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ブログ: 2010年7月

「甘み」「旨み」を考える② おいしいトマトの品種は?

トマトの美味しさは、糖度(甘み)、酸度(酸み)、食味(旨み)、肉質(食感)などで評価される。

生食用では、数値が計りやすく、誰にでも説明しやすい糖度が云々される。酸度、食味、肉質は各人の好みもあるから、先ず「糖度」である。「食味」が良ければ糖度は・・・」という意見もあるが、実際の商談では食味は曖昧なので相手が会社組織では通用しにくい。

サイズ別に「大玉」~「中玉」~「ミニ」の順で糖度が上げやすい。難しいのは大玉高糖度で、8度以上を「フルーツトマト」と呼んで別格扱いになる。7度台は普通の栽培でも条件が良ければ到達できる水準だが、8度ラインを常時維持するには高度なコントロール技術が必要で、その良否が収益性を大きく左右する。

「何故大玉品種で8度以上なのか?・・・」とあるホテルの料理人に尋ねたことがある。答えは同じ糖度8度でも中玉、ミニでは本来のトマトのコク、食味、食感が劣る。7度台では殆どお客様へのインパクトが無いという。「甘み」だけではなく「酸み」「旨み」「食感」のバランスが大切と言うことだ。スペシャル料理のトマトソースやサラダに使うのは、未熟青トマトで高糖度、高酸度のモノが欲しいという料理人もいる。しかし一般農家は、特殊モノでは商売にならない。癖のあるトマトが腕の良い料理人の手にかかると、感動の味になることは分かる。銭金を別にすれば、こういうトマトも道楽と割り切れば作るのも楽しい・・・

経営視点で考えれば、如何にシンプル、低コストな作り方で収量を上げるか、手間をかけても良食味、高糖度を目指すかの二極化になる。一般論として、トマトは収量を重視すれば味が犠牲になり、良食味、高糖度を優先すれば収量が落ちる。需要減少、価格下降社会でどのポジションを目指すか判断を迫られている。

元来、コスト高で、構造的に需要が下降している日本では、単に収量だけを追求しても未来はないだろう。しかし、多くの生産者は価格が上がらないから収量でカバーしようと考えている。ブランド産地はともかく普通の供選産地は特にこの傾向が強まっていることは、自ら墓穴を掘る可能性がある。反面、トマト栽培に進出している企業の多くは、高糖度、高付加価値を目指している。本来は、逆だと思うが・・・

品種の選択で高糖度トマトが作れれば答えは簡単ではある。

 

(大玉)

大玉~中玉系を交配し、高糖度品種の開発が進んでいるが、私の知る限りでは決定打は出ていない。作物である以上、その年の気候や栽培時期、土壌、肥培管理などの条件が大きく係わるから一概に品種の優劣が判断できない。高糖度を狙うには多くの場合、水切り、塩分ストレスを加えるので、着果、生理障害(尻腐れ、焼け)、割れ、耐病性、一果重、商品化率、収量などクリアーしなければならない項目が多い。

北海道の高糖度トマトは(T-93)が多いが、ハウス桃太郎、桃太郎ファイト、エイト、麗夏などもある。熊本県内干拓地の塩トマトは品種に拘らず、一般品種で作っている。

地域や時期によっては、糖度は上げにくいが食味の良いファースト系を好む生産者もおり、品種はまちまちである。聞くところによれば、静岡、愛知、高知などはマル秘?の品種があるというし、群馬県も高糖度品種の育種に力を入れている。

日持ちの良い堅い品種を樹成り完熟させて糖度、食味を上げる方法も増えている。流通側では、販売ロスの少ない堅いトマトを歓迎する傾向にあり、消費者もその方向に慣らされつつあり、余り味のない堅いトマトをドレッシングをかけて食べる。しかし、堅いトマトではなく、昔の様にゼリー部分が多く、糖度はそこそこ、食味、食感が良いリバイバル品種も復活している。関東の一部量販店では通年で昔味トマトを契約栽培している様だ。大規模生産には耐病性があり、日持ちの良い堅い品種、消費地に近く完熟収穫、即日または翌日販売可能な量販店、直売場は良食味、良食感品種がいい。

 

(中玉)

輸入を含めて品種が揃ってきた。低温期の栽培は成熟期間が長いので比較的、糖度や味が乗りやすく安定するが、高温期に入ると品質維持が難しくなる。その為か特定ブランド品はともかく全体的に中玉に対する消費者のイメージはブレている。中玉品種の普及スタート時点で糖度の低い加熱調理用トマトが店頭に並び、そのまま生で食べた消費者の不評を買い、評価を下げた点は否めない。生食用品種の糖度も低く、バラツキも多かった。中玉の時代が来ると期待されたが、その割に販売は伸びていない。加熱調理用品種を地道に作っている産地もあるが、道半ばである。日本では消費者の生食~調理用のポジションが定まっていない。

2009年から熊本でラブリー40、北海道でシンディースィートを栽培し、中玉品種のリレー販売を始めた。冷涼な北海道と言っても7月下旬~8月上旬の高温期は品質低下リスクが大きい。そのため標高の高い富良野市麓郷で試作を始めた。結果はまだ出ていないが、シンディースイートはあまり水を絞らなくても糖度9度前後に上がり、食味、食感も優れている。高温対策をすれば高糖度、良食味トマトとして拡販の余地が十分にあると思う。

 

(ミニ)

高糖度品種が揃っており、作り方を間違えなければ糖度は89度位は乗る。収量もあり、味のバラツキも少なく、品種上の課題は割れの発生以外は少ない。高糖度(1112度)、低酸度をコンセプトとした「トマトベリー」も各地で作られる様になり、品種の選択肢は広がった。欲を言えば更なる食味と食感の改善だが、特に果皮が硬く口に残ると食味、食感を害する。果皮が柔らかく、残りにくい品種「恋まる」を熊本、北海道で試作し、2009年からリレー販売を始めた。草勢管理の仕方で品質がブレやすい欠点があるので生産者を限定して作っている。糖度911度程度になり、酸味バランス、食感についても消費者から好評を得ている。栽培法を工夫しないと収量は落ちる。

最近、人気が出てきたアイコは、初期から草勢を穏やかに作れば、高糖度(810度)、良食味で収量も期待できる。熟すと蔕が取れやすいので、樹熟させて全部蔕無しで販売することも選択肢である。

 

サイト管理者|日本マックランド株式会社
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