、多くの離婚世帯の生活、教育環境は相当厳しいと推測される。こういう人達は「世界最安値」食材を好むと好まないとに関わらず選択するしかない。

以前は量販店でも買い物が結構楽しかった。旬の魚菜が並び、種類も多く、店であれこれ会話しながら商品を選らんだ。子供達もその中で自然と食への関心を培った。学校で「食育」の時間などなかったが、教わらなくても生活の中で身に付けた。しかし、今の子供や親達にはその様な時間的ゆとりは無い。利便性、経済性、合理性だけの無味乾燥な環境になってしまった。人間として大切な「ゆとり」をいつの間にか失った。

商品棚には高品質や個性を語るポップなどは殆ど無い。大量生産された食品が主力となり、整然と並べられている。ビールなどの飲料はどこがどう違うのか判断に困るほど種類が多い。買い物目線が価格重視なのでお買い得を強調するポップ以外は不要だ。高品質、個性的商品を求める客はここには来ない。

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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